特許第6974034号(P6974034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974034
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】無機繊維質成形体
(51)【国際特許分類】
   D21H 13/40 20060101AFI20211118BHJP
   C04B 35/80 20060101ALI20211118BHJP
   D21H 13/36 20060101ALI20211118BHJP
   D21H 17/68 20060101ALI20211118BHJP
   D21J 1/16 20060101ALI20211118BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20211118BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   D21H13/40
   C04B35/80 300
   D21H13/36 Z
   D21H17/68
   D21J1/16
   F16L59/02
   F27D1/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-105361(P2017-105361)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-199879(P2018-199879A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126609
【氏名又は名称】株式会社エーアンドエーマテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】柏木 俊之
(72)【発明者】
【氏名】岩永 朋来
(72)【発明者】
【氏名】倉成 利幸
【審査官】 川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−071848(JP,A)
【文献】 特開2013−170338(JP,A)
【文献】 特開2013−056825(JP,A)
【文献】 三菱ケミカルホールディングスグループHP、「結晶質アルミナ繊維 MAFTEC(R)」MAFTEC Blanketの代表物性の表、,2020年09月18日,インターネット<https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/maf-metal/product/1200576_7334.html>
【文献】 大霜紀之,生体溶解性繊維の特性とその応用,繊維学会誌,Vol.64、No.10,2008年,P.328-P.332
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 13/40
C04B 35/80
D21H 13/36
D21H 17/68
D21J 1/16
F16L 59/02
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリアースシリケート繊維40〜60質量%及びアルミナ繊維40〜60質量%よりなる無機繊維100質量%に対し、無機充填材として二次カオリンまたはワラストナイトまたはそれら両者を外割で9.1〜60質量%、ただし、二次カオリンを0〜33.3質量%、ワラストナイトを0〜33.3質量%含有してなる無機繊維質成形体であって、無機繊維質成形体の組成がAl35〜65質量%、CaO5〜25質量%、SiO25〜45質量%、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上のその他の成分0〜5質量%の範囲内にあることを特徴とする無機繊維質成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種炉の炉壁材などに使用される断熱性能を有する無機繊維質成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種炉の炉壁は、炉内側の面が耐火煉瓦等から構成されており、この耐火煉瓦等の外側には、断熱性能を有する無機繊維質成形体が設置されている。この無機繊維質成形体として、リフラクトリーセラミックファイバー(Al含量40〜60質量%、SiO含量40〜60質量%の非晶質ファイバー)や生体溶解性繊維より構成される成形体が使用されている。