(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6973979
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】エミッション防護装置および負荷を作動させる方法
(51)【国際特許分類】
H04B 15/02 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
H04B15/02
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-562649(P2019-562649)
(86)(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公表番号】特表2020-520191(P2020-520191A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2018057315
(87)【国際公開番号】WO2018215119
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年11月12日
(31)【優先権主張番号】102017208682.3
(32)【優先日】2017年5月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヒューブル・ヨヘン
(72)【発明者】
【氏名】クラリチェク・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】クーバッハ・ミヒャエル
【審査官】
鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−186544(JP,A)
【文献】
特開平01−231515(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0098591(US,A1)
【文献】
特表2016−514447(JP,A)
【文献】
特開2001−144696(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0294216(US,A1)
【文献】
特開2003−338722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッション防護装置(20a,20b)において、
少なくとも1つの導線(30)を通って負荷(22)へと転送される、前記負荷(22)を切換可能および/または通電可能である少なくとも1つの電気信号について、少なくとも1つの前記電気信号と比較して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生成するように設計された信号生起装置(20a)と、
少なくとも1つの前記電気的な出力信号によって電磁場を発するように送信構造(20b)を励起可能であるように前記信号生起装置(20a)と接続された前記送信構造(20b)とを有しており、
前記信号生起装置(20a)が少なくとも1つの導線(30)についてそれぞれ1つのハイサイドMOSFET(34)とそれぞれ1つのローサイドMOSFET(36)とを有し、これらがそれぞれ付属の前記導線(30)に接続されて、少なくとも1つの前記導線(30)を通って前記負荷(22)へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようになっており、
前記信号生起装置(20a)は、それぞれ1つの前記ローサイドMOSFET(36)のローサイド制御信号が、それぞれの前記電気信号に対して180°だけ自動的に位相ずれするように設計されている、
エミッション防護装置。
【請求項2】
前記負荷(22)の、および/または前記負荷(22)と接続された、もしくは前記負荷(22)に隣接するエレクトロニクスコンポーネント(26,28,30)の少なくとも1つの金属面から、少なくとも1つの前記電気信号による少なくとも1つの前記金属面の励起に基づいて発せられる電磁干渉場を、前記送信構造(20b)から発せられる電磁場によって少なくとも部分的に低減可能または消去可能である、請求項1に記載のエミッション防護装置(20a,20b)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエミッション防護装置(20a,20b)を有する、負荷(22)のためのブリッジドライバ(28)。
【請求項4】
請求項1または2に記載のエミッション防護装置(20a,20b)を有する、負荷(22)のための制御部(28)。
【請求項5】
請求項1または2に記載のエミッション防護装置(20a,20b)を有する負荷(22)。
【請求項6】
