(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記規定条件は、前記レーン位置情報取得部(54)で取得された前記レーン位置情報が、一時的に又は基準期間より長い期間に亘って、前記モータサイクル(100)から最も近い前記レーン境界(LV_L)と該モータサイクル(100)との距離が基準値よりも小さい状態を示す情報であるとの条件である、
請求項1に記載の制御装置。
前記第2規定条件は、前記前方交通情報取得部(57)で取得された前記前方交通情報が、前記2レーン(L1、L2)のうちの一方のレーン(L2)に位置する2つの先行車両(A1_L、A2_L)の間隔(D1)が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件を含む、
請求項4又は5に記載の制御装置。
前記第2規定条件は、前記前方交通情報取得部(57)で取得された前記前方交通情報が、前記2レーン(L1、L2)に分かれて位置する2つの先行車両(A1_R、A1_L)の間隔(D2)が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件を含む、
請求項4から6の何れか一項に記載の制御装置。
前記第2規定条件は、前記前方交通情報取得部(57)で取得された前記前方交通情報が、前記2レーン(L1、L2)に位置する複数の先行車両(A1_R、A1_L、A2_L)の絶対速度が基準絶対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件を含む、
請求項4から7の何れか一項に記載の制御装置。
前記第2規定条件は、前記前方交通情報取得部(57)で取得された前記前方交通情報が、前記2レーン(L1、L2)に位置する複数の先行車両(A1_R、A1_L、A2_L)の前記モータサイクル(100)に対する相対速度が基準相対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件を含む、
請求項4から8の何れか一項に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る制御装置及び制御方法について、図面を用いて説明する。
【0012】
なお、「モータサイクル」との用語は、ライダーが跨って搭乗する鞍乗型車両のうちの自動二輪車又は自動三輪車を意味する。また、以下では、モータサイクルが自動二輪車である場合を説明しているが、モータサイクルが自動三輪車であってもよい。
【0013】
また、以下で説明する構成及び処理等は一例であり、本発明に係る制御装置及び制御方法は、そのような構成及び処理等である場合に限定されない。また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は、同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
【0014】
実施の形態1.
以下に、実施の形態1に係る挙動制御システムを説明する。
【0015】
<挙動制御システムの構成>
実施の形態1に係る挙動制御システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る挙動制御システムの、モータサイクルへの搭載状態を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る挙動制御システムの、システム構成を示す図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る挙動制御システムの、制御装置の処理を説明するための図である。
【0016】
図1に示されるように、挙動制御システム1は、モータサイクル100に搭載される。挙動制御システム1は、少なくとも、モータサイクル100の前方からの反射を受信する測距センサ10と、モータサイクル100の走行路面を撮像する画像センサ20と、モータサイクル100の走行速度を知るための速度センサ30と、制御装置(ECU)50と、を含む。
【0017】
測距センサ10は、モータサイクル100の前部に、前方を向いた状態で取り付けられる。測距センサ10は、例えば、Radarセンサ、Lidarセンサ、超音波センサ、ステレオビジョンセンサ等であり、モータサイクル100からその前方に位置する物体までの距離及び方位を検出するものである。測距センサ10は、モータサイクル100の前方の交通状況を取得し得る他の検出装置であってもよく、また、画像センサ20の機能を併せ持っていてもよい。
【0018】
画像センサ20は、モータサイクル100の前部又は側部に、走行路面を向いた状態で取り付けられる。画像センサ20の検出範囲は、モータサイクル100が走行しているレーンL1の幅方向を規定する両側のレーン境界LV_R、LV_Lを撮像可能な広さである(
図3参照)。両側のレーン境界LV_R、LV_Lが、1つの画像センサ20で撮像されてもよく、また、別々の画像センサ20で撮像されてもよい。
【0019】
速度センサ30は、モータサイクル100の運動部分に取り付けられる。例えば、速度センサ30は、モータサイクル100の前輪及び後輪の回転速度を検出するものである。速度センサ30は、モータサイクル100の走行速度を知ることができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0020】
