(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、汚染土壌の浄化方法としては、例えば、水素徐放剤や酵母抽出物質等の活性剤(栄養剤)が添加された活性剤液を注入井戸から汚染土壌に注入し、汚染土壌中の汚染物質を分解する微生物(以下、「分解微生物」という)を増殖、活性化させて分解微生物による汚染物質の浄化を促進させるバイオ方法(バイオスティミュレーション)が知られている。
【0006】
このようなバイオ方法において、分解微生物をさらに活性化させるために、加温された活性剤液を汚染土壌に注入し、汚染土壌を加温することが考えられる。
【0007】
しかしながら、この場合、活性剤液中の他の微生物も活性化し、バイオフィルム等が生成され易くなる。この結果、活性剤液を土壌に注入する注入井戸が目詰まりし易くなり、注入井戸から汚染土壌への活性剤液の注入効率が低下する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、活性剤液を土壌に注入する注入井戸の目詰まりを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様に係る地下土壌浄化システムは、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加された活性剤液を生成する活性剤液生成部と、前記活性剤液とは別に、加温された加温液を生成する加温液生成部と、前記活性剤液及び前記加温液を土壌に注入する注入井戸と、を備える。
【0010】
第1態様に係る地下土壌浄化システムによれば、活性剤液生成部は、活性剤液を生成する。活性剤液には、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加される。また、加温液生成部は、加温された加温液を生成する。加温液生成部は、活性剤液とは別に、加温液を生成する。これらの活性剤液及び加温液は、注入井戸から土壌に注入される。
【0011】
ここで、加温液生成部は、活性剤液とは別に加温液を生成する。つまり、加温液生成部は、活性剤液を加温しない。これにより、活性剤液中の微生物の活性化が抑制される。この結果、バイオフィルム等の生成が抑制される。したがって、注入井戸の目詰まりが抑制される。
【0012】
また、活性剤液及び加温液は、同じ注入井戸から土壌に注入される。したがって、活性剤液及び加温液を別々の注入井戸から土壌に注入する場合と比較して、注入井戸の本数が低減される。したがって、注入井戸の施工コストを削減することができる。
【0013】
第2態様に係る地下土壌浄化システムは、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加された活性剤液を生成する活性剤液生成部と、前記活性剤液とは別に、加温された加温液を生成する加温液生成部と、前記活性剤液を土壌に注入する活性剤液注入井戸と、前記加温液を土壌に注入する加温液注入井戸と、を備える。
【0014】
第2態様に係る地下土壌浄化システムによれば、活性剤液生成部は、活性剤液を生成する。活性剤液には、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加される。この活性剤液は、活性剤液注入井戸から土壌に注入される。
【0015】
また、加温液生成部は、加温された加温液を生成する。加温液生成部は、活性剤液とは別に、加温液を生成する。この加温液は、加温液注入井戸から土壌に注入される。
【0016】
ここで、加温液生成部は、活性剤液とは別に加温液を生成する。つまり、加温液生成部は、活性剤液を加温しない。これにより、活性剤液中の微生物の活性化が抑制される。この結果、バイオフィルム等の生成が抑制される。したがって、注入井戸の目詰まりが抑制される。
【0017】
また、活性剤液は、活性剤液注入井戸から土壌に注入され、加温液は、加温液注入井戸から土壌に注入される。これにより、活性剤液注入井戸内の温度上昇が抑制されるため、活性剤液注入井戸の目詰まりがさらに抑制される。
【0018】
第3態様に係る地下土壌浄化システムは、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加された活性剤液を生成する活性剤液生成部と、前記活性剤液とは別に、加温された加温液を生成する加温液生成部と、前記活性剤液を土壌に注入する注入井戸と、土壌に設けられ、該土壌と前記加温液と熱交換させる熱交換部と、を備える。
