特許第6974044号(P6974044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6974044塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974044
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20211118BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20211118BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20211118BHJP
【FI】
   B25J9/22 A
   B05B13/02
   B05B12/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-118356(P2017-118356)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-947(P2019-947A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】 岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0209960(US,A1)
【文献】 特開2000−288432(JP,A)
【文献】 特開2012−011416(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0204257(US,A1)
【文献】 国際公開第2017/072979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
B05B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティーチングされた塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道に基づいて、ワークにおけるスプレーガンの狙い箇所を表示する塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法であって、
塗装ロボット(6)及びワーク(7)の位置情報と、スプレーガンの軌道データを制御手段(1)に取り込み、
該取り込んだデータを用いてスプレーガン(9)及びワーク(7)の3D表示データを作成し、
該作成した3D表示データを用いて、
スプレーガン(9)及びワーク(7)を表示部(3)に表示するとともに、
軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合に、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を塗装パスライン(8)で表示する、ことを特徴としており、
前記ワーク(7)は、回転自在の支柱(10)に複数個が取り付けられて表示部(3)における表示は支柱(10)の回転に伴って回転している動画表示とし、
前記スプレーガン(9)は、ワーク(7)の回転とともに、ティーチングされた軌道データに従い上方から下方に向けて移動する表示とし、
前記塗装パスライン(8)は、スプレーガン(9)からワーク(7)におけるスプレーガン(9)が狙っている箇所まで疑似的なレーザービームを表示させて該レーザービームの先端に塗装パスライン(8)を表示することでワーク(7)上に表示するとともに、ティーチングされた軌道データに基づくスプレーガンの移動に従って、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を、順次、表示していき、更に、スプレーガン(9)の移動スピードの違いに応じてライン間の間隔を変化させる、ことを特徴とする塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法に係り、より詳しくは、被塗装物を画面上に表示させ、ティーチングされた塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道に基づき、被塗装物におけるスプレーガンが狙っている箇所をラインで表示することを特徴とする塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装の分野においては、被塗装物(以下「ワーク」と言う。)を大量に塗装する場合において、塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行なう方法が採用されている。そして、このような塗装ロボットを用いて自動的に塗装を行う場合には、塗装の膜厚を均一にするために、塗装ガンの噴射口とワークとの距離や角度を一定に保つ必要がある。
【0003】
そのために、このような塗装ロボットを用いた塗装では、予めワークの外形寸法等に基づいて塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道データを計算するとともに、この軌道データを塗装ロボットに記憶させておくことが必要であり、この作業を一般に「ティーチング」という。
【0004】
そして、このティーチングによって、塗装ロボットは、このティーチングされた軌道データに基づいてスプレーガンを移動することができ、これにより自動的にワークを塗装することが可能となる。従って、このような塗装ロボットを用いた塗装では、特に複数個のワークの塗装を行なう場合には、人件費等の経費を削減することができるとともに、すべてのワークに対して正確に同一の塗装を行なうことができるという利点がある。