図2に示されるように、制御装置50は、追従対象車両特定部51と、車両位置情報取得部52と、制御量設定部53と、レーン位置情報取得部54と、制限決定部55と、実行部56と、を含む。制御装置50の各部は、1つの筐体に纏めて設けられていてもよく、また、複数の筐体に分けられて設けられていてもよい。また、制御装置50の一部又は全ては、例えば、マイコン、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0021】
制御装置50には、各種センサ(測距センサ10、画像センサ20、速度センサ30等)の出力が入力される。また、制御装置50は、挙動制御機構90に信号を出力して、モータサイクル100の挙動を制御する。挙動制御機構90には、車輪制動機構、エンジン駆動機構等が含まれる。つまり、制御装置50は、モータサイクル100に搭載されている挙動制御機構90の制御を担う装置である。なお、モータサイクル100の走行方向は、自動的に制御されるのではなく、ライダーによるモータサイクル100の操作に依存して変化する。
【0022】
追従対象車両特定部51は、測距センサ10の出力に基づいて、モータサイクル100にアダプティブクルーズ動作を実行させる際の追従対象車両を特定する。具体的には、測距センサ10の検出範囲R(
図3参照)内に位置する先行車両のうちの、モータサイクル100が走行しているレーンL1に位置し、且つ、モータサイクル100の走行方向でのモータサイクル100からの距離が最も短い先行車両が、追従対象車両として特定される。なお、検出範囲Rの特性(例えば、広さ、方向等)は、制御可能であってもよく、また、制御不能であってもよい。
【0023】
車両位置情報取得部52は、測距センサ10の出力に基づいて、走行中のモータサイクル100に対する追従対象車両の相対的な位置情報である、車両位置情報を取得する。具体的には、モータサイクル100の走行方向でのモータサイクル100と追従対象車両との距離を、車両位置情報として取得する。車両位置情報取得部52が、追従対象車両特定部51で取得された情報を流用することで、モータサイクル100の走行方向でのモータサイクル100と追従対象車両との距離を取得してもよい。
【0024】
制御量設定部53は、車両位置情報取得部52で取得された車両位置情報と、速度センサ30の出力と、に基づいて、アダプティブクルーズ動作での制御量を設定する。具体的には、制御量設定部53は、モータサイクル100の走行方向でのモータサイクル100と追従対象車両との距離が、距離基準値に近づくような制御量(速度、加速度等)を設定する。距離基準値は、モータサイクル100から追従対象車両までの距離としてライダーの安全性を確保し得る値に設定される。また、制御量設定部53は、モータサイクル100の走行速度が速度基準値を超えないような制御量(速度、加速度等)を設定する。速度基準値は、例えば、ライダーによって適宜設定され得る。
【0025】
レーン位置情報取得部54は、画像センサ20の出力に基づいて、走行中のモータサイクル100に対するレーン境界の相対的な位置情報である、レーン位置情報を取得する。
【0026】
具体的には、
図3に示される状況において、レーン位置情報取得部54は、画像センサ20に撮像された画像でのレーン境界LV_R、LV_Lの位置に基づいて、モータサイクル100から最も近いレーン境界LV_Lに係るレーンマージンLM_Lを取得する。レーンマージンLM_Lは、レーンL1の幅方向でのモータサイクル100と左側のレーン境界LV_Lとの距離として定義される。左側のレーン境界LV_Lよりも右側のレーン境界LV_Rの方がモータサイクル100に近い場合には、レーン位置情報取得部54は、レーンL1の幅方向でのモータサイクル100と右側のレーン境界LV_Rとの距離として定義される、レーンマージンLM_Rを取得する。
【0027】
なお、レーンマージンLM_R、LM_Lは、画像センサ20からレーン境界LV_R、LV_Lまでの距離と定義されてもよく、また、モータサイクル100の各部からレーン境界LV_R、LV_Lまでの距離と定義されてもよい。また、レーンマージンLM_R、LM_Lは、モータサイクル100から、レーン境界LV_R、LV_Lの中心までの距離と定義されてもよく、また、モータサイクル100から、レーン境界LV_R、LV_Lのモータサイクル100に近い側のエッジまでの距離と定義されてもよい。また、レーン境界LV_R、LV_Lは、レーンマーク自体と定義されてもよく、また、モータサイクル100の走行方向において断続的に並ぶ2つのレーンマークを結ぶ想像上の境界と定義されてもよい。また、レーン位置情報取得部54が、レーンマージンLM_R、LM_Lに実質的に換算可能な他の物理量を、レーンマージンLM_R、LM_Lとして取得してもよい。例えば、レーン位置情報取得部54が、レーンL1の幅方向でのモータサイクル100とレーン境界LV_R、LV_Lとの距離に実質的に換算可能な他の距離をレーンマージンLM_R、LM_Lとして取得してもよく、また、画像センサ20のピクセル数をレーンマージンLM_R、LM_Lとして取得してもよい。
【0028】
制限決定部55は、判定基準が満たされる場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けることを決定する。判定基準は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が第1規定条件を満たすとの条件を含む。具体的には、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が、一時的に又は基準期間よりも長い期間に亘って、レーンマージンLM_Lが基準値よりも小さい状態を示す情報である場合に、制限決定部55は、アダプティブクルーズ動作に制限を設けることを決定する。基準値は、アダプティブクルーズ動作によって走行しているモータサイクル100が隣のレーンL2を走行する先行車両A1_Lの横を安全に走行し得る値に設定される。基準期間は、モータサイクル100が車線変更するのに要する標準的な期間より長い期間に設定される。
