(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、
図6に示す浴室天井構造がある。この浴室天井構造は、浴室の梁パネル100に天井固定用金具200を介して天井パネル支持部材300が取り付けられ、この天井パネル支持部材300によって天井パネル400が支持されている。
【0003】
天井固定用金具200は、金具本体201の上端部及び下端部からそれぞれ屈曲形成された上端板部202、下端板部203を有する断面コ字型に形成されている。天井パネル支持部材300は、支持部材本体301と、この支持部材本体301の下端部から突出する折り返し部302とを有している。天井パネル支持部材300は、折り返し部302が天井固定用金具200の下端板部203に嵌まり込むようにして天井固定用金具200に装着され、ビス500によって天井固定用金具200と共に梁パネル100に固定されている。
【0004】
天井パネル支持部材300は、長さ方向に延びる押さえリブ303を有している。押さえリブ303は、折り返し部302との間で、天井パネル400が挿入される挿入溝部304を形成している。天井パネル400の端部は、この挿入溝部304内に挿入され、折り返し部302上で支持されている。天井パネル400と折り返し部302との境目の意匠面には、シリコン等のシール材600が塗布され、両者間の止水性を確保している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
天井パネルと天井パネル支持部材との境目の意匠面に塗布されたシール材は、浴室内から目視可能であるため、表面をきれいに仕上げる必要がある。このため、シール材を塗布する際、マスキングテープを貼り付けたり、シール材の表面をヘラ等で拭って滑らかに整えたりする作業が必要となる。従って、従来の浴室天井構造は、天井パネルの施工時間が長くかかり、また、シール材を水漏れの発生なくきれいに仕上げるために熟練を要するという問題もある。
【0007】
なお、特許文献1には、パネルが挿入される溝内にシール材を塗布しておき、パネルの挿入によって止水することが開示されている。シール材は溝内に塗布され、室内側からは目視されないため、仕上げをきれいに整える必要はない。しかし、パネルを溝内に挿入した状態ではシール材を確認することができないため、この特許文献1の開示技術では止水状態を確認することができないという問題が残る。
【0008】
そこで、本発明は、シール材の塗布に際してマスキングや仕上げを整える必要なく、短時間で容易に止水性を確保することができると共に、止水状態を容易に確認可能な浴室天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る浴室天井構造は、天井パネル(例えば、後述の天井パネル3)と、前記天井パネルの端部(例えば、後述の端部3d)を支持する天井パネル支持部材(例えば、後述の天井パネル支持部材5)と、前記天井パネルと前記天井パネル支持部材との間をシールするシール材(例えば、後述のシール材7)と、を備える浴室天井構造であって、前記天井パネル支持部材は、前記シール材が収容可能であり、前記天井パネルの端部が挿入される挿入溝部(例えば、後述の挿入溝部56)と、前記挿入溝部内に前記天井パネルの端部が挿入された状態で、前記シール材が、前記挿入溝部の内面と前記天井パネルの端部との間に存在していることを目視確認可能な確認手段(例えば、後述のシール材溢れ部57)と、を有するものである。
【0010】
(2) (1)に記載の浴室天井構造において、前記確認手段は、前記シール材が前記挿入溝部の外に溢れ出たことを目視確認可能なシール材溢れ部(例えば、後述のシール材溢れ部57)であってもよい。
【0011】
(3) (1)又は(2)に記載の浴室天井構造において、前記シール材溢れ部は、前記天井パネルの上面(例えば、後述の上面3a)側に配置されるものであってもよい。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の浴室天井構造において、前記挿入溝部は、前記天井パネルの上面側に、前記シール材の逃げ空間部(例えば、後述の逃げ空間部58)を有するものであってもよい。