【0005】
ここで、従来行われているティーチングについて図5を参照して説明すると、図5において31が塗装ロボット、32がワーク、33が前記塗装ロボットの作動を制御するためのロボットコントローラー、34がティーチングペンダントである。そして、ティーチングは一般的に、前記ティーチングペンダント34を用いて行われる。即ち、このティーチングペンダント34は、リモコンのような物であり、前記ロボットコントローラー33と接続されている。そして、ティーチングを行う際には、塗装ロボット31の近傍において、ティーチングペンダント34を用いて、前記ロボットコントローラー33を介して塗装ロボット31を操作し、所望するスプレーガンの位置を順にロボットコントローラー33に登録し、それにより、ロボットコントローラー33にスプレーガンの軌道を記憶させる方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−184280号公報
【特許文献2】特開2006−315157号公報
【特許文献3】特開2005−238092号公報
【特許文献4】特開2004−114246号公報
【特許文献5】特開2000−288432号公報
【特許文献6】特開平10−264060号公報
【特許文献7】特開平10−264059号公報
【特許文献8】特開平6−31233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のようなティーチングを行った後には、ティーチングされた軌道データによって正確にワークの塗料を行うことができるかどうかを検証する必要がある。そして、従来この検証は、塗装ブース内に塗装ロボットとワークを配置して、スプレーガンより実際に塗料を噴射してワークを塗装し、その後に、塗装が必要な面が均一の膜厚で塗装されているかどうかを確認することで行う。即ち、従来の検証においては、実際にワークを塗装する必要があるために、検証の際には塗料を使用しなければならないとともに、塗装ブース内に発生した塗料ミストを回収するために空調設備を稼働しなければならず、コストがかかってしまっていた。
【0008】
また、検証の結果、正確な塗装ができていない場合にはティーチングデータを修正し、更にその修正したデータに基づいて、再度、スプレーガンより実際に塗料を噴射して塗装し、その結果を検証しなければならないため、更に塗料と空調エネルギーが無駄になっていた。
【0009】
そしてこのとき、従来のティーチングでは、スプレーガンとワークの距離やスプレーガンのワークへの狙い目に関しては、作業者が現物のワークを近くで見ながら、経験や勘に頼って行うことが現状であり、その方法では、スプレーガンとワークの距離は現物合わせで行い、スプレーガンの狙い目はスケールや専用冶具を用いて確認する必要があるために、専用冶具をワークに当てないように慎重に作業しなければならず、作業が煩雑になり時間がかかるとともに、ワークとスプレーガンとの距離は目視判断によっていたので曖昧にならざるを得ず、検証によって軌道データの修正が必要になることが少なくなかった。
【0010】
そこで、本発明は、塗料を無駄にすることなく、また空調エネルギーを使用することなく、ティーチングされた軌道データの検証及び修正を容易に行うことが可能な塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法は、
ティーチングされた塗装ロボットにおけるスプレーガンの軌道に基づいて、ワークにおけるスプレーガンの狙い箇所を表示する塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法であって、
塗装ロボット及びワークの位置情報と、スプレーガンの軌道データを制御手段に取り込み、
該取り込んだデータを用いてスプレーガン及びワークの3D表示データを作成し、
該作成した3D表示データを用いて、
スプレーガン及びワークを表示部に表示するとともに、
軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合に、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を塗装パスラインで表示する、ことを特徴としており、
前記ワークは、回転自在の支柱に複数個が取り付けられて表示部における表示は支柱の回転に伴って回転している動画表示とし、
前記スプレーガンは、ワークの回転とともに、ティーチングされた軌道データに従い上方から下方に向けて移動する表示とし、
前記塗装パスラインは、スプレーガンからワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所まで疑似的なレーザービームを表示させて該レーザービームの先端に塗装パスラインを表示することでワーク上に表示するとともに、ティーチングされた軌道データに基づくスプレーガンの移動に従って、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を、順次、表示していき、更に、スプレーガンの移動スピードの違いに応じてライン間の間隔を変化させる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法では、塗装ロボット及びワークの位置情報と、スプレーガンの軌道データを制御手段に取り込み、この取り込んだデータを用いてスプレーガン及びワークの3D表示データを作成し、この作成した3D表示データを用いて、スプレーガン及びワークを表示部に表示するとともに、ティーチングにより作成された軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合に、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を、表示されているワークに、ラインで表示することとしている。そのため、実際の塗装ロボットとワークを用いて塗料をワークに噴射することなく、ティーチングされた軌道データに基づく塗装状態を目視で確認することを可能としている。