【0019】
第3態様に係る地下土壌浄化システムによれば、活性剤液生成部は、活性剤液を生成する。活性剤液には、土壌中の汚染物質を分解する分解微生物を活性化させる活性剤が添加される。この活性剤液は、注入井戸から土壌に注入される。
【0020】
また、加温液生成部は、加温された加温液を生成する。加温液生成部は、活性剤液とは別に、加温液を生成する。この加温液は、土壌に設けられた熱交換部において土壌と熱交換される。これにより、土壌が加温される。
【0021】
ここで、加温液生成部は、活性剤液とは別に加温液を生成する。つまり、加温液生成部は、活性剤液を加温しない。これにより、活性剤液中の微生物の活性化が抑制される。この結果、バイオフィルム等の生成が抑制される。したがって、注入井戸の目詰まりが抑制される。
【0022】
また、例えば、加温液を注入井戸から土壌に注入する場合は、加温液は土壌中に拡散される。したがって、土壌が広範囲に亘って加温される。
【0023】
一方、熱交換部において、加温液と土壌とを熱交換させる場合は、土壌を局所的に加温することができる。したがって、土壌の所定部の加温効率を高めることができる。
【0024】
第4態様に係る地下土壌浄化システムは、
第1態様〜
第3態様の何れか1
つ係る地下土壌浄化システムにおいて、前記加温液生成部は、コージェネレーションシステムの排熱によって前記加温液を生成する。
【0025】
第4態様に係る地下土壌浄化システムによれば、加温液生成部は、コージェネレーションシステムの排熱によって加温液を生成する。これにより、コージェネレーションシステムの排熱を有効利用することができる。したがって、省エネルギー化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明に係る地下土壌浄化システムによれば、活性剤液を土壌に注入する注入井戸の目詰まりを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0029】
(地下土壌浄化システム)
図1には、本実施形態に係る地下土壌浄化システム10が適用された地盤12の一例が示されている。地盤12は、難透水層12Aと、難透水層12Aの上に堆積された帯水層12Bとを有している。なお、
図1に示される符号Sは、帯水層12Bの地下水位を示している。また、
図1に示される矢印Vは、地下水の流れを示している。
【0030】
帯水層12Bは、難透水層12Aよりも通水性が高く、地下水が流動し易くなっている。この帯水層12Bは、VOC(揮発性有機化合物)等の汚染物質を含む汚染土壌12B1を有している。
【0031】
汚染物質としては、例えば、有機化合物(塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤、ガソリン、シンナーなどに含まれるトルエン、キシレンや、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)などの揮発性有機化合物)、重金属化合物、無機化合物、油類等が挙げられる。
【0032】
なお、本実施形態に係る地下土壌浄化システム10は、上記の地盤12に限らず、例えば、難透水層12Aが存在しない地盤12等の種々の地盤に適用可能である。また、本実施形態では、地盤12の上に構造物11が立てられているが、地下土壌浄化システム10は、構造物11が立てられる前の地盤12に適用することも可能である。
【0033】
地下土壌浄化システム10には、バイオ方法(バイオスティミュレーション)が採用されている。バイオ方法は、例えば、水素徐放剤や酵母抽出物質等の活性剤(栄養剤)が添加された活性剤液を注入井戸16から地盤12に注入し、汚染土壌12B1中の汚染物質を分解する微生物(以下、「分解微生物」という)を増殖、活性化させて分解微生物による汚染物質の浄化を促進させる方法である。
【0034】
また、地下土壌浄化システム10では、帯水層12B中の地下水(常温地下水)よりも高温に加温された加温液を帯水層12Bに注入する。これにより、汚染土壌12B1に存在する分解微生物を増殖、活性化させるとともに、汚染土壌12B1から汚染物質が剥離し易い状態にし、汚染土壌12B1の浄化効率を高めている。