【0013】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の浴室天井構造において、前記挿入溝部は、前記天井パネル支持部材の長さ方向に沿って前記天井パネルの下面(例えば、後述する下面3b)と当接する突条部(例えば、後述の突条部59)を有するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シール材の塗布に際してマスキングや仕上げを整える必要なく、短時間で容易に止水性を確保することができると共に、止水状態を容易に確認可能な浴室天井構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る浴室天井構造を示す部分断面図である。
図2は、本発明に係る浴室天井構造における要部断面図である。
図3は、本発明に係る浴室天井構造に使用される天井パネル支持部材を断面で示す斜視図である。
本実施形態に示す浴室天井構造は、ユニット式浴室に用いられる天井構造の一例を示している。この浴室天井構造において、浴室壁パネル1の上端部に梁型パネル2が取り付けられ、この梁型パネル2の上端部に天井パネル3が取り付けられている。
【0017】
梁型パネル2は、下面梁パネル21と側面梁パネル22とが直角に連結されることによってL字型に形成され、ブラケット21a、22aによって、図示しない浴室の枠体等に固定されている。梁型パネル2の下面梁パネル21の端部には、梁パネル支持部材23が取り付けられている。また、浴室壁パネル1の上端部に、梁型パネル固定用金具11が取り付けられている。梁型パネル2は、梁型パネル固定用金具11に梁パネル支持部材23が保持されることによって、浴室壁パネル1と連結されている。
【0018】
天井パネル3は、天井固定用金具4及び天井パネル支持部材5を介して、梁型パネル2の側面梁パネル22の上端部に取り付けられている。
【0019】
天井固定用金具4は、金具本体41と、上端板部42と、下端板部43とを有している。金具本体41は、側面梁パネル22の表面に配置されている。上端板部42は、金具本体41の上端部から屈曲形成されている。下端板部43は、金具本体41の下端部から屈曲形成されている。これにより、天井固定用金具4は、断面コ字型に形成されている。
【0020】
天井パネル支持部材5は、
図2、
図3に示すように、支持部材本体51と、折り返し部52とを有している。支持部材本体51は、平板状に形成されている。折り返し部52は、支持部材本体51の下端部から側方に向けて突出するように設けられている。支持部材本体51と折り返し部52は長さ方向に連続して延びている。
【0021】
折り返し部52は、上面板部52aと、下面板部52bとを有している。上面板部52aは、支持部材本体51の下端部から側方に向けて張り出すように形成されている。下面板部52bは、上面板部52aの先端部から再び支持部材本体51側に折り返されることによって形成されている。上面板部52aと下面板部52bの間には、天井固定用金具4の下端板部43を挿入するためのスリット状の装着溝部53が形成されている。
【0022】
折り返し部52の先端には、天井パネル3の下面(パネル表面)3bに弾性的に接触してシールする止水パッキン54が設けられている。天井パネル支持部材5は、この装着溝部53内に天井固定用金具4の下端板部43を挿入させ、ビス6によって、天井固定用金具4と共に側面梁パネル22に固定されている。
【0023】
天井パネル支持部材5は、押さえリブ55を有している。押さえリブ55は、支持部材本体51から側方に突出するように形成されている。押さえリブ55は、突出板部55aと、側板部55bと、押さえ板部55cとによって構成され、長さ方向に連続して延びている。
【0024】
突出板部55aは、支持部材本体51の表面の部位から側方に向けて突出している。突出板部55aは、支持部材本体51の高さ方向(
図2中の上下方向)の中央部付近であり、折り返し部52の上面板部52aに対して天井パネル3の厚みよりも大きな間隔をおいた位置に配置されている。支持部材本体51の表面からの突出板部55aの突出高さ(
