(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱した板状の切断部材によって第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入れ替えて無菌状態で接合するチューブ接合装置であって、
開閉可能な蓋部を備える筐体と、
前記第1チューブおよび前記第2チューブのうち一方のチューブをクランプして前記一方のチューブの流路を閉塞可能であるとともに、前記一方のチューブをクランプした状態で前記筐体から取外し可能な離脱クランプであって、前記筐体に取外し可能に設けられる第1クランプ部材と、前記蓋部に取外し可能に設けられるとともに、前記第1クランプ部材に連結して前記第1クランプ部材とともに前記一方のチューブをクランプ可能な第2クランプ部材と、を備える離脱クランプと、
前記蓋部が閉じた状態で、前記第2クランプ部材を前記第1クランプ部材に相対的に接近させることによって、前記第2クランプ部材を前記第1クランプ部材に連結し、前記離脱クランプが前記一方のチューブをクランプしていない非クランプ状態から前記一方のチューブをクランプしたクランプ状態に切り替える切り替え部と、を有するチューブ接合装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1〜3は、チューブ接合装置1の全体構成の説明に供する図である。
図4〜11は、チューブ接合装置1の各部の構成の説明に供する図である。
図12は、チューブ接合装置1によって接合される第1チューブT1および第2チューブT2の説明に供する図である。
図13、14は、チューブ接合装置1の使用例の説明に供する図である。
図15〜23は、チューブ接合装置1の備える緊急離脱システムの説明に供する図である。
【0013】
本実施形態におけるチューブ接合セットSは、
図12に示すように、腹膜透析液バッグT11側のチューブ(「第1チューブT1」に相当)の端部および腹膜透析をする際に使用される患者(使用者M)の腹膜カテーテルT26側のチューブ(「第2チューブT2」に相当)の端部を溶断して接合する医療装置として構成している。
【0014】
チューブ接合セットSは、
図1に示すように、第1チューブT1および第2チューブT2を溶断−接合可能なチューブ接合装置1と、第1チューブT1および第2チューブT2の溶断に用いられる複数枚のウェハーWF(「板状の切断部材」に相当)を備えるウェハーカセットWCと、を有している。チューブ接合装置1にウェハーカセットWCを挿入し、
図13(A)〜(C)に示すように、並置されている第1チューブT1と第2チューブT2を互いに押し付けて潰した状態で、加熱したウェハーWFによって溶断する。その後、
図13(D)、14(A)に示すように、溶断した第1チューブT1の片側と第2チューブT2の片側との位置を入れ替え、加圧して接合するように構成している。
【0015】
<チューブ>
まず、溶断−接合される第1チューブT1および第2チューブT2について説明する。
【0016】
第1チューブT1は、本実施形態では、
図12に示すように、腹膜透析液バッグT11側のチューブによって構成している。具体的には、第1チューブT1の先端部には所定のコネクターT12を取り付けている。第1チューブT1の反対側は、分岐管T13を介して、透析液バッグT11の透析液チューブT14に接続している。さらに第1チューブT1は、分岐管T13を介して、排液用バッグT15の排液チューブT16に対して接続している。
【0017】
第2チューブT2は、腹膜透析をする際に使用される使用者Mの腹膜カテーテルT26側のチューブによって構成している。具体的には、第2チューブT2は、延長チューブT21と保護チューブT22を備えている。延長チューブT21は、連結管T23、シリコーンチューブT24、カテーテルジョイントT25を介して、腹膜カテーテルT26に接続している。腹膜カテーテルT26は、その一方の端部側が使用者Mの腹腔内に挿入されている。
【0018】
なお、第1チューブT1および第2チューブT2は、本実施形態では、塩化ビニル製のチューブによって構成している。ただし、第1チューブT1および第2チューブT2の材質は、溶断および加圧により相互に接合可能なものであればよく、その限りにおいて限定されない。例えば、第1チューブT1および第2チューブT2の材質がそれぞれ異なるものであってもよい。
【0019】
なお、
図1、4に示すように、各チューブT1、T2の延在方向において、各チューブT1、T2の溶断位置X0を境界として、溶断後に位置が入れ替わる側を「入替側X1」、その反対側を「固定側X2」と称する。なお、本実施形態では、第2チューブT2は、腹膜側が固定側X2に配置されるようにセットされる。
【0020】
<チューブ接合装置>
チューブ接合装置1は、概説すると、チューブ接合装置1の各部を収納する筐体10と、溶断に際して第1チューブT1と第2チューブT2を挟み込んで互いに押し付けて潰し、溶断後は第1チューブの片側と第2チューブの片側との位置の入れ替えるクランプ部20と、溶断−接合の際にクランプ部20を第1チューブT1および第2チューブT2を挟み込んだ状態にロックするインターロック30と、を有している。さらに、チューブ接合装置1は、
図3に示すように、筐体10に挿入されたウェハーカセットWCを収納するウェハーカセット収納部40と、ウェハーWFを加熱して溶断位置へ送り出すウェハー送り部50と、を有している。さらに、チューブ接合装置1は、
図1に示すように、使用者Mからの溶断−接合の指示等を受付可能な操作部60と、使用者Mに必要な情報を報知する報知部70と、各部に電力を供給可能な電力供給部80と、各部の動作を統括的に制御する制御部90と、を有している。さらに、チューブ接合装置1は、溶断後の第1チューブT1の片側と第2チューブT2の片側の位置の入れ替える動作(以下、「位置交換動作」と称する)が途中で停止した緊急時に、第2チューブT2の腹膜側をクランプして流路を閉塞し、第2チューブT2の腹膜側を筐体10から取外し可能な緊急離脱システム100を備えている。以下、チューブ接合装置1の各部の構成について詳述する。
【0021】
(筐体)
筐体10は、
図1に示すように、略四角錘台状の外形形状を備える上部分11と、上部分11の下に配置される略四角柱状の外形形状を備える下部分12と、を組み合わせたケースによって構成している。以下、筐体10の各部の構成について説明する。
【0022】
上部分11の上面の手前側には操作部60が設けられている。また、上部分11の上面の奥側には、後述する報知部70の備える表示部71が設けられている。
【0023】
上部分11の上面には
図4(A)、(B)に示すように、第1チューブT1に接続されている所定のコネクターT12を嵌め込み可能な窪み11aと、第2チューブT2の固定側X2を嵌め込み可能な窪み11bが設けられている。
【0024】
上部分11の上面には、
図1に示すように、クランプ部20を嵌め込み可能な孔11gが設けられている。
【0025】
また、上部分11の側面には、ウェハーカセットWCを挿入するためのカセット挿入孔11cと、筐体10内に挿入されたウェハーカセットWCを取り出すための取出スイッチ11dと、が設けられている。ウェハーカセットWCをカセット挿入孔11cから挿入した状態で、使用者Mが指で取出スイッチ11dを押し込むことによって、ウェハーカセットWCは、カセット挿入孔11cを通じて筐体10の外部に取り出すことができる。