例えば、特許文献1には、セラミック繊維と無機バインダーとからなる耐火断熱材であって、セラミック繊維の平均繊維径が1.5〜5μmであり、セラミック繊維に含まれる非繊維状粒子の合計量が該繊維全体の20重量%以下であり、600℃における熱伝導率が0.060〜0.090W/(m・K)、乾燥後のかさ密度が250〜400kg/m、600℃における曲げ強さが0.6MPa以上であることを特徴とする耐火断熱材(請求項1);セラミック繊維と無機バインダーと有機高分子凝集剤とからなる耐火断熱材であって、セラミック繊維の平均繊維径が1.5〜5μmであり、セラミック繊維に含まれる非繊維状粒子の合計量が該繊維全体の20重量%以下であり、600℃における熱伝導率が0.060〜0.090W/(m・K)、乾燥後のかさ密度が150〜300kg/m、乾燥後の曲げ強度が0.8MPa以上であることを特徴とする耐火断熱材(請求項3);前記セラミック繊維が、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維若しくは生体溶解性繊維である前記耐火断熱材(請求項5)が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、無機繊維、無機粒子、粘土鉱物、カチオン性凝集剤及びアニオン性凝集剤を含むことを特徴とする断熱材(請求項1);前記無機繊維は、生体溶解性ファイバ、ロックウール、アルミナファイバ、シリカ−アルミナファイバ又はシリカアルミナジルコニアファイバである前記断熱材(請求項3);前記生体溶解性ファイバは、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を含む前記断熱材(請求項4);前記粘土鉱物は、カオリン、雲母、スメクタイト、ベントナイトからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記断熱材(請求項5);前記無機粒子は、酸化チタン粉末、シリカ粉末、アルミナ粉末及びムライト粉末からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記断熱材(請求項7)が開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、平均繊維径が1.5〜5.0μmの無機繊維と、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナと、無機粉末粒子とからなる断熱材であって、無機繊維を25〜40重量%、微粒子シリカ及び/又は微粒子アルミナを5〜40重量%、無機粉末粒子を20〜70重量%含有し、かさ密度が300〜600kg/m3、3点曲げ強度が0.3MPa以上、600℃における熱伝導率が0.060〜0.090W/(m・K)であることを特徴とする断熱材(請求項1);前記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカアルミナジルコニア繊維又は生体溶解性繊維である前記断熱材(請求項3);前記無機粉末粒子が、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、ケイ酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種である前記断熱材(請求項4)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−196878号公報
【特許文献2】特開2013−79665号公報
【特許文献3】特開2015−36587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリカアルミナ繊維のようなリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)は、耐熱性に優れ、また、コストパフォーマンスにも優れるため、従来よりRCFを含有してなる断熱材が、多用されている。しかし、RCFは健康への影響懸念から近年規制対象となっており、他の無機繊維への代替が検討されている。例えば、アルカリアースシリケート(AES)繊維のような生体分解性繊維やアルミナ繊維への代替が行われている。
しかしながら、AES繊維のような生体溶解性繊維は、RCFより耐熱性に劣り、AES繊維の連続使用温度は、1150℃程度であり、また、最高使用温度は、せいぜい1300℃程度の使用環境までしか対応することができなかった。また、アルミナ繊維は、良好な耐熱性を有するため、アルミナ繊維を用いた断熱材は良好な耐熱性を有するものであるが、アルミナ繊維は非常に高価であるため、アルミナ繊維のみから構成される無機繊維質成形体からなる断熱材は、コスト的に非常に不利なものであった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、1400℃で良好な耐熱性を示し、コストパフォーマンスに優れたRCFフリーの無機繊維質成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、AES繊維とアルミナ繊維を併用した無機繊維質成形体の耐熱性について鋭意検討を重ねた結果、AES繊維とアルミナ繊維の混合比を特定の割合とし、かつ得られる無機繊維質成形体のAl、CaOおよびSiOの三成分の組成比が特定の範囲にあるときに優れた耐熱性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の無機繊維質成形体は、アルカリアースシリケート繊維40〜60質量%及びアルミナ繊維40〜60質量%より構成される無機繊維質成形体であって、無機繊維質成形体の組成がAl35〜55質量%、CaO10〜20質量%、SiO30〜45質量%、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分0〜5質量%の範囲内にあることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の無機繊維質成形体は、アルカリアースシリケート繊維40〜60質量%及びアルミナ繊維40〜60質量%よりなる無機繊維100質量%に対し無機充填材を外割で5〜60質量%含有してなる無機繊維質成形体であって、無機繊維質成形体の組成がAl35〜65質量%、CaO5〜20質量%、SiO25〜45質量%、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分0〜5質量%の範囲内にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高価なアルミナ繊維の配合比率を抑えながらも、最高使用温度1400℃を満足する無機繊維質成形体を得ることが可能となるため、コストパフォーマンスに優れたRCFフリーの断熱材として各種炉の炉壁材などに好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の無機繊維質成形体は、規制対象外の無機繊維であるAES繊維と、アルミナ繊維を併用するところに特徴がある。上述のように、AES繊維単味よりなる無機繊維質成形体では、1400℃程度の使用温度に耐えることができず、また、アルミナ繊維単味よりなる無機繊維質成形体は、十分な耐熱性が得られるものの、無機繊維質成形体の使用部位との関係からコスト的に見合わないものであるが、本発明によれば、これらを併用することにより、両者の短所を補完し合える。
【0013】
ここで、AES繊維は、RCFの代替繊維とされる規制対象外の耐熱無機繊維であり、SiO、CaO、MgOを主体とした人造鉱物繊維である。AES繊維は、SiOを50〜82質量%、CaO+MgOを18〜43質量%含み、他にAl、TiO等の酸化物を含む組成を有し、その耐熱温度は最高1300℃程度とされている。本発明で用いるAES繊維は、繊維径が2〜8μm、好ましくは3〜5μmで、繊維長0.1〜数mm程度のものが混在しているバルク状(綿状)のものである。また、本発明で用いるAES繊維は、MgO含量が少ないものが適しており、CaO/MgO質量比が3〜15、好ましくは5〜10のものが好適である。これは、CaO/MgO質量比が大きいASE繊維の方が高温域においてアルミナ繊維との癒着性に富む傾向にあり、耐熱性の高いアルミナ繊維との結合性をもつことで、結果的に熱処理後の線収縮率を小さくしているものと考えられる。
【0014】
AES繊維の配合割合は、40〜60質量%、好ましくは40〜50質量%の範囲内である。ここで、AES繊維の配合割合が40質量%未満であると、それに伴ってアルミナ繊維の配合割合が増加し、コスト的に見合わないために好ましくなく、また、60質量%を超えると、耐熱性が低下して1400℃での使用に耐えられなくなるために好ましくない。
【0015】
次に、本発明の無機繊維質成形体に用いられるアルミナ繊維は、Al含量70質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、SiO含量30質量%以下(ゼロを含む)、好ましくは20質量%以下(ゼロを含む)、更に好ましくは5質量%以下(ゼロを含む)の繊維であり、この範囲内にあるアルミナ繊維はRCFの範疇には属さず、近年の規制の対象となるものではない。アルミナ繊維の配合割合は、40〜60質量%、好ましくは50〜60質量%の範囲内である。
【0016】
上述の構成を有する無機繊維質成形体の組成は、Al35〜55質量%、好ましくは45〜55質量%、CaO10〜20質量%、好ましくは10〜15質量%、SiO30〜45質量%、好ましくは30〜40質量%、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%の範囲内にある。ここで、Alの含有量が35質量%未満であると、耐熱性が低下するため好ましくなく、また、アルミナ繊維の配合量を制限しているため、Alの含有量が60質量%を超えると、コストの増加に繋がり、当初の目的を達成することができない。また、Alの含有量に対し、CaO及びSiOの含有量が前記の適正範囲より多すぎても、少なすぎても耐熱性が低下することになるため好ましくない。また、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分は、5質量%を超えると、耐熱性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0017】
