(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0016】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0019】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、断面図と平面図が対応する場合においても、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。
【0020】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置について詳細に説明する。
【0021】
[構造説明]
図1は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図2は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
図1の断面図は、例えば、
図2のA−A部に対応する。
【0022】
図1に示す半導体装置は、窒化物半導体を用いたMOS型の電界効果トランジスタ(MOSFET;Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、MISFETともいう)である。また、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)とも呼ばれる。
【0023】
本実施の形態の半導体装置においては、
図1に示すように、基板12上に、第1窒化物半導体層100、第2窒化物半導体層200および第3窒化物半導体層300が順次形成されている。そして、第3窒化物半導体層300の一部分上には第4窒化物半導体層400よりなるメサ部MSが形成されている。なお、基板12上に、核生成層やその上の高抵抗バッファ層を形成した後、第1窒化物半導体層100等を形成してもよい。
【0024】
基板12としては、例えば、(111)面が露出しているシリコン(Si)からなる半導体基板を用いることができる。基板12としては、上記シリコンの他、SiCやサファイアなどからなる基板を用いてもよい。また、GaNからなる基板を用いてもよく、この場合、核生成層を省略してもよい。
【0025】
核生成層は、窒化物半導体層からなる。核生成層としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)層を用いることができる。高抵抗バッファ層は、窒化物半導体に対し深い準位を形成する不純物を添加した1層もしくは複数層の窒化物半導体層からなる。例えば、複数層の窒化物半導体層からなる超格子構造体(超格子層ともいう)として、窒化ガリウム(GaN)層と窒化アルミニウム(AlN)層との積層膜(AlN/GaN膜)を、繰り返し積層した超格子構造体を高抵抗バッファ層として用いることができる。
【0026】
なお、通常、基板12上の窒化物半導体層(III−V族の化合物半導体層)は、すべてIII族元素面成長で形成する。
【0027】
前述したように、基板12上には、第1窒化物半導体層100、第2窒化物半導体層200および第3窒化物半導体層300が順次形成されている。そして、第3窒化物半導体層300の一部分上には、第4窒化物半導体層400よりなるメサ部MSが形成されている。
【0028】
第2窒化物半導体層200は、第1窒化物半導体層100と電子親和力(EA)が等しいか、または、第1窒化物半導体層100より電子親和力が大きい(EA100≦EA200)。
【0029】
第3窒化物半導体層300は、第1窒化物半導体層100より電子親和力が小さい(EA100>EA300)。
【0030】
第4窒化物半導体層400は、第1窒化物半導体層100より電子親和力が大きい(EA400>EA100)。
【0031】
第1窒化物半導体層100は、バッファ層とも呼ばれ、例えば、AlGaNよりなる。また、第2窒化物半導体層200は、チャネル層とも呼ばれ、例えば、GaNよりなる。また、第3窒化物半導体層300は、障壁層(電子供給層)と呼ばれ、例えば、AlGaNよりなる。但し、第1窒化物半導体層100よりAl組成が大きい。また、メサ部MSは、2DEG抑止層(2DEG解消層)と呼ばれ、ノンドープ層であり、例えば、i−GaNやInGaNあるいは第1窒化物半導体層100よりAl組成の低いAlGaNよりなる。即ち、メサ部MSには、意図的なn型不純物やp型不純物のドープは行われていない。
【0032】
また、メサ部MS上には、ゲート絶縁膜510を介してゲート電極520が形成されている。メサ部MSの平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である(
図2参照)。そして、メサ部MSの両側にサイド部SPが設けられている。このサイド部SPは、本実施の形態においては、メサ部MSと同様に第4窒化物半導体層(400)よりなり、メサ部MSの両側に設けられ、メサ部(第1の膜厚部)MSより膜厚が小さい部分(薄膜部、第2の膜厚部)である。
【0033】
ゲート絶縁膜510およびゲート電極520の積層体の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である(
図2参照)。ゲート電極520のX方向の長さ(ドレイン電極からソース電極へ電流が流れる方向、即ち、ゲート長方向の長さ)Lgは、メサ部MSのX方向の長さLaより大きい。また、ゲート電極520のX方向の長さ(ドレイン電極からソース電極へ電流が流れる方向、即ち、ゲート長方向の長さ)Lgは、第4窒化物半導体層(メサ部MSおよびサイド部SPの合成体)400のX方向の長さLbより小さい(La<Lg<Lb)。よって、ゲート電極520の端部は、メサ部MS上に位置する。
【0034】
また、ゲート電極520上には、層間絶縁膜600が形成されている(
図1)。また、第3窒化物半導体層(障壁層)300上であって、第4窒化物半導体層(MS、SP)400の両側には、ソース電極532およびドレイン電極542が形成されている。例えば、層間絶縁膜600中には、コンタクトホール(接続孔)531、541が形成され、このコンタクトホール531、541の内部および上部には、ソース電極532およびドレイン電極542が配置される。なお、本実施の形態においては、ソース電極532が、ゲート電極520の上方まで延在している。具体的には、ゲート電極520上に、層間絶縁膜600を介してソース電極532が配置されている。このように、ソース電極532によりゲート電極520を覆う構成とすることで、ソースフィールドプレート効果を奏することができる。このフィールドプレート部(ソース電極532のうち、ゲート電極520の上方に位置する部分)は省略することができる。
【0035】
ここで、第2窒化物半導体層200と第3窒化物半導体層300の界面においては、ピエゾ分極(格子定数差に起因)および自発分極による2DEG(2次元電子ガス)が発生する。但し、ゲート電極520の下方においては、ゲート絶縁膜510を介してメサ部MSが設けられているため、このメサ部MSに接する第3窒化物半導体層300は、メサ部MSの格子定数の影響を受け、第2窒化物半導体層200と第3窒化物半導体層300の界面のピエゾ分極成分が減少し、メサ部MSの下方においては、2DEGの発生が抑止される。このため、ゲート電極520に所定の電位(閾値電位)を印加した場合にのみ、2DEGの発生が抑止されているメサ部MSの下方に、チャネルが形成され、トランジスタがオン状態となる。このように、本実施の形態のトランジスタは、ノーマリオフ特性を有する。
【0036】
そして、本実施の形態においては、前述したように、メサ部MSの両側にサイド部SPが設けられている。このサイド部SPは、メサ部MSと同様に第4窒化物半導体層400よりなり、メサ部MSより膜厚が薄い部分である。
