(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材は、所定の間隔で配置される第1板部および第2板部と、前記第1板部および前記第2板部と交差する方向に延在し、前記第1板部と前記第2板部とを接続する第3板部と、を備え、
前記第3板部は、前記位置調整部と前記第3軸線方向に当接することを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を−Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を−Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を−Zで示す。Z軸方向は、振れ補正機能付き光学ユニットの光軸L方向と一致する。また、−Z方向は光軸L方向の反被写体側(像側)、+Z方向は光軸L方向の被写体側である。
【0019】
本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットは、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニットは、光学機器の機器本体や移動体本体、あるいは、振れ補正機能付き光学ユニットに搭載したジャイロスコープ(振れ検出センサ)によって手振れを検出する。そして、検出結果に基づいて、撮影画像の乱れを回避するための振れ補正を行う。上記の各軸線周りの振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。
【0020】
(全体構成)
図1は本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1を被写体側から見た斜視図である。
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、光学ユニット1という)は、Z軸方向から見た場合に略8角形の外形をした筒状ケース20を備える。筒状ケース20は、略8角形の筒状の胴部21と、胴部21の+Z方向の端部から内側に張り出
した枠状の端板部22を備える。端板部22の中央には略8角形の開口部23が形成されている。開口部23は被写体側(+Z方向)を向いている。また、胴部21には、−Z方向の端部の周方向の一部を切り欠いた切り欠き部24が形成されている。
【0021】
図2は筒状ケース20を取り外した光学ユニット1の断面図であり、
図1のA−A位置(YZ面)で切断した断面図である。また、
図3、
図4は筒状ケース20を取り外した光学ユニット1をジンバル機構4の揺動支持部(第1揺動支持部41、第2揺動支持部42)の位置で切断した断面図であり、
図3は
図1の第1軸線R1を通る対角位置で切断した断面図であり、
図4は
図1の第2軸線R2を通る対角位置で切断した断面図である。
【0022】
図2〜
図4に示すように、光学ユニット1は、光学素子2を備えるカメラモジュール10が搭載された可動体3と、可動体3を揺動可能に支持するジンバル機構4と、ジンバル機構4を介して可動体3を支持するホルダ5を備える。ジンバル機構4は、可動体3を、Z軸方向と光学素子2の光軸Lとが一致する基準姿勢およびZ軸方向に対して光軸Lが傾斜する傾斜姿勢の間で揺動可能に支持する。また、光学ユニット1は、ホルダ5をZ軸周りに回転可能に支持する回転支持機構6と、回転支持機構6を介してホルダ5を支持する固定体8を備える。
【0023】
ジンバル機構4は、可動体3とホルダ5との間に構成されている。また、回転支持機構6は、固定体8とホルダ5との間に構成されている。すなわち、光学ユニット1は、可動体3、ジンバル機構4、およびホルダ5によって構成される回転体を備えており、この回転体は、回転支持機構6により、固定体8に対してZ軸周りに回転可能に支持される。また、ジンバル機構4による支持構造においては、ホルダ5は、可動体3を揺動可能に支持する固定体として機能する。
【0024】