前記負荷(22)がモータ(22)、バルブ、発光装置、および/またはエレクトロニクス器具である、請求項5に記載の負荷(22)。
【請求項7】
前記負荷(22)が車両に搭載可能であり、または搭載されている、請求項5に記載の負荷(22)。
【請求項8】
前記負荷(22)が電気式のブレーキブースタモータ、ポンプモータ、またはブレーキシステムバルブである、請求項5に記載の負荷(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエミッション防護装置に関する。同様に本発明は、負荷のためのブリッジドライバ、負荷のための制御部、および負荷に関する。さらに本発明は、負荷を作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1aから1cは、従来式の負荷の模式図と、従来技術に基づいて負荷を作動させる標準的な方式を説明するための座標系とを示している。
【0003】
図1aに模式的に掲げる従来式の負荷10は、配線板12に配置された制御部14によって作動する。そのために負荷10は、3つの相線U,VおよびWを介して制御部14と接続されている。相線U,VおよびWを通って負荷10へと転送されて、負荷10が切り換えられる、および/または通電される電気信号S
U,S
VおよびS
Wが、
図1bの座標系に表されており、ここで横軸は時間軸tであり、縦軸は電圧U(単位ボルト)を表す(電気信号S
U,S
VおよびS
Wの信号振幅はたとえば12Vであり得る)。
【0004】
しかし、電気信号S
U,S
VおよびS
Wによる負荷10の制御、切換、および/または通電は、望ましくない電磁干渉場を生成する。たとえばコンポーネント10から14および/または相線U,VおよびWの少なくとも1つの金属面が励起されて、電磁干渉場を発することがある(こうした事実関係は、出願人には内部的な技術水準として知られている)。
図1aに模式的に示すように、望ましくない形の負荷10の作動によって誘発される電磁干渉場によって、受信アンテナ16が励起されることがある。
図1aでは、相線U,VおよびWと受信アンテナ16との間の「結合キャパシタンス」C
U,C
VおよびC
Wがその励起を表す。受信アンテナ16により受信される干渉信号S
mistakeが
図1cの座標系に描かれており、その横軸は時間軸tを表し、その縦軸は電圧U(単位ボルト)を表す。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、請求項1の構成要件を有するエミッション防護装置、請求項6の構成要件を有する負荷のためのブリッジドライバ、請求項7の構成要件を有する負荷のための制御部、請求項8の構成要件を有する負荷、および請求項12の構成要件を有する負荷を作動させる方法を提供する。
【0006】
本発明は、望ましくない形の負荷を作動する際に生成される電磁干渉場に対する逆電磁場として、電磁干渉場を少なくとも部分的に低減/消去することができる電磁場を生成するための手段を提供する。このことは、本発明に基づいて生じさせる逆電磁場としての電磁場による、望ましくない形で発せられる電磁干渉場の少なくとも部分的な補償と言い換えることもできる。このように本発明が適用されれば、負荷の作動によって生成される電磁干渉場の望ましくない帰結、たとえば受信アンテナによる干渉信号の受信などを甘受しなくてよくなる。このように本発明は、電磁干渉場に対する改善された防護/エミッション防護に寄与する。
【0007】
明文をもって指摘しておくと、本発明はその好ましい防護作用/エミッション防護作用を金属のシールド/防護シールドなしにもたらす。したがって本発明が適用されれば、金属のシールド/防護シールドを利用する従来の欠点が生じることがない。さらに本発明は、比較的大きい/広面積の金属面が、負荷の制御、切換、および/または通電のために利用される少なくとも1つの電気信号によって、電磁干渉場を発するように励起される場合であっても、好ましいエミッション防護を具体化することができる。したがって、少なくとも1つの干渉場を発する金属面を縮小する必要性がない。比較的多くの電気信号および/または少なくとも1つの電気信号が、比較的高い信号振幅で負荷の制御、切換、および/または通電のために利用される場合であっても、本発明はその利点を具体化することができるので、本発明の適用にあたってはモータ制御の縮小も必要ない。
【0008】
エミッション防護装置の好ましい実施形態では、負荷の、および/または負荷と接続された、もしくは負荷に隣接するエレクトロニクスコンポーネントの少なくとも1つの金属面から、少なくとも1つの電気信号による少なくとも1つの金属面の励起によって発せられる電磁干渉場を、送信構造から発せられる電磁場によって少なくとも部分的に低減可能または消去可能である。(逆電磁場としての)電磁場による、望ましくない形で発せられる電磁干渉場の少なくとも部分的な低減とは、電磁干渉場の少なくとも部分的な消去または電磁干渉場の少なくとも部分的な「負の干渉」として理解することもできる。このように、望ましくない形で発せられる電磁干渉場の帰結を甘受しなくてよく/ほとんど甘受しなくてよい。