【0037】
このように、メサ部MSの両側にサイド部(薄膜部)SPを設けることにより、トランジスタのオン抵抗を低減することができる。
【0038】
図3は、比較例1の半導体装置の構成を示す断面図である。
図4は、比較例1の半導体装置のI−V特性を示す図である。例えば、
図3に示す比較例1の半導体装置のように、ゲート電極520とゲート絶縁膜510とメサ部MSとを、一括して加工し、平面視において同様の形状とした場合、第2チャネルの抵抗によるオン抵抗の増加が確認された。この第2チャネルとは、前述した、2DEGの抑制部を繋ぐチャネル(以下、第1チャネルと言う)とは異なり、ゲート絶縁膜510とメサ部MSとの間に生じる不所望なチャネルである。
【0039】
特に、半導体装置の閾値電圧を上げて、ノーマリーオフ特性を向上させるため、メサ部MSの厚さを大きくすると、オン抵抗の増加が顕著に確認された。
図4に示すように、メサ部(2DEG抑止層)MSの厚さをT1、T2、T3と順に大きくすると、閾値電圧(Vg)が高くなり波形は右にシフトするが、ドレイン電流(Id)は、低下している。これは、
図3に示すように、2DEGの抑制部を繋ぐ第1チャネルを通る電流経路RT1ではなく、意図しない電流経路(第2チャネルを通る電流経路RT2)が形成され、結果として、オン抵抗の増大を引き起こすと考えられる。なお、比較例1の半導体装置について、容量−電圧特性(C−V特性)から、メサ部(2DEG抑止層)MSの下方に電子がたまらず、即ち、第1チャネルが形成されず、ゲート絶縁膜510とメサ部MSとの間に電子がたまる、即ち、第2チャネルが形成されることを確認している。
【0040】
図5は、比較例1の半導体装置の抵抗成分の分析結果を示す図である。
図5では、比較例1の半導体装置の各部位の抵抗成分(Rgs、Rch1、Rgd、Rx、Rch2)について分析している。Rch1は、第1チャネルの抵抗、Rch2は、第2チャネルの抵抗、Rgsは、ゲート電極−ソース電極間の抵抗、Rgdは、ゲート電極−ドレイン電極間の抵抗、Rxは、メサ部MSの側壁の抵抗、である。
図5に示すように、ノンドープのメサ部(i−GaN)MSを25nmから100nmへ厚膜化すると、第2チャネルの抵抗Rch2が急増している。そして、第2チャネルの抵抗Rch2が大きくなると、メサ部MSの側壁の抵抗Rxも大きくなり、さらなるオン抵抗の増加が生じている。
【0041】
このような現象は、メサ部(2DEG抑止層)MSにゲート電極による電界が印加された状態では、メサ部の側壁(メサ部の端部)を伝うリーク電流が流れ、これに起因し、ゲート電極からの電圧に応じて、上記第2チャネルを形成したためと考えられる。この状態では、2DEGの抑制部(第1チャネル形成部)に十分な電界が掛からないため、この部分が低抵抗化しない(即ち、第1チャネルが低抵抗化しない)。また、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部は抵抗が大きいため、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)も高抵抗となり、オン抵抗が高くなる。
【0042】
図6は、比較例2の半導体装置の構成を示す断面図である。
図5を参照しながら説明したように、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部にゲート電極による電界が印加されることで、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)がリークパスとなってしまう問題に対して、比較例2のように、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部をゲート電極520よりも外側に位置させる構造とする対策が考えられる。この場合、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部からゲート電極520までの距離が大きくなり十分な電界が加わらないため、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)によるリークパスの生成を抑制することができる。しかしながら、この比較例2の半導体装置の構成では、ゲート電極520よりも外側のメサ部(2DEG抑止層)MSの直下では、2DEGが消失しており、かつ、ゲート電極520による十分な電界が加わらないためチャネルが形成されず、いわゆるオフセット構造となり、結局のところ、オン抵抗の高抵抗化を避けられない。
【0043】
これに対し、本実施の形態によれば、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部にサイド部SPを設けたので(
図1等参照)、サイド部SPの端部からゲート電極520までの距離が大きくなり十分な電界が加わらないため、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)によるリークを抑制することができる。別の言い方をすれば、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)が高抵抗化し、本来の第1チャネルを通る電流経路(RT1)が主流となる。
【0044】
また、サイド部SPは、メサ部MSより2DEG抑止力が小さく、サイド部SPの下方には、2DEGが生じている。別の言い方をすれば、2DEGの生成は、メサ部MSの下方において抑止されており、サイド部SPの下方において抑止されていない。さらに、別の言い方をすれば、サイド部SPの下方においては、抑止層としての機能が軽減されている。このため、本実施の形態の半導体装置は、オフセット構造とならない。
【0045】
以上のように、本実施の形態によれば、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部におけるリーク電流を軽減し、かつ、2DEGの発生領域をゲート電極520の端まで維持することが可能となり、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。特に、本実施の形態によれば、ノンドープのメサ部(2DEG抑止層)MSの膜厚を大きくし、閾値電位を高くした場合においても、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。
【0046】
より具体的には、本実施の形態においては、サイド部SPを、メサ部MSより膜厚が薄い“薄膜部”としている。例えば、この薄膜部の膜厚は、半導体装置の駆動時のゲート電極による電界でトンネル電流が発生しない範囲(例えば、1MV/cmを超えない範囲)で、エッチングの制御性を考慮し、可能な限り薄いことが望ましい。例えば、ゲート電圧が10V程度、ゲート絶縁膜の膜厚が100nm程度の条件において、薄膜部の膜厚を20nm程度とした場合、電界強度は約0.6MV/cm程度となる。このように、トンネル電流が発生せず、かつ、2DEGの抑止効果を低減し、2DEGを十分に発生することができる。このように、例えば、薄膜部の膜厚を20nm程度とすることで、その下部に2DEGを発生させることができる。
【0047】
また、例えば、ゲート電圧が10V程度、ゲート絶縁膜の膜厚が100nm程度の条件において、ゲート電極520とサイド部SPの端部との距離(伸長距離、延在距離、Lb−Lg)/2)を、0.2μm以上とすれば、メサ部の側壁に加わるゲート電極による電界が十分低く、低電界となり、上記第2チャネルを通る電流経路(RT2)による(リークパスが形成され難くなる。
【0048】