また、光学ユニット1は、可動体3を揺動させる揺動用磁気駆動機構11と、ホルダ5を回転させるローリング用磁気駆動機構12とを備える。揺動用磁気駆動機構11は、可動体3に保持された揺動駆動用コイル13と、固定体8に保持された揺動駆動用磁石14とを備える。揺動駆動用コイル13と揺動駆動用磁石14とは、光軸Lと直交する径方向で対向する。また、可動体3には、揺動駆動用磁石14と径方向で対向する磁性部材17が保持されている。磁性部材17と揺動駆動用磁石14は、可動体3を基準姿勢に復帰させるための磁気バネを構成する。ローリング用磁気駆動機構12は、ホルダ5に保持されたローリング駆動用コイル15と、固定体8に保持されたローリング駆動用磁石16とを備える。本例では、ローリング駆動用コイル15とローリング駆動用磁石16とは、Z軸方向で対向する。
【0025】
図1、
図2に示すように、光学ユニット1は、フレキシブルプリント基板を備える。なお、
図3、
図4では、フレキシブルプリント基板の図示を省略している。光学ユニット1は、フレキシブルプリント基板として、カメラモジュール100と接続される光学モジュール用配線基板19Aと、揺動用磁気駆動機構11と接続される揺動機構用配線基板19Bと、ローリング用磁気駆動機構12と接続されるローリング機構用配線基板19Cを備える。
【0026】
(固定体)
固定体8は、上述した筒状ケース20と、筒状ケース20に対して反被写体側(−Z方向側)から組み付けられる反被写体側ケース25と、反被写体側ケース25の反被写体側(−Z方向側)の面に形成された凹部に取り付けられるヨーク26と、反被写体側ケース25に対して反被写体側(−Z方向側)から固定される板状部材27を備える。本形態では、筒状ケース20は磁性材料から形成され、反被写体側ケース25は樹脂材料から形成されている。
【0027】
図2に示すように、反被写体側ケース25の中央には、回転支持機構6を構成するボールベアリング61の外輪62が内周側に嵌まる筒部28が形成されている。回転支持機構6は、2組のボールベアリング61を備える。また、反被写体側ケース25には、筒部28を挟んだ径方向の反対側にローリング駆動用磁石16を保持するための保持孔29が形成されている。ヨーク26は、保持孔29に嵌め込まれた2つのローリング駆動用磁石16に−Z方向側から当接する。ヨーク26においてローリング駆動用磁石16が当接する部分には接着剤が塗布されており、ローリング駆動用磁石16はヨーク26に固定されている。
【0028】
(ホルダ)
ホルダ5は、可動体3の外周側に位置するホルダ本体部材31と、反被写体側(−Z方向)からホルダ本体部材31に固定されて可動体3とZ軸方向に対向する回転台座32とを備える。ホルダ本体部材31および回転台座32は樹脂製である。ホルダ本体部材31は、筒状ケース20の開口部23の内側に配置される環状部34(
図1参照)と、環状部34の−Z方向側に連続するホルダ胴部35を備える。ホルダ胴部35は、X軸方向の両側およびY軸方向の両側に開口する4箇所の窓部36と、周方向に隣り合う窓部36を区画する4本の縦枠部37を備える。
【0029】
回転台座32の外周縁には、被写体側(+Z方向)に突出する環状凸部38が設けられている。回転台座32がホルダ本体部材31に固定される際には、環状凸部38がホルダ本体部材31(ホルダ胴部35)の−Z方向の端部の内側に嵌り込む。また、回転台座32の中央には軸部39が固定されている。軸部39は、回転台座32から反被写体側(−Z方向)に突出する。軸部39には、ボールベアリング61の内輪63が固定される。また、回転台座32は、軸部39を間に挟んだ径方向の反対側にコイル保持部40を備える。ローリング駆動用コイル15は、コイル保持部40に保持される。
【0030】
(ローリング用磁気駆動機構)
ローリング用磁気駆動機構12は、
図2に示すように、ホルダ5の回転台座32に保持された2つのローリング駆動用コイル15と、固定体8の反被写体側ケース25およびヨーク26に保持されて、Z軸方向で各ローリング駆動用コイル15と対向する2つのローリング駆動用磁石16を備える。各ローリング駆動用磁石16は、周方向に2分割され、ローリング駆動用コイル15と対向する面の磁極が分割位置(着磁分極線)を境にして異なるように着磁されている。また、各ローリング駆動用コイル15は空芯コイルであり、径方向に延びる長辺部分が有効辺として利用される。回転台座32には、ローリング駆動用磁石16とZ軸方向で対向する磁性部材18が保持されている。磁性部材18と揺動駆動用磁石14は、ホルダ5を基準回転位置に復帰させるための磁気バネを構成する。
【0031】
(揺動体)
