(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(前記衛生紙ロール1列のコアを含む合計質量)/(前記フィルムの厚さ)で表される比が5.0〜18.0((g)/(μm))である請求項1又は2記載の衛生紙ロールパッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい実施形態につき説明するが、これらは例示の目的で掲げたものでこれらにより本発明を限定するものではない。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る衛生紙ロールパッケージ10は、2個の衛生紙ロール2をフィルム4でキャラメル包装してなり、衛生紙ロール2が横2列でかつ両端面が揃うように並び、その両端面側でフィルム4がフラップ4a、4bで折り畳まれて封止されている。
ここで、衛生紙ロール2が横2列で並ぶとは、各衛生紙ロール2が軸Lを平行にしつつ外面が互いに隣接し、かつ両端面(上面及び下面)が同一平面上にほぼ揃う配置をいう。
【0011】
<衛生紙ロール>
衛生紙ロール2としては、キッチンタオルが例示されるが特に限定されない。
衛生紙ロール2の巻長が15〜60m、ロール密度が0.10〜0.21g/cm
3である。これにより、衛生紙ロール2の交換頻度を低減し、保管時の省スペースを図ると共に、フィルムに裂け目が生じることを抑制する。
【0012】
衛生紙ロール2の巻長が15m未満であると、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなったり、保管時の省スペースが図れない。ロールの巻長が60mを超えるものは、ロールの質量が大きくなるため、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じる。又、巻直径DRが155mmを超えてしまい、ロールホルダー等に収まり難くなる。
巻長は、好ましくは20〜50m、より好ましくは30〜40mである。
【0013】
衛生紙ロール2のロール密度が0.10g/cm
3未満であるものは、巻長当たりの巻直径が過大となり、保管時の省スペースが図れない。ロール密度が0.21g/cm
3を超えるものはロールの巻きが固くなり過ぎ、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際にロールが変形し難く、指圧がフィルムの一点に集中するため、フィルムに裂け目が生じる。
ロール密度が、好ましくは0.12〜0.18g/cm
3、より好ましくは0.14〜0.16g/cm
3である。
なお、ロール密度は、
図2に示すように、コアCを除く1個の衛生紙ロール2の底面積Sにロール幅(高さ)Wを乗じた値(つまり、コアCを除く1個の衛生紙ロール2の体積)を求め、コアCを除く1個の衛生紙ロール2の質量をこの体積で除して求める。
例えば、コアCを除くロール質量が293g、巻直径118mm、コアの直径が39mm、ロール幅(高さ)が207mmの場合、ロール密度=293g÷[{3.14×(118mm÷2÷10)
2−3.14×(39mm÷2÷10)
2}×(207mm÷10)]=0.15g/cm
3となる。なお、コア(紙管)直径は、ロール中心孔の直径であり、コアがある場合はコアの外径とし、コアが無い場合はロール2の中心孔の直径とする。コアがある方が、ロール使用時にロールの形状が安定するため好ましい。
【0014】
衛生紙ロール2は、ロール巻取り加工機を用いて製造される。ロール巻取り加工機は、大別するとサーフェイス方式とセンター方式の2種類がある。サーフェイス方式は巻取る衛生紙ロール2を外側から別の複数の駆動ロールで支持しながら巻取る方法であり、巻取られた衛生紙ロール2は、巻き径のコントロールがし易く、生産速度がより高速となる。センター方式は巻取りロールの中心に通したシャフトの駆動により巻取る方法で、巻取られた衛生紙ロール2は、比較的柔らかな製品となり、デリケートなエンボスを施した製品に適している。なお、エンボスを施す際は、吸水性を向上させやすいダブルエンボスが好ましい。また、ダブルエンボスにおいて、ネステッドエンボスが好ましい。
本発明においては、いずれの方法でも巻取ることができるが、サーフェイス方式であることが好ましい。サーフェイス方式によれば、衛生紙ロール2を巻く強さにより、衛生紙ロール2の巻直径及びロール密度を比較的容易に調整することができる。この際、衛生紙ロール2を外周側から押圧してシートを順次巻くためのライダーロールの押圧力を、所定範囲に設定することで調整できる。
【0015】
<フィルム>
フィルム4の厚さが18〜45μmである。