【0009】
エミッション防護装置の別の好ましい実施形態では、信号生起装置は少なくとも1つの導線についてそれぞれ1つのハイサイドMOSFETとそれぞれ1つのローサイドMOSFETを有し、これらがそれぞれ付属の導線に接続されて、少なくとも1つの導線を通って負荷へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようになっている。このように受動的な信号生起も、少なくとも1つの出力信号を生じさせるために利用することができる。さらに受動的な信号生起をするために、比較的低コストなコンポーネントを使用することができる。信号生起装置の別の構成手段は、フリーホイーリングダイオードを有する、または有さない、かつ能動的もしくは受動的なフリーホイーリングを有する、1つのMOSFET(ハイサイドMOSFET/ローサイドMOSFET)だけを有する構成である。
【0010】
たとえば信号生起装置はB6ブリッジを有することもでき、これに3つの相線が少なくとも1つの導線としてそれぞれ接続されて、3つの相線を通って負荷へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようになっている。少なくとも1つの低コストなコンポーネントによる受動的な信号生起の利点に追加して、ここに説明しているエミッション防護装置の実施形態では、比較的少ない所要設計スペースを有するように信号生起装置を構成することもできる。
【0011】
別案として、信号生起装置は少なくとも1つの導線についてそれぞれ1つのハイサイドMOSFETとそれぞれ1つのダイオードとを有することができ、これらがそれぞれ付属の導線に接続されて、少なくとも1つの導線を通って負荷へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようになっている。エミッション防護装置のこの別案の実施形態も受動的な信号生起のために適しており、比較的低コストに構成することができる。
【0012】
上に説明した各利点は、このような種類のエミッション防護装置を有する負荷のためのブリッジドライバまたは負荷のための制御部でももたらされる。
【0013】
同様に、相応のエミッション防護装置を有する負荷も上に説明した利点を具体化する。負荷はたとえばモータ、バルブ、発光装置、および/またはエレクトロニクス器具であってよい。負荷が車両に搭載可能であるか、または搭載されていても好ましい。たとえば負荷は電気式のブレーキブースタモータ、ポンプモータ、またはブレーキシステムバルブであってよい。しかしながら断っておくと、ここに列挙した負荷の実施例は例示としてのみ解釈されるべきものである。
【0014】
さらに、負荷を作動させる対応する方法の実施も、すでに上に説明した利点をもたらす。明文をもって指摘しておくと、上に説明したエミッション防護装置、負荷のためのブリッジドライバ、負荷のための制御部、および/または負荷に基づいてこの方法を発展形にすることが可能である。
【0015】
次に、本発明のさらなる構成要件や利点について図面を参照しながら説明する。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】従来式の負荷の模式図と、従来技術に基づいて負荷を作動させる標準的な方式を説明するための座標系である。
【
図1b】従来式の負荷の模式図と、従来技術に基づいて負荷を作動させる標準的な方式を説明するための座標系である。
【
図1c】従来式の負荷の模式図と、従来技術に基づいて負荷を作動させる標準的な方式を説明するための座標系である。
【
図2】エミッション防護装置の第1の実施形態を示す模式図である。
【
図3】エミッション防護装置の第2の実施形態を示す模式的な部分図である。
【
図4a】エミッション防護装置の第3の実施形態を示す模式的な部分図である。
【
図4b】エミッション防護装置の第3の実施形態を示す模式的な部分図である。
【
図5】負荷を作動させる方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図2は、エミッション防護装置の第1の実施形態の模式図を示している。
【0018】