【0035】
地下土壌浄化システム10は、遮水壁14と、注入井戸16と、揚水井戸18と、観測井戸20と、温度検出部22と、水処理装置30と、活性剤液生成部40と、活性剤液制御部48と、加温液生成部50と、加温液制御部58とを備えている。
【0036】
(遮水壁)
遮水壁14は、例えば、コンクリートや地盤改良等によって、帯水層12Bに形成されている。また、遮水壁14は、汚染土壌12B1を囲むように平面視にて枠状に形成されている。この遮水壁14は帯水層12Bを貫通し、その下端部が難透水層12Aに根入れされている。これにより、汚染土壌12B1で汚染された地下水等の拡散が防止されている。なお、遮水壁14は、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0037】
(注入井戸及び揚水井戸)
注入井戸16は、遮水壁14によって区画された領域(土壌)の一端側に配置されている。一方、揚水井戸18は、遮水壁14によって区画された領域(土壌)の他端側に配置されている。これらの注入井戸16及び揚水井戸18は、地盤12を掘削することにより形成されている。
【0038】
各注入井戸16及び揚水井戸18は、地盤12の帯水層12Bを貫通し、難透水層12Aに達している。この注入井戸16から地盤12に供給された活性剤液及び加温液は、矢印Vで示されるように、汚染土壌12B1を通過し、揚水井戸18から揚水される。
【0039】
なお、注入井戸16及び揚水井戸18の数や配置、長さは、浄化対象となる汚染土壌12B1の範囲に応じて適宜変更可能である。また、注入井戸16及び揚水井戸18は、必ずしも難透水層12Aに達する必要はない。
【0040】
(観測井戸)
観測井戸20は、地盤12を掘削することにより形成されている。この観測井戸20は、遮水壁14によって区画された領域内に設けられている。また、観測井戸20は、汚染土壌12B1に設けられている。この観測井戸20は、地下水中の汚染物質の濃度や活性剤の濃度等を観測(検出)するための井戸である。
【0041】
観測井戸20の内部には、例えば、図示しない揚水管が設けられており、この揚水管に設けられポンプを作動することより、汚染土壌12B1の地下水が汲み上げられる。汲み上げられた地下水中の活性剤等の濃度は、濃度測定装置等によって測定される。
【0042】
なお、観測井戸20の内部に設けられた濃度測定装置等によって、地下水中の活性剤等の濃度を測定することも可能である。また、活性剤液に蛍光染料等の指標材を添加し、この指標材の濃度を測定することにより、活性剤の濃度を推定することも可能である。
【0043】
(温度検出部)
温度検出部22は、例えば、温度センサ等によって実現される。この温度検出部22は、汚染土壌12B1に埋設され、当該汚染土壌12B1中の地下水の温度を検出する。また、温度検出部22には、後述する加温液制御部58が電気的に接続されている。
【0044】
なお、温度検出部22は、汚染土壌12B1に限らず、例えば、遮水壁14で囲まれた領域内に設けることができる。また、温度検出部22は、例えば、観測井戸20内に設けることができる。さらに、温度検出部22は、観測井戸20から揚水された地下水の温度を検出しても良い。
【0045】
(水処理装置)
水処理装置30は、例えば、揚水井戸18から揚水された地下水をろ過するろ過装置等を含んで構成される。この水処理装置30には、配管26を介して揚水井戸18が接続されている。配管26には、揚水ポンプ28が設けられており、この揚水ポンプ28が作動することにより、揚水井戸18から揚水された地下水が水処理装置30に供給される。なお、揚水ポンプ28は揚水井戸18の内部に設けても良い。
【0046】
水処理装置30に供給された地下水は、当該水処理装置30によって水処理され、汚濁物質等が除去される。この水処理装置30には、配管32を介して活性剤液生成部40が接続されるとともに、配管34を介して加温液生成部50が接続されている。そして、水処理装置30によって水処理された地下水(処理水)は、配管32を介して活性剤液生成部40に供給されるとともに、配管34を介して加温液生成部50に供給される。
【0047】
(活性剤液生成部)