【0013】
従って、本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法を用いることで、塗料を無駄にすることなく、また空調エネルギーを使用することなく、ティーチングされた軌道データの検証、及び修正を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法の実施例を説明するためのシステム全体のブロック図である。
図2】本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法の実施例における画面表示の方法を説明するための図である。
図3】本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法の実施例における画面表示の方法を説明するための図である。
図4】本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法の実施例を説明するためのフローチャートである。
図5】従来のティーチング方法を説明するためにブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法では、表示部にスプレーガン及びワークを表示するとともに、ティーチングされたスプレーガンの軌道に基づいて、表示されたワークにおけるスプレーガンの狙い箇所を表示することを特徴としている。
【0016】
即ち、本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法では、まず、ティーチングに際してロボットコントローラー等のコントローラーに記憶された塗装ロボットとワークの位置情報と、ティーチングされたスプレーガンの軌道データとを制御手段に取り込む。
【0017】
そして次に、この制御手段に取り込んだ、塗装ロボット及びワークの位置情報と、スプレーガンの軌道データを用いて、スプレーガン及びワークの3D表示データを作成する。
【0018】
そして、この作成した3D表示データを用いて、スプレーガン及びワークを表示部に表示するとともに、この表示されているワークに、軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合に、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所を、ラインで表示することとしている。
【0019】
ここで、ワークにおけるスプレーガンが狙っている箇所をラインで表示するに際しては、ティーチングされた軌道データに従って、スプレーガンの移動に伴うライン表示を、順次行うとよく、これにより、リアルタイムで軌道データが正確かどうかを確認することが可能である。
【0020】
また、前記ワーク上に表示するラインは、スプレーガンの移動速度に応じて、間隔を変化させるとよく、これにより、塗膜が均一になっているかどうかを容易に確認することが可能である。
【実施例1】
【0021】
本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法(以下単に「軌道データのシミュレーション方法」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の軌道データのシミュレーション方法を実施するためのシステムを説明するためのブロック図である。
【0022】
そして、図において1は制御手段としてのPCであり、このPC1は、PC本体2と表示部3を備えている。即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、CPU等の演算手段を備えたPC本体2と表示部3を具備したPC1を有しており、ティーチングによりロボットコントローラー等に記憶された塗装ロボットとワークの位置情報や軌道データをPC1に取り込み、この取り込んだデータを用いて3D表示データを作成し、更に、この3Dデータを用いて、表示部3にワークを表示することとしている。
【0023】
ここで、図において4がロボットコントローラーであり、このロボットコントローラー4には、ティーチングペンダント5が接続されている。また、図において6は塗装ロボット、7は被塗装物としてのワークであり、前記ロボットコントローラー4には塗装ロボット6が接続されており、塗装ロボット6は、ロボットコントローラー4からの信号に従って稼働することとしている。そして、ティーチングペンダント5を用いて、塗装ロボット6のスプレーガンの位置を所望する位置に登録すると、その軌道データがロボットコントローラー4に送られて記憶される。そうすると、ロボットコントローラー4は、送られてきた軌道データに基づいて、塗装ロボット6を制御して、ティーチングされた通りに塗装ロボット6を稼働させ、更に、軌道データ等を用いて、塗装ロボットやワークの位置情報や、スプレーガンとワークとの距離等を演算する。
【0024】
そしてPC本体2では、ロボットコントローラー4に記憶された各種のデータを用いて、スプレーガンとワーク7の3D表示データが生成され、これらの3D表示データに基づいて前記表示部3には、スプレーガンとワーク7が3Dで表示される。
【0025】