図2中の横方向の長さ)は、支持部材本体51の表面からの折り返し部52の突出高さよりも十分に小さい。
【0025】
側板部55bは、突出板部55aの先端から折り返し部52に向けて下方に屈曲するように一体に形成されている。側板部55bの下方に向かう長さは、折り返し部52の上面板部52aとの間に天井パネル3の厚み分よりもやや大きな距離をあける程度の長さとなっている。
【0026】
押さえ板部55cは、側板部55bの下端から側方且つやや下方に向けて突出している。押さえ板部55cの先端は、天井パネル3の上面(パネル裏面)3aに弾性的に接触し得るように配置されている。
【0027】
天井パネル支持部材5は、折り返し部52と押さえリブ55との間に、天井パネル3の端部3dを挿入して支持するための挿入溝部56を形成している。また、天井パネル支持部材5は、支持部材本体51と押さえリブ55の突出板部55aと側板部55bとによって、シール材7の逃げ空間部58を形成している。
【0028】
天井パネル3の端部3dは、この挿入溝部56内に挿入され、折り返し部52の上面板部52aと押さえリブ55の押さえ板部55cとの間に挟み付けられた状態で支持されている。挿入溝部56内には、
図2に示すように、天井パネル3の端部3dをシールするための、例えばシリコンからなるシール材7が収容されている。挿入溝部56内のシール材7は、支持部材本体51と天井パネル3の端部3dとの間から、逃げ空間部58内に侵入している。
【0029】
押さえリブ55の突出板部55aには、挿入溝部56の内部と外部を連通する貫通穴からなるシール材溢れ部57が形成されている。本実施形態に示すシール材溢れ部57は長穴状に形成されているが、穴形状は問わず、例えば丸穴、角穴、スリット状の穴等であってもよい。シール材溢れ部57は、天井パネル支持部材5の長さ方向に所定の間隔をおいて、突出板部55aに複数形成されている。
【0030】
シール材7は、挿入溝部56の内面と、この挿入溝部56に挿入された天井パネル3の端部3dとの間に充満するように存在し、挿入溝部56内に配置される天井パネル3の端部3dを水密状に保持している。シール材7は、天井パネル3の端面3cと支持部材本体51との間から逃げ空間部58内に侵入し、更に、シール材7の一部が、突出板部55aに形成されたシール材溢れ部57から挿入溝部56の外部に溢れ出ている。このため、シール材溢れ部57から溢れ出たシール材7aを目視確認することによって、挿入溝部56に確実にシール材7が塗布され、天井パネル3の端部3dの周辺が止水された状態であることが、容易に確認可能となっている。このシール材溢れ部57は、本発明の「確認手段」の一例である。
【0031】
なお、天井パネル3の端部3dにおけるシール材7は、天井パネル3の端面3cから上面3aにかけて接触するように存在している。従って、シール材7が存在する天井パネル3の端部3dは、天井パネル3の端面3cと上面3aの両方を含む。
【0032】
挿入溝部56内において、天井パネル3の下面3bを支持する折り返し部52の上面板部52aに、突条部59が形成されている。突条部59は、押さえリブ55の側板部55bの下方に位置し、長さ方向に沿って延びるように形成され、挿入溝部56内に挿入された天井パネル3の下面3bに当接している。挿入溝部56内のシール材7は、この突条部59よりも支持部材本体51側に収容されており、突条部59よりも折り返し部52の先端側にはみ出していない。
【0033】
次に、天井パネル支持部材5に天井パネル3を取り付ける方法について、更に
図4、
図5を用いて説明する。
先ず、天井パネル支持部材5の挿入溝部56内にシール材7が塗布される(
図4)。シール材7は、挿入溝部56内の奥側に、天井パネル支持部材5の長さ方向に沿って十分な量で塗布される。このとき、折り返し部52の上面板部52aの突条部59は、シール材7を塗布する目安として機能することができる。即ち、この突条部59よりも挿入溝部56内の奥側にシール材7を塗布することにより、次工程で挿入溝部56内に天井パネル3の端部3dが挿入された際、シール材7が浴室側に漏れ出すことを防止することができると同時に、挿入溝部56内に必要十分な量のシール材7が塗布されたことを確認することができる。
