特許第6974066号(P6974066)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974066
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】軒樋排水装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   E04D13/068 503D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-157486(P2017-157486)
(22)【出願日】2017年8月17日
(65)【公開番号】特開2019-35270(P2019-35270A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2020年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 佳弘
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−081431(JP,A)
【文献】 米国特許第06282844(US,B1)
【文献】 特開平7−292893(JP,A)
【文献】 特開昭56−122467(JP,A)
【文献】 実開平2−123523(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/068
E04D 13/04
E04D 13/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁面に排水口を備えた上合と、下部に雨水落とし口を有するとともに後壁面に前記排水口に接続する開口を備えた受水升からなる軒樋排水装置であって、
前記上合の排水口の周囲が前記前壁面から外方へ突出した突枠部で囲われ、前記受水升の開口がこの突枠部の外周に篏合するように設けられているとともに、
この突枠部に、当該突枠部に開口が篏合した前記受水升の後壁面の内側に係合する係合部であって、当該突枠部中に両側をスリットによって区画して設けられた突片部の先端外面にテーパ状の係止爪を設けて形成された係合部が備えられ、
前記係合部が受水升に係合することで上合に受水升が一体に装着固定され、受水升との係合を解除することで受水升と上合が分離するように設けられた構成を有することを特徴とする軒樋排水装置。
【請求項2】
突枠部の上辺に係合部を設けた請求項1に記載の軒樋排水装置。
【請求項3】
突枠部の左右側辺に係合部をそれぞれ設けた請求項1に記載の軒樋排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根を伝い軒先に取り付けられた軒樋に流れ落ちた雨水を、軒樋から竪樋に流入させて地上へと流し下すための装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根面を流れる雨水を集めて地面や下水に導く雨樋において、屋根から軒樋に流れ落ちた雨水は軒の途中に設けられた落とし口である集水器や集水機能を備えた軒樋継手を通して竪樋へと流入し、竪樋から地上に流し下される。
【0003】
かかる集水器や軒樋継手としては、底面部に排水口を備えた形状のものが多く用いられ、この排水口に建物の外壁に鉛直に取り付けられた竪樋を直に接続し、或いは呼び樋やエルボを介して接続して雨水の排水経路を形成している(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−263508号公報
【特許文献2】特開2004‐308399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の雨樋は、前記排水経路を形成する軒樋や集水器、竪樋などの各部材がそれぞれの接続部位を接着剤で接着固定して取り付ける構造のものであり、そのため、施工後に、例えば雨水の流路にゴミが詰まるなどして雨樋が破損し、軒樋、集水器や軒樋継手又は竪樋の何れかを交換する必要が生じた場合に、排水経路上の各部材が一体に接着固定されているため、何れかの部材のみを部分的に交換して修理することができなかった。
【0006】
集水器や軒樋継手の前壁面側に排水口を設け、この排水口に竪樋を接続して軒樋の前面側に竪樋が配置されるように雨水の排水経路を構成する場合も、前記と同様に、軒樋や集水器、竪樋などの各部材が接続部位を接着剤で接着固定して取り付けており、排水経路上の何れかの部材を部分的に交換することができなかった。軒樋と竪樋の何方かを交換すれば済む修理でも、両樋の端部が一体に接着固定された集水器などを交換する部材とともに交換しなければならないため、交換する部材のコストが余計にかかり交換作業も手間を要するものであった。
【0007】
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、軒樋と竪樋を接続して雨水の排水経路を形成するにあたり、経路を形成する部材の端部間を、接着剤を用いることなく確実且つ水密に接続して、部材同士を一体に固定することができ、修理の際には必要な部材のみを交換することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、軒樋と竪樋を接続する部材である軒樋排水装置を、軒樋が接続する上合と竪樋が接続する受水升の二つの部材により構成するとともに、受水升を上合に装着して、接着剤を用いずに一体に固定することができるように構成した。
【0009】