なお、ここでは、ゲート電極520の端部は、サイド部(薄膜部)SP上に位置し、ゲート電極520とサイド部(薄膜部)SPとの重なり領域を設けている。この重なり領域の幅[(Lg−La)/2]は、例えば、0.1μm〜0.2μm程度である。このように、ゲート電極520とサイド部(薄膜部)SPとの重なり領域を設けることで、マスクずれにより、メサ部MS上に、ゲート電極520がずれて配置された場合においても、2DEGが消失し、オフセット構造となることを防止することができる。
【0049】
図7は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図であり、
図2は、
図7の一部(例えば、破線で囲んだ領域a)に対応する。なお、
図7においては、図面を見やすくするため、このフィールドプレート部(ソース電極532のうち、ゲート電極520の上方に位置する部分)の図示を省略している。
【0050】
図2および
図7に示すように、ドレイン電極542の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。また、ソース電極532の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。ドレイン電極542の下には、ドレイン電極542と第3窒化物半導体層(障壁層)300との接続部となるコンタクトホール541が配置されている。このコンタクトホール541の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。ソース電極532の下には、ソース電極532と第3窒化物半導体層(障壁層)300との接続部となるコンタクトホール531が配置されている。このコンタクトホール531の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。
【0051】
そして、ドレイン電極542の下のコンタクトホール541とソース電極532の下のコンタクトホール531との間には、ゲート電極520が配置されている。前述したようにゲート電極520は、Y方向に長辺を有する矩形状である。
【0052】
図2に示す、ドレイン電極542、ゲート電極520およびソース電極532は、
図7に示すように、繰り返して複数配置されている。
【0053】
即ち、
図7に示すように、ドレイン電極542の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。複数のライン状のドレイン電極542が、X方向に一定の間隔を置いて配置されている。また、ソース電極532の平面形状は、Y方向に長辺を有する矩形状である。複数のライン状のソース電極532が、X方向に一定の間隔を置いて配置されている。そして、複数のソース電極532のそれぞれと、複数のドレイン電極542のそれぞれは、X方向に沿って互い違いに配置されている。そして、ドレイン電極542の下のコンタクトホール(541)とソース電極532の下のコンタクトホール(531)との間には、ゲート電極520が配置されている。
【0054】
また、複数のドレイン電極542は、ドレインパッド(端子部ともいう)D1により接続される。このドレインパッドD1は、ドレイン電極542の一端側(例えば、
図7における、中央部)において、X方向に延在するように配置される。言い換えれば、X方向に延在するドレインパッドD1からY方向に突き出るように複数のドレイン電極542が配置される。このような形状を、櫛形形状と言うことがある。
【0055】
複数のソース電極532は、ソースパッド(端子部ともいう)S1により接続される。このソースパッドS1は、ソース電極532の他端側(例えば、
図7における、左側)において、X方向に延在するように配置される。言い換えれば、X方向に延在するソースパッドS1からY方向に突き出るように複数のソース電極532が配置される。このような形状を、櫛形形状と言うことがある。
【0056】
複数のゲート電極520は、ゲート線GLにより接続される。このゲート線GLは、ゲート電極520の一端側(例えば、
図7における、左側)において、X方向に延在するように配置される。言い換えれば、X方向に延在するゲート線GLからY方向に突き出るように複数のゲート電極520が配置される。なお、ゲート線GLは、例えば、ゲート線GLのX方向の両側(例えば、
図7における、上側または下側)に設けられたゲートパッド(図示せず)と接続される。
【0057】
なお、ゲート電極520およびゲート線GLの断面図における下方には、ゲート絶縁膜510を介して、メサ部MSが配置され、このメサ部MSの両側にはサイド部SPが配置されている(
図2参照)。
【0058】
また、上記ゲート線GL、ゲート電極520、ソースパッドS1、ソース電極532およびドレイン電極542は、
図7の中央部のドレインパッドD1を軸として左右対称に配置されている。
【0059】
そして、上記ソース電極532、ドレイン電極542およびゲート電極520は、主として、素子分離領域ISOで囲まれた活性領域AC上に配置されている。活性領域ACの平面形状は、X方向に長辺を有する略矩形状である。一方、ドレインパッドD1、ゲート線GL、ソースパッドS1は、素子分離領域ISO上に配置されている。活性領域ACとゲート線GLとの間に、ソースパッドS1が配置されている。素子分離領域ISOは、イオン注入等によりホウ素(B)や窒素(N)などのイオン種が打ち込まれ、窒化物半導体層において結晶性が破壊された領域である。
【0060】
[製法説明]
次いで、
図8〜
図23を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図8〜
図23は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図または平面図である。
【0061】
図8、
図9に示すように、基板12を準備し、第1〜第3窒化物半導体層を順次形成する。基板12として、例えば、(111)面が露出しているシリコン(Si)からなる半導体基板を用いる。なお、基板12としては、上記シリコンの他、SiCやサファイアなどからなる基板を用いてもよい。また、GaNからなる基板を用いてもよい。なお、通常、基板12上にこの後形成される窒化物半導体層(III−V族の化合物半導体層)は、すべてIII族元素面成長(即ち、本件の場合、ガリウム面成長あるいはアルミ面成長)で形成する。なお、基板12上に、核生成層および高抵抗バッファ層を形成した後、第1〜第3窒化物半導体層を順次形成してもよい。核生成層として、例えば、窒化アルミニウム(AlN)層を用いることができ、この層は、例えば、有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いた、エピタキシャル成長により形成することができる。また、高抵抗バッファ層として、窒化ガリウム(GaN)層と窒化アルミニウム(AlN)層との積層膜(AlN/GaN膜)を、繰り返し積層した超格子構造体を用いることができ、この超格子構造体は、例えば、窒化ガリウム(GaN)層と、窒化アルミニウム(AlN)層とを、交互に有機金属気相成長法を用いてエピタキシャル成長させることにより形成することができる。
【0062】
次いで、基板12上に、第1窒化物半導体層(バッファ層)100として、AlGaN層を有機金属気相成長法などを用いて、1000nm程度エピタキシャル成長させる。AlGaN層の構成元素比については、例えば、Al
XGa
1−XNとする場合に、Xを0以上0.1以下(0≦X≦0.1)とする。このAlGaN層は、例えば、ノンドープ層である。即ち、意図的なn型不純物やp型不純物のドープは行われていない。
【0063】
次いで、第1窒化物半導体層100上に、第2窒化物半導体層(チャネル層)200として、GaN層を有機金属気相成長法などを用いて、50nm程度エピタキシャル成長させる。
【0064】
次いで、第2窒化物半導体層200上に、第3窒化物半導体層(障壁層)300として、AlGaN層を有機金属気相成長法などを用いて、20nm程度エピタキシャル成長させる。AlGaN層の構成元素比については、例えば、Al