【0026】
上部分11には、
図3に示すように、筐体10の周囲の環境温度を計測可能な温度センサ11eが内蔵されている。温度センサ11eの計測した環境温度に応じて、ウェハーWFが第1チューブT1および第2チューブT2を加熱する加熱時間を調整することができる。
【0027】
下部分12は、
図1に示すように、平坦な底面12aと、底面12aの四隅に設けられるとともに、テーブル等の載置場所と当接する4本の脚部12bと、を備えている。また、底面12aには、後述する報知部70の備えるスピーカ72の音声を筐体10の外部に伝播しやすくするための複数の貫通孔や、第1チューブT1および第2チューブT2を溶断する際に生じた熱やガスを筐体10の外部に排出するための複数の貫通孔等が設けられている(図示省略)。
【0028】
なお、本明細書では、
図9に示すように、筐体10を平坦な載置面FS(例えばテーブル等)に載置したと仮定した場合に、載置面FSに対して鉛直な方向を筐体10の「高さ方向Z」と称する。なお、本実施形態では、高さ方向Zは、蓋部22が筐体10に相対的に接近−離反する方向dzでもある。なお、実際に使用する際には、筐体10は必ずしも平坦な載置面FSの上に載置する必要はない。
【0029】
(クランプ部)
クランプ部20は、
図5に示すように、筐体10の底面12aに固定される台座21と、台座21に対して相対的に接近−離反することによって開閉可能に構成された蓋部22と、台座21に設けられるとともに、第1チューブT1および第2チューブT2を保持するチューブ保持部23と、第1チューブT1および第2チューブT2がセットされているか否かを検出可能なチューブ検出センサ24と、蓋部22が台座13に相対的に接近する動作に伴って第1チューブT1と第2チューブT2を互いに押付けて潰すチューブ押し付け部25と、を備えている。以下、クランプ部20の各部の構成について説明する。
【0031】
台座21は、第1チューブT1および第2チューブT2の固定側X2に設けられる第1台座211と、第1チューブT1および第2チューブT2の入替側X1に設けられる第2台座212と、を備えている。第1台座211と第2台座212との間には、第1チューブT1および第2チューブT2の延在方向に沿って隙間21aが設けられている。隙間21aは、使用前のウェハーWFが溶断位置に移動する際や、使用済みのウェハーWFを筐体10の外部に送り出す際等に、ウェハーWFが通過するための隙間である。
【0032】
また、第1台座211および第2台座212のそれぞれには、後述する蓋部22の係合爪225を引っ掛けて固定するための被係合部213が設けられている。
【0034】
蓋部22は、第1台座211に対して回動可能に設けられた第1クランプアーム221と、第2台座212に対して回動可能に設けられた第2クランプアーム222と、第1クランプアーム221および第2クランプアーム222を覆うカバー223と、各クランプアーム221、222に対して回動可能に設けられるとともに使用者Mが把持可能な把持部224と、を備えている。
【0035】
各クランプアーム221、222は個別に回動可能に構成している。
【0036】
カバー223は、第1クランプアーム221および第2クランプアーム222を一体的に覆う。このため、
図2に示すように、蓋部22を閉じた状態では、カバー223は、第1台座211、第2台座212およびその間の溶断−接合が行われる領域を覆う。各チューブT1、T2の溶断−接合部位が外部から隔離された状態で溶断−接合が行われるため、溶断−接合の際に菌汚染の心配が無く、各チューブT1、T2および透析液バッグT11内の透析液等の無菌性を保持することができる。
【0037】
把持部224は、
図5に示すように、台座21の被係合部213に係合可能な係合爪225を備えている。このため、各クランプアーム221、222およびカバー223を閉じた後に、把持部224を各クランプアーム221、222に対して回転させれば、係合爪225が台座21の被係合部213に係合する。このため、クランプ部20が各チューブT1、T2を挟み込んだ状態を好適に維持することができる。
【0038】
次に、チューブ保持部23について説明する。
【0039】
チューブ保持部23は、各チューブT1、T2の固定側X2を固定的に保持する第1保持部232と、各チューブT1、T2の入替側X1を可動的に保持する第2保持部233と、第2保持部233を各チューブT1、T2を保持した保持状態から保持を解除した解除状態へ切り替え可能な解除部234と、第2保持部233を解除状態から保持状態へ切り替え可能な復元部235と、を備えている。以下、チューブ保持部23の各部の構成について説明する。
【0040】
まず、第1保持部232および第2保持部233について説明する。
【0041】
第1保持部232は、第1台座211の側面に固定されている。第1保持部232は、第1チューブT1を嵌め込み可能な凹状の第1溝部232aと、第2チューブT2を嵌め込み可能な凹状の第2溝部232bと、を備えている。
【0042】
第1溝部232aおよび第2溝部232bは、
図9(A)に示すように、筐体10の高さ方向Zに対して角度θ傾いた方向(斜め方向D1)に並ぶように設けられている。このため、第1チューブT1および第2チューブT2は、斜め方向D1に並置された状態で、第1保持部232に保持される。なお、第1チューブT1および第2チューブT2の並置方向D1の奥側に配置される第1溝部232aは、第2溝部232bよりも筐体10の高さ方向Zの高い位置に配置されている。
【0043】
また、各溝部232a、232bは、第1保持部232の上面側において、斜め方向D1と直交する方向D2に沿って凹状に窪むように設けられている。このため、各チューブT1、T2は、並置方向D1と直交する方向D2から挿入するようにしてセットされる。このため、蓋部22を開いた状態において、使用者Mは、各チューブT1、T2を容易に挿入してセットすることができる。
【0044】
第2保持部233は、
図9(B)に示すように、第2台座212の側面に回動可能に設けられている。第2保持部233には、第1チューブT1の入替側X1を嵌め込み可能な凹状の第3溝部233cと、第2チューブT2の入替側X1を嵌め込み可能な凹状の第4溝部233dが設けられている。
【0045】
第2保持部233は、第3溝部233cおよび第4溝部233dが斜め方向D1に沿って並び、第1保持部232とともに各チューブT1、T2を保持可能な位置(「保持位置P0」と称する)と、保持を解除した位置(「解除位置P1」と称する)の間で移動可能に構成している。なお、保持位置P0は、
図9(B)に示す位置であり、解除位置P1は、
図10(B)に示す位置である。
【0046】
本実施形態では、
図9(A)に示すように、斜め方向D1と筐体10の高さ方向Zとの間の成す角度θは45度である。すなわち、各保持部232、233は、第1チューブT1の軸心と第2チューブT2の軸心とを結ぶ仮想線(図中鎖線で示している)が高さ方向Zに対して45度の角度をなすように、第1チューブT1と第2チューブT2を保持する。なお、角度θは必ずしも45度にする必要はなく、例えば、0度より大きく90度より小さい角度にすることができる。