すなわち、本発明は、前壁面に排水口を備えた上合と、下部に雨水落とし口を有するとともに後壁面に前記排水口に接続する開口を備えた受水升からなる雨水排水装置であって、
前記上合の排水口の周囲が前記前壁面から外方へ突出した突枠部で囲われ、前記受水升の開口がこの突枠部の外周に篏合するように設けられているとともに、
この突枠部に当該突枠部に開口が篏合した前記受水升の後壁面の内側に係合する係合部が備えられ、
前記係合部が受水升に係合することで上合に受水升が一体に装着固定され、受水升との係合を解除することで受水升と上合が分離するように設けられた構成を有することを特徴とする。
【0010】
これによれば、上合の突枠部に受水升の開口を宛がい、突枠部外周に開口を篏合させるともに、突枠部に設けられた係合部を受水升の後壁面に係合させることで、上合に受水升を取り付けることができる。
上合に取り付けられた受水升は、その開口が上合の排水口に繋がり、軒樋から上合に流入した雨水を、その排水口から受水升内へと受け入れ、雨水落とし口から竪樋に流入させて地上に流し下すことができる。受水升は、その開口内面を上合の排水口の輪郭に沿って設けられた突枠部の外周面に篏合させて装着されて、前記排水口と開口の接続部は隙間なく密閉されるので、排水口から開口を通る雨水が接続部から漏れ出ることはない。
また、係合部の受水升に対する係合を解除することで、受水升と上合を分離することができるので、雨水の流路にゴミが詰まるなどして、軒樋と竪樋の何れかを交換して雨樋を修理する必要が生じたときは、上合に固定されていた受水升を取り外して両部材を分離することで、一方の部材のみを交換して修理することが可能となる。
【0011】
前記構成の軒樋排水装置において、上合の突枠部に設ける係合部は、当該突枠部中に両側をスリットによって区画した突片部を設け、この突片部の先端外面にテーパ状の係止爪を設けて形成することができる。
これによれば、受水升を上合に取り付ける際に、上合の突枠部外周に開口を宛がって受水升を上合側へ押し込めば、係合部の突片部先端の係止爪が受水升の開口縁部に当接し、前記押し込みに伴って突片部が内方へ弾性変形し、係止爪が前記開口縁部を乗り越えるまで押し込むと突片部が外方へ弾性変形して、係止爪が開口縁部内面である受水升の後壁面内側に係合し、受水升の開口が突枠部の外周に篏合した位置に受水升を固定することができる。
一方、係合部が受水升の後壁面に係合している状態で、受水升の内側から前記係止爪を内方へ押して突片部を弾性変形させることで係合部の係合が解除され、係合が解除した状態で受水升を引き抜けば、上合と受水升を分離させることが可能である。
なお、前記係合部は、突枠部の上辺に設けたり、突枠部の左右側辺にそれぞれ設けたりすることができる。
【0012】
本発明の雨樋排水装置を構成する上合と受水升は、例えばポリカーボネート、塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料を用い、射出成形などによって形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の軒樋排水装置を用いて軒樋と竪樋を接続した状態の要部外観図である。
図2図1の部材を展開して示した外観図である。
図3図1の軒樋排水装置の上合の拡大外観図である。
図4図1の軒樋排水装置の上合と受水升を分離した状態の縦断面図である。
図5図4の状態から上合に受水升を取り付ける過程を示した縦断面図である。
図6図5の状態の上合の係合部と受水升の開口の拡大縦断面図(A)と係合部が受水升に係合した状態の拡大縦断面図(B)である。
図7図1の軒樋排水装置の上合と受水升が接続した状態の縦断面図である。
図8】本発明の他の実施形態の軒樋排水装置の外観図である。
図9図8の部材を展開して示した外観図である。
図10】(A),(B)及び(C)は図8の軒樋排水装置における上合に受水升を接続する過程を示した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の軒樋排水装置を用いて軒樋と竪樋を接続した状態の要部外観、図2はその部材を展開した状態の外観をそれぞれ示しており、図示されるように、この軒樋排水装置1は、軒樋4,4が接続する上合2と竪樋5が接続する受水升3の二つの部材により形成され、受水升3を上合2に装着して、接着剤を用いずに一体に固定することができるように構成してある。
【0015】
詳しくは、軒樋排水装置1を構成する上合2は、底面部21の前後端部から前壁面22と後壁面23をそれぞれ立ち上げて側面視略々U字形をなし、その左右両側に軒樋4の端部が外篏合して接続する接続口24,24を備え、前壁面22の中央部に縦長矩形状に開口していて軒樋4内の水を竪樋5へと流入させるための排水口25を設けるとともに、排水口25が形成された前壁面22の表面に、排水口25の輪郭に沿って略垂直に外方へ鍔状に突出していて上辺部に受水升4に係合する係合部27を一体に備えた突枠部26を設けて形成してある。
【0016】
図3に示されるように、上合2の係合部27は、突枠部26の上辺をその両端部に形成されたスリット27a,27aで区画するとともに、両スリット27a,27a間に、先端から前壁面22側に向けて漸次テーパ状に厚みを増した係止爪27cを先端部外面に設けた突片部27bを配置した形状に設けてある。
係止爪27cは、その最も厚肉な根本部と前壁面22との間に、受水升3の後壁面33が略一杯に差し込まれる寸法に形成してある。
【0017】