図2に模式的に掲げるエミッション防護装置20aおよび20bは、負荷22としてのモータ22と協同作用するために構成されている。一例として、モータ22はブラシレス直流モータ22(BLDC、Brushless Direct Current Motor)であり、特に、クロック方式でのモータ制御のために設計されたブラシレス三相モータ22である。しかしながら指摘しておくと、以下に説明するエミッション防護装置20aおよび20bの適用可能性は、モータ22としての負荷22の構成だけに限定されるものではない。たとえばエミッション防護装置20aおよび20bは、バルブ、発光装置(たとえば少なくとも1つの発光ダイオードを有する装置)、および/またはエレクトロニクス器具、特に家電器具、材料加工器具(たとえば電動のこぎり)、および/または高性能器具である負荷22のために利用することもできる。このように、エミッション防護装置20aおよび20bは多様に適用可能である。さらに指摘しておくと、ここに列挙した負荷22の構成に関する例は、例示としてのみ解釈されるべきものである。
【0019】
特に、車両/自動車に搭載される負荷22のためのエミッション防護装置20aおよび20bの利用が好ましい。他ならぬ車両/自動車の表面/内部で負荷22が使用される場合、電磁干渉場に対して敏感に反応する少なくとも1つの車両コンポーネント24を、たとえば
図2に示すような受信アンテナ24を、電磁干渉場を少なくとも部分的に消去するためのエミッション防護装置20aおよび20bの好ましい利用に基づき、負荷22の比較的近傍で不都合なく利用できると好ましいことが多い。したがって、負荷22がたとえば電気式のブレーキブースタモータ、ポンプモータ、またはブレーキシステムバルブであると好ましい。ただし指摘しておくと、エミッション防護装置20aおよび20bの適用可能性は、車両/自動車の内部/表面に搭載可能な/搭載された負荷22だけに限定されるものではない。
【0020】
図2の例では、負荷22は配線板26に配置された制御部28によって作動する。制御部28は、たとえばブリッジドライバ28であってよい。そのために負荷22は少なくとも1つの導線30を介して、たとえば少なくとも1つの金属導線30を介して、制御部28と接続される。あくまで一例として、
図2の負荷22は少なくとも1つの導線30としての3つの相線U,VおよびWを介して、制御部28と接続されている。少なくとも1つの導線30を通って、負荷22を切換可能である/切り換えられる、および/または通電可能である/通電される少なくとも1つの電気信号が、負荷22へと転送される。
【0021】
ただし、配線板26の使用は例示としてのみ解釈されるべきものである。配線板26の別案として、たとえば打抜き格子やこれに類似する構成部品を使用することもできる。同様に、そのような種類の構成部品における制御部28の配置を省略することもできる。
【0022】
エミッション防護装置20aおよび20bは信号生起装置20aを有しており、この信号生起装置は、負荷22が切り換えられる、および/または通電される、少なくとも1つの導線30を通って負荷22へと転送される少なくとも1つの電気信号について、この少なくとも1つの電気信号と比較して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生成するようにセットアップされる。少なくとも1つの出力信号は、少なくとも1つの導線30を通って負荷22へと転送される少なくとも1つの電気信号のための少なくとも1つの補償信号と言い換えることもできる。信号生起装置20aは、負荷22の制御、切換、および/または通電のために利用される少なくとも1つの電気信号と、(これに対して180°だけ位相ずれした)少なくとも1つの出力信号/補償信号との「合算」が、少なくとも1つの電気信号の少なくとも低減/部分抑圧をもたらすことになるように、少なくとも1つの出力信号/補償信号を生起するように設計される。少なくとも1つの出力信号/補償信号は、負荷22の制御、切換、および/または通電のために利用される少なくとも1つの電気信号と、(これに対して180°だけ位相ずれした)少なくとも1つの出力信号/補償信号との「合算」が(ほぼゼロの最大の信号振幅を有する)「ゼロ信号」をもたらすことになるように、信号生起装置20aによって生成可能であり/生起されるのが好ましい。このように少なくとも1つの出力信号/補償信号は、(180°だけ位相ずれした)少なくとも1つの対応する電気信号の信号振幅に等しい出力信号振幅を有することができる。負荷22の制御、切換、および/または通電のために利用される少なくとも1つの電気信号と、(これに対して180°だけ位相ずれした)少なくとも1つの出力信号/補償信号との「合算」は、このケースでは、少なくとも1つの電気信号の「消去」または「完全な補償」をもたらすことになる。
【0023】
さらにエミッション防護装置20aおよび20bは送信構造20bを有しており、この送信構造は、少なくとも1つの電気的な出力信号により電磁場を発するように送信構造20bを励起可能であるように、信号生起装置20aと接続されている。信号生起装置20aは、少なくとも1つの電気信号と比較して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を送信構造20bに提供可能/出力可能であるように、送信構造20bと接続されるのが好ましい。