フィルムの厚さが18μm未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じる。フィルム4の厚さが45μmを超えるとコストアップに繋がる。
フィルム4の厚さが好ましくは22〜40μm、より好ましくは25〜33μmである。
フィルム4としては、例えば各種のプラスチックフィルムを用いることができ、特にポリエチレンが好ましい。ポリエチレンは、ポリプロピレン等に比べて柔らかいため、フィルムが裂けにくい傾向がある。ポリエチレンの中では、低密度ポリエチレンが好ましい。
【0016】
フィルム4の坪量が好ましくは16〜41g/m
2、より好ましくは19〜35g/m
2、さらに好ましくは23〜29g/m
2である。
フィルム4の坪量が16g/m
2未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じることがある。
フィルム4の坪量が41g/m
2を超えるとコストアップに繋がることがある。
【0017】
フィルム4の密度が好ましくは0.5〜1.3g/cm
3、より好ましくは0.6〜1.2g/cm
3、さらに好ましくは0.7〜1.1g/cm
3である。
フィルム4の密度が0.5g/cm
3未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じることがある。
フィルム4の密度が1.3g/cm
3を超えるとコストアップに繋がることがある。
【0018】
フィルム4の周長方向の引張強度が好ましくは5.0〜14.0N/10mm、より好ましくは6.5〜12.0N/10mm、さらに好ましくは7.5〜10.5N/10mmである。
ここで、フィルム4の周長方向の引張強度とは、衛生紙ロールパッケージ10における衛生紙ロール2の周方向に沿ったフィルム4の引張強度であり、JIS Z 1702に準拠して測定する。
具体的には、衛生紙ロールパッケージ10から衛生紙ロール2を取り去ってフィルム4を切り取り、
図1に示すように軸方向Lに垂直な方向(周長方向)Pに沿った引張強度を測定する。周長方向としたのは、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、
図6に示したようにフィルムが方向Pに広がりつつ裂けるので、周長方向の引張強度を高めることでフィルムが裂けるのを抑制できるためである。また、一般にフィルム4のMD方向を軸方向Lにする場合が多く、この場合はフィルムの周長方向の強度は、縦方向(軸方向L)の強度より弱いので、周長方向の引張強度を確保する必要がある。
【0019】
フィルム4の周長方向の引張強度が5.0N/10mm未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じることがある。
フィルム4の周長方向の引張強度が14.0N/10mmを超えるとコストアップに繋がることがある。
【0020】
また、周長方向の引張強度測定時において、破断までの伸びが500〜1300%、好ましくは600〜1200%、より好ましくは700〜1100%である。破断までの伸びが500%未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じることがある。破断までの伸びが1200%を超えるとコストアップに繋がることがある。
【0021】
フィルム4の軸方向Lの引裂強度が好ましくは0.06〜0.30N、より好ましくは0.10〜0.26N、さらに好ましくは0.14〜0.22Nである。
引裂強度が0.06N未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかって裂け目が生じることがある。引裂強度が0.30Nを超えるとコストアップに繋がることがある。
なお、上述のように、フィルム4のMD方向を軸方向Lにする場合が多く、この場合はフィルム4の軸方向Lの引裂強度が周長方向Pの引裂強度の約1/10〜1/60程度に小さくなる。そこで、軸方向Lの引裂強度を規定した。つまり、周長方向の引裂強度は、軸方向Lの引裂強度より10倍程度以上は高いので、特に問題とならない。
引裂強度は、JIS K 7128−2に準拠して測定する。
【0022】
<衛生紙ロールパッケージ>
図1に示すように、衛生紙ロールパッケージ10は、横2列で並んだ2個の衛生紙ロール2をフィルム4でキャラメル包装してなる。
キャラメル包装は公知であり、被包装体の一方向に沿って延びるフィルムを、この方向と交差する方向に被包装体を巻き込み、又は予め筒状に形成されたフィルムの軸方向の一端から被包装体を入れる。そして、被包装体の両端側からはみ出たフィルムのうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を熱融着等で封止する。