図2に示すように、可動体3は、カメラモジュール100と、カメラモジュール100を外周側から保持するカメラモジュールホルダ110を備える。カメラモジュール100は、光学素子2と、光学素子2の光軸L上に位置する撮像素子103とを有する。撮像素子103は、基板104の被写体側(+Z方向)の面に実装されている。基板104の反被写体側(−Z方向)の面には、信号処理用のICチップ105が搭載されている。また、カメラモジュール100は、光学素子2を保持するレンズホルダ106を備える。レンズホルダ106は、Z軸方向に延びる円筒部107と、円筒部107の反被写体側(−Z方向)の端縁から外周側に拡がる矩形の板部108と、板部108の外周縁から−Z方向に延びる角筒部109を備える。角筒部109には、基板104およびICチップ105を反被写体側(−Z方向)から覆う板バネ120が固定されている。
【0032】
図5は、可動体3、揺動用磁気駆動機構11、およびジンバル機構4を被写体側から見た平面図である。
図2、
図5に示すように、カメラモジュールホルダ110は、レンズホルダ106の外周側を囲む筒部111と、筒部111の反被写体側(−Z方向)の端部から径方向外側に拡がる底板部115(
図2参照)と、底板部115のX軸方向の両端において、+Z方向に立ち上がりY軸方向に延在する一対の壁部116、117(
図5参照)と、底板部115のY軸方向の両端において、+Z方向に立ち上がりX軸方向に延在する一対の壁部118、119(
図2、
図5参照)とを備える。各壁部116、117、118、119の径方向外側の面には、揺動駆動用コイル13が固定されている。
【0033】
(ジンバル機構)
ジンバル機構4は、カメラモジュールホルダ110(可動体3)とホルダ本体部材31(ホルダ5)との間に構成されている。上述したように、ホルダ5は、ジンバル機構4による支持構造においては、可動体3を揺動可能に支持する固定体として機能する。ジンバル機構4は、カメラモジュールホルダ110の第1軸線R1上の対角位置に設けられた2箇所の第1揺動支持部41(
図3、
図5参照)と、ホルダ本体部材31の第2軸線R2上の対角位置に設けられた2箇所の第2揺動支持部42(
図4、
図5参照)と、第1揺動支持部41および第2揺動支持部42によって支持される可動枠45を備える。第1軸線R1および第2軸線R2はZ軸方向と直交し、且つ、X軸方向およびY軸方向に対して45度傾いた方向である。
【0034】
図3、
図5に示すように、第1揺動支持部41は、カメラモジュールホルダ110に形成された第1接点バネ保持部43と、第1接点バネ保持部43に保持される接点バネ50を備える。第1接点バネ保持部43は、カメラモジュールホルダ110の第1軸線R1方向の対角位置に形成されたバネ支持壁431の内側部分を径方向外側および反被写体側(−Z方向)に凹ませた凹部432である。凹部432の内面は、第1軸線R1と直交する方向に延在し径方向内側を向く第1バネ支持面433と、被写体側(+Z方向)を向く第1バネ固定面434を備える。凹部432の底面には、後述する位置調整部90が設けられ、第1バネ固定面434は、位置調整部90に形成されている。
【0035】
図6は、可動枠45および接点バネ50の分解斜視図である。接点バネ50は、金属製のバネ部材である。接点バネ50は、Z軸方向に延在する第1板部51および第2板部52と、Z軸方向と交差する方向に延在して第1板部51と第2板部52とを接続する第3板部53と、第1板部51の第3板部53とは逆の端部から第2板部52と逆の側に突出する抜け止め部54を備える。接点バネ50の第1板部51には、球面状の凹面である接点部55が形成されている。接点部55は、第1板部51にパンチ加工等の方法により形成された半球状の凹部の内側面である。
【0036】
接点バネ50の第2板部52は、第3板部53とは反対側の端部の幅が他の部位より小さく、この部分に、接点部55と対向する部位を第1板部51の側に凹ませたストッパ部56が形成されている。ストッパ部56は、接点バネ50が撓んだときに第1板部51と第2板部52とが接触することを規制する。ストッパ部56を設けることにより、接点バネ50の破損や変形を抑制することができる。また、接点バネ50の第1板部51と第2板部52の間に接着剤57を充填することもできる(