活性剤液生成部40は、活性剤調整槽42と、活性剤調整槽42に活性剤を添加する添加装置44とを有している。活性剤調整槽42は、水処理装置30から供給された地下水を一時的に貯留する貯留槽とされている。添加装置44は、活性剤を収容する収容部と、活性剤調整槽42に添加する活性剤の添加量を増減する添加量調整部とを有する。この添加装置44によって、活性剤調整槽42に貯留された地下水に活性剤を添加することにより、所定濃度の活性剤液が生成される。なお、添加装置44には、後述する活性剤液制御部48が電気的に接続されている。
【0048】
活性剤調整槽42には、配管45を介して注入井戸16が接続されている。この配管45には、活性剤液注入ポンプ46が設けられている。この活性剤液注入ポンプ46が作動することにより、活性剤調整槽42の添加剤液が注入井戸16から地盤(土壌)12に注入される。また、活性剤液注入ポンプ46には、後述する活性剤液制御部48が電気的に接続されている。
【0049】
(活性剤液制御部)
活性剤液制御部48は、汚染土壌12B1の活性剤の濃度(汚染土壌12B1における地下水中の活性剤の濃度)が所定値になるように、添加装置44及び活性剤液注入ポンプ46の動作を制御する。この活性剤液制御部48には、添加装置44及び活性剤液注入ポンプ46が電気的に接続されている。なお、活性剤液制御部48の動作については、汚染土壌の浄化方法と共に後述する。
【0050】
(加温液生成部)
加温液生成部50は、加温槽52と、加温装置54とを有している。加温槽52は、水処理装置30から供給された地下水を一時的に貯留する貯留槽とされている。加温装置54には、例えば、電気ヒーターやガスボイラー等が用いられる。この加温装置54によって、加温槽52に貯留された地下水に所定温度に加温することにより、加温液が生成される。つまり、本実施形態では、活性剤液とは別に、加温液を生成する。また、加温装置54は、例えば、汚染土壌12B1中の分解微生物が増殖、活性化し易い温度(例えば、25℃〜60℃)になるように加温槽52内の地下水を加温する。
【0051】
なお、加温装置54には、後述する加温液制御部58が電気的に接続されている。また、加温装置54には、例えば、地盤12上に立てられる構造物に設置される空調や工場設備等より排出される排熱を用いることが出来る。この場合、空調や工場設備等より排出される排熱によって、加温槽52の地下水が加温される。また、加温装置54には、例えば、コージェネレーションシステムを用いることができる。この場合、コージェネレーションシステムの排熱によって、加温槽52の地下水が加温される。
【0052】
加温槽52には、配管55を介して注入井戸16が接続されている。また、配管55には、加温液注入ポンプ56が設けられている。この加温液注入ポンプ56が作動することにより、加温槽52の加温液が、注入井戸16から地盤(土壌)12に注入される。
【0053】
なお、加温槽52を省略し、配管55を流れる地下水を加温装置54によって所定温度に加温することも可能である。
【0054】
(加温液制御部)
加温液制御部58は、汚染土壌12B1における地下水の温度が所定値になるように、加温装置54及び加温液注入ポンプ56の動作を制御する。この加温液制御部58には、加温装置54及び加温液注入ポンプ56が電気的に接続されている。なお、活性剤液制御部48の動作については、汚染土壌の浄化方法と共に後述する。
【0055】
(汚染土壌の浄化方法)
次に、第一実施形態に係る地下土壌浄化システムによる汚染土壌の浄化方法の一例について説明する。
【0056】
(地下土壌浄化システムの動作)
先ず、地下土壌浄化システム10の全体の動作について説明する。地下土壌浄化システム10では、活性剤液生成部40で生成された活性剤液が注入井戸16から地盤12に注入されるとともに、加温液生成部50で生成された加温液が注入井戸16から地盤12に注入される。
【0057】
地盤12に注入された活性剤液及び加温液は、矢印Vで示されるように、汚染土壌12B1に供給される。そして、汚染土壌12B1を通過した地下水は、揚水井戸18から揚水される。また、揚水井戸18から揚水された地下水は、配管26を介して水処理装置30に供給され、水処理装置30によって水処理される。また、水処理装置30によって水処理された地下水は、配管32を介して活性剤液生成部40に供給されるとともに、配管34を介して加温液生成部50に供給される。