YGa
1−YNとする場合に、YをXより大きく0.4未満(X<Y<0.4)とする。
【0065】
ここで、第2窒化物半導体層(チャネル層)200と、第3窒化物半導体層(障壁層)300との界面には、前述したように、2DEG(2次元電子ガス)が発生する。
【0066】
次いで、
図10、
図11に示すように、第3窒化物半導体層300上に、第4窒化物半導体層400として、AlGaN層またはInGaN層を有機金属気相成長法などを用いて、100nm程度エピタキシャル成長させる。AlGaN層の構成元素比については、例えば、Al
ZGa
1−ZNとする場合に、ZをXより小さく(0≦Z<X)とする。この第4窒化物半導体層400の成膜により、上記2DEGが消失する。
【0067】
なお、第1〜第4窒化物半導体層100〜400は、例えば、キャリアガスと原料ガスを、装置内に導入しながら、層を成長させる。原料ガスには、窒化物半導体層(ここでは、AlGaN層やGaN層)の構成元素を含むガスを用いる。例えば、AlGaN層の成膜の際には、Al、Ga、Nの原料ガスとして、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニアをそれぞれ用いる。また、例えば、GaN層の成膜の際には、Ga、Nの原料ガスとして、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニアをそれぞれ用いる。このように、エピタキシャル成長法によれば、原料ガスの流量を調整することで、各層の構成元素比を容易に、また、精度よく調整することができる。また、エピタキシャル成長法によれば、原料ガスを切り換えることで、異なる元素構成の層を容易に連続して成膜することができる。
【0068】
次いで、
図12、
図13に示すように、第4窒化物半導体層400上に保護膜(例えば、酸化シリコン膜)PRO1を形成し、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上に、素子分離領域ISOに開口を有するフォトレジスト膜(マスク膜)PR1を形成する。次いで、フォトレジスト膜PR1をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して打ち込むことにより、素子分離領域ISOを形成する。このように、ホウ素(B)や窒素(N)などのイオン種が打ち込まれることにより、窒化物半導体層において結晶性が破壊され、素子分離領域ISOが形成される。
【0069】
例えば、ホウ素イオンを、第1〜第4窒化物半導体層100〜400からなる積層体中の一部に、1×10
14(1E14)〜4×10
14(1E14)cm
−2程度の密度で打ち込む。打ち込みエネルギーは、例えば、100〜200keV程度である。なお、打ち込みの深さ、即ち、素子分離領域ISOの底部は、例えば、第3窒化物半導体層(障壁層)300の底面より下に位置するように、ホウ素イオンの打ち込み条件を調整する。このようにして、素子分離領域ISOを形成する。この素子分離領域ISOで囲まれた領域が活性領域ACとなる。
図13、
図7に示すように、この活性領域ACは、略矩形状である。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR1を除去する。
【0070】
次いで、
図14、
図15に示すように、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上のメサ部MSの形成領域(平面視において第1矩形状)に、フォトレジスト膜PR2を形成する。このフォトレジスト膜PR2をマスクとして、保護膜PRO1およびその下層の第4窒化物半導体層400を途中までエッチングする。これにより、メサ部MSとその両側の薄膜部410が形成される。この薄膜部410の一部がサイド部SPとなる。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR2を除去する。さらに、保護膜PRO1を除去する。
【0071】
この段階においては、メサ部MSが第3窒化物半導体層(障壁層)300上に部分的(例えば、Y方向に長辺を有する矩形状)に形成され、その下方においては、2DEGは消失したままである。一方、メサ部MSの両側(周囲)の薄膜部410の下方においては、2DEG抑止力が小さく、薄膜部410の下方において、2DEGが再発生する。
【0072】
次いで、
図16、
図17に示すように、メサ部MSおよび薄膜部410上に保護膜(例えば、酸化シリコン膜、膜厚10nm程度)PRO2を形成し、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO2上に、メサ部MSの形成領域より一回り大きい領域(平面視において第2矩形状)に、フォトレジスト膜PR3を形成する。このフォトレジスト膜PR3をマスクとして、保護膜PRO2および第4窒化物半導体層400よりなる薄膜部410をエッチングする。これにより、メサ部MSとその両側のサイド部SPが形成される。
【0073】
次いで、
図18、
図19に示すように、メサ部MSとその両側のサイド部SP上を含む第3窒化物半導体層(障壁層)300上に、ゲート絶縁膜510となる絶縁膜と、ゲート電極520となる導電性膜を順次形成する。例えば、メサ部MSとその両側のサイド部SP上を含む第3窒化物半導体層(障壁層)300上に、ゲート絶縁膜510用の絶縁膜として、酸化アルミニウム膜(Al
2O
3膜)をALD法などを用いて20〜200nm程度の膜厚で堆積する。ゲート絶縁膜510用の絶縁膜としては、酸化アルミニウム膜の他、酸化シリコン膜や、酸化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を用いてもよい。高誘電率膜として、SiN膜、SiON膜(酸窒化シリコン膜)、ZrO
2膜(酸化ジルコニウム膜)、HfO
2膜(酸化ハフニウム膜)、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のようなハフニウム系絶縁膜を用いてもよい。
【0074】
次いで、例えば、ゲート絶縁膜510用の絶縁膜上に、ゲート電極520用の導電性膜として、例えば、TiN(窒化チタン)膜を、スパッタリング法などを用いて100〜200nm程度の膜厚で堆積する。導電性膜の構成材料や膜厚は適宜調整可能である。ゲート電極520用の導電性膜として、TiNの他、BまたはPなどのドーパントを添加した多結晶シリコンを用いてもよい。また、Ti、Al、Ni、Pt、Au、およびこれらのSi化合物や、N化合物を用いてもよい。また、これらの材料膜を積層した多層膜を用いてもよい。例えば、導電性膜として、上記TiN(窒化チタン)膜上に、100〜200nm程度の膜厚のAl膜を積層した膜を用いてもよい。
【0075】
次いで、
図20、
図21に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極形成領域(平面視において第1矩形状より一回り大きく、かつ、第2矩形状より一回り小さい第3矩形状)にフォトレジスト膜PR4を形成し、このフォトレジスト膜PR4をマスクとして、TiN膜をエッチングすることによりゲート電極520を形成する。具体的には、例えば、Cl
2を主成分とするガスを用いたドライエッチングによりTiN膜をエッチングする。Cl
2のような塩素系ガスに代えて、フッ素系ガスを用いてもよい。また、塩素系ガスとフッ素系ガスの混合ガスを用いてもよい。次いで、ゲート電極(TiN膜)520の下層の酸化アルミニウム膜をエッチングする。例えば、BCl
3を主成分とするガスを用いたドライエッチングにより酸化アルミニウム膜をエッチングする。
【0076】