【0047】
このように、各保持部232、233は、筐体10の高さ方向Zに対して斜め方向D1に並置した状態で各チューブT1、T2を個別に保持する。
図9(A)に示すように、使用者Mは、椅子等に座り、テーブル等に載置したチューブ接合装置1を斜め上から覗き込むようにして使用するため、使用者Mは体勢を変えることなく、各チューブT1、T2を各保持部232、233にセットすることができる。また、使用者Mは、セットした各チューブT1、T2が適正にセットされているか否か(捻じれ等の有無)を容易に視認することができる。
【0048】
次に、解除部234および復元部235について説明する。
【0049】
解除部234は、
図5に示すように、第2クランプアーム222の側面に連なる平坦面234aと、第2保持部233から第2クランプアーム222の平坦面234aに向かって突出する突起234bと、を備えている。
【0050】
第2保持部233に設けられた突起234bは、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、蓋部22に設けられた平坦面234aに当接する。突起234bが平坦面234aに当接した状態から、さらに蓋部22を押し下げる(筐体10に相対的に接近させる)と、
図10(B)に示すように、第2保持部233は、蓋部22から離反する方向に押し下げられて各チューブT1、T2の保持を解除する。このように、解除部234は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、第2保持部233を保持位置P0から解除位置P1に退避させるように構成している。
【0051】
復元部235は、
図9(B)に示すように、蓋部22の第2クランプアーム222が筐体10に相対的に離反する動作と連動して第2保持部233を押し上げ可能なカム235aを備えている。
【0052】
カム235aは、筐体10の側面方向からの矢視において略扇形の外形形状を備えている。カム235aは、第2クランプアーム222の回動部付近に固定されている。このため、第2クランプアーム222の回動と連動して、カム235aも回動する。カム235aの湾曲面は、蓋部22をある程度開いた状態では、第2保持部233の底面と当接して第2保持部233を保持位置P0に保つ。カム235aの湾曲面は、蓋部22を筐体10に相対的に接近させていくと、解除部234の突起234bが平坦面234aに当接する前に、第2保持部233から離反する。このため、蓋部22を開いた状態から閉じた状態へ移行する際は、カム235aは、解除部234によって第2保持部233が保持位置P0から解除位置P1へ移動するのを妨げない。一方、蓋部22を閉じた状態から開いた状態へ移行すると、カム235aが第2保持部233と当接して、第2保持部233を押し上げる。その結果、第2保持部233は、解除位置P1から保持位置P0へ戻る。
【0053】
このように解除部234および復元部235によって、第2保持部233は、保持位置P0と解除位置P1との間で移動可能に構成している。このため、蓋部22を閉じた状態で行われる溶断後の第1チューブT1の片側と第2チューブT2の片側の位置を入れ替える位置交換作業が、第2保持部233によって妨げられることはない。
【0054】
次に、チューブ検出センサ24について説明する。
【0055】
チューブ検出センサ24は、
図6に示すように、第1保持部232の第1溝部232aおよび第2溝部232bに設けられている。チューブ検出センサ24は、各チューブT1、T2が第1保持部232の各溝部232a、232bにセットされているか否かを検出する機能を備えている。以下、第1溝部232aにセットされているチューブ検出センサ24を例に、チューブ検出センサ24の構成を説明する。
【0056】
チューブ検出センサ24は、第1溝部232aに設けられた孔から突出可能なピン241と、ピン241を支持する基台242と、基台242に貼り付けられたマグネット243と、マグネット243の磁力を検出可能なホール素子244と、ピン241に孔から突出する方向の付勢力を付与する付勢部材245と、を備えている。なお、本実施形態では、付勢部材245は、バネによって構成しているが、ピン241に孔から突出する方向の付勢力を付与可能である限り、付勢部材245の構成は特に限定されない。
【0057】
第1チューブT1が第1溝部232aにセットされていない状態では、
図6(A)に示すように、ピン241が付勢部材245の付勢力を受けつつ、基台242が第1保持部232の内面に当接してピン241の動作を規制する。このため、ピン241の先端側が孔から突出した状態となっている。この状態では、マグネット243がホール素子244の近傍に配置されるため、ホール素子244によって検出できるマグネット243の磁力は強い。これに対し、
図6(B)に示すように、第1チューブT1が第1溝部232aに配置されると、第1チューブT1によってピン241および基台242は第1保持部232の内部空間に押し込まれる。これにより基台242に貼り付いたマグネット243がホール素子244から離反するため、ホール素子244によって検出できるマグネット243の磁力は弱くなる。このように、チューブ検出センサ24は、ホール素子244によって検出できるマグネット243の磁力の強弱によって、第1チューブT1が第1溝部232aにセットされているか否か、および第1溝部232aの奥まで第1チューブT1が押し込まれているか否かを検出することができる。
【0058】
なお、チューブ検出センサ24は、第2保持部233に設けられていてもよい。
【0059】
次に、チューブ押し付け部25について説明する。
【0060】
チューブ押し付け部25は、
図7に示すように、蓋部22が筐体10に対して相対的に接近する動作に伴い、第1チューブT1の固定側X2と第2チューブT2の固定側X2を互いに押付ける固定側押し付け部25aと、第1チューブT1の入替側X1と第2チューブT2の入替側X1を互いに押付ける可動側押し付け部25b(「回転部」に相当)と、を備えている。以下、チューブ押し付け部25の各部の構成について説明する。
【0061】
まず、固定側押し付け部25aについて説明する。
【0062】
固定側押し付け部25aは、第1クランプアーム221に設けられた蓋側押し付け部251と、第1台座211に設けられた筐体側押し付け部252と、を備えている。蓋側押し付け部251と筐体側押し付け部252は、
図10(A)に示すように、蓋部22を閉じた状態では一体となり、溶断−接合の際に、第1チューブT1と第2チューブT2を互いに押し付けて潰した状態を維持する機能、および、第1チューブT1と第2チューブT2の位置を保持する機能を備えている。以下、固定側押し付け部25aの各部の構成について説明する。
【0063】
蓋側押し付け部251は、
図7に示すように、第1クランプアーム221の側面から第2クランプアーム222に向かって突出するようにして設けられている。蓋側押し付け部251は、
図10(A)に示すように、筐体10の側面方向からの矢視において、L字状の外形形状を備えている。蓋側押し付け部251は、蓋部22を閉じた状態では、第1チューブT1および第2チューブT2に対して蓋部22側から押圧力を付与する。