上述のようなAES繊維とアルミナ繊維からなる本発明の無機繊維質成形体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、所定量のAES繊維とアルミナ繊維及び繊維質の成形助剤を水に添加して攪拌し、AES繊維とアルミナ繊維を分散させた後、繊維質以外の成形助剤を所定量添加して更に攪拌し、得られた原料スラリーを成型用の型枠を用いてプレス脱水成形し、得られた成形体を乾燥することにより得ることができる。
【0018】
ここで、原料スラリーに用いる水の量は、原料の固形分質量に対して3〜15倍、好ましくは5〜12倍の範囲内である。また、成形助剤としては、例えばセルロースパルプ、でんぷん、水ガラス等を用いることができる。セルロースパルプ及びでんぷん等を乾燥品として用いる場合には、予め水に溶かして使用することが好ましく、特に、セルロースパルプの場合には、リファイナーなどで叩解処理しておき、セルロースパルプ繊維を良く解きほぐしてから用いることが好ましい。この場合、セルロースパルプの叩解度の目安は、濾水度としてカナディアン標準フリーネスで200〜600mlの範囲内である。なお、成形助剤の添加量は、AES繊維とアルミナ繊維の合計量100質量%に対して1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%の範囲内である。
【0019】
本発明の無機繊維質成形体の他の態様によれば、上記配合割合のAES繊維及びアルミナ繊維よりなる無機繊維100質量%に対し無機充填材を外割で5〜60質量%、好ましくは5〜45質量%の範囲内で含有してなるものである。ここで、無機充填材の配合量が無機繊維100質量%に対して外割で5質量%未満であると、無機充填材の配合効果がないために好ましくなく、また、60質量%を超えると、無機繊維が少なすぎて成形体が脆くなるために好ましくない。なお、無機充填材としては、二次カオリンのような二次粘土、アルミノシリケート、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、ジルコン等を挙げることができる。無機充填材の粒径は特に限定されるものではないが、例えば0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmの範囲内のものである。なお、無機充填材の粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定したものである。
【0020】
上述のような無機充填材を含む無機繊維質成形体の組成は、Al35〜65質量%、好ましくは35〜55質量%、CaO5〜20質量%、好ましくは8〜20質量%、SiO25〜45質量%、好ましくは25〜40質量%、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%の範囲内にある。ここで、Alの含有量が35質量%未満であると、耐熱性が低下するために好ましくなく、また、65質量%を超えると、Alを含む無機充填材を多量に添加する必要があるため好ましくない。また、Alの含有量に対し、CaO及びSiOの含有量が前記の適正範囲より多すぎても、少なすぎても耐熱性が低下することとなるために好ましくない。また、NaO、KO、MgO、TiO及びFeからなる群から選択される1種または2種以上からなるその他の成分は、5質量%を超えると、耐熱性に悪影響を及ぼす恐れがあるために好ましくない。
【0021】
上述のようなAES繊維とアルミナ繊維からなる無機繊維と、無機充填材からなる本発明の無機繊維質成形体の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、所定量のAES繊維、アルミナ繊維及び繊維質の成形助剤を水に添加して攪拌し、分散させた後、無機充填材と繊維質以外の成形助剤を所定量添加して更に攪拌し、得られた原料スラリーを成型用の型枠を用いてプレス脱水成形し、得られた成形体を乾燥することにより得ることができる。
【0022】
ここで、原料スラリーに用いる水の量は、原料の固形分質量に対して3〜15倍、好ましくは5〜12倍の範囲内である。また、成形助剤としては、例えばセルロースパルプ、でんぷん、水ガラス等を用いることができる。セルロースパルプ及びでんぷん等を乾燥品として用いる場合には、予め水に溶かして使用することが好ましく、特に、セルロースパルプの場合には、リファイナーなどで叩解処理しておき、セルロースパルプ繊維を良く解きほぐしてから用いることが好ましい。この場合、セルロースパルプの叩解度の目安は、濾水度としてカナディアン標準フリーネスで200〜600mlの範囲内である。なお、成形助剤の添加量は、AES繊維とアルミナ繊維の合計量100質量%に対して1〜10質量%、好ましくは2〜8質量%の範囲内である。
【0023】