【0029】
実行部56は、制御量設定部53で設定された制御量に応じたアダプティブクルーズ動作を、モータサイクル100に実行させる。具体的には、制限決定部55で制限を設けることが決定されない場合(つまり、通常の場合)には、実行部56は、制御量設定部53で設定された制御量に応じた信号を挙動制御機構90に出力して、モータサイクル100をその制御量に応じた走行速度で走行させる。また、制限決定部55で制限を設けることが決定された場合(つまり、モータサイクル100がレーン境界LV_R、LV_L上又は近傍を走行する場合)には、実行部56は、アダプティブクルーズ動作を禁止する、又は、制御量設定部53で設定された制御量でモータサイクル100が走行する際の走行速度よりも遅い補正走行速度でモータサイクル100が走行するような信号を、挙動制御機構90に出力する。
【0030】
<挙動制御システムの処理>
実施の形態1に係る挙動制御システムの処理について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る挙動制御システムの、制御装置の処理フローを示す図である。
【0031】
制御装置50は、ライダーがアダプティブクルーズ動作をONに設定すると、モータサイクル100の走行中において、
図4に示される処理フローを繰り返す。
【0032】
(追従対象車両特定ステップ)
ステップS101において、制御装置50の追従対象車両特定部51は、測距センサ10の出力に基づいて、追従対象車両を特定する。
【0033】
(車両位置情報取得ステップ)
ステップS102において、制御装置50の車両位置情報取得部52は、走行中のモータサイクル100に対する追従対象車両の相対的な位置情報である、車両位置情報を取得する。
【0034】
(制御量設定ステップ)
ステップS103において、制御装置50の制御量設定部53は、車両位置情報取得部52で取得された車両位置情報と、速度センサ30の出力と、に基づいて、アダプティブクルーズ動作での制御量を設定する。
【0035】
(レーン位置情報取得ステップ)
ステップS104において、制御装置50のレーン位置情報取得部54は、画像センサ20の出力に基づいて、走行中のモータサイクル100に対する、モータサイクル100に最も近いレーン境界LV_Lの相対的な位置情報である、レーン位置情報を取得する。
【0036】
(制限決定ステップ)
ステップS105において、制御装置50の制限決定部55は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が第1規定条件を満たすか否かを判定し、Yesである場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けることを決定する。また、Noである場合に、制御装置50の制限決定部55は、アダプティブクルーズ動作に制限を設けないことを決定する。
【0037】
(実行ステップ)
制御装置50の実行部56は、制限決定部55で制限を設けないことが決定された場合に、ステップS106において、制御量設定部53で設定された制御量に応じた走行速度でのアダプティブクルーズ動作を、モータサイクル100に実行させる。また、制御装置50の実行部56は、制限決定部55で制限を設けることが決定された場合に、ステップS107において、アダプティブクルーズ動作を禁止する、又は、ステップS106における走行速度よりも低い側に補正された補正走行速度でのアダプティブクルーズ動作を、モータサイクル100に実行させる。
【0038】
<挙動制御システムの効果>
実施の形態1に係る挙動制御システムの効果について説明する。
制御装置50が、走行中のモータサイクル100に対するレーン境界LV_Lの相対的な位置情報であるレーン位置情報を取得するレーン位置情報取得部54と、判定基準が満たされる場合に、オートクルーズ動作に制限を設けることを決定する制限決定部55と、を備えており、判定基準には、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が第1規定条件を満たすとの条件が含まれている。そして、実行部56は、制限決定部55で制限を設けることが決定されない場合に、制御量設定部53で設定される制御量に応じた走行速度で、モータサイクル100にオートクルーズ動作を実行させ、制限決定部55で制限を設けることが決定される場合に、オートクルーズ動作を禁止する、又は、走行速度が低い側に補正された補正走行速度でモータサイクル100にオートクルーズ動作を実行させる。つまり、モータサイクル100がオートクルーズ動作に不向きな位置を走行している状況下で、オートクルーズ動作を制限することが可能となる。そのため、レーンの幅方向における走行位置の自由度が大きいとの特徴があるモータサイクル100に特化した、適切なオートクルーズ動作が実現可能である。
【0039】