【0064】
筐体側押し付け部252は、
図7に示すように、第1台座211の側面から第2台座212に向かって突出するようにして設けられている。筐体側押し付け部252は、
図10(A)に示すように、筐体10の側面方向からの矢視において、L字状の外形形状を備えている。筐体側押し付け部252は、蓋部22を閉じた状態では、第1チューブT1および第2チューブT2に対して筐体10側から押圧力を付与する。
【0065】
次に、可動側押し付け部25bについて説明する。
【0066】
可動側押し付け部25bは、
図7に示すように、固定側押し付け部25aと同様に、第2クランプアーム222の側面から第1クランプアーム221に向かって突出するようにして設けられた蓋側押し付け部253と、第2台座212の側面から第1台座211に向かって突出するようにして設けられた筐体側押し付け部254と、を備えている。可動側押し付け部25bは、さらに、蓋側押し付け部253に連なるとともに、第2クランプアーム222の幅方向の全長に渡って延在する蓋側クランプ部材255と、筐体側押し付け部254に連なるとともに第2台座212の幅方向の全長に渡って延在する筐体側クランプ部材256と、一体化した蓋側クランプ部材255と筐体側クランプ部材256とを溶断後に180度回転させて、第1チューブT1の入替側X1と第2チューブT2の入替側X1の位置を入れ替える駆動部257と、をさらに備えている。以下、可動側押し付け部25bの各部の構成について説明する。なお、可動側押し付け部25bの蓋側押し付け部253の構成は、前述した固定側押し付け部25aの蓋側押し付け部251の構成と同様であるため、その説明を省略する。また、可動側押し付け部25bの筐体側押し付け部254の構成は、前述した固定側押し付け部25aの筐体側押し付け部252の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
蓋側クランプ部材255は、第2クランプアーム222の幅方向の全長に渡って延在する凹状の溝部255aを備えている。
【0068】
筐体側クランプ部材256は、第2台座212の幅方向の全長に渡って延在する凹状の溝部256aを備えている。蓋部22を閉じた状態では、
図8に示すように、蓋側クランプ部材255と筐体側クランプ部材256の間に第1チューブT1および第2チューブT2が挟み込まれる。
【0069】
駆動部257は、
図8に示すように、蓋部22を閉じた状態において一体化した蓋側クランプ部材255および筐体側クランプ部材256の周囲に設けられた第1ギア257aと、第1ギア257aと噛合う第2ギア257bと、第2ギア257bの回転軸に接続されているモータ257cと、を備えている。
【0070】
溶断が完了した段階で、後述する制御部90がモータ257cを駆動させると、第2ギア257bが回転する。第2ギア257bの回転に伴い第1ギア257aが回転するため、第1ギア257aとともに一体化した蓋側クランプ部材255と筐体側クランプ部材256も回転する。その結果、蓋側クランプ部材255と筐体側クランプ部材256に連なる蓋側押し付け部253と筐体側押し付け部254も回転する。その結果、
図13(D)、
図14(A)に示すように、溶断後の第1チューブT1の入替側X1と第2チューブT2の入替側X1との位置を入れ替えることができる。
【0071】
(インターロック)
インターロック30は、本実施形態では、
図10(B)に示すように、電磁駆動式のソレノイドのロッド31により構成している。
【0072】
ソレノイドのロッド31は、溶断−接合中は、制御部90から送信される指令により、筐体10の高さ方向Zに上昇し、蓋部22の係合爪225の手前側の面に当接し、把持部224が各クランプアーム221、222に対して回転しないように維持する。
【0073】
(ウェハーカセット収納部)
ウェハーカセット収納部40は、カセット挿入孔11cから挿入されたウェハーカセットWCを収納する収容部と、ウェハーカセットWC内のウェハーWFの残量を検出可能なウェハー残量検出センサと、を備えている(図示省略)。ウェハー残量検出センサは、例えば、公知のフォトセンサによって構成することができる。
【0074】
(ウェハー送り部)
ウェハー送り部50は、ウェハーカセット収納部40内のウェハーカセットWCからウェハーWFを溶断位置まで送り出し可能であるとともに、使用後のウェハーWFを第1台座211と第2台座212の間の隙間21aを介して筐体10の外部へ送り出し可能な駆動部と、溶断に際してウェハーWFを加熱可能なヒータと、使用済みのウェハーWFを冷却可能なファンと、を備えている(図示省略)。
【0075】
(操作部)
操作部60には、
図1に示すように、複数のスイッチ61が設けられている。各スイッチ61を押すことで、使用者Mがチューブ接合装置1に対して、チューブ接合装置1の電源のON/OFFの切り替え指示、溶断−接合開始の指示等を行えるように構成している。
【0076】
(報知部)
報知部70は、
図1、3に示すように、使用者Mに必要な情報を表示する表示部71と、音声によって使用者Mに必要な情報を報知するスピーカ72と、を備えている。報知部70は、電源がONである旨、充電中である旨、溶断−接合中である旨、使用したウェハーWFを取り出し可能である旨、チューブ接合装置1が故障状態にある旨、等を使用者Mに報知する。さらに、報知部70は、ウェハーカセットWCを交換する必要がある旨、ウェハーWFが不良である旨、充電が必要である旨、室温が不適である旨、等を使用者Mに報知する。
【0077】
さらに、報知部70は、可動側押し付け部25bの動作不良に起因して、位置交換動作が途中で停止した場合に、後述する緊急離脱システム100の操作方法を使用者に報知する。なお、緊急離脱システム100の操作方法については、後述する緊急離脱システム100の説明において述べる。
【0078】
(電力供給部)
電力供給部80は、
図1、3に示すように、各部に電力を供給可能なバッテリ81と、バッテリ81を充電するための充電器82と、を備えている。
【0079】
(制御部)
制御部90は、マイクロコンピュータなどのCPUと、CPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMとを備えている。
【0080】
制御部90は、
図11に示すように、電力供給部80に電気的に接続されており、電力供給部80から電力供給を受けている。
【0081】
制御部90は、操作部60に電気的に接続されており、使用者Mからの指示に応じて各部の動作を制御する。
【0082】
制御部90は、報知部70に電気的に接続されており、報知部70の動作を制御する。
【0083】
制御部90は、チューブ検出センサ24と、インターロック30と、温度センサ11eと、に電気的に接続されている。例えば、制御部90は、チューブ検出センサ24から第1チューブT1および第2チューブT2が適正にセットされていない旨の情報を得た場合、報知部70を介してその旨を使用者Mに報知する。また、制御部90は、溶断−接合中は、インターロック30によって蓋部22を閉じた状態を維持するように構成している。また、制御部90は、温度センサ11eが計測した筐体10の環境温度に基づいて、溶断の際のウェハーWFによる第1チューブT1および第2チューブT2の加熱時間を調整する。