そして、本発明の衛生紙ロールパッケージ10においては、横2列で並んだ2個の衛生紙ロール2の水平方向(軸方向Lに交差する方向)の間を跨いで包装されたフィルム4に、若干の弛み部4sが生じている。
【0023】
<フィルムの弛みの程度>
上述のように、衛生紙ロールの巻長が長くなりロールの質量も大きくなると、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際、フィルムに指圧がかかり、裂け目が生じる。一方、フィルムを緩く包装し過ぎるとパッケージが弛んでしまい、パッケージの美粧性が劣る。
そこで、フィルム4の弛みの程度を規定することで、フィルムの裂けを抑制しつつ美粧性を確保する。
【0024】
フィルム4の弛みの程度は、
図3、
図4に示すようにして測定する。
まず、衛生紙ロールパッケージ10を衛生紙ロール2の軸方向Lが水平となるように載置し、横方向(つまり、軸方向Lに垂直)に隣接する2列(
図1、
図3では2個)の衛生紙ロール2を跨いで、質量64g、厚み1.0mm、幅25mm、目盛長さ300mmのステンレス製の第1定規Sを渡し、その板面がフィルム4に接するように置き、第1定規Sのフィルム4と接する面(線)を基準線SLとする。
次に、横方向に隣接する2列(
図1、
図3では2個)の衛生紙ロール2を跨いで包装されたフィルム4の弛み部4sのうち、各列の衛生紙ロール2間のほぼ中央の上に、質量10g、厚み0.5mm、幅15mm、目盛長さ150mmのステンレス製の第2定規Rを、第2定規Rの幅方向Rwが衛生紙ロール2の端面に平行(つまり、軸方向Lに垂直)になるように載せたとき、基準線SLから第2定規Rの先端までの距離(沈み込み量)Dを測定する。
【0025】
距離Dを、衛生紙ロールパッケージ10の高さhの両端からそれぞれhに対して25%の位置、及び中央の3カ所(
図1の3つの測定点m)を測定する。また、1つのパッケージについて、表裏で測定を行う。これを5個の衛生紙ロールパッケージ10について行い、合計30カ所の距離Dの値を平均し、フィルムの最大凹み量として採用する。
第1定規S及び第2定規Rとしては、例えばシンワ測定株式会社の「直尺シルバー」を用いることができる。
【0026】
このようにして測定したフィルムの最大凹み量が3〜25mmである。
フィルムの最大凹み量が3mm未満であると、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4の一点に指圧が集中し易く、裂け目が生じる。フィルムの最大凹み量が25mm未満を超えると、指圧が逃げて裂け目の発生を防止できるが、パッケージが弛んでしまい、パッケージの美粧性が劣る。
フィルムの最大凹み量が好ましくは4〜20mm、より好ましくは6〜15mmである。
なお、第2定規Rの厚み及び幅は、親指の爪の厚みと幅を再現し、少し爪を立ててパッケージ10を摘まんだ過酷な状況をシミュレートしている。
【0027】
<衛生紙ロールのその他の特性>
(衛生紙ロール1列(
図1では1個)のコアCを含む合計質量(g))/(フィルム4の厚さ(μm))で表される比が5.0〜18.0((g)/(μm))であることが好ましい。
上記比が5.0((g)/(μm))未満であると、ロール質量に対するフィルム4の厚さが過大となり、衛生紙ロールパッケージ10のコストアップに繋がる。一方、上記比が18.0((g)/(μm))を超えると、ロール質量に対するフィルム4の厚さが薄くなり過ぎ、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかり、裂け目が生じることがある。
上記比が、好ましくは6.5〜15.5((g)/(μm))、より好ましくは9.0〜11.5((g)/(μm))である。
なお、
図5に示すように、ロールが4個の場合は、衛生紙ロール1列のコアCを含む合計質量は、2個の衛生紙ロール2の合計質量であることはいうまでもない。
【0028】
衛生紙ロール2の巻直径DRが好ましくは83〜155mmで、より好ましくは90〜145mmで、さらに好ましくは111〜130mmである。
巻直径DRが83〜155mmであると、巻長を15m以上に長くしつつロールホルダー等に収まり易くなるので好ましい。巻直径DRが83mm未満であると1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなったり、保管時の省スペースが図れない場合がある。巻直径DRが155mmを超えるものは、ロールホルダー等に収まり難くなる場合がある。