好ましくは、第1規定条件は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が、一時的に又は基準期間よりも長い期間に亘って、モータサイクル100から最も近いレーン境界LV_Lとモータサイクル100との距離が基準値よりも小さい状態を示す情報であるとの条件である。そのように構成されることで、ライダーがモータサイクル100を不必要にレーン境界LV_L上又は近傍を走行させることを抑制することが可能となって、ライダーの安全性が向上する。
【0040】
特に、実行部56で実行されるオートクルーズ動作が、アダプティブクルーズ動作であるとよい。例えば、
図3に示される例において、モータサイクル100がレーン境界LV_L上又は近傍を走行する場合には、そのレーン境界LV_Lの右側のレーンL1が追従対象車両の特定の対象レーンになる場合と、そのレーン境界LV_Lの左側のレーンL2が追従対象車両の特定の対象レーンになる場合と、の切り替わりが生じやすくなって、モータサイクル100の挙動が不安定となりやすい。モータサイクル100がレーン境界LV_L上又は近傍を走行する場合に、アダプティブクルーズ動作に制限が設けられることで、モータサイクル100の挙動が安定化されて、ライダーの安全性が向上する。つまり、モータサイクル100がレーン境界LV_L上又は近傍を走行する場合に、アダプティブクルーズ動作に制限が設けられることは、オートクルーズ動作がアダプティブクルーズ動作である場合に特に有用である。
【0041】
実施の形態2.
以下に、実施の形態2に係る挙動制御システムについて説明する。
なお、実施の形態1に係る挙動制御システムと重複又は類似する説明は、適宜簡略化又は省略している。
【0042】
<挙動制御システムの構成>
実施の形態2に係る挙動制御システムの構成について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2に係る挙動制御システムの、システム構成を示す図である。
図6は、本発明の実施の形態2に係る挙動制御システムの、制御装置の処理を説明するための図である。
【0043】
図5に示されるように、制御装置50は、追従対象車両特定部51と、車両位置情報取得部52と、制御量設定部53と、レーン位置情報取得部54と、前方交通情報取得部57と、制限決定部55と、実行部56と、を含む。
【0044】
前方交通情報取得部57は、測距センサ10の出力に基づいて、モータサイクル100の前方の交通情報(特に、レーンL1、L2における混雑度)である前方交通情報を取得する。具体的には、前方交通情報取得部57は、
図6に示される例において、モータサイクル100に最も近いレーン境界LV_Lを挟んで延びる2レーンL1、L2のうちの、先行車両が縦列走行しているレーンL2を走行する2つの先行車両A1_L、A2_Lの間隔D1を、前方交通情報として取得する。また、前方交通情報取得部57は、
図6に示される例において、モータサイクル100に最も近いレーン境界LV_Lを挟んで延びる2レーンL1、L2に分かれて位置する2つの先行車両A1_R、A1_Lの間隔D2を、前方交通情報として取得する。
【0045】
なお、間隔D1は、手前側の先行車両A1_Lの後端から奥側の先行車両A2_Lの後端までの距離と定義されてもよく、また、その先行車両A1_Lの他の箇所からその先行車両A2_Lの他の箇所までの距離と定義されてもよい。また、前方交通情報取得部57が、間隔D1に実質的に換算可能な他の物理量を、前方交通情報として取得してもよい。例えば、前方交通情報取得部57が、間隔D1に実質的に換算可能な他の距離を前方交通情報として取得してもよい。
【0046】
また、間隔D2は、レーン境界LV_Lの右側のレーンL1を走行する先行車両A1_Rのモータサイクル100に最も近い箇所からレーン境界LV_Lの左側のレーンL2を走行する先行車両A1_Lのモータサイクル100に最も近い箇所までの距離と定義されてもよく、また、その先行車両A1_Rの他の箇所からその先行車両A1_Lの他の箇所までの距離と定義されてもよい。また、前方交通情報取得部57が、間隔D2に実質的に換算可能な他の物理量を、前方交通情報として取得してもよい。例えば、前方交通情報取得部57が、間隔D2に実質的に換算可能な他の距離を前方交通情報として取得してもよい。
【0047】
また、前方交通情報取得部57が、
図6に示される例において、レーンL1、L2を走行する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの絶対速度を、前方交通情報として取得してもよい。例えば、前方交通情報取得部57が、その絶対速度に実質的に換算可能な他の物理量を前方交通情報として取得してもよい。また、前方交通情報取得部57は、複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの絶対速度の平均値を前方交通情報として取得してもよく、また、各絶対速度を前方交通情報として取得してもよい。そのような構成であっても、レーンL1、L2における混雑度を推定することが可能である。
【0048】
また、前方交通情報取得部57が、
図6に示される例において、レーンL1、L2を走行する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lのモータサイクル100に対する相対速度を、前方交通情報として取得してもよい。例えば、前方交通情報取得部57が、その相対速度に実質的に換算可能な他の物理量を前方交通情報として取得してもよい。また、前方交通情報取得部57は、複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの相対速度の平均値を前方交通情報として取得してもよく、また、各相対速度を前方交通情報として取得してもよい。そのような構成であっても、レーンL1、L2における混雑度を推定することが可能である。