【0058】
活性剤液生成部40は、水処理装置30によって水処理された地下水に前述した活性剤を添加し、所定濃度の活性剤液を生成する。この活性剤液は、注入井戸16から汚染土壌12B1に再び注入される。一方、加温液生成部50は、水処理装置30によって水処理された地下水を加温し、所定温度の加温液を生成する。この加温液は、注入井戸16から汚染土壌12B1に再び注入される。
【0059】
このように本実施形態に係る地下土壌浄化システム10では、汚染土壌12B1と水処理装置30、活性剤液生成部40及び加温液生成部50との間で地下水を循環させながら、汚染土壌12B1を浄化する。
【0060】
(活性剤液制御部の動作)
次に、活性剤液制御部48の動作について説明する。活性剤液制御部48は、汚染土壌12B1中の活性剤の濃度が所定値になるように、添加装置44及び活性剤液注入ポンプ46の動作を制御する。
【0061】
具体的には、活性剤液制御部48は、観測井戸20で観測された地下水中の活性剤の濃度が所定値未満の場合に、添加装置44を作動し、活性剤調整槽42に活性剤を添加して活性剤液を生成するとともに、活性剤液注入ポンプ46を作動させる。これにより、活性剤調整槽42で生成された所定濃度の活性剤液が、注入井戸16から地盤12に注入される。この際、揚水ポンプ28を停止し、揚水井戸18から地下水の揚水を適宜停止しても良い。
【0062】
一方、活性剤液制御部48は、観測井戸20で観測された地下水中の活性剤の濃度が所定値以上の場合に、添加装置44及び活性剤液注入ポンプ46を停止する。これにより、注入井戸16から地盤12への活性剤液の注入が停止される。
【0063】
ここで、汚染土壌12B1に活性剤を注入すると、汚染土壌12B1中の分解微生物を増殖、活性化され、分解微生物による汚染物質の浄化が促進される。したがって、汚染土壌12B1の浄化効率が高められる。
【0064】
また、本実施形態では、活性剤液制御部48によって、汚染土壌12B1中の活性剤の濃度が所定値(所定範囲)に維持される。したがって、汚染土壌12B1の浄化効率がさらに高められる。
【0065】
(加温液制御部の動作)
次に、加温液制御部58の動作について説明する。加温液制御部58は、汚染土壌12B1における地下水の温度が所定値になるように、加温装置54及び加温液注入ポンプ56の動作を制御する。
【0066】
具体的には、加温液制御部58は、温度検出部22によって検出された汚染土壌12B1の地下水の温度が所定値未満の場合に、加温装置54を作動し、加温槽52内の地下水を加温して所定温度の加温液を生成するとともに、加温液注入ポンプ56を作動する。これにより、加温槽52で生成された所定温度の加温液が、注入井戸16から地盤12に注入される。
【0067】
一方、加温液制御部58は、温度検出部22によって検出された汚染土壌12B1の地下水の温度が所定値以上の場合に、加温装置54及び加温液注入ポンプ56を停止する。これにより、注入井戸16から地盤12への加温液の注入が停止される。この際、揚水ポンプ28を停止し、揚水井戸18から地下水の揚水を適宜停止しても良い。
【0068】
ここで、汚染土壌12B1に加温液を注入すると、汚染土壌12B1中の分解微生物が増殖、活性化されるとともに、汚染土壌12B1から汚染物質が剥離し易くなる。したがって、汚染土壌12B1の浄化効率が高められる。
【0069】
また、本実施形態では、加温液制御部58によって、汚染土壌12B1中の地下水の温度が所定値(所定範囲)に維持される。したがって、汚染土壌12B1の浄化効率がさらに高められる。
【0070】
(効果)
次に、第一実施形態の効果について説明する。
【0071】
本実施形態に係る地下土壌浄化システム10は、活性剤液生成部40及び加温液生成部50を備えている。この加温液生成部50は、活性剤液とは別に加温液を生成する。つまり、加温液生成部50は、活性剤液を加温しない。これにより、活性剤液中の微生物の活性化が抑制される。この結果、注入井戸16の目詰まりの原因となるバイオフィルム等の生成が抑制される。したがって、注入井戸16の目詰まりが抑制される。
【0072】