【0029】
衛生紙ロール2のロール幅(高さ)Wが好ましくは180〜250mmで、より好ましくは190〜240mmで、さらに好ましくは200〜230mmである。
ロール幅(高さ)Wが180mm未満であると、シートが小さくて使用時に使いにくい場合がある。ロール幅(高さ)Wが250mmを超えるものはシートが必要以上に大きくて、無駄になってしまう場合がある。
【0030】
コアCを除く1個の衛生紙ロール2の質量が好ましくは110〜550gで、より好ましくは150〜470gで、さらに好ましくは220〜370gである。
上記質量が110g未満であると、ロール質量に対するフィルム4の厚さが過大となり、衛生紙ロールパッケージ10のコストアップに繋がる場合がある。又、1ロール当りの巻長が短くなり、ロールの交換頻度が多くなることがある。
上記質量が550gを超えるものは、ロール質量に対するフィルム4の厚さが薄くなり過ぎ、衛生紙ロールパッケージ10を片手で両側から摘まんだ際、フィルム4に指圧がかかり、裂け目が生じることがある。又、ロールが大きくなり過ぎ、ロールホルダー等に収まり難くなる場合がある。
【0031】
衛生紙ロール2を構成するシートの製品プライ数当たりの坪量が好ましくは26〜58g/m
3で、より好ましくは32〜52g/m
3で、さらに好ましくは38〜46g/m
3である。
上記坪量が26g/m
3未満であるとシートが破れ易くなったり、吸水性が劣る場合がある。上記坪量が58g/m
3を超えるものは強度が必要以上に高くなりすぎたり、バルク(嵩高さ)が高くなり過ぎて巻直径DRが155mmを超え、ロールホルダー等に収まり難くなることがある。
【0032】
衛生紙ロール2を構成するシートの比容積が好ましくは5〜15cm
3/gで、より好ましくは6〜12cm
3/gで、さらに好ましくは7〜9cm
3/gである。
比容積が5cm
3/g未満であると、吸水性が劣ることがある。一方、比容積が15cm
3/gを超えると、バルク(嵩高さ)が高くなり過ぎて巻直径DRが155mmを超え、ロールホルダー等に収まり難くなることがある。
なお、比容積は、後述するようにそれぞれ測定される紙厚を坪量で割り、単位gあたりの容積cm3で表したものである。
【0033】
衛生紙ロール2を構成するシートの紙厚が好ましくは1.0〜3.2mm/10枚で、より好ましくは1.2〜2.5mm/10枚で、さらに好ましくは1.4〜2.0mm/10枚である。
シートの紙厚が1.0mm/10未満であると、吸水性が劣ることがある。一方、紙厚が3.2mm/10枚を超えると、バルク(嵩高さ)が高くなり過ぎて巻直径DRが155mmを超え、ロールホルダー等に収まり難くなることがある。
【0034】
JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さをDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)、乾燥時の横方向の引張強さをDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)としたとき、シートのDMDTは好ましくは11.0〜27.0N/25mmである。また、シートのDCDTは好ましくは3.0〜11.0N/25mmである。なお、DMDT、DCDTは、製品プライ数のままのシートについて測定する。
又、DMDTがより好ましくは13.0〜25.0N/25mm、さらに好ましくは15.0〜23.0N/25mmである。DCDTがより好ましくは4.0〜10.0N/25mm、さらに好ましくは5.0〜9.0N/25mmである。
DMDT及びDCDTが上記値未満であると、吸水性が低下すると共にやぶれ易くなることがある。DMDT及びDCDTが上記値より高いとコストアップになったり、風合いが硬くなることがある。
なお、衛生紙(シート)の抄紙の流れ方向を「縦方向」とし、流れ方向に直角な方向を「横方向」とする。
【0035】
シートの吸水度は、旧JIS−S3104法の吸水度に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で、製品プライ数のシートに0.1mlの水を滴下し、水滴がシートに吸収される時間(秒)を測定する。吸水度は、好ましくは1.0〜5.0秒である。なお、吸水度が1.0秒未満の場合であっても、1.0秒とみなす。吸水度が5.0秒を超えると、吸水性が劣る場合がある。吸水度が1.0秒未満の場合であっても特に問題はない。吸水度は、より好ましくは1.0〜4.0秒、さらに好ましくは1.0〜3.0秒である。
製品プライ数のシートの面積当たりの吸水量が105〜250Water−g/m