【0049】
制限決定部55は、判定基準が満たされる場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けることを決定する。判定基準は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が第1規定条件を満たすとの条件と、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が第2規定条件を満たすとの条件と、を含む。
【0050】
具体的には、第1規定条件は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が、一時的に又は基準期間よりも長い期間に亘って、レーンマージンLM_Lが基準値よりも小さい状態を示す情報であるとの条件である。
【0051】
また、第2規定条件は、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2のうちの、先行車両が縦列走行するレーンL2に位置する2つの先行車両A1_L、A2_Lの間隔D1が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件と、2レーンL1、L2に分かれて位置する2つの先行車両A1_R、A1_Lの間隔D2が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件と、の少なくとも一方である。間隔D1との比較のための基準間隔は、車線変更が生じやすくなる標準的な間隔より広い間隔に設定される。また、間隔D2との比較のための基準間隔は、モータサイクル100によるすり抜けが困難になる間隔より広い間隔に設定される。
【0052】
また、第2規定条件は、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2に位置する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの絶対速度(絶対速度の平均値、又は、各絶対速度の全て)が基準絶対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件と、2レーンL1、L2に位置する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lのモータサイクル100に対する相対速度(相対速度の平均値、又は、各相対速度の全て)が基準相対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件と、の少なくとも一方であってもよい。絶対速度との比較のための基準絶対速度、及び、相対速度との比較のための基準相対速度は、非混雑時の標準的な速度を加味して設定される。なお、間隔D1、D2を用いた判定と、速度(絶対速度、相対速度)を用いた判定と、が組み合わされてもよい。
【0053】
<挙動制御システムの処理>
実施の形態2に係る挙動制御システムの処理について説明する。
図7は、本発明の実施の形態2に係る挙動制御システムの、制御装置の処理フローを示す図である。
【0054】
制御装置50は、ライダーがアダプティブクルーズ動作をONに設定すると、モータサイクル100の走行中において、
図7に示される処理フローを繰り返す。なお、
図7に示される処理フローのステップS201〜S204、S208、S209は、
図4に示される処理フローのステップS101〜S104、S106、S107と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
(前方交通情報取得ステップ)
ステップS205において、制御装置50の前方交通情報取得部57は、測距センサ10の出力に基づいて、走行中のモータサイクル100の前方の交通情報である前方交通情報を取得する。
【0056】
(制限決定ステップ−1)
ステップS206において、制御装置50の制限決定部55は、レーン位置情報取得部54で取得されたレーン位置情報が第1規定条件を満たすか否かを判定し、Yesである場合に、ステップS207に進む。また、Noである場合に、制御装置50の制限決定部55は、アダプティブクルーズ動作に制限を設けないことを決定する。
【0057】
(制限決定ステップ−2)
ステップS207において、制御装置50の制限決定部55は、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が第2規定条件を満たすか否かを判定し、Yesである場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けることを決定する。また、Noである場合に、制御装置50の制限決定部55は、アダプティブクルーズ動作に制限を設けないことを決定する。
【0058】
<挙動制御システムの効果>
実施の形態2に係る挙動制御システムの効果について説明する。
好ましくは、制御装置50は、レーン位置情報取得部54に加えて、レーン境界LV_Lを挟んで延びる2レーンL1、L2のうちの少なくとも一方のレーンにおける前方交通情報を取得する前方交通情報取得部57を備えており、アダプティブクルーズ動作に制限を設けるか否かを判定するための判定基準には、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が第2規定条件を満たすとの条件が含まれる。そして、制限決定部55は、第1規定条件及び第2規定条件の両方が満たされる場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けると決定する。