図7参照)。充填された接着剤57は、第1板部51と第2板部52との接触を規制するストッパ部として機能する。なお、接着剤57を充填する場合には、接着剤57が充填される部分の表面に接着剤57の食い付きを良好にするための加工を施すことが好ましい。例えば、第1板部51と第2板部52の表面に網目状の溝を形成するなど、凹凸を形成する加工を施すことが好ましい。
【0037】
第1接点バネ保持部43では、接点バネ50は、第2板部52が第1バネ支持面433に対して光軸L方向と直交する方向(第1軸線R1方向)で当接する。従って、接点バネ
50は、第1バネ支持面433によって光軸L方向と直交する方向(第1軸線R1方向)で支持され、第1軸線R1方向に弾性変形可能となっている。また、第3板部53は凹部432の内側に挿入され、位置調整部90に設けられた第1バネ固定面434に対して被写体側(+Z方向)から当接する。すなわち、接点バネ50は、第1バネ固定面434によって反被写体側(−Z方向)で支持される。本形態では、第3板部53は、第1バネ固定面434に接着されている。
【0038】
図4、
図5に示すように、第2揺動支持部42は、ホルダ本体部材31に形成された第2接点バネ保持部44と、第2接点バネ保持部44に保持される接点バネ50を備える。接点バネ50は、第1揺動支持部41に設けられるものと同一である。第2接点バネ保持部44は、ホルダ本体部材31の縦枠部37の内側面を径方向外側に凹ませた凹部441を備える。凹部441の内面は、第2軸線R2と直交する方向に延在し径方向内側を向く第2バネ支持面442と、反被写体側(−Z方向)を向く第2バネ固定面443を備える。第2バネ固定面443は、凹部441の底面である。
【0039】
第2揺動支持部42では、接点バネ50は、第2板部52が第2接点バネ保持部44の第2バネ支持面442に対して光軸L方向と直交する方向(第2軸線R2方向)で当接する。従って、接点バネ50は、第2バネ支持面442によって光軸L方向と直交する方向(第2軸線R2方向)で支持され、第2軸線R2方向に弾性変形可能となっている。また、第3板部53は、第2バネ固定面443(凹部441の底面)に対して反被写体側(−Z方向)から当接する。すなわち、接点バネ50は、第2バネ固定面443によって被写体側(+Z方向)で支持される。本形態では、第3板部53は、第2バネ固定面443に接着されている。
【0040】
図6に示すように、可動枠45は、Z軸方向から見た平面形状が略8角形の板状ばねである。可動枠45は、光軸L回りの4か所に設けられた支点部46を備える。各支点部46の外側面には、溶接等によって金属製の球体47が固定されている。この球体47によって、各支点部46に可動枠45の径方向の外側を向く半球状の凸面(球面)が設けられている。
【0041】
第1揺動支持部41は、第1軸線R1方向の対角位置に設けられた支点部46の外周側に配置される。また、第2揺動支持部42は、第2軸線R2方向の対角位置に設けられた支点部46の外周側に配置される。第1揺動支持部41および第2揺動支持部42において、接点バネ50は、第1板部51に設けられた球面状の接点部55が径方向内側を向くように取り付けられている。ジンバル機構4は、可動枠45の光軸L回りの4か所に溶接された球体47と、第1揺動支持部41および第2揺動支持部42に設けられた接点バネ50の接点部55とが点接触する状態に組み立てられる。これにより、可動枠45は、光軸Lと直交する2方向(第1軸線R1方向および第2軸線R2方向)の各方向周りに回転可能な状態で支持される。
【0042】
ジンバル機構4が組み立てられると、第1揺動支持部41に設けられた接点バネ50の抜け止め部54は、可動枠45の支点部46に対して被写体側(+Z方向)に配置される(
図3参照)。これにより、可動枠45が第1揺動支持部41から被写体側(+Z方向)に脱落することが規制される。また、第2揺動支持部42に設けられた接点バネ50の抜け止め部54は、可動枠45の支点部46に対して反被写体側(−Z方向)に配置される(
図4参照)。これにより、可動枠45が第2揺動支持部42から反被写体側(−Z方向))に脱落することが規制される。つまり、ジンバル機構4は、可動枠45が第1揺動支持部41および第2揺動支持部42から脱落することを規制する抜け止め構造を備えている。
【0043】
(揺動用磁気駆動機構)