2であることが好ましい。吸水量が105Water−g/m
2未満であると吸水性が低下し、250Water−g/m
2を超えるとコストアップになったり、風合いが硬くなることがある。
吸水量が130〜220Water−g/m
2であることがより好ましく、150〜190Water−g/m
2であることがさらに好ましい。
【0036】
製品プライ数のシートの質量当たりの吸水量が2.7〜5.4Water−g/gであることが好ましい。吸水量が2.7Water−g/g未満であると吸水性が低下し、5.4Water−g/gを超えると坪量や紙厚が高くなって巻直径DRも大きくなり、ロールホルダー等に収まり難くなることがある。
吸水量が3.2〜4.9Water−g/gであることがより好ましく、3.7〜4.5Water−g/gであることがさらに好ましい。
【0037】
なお、上述のように吸水量の単位として、Water−g/m
2は、シートの面積当たりの吸水量であり、坪量を高くすればWater−g/m
2は向上するが、その分コストアップになる。一方、Water−g/gは、シートの質量当たりの吸水量であり、坪量を高くしてもWater−g/gは単純に向上せず、シートの紙厚(比容積)を高くすることで、Water−g/gも高くなる。
つまり、吸水量の単位として、Water−g/m
2とWater−g/gの両方の好適な範囲を規定することで、コスト及び紙厚(嵩高さ)を両立しつつ吸水性を確保できる。
【0038】
各吸水量は、
図7に示すようにして測定する。まず、製品プライ数に重ねられたシートを採取し、一片が7.62cm(3インチ)の正方形の型版を用いてカットし、一辺7.62cmの矩形の試験片を作成する。吸水前の試験片の質量を電子天秤で測定しておく。試験片をホルダー(試験片の3点を固定するジグで、ジグは水分を吸収しない金属からなる)にセットする。
次に、市販のバットに、蒸留水を深さ1cm入れ、ホルダーにセットした試験片を蒸留水中に2分間浸漬する。2分浸漬後に試験片をホルダーと共に蒸留水から取り出し、
図7に示すように、試験片200の1つの隅部200dに帯210を貼り付ける。帯210は、1plyの一般的なキッチンタオル紙製品を幅2mm×長さ15mmの大きさに切り、試験片の隅部200dから中心に向かって6mmの部分に貼り付ける。
【0039】
次に、ホルダーと試験片200を、隅部200dに対向する隅部200aが上になるようにして空の水槽内に設置した棒にぶら下げ、水槽の蓋を閉めて30分間、放置する。その後、ホルダー220と試験片200を水槽から取り出し、帯210とホルダー220を外し、電子天秤で試験片200の質量を測定する。蒸留水に浸す前後での試験片200の質量変化から、試験片1m2当たりの蒸留水の吸水量(Water−g/m
2)を計算する。
さらに、吸水量(Water−g/m
2)を試験片の製品プライ数の坪量で割ることにより、吸水量(Water−g/m
2)/製品プライ数の坪量(g/m
2)=吸水量(Water−g/g)を算出する。測定は各サンプル5回ずつ行い、平均値を採用した。
なお、本測定は、JIS−P8111法に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で行う。また、蒸留水は23±1℃に保持する。
【0040】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
図5に示すように、衛生紙ロールパッケージに包装される衛生紙ロール2は、軸方向Lに垂直な方向に2列並ぶ形態であれば、2個以外の偶数個(
図5では4個)であってもよい。この場合、各列に軸方向Lに沿って並ぶ衛生紙ロール2の個数は同一である。また、高さhは、各列の軸方向Lに沿って並ぶ衛生紙ロール2の上から下までの長さである。
【実施例1】
【0041】
パルプ組成(質量%)がNBKP50%、LBKP50%のシートを2プライに重ねて、公知のサーフェイス式ロール巻取り加工機で巻き取ったキッチンタオルからなる衛生紙ロール2を製造し、2個の衛生紙ロール2をポリエチレンフィルム4で
図1に示すようにキャラメル包装して衛生紙ロールパッケージ10を得た。
【0042】
以下の評価を行った。
坪量:フィルム4及び衛生紙ロール2を構成するシートについて、JIS P8124に基づいて測定した。
紙厚:衛生紙ロール2を構成するシートについて、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、シートを10枚(2プライを5組)重ねて測定を行った。又、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