また、活性剤液生成部40は、活性剤液制御部48によって制御され、加温液生成部50は、加温液制御部58によって制御される。つまり、活性剤液生成部40と加温液制御部58とは、別々に制御される。これにより、本実施形態では、汚染土壌12B1の地下水の温度に関わらず、活性剤液のみを汚染土壌12B1に注入することができる。したがって、汚染土壌12B1中の活性剤の濃度を効率的に調整することができる。
【0073】
これと同様に、本実施形態では、汚染土壌12B1中の活性剤の濃度に関わらず、加温液のみを汚染土壌12B1に注入することができる。したがって、汚染土壌12B1における地下水の温度を効率的に調整することができる。
【0074】
また、本実施形態では、活性剤液生成部40で生成された活性剤液と、加温液生成部50で生成された加温液とが、同じ注入井戸16から地盤12に注入される。したがって、活性剤液及び加温液を別々の注入井戸16から地盤12に注入する場合と比較して、注入井戸16の本数が低減される。したがって、注入井戸16の施工コストを削減することができる。
【0075】
さらに、加温液生成部50において、空調や工場設備等より排出される排熱もしくはコージェネレーションシステムの排熱によって加温液を生成することにより、省エネルギー化を図ることができる。
【0076】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0077】
図2には、第二実施形態に係る地下土壌浄化システム60が示されている。この地下土壌浄化システム60は、活性剤液注入井戸62と、加温液注入井戸64とを備えている。活性剤液注入井戸62には、配管45を介して活性剤調整槽42(活性剤液生成部40)が接続されている。この活性剤液注入井戸62から、添加剤液が地盤12に注入される。
【0078】
加温液注入井戸64は、活性剤液注入井戸62よりも汚染土壌12B1及び揚水井戸18側に配置されている。また、加温液注入井戸64には、配管55を介して加温槽52(加温液生成部50)が接続されている。この加温液注入井戸64から、加温液が地盤12に注入される。
【0079】
(作用)
次に、第二実施形態の作用について説明する。なお、第二実施形態に係る地下土壌浄化システムによる汚染土壌の浄化方法は、第一実施形態と同様であるため、説明を適宜省略する。
【0080】
本実施形態に係る地下土壌浄化システム60によれば、活性剤液生成部40で生成された活性剤液は、活性剤液注入井戸62から地盤12に注入される。一方、加温液生成部50で生成された加温液は、加温液注入井戸64から地盤12に注入される。
【0081】
これにより、加温液による活性剤液注入井戸62内の温度上昇が抑制されるため、活性剤液注入井戸62の目詰まりがさらに抑制される。
【0082】
また、加温液注入井戸64は、活性剤液注入井戸62よりも汚染土壌12B1及び揚水井戸18側に配置されている。換言すると、活性剤液注入井戸62は、加温液注入井戸64に対して汚染土壌12B1及び揚水井戸18と反対側に配置されている。これにより、加温液注入井戸64から汚染土壌12B1及び揚水井戸18側へ流れる加温液によって、活性剤液注入井戸62が加温されることが抑制される。したがって、活性剤液注入井戸62の目詰まりがさらに抑制される。
【0083】
なお、活性剤液注入井戸62及び加温液注入井戸64の配置は適宜変更可能であり、例えば、加温液注入井戸64よりも揚水井戸18側に活性剤液注入井戸62を配置しても良い。また、
図2の紙面奥行方向に、活性剤液注入井戸及び加温液注入井戸を並べて配置しても良い。
【0084】
また、加温液注入井戸64は、後述する第三実施形態における熱交換用井戸72(
図3参照)のように、汚染土壌12B1に複数設けても良い。
【0085】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0086】
図3には、第三実施形態に係る地下土壌浄化システム70が示されている。この地下土壌浄化システム70は、複数の熱交換用井戸72を備えている。複数の熱交換用井戸72は、地盤12を掘削することにより形成されている。これらの熱交換用井戸72は、間隔を空けて汚染土壌12B1に設けられている。
【0087】
熱交換用井戸72内には、熱交換部としての熱交換チューブ74が設けられている。熱交換チューブ74は、熱交換用井戸72内で折り返すU字形状のチューブとされている。この熱交換チューブ74の一端部には、送り配管80を介して加温液生成部50の加温槽52が接続されている。また、熱交換チューブ74の他端部には、戻り配管82を介して加温液生成部50の加温槽52が接続されている。