【0084】
制御部90は、ウェハーカセット収納部40およびウェハー送り部50に電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0085】
制御部90は、可動側押し付け部25bのモータ257cに電気的に接続されており、可動側押し付け部25bの位置交換動作を制御する。
【0086】
(使用例)
次に、チューブ接合セットSの使用例について説明する。
【0087】
まず、使用者Mは、チューブ接合装置1を使用するに際し、ウェハーカセットWCをチューブ接合装置1のカセット挿入孔11cに挿入する。
【0088】
次に、使用者Mは、
図4(A)に示すように、チューブ接合装置1の蓋部22を開いた状態にする。
【0089】
次に、使用者Mは、
図4(B)に示すように、第1チューブT1および第2チューブT2のそれぞれを各保持部232、233の所定の位置にセットする。
【0090】
次に、使用者Mは、蓋部22を閉じる操作(蓋部22を筐体10に相対的に接近させる操作)を行う。これに伴い、
図10(A)に示すように、チューブ押し付け部25が、第1チューブT1および第2チューブT2を互いに押し付けて潰す。また、
図10(B)に示すように、第2保持部233は、保持位置P0から解除位置P1に退避し、各チューブT1、T2の保持を解除する。また、蓋部22が閉じられたことにより、第1チューブT1および第2チューブT2の溶断部位の外周部分はカバー223によって覆われ、外部から隔離された状態となる。このため、溶断−接合作業を無菌状態で実施することが可能となる。
【0091】
次に、使用者Mは、操作部60を操作して、チューブ接合装置1に対して溶断−接合開始の指示を行う。この指示によって、制御部90によって溶断−接合作業が開始される。
【0092】
まず、制御部90は、インターロック30を作動させ、蓋部22を閉じた状態にロックする。
【0093】
次に、制御部90は、ウェハー送り部50の動作を制御して、溶断作業を行う。具体的には、
図13(C)に示すように、加熱したウェハーWFが、ウェハーカセットWCから送り出されて、固定側押し付け部25aと可動側押し付け部25bとの隙間を通り、第1チューブT1および第2チューブT2を溶断する。
【0094】
次に、制御部90は、可動側押し付け部25bのモータ257cを駆動させ、
図13(D)に示すように、第1チューブT1の入替側X1と第2チューブT2の入替側X1の位置を入れ替える。その後、
図14(A)に示すように、入れ替えた第1チューブT1と第2チューブT2の端部同士を寄せて、加圧接合する。
【0095】
次に、制御部90はインターロック30のロックを解除する。
【0096】
次に、使用者Mは、蓋部22を開く作業を行い、各チューブT1、T2をチューブ接合装置1から取り外す。なお、接合が完了した際、第1チューブT1および第2チューブT2は、
図14(B)に示すように、X字状に接合された状態となっている。このため、使用者Mは、接合された第1チューブT1および第2チューブT2を2本のチューブに分離する作業を行う。これによって、
図14(C)に示すように、第1チューブT1の固定側X2(コネクターT12に接続されている側)が第2チューブT2の入替側X1(何も接続されていない端部側)に接合されたチューブと、第1チューブT1の入替側X1(分岐管T13に接続されている側)が第2チューブT2の固定側X2(腹膜カテーテルT26に接続されている側)に接合されたチューブと、を得ることができる。
【0097】
(緊急離脱システム)
緊急離脱システム100は、可動側押し付け部25bの動作不良等に起因して、溶断後の第1チューブT1の入替側X1と第2チューブT2の入替側X1との位置交換動作が途中で停止した緊急時に、
図21(A)、(B)に示すように、溶断された第2チューブT2の腹膜側(固定側X2)の流路を閉塞して、第2チューブT2の腹膜側の無菌状態を確保したまま第2チューブT2の腹膜側を筐体10から取外し可能とするためのシステムである。
【0098】
緊急離脱システム100は、
図15に示すように、第2チューブT2をクランプして第2チューブT2の流路を閉塞可能であるとともに、第2チューブをクランプした状態で筐体10から取外し可能な離脱クランプ110と、離脱クランプ110が第2チューブT2をクランプしていない非クランプ状態から第2チューブT2をクランプしたクランプ状態に切り替える切り替え部120と、離脱クランプ110のクランプ状態を検出可能なクランプ検出センサ130と、切り替え部120を覆う保護カバー140と、を備えている。さらに、緊急離脱システム100は、
図8、15に示すように、可動側押し付け部25bの回転停止を検出可能な回転検出センサ150と、蓋部22の開閉状態を検出可能な開閉検出センサ160と、を備えている。以下、緊急離脱システム100の各部の構成について詳述する。
【0099】
まず、離脱クランプ110について説明する。離脱クランプ110は、
図16、17に示すように、筐体10に取外し可能に設けられる第1クランプ部材111と、蓋部22に取外し可能に設けられるとともに、第1クランプ部材111に連結して第2チューブT2をクランプ可能な第2クランプ部材112と、第1クランプ部材111と第2クランプ部材112が連結された状態を維持するロック部113と、を備えている。
【0100】
第1クランプ部材111は、
図21(A)、(B)に示すように、第1台座211の上面に設けられた孔211aに、取外し可能な程度に緩く嵌合するようにして設けられている。このため、第1クランプ部材111と第2クランプ部材112を連結して第2チューブT2をクランプした状態で、第2クランプ部材112を引っ張ることによって、第1クランプ部材111を筐体10から取り外すことができる。
【0101】
第1クランプ部材111は、
図16、17に示すように、第2クランプ部材112を収容可能な収容空間SPを備える本体部111aと、本体部111aに設けられるとともに、第2チューブT2を保持可能な保持部111bと、本体部111aに設けられるとともに、第2クランプ部材112が第1クランプ部材111に相対的に接近するのをガイドするガイド面111cと、を備えている。以下、第1クランプ部材111の各部の構成について説明する。
【0102】
本体部111aの上方には、収容空間SPに連通するとともに、第2クランプ部材112を挿入可能な開口部111dが設けられている。第2クランプ部材112は、
図20(A)に示すように、本体部111aの上方に設けられた開口部111dから挿入される。以下、本体部111aの開口部111dから下方に向かう方向を第2クランプ部材112の「挿入方向D3」と称する。
【0103】
本体部111aの下方には、
図16(B)に示すように、収容空間SPに連通する開口部111eと、本体部111aの内面から対向するように突出する一対の突起111fが設けられている。第2クランプ部材112を第1クランプ部材111に連結すると、後述する第2クランプ部材112の挟持部112bは、収容空間SPおよび開口部111eに挿入されるとともに、一対の突起111fによって位置が規制される。
【0104】
保持部111bは、
図17に示すように、本体部111aの両側壁(図中の左奥および右手前の壁)に設けられるとともに、第2チューブT2を嵌め込み可能な凹状の溝部によって構成している。