また、本実施例においては、前記ロボットコントローラー4が前記PC本体2に接続されており、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データや、この軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報はリアルタイムで、ロボットコントローラー4からPC本体2へ送られることとしている。そして、PC本体2においては、ロボットコントローラーから送られてきた各種のデータを用いて、スプレーガンとワークの3D表示データが生成され、これらの3D表示データに基づいて前記表示部3には、スプレーガンとワークが3Dで表示され、表示部3に表示されたスプレーガンとワークを目視しながら、ティーチングペンダント5でスプレーガンの軌道をティーチングすることを可能としている。
【0026】
但し、本発明の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データやこの軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムでロボットコントローラー4からPC本体2へ送る必要は無く、ティーチングが完了した後に、ロボットコントローラー4に記憶された塗装ロボット及びワークの位置情報やスプレーガンの軌道データをPC本体2に取り込むことが可能であればよい。
【0027】
なお、前記塗装用ロボット6は、一般的にワークの大量塗装に用いられる塗装ロボットと同様に、ティーチングされた軌道を移動するアームにスプレーガンが備えられた構成としている。
【0028】
次に、このように構成されるシステムを用いて行う本実施例の軌道データのシミュレーション方法について図4のフローチャートを参照して説明すると、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、まず、ステップ1において、制御手段としてのPC1へのデータの取り込みが行われる。
【0029】
ここで、PC1に取り込まれるデータとしては、ティーチングの際の初期設定においてロボットコントローラーに記憶される情報と、ティーチングによってロボットコントローラーに記憶される各種情報がある。そして、ティーチングの際の初期設定においてロボットコントローラーに記憶される情報としては、塗装ロボット6に関する外形、機構、寸法等の基本データや、ワーク7に関する外形、寸法等の基本データ、及び塗装ロボット6とワーク7との位置情報、スプレーガンとワークとの距離情報がある。また、ティーチングによってロボットコントローラーに記憶される情報としては、スプレーガンの軌道データやワークとスプレーガンとの距離データ等がある。
【0030】
次に、PC1においては、ステップ2において、前記取り込まれた各種のデータに基づいて、スプレーガン及びワーク7の3D表示データが作成される。
【0031】
そして、それとともに、ステップ3で、PC1において塗装パスラインが作成される。ここで、塗装パスラインについて説明すると、本実施例において塗装パスラインとは、ティーチングされた軌道データに従ってスプレーガンからワーク7に塗料が噴射された場合に、ワーク7における、スプレーガンが狙っている箇所を示したラインとしている。従って、この塗装パスラインを表示することにより、ティーチングされた軌道データが正しかったかどうかを表示部上で確認することが可能となる。
【0032】
即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、スプレーガン、ワークの3D表示データが作成されるとともに、塗装パスラインが作成された後に、ステップ4において表示部3にワークが3D表示され、更にステップ5において、表示部3に表示されたワークに塗装パスラインが重ねられて表示される。
【0033】
即ち、図2がPC1の表示部3にワーク、スプレーガン及び塗装パスラインを表示した状態を示している。そして、図において7がワークであり、本実施例においては、前記ワーク7は、ドアミラーとしており、回転自在の支柱10に、治具11によって放射状に6個が取り付けられ、表示部3においては、支柱10の回転に伴ってワーク7が回転している動画表示としている。
【0034】
また、図において9はスプレーガンであり、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、表示部3にスプレーガン9を表示するとともに、ワークの回転とともに、ティーチングされた軌道データに従い、スプレーガン9を移動することとしている。
【0035】
次に、図において8は塗装パスラインである。即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、スプレーガン9から、ワーク7におけるスプレーガンが狙っている箇所まで、疑似的なレーザービームを表示させ、この疑似的なレーザービームの先端に塗装パスライン8を表示することとしている。従って、ワーク7の回転とスプレーガン9の移動に従って、ワーク7上に塗装パスライン8が表示され、これによりスプレーガンが狙っている箇所を確認することを可能としている。
【0036】
なお、図2では、軌道データに従ってスプレーガン9が移動している途中を示しており、ワーク7は矢印で示すように、支柱10及び治具11の回転によって時計回りに円状に移動しており、スプレーガン9は上方から下方に向けて移動している。そして、塗装パスライン8はスプレーガン9の下方への移動に伴って、ワーク7の上部から下部に向けて横方向へ表示されていき、図2においては、ワーク7の長手方向にみた中央部分近郊まで塗装パスライン8が表示されている。
【0037】