【0088】
送り配管80及び戻り配管82は、熱交換チューブ74と加温液生成部50との間で加温液を循環させる循環流路を形成している。また、送り配管80には、加温液を循環させる循環ポンプ81が設けられている。循環ポンプ81には、加温液制御部58が電気的に接続されている。この加温液制御部58によって、循環ポンプ81及び加温液生成部50の動作が制御される。
【0089】
なお、本実施形態における加温液生成部50には、揚水井戸18が接続されていないが、揚水井戸18を接続することも可能である。
【0090】
(作用)
次に、第三実施形態の作用について説明する。なお、第三実施形態に係る地下土壌浄化システムによる汚染土壌の浄化方法は、第一実施形態と同様であるため、説明を適宜省略する。
【0091】
本実施形態に係る地下土壌浄化システム70によれば、複数の熱交換用井戸72には、熱交換チューブ74が設けられている。これらの熱交換チューブ74には、送り配管80及び戻り配管82を介して加温液生成部50が接続されている。
【0092】
熱交換チューブ74には、加温液生成部50で生成された加温液が送り配管80を介して供給される。この熱交換チューブ74は、加温液生成部50から供給された加温液と、汚染土壌12B1とを熱交換させる。この結果、加温液の熱によって汚染土壌12B1中の地下水が加温される。
【0093】
このように本実施形態では、加温液生成部50と熱交換チューブ74との間で加温液を循環させながら、汚染土壌12B1中の地下水を加温する。これにより、上記第一実施形態と同様に、汚染土壌12B1中の分解微生物が増殖、活性化されるとともに、汚染土壌12B1から汚染物質が剥離し易くなる。したがって、汚染土壌12B1の浄化効率が高められる。
【0094】
また、熱交換チューブ74における汚染土壌12B1との熱交換によって温度が低下した加温液は、戻り配管82を介して加温液生成部50に戻され、加温液生成部50によって所定温度に加温される。
【0095】
ここで、例えば、第一実施形態のように、加温液を注入井戸16から地盤12に注入する場合は、加温液が地盤12中に拡散される。したがって、地盤12を広範囲に亘って加温することができる。
【0096】
一方、本実施形態では、熱交換チューブ74において加温液を汚染土壌12B1と熱交換させる。これにより、汚染土壌12B1中の地下水を局所的に加温することができる。したがって、汚染土壌12B1の所定部の効率的に加温することができる。
【0097】
また、
図4に示されるように、複数の熱交換用井戸72は、汚染土壌12B1の浄化後に、例えば、地中熱を利用する地中熱利用システム90に活用(転用)することができる。
【0098】
具体的には、熱交換チューブ74には、送り配管80及び戻り配管82を介してヒートポンプ92が接続されている。また、ヒートポンプ92には、例えば、構造物11の空調機94が接続されている。このヒートポンプ92は、熱交換チューブ74において地盤12と熱交換した流体から熱(冷熱又は温熱)を汲み上げ、空調機94に供給する。これにより、地盤12の地中熱を利用することができる。
【0099】
なお、
図4に示される地中熱利用システム90では、クローズループ方式とされているが、オープンループ方式とすることも可能である。
【0100】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例を説明するが、これらの変形例は上記第二実施形態及び上記第三実施形態にも適宜適用可能である。
【0101】
上記第一実施形態では、バイオ方法として、バイオスティミュレーションを用いたが、これに限らない。例えば、外部で培養された微生物を活性剤等と共に、汚染地盤12B1に注入するバイオオーグメンテーションを用いても良い。
【0102】
また、上記第一実施形態では、地盤12に揚水井戸18が設けられるが、上記実施形態はこれに限らない。揚水井戸18は必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0103】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。