図5に示すように、揺動用磁気駆動機構11は、可動体3と固定体8の間に設けられた第1揺動用磁気駆動機構11Aおよび第2揺動用磁気駆動機構11Bを備える。第1揺動用磁気駆動機構11Aは、X軸方向で対向する揺動駆動用磁石14と揺動駆動用コイル13とからなる組を2組備える。第2揺動用磁気駆動機構11Bは、Y軸方向で対向する揺動駆動用磁石14と揺動駆動用コイル13とからなる組を2組備える。揺動駆動用コイル13は、カメラモジュールホルダ110のX軸方向の両側の壁部116、117およびY軸方向の両側の壁部117、118の外側面に保持される。揺動駆動用磁石14は、固定体8の筒状ケース20(
図1参照)の内側面に保持される。各揺動駆動用磁石14は、
図2に示すようにZ軸方向に2分割され、内面側の磁極が分割位置(着磁分極線)を境にして異なるように着磁されている。揺動駆動用コイル13は空芯コイルであり、+Z方向側および−Z方向側の長辺部分が有効辺として利用される。筒状ケース20は磁性材料から構成されているので、揺動駆動用磁石14に対するヨークとして機能する。
【0044】
可動体3の+Y方向側および−Y方向側に位置する2組の第2揺動用磁気駆動機構11Bは、揺動駆動用コイル13への通電時にX軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。また、可動体3の+X方向側および−X方向側に位置する2組の第1揺動用磁気駆動機構11Aは、揺動駆動用コイル13への通電時にY軸回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。揺動用磁気駆動機構11は、第2揺動用磁気駆動機構11BによるX軸回りの回転、および第1揺動用磁気駆動機構11AによるY軸回りの回転を合成することにより、可動体3を第1軸線R1回りおよび第2軸線R2回りに回転させる。X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う場合は、第1軸線R1回りの回転および第2軸線R2回りの回転を合成する。
【0045】
(光学ユニットの振れ補正)
光学ユニット1は、上記のように、X軸回りの振れ補正、およびY軸回りの振れ補正を行う揺動用磁気駆動機構11を備える。従って、ピッチング(縦揺れ)方向およびヨーイング(横揺れ)方向の振れ補正を行うことができる。また、光学ユニット1はローリング用磁気駆動機構12を備えるので、ローリング方向の振れ補正を行うことができる。例えば、光学ユニット1が、可動体3にジャイロスコープを搭載している場合には、ジャイロスコープによって直交する3軸回りの振れを検出して、検出した振れを打ち消すように揺動用磁気駆動機構11およびローリング用磁気駆動機構12を駆動する。
【0046】
(位置調整部)
図7は第1揺動支持部41の拡大断面図である。また、
図8は位置調整部90の説明図であり、
図8(a)は変形前の位置調整部90であり、
図8(b)は位置調整部90の変形方法の説明図である。また、
図8(c)は変形後の位置調整部90に固定用の接着剤を塗布した状態を示し、
図8(d)は接点バネ50を固定した位置調整部90を示す。上述したように、第1揺動支持部41は、第1接点バネ保持部43である凹部432を備えており、凹部432の底面に位置調整部90が形成されている。位置調整部90は、第1軸線R1および第2軸線R2と直交する第3軸線方向であるZ軸方向に変形可能な部位である。位置調整部90の被写体側(+Z方向)の先端には、第1バネ固定面434が形成されている。
【0047】
位置調整部90は、Z軸方向に変形することによって第1バネ固定面434の位置をZ軸方向に移動させる。その結果、第1バネ固定面434に固定される接点バネ50の取付位置がZ軸方向に変化し、接点バネ50と可動枠45とが点接触する位置がZ軸方向に変化する。つまり、ジンバル機構4による可動体3の支持位置が変化する。可動体3の重心G(
図3参照)と、ジンバル機構4による可動体3の支持位置とのZ軸方向の位置ずれ(以下、可動体3の重心ずれという)があると、衝撃や遠心力が加わった場合に可動体3が
傾く。本形態では、位置調整部90によって接点バネ50の固定位置をZ軸方向に変化させ、ジンバル機構4による可動体3の支持位置をZ軸方向に調整して、可動体3の重心ずれを解消する。
【0048】