同じく軒樋排水装置1を構成する受水升3は、下部に雨水落とし口を有して筒状に形成されており、前記雨水落とし口に面して竪樋5の端部が接続する接続口31を設けるとともに、軒に向き合って平坦な面で形成された後壁面32内に、前記上合2の排水口25に接続する開口33を設けて形成してある。
開口33は、排水口25と同様に縦長矩形状に開けられ、その内周が上合2の突枠部26の外周に篏合する大きさに形成してある。
受水升3の上端は開口してあるが、上端開口を閉鎖する蓋体やゴミ除け用の通水カバー体を着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0018】
本形態の軒樋排水装置1は、上記のような上合2と受水升3の二つの部材により構成されており、両部材の接続は以下のようにして行うことができる。
先ず、予め上合2の接続口24,24に軒樋4,4の端部を接続固定し、受水升3の接続口31に竪樋5の上端を接続固定しておく。接続固定は、それぞれの接続口24,31と両樋4,5の端部接合面に接着剤を塗布して行う。
【0019】
軒樋4,4が上合2に、竪樋5が受水升3に接続されたならば、図4に示されるように、上合2の突枠部26に受水升3の開口33を向き合わせて平行に配置する。
次いで、図5に示されるように、受水升3をその開口33の周縁部が突枠部26の上端に接するように宛がい、開口33の周縁部を突枠部26の上端に当接させたまま受水升3を上合2側へ押し込む。
【0020】
すると、図6(A)に示されるように、受水升3の上合2側への押し込みに伴って、受水升3の開口33の縁部に係止爪27cが当接した係合部27の突片部27が排水口25の内方へ弾性変形し、さらに係止爪27cが前記開口33の縁部を乗り越えるまで受水升3を押し込むと、同図(B)に示されるように、突片部27bが排水口25の外方へ弾性変形して、係止爪27cが開口33の縁部内面である受水升3の後壁面32の内側に係合し、これにより、受水升3をその開口33を突枠部26の外周に篏合させた位置に固定して上合2に取り付けることができる。
【0021】
上合2に取り付けられた受水升3は、その開口33内に上合2の突枠部26が進出して排水口25に繋がり、軒樋4から上合2に流入した雨水を、その排水口25から受水升3内へと受け入れ、雨水落とし口から竪樋5に流入させて地上に流し下すことができる。受水升3は、その開口33内面を上合2の突枠部26の外周面に篏合させて装着されており、排水口25と開口33の接続部は隙間なく密閉されるので、排水口25から開口33を通る雨水が接続部から漏れ出ることはない。
【0022】
また、雨樋の施工後、雨水の流路にゴミが詰まるなどして、軒樋4と竪樋5の何れかを交換して雨樋を修理する必要が生じたときは、上合2に固定されていた受水升3を取り外して両部材を分離することで、一方の部材のみを交換して修理することが可能である。受水升3を上合2から分離させる操作は、係合部27が受水升3の後壁面32に係合している状態で、図7中の矢印で示されるように、受水升3の内側から係止爪27cを排水口25の内方へ押すことにより行われ、突片部27bが弾性変形して係合部27の係合が解除され、係合が解除した状態で受水升3を引き抜けば、上合2から分離させることができる。
【0023】
図8及び図9は、本発明の他の形態の軒樋排水装置1を示しており、これは、上合2の排水口25の輪郭に沿って設けた突枠部26中であって、その上辺寄りの左右側辺にそれぞれ係合部27,27を設けたものである。
係合部27を設けた位置が異なる以外は、係合部27がスリット27a,27a間に係止爪27c付きの突片部27bにより構成されていることも含めて、上合2と受水升4は前記実施形態と同様の形態である。
【0024】
これによれば、軒樋4,4が接続された上合2に、竪樋5が接続された受水升3を、その開口33が上合2の突枠部26に向き合うように配置した状態で、図10(A)に示されるように、受水升3をその開口33の周縁部が突枠部26の上端に接するように宛がいつつ開口33の周縁部を突枠部26の上端に当接させたまま上合2側へ押し込めば、突枠部26の左右両側の係合部27,27の突片部27b、27bが受水升3の開口33の縁部に押されて排水口25の内方へ弾性変形し、さらに係止爪27c,27cが前記開口33の縁部を乗り越えるまで受水升3を押し込むと、同図(C)に示されるように、突片部27b,27bが排水口25の外方へ弾性変形して、係止爪27c,27cが開口33の縁部内面である受水升3の後壁面32の内側に係合し、これにより、その開口33を突枠部26の外周に篏合させた位置に受水升3を固定して上合2に取り付けることができる。
一方、係合部27,27が受水升3の後壁面32に係合している状態で、受水升3の内側から係止爪27c,27cを排水口25の内方へ押して突片部27b,27bが弾性変形させれば係合部27,27の係合は解除除され、係合が解除した状態で受水升3を引き抜けば、上合2から分離させることが可能である。
【0025】
なお、図示した形態は、軒樋排水装置の実施形態を例示したものであり、本発明はこれらに限定されず、他の適宜な形態に構成することが可能である。上合や受水升の形状は、これに接続する軒樋や竪樋の形状に対応した形状に設けることが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 軒樋排水装置、2 上合、21 底面部、22 前壁面、23 後壁面 24 接続口、25 排水口、26 突枠部、27 係合部、27a スリット、27b 突片部、27c 係止爪、3 受水升、31 接続口、32 後壁面、33 開口、4 軒樋、5 竪樋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10