これにより、ゲート電極520の両側にサイド部SPの一部が露出する。別の言い方をすれば、ゲート電極520の端部は、サイド部SP上に位置する。このように、メサ部の形成領域(第1矩形状)<ゲート電極520の形成領域(第3矩形状)<メサ部およびサイド部の合成体の形成領域(第2矩形状)とすることにより、マスクずれなどにより、メサ部MSに対してゲート電極520がずれて形成された場合においても、2DEGが消失し、オフセット構造となることを防止することができる。
【0077】
例えば、加工精度や露光時のマスクずれを考慮し、ゲート長(Lg)を2μm、ゲート電極520の両側に露出したサイド部SPの幅[(Lb−Lg)/2]を0.2μm、メサ部MSの端部とゲート電極の端部との距離[(Lg−La)/2]を0.1μm程度とすることができる。
【0078】
ここで、メサ部MSは、第3窒化物半導体層(障壁層)300上に部分的(例えば、Y方向に長辺を有する矩形状)に形成され、その下方においては、2DEGは消失したままである。一方、メサ部MSおよびサイド部SPの合成体の両側の第3窒化物半導体層300の露出部においては、2DEGが発生したままである。そして、サイド部SPは、第4窒化物半導体層400の薄膜部よりなり、2DEG抑止力が小さく、サイド部SPの下方においても、2DEGが発生したままである。
【0079】
この後、フォトレジスト膜PR4を除去する。なお、ゲート電極520の加工後に、フォトレジスト膜PR4を除去し、ゲート電極520をマスクとして、ゲート絶縁膜510をエッチングしてもよい。
【0080】
次いで、
図22、
図23に示すように、ゲート電極520上に、層間絶縁膜600を形成する。例えば、層間絶縁膜600として、酸化シリコン膜をCVD法などを用いて2μm程度堆積する。酸化シリコン膜としては、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl orthosilicate)を原料として用いた、いわゆるTEOS膜を用いてもよい。次いで、フォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いて、層間絶縁膜600中に、コンタクトホール531、541を形成する。例えば、層間絶縁膜600上に、ソース電極接続領域およびドレイン電極接続領域にそれぞれ開口部を有するフォトレジスト膜(図示せず)を形成する。次いで、このフォトレジスト膜をマスクとして、層間絶縁膜600をエッチングすることにより、コンタクトホール531、541を形成する。例えば、SF
6を主成分とするガス(フッ素系ガス)を用いたドライエッチングにより、層間絶縁膜600をエッチングする。これにより、ゲート電極520の両側に位置するソース電極接続領域およびドレイン電極接続領域の第3窒化物半導体層(障壁層)300が露出する。
【0081】
次いで、このコンタクトホール531、541中および層間絶縁膜600上に、ソース電極532およびドレイン電極542を形成する。例えば、コンタクトホール531、541内を含む層間絶縁膜600上に導電性膜を形成する。例えば、導電性膜として、Al/Ti膜を形成する。例えば、コンタクトホール内を含む層間絶縁膜600上に、Ti膜を、スパッタリング法などを用いて20nm程度の膜厚で形成し、さらに、その上に、Al膜をスパッタリング法などを用いて2μm程度の膜厚で形成する。次いで、熱処理を施す。例えば、500℃、30分間の熱処理を行う。これにより、導電性膜(Al/Ti膜)とその下層の層との間のオーミックコンタクトを取ることができる。
【0082】
次いで、ソース電極532、ドレイン電極542の形成領域にフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、このフォトレジスト膜(図示せず)をマスクとして、導電性膜(Al/Ti膜)をエッチングする。例えば、Cl
2を主成分とするガスを用いたドライエッチングにより、導電性膜(Al/Ti膜)をエッチングする。なお、ここでは、このソース電極532は、ゲート電極520の上方まで延在している。例えば、ゲート電極520上においては、層間絶縁膜600を介してソース電極532が配置されている。このように、ソース電極532によりゲート電極520を覆う構成とすることで、ソースフィールドプレート効果を奏することができる。
【0083】
このソース電極532およびドレイン電極542を構成する導電性膜の構成材料や膜厚は適宜調整可能である。このような導電性膜としては、窒化物半導体層とオーミック接触する材料を用いることが好ましい。
【0084】
この後、ソース電極532、ドレイン電極542上を含む層間絶縁膜600上に、絶縁膜を形成し、さらに、上層の配線を形成してもよい。また、最上層配線上には、絶縁膜よりなる保護膜を形成してもよい。
【0085】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。なお、上記工程は、一例であり、上記工程以外の工程により、本実施の形態の半導体装置を製造してもよい。
【0086】
例えば、保護膜PRO1をマスクとして第4窒化物半導体層400を途中までエッチングする代わりに、ゲート絶縁膜510およびゲート電極520を先に形成し、これをマスクとして第4窒化物半導体層400を途中までエッチングすることで、ゲート電極520とサイド部(薄膜部)SPとの重なり領域を0(オンライン)まで縮小することができる(La≦Lg<Lb)。
【0087】
(実施の形態2)
上記実施の形態1においては、サイド部SPを、第4窒化物半導体層(400)の薄膜部410で構成したが、サイド部SPを、イオン注入部で構成してもよい。別の言い方をすれば、サイド部SPによる2DEGの抑止効果の無効化を、実施の形態1においては、第4窒化物半導体層(400)の薄膜化で図ったが、本実施の形態においては、第4窒化物半導体層(400)へのイオン注入による結晶性の破壊により図る。
【0088】
[構造説明]
図24は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図25は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
図24の断面図は、例えば、
図25のA−A部に対応する。
【0089】
図24、
図25に示すように、本実施の形態の半導体装置において、サイド部SP以外の構成は、実施の形態1(
図1、
図2)に示す半導体装置と、同様であるため、その説明を省略する。
【0090】
本実施の形態においては、サイド部SPが、イオン注入領域(イオン注入部、ドープ層ともいう)420bと、このイオン注入領域420bの下に位置する、ノンドープ領域(ノンドープ層ともいう)420aと、を有する。
【0091】
イオン注入領域420bは、イオン注入等によりホウ素(B)や窒素(N)などのイオン種が打ち込まれ、窒化物半導体層において結晶性が破壊された領域である。このため、本実施の形態においては、メサ部MSとサイド部SPの膜厚が同程度となる。イオン注入領域(ドープ層ともいう)420b中のイオン種(ホウ素イオンや窒素イオンなど)は、二次イオン質量分析(SIMS)により確認することができる。
【0092】
このように、メサ部MSの両側に、例えば、低加速エネルギーのイオン注入を行ない、結晶性を破壊することで、2DEG発生抑止能力を無効化することができる。即ち、サイド部SPにおいて、結晶性を選択的に破壊することで、第4窒化物半導体層(メサ部MSおよびサイド部SPの合成体)400の端部をゲート電極520から離しつつ、ゲート電極520の端まで2DEGの発生領域を維持することができる。
【0093】
このように、本実施の形態においても、実施の形態1において、
図5を参照しながら説明したように、第2チャネルを通る電流経路(RT2)が高抵抗となり、オン抵抗が高くなることを回避することができ、また、