上述のような構成を有する本発明の無機繊維質成形体は、見掛け密度が150〜500kg/m、好ましくは200〜400kg/mの範囲内にあり、また、線収縮率(1400℃−3時間)が3%以下、好ましくは2%以下である。
【実施例】
【0024】
実施例1〜2及び比較例1〜3
AES繊維として、SiO含量70〜80質量%、CaO+MgO含量18〜25質量%(CaO/MgO質量比6〜8:EDSによる簡易分析結果)の商品名Superwool HTバルク(新日本サーマルセラミックス株式会社)を用い、アルミナ繊維として、Al含量100質量%の商品名デンカアルセンバルクB100(デンカ株式会社)を用い、成形助剤として予め水に5質量%濃度で解かして叩解処理した針葉樹セルロースパルプ(濾水度:カナディアン標準フリーネス約400ml)と、水に2質量%濃度で解かした工業用澱粉を用い、以下の表1に記載する割合で固形分質量の7.5倍量の水を添加、攪拌した後、最終的に水量が固形分質量の10倍となるように水を追加して濃度調整し、固形分含量約17質量%の原料スラリーとした。得られた原料スラリーを成形後の成形体の見掛け密度が約300kg/mとなるように量り取り、成形用の型枠を用いてプレス脱水成形し、得られた成形体を105℃で24時間乾燥することにより10mm×40mm×160mmの寸法を有する本発明品及び比較品の無機繊維質成形体の供試体を得た。得られた無機繊維質成形体の見掛け密度を表1に併記する。
なお、見掛け密度は、供試体の乾燥質量を、供試体の寸法をノギスで測定して求めた体積で除して求めた値である。
【0025】
【表1】
【0026】
本発明品及び比較品の無機繊維質成形体の供試体について、1400℃−3時間熱処理後の収縮率を測定した結果と、エネルギー分散型X線分析(EDS)による成分分析結果を表2に示す。EDSの分析条件は以下の通りである:JDE−2300 エネルギー分散型X線分析装置(日本電子株式会社)、加速電圧:20kV、倍率100倍。
なお、1400℃−3時間熱処理後の収縮率は、10mm×40mm×160mmの供試体に予め記した標線間の長さをノギスで測定しておき、1400℃に制御された電気炉内で3時間加熱処理した後、デシケータ内に移し、常温(25℃)まで冷却し、再度同じ標線間の長さを測定して下記の式により求めたものである:
収縮率ΔL(%)=(L−L)/L×100
:熱処理前の標線間の長さ
:熱処理後の標線間の長さ
また、EDSは、供試体の一部を乳鉢で摺って微粉化したものを試料として分析を行ったものである。
【0027】
【表2】
【0028】
実施例3〜14及び比較例4〜8
AES繊維として、SiO含量70〜80質量%、CaO+MgO含量18〜25質量%(CaO/MgO質量比6〜8:EDSによる簡易分析結果)の商品名Superwool HTバルク(新日本サーマルセラミックス株式会社)を用い、アルミナ繊維として、Al含量100質量%の商品名デンカアルセンバルクB100(デンカ株式会社)を用い、二次カオリンとして、SiO2含量約50質量%、Al2O3含量約33質量%を主成分とする商品名ハイモッドSR(啓和炉材株式会社)を用い、ウォラストナイト(関西マテック株式会社:ノーマルグレード)を用い、成形助剤として予め水に5質量%濃度で解かして叩解処理した針葉樹セルロースパルプ(濾水度:カナディアン標準フリーネス約400ml)と、水に2質量%濃度で解かした工業用澱粉を用い、以下の表3に記載する割合で固形分質量の7.5倍量の水を添加、攪拌した後、最終的に水量が固形分質量の10倍となるように水を追加して濃度調整し、固形分含量約17質量%の原料スラリーとした。手順としては、まずAES繊維、アルミナ繊維、セルロースパルプを水中で攪拌して分散させ、次に攪拌を続けながらウォラストナイト、二次カオリン、工業用澱粉の順に添加し、濃度を調整して原料スラリーとした。得られた原料スラリーを成形後の成形体の見掛け密度が約300kg/mとなるように量り取り、成形用の型枠を用いてプレス脱水成形し、得られた成形体を105℃で24時間乾燥することにより10mm×40mm×160mmの寸法を有する本発明品及び比較品の無機繊維質成形体の供試体を得た。得られた無機繊維質成形体の見掛け密度を表3に併記する。
【0029】
【表3】
【0030】
本発明品及び比較品の無機繊維質成形体の供試体について、1400℃−3時間熱処理後の収縮率を測定した結果と、エネルギー分散型X線分析(EDS)による成分分析結果を表4に示す。
【0031】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のとおり、本発明の無機繊維質成形体は、1400℃の加熱条件における収縮率が小さく良好な耐熱性を有しており、また、アルミナ繊維の配合量を抑えることができることから、コストパフォーマンスに優れ、かつRCFを含まないことから、1400℃程度での使用が見込まれる炉壁の断熱材等の用途においるRCFフリー材料として好適に使用することができる。