図8(a)に示すように、変形前の位置調整部90は、凹部432の底面から+Z方向に突出する凸部91である。本形態では、円筒状の凸部91が形成されている。なお、凸部91の形状は円筒状でなくてもよく、Z軸方向に潰すことができる形状であればよい。例えば、角筒状でもよいし、先端に向かうに従って先細りになる形状でもよい。
図8(b)には、ヒータチップ99を用いて凸部91の先端を潰す状況を図示している。ヒータチップ99は、熱と押圧力を加えるものであり、例えばパルスヒートなどの瞬間加熱により熱を加えながら押圧する。凸部91は樹脂からなり、樹脂製のカメラモジュールホルダ110に一体に形成されている。
図8(c)に示すように、変形後の位置調整部90は、凸部91がZ軸方向に潰された潰し部92となる。ヒータチップ99の先端面は平坦面であるため、潰し部92の先端には、Z軸方向に対して垂直な第1バネ固定面434が形成される。
【0049】
接点バネ50は、変形後の位置調整部90(潰し部92)に固定される。固定方法としては、接点バネ50の第3板部53と、潰し部92の先端に設けられた第1バネ固定面434とを接着する方法を用いる。例えば、
図8(c)に示すように、第1バネ固定面434に接着剤93を塗布し、第3板部53を接着固定する。この際、余分な接着剤93は、潰し部92の周囲に形成された隙間94に収容される。
図8(a)に示すように、凹部432の底面から突出する凸部91の外周側には、凹部432の内面との間に所定の隙間94が形成されている。この隙間94は、凸部91を潰す際に、凸部91を形成している樹脂素材を逃がすための空間となる。なお、本形態では、凸部91は円筒状であるため、内周側にも樹脂を逃がすことができる。また、潰し部92の形成後に潰し部92の外周側に隙間94が残れば、この隙間94を接着剤が溜まるスペースとして利用する。
【0050】
位置調整部90は、凸部91を潰すことによって、接点バネ50が固定される固定部である第1バネ固定面434を反被写体側(−Z方向)に移動させる。これにより、接点バネ50を反被写体側(−Z方向)に移動させて、可動枠45を反被写体側(−Z方向)に移動させる。
図8に示す例では、位置調整後の接点バネ50のZ軸方向の取付位置Hは、位置調整前の取付位置H0から、位置調整量Dだけ反被写体側(−Z方向)に下げられている。その結果、接点バネ50と可動枠45とが点接触する位置が、可動体3の重心Gの高さとZ軸方向で一致しており、可動体3の重心ずれが解消されている。
【0051】
図9は接点バネ50の位置調整方法のフローチャートである。光学ユニット1の製造時には、
図9に示すフローチャートに従って接点バネ50の位置調整を行い、可動体3の重心ずれを解消する。まず、ステップST1において、凸部91を潰す前の可動体3をジンバル機構4によって支持する状態に仮組立を行い、回転台に乗せて回転させて、可動体3にZ軸周りの遠心力を作用させる。次に、ステップST2、ST3において、レーザ変位計などを用いて、遠心力が作用している可動体3の傾きを測定する。例えば、ステップST2において、レーザ変位計によって可動体3の特定の部位までの距離を測定し、ステップST3において、遠心力が作用する前と作用中での距離の変化に基づき、可動体3の傾きを求める。
【0052】
ステップST4では、計測した傾きに基づき、可動体3の重心ずれを解消するための接点バネ50の取付位置の調整量(
図8(d)に示す位置調整量D)を求める。例えば、予め、位置調整量Dと可動体3の傾きとの対応テーブルを作成しておけば、容易に位置調整量Dを求めることができる。続いて、ステップST5では、決定した位置調整量D(潰し量)に基づいて、凸部91を潰す作業を行う。そして、ステップST6では、潰した凸部
91(潰し部92)の先端面である第1バネ固定面434に接点バネ50を固定する作業を行う。これにより、接点バネ50の位置調整が行われ、可動体3の重心ずれが解消される。
【0053】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット1では、可動体3はジンバル機構4によってホルダ5(固定体)に対して揺動可能に支持されており、ジンバル機構4は、可動体3に設けられた第1揺動支持部41、および、ホルダ5(固定体)に設けられた第2揺動支持部42によって支持される可動枠45を備える。そして、第1揺動支持部41は、可動枠45を支持する支持部材である接点バネ50が固定される固定部である第1接点バネ保持部43を備え、第1接点バネ保持部43は、接点バネ50の固定位置をZ軸方向で調整する位置調整部90を備えている。このような構成において、可動体3側において接点バネ50の固定位置を調整できれば、可動体3の重心Gに対して、可動枠45の位置を相対的に移動させることができる。従って、ウェイトを用いることなく、ジンバル機構4による可動体3の支持位置(すなわち、可動枠45と接点バネ50とが接触する位置)と、可動体3の重心Gとが適正な位置関係となるように接点バネ50の位置を調整することができる。
