【実施例1】
【0021】
本発明の塗装ロボットにおける軌道データのシミュレーション方法(以下単に「軌道データのシミュレーション方法」という。)の実施例について図面を参照して説明すると、
図1は、本実施例の軌道データのシミュレーション方法を実施するためのシステムを説明するためのブロック図である。
【0022】
そして、図において1は制御手段としてのPCであり、このPC1は、PC本体2と表示部3を備えている。即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、CPU等の演算手段を備えたPC本体2と表示部3を具備したPC1を有しており、ティーチングによりロボットコントローラー等に記憶された塗装ロボットとワークの位置情報や軌道データをPC1に取り込み、この取り込んだデータを用いて3D表示データを作成し、更に、この3Dデータを用いて、表示部3にワークを表示することとしている。
【0023】
ここで、図において4がロボットコントローラーであり、このロボットコントローラー4には、ティーチングペンダント5が接続されている。また、図において6は塗装ロボット、7は被塗装物としてのワークであり、前記ロボットコントローラー4には塗装ロボット6が接続されており、塗装ロボット6は、ロボットコントローラー4からの信号に従って稼働することとしている。そして、ティーチングペンダント5を用いて、塗装ロボット6のスプレーガンの位置を所望する位置に登録すると、その軌道データがロボットコントローラー4に送られて記憶される。そうすると、ロボットコントローラー4は、送られてきた軌道データに基づいて、塗装ロボット6を制御して、ティーチングされた通りに塗装ロボット6を稼働させ、更に、軌道データ等を用いて、塗装ロボットやワークの位置情報や、スプレーガンとワークとの距離等を演算する。
【0024】
そしてPC本体2では、ロボットコントローラー4に記憶された各種のデータを用いて、
スプレーガンとワーク7の3D表示データが生成され、これらの3D表示データに基づいて前記表示部3には、
スプレーガンとワーク7が3Dで表示される。
【0025】
また、本実施例においては、前記ロボットコントローラー4が前記PC本体2に接続されており、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データや、この軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報はリアルタイムで、ロボットコントローラー4からPC本体2へ送られることとしている。そして、PC本体2においては、ロボットコントローラーから送られてきた各種のデータを用いて、
スプレーガンとワークの3D表示データが生成され、これらの3D表示データに基づいて前記表示部3には、
スプレーガンとワークが3Dで表示され、表示部3に表示された
スプレーガンとワークを目視しながら、ティーチングペンダント5でスプレーガンの軌道をティーチングすることを可能としている。
【0026】
但し、本発明の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データやこの軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムでロボットコントローラー4からPC本体2へ送る必要は無く、ティーチングが完了した後に、ロボットコントローラー4に記憶された塗装ロボット及びワークの位置情報やスプレーガンの軌道データをPC本体2に取り込むことが可能であればよい。
【0027】
なお、前記塗装用ロボット6は、一般的にワークの大量塗装に用いられる塗装ロボットと同様に、ティーチングされた軌道を移動するアームにスプレーガンが備えられた構成としている。
【0028】
次に、このように構成されるシステムを用いて行う本実施例の軌道データのシミュレーション方法について
図4のフローチャートを参照して説明すると、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、まず、ステップ1において、制御手段としてのPC1へのデータの取り込みが行われる。
【0029】
ここで、PC1に取り込まれるデータとしては、ティーチングの際の初期設定においてロボットコントローラーに記憶される情報と、ティーチングによってロボットコントローラーに記憶される各種情報がある。そして、ティーチングの際の初期設定においてロボットコントローラーに記憶される情報としては、塗装ロボット6に関する外形、機構、寸法等の基本データや、ワーク7に関する外形、寸法等の基本データ、及び塗装ロボット6とワーク7との位置情報、スプレーガンとワークとの距離情報がある。また、ティーチングによってロボットコントローラーに記憶される情報としては、スプレーガンの軌道データやワークとスプレーガンとの距離データ等がある。
【0030】
次に、PC1においては、ステップ2において、前記取り込まれた各種のデータに基づいて、
スプレーガン及びワーク7の3D表示データが作成される。
【0031】
そして、それとともに、ステップ3で、PC1において塗装パスラインが作成される。ここで、塗装パスラインについて説明すると、本実施例において塗装パスラインとは、ティーチングされた軌道データに従ってスプレーガンからワーク7に塗料が噴射された場合に、ワーク7における、スプレーガンが狙っている箇所を示したラインとしている。従って、この塗装パスラインを表示することにより、ティーチングされた軌道データが正しかったかどうかを表示部上で確認することが可能となる。
【0032】
即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、スプレーガン、ワークの3D表示データが作成されるとともに、塗装パスラインが作成された後に、ステップ4において表示部3にワークが3D表示され、更にステップ5において、表示部3に表示されたワークに塗装パスラインが重ねられて表示される。
【0033】
即ち、
図2がPC1の表示部3にワーク、スプレーガン及び塗装パスラインを表示した状態を示している。そして、図において7がワークであり、本実施例においては、前記ワーク7は、ドアミラーとしており、回転自在の支柱10に、治具11によって放射状に6個が取り付けられ、表示部3においては、支柱10の回転に伴ってワーク7が回転している動画表示としている。