図6を参照しながら説明したように、オフセット構造となることによるオン抵抗の上昇を回避することができる。即ち、本実施の形態によれば、本来の第1チャネルを通る電流経路(RT1)が主流となり、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部におけるリーク電流を軽減し、かつ、2DEGの発生領域をゲート電極520の端まで維持することが可能となり、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。
【0094】
[製法説明]
次いで、
図26〜
図31等を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図26〜
図31は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図または平面図である。なお、実施の形態1と同様の工程については、その説明を省略する。
【0095】
まず、第1〜第4窒化物半導体層(100〜400)が順次形成された基板12を準備する(
図8〜
図11)。
【0096】
次いで、実施の形態1と同様に、第4窒化物半導体層(例えば、膜厚60nm程度)400上に保護膜(例えば、酸化シリコン膜、膜厚10nm程度)PRO1を形成し、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上に、素子分離領域ISOに開口を有するフォトレジスト膜PR1を形成する。次いで、フォトレジスト膜PR1をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して打ち込むことにより、素子分離領域ISOを形成する(
図12、
図13)。
【0097】
次いで、フォトレジスト膜PR1を除去した後、
図26および
図27に示すように、保護膜PRO1上に、メサ部形成領域を覆うフォトレジスト膜PR22を形成する。なお、保護膜PRO1を除去し、別の保護膜を形成し直してもよい。
【0098】
次いで、フォトレジスト膜PR22をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して第4窒化物半導体層(400)に打ち込むことにより、ドープ層420bを形成する。なお、ここではドープ層420bの下層にノンドープ層420aが残存している。
【0099】
このように、ホウ素(B)や窒素(N)などのイオン種が打ち込まれることにより、窒化物半導体層において結晶性が破壊され、結晶性低下層420(420a、420b)が形成される。また、この工程で打ち込まれるイオン種類(元素)は、ホウ素(B)や窒素(N)であり、窒化物半導体層をn型またはp型とするために打ち込まれるイオン種(例えば、Si、Mg)とは異なるものである。
【0100】
具体的には、例えば、ホウ素イオンを、第4窒化物半導体層400に、1×10
14(1E14)cm
−2程度の密度で打ち込む。打ち込みエネルギーは、例えば、1〜5keV程度である。なお、打ち込みの深さは、第4窒化物半導体層400の底面より上に位置するように、ホウ素イオンの打ち込み条件を調整する。これにより、フォトレジスト膜PR22の下方に、ノンドープの第4窒化物半導体層(400)よりなるメサ部MSが形成され、その両側に、結晶性低下層420が形成される。また、結晶性低下層420は、前述したように、上層に位置するドープ層420bと、その下層に位置するノンドープ層420aとを有する。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR22を除去する。
【0101】
次いで、
図28、
図29に示すように、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上に、メサ部MSの形成領域より一回り大きい領域(平面視において第2矩形状)に、フォトレジスト膜PR23を形成する。なお、保護膜PRO1を除去し、別の保護膜を形成し直してもよい。このフォトレジスト膜PR23をマスクとして、保護膜PRO1および結晶性低下層420をエッチングする。これにより、メサ部MSとその両側のサイド部SPが形成される。このサイド部SPは、上層に位置するドープ層420bと、その下層に位置するノンドープ層420aとを有する。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR23を除去し、さらに、保護膜PRO1を除去する。
【0102】
次いで、
図30、
図31に示すように、メサ部MSとその両側のサイド部SP上に、ゲート絶縁膜510と、ゲート電極520を形成する。ゲート絶縁膜510およびゲート電極520は、実施の形態1の場合と同様の材料を用い、同様の方法で形成することができる。次いで、実施の形態1の場合と同様にして、層間絶縁膜600、コンタクトホール531、541、ソース電極532およびドレイン電極542を形成する。
【0103】
この後、ソース電極532、ドレイン電極542上を含む層間絶縁膜600上に、絶縁膜を形成し、さらに、上層の配線を形成してもよい。また、最上層配線上には、絶縁膜よりなる保護膜を形成してもよい。
【0104】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。なお、上記工程は、一例であり、上記工程以外の工程により、本実施の形態の半導体装置を製造してもよい。
【0105】
例えば、フォトレジスト膜PR22をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して第4窒化物半導体層(400)に打ち込む代わりに、ゲート絶縁膜510およびゲート電極520を先に形成し、ゲート電極パターニング用フォトレジスト膜あるいはパターニング後のゲート電極520をマスクとして、ホウ素イオンをゲート絶縁膜510保護膜を介して第4窒化物半導体層(400)に打ち込んでも良い。これによりゲート電極520とサイド部(薄膜部)SPとの重なり領域を0(オンライン)まで縮小することができる(La≦Lg<Lb)。
【0106】
(実施の形態3)
上記実施の形態2においては、2DEGの抑止効果の無効化を、第4窒化物半導体層(400)へのイオン注入による結晶性の破壊により図ったが、絶縁膜(窒化シリコン膜)との接触処理により、2DEGの抑止効果の無効化を図ってもよい。
【0107】
[構造説明]
図32は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図33は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
図32の断面図は、例えば、
図33のA−A部に対応する。
【0108】
図32、
図33に示すように、本実施の形態の半導体装置において、サイド部SP以外の構成は、実施の形態1、2に示す半導体装置と、同様であるため、その説明を省略する。
【0109】
本実施の形態においては、サイド部SPは、窒化シリコン膜(SiN)と接触処理された層(430)よりなる。このように、窒化シリコン膜と接触した第4窒化物半導体層(400)は、2DEGの抑止効果がなくなることを、本発明者らは見出した。このような、2DEGの抑止効果の無効化の要因については、詳しく究明できていないが、窒化シリコン膜との接触により、第4窒化物半導体層(400)の結晶性の変化が係わっていると考えられる。例えば、実施の形態2の場合と同様に、窒化シリコン膜(SiN)と接触した第4窒化物半導体層(400)の領域(接触部)において、結晶性が低下していると考えられる。よって、ここでは、窒化シリコン膜(SiN)と接触処理された層を、結晶性低下層430と言う。そして、窒化シリコン膜との接触処理による、第4窒化物半導体層(400)の2DEGの抑止効果は、窒化シリコン膜の除去により回復することはないことを、本発明者らは確認している。