【0024】
図2には、少なくとも1つの電気信号による少なくとも1つの面の励起に基づいて少なくとも1つの金属面から発せられる電磁干渉場も、「結合キャパシタンス」C
U,C
VおよびC
Wによって模式的に図示されている。電磁干渉場を発する少なくとも1つの金属面は、負荷22の、および/または負荷22と接続された、もしくは負荷22に隣接するエレクトロニクスコンポーネント26から30(たとえば配線板26、制御部28、および/または少なくとも1つの金属導線30)に位置することがあり得る。同様に、送信構造20bから発せられる電磁場も、「補償・結合キャパシタンス」C
compによって模式的に示されている。電磁干渉場は、送信構造20bから発せられる電磁場によって少なくとも部分的に低減可能である。このようにエミッション防護装置20aおよび20bによって、干渉エミッションを低コストな仕方で確実に低減することができる。送信構造20bから発せられる電磁場によって、電磁干渉場を(ほぼ)消去可能であるのが好ましい。送信構造20bから発せられる電磁場は、通常、電磁干渉場に対して180°だけ位相ずれしており、そのようにして電磁干渉場に対する逆電磁場として作用する。特に、送信構造20bから発せられる電磁場の補償強度は、電磁干渉場の強度に(ほぼ)等しくなっていてよい。このことは、電磁干渉場の従来の干渉効果の確実な防止をもたらす。
【0025】
図2の例では、信号生起装置20aは制御部28に統合されているのに対して、送信構造20bは例示的に配線板26に直接形成されており、信号生起装置20aは出力信号導線32を介して送信構造20bと接続されている。しかしながら、
図2に掲げる信号生起装置20aと送信構造20bとの別々の構成は、一例としてのみ解釈されるべきものである。
【0026】
少なくとも1つの出力信号/補償信号は、信号生起装置20aの少なくとも1つの受動的な構成部品によって、および/または信号生起装置20aの少なくとも1つの能動的な構成部品によって、少なくとも1つの電気信号との比較で180°だけ位相ずれして生成され得る。信号生起装置20aを構成するための好ましい選択肢については、あとでさらに詳しく述べる。
【0027】
送信構造20bとして、たとえば単純な金属面を利用することができる。少なくとも1つの導電性材料からなるこれ以外の構成の構造も、送信構造20bとして利用することができる。たとえば(既存の)冷却装置を送信構造20bとして利用することができる。このように送信アンテナとしての送信構造20bの構成が可能であるが、不可欠なわけではない。
【0028】
図3は、エミッション防護装置の第2の実施形態の模式的な部分図を示している。
【0029】
図3に部分的に模式的に示すエミッション防護装置20aおよび20bでは、信号生起装置20aは少なくとも1つの導線30について、それぞれ1つのハイサイドMOSFET34とそれぞれ1つのローサイドMOSFET36とを有している。信号生成装置20aのMOSFET34および36は、少なくとも1つの導線30を通って(図示しない)負荷22へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を(自動的に)(一緒に)生起するように、それぞれ付属の導線30に接続されている。導線38を介してハイサイド制御信号が、ハイサイドMOSFET34のゲートGに出力される。それに応じて導線40を介してローサイド制御信号が、ローサイドMOSFET36のゲートGに出力される。ハイサイドMOSFET34のドレインDと、これに隣接するローサイドMOSFET36のソースSとの間で、電気信号をピックアップすることができる。
【0030】
図3の信号生起装置20aは「受動的な信号生起」のために設計されている。そのために、それぞれのローサイドMOSFET36のローサイド制御信号が、それぞれの電気信号に対して180°だけ自動的に位相ずれすることが活用される。抵抗R1からR3と別の抵抗R4との間の結節点を介して、電気的な出力信号が全体・出力信号をなすように「合算」されて「スケーリング」されて、送信構造20へと転送される。
【0031】
ハイサイドMOSFET34とローサイドMOSFET36は、たとえばB6ブリッジとして構成されていてよい。このケースでは、B6ブリッジに(少なくとも1つの導線30としての)3つの相線U,VおよびWがそれぞれ接続されて、3つの相線U,VおよびWを通って負荷22へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようにされる。
【0032】
図4aおよび4bは、エミッション防護装置の第3の実施形態の模式的な部分図を示している。