【0034】
また、図において9はスプレーガンであり、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、表示部3にスプレーガン9を表示するとともに、ワークの回転とともに、ティーチングされた軌道データに従い、スプレーガン9を移動することとしている。
【0035】
次に、図において8は塗装パスラインである。即ち、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、スプレーガン9から、ワーク7におけるスプレーガンが狙っている箇所まで、疑似的なレーザービームを表示させ、この疑似的なレーザービームの先端に塗装パスライン8を表示することとしている。従って、ワーク7の回転とスプレーガン9の移動に従って、ワーク7上に塗装パスライン8が表示され、これによりスプレーガンが狙っている箇所を確認することを可能としている。
【0036】
なお、
図2では、軌道データに従ってスプレーガン9が移動している途中を示しており、ワーク7は矢印で示すように、支柱10及び治具11の回転によって時計回りに円状に移動しており、スプレーガン9は上方から下方に向けて移動している。そして、塗装パスライン8はスプレーガン9の下方への移動に伴って、ワーク7の上部から下部に向けて横方向へ表示されていき、
図2においては、ワーク7の長手方向にみた中央部分近郊まで塗装パスライン8が表示されている。
【0037】
そして、
図3が、ティーチングに従った塗装が完了した後のワーク7の一つを拡大して表示したものであり、ワークの全域に塗装パスライン8が表示された状態となっている。従って、この塗装パスライン8の表示によって、ティーチングに従ってスプレーガンから塗料を噴射した場合にワークのどの部分に塗料が付着するかを視覚により確認することができる。そのために、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングされた軌道データの検証を行う場合には、実際にワークに塗料を噴射することが不要であるので、検証時の塗料の無駄を無くするとともに、空調エネルギーを使用することも不要で、コストを大幅に抑えることが可能である。
【0038】
例えば、
図3に示す塗装パスライン8では、上方部分にライン間の間隔が狭い部分があり、この部分ではスプレーガンの移動スピードが他の部分よりも遅くなっていることを示している。そしてそれにより、その部分の塗料の膜厚が他の部分よりも厚くなってしまうことを知ることが可能である。
【0039】
ここで、前記塗装パスラインについて説明すると、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、予め、スプレーガンからワークまでの距離を到達距離として設定しておく。そしてこの到達距離は、例えば塗料の噴射を開始した時点のスプレーガンからワークまでの距離としておく。
【0040】
そして、スプレーガンが移動したときに、この到達距離の先端部分とワーク7が干渉し合う干渉部分を、塗料がワークに付着する部分と仮定し、表示部3に表示しているワークにおけるこの部分の色を他の色に変化させる。
【0041】
そうすると、スプレーガンが移動することで、あるいはワーク側が移動、回転等することで、色を変化させた干渉部分がライン状に形成されていき、これにより、軌道データに従ってスプレーガンが移動することで、ワーク7に塗装パスライン8が形成される。
【0043】
また、前述したように、スプレーガンが上下に移動する際に、移動スピードが他の部分よりも早くなり、あるいは遅くなった場合には、その部分の塗装パスラインの間隔が他の部分と異なって表示されるために、それにより、その部分の塗料の膜厚が他の部分よりも薄くなり、あるいは厚くなってしまうことを知ることも可能である。従ってこれにより、ティーチングされた軌道データの検証を容易に行うことができる。
【0044】
そしてまた、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、ロボットコントローラー4がPC本体2に接続されており、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データや、この軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムで、ロボットコントローラー4からPC本体7へ送ることとし、そのときの塗装ロボットとワークの3D表示を行うこととしているために、ティーチングされた軌道データの検証を行いながら、ティーチングペンダント5を用いて、ティーチングデータの修正を行うことができる。
【0045】
このように、本実施例の軌道データのシミュレーション方法では、表示部にワークを表示するとともに、この表示されたワークには、ティーチングされた軌道データに従ってワークに塗料が噴射された場合にスプレーガンが狙っている箇所を、塗装パスラインとして表示しており、この塗装パスラインによってティーチングされた軌道データが正しいかどうかを検証することができる。従って、本実施例によれば、実際の塗装ロボットとワークを用いて塗料をワークに噴射することなく、ティーチングされた軌道データの検証ができるため、塗料を無駄にすることなく、また空調エネルギーを使用することなく、ティーチングされた軌道データの検証、及び修正を容易に行うことが可能である。
【0046】
なお前述の説明では、表示部3において、ワーク7及びスプレーガン9を移動させながらリアルタイムで塗装パスライン8が形成されていく方法を動画により表示する方法を採用したが、必ずしもリアルタイムで塗装パスライン8を形成していく必要はない。従って、塗装パスライン8が形成されていく過程を動画で表示せずに、
図3に示すような、すべてと塗装パスライン8が表示されている状態を、表示部3に表示してもよい。
【0047】
また、前述したように、本発明の軌道データのシミュレーション方法では、ティーチングの際にティーチングペンダント5で登録された起動データやこの軌道データに基づいて演算された塗装ロボットやワークの位置情報をリアルタイムでロボットコントローラー4からPC本体2へ送る必要は無く、ティーチングが完了した後に、ロボットコントローラー4に記憶された塗装ロボット及びワークの位置情報やスプレーガンの軌道データをPC本体2に取り込むことが可能であればよい。