図19(B)に示すように、本実施形態では、第2チューブT2を保持部111bに挿入する方向D3が、斜め方向D1と直交するように、第1クランプ部材111は傾いた状態で第1台座211に取り付けられている。このため、前述したチューブ保持部23とともに、第2チューブT2を保持することができる。このように、第1クランプ部材111は、溶断―接合が正常に行われている間は、第2チューブT2を保持するチューブ保持部として機能する。このため、突然、位置交換動作が途中で停止した場合には、第2クランプ部材112と第1クランプ部材111を連結させれば、離脱クランプをクランプ状態に切り替えることができる。
【0105】
なお、第1台座211には、
図19(A)に示すように、第1クランプ部材111との間に第1チューブT1の固定側X2を保持するための縦壁部211bが設けられている。このため、第1チューブT1は、第1クランプ部材111と縦壁部211bとによって保持される。
【0106】
ガイド面111cは、
図20(A)に示すように、本体部111aの内面のうち、第2クランプ部材112の端部が当接する面によって構成している。ガイド面111cは、第2クランプ部材112の挿入方向D3に沿って収容空間SPが徐々に狭まるように傾斜している。
【0107】
次に、第2クランプ部材112について説明する。
【0108】
第2クランプ部材112は、
図19(A)に示すように、第1クランプアーム221の内部空間221aに配置されている。第2クランプ部材112は、
図17に示すように、側面視において略逆Uの字状の外形形状を備える本体部112aと、第2チューブT2を挟持可能な挟持部112bと、を備えている。
【0109】
本体部112aの上方の湾曲面には、湾曲面に沿って上方に向かって突出する突出部112cが設けられている。第2クランプ部材112は、突出部112cが後述する切り替え部120のガイド溝122a(
図15参照)に嵌め込まれた状態で、第1クランプアーム221の内部空間221aに配置されている。このため、後述する切り替え部120の操作レバー121の回転駆動をより好適に第2クランプ部材112に伝えることができ、操作レバー121に連動するようにして、第2クランプ部材112を第1クランプ部材111に好適に接近させることができる。
【0110】
本体部112aの両側面(
図17の左奥および右手前の面)には、外方に向かって突出する平坦な突起112dが設けられている。突起112dには、
図19(A)に示すように、蓋部22の第1クランプアーム221の内面に設けられた突起221bに嵌合して、本体部112aを蓋部22に対して取外し可能に保持する窪み112eが設けられている。
【0111】
窪み112eは、側面視において、第2クランプ部材112の挿入方向D3に対して傾斜する傾斜面112fを備えている。このため、
図20(A)、(B)に示すように、後述する切り替え部120の操作レバー121に第2クランプ部材112が押された際に、第2クランプ部材112が第2クランプアーム221の内面に設けられた突起221bを容易に乗り越えることができる。このように、第2クランプ部材112は、蓋部22の第1クランプアーム221に対して取外し可能に設けられている。
【0112】
挟持部112bは、
図19(A)に示すように、本体部112aの両端において対向するようにして設けられる第1押圧部112gおよび第2押圧部112hを備えている。
図19(A)に示すように、第2クランプ部材112を第1クランプ部材111に接近させると、第1押圧部112gの端部が第1クランプ部材111のガイド面111cに当接する。前述したように、ガイド面111cは、第2クランプ部材112の挿入方向D3に沿って収容空間SPが徐々に狭まるように傾斜している。このため、第1押圧部112gは、第2クランプ部材112が第1クランプ部材111に接近する動作に伴い、第1押圧部112gに徐々に接近する。
図19(B)に示すように、第2クランプ部材112を第1クランプ部材111に連結すると、第1押圧部112gと第2押圧部112hとの間に第2チューブT2を挟みこみ、第2チューブT2の流路が閉塞された状態となる。このように、ガイド面111cは、第2クランプ部材112が第2チューブT2をクランプできるように、第2クランプ部材112の第1クランプ部材111に対する接近移動をガイドする。
【0113】
次に、ロック部113について説明する。
【0114】
ロック部113は、
図17に示すように、第1クランプ部材111の内面に設けられた突起113aと、第2クランプ部材112の外面(図の手前側の面)に設けられた溝部113bと、を備えている。
【0115】
突起113aと溝部113bは、離脱クランプ110に衝撃等が加わったたり、使用者Mが連結を解除しようとした場合等に離脱クランプ110の連結が解除できない程度に、固く嵌合するように構成している。このため、例えば、使用者Mが離脱クランプ110にクランプされている第2チューブT2を筐体10から取り外し、その後、意図せず落下等させ、離脱クランプ110に衝撃等が加わったとしても、離脱クランプ110のクランプ状態が解除されるのを好適に防止することができる。なお、ロック部113の構成は、離脱クランプ110のクランプ状態を維持可能である限り、特に限定されない。例えば、ロック部113は、機械的な方法だけでなく、電気的方法、磁気的方法等によって、離脱クランプ110のクランプ状態を維持してもよい。
【0116】
次に、切り替え部120について説明する。切り替え部120は、離脱クランプ110を非クランプ状態からクランプ状態に切り替える機能を備えている。
【0117】
切り替え部120は、
図19に示すように、第1クランプアーム221に回動自在に設けられた操作レバー121(「クランプ操作部」に相当)によって構成している。
【0118】
操作レバー121は、蓋部22の第1クランプアーム221とカバー223の間に設けられている。
【0119】
操作レバー121の一端には、第2クランプ部材112に当接する湾曲面122が設けられている。操作レバー121の湾曲面122には、
図15に示すように、第2クランプ部材112上方の突出部112cが嵌め込まれるガイド溝122aが設けられている。ガイド溝122aは、操作レバー121が第2クランプ部材112の湾曲面上を移動するのをガイドする。
【0120】
操作レバー121の他端には、使用者Mが操作レバー121を操作する際に把持する把持部123が設けられている。
【0121】
湾曲面122と把持部123の間には、操作レバー121を第1クランプアーム221に対して回動可能に指示する回動部124が設けられている。
【0122】
使用者Mが、把持部123を把持して操作レバー121を回転させることによって、
図20(A)、(B)に示すように、操作レバー121の湾曲面122によって第2クランプ部材112を押し込まれ、第2クランプ部材112が第1クランプ部材111に挿入されて、第1クランプ部材111と第2クランプ部材112は連結する。
【0123】
次に、クランプ検出センサ130について説明する。
【0124】
クランプ検出センサ130は、
図19(B)に示すように、本実施形態では、リミットスイッチ131によって構成している。
【0125】