【0110】
このような事象を利用して、サイド部SPを形成してもよい。即ち、サイド部SPとして、窒化シリコン膜(SiN)と接触処理された層(結晶性低下層430)を用いてもよい。この場合も、実施の形態1、2の場合と同様に、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部におけるリーク電流を軽減し、かつ、2DEGの発生領域をゲート電極520の端まで維持することが可能となり、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。
【0111】
[製法説明]
次いで、
図34〜
図41等を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図34〜
図41は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図または平面図である。なお、実施の形態1と同様の工程については、その説明を省略する。
【0112】
まず、第1〜第4窒化物半導体層(100〜400)が順次形成された基板12を準備する(
図8〜
図11)。
【0113】
次いで、実施の形態1と同様に、第4窒化物半導体層(例えば、膜厚60nm程度)400上に保護膜(例えば、酸化シリコン膜、膜厚10nm程度)PRO1を形成し、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上に、素子分離領域ISOに開口を有するフォトレジスト膜PR1を形成する。次いで、フォトレジスト膜PR1をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して打ち込むことにより、素子分離領域ISOを形成する(
図12、
図13)。
【0114】
次いで、フォトレジスト膜PR1を除去した後、
図34および
図35に示すように、保護膜PRO1上に、メサ部形成領域を覆うフォトレジスト膜PR32を形成する。なお、保護膜PRO1を除去し、別の保護膜を形成し直してもよい。次いで、フォトレジスト膜PR32をマスクとして、保護膜PRO1をエッチングし、メサ部形成領域に保護膜PRO1を残存させる。次いで、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR22を除去する。
【0115】
次いで、
図36、
図37に示すように、保護膜PRO1上を含む第4窒化物半導体層400上に、窒化シリコン膜(Si
3N
4)800をプラズマCVD法などを用いて100〜200nm程度の膜厚で堆積する。これにより、保護膜PRO1の下方の、窒化シリコン膜800と接触していない第4窒化物半導体層(400)よりなるメサ部MSが形成され、その両側に、窒化シリコン膜800と接触することにより結晶性が低下した層(430)が形成される。即ち、窒化シリコン膜800と接触することにより第4窒化物半導体層400の2DEG発生抑止機能が失われ、窒化シリコン膜(Si
3N
4)800と、第4窒化物半導体層400との接触領域において、2DEGが発生する。次いで、窒化シリコン膜(Si
3N
4)800および保護膜PRO1を除去する。
【0116】
次いで、
図38、
図39に示すように、結晶性低下層430、メサ部MSおよび第3窒化物半導体層(障壁層)300上にフォトリソグラフィ処理により、メサ部MSの形成領域より一回り大きい領域(平面視において第2矩形状)に、フォトレジスト膜PR33を形成する。このフォトレジスト膜PR33をマスクとして、サイド部SPをエッチングする。これにより、メサ部MSとその両側に配置され、結晶性低下層430よりなるサイド部SPが形成される。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR33を除去する。
【0117】
次いで、
図40、
図41に示すように、メサ部MSとその両側のサイド部SP上に、ゲート絶縁膜510と、ゲート電極520を形成する。ゲート絶縁膜510およびゲート電極520は、実施の形態1の場合と同様の材料を用い、同様の方法で形成することができる。次いで、実施の形態1の場合と同様にして、層間絶縁膜600、コンタクトホール531、541、ソース電極532およびドレイン電極542を形成する。
【0118】
この後、ソース電極532、ドレイン電極542上を含む層間絶縁膜600上に、絶縁膜を形成し、さらに、上層の配線を形成してもよい。また、最上層配線上には、絶縁膜よりなる保護膜を形成してもよい。
【0119】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。なお、上記工程は、一例であり、上記工程以外の工程により、本実施の形態の半導体装置を製造してもよい。
【0120】
なお、本実施の形態においても、実施の形態2の場合と同様に、サイド部SPにおいて、結晶性の低下した領域(420b)の下方に、結晶性を有する部位(420a)が残存していてもよい(
図24参照)。
【0121】
(実施の形態4)
実施の形態2、3等においては、メサ部MS上にゲート絶縁膜510を介してゲート電極520を配置する構成としたが、ゲート絶縁膜510のない接合型FET(JFETとも言う)構成としてもよい。
【0122】
(応用例1)
図42は、本実施の形態の応用例1の半導体装置の構成を示す断面図である。本応用例1の半導体装置は、実施の形態2の半導体装置のゲート絶縁膜510のない構成と対応する。このように、本応用例1の半導体装置は、ゲート絶縁膜510が省略されていること以外は、実施の形態2に示す半導体装置と、同様であるため、その説明を省略する。また、本実施の形態の半導体装置は、例えば、実施の形態2において説明した製造工程において、ゲート絶縁膜510の形成工程を省略した工程で製造することができる。
【0123】
(応用例2)
図43は、本実施の形態の応用例2の半導体装置の構成を示す断面図である。本応用例2の半導体装置は、実施の形態3の半導体装置のゲート絶縁膜510のない構成と対応する。このように、本応用例2の半導体装置は、ゲート絶縁膜510が省略されていること以外は、実施の形態3に示す半導体装置と、同様であるため、その説明を省略する。また、本実施の形態の半導体装置は、例えば、実施の形態3において説明した製造工程において、ゲート絶縁膜510の形成工程を省略した工程で製造することができる。
【0124】
本実施の形態の半導体装置(接合型FET)においても、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部におけるリーク電流を軽減し、かつ、2DEGの発生領域をゲート電極520の端まで維持することが可能となり、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。
【0125】
但し、接合型FETにおいては、メサ部(2DEG抑止層)MSの膜厚の設計について注意が必要である。具体的には、メサ部MSに1MV/cmを超える電界が印加された場合、メサ部MSの端ではなく膜中をトンネル電流が流れる。よって、接合型FETにおいては、ゲート絶縁膜がないため、前述の1MV/cmを超えないように、メサ部MSの膜厚を設定することが好ましい。例えば、定格ゲート電圧5V、障壁層の厚さ10nmの場合、メサ部MSの膜厚を75nm程度とすることができる。この場合、電界強度は約0.6MV/cm程度となり、トンネル電流は発生しない。
【0126】
(実施の形態5)
実施の形態1の半導体装置については、単純にゲート絶縁膜510を除去するだけで、接合型FETとすることはできない。このため、以下に説明する構成とすることが好ましい。
【0127】
[構造説明]