【0059】
例えば、
図6に示される例のように、追従対象車両を特定してモータサイクル100に対するその追従対象車両の相対的な位置情報を取得することが、検出装置(例えば、測距センサ10)の検出範囲Rの一部に対してのみ行われる場合、つまり、制御装置50が、検出装置(例えば、他の測距センサ10)の検出範囲Rよりも狭い範囲RSに位置する先行車両のみを抽出し、抽出された先行車両のうちから追従対象車両を特定するような処理を実行する場合には、密集する先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの横をモータサイクル100がすり抜けるようなアダプティブクルーズ動作が実行されることとなる。そのような状況では、先行車両A1_R、A1_L、A2_Lが車線変更を行う可能性が高く、通常のアダプティブクルーズ動作と同じ走行速度でモータサイクル100が走行することは望ましくない。また、先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの間をすり抜ける困難性が高く、通常のアダプティブクルーズ動作と同じ走行速度でモータサイクル100が走行することは望ましくない。制限決定部55が、第1規定条件及び第2規定条件の両方が満たされる場合に、アダプティブクルーズ動作に制限を設けると決定することで、そのような状況におけるライダーの安全性が向上する。
【0060】
特に、制限決定部55が、第1規定条件及び第2規定条件の少なくとも一方が満たされない場合に、制限を設けないと決定するとよい。そのように構成されることで、例えば、先行車両が密集しない状況、モータサイクル100がレーン境界LV_L上又は近傍を走行していない状況等において、不必要にアダプティブクルーズ動作が制限されることが抑制されて、ライダーの快適性が向上する。
【0061】
また、第2規定条件が、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2のうちの一方のレーンL2に位置する2つの先行車両A1_L、A2_Lの間隔D1が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件であるとよい。そのように構成されることで、車線変更が生じやすくなる状況に的確に対応することが可能となる。
【0062】
また、第2規定条件が、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2に分かれて位置する2つの先行車両A1_R、A1_Lの間隔D2が基準間隔よりも狭い状態を示す情報であるとの条件であるとよい。そのように構成されることで、すり抜けが困難になる状況に的確に対応することが可能となる。
【0063】
また、第2規定条件が、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2に位置する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lの絶対速度が基準絶対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件であるとよい。そのように構成されることで、車線変更が生じやすくなる状況に的確に対応することが可能となる。
【0064】
また、第2規定条件が、前方交通情報取得部57で取得された前方交通情報が、2レーンL1、L2に位置する複数の先行車両A1_R、A1_L、A2_Lのモータサイクル100に対する相対速度が基準相対速度よりも遅い状態を示す情報であるとの条件であるとよい。そのように構成されることで、すり抜けが困難になる状況に的確に対応することが可能となる。
【0065】
以上、実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部のみが実施されてもよい。また、制御装置50における各ステップの順序が入れ替えれられてもよい。
【0066】
つまり、実施の形態1及び実施の形態2においては、画像センサ20が、レーン境界LV_R及びレーン境界LV_Lの両方を撮像する場合を説明したが、制御装置50が、モータサイクル100が走行するレーンL1の幅を他の情報源(例えば、地図情報等)から取得できるのであれば、画像センサ20が、レーン境界LV_R及びレーン境界LV_Lの一方のみを撮像してもよい。
【0067】
また、実施の形態1においては、実行部56で実行されるオートクルーズ動作がアダプティブクルーズ動作である場合を説明したが、実行部56が、モータサイクル100の走行方向でのモータサイクル100と追従対象車両との距離に関係なく、モータサイクル100の走行速度が制御される他のオートクルーズ動作を実行してもよい。
【0068】
また、実施の形態2においては、レーン位置情報が判定された後に前方交通情報が判定される場合を説明したが、前方交通情報が判定された後にレーン位置情報が判定されてもよい。
【0069】
また、実施の形態2においては、前方交通情報が測距センサ10の出力に基づいて取得される場合を説明したが、前方交通情報が他の情報源(例えば、ナビゲーションシステムに供給される渋滞情報等)に基づいて取得されてもよい。