リミットスイッチ131は、リミットスイッチ131のアクチュエータ部分が第1クランプ部材111の下方側の開口部111eから挿入された状態で、第1台座211に固定されている。第1クランプ部材111に第2クランプ部材112が連結されると、第2クランプ部材112がリミットスイッチ131のアクチュエータ部分を押し込み、アクチュエータ部分の駆動をリミットスイッチ131に内蔵されているマイクロスイッチが検出する。なお、クランプ検出センサ130の構成は、離脱クランプ110のクランプ状態を検出可能である限り特に限定されない。
【0126】
次に、保護カバー140について説明する。
【0127】
保護カバー140は、
図15に示すように、蓋部22のカバー223に設けられた孔223aに嵌め込むようにして設けられている。保護カバー140は、操作レバー121の把持部123を覆う第1カバー部材141と、それ以外の部分を覆う第2カバー部材142と、を備えている。このため、溶断−接合が正常に行われている間は、使用者Mが操作レバー121を視認できない。
【0128】
使用者Mは、位置交換動作が途中で停止した緊急時は、
図18(A)に示すように、第1カバー部材141を押して外す。これによって、操作レバー121の把持部123が露出する。使用者Mは、把持部123を把持して、
図18(B)に示すように、操作レバー121を回転させる。操作レバー121の回転に伴って、第2カバー部材142が取り外される。
【0129】
次に、回転検出センサ150について説明する。
【0130】
回転検出センサ150は、本実施形態では、公知のロータリーエンコーダ151によって構成している。ロータリーエンコーダ151は、本実施形態では、
図8(B)に示すように可動側押し付け部25bの第2ギア257bの回転軸に接続されており、第2ギア257bの回転角度を計測することができる。制御部90は、第2ギア257bの回転角度から第1ギア257aの回転角度を計算する。そして、制御部90は、可動側押し付け部25bのモータ257cを回転させてから所定時間内に第1ギア257aが180度回転しなかった場合は、回転が停止したと判断するように構成している。なお、回転検出センサ150の構成は、第1ギア257aが180度回転したことを検出可能である限り特に限定されない。
【0131】
次に、開閉検出センサ160について説明する。
【0132】
開閉検出センサ160は、本実施形態では、公知のマイクロスイッチ161によって構成している。マイクロスイッチ161は、
図5に示すように、第1台座211の上面に設けられている。第1クランプアーム221を閉じた状態では、第1クランプアーム221がマイクロスイッチ161のアクチュエータ部分を押し込み、アクチュエータ部分の駆動をマイクロスイッチ161に内蔵されている接点部分が検出する。なお、開閉検出センサ160の構成は、第1クランプアーム221の開閉状態を検出可能である限り特に限定されない。
【0133】
回転検出センサ150、クランプ検出センサ130、および開閉検出センサ160は、
図11に示すように、制御部90に電気的に接続されている。このため、制御部90は、可動側押し付け部25bの回転動作の停止、離脱クランプ110のクランプ状態、蓋部22の第1クランプアーム221の開閉状態を検知することができる。以下、位置交換動作が途中で停止した緊急時に、制御部90が実施する動作フローについて、
図22を参照して説明する。
【0134】
制御部90は、溶断が終了すると、可動側押し付け部25bのモータ275cを駆動させる。この際、制御部90は、回転検出センサ150からの信号に基づいて、所定時間内に第1ギア257aが180度回転しなかった場合は回転が停止したと判断し、以降に記載する動作を実施する。
【0135】
まず、制御部90は、保護カバー140の第1カバー部材141を取り外して操作レバー121を操作する旨を報知部70を介して使用者Mに報知する(S1)。それにともない、使用者Mが保護カバー140の第1カバー部材141を取り外し、操作レバー121を操作した場合は、第2クランプ部材112が第1クランプ部材111に連結されて、離脱クランプ110がクランプ状態となる。
【0136】
次に、制御部90は、所定時間経過後に離脱クランプ110がクランプ状態となったか否かを判断する(S2)。
【0137】
ステップ(S2)で、制御部90が、離脱クランプ110が非クランプ状態である判断した場合(ステップS2;NO)、再びステップ(S1、S2)の動作を実施する。
【0138】
ステップ(S2)で、制御部90が、離脱クランプ110がクランプ状態になったと判断した場合(ステップS2;YES)、制御部90は、インターロック30を解除する(S3)。これによって、使用者Mが蓋部22を開くことが可能となる。
【0139】
次に、制御部90は、蓋部22のカバー223および第1クランプアーム221を開く旨を、報知部70を介して使用者Mに報知する(S4)。
【0140】
次に、制御部90は、開閉検出センサ160からの信号に基づいて、所定時間経過後に第1クランプアーム221が開いた状態になったか否かを判断する(S5)。
【0141】
ステップ(S5)で、制御部90が、第1クランプアーム221が閉じた状態のままであると判断した場合(ステップS5;NO)、再びステップ(S4、S5)の動作を実施する。
【0142】
ステップ(S5)で、制御部90が、第1クランプアーム221が開いた状態になったと判断した場合(ステップS5;YES)、制御部90は、離脱クランプ110とともに第2チューブT2の固定側X2を筐体10から取り外す旨を、報知部70を介して使用者Mに報知する(S6)。
【0143】
次に、制御部90は、チューブ検出センサ24から信号に基づいて、所定時間経過後に第2チューブT2が筐体10から取り外されたか否かを判断する(S7)。
【0144】
ステップ(S7)で、制御部90が、第2チューブT2が筐体10から取り外されていないと判断した場合(ステップS7;NO)、制御部90は、再びステップ(S6、S7)の動作を実施する。
【0145】
ステップ(S7)で、制御部90が、第2チューブT2が筐体10から取り外されていると判断した場合(ステップS7;YES)、制御部90は、自動的に電源がOFFとなる旨を使用者Mに報知する。このように、使用者Mは、報知部70によって報知される操作方法に従って、第2チューブT2の腹膜側をチューブ接合装置1から取外し、チューブ接合装置1から離脱することができる。
【0146】
なお、
図23に示すように、各チューブT1、T2は、各チューブT1、T2をチューブ接合装置1の外部からクランプ可能なクランプCを付属として備えている場合がある。チューブ接合装置1に内蔵されている離脱クランプ110は、位置交換動作が途中で停止した場合には、付属のクランプCと併用しなくとも、第2チューブT2の腹膜側をクランプして第2チューブT2の腹膜側の無菌状態を確保できる。このため、例えば、付属のクランプCを紛失した場合に、位置交換動作が途中で停止しても、第2チューブT2の腹膜側の無菌状態を好適に確保できる。また、一般的に使い捨てとなる各チューブT1、T2にクランプCを組み合わせて販売等する必要がなくなり、各チューブT1、T2の使用コストを低減することができる。なお、離脱クランプ110は、付属のクランプCと併用することも可能である。