図44は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
図45は、本実施の形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
図44の断面図は、例えば、
図45のA−A部に対応する。
【0128】
図44、
図45に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、層間絶縁膜IL1により、メサ部MSとゲート電極520との接触領域が制限されており、サイド部SPとゲート電極520とが接触しない構成となっている。そして、ゲート絶縁膜は設けられていない。他の構成部は、実施の形態1の場合と同様である。
【0129】
本実施の形態の半導体装置(接合型FET)においても、メサ部(2DEG抑止層)MSの端部におけるリーク電流を軽減し、かつ、2DEGの発生領域をゲート電極520の端まで維持することが可能となり、リーク電流の低減とオン抵抗の低下を図ることができる。
【0130】
[製法説明]
次いで、
図46〜
図55等を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
図46〜
図55は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図または平面図である。なお、実施の形態1と同様の工程については、その説明を省略する。
【0131】
まず、第1〜第4窒化物半導体層(100〜400)が順次形成された基板12を準備する(
図8〜
図11)。
【0132】
次いで、実施の形態1と同様に、第4窒化物半導体層(例えば、膜厚60nm程度)400上に第1の絶縁膜として保護膜(例えば、酸化シリコン膜、膜厚200nm程度)PRO1を形成し、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上に、素子分離領域ISOに開口を有するフォトレジスト膜PR1を形成する。次いで、フォトレジスト膜PR1をマスクとして、ホウ素イオンを保護膜PRO1を介して打ち込むことにより、素子分離領域ISOを形成する(
図12、
図13)。
【0133】
次いで、フォトレジスト膜PR1を除去した後、実施の形態1の場合と同様にして、フォトリソグラフィ処理により、保護膜PRO1上のメサ部MSの形成領域(平面視において第1矩形状)に、フォトレジスト膜PR2を形成する。このフォトレジスト膜PR2をマスクとして、保護膜PRO1およびその下層の第4窒化物半導体層400を途中までエッチングする。これにより、メサ部MSとその両側の薄膜部410が形成される。この後、プラズマ剥離処理などによりフォトレジスト膜PR2を除去する(
図14、
図15)。
【0134】
次いで、
図46、
図47に示すように、保護膜PRO1、メサ部MSおよび薄膜部410上に、メサ部MSの形成領域より一回り大きい領域(平面視において第2矩形状)に、フォトレジスト膜PR3を形成する。このフォトレジスト膜PR3をマスクとして、第4窒化物半導体層400の薄膜部410をエッチングする。次いで、フォトレジスト膜PR3を除去する。なお、保護膜PRO1を除去し、別の保護膜を形成し直してもよい。
【0135】
次いで、
図48、
図49に示すように、サイド部SPおよび保護膜PRO1上を含む第3窒化物半導体層(障壁層)300上に、層間絶縁膜IL1として、第2絶縁膜(例えば、SiON膜、膜厚200nm程度)を形成する。ここで、第2絶縁膜は、第1絶縁膜より所定のエッチング条件において、エッチングレートが低い(エッチングされ難い)膜であることが好ましい。
【0136】
次いで、
図50、
図51に示すように、層間絶縁膜IL1の上部を、保護膜PRO1の表面が露出するまで、エッチバックまたはCMP(化学機械研磨、chemical mechanical polishing)により除去する。
【0137】
次いで、
図52、
図53に示すように、露出した保護膜PRO1をエッチングにより除去する。これにより、メサ部MS上に溝が形成される。
【0138】
次いで、
図54、
図55に示すように、上記溝の内部を含む層間絶縁膜IL1上に、ゲート電極520用の導電性膜として、例えば、TiN(窒化チタン)膜を、スパッタリング法などを用いて100〜200nm程度の膜厚で堆積する。
【0139】
次いで、上記導電性膜(TiN)をパターニングすることにより、ゲート電極520を形成する。さらに、層間絶縁膜600、コンタクトホール531、541、ソース電極532およびドレイン電極542を形成する(
図44、
図45)。これらの構成部は、実施の形態1の場合と類似の工程で形成することができる。
【0140】
この後、ソース電極532、ドレイン電極542上を含む層間絶縁膜600上に、絶縁膜を形成し、さらに、上層の配線を形成してもよい。また、最上層配線上には、絶縁膜よりなる保護膜を形成してもよい。
【0141】
以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。なお、上記工程は、一例であり、上記工程以外の工程により、本実施の形態の半導体装置を製造してもよい。
【0142】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施の形態1、2、3においては、保護膜やフォトレジスト膜をマスクとしてサイド部を形成したが、ゲート電極をマスクとしてもよい。例えば、ゲート電極をパターニングした後、ゲート電極をマスクとして第4窒化物半導体層をエッチングし、薄膜部(410)を形成してもよい。また、ゲート電極をマスクとして結晶性低下層(420、430)を形成してもよい。
【0143】
[付記1]
(a)第1窒化物半導体層上に、第2窒化物半導体層を形成する工程、
(b)前記第2窒化物半導体層上に、第3窒化物半導体層を形成する工程、
(c)前記第3窒化物半導体層上に、第4窒化物半導体層を形成する工程、
(d)前記第4窒化物半導体層よりなる、メサ部と、前記メサ部の両側に設けられたサイド部と、を形成する工程、
(e)前記メサ部の上方にゲート電極を形成する工程、を有し、
前記(d)工程は、前記(e)工程の後、前記ゲート電極をマスクとして、前記第4窒化物半導体層をエッチングすることにより、前記サイド部を形成するとともに、前記ゲート電極下の前記第4窒化物半導体層よりなる前記メサ部を形成する工程を有し、
前記第2窒化物半導体層と前記第3窒化物半導体層との間の2次元電子ガスの生成は、前記メサ部の下方において抑止されており、前記サイド部の下方において抑止されていない、半導体装置の製造方法。
【0144】
[付記2]
(a)第1窒化物半導体層上に、第2窒化物半導体層を形成する工程、
(b)前記第2窒化物半導体層上に、第3窒化物半導体層を形成する工程、
(c)前記第3窒化物半導体層上に、第4窒化物半導体層を形成する工程、
(d)前記第4窒化物半導体層よりなる、メサ部と、前記メサ部の両側に設けられたサイド部と、を形成する工程、
(e)前記メサ部の上方にゲート電極を形成する工程、を有し、
前記(d)工程は、
(d1)前記第4窒化物半導体層の前記メサ部の形成予定領域以外の領域を途中までエッチングすることにより前記メサ部を形成する工程、
(d2)前記メサ部上の第1絶縁膜上を含む前記第4窒化物半導体層上に第2絶縁膜を形成した後、前記第2絶縁膜の表面を前記第1絶縁膜が露出するまで除去する工程、
(d3)前記第1絶縁膜を除去することにより、前記メサ部上に溝を形成する工程、を有し、
前記(e)工程は、前記溝中に前記ゲート電極を形成する工程であり、
前記サイド部は、前記ゲート電極の外側に延在し、
前記第2窒化物半導体層と前記第3窒化物半導体層との間の2次元電子ガスの生成は、前記メサ部の下方において抑止されており、前記サイド部の下方において抑止されていない、半導体装置の製造方法。