【0033】
図4aに示す信号生起装置20aは、ブリッジドライバ28として構成された制御部28に統合されたエレクトロニクスユニット42を(図示しないハイサイドドライバおよび図示しないローサイドドライバに追加して)有している。
図4bに示すブロック図は、集積されたエレクトロニクスユニット42を示している。ローサイドU相、ローサイドV相、およびローサイドW相のロジック信号が、ディレイ調整のためのコンポーネント44、ライズ・フォールタイム調整のためのコンポーネント46、加算器48、および増幅/減衰のための信号強度変換器50に(たとえば12V、24V、または48Vの供給電圧で)提供され、それによって全体・出力信号が得られる。B6ブリッジまたは集積されているエレクトロニクスユニット42のパラメータは、それが現在の適用ケースに合わせて適合化されるとともに、電磁干渉場の少なくとも部分的な低減(場合により電磁干渉場の完全な消滅/解消)が引き起こされるように、通信バスを介して調整され得る。
【0034】
エミッション防護装置20aおよび20bの別案の実施形態では、信号生起装置20aは少なくとも1つの導線30について、それぞれ1つのハイサイドMOSFET34とそれぞれ1つのダイオードとを有しており、これらがそれぞれ付属の導線30に接続されて、少なくとも1つの導線30を通って負荷22へと転送される少なくとも1つの電気信号が、これに対して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号を生起するようになっている。このように、少なくとも1つのローサイドMOSFET36に代えて、少なくとも1つのダイオードを利用することもできる。信号生起装置のさらに別の構成手段は、フリーホイーリングダイオードを有し、または有さず、かつ能動的もしくは受動的なフリーホイーリングを有する、ただ1つのMOSFET(ハイサイドMOSFET/ローサイドMOSFET)を有する構成である。
【0035】
上に説明したエミッション防護装置20aおよび20bは、それぞれエミッション低減装置として理解することもできる。上に説明したエミッション防護装置20aおよび20bの利点は、これを有するように構成された制御部28(たとえばブリッジドライバ28)においても、および、これを装備する負荷22においても保証される。負荷22の好ましい例はすでに上に列挙している。
【0036】
図5は、負荷を作動させる方法の実施形態を説明するためのフローチャートを示している。
【0037】
方法ステップS1で、少なくとも1つの導線を通って負荷へと転送される少なくとも1つの電気信号によって負荷が切り換えられ、および/または通電される。方法ステップS1は、負荷の作動中に任意の頻度で反復され得る。
【0038】
方法ステップS1とともに、方法ステップS2およびS3も常に実行される。方法ステップS2で、少なくとも1つの電気信号と比較して180°だけ位相ずれした少なくとも1つの電気的な出力信号が生成される。少なくとも1つの電気的な出力信号は、少なくとも1つの対応する電気信号の信号振幅に等しい出力信号振幅で(および相応の「スケーリング」で)生成されるのが好ましい。
【0039】
方法ステップS3で、少なくとも1つの電気的な出力信号によって、電磁場を発するように送信構造が励起される。方法ステップS1でモータ位相が少なくとも1つの電気信号によって転送される場合、送信構造はモータ位相に対して反転して励起/制御される。
【0040】
方法ステップS2およびS3が実行されることで、方法ステップS1の実行によって負荷の、および/または負荷と接続された、もしくは負荷に隣接するエレクトロニクスコンポーネントの少なくとも1つの金属面から(少なくとも1つの電気信号による少なくとも1つの金属面の励起に基づいて)通常は電磁干渉場が発せられることが考慮される。しかし方法ステップS2およびS3が実行されることで、送信構造から発せられる電磁場によって電磁干渉場が少なくとも部分的に低減または消去される。
【0041】
以上に説明した方法は、(特に低い周波数領域での)エミッション問題を解消するために良好に適用することができる。本方法を実施するのに適した負荷の好ましい例は、すでに上に列挙したとおりである。
【0042】
方法ステップS3で、電磁干渉場の強度に等しい補償強度を有する電磁場を発するように送信構造が励起されるのが好ましい。このことは電磁干渉場の完全な消去をもたらす。
【符号の説明】
【0043】
20a エミッション防護装置、信号生起装置
20b エミッション防護装置、送信構造
22 負荷、モータ
26 エレクトロニクスコンポーネント、配線板
28 エレクトロニクスコンポーネント、ブリッジドライバ、制御部
30 エレクトロニクスコンポーネント、導線
34 ハイサイドMOSFET
36 ローサイドMOSFET