【0147】
以上、本実施形態に係るチューブ接合装置1は、開閉可能な蓋部22を備える筐体10と、第1チューブT1および第2チューブT2のうち一方のチューブ(第2チューブT2)をクランプして一方のチューブの流路を閉塞可能であるとともに、一方のチューブをクランプした状態で筐体10から取外し可能な離脱クランプ110と、蓋部22が閉じた状態で、離脱クランプ110が一方のチューブをクランプしていない非クランプ状態から一方のチューブをクランプしたクランプ状態に切り替える切り替え部120と、を有している。
【0148】
このため、チューブ接合装置1の動作不良に起因して、溶断−接合動作(本実施形態では位置交換動作)が途中で停止した場合、蓋部22を閉じた状態のまま、切り替え部120によって離脱クランプ110をクランプ状態に切り替え、一方のチューブの流路を閉塞させることができる。そして、流路を閉塞された一方のチューブは離脱クランプ110とともに筐体10から取り外すことができる。このため、溶断−接合動作が途中で停止した場合に、一方のチューブの無菌状態を保ったままチューブ接合装置1から取外すことができる。
【0149】
また、離脱クランプ110は、クランプ状態を維持するロック部113を備えている。このため、離脱クランプ110によってクランプされた一方のチューブを筐体10から取り外した場合に、例えば、離脱クランプ110および一方のチューブを意図せず落下等させて離脱クランプ110に衝撃等が加わっても、クランプ状態は解除されず、好適に一方のチューブの無菌状態を確保することができる。
【0150】
また、離脱クランプ110は、筐体10に取外し可能に設けられる第1クランプ部材111と、蓋部22に取外し可能に設けられるとともに、第1クランプ部材111に連結して第1クランプ部材111とともに一方のチューブをクランプ可能な第2クランプ部材112と、を備えている。切り替え部120は、蓋部22が閉じた状態において、第2クランプ部材112を第1クランプ部材に相対的に接近させることによって、第2クランプ部材112を第1クランプ部材111に連結する。このため、切り替え部120は、蓋部22が閉じている状態において、離脱クランプ110を非クランプ状態からクランプ状態へ容易に切り替えることができる。
【0151】
また、第1クランプ部材111は、第2クランプ部材112を収容可能な収容空間SPを備え、第2クランプ部材112は、収容空間SPに収容された状態で一方のチューブを挟持する挟持部112bを備えている。このため、挟持部112bによって一方のチューブの流路を好適に閉塞することができる。
【0152】
また、第1クランプ部材111は、一方のチューブを保持する保持部111bと、第2クランプ部材112が保持部111bに保持されている一方のチューブをクランプするように、第2クランプ部材112の第1クランプ部材に対する接近移動をガイドするガイド面111cと、を備えている。このため、第1クランプ部材111は、溶断−接合動作が正常に行われている場合は、チューブを保持するチューブ保持部として機能する。そして、意図せず突然溶断−接合動作が途中で停止した場合は、第1クランプ部材111と第2クランプ部材112を連結させれば、一方のチューブをクランプすることができる。また、第2クランプ部材112は、第1クランプ部材111に接近する際に、ガイド面111cにガイドされるため、一方のチューブを好適にクランプできる。
【0153】
また、切り替え部120は、使用者Mが離脱クランプ110を非クランプ状態からクランプ状態に切り替える操作を行うための操作レバー121を備え、操作レバー121は、取外し可能な保護カバー140によって覆われている。このため、溶断−接合動作が正常に行われている場合には、操作レバー121は使用者が視認できない状態とし、操作レバー121が使用されるのを防止することができる。一方で、意図せず溶断−接合動作が途中で停止した場合には、使用者Mは、保護カバー140を取り外して、操作レバー121を操作することができる。
【0154】
また、溶断した第1チューブT1の片側と第2チューブT2の片側を回転させて位置を入れ替える可動側押し付け部25bと、可動側押し付け部25bの回転停止を検出可能な回転検出センサ150と、可動側押し付け部25bの回転動作が停止した場合に、使用者Mに操作レバー121を操作して離脱クランプ110を非クランプ状態からクランプ状態へ切り替える旨を報知する報知部70と、をさらに有している。このため、使用者Mは、溶断した第1チューブT1の片側と第2チューブT2の片側を回転させて位置を入れ替える動作が停止したことを報知部70を介して知り、その情報に基づいて、操作レバー121を操作することができる。
【0155】
離脱クランプ110のクランプ状態を検出可能なクランプ検出センサ130をさらに備え、報知部70は、クランプ検出センサ130が離脱クランプ110のクランプ状態を検出した場合に、使用者Mに離脱クランプ110とともに一方のチューブを筐体10から取外す旨を報知する。離脱クランプ110がクランプ状態にある場合に蓋部22が開かれるため、一方のチューブの無菌性をより一層好適に保つことができる。
【0156】
以上、実施形態を通じて本発明に係るチューブ接合装置を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜改変することが可能である。
【0157】
例えば、上記実施形態では、第1チューブは、腹膜透析液バッグに分岐管を介して接続された透析液チューブであり、第2チューブは、腹膜透析をする際に使用される患者の腹膜カテーテル側のチューブである形態を説明した。しかし、溶断した後に端部の位置を切り替えて加圧接合を行う対象となるチューブであれば、特に限定されない。例えば、第1チューブは、複数の腹膜透析液バックおよび排液タンクに接続されるとともに自動的に腹膜液の透析を行う装置に接続されているチューブであってもよい。また、第1チューブおよび第2チューブは、腹膜透析に用いられるチューブに限定されない。
【0158】
また、例えば、上記実施形態では、溶断後の第1チューブの片側と第2チューブの片側の位置を入れ替える位置交換動作が途中で停止した場合に、離脱クランプを非クランプ状態からクランプ状態に切り替える場合を説明した。しかし、離脱クランプは、溶断−接合のいずれかの動作(例えば、溶断動作、加圧接合動作)が途中で停止し、接合が完了しなかった場合に、非クランプ状態からクランプ状態に切り替えてもよい。これによって、チューブの無菌状態を保ったまま、筐体からチューブを取り外すことができる。
【0159】
また、例えば、上記実施形態では、離脱クランプは第1クランプ部材と第2クランプ部材を備える形態を説明した。しかし、離脱クランプは例えば単一の部材によって構成していてもよい。
【0160】
また、例えば、上記実施形態では、離脱クランプを非クランプ状態からクランプ状態に切り替える切り替え部は、操作レバーによって構成している形態を説明した。しかしながら、切り替え部は、例えば、自動的に離脱クランプを非クランプ状態からクランプ状態に切り替えるように構成してもよい。また、切り替え部は、例えば、操作部に設けられた操作スイッチを使用者が押すことによって、離脱クランプを非クランプ状態からクランプ状態に切り替えるように構成してもよい。