【0054】
本形態では、位置調整部90において接点バネ50の固定位置をZ軸方向で調整し、可動体3の重心Gと、可動枠45のZ軸方向の位置を一致させる。従って、ウェイトを用いることなく、可動枠45と接点バネ50とが点接触する位置と、可動体3の重心GとのZ軸方向の位置ずれ(重心ずれ)を解消することができる。よって、衝撃や遠心力等による可動体3の傾きを抑制することができる。
【0055】
本形態では、位置調整部90は、Z軸方向に変形して接点バネ50の固定位置を調整する構成であり、第1接点バネ保持部43に設けられた凹部432の底面から突出する凸部91が位置調整部90として用いられる。凸部91をZ軸方向に潰すことにより、接点バネ50の固定位置を調整することができ、位置調整後の凸部91は、Z軸方向に潰された潰し部92となる。このように、凸部91を潰して位置調整を行う場合には、位置調整のために別部材を設ける必要がない。従って、低コストで接点バネ50の固定位置を調整することができる。また、凸部91を潰す際の潰し量は、連続的に調整することができる。従って、接点バネ50の固定位置を移動させる際の移動距離の分解能が高い。よって、可動枠45の位置調整の精度が高く、可動体3の重心ずれを精度良く解消することができる。更に、また、潰し面(潰し部92の先端面)は、接点バネ50を接着するための第1バネ固定面434として用いることができる。
【0056】
なお、Z軸方向に変形する構造としては、例えば、凸部を形成せずに面を凹ませるなどの構造も考えられるが、凸部91を潰すことは面を凹ませるよりも容易であり、カメラモジュールホルダ110の他の部位への影響が少ない。また、凸部91の周囲には、潰した部分がはみ出す逃げ部を設けることができる。例えば、本形態では、凸部91の外周側に隙間94があり、凸部91を潰す際に樹脂を外周側に逃がすことができる。従って、容易に凸部91を潰すことができる。また、凸部91を潰した際に塵などが発生した場合に、塵を外周側に逃がす事が出来るので、接点バネ50に悪影響を及ぼすことを抑制できる。更に、凸部91は、樹脂製のカメラモジュールホルダ110と一体に形成されている。位置調整部90が樹脂製であれば、金属製である場合よりも容易に潰すことができる。従って、容易に接点バネ50の固定位置を調整することができる。
【0057】
本形態の接点バネ50は、第1板部51、第2板部52、および第3板部53を備えており、略コの字状に屈曲した形状である。第3板部53は湾曲状でなく平板状であるため、接点バネ50は、第3板部53が湾曲状である場合と比較して製造や形状の管理が容易
である。従って、接点バネ50の品質のばらつきを抑制できる。また、第3板部53は、位置調整部90と面で当接する。従って、接点バネ50の姿勢を安定させることができ、可動枠45を安定して支持できる。更に、第3板部53は、位置調整部90に設けられた第1バネ固定面434と面で接着される。従って、接着面積が大きくなるので、接点バネ50の固定強度を高めることができる。また、凸部91の外周側の隙間94は、接着剤が溜まるスペースとなるため、固定強度をさらに高めることができる。
【0058】
(他の実施形態)
上記形態は、光軸L回りの振れ補正(ローリング補正)、および光軸Lと交差する第1軸線R1および第2軸線R2周りの振れ補正を行う光学ユニット1であったが、本発明は、ローリング補正を行わない光学ユニットに適用することもできる。例えば、上記形態において、ホルダ5、回転支持機構6、ローリング用磁気駆動機構12を省略し、ジンバル機構4の第1揺動支持部41を固定体8に設けた構成を採用してもよい。
【0059】
上記形態は、可動体3にウェイトを載せずに位置調整部90のみで可動体3の重心ずれを調整するものであったが、おおまかな重心調整をウェイトで行い、微調整を位置調整部90で行うこともできる。