乾燥時の縦方向引張り強さDMDTと乾燥時の横方向引張り強さDCDT:JIS P8113に基づいて、製品プライ数のシートにつき、破断までの最大荷重をN/25mmの単位で測定した。引張速度は300mm/minとした。
【0043】
フィルムの厚さ:JIS Z 1702に準拠して測定した。
比容積及び密度:シートの1プライあたりの厚さを1プライあたりの坪量で割り、単位gあたりの容積cm
3で比容積を表した。又、フィルムの坪量を厚さで割り、単位容積cm
3あたりのgで密度を表した。
ロール質量:ロール質量は、電子天秤を用いて測定した。まず、コアを含むロール質量を測定し、その後、コアの質量を測定した。コアを含むロール質量から、コアの質量を差し引き、コアを含まないロール質量とした。ロール質量は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
【0044】
巻長:まず、ロールのミシン目とミシン目の間のシートについて、10シート分の長さを実測し、その平均値を1シートの長さとした。その後、1個のロールのミシン目とミシン目の間の全シート数を実測し、巻長は1シートの平均長さにシート数を乗じて求めた。例えば、10シート分の長さが1.135m、シート数が300シートの場合、1.135m×(300/10)=34mとなる。なお、ミシン目がない場合は、1個のロールの長さを実測することにより巻長を求めた。
フィルムの周長方向の引張強度:上述の方法で測定した。なお、引張試験の条件はJIS Z 1702に準拠した。試験片はダンベル形とし、引張速度は500mm/minで、値はN/10mmで示した。
【0045】
ロールの巻直径DRおよびコアの直径(外径):ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
ロール密度、及びフィルムの最大凹み量は上述の方法で測定した。
【0046】
官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。
なお、坪量、引張強さ、厚さ、比容積、ロール質量、コアの質量、巻長、巻直径、コアの直径(外径)、ロール密度、フィルムの坪量、フィルムの厚さ、フィルムの周長方向の引張強度、フィルムの最大凹み量の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
【0047】
得られた結果を表1〜表3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
表1〜表3から明らかなように、衛生紙ロールの巻長、ロール密度、フィルムの厚さ、フィルムの最大凹み量を所定範囲に規定した各実施例の場合、キャラメル包装したフィルムが裂けることを抑制すると共に、美粧性に優れ、低コストの衛生紙ロールパッケージを得ることができた。
【0052】
一方、フィルムの厚さを18μm未満とした比較例1の場合、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際、フィルムが裂けた。
フィルムの厚さが45μmを超えた比較例2の場合、衛生紙ロールパッケージのコストが高くなった。
巻長を15m未満とした比較例3の場合、ロールの交換頻度が多くなった。
巻長が60mを超えた比較例4の場合、ロールの質量が大きくなり、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際、フィルムが裂けた。又、巻直径DRが155mmを超えてしまい、ロールホルダー等に収まり難くなった。
【0053】
ロール密度が0.21g/cm
3を超えた比較例5の場合、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際、フィルムが裂けた。これはロールの巻きが固くなり過ぎ、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際にロールが変形し難く、指圧が一点に集中して裂け目の発生を促進したためと考えられる。
ロール密度が0.10g/cm
3未満である比較例6の場合、巻長当たりの巻直径が過大となり、保管時の省スペースが図れなかった。
【0054】
フィルムの最大凹み量が4mm未満である比較例7の場合、衛生紙ロールパッケージを片手で両側から摘まんだ際、フィルムの一点に指圧が集中してフィルムが裂けた。
フィルムの最大凹み量が25mmを超えた比較例8の場合、パッケージが弛んでしまい、パッケージの美粧性が劣った。
【0055】
なお、市販品1について同様に評価したところ、ロール密度が0.10g/cm
3未満であり、保管時の省スペースが図れなかった。