そして、図3が、ティーチングに従った塗装が完了した後のワーク7の一つを拡大して表示したものであり、ワークの全域に塗装パスライン8が表示された状態となっている。従って、この塗装パスライン8の表示によって、ティーチングに従ってスプレーガンから塗料を噴射した場合にワークのどの部分に塗料が付着するかを視覚により確認することができる。そのために、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングされた軌道データの検証を行う場合には、実際にワークに塗料を噴射することが不要であるので、検証時の塗料の無駄を無くするとともに、空調エネルギーを使用することも不要で、コストを大幅に抑えることが可能である。
【0038】
例えば、図3に示す塗装パスライン8では、上方部分にライン間の間隔が狭い部分があり、この部分ではスプレーガンの移動スピードが他の部分よりも遅くなっていることを示している。そしてそれにより、その部分の塗料の膜厚が他の部分よりも厚くなってしまうことを知ることが可能である。
【0039】
ここで、前記塗装パスラインについて説明すると、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、予め、スプレーガンからワークまでの距離を到達距離として設定しておく。そしてこの到達距離は、例えば塗料の噴射を開始した時点のスプレーガンからワークまでの距離としておく。
【0040】
そして、スプレーガンが移動したときに、この到達距離の先端部分とワーク7が干渉し合う干渉部分を、塗料がワークに付着する部分と仮定し、表示部3に表示しているワークにおけるこの部分の色を他の色に変化させる。
【0041】
そうすると、スプレーガンが移動することで、あるいはワーク側が移動、回転等することで、色を変化させた干渉部分がライン状に形成されていき、これにより、軌道データに従ってスプレーガンが移動することで、ワーク7に塗装パスライン8が形成される。
【0043】
また、前述したように、スプレーガンが上下に移動する際に、移動スピードが他の部分よりも早くなり、あるいは遅くなった場合には、その部分の塗装パスラインの間隔が他の部分と異なって表示されるために、それにより、その部分の塗料の膜厚が他の部分よりも薄くなり、あるいは厚くなってしまうことを知ることも可能である。従ってこれにより、ティーチングされた軌道データの検証を容易に行うことができる。
【0044】
そしてまた、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、ロボットコントローラー4がPC本体2に接続されており、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データや、この軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムで、ロボットコントローラー4からPC本体7へ送ることとし、そのときの塗装ロボットとワークの3D表示を行うこととしているために、ティーチングされた軌道データの検証を行いながら、ティーチングペンダント5を用いて、ティーチングデータの修正を行うことができる。
【0045】
このように、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、表示部にワークを表示するとともに、この表示されたワークには、ティーチングされた軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合にスプレーガンが狙っている箇所を、塗装パスラインとして表示しており、この塗装パスラインによってティーチングされた軌道データが正しいかどうかを検証することができる。従って、本実施例によれば、実際の塗装ロボットとワークを用いて塗料をワークに噴射することなく、ティーチングされた軌道データの検証ができるため、塗料を無駄にすることなく、また空調エネルギーを使用することなく、ティーチングされた軌道データの検証、及び修正を容易に行うことが可能である。
【0046】
なお前述の説明では、表示部3において、ワーク7及びスプレーガン9を移動させながらリアルタイムで塗装パスライン8が形成されていく方法を動画により表示する方法を採用したが、必ずしもリアルタイムで塗装パスライン8を形成していく必要はない。従って、塗装パスライン8が形成されていく過程を動画で表示せずに、図3に示すような、すべてと塗装パスライン8が表示されている状態を、表示部3に表示してもよい。
【0047】
また、前述したように、本発明の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データやこの軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムでロボットコントローラー4からPC本体2へ送る必要は無く、ティーチングが完了した後に、ロボットコントローラー4に記憶された塗装ロボット及びワークの位置情報やスプレーガンの軌道データをPC本体2に取り込むことが可能であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の軌道データのシミュレーション方法は、実際の塗装を行うことなくティーチングされた軌道データの検証をおこなうことができるため、ティーチングを必要とする塗装ロボットの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 PC
2 PC本体
3 表示部
4 ロボットコントローラー
5 ティーチングペンダント
6 塗装ロボット
7 ワーク
8 塗装パスライン
9 スプレーガン
10 支柱
11 治具
図1
図2
図3
図4
図5