【0034】
次いで、シール材7が塗布された挿入溝部56内に天井パネル3の端部3dが挿入される(
図5)。これにより、シール材7は、天井パネル3の端面3cと支持部材本体51との間で押し潰される。押し潰されたシール材7の大部分は上方に向かい、天井パネル3の上面3aと逃げ空間部58内に侵入する。
【0035】
更に天井パネル3が挿入溝部56内の奥まで挿入され、天井パネル3の装着が完了すると、シール材7は最も押し潰され、逃げ空間部58内からシール材溢れ部57を通って外部に溢れ出し、溢れ出たシール材7aがシール材溢れ部57から突出する(
図2)。このとき、挿入溝部56内の天井パネル3の端部3dは、端面3cから上面3aにかけてシール材7で覆われ、確実に止水された状態となっている。
【0036】
このように、本実施形態に示す浴室天井構造によれば、シール材7が天井パネル支持部材5の挿入溝部56内に収容されるため、外部から目視されることはない。このため、シール材7の塗布に際してマスキングや仕上げを整える必要はない。また、シール材7は、挿入溝部56内に収容されるように塗布するだけでよいため、熟練を要することなく、短時間で容易に止水作業を行うことができる。従って、天井パネル3を挿入するだけの簡単な作業によって、容易に止水性を確保できる。しかも、作業者が天井パネル3の裏側を覗いてシール材溢れ部57から溢れ出たシール材7aを目視するだけで、挿入溝部56内に十分なシール材7が塗布されたことを確認できるため、止水状態の確認が容易である。よって、本実施形態に示す浴室天井構造によれば、確実に止水された浴室天井構造を簡単に構築することができる。
【0037】
また、天井パネル3が挿入溝部56内に挿入された際、突条部59が天井パネル3の下面3bに当接し、該下面3bと折り返し部52の上面板部52aとの間を密閉するので、シール材7が下面3bと上面板部52aとの間から浴室内に漏れ出ることを確実に防止することができる。
【0038】
更に、挿入溝部56は、天井パネル3の上面3a側に、シール材7の逃げ空間部58を有していることにより、天井パネル3の端部3dが挿入された挿入溝部56内に十分な量のシール材7を収容することができ、止水性をより高めることができる。しかも、シール材溢れ部57は、この逃げ空間部58に対応した位置に配置され、逃げ空間部58と連通しているため、天井パネル3の挿入後でも、逃げ空間部58内に十分な量のシール材7が充填されたことを容易に確認可能である。
【0039】
以上説明したシール材溢れ部57は、押さえリブ55の突出板部55aに配置されているが、これに限らない。例えば、シール材溢れ部57は、押さえリブ55の側板部55bに形成されてもよい。
【0040】
また、シール材溢れ部は、押さえリブ55の押さえ板部55cと天井パネル3の上面3aとの間からシール材7の一部が溢れ出る構成であってもよい。例えば、シール材溢れ部は、押さえ板部55cと天井パネル3の上面3aとの隙間を部分的に大きくした溝によって形成することができる。このような溝からなるシール材溢れ部が、押さえ板部55cの長さ方向に間隔をおいて複数形成されることにより、シール材7が天井パネル3の上面3aに溢れ出るので、上記同様の効果が得られる。
【0041】
また、本発明における確認手段は、以上説明したシール材溢れ部に限らない。確認手段は、天井パネル3の端部3dに押されたシール材7が、挿入溝部56の内面と天井パネル3の端部3dとの間に存在していることを目視確認可能な構成を有するものであればよい。従って、確認手段は、例えば、内部を透視可能な透明部又は半透明部を、押さえリブ55の少なくとも一部に形成することによって構成されてもよい。
【0042】
更に、天井パネル支持部材5に天井パネル3を取り付ける際、予めシール材7を天井パネル支持部材5の挿入溝部56内に塗布する方法に代えて、天井パネル3の端部3dにシール材を塗布し、このシール材付きの天井パネル3を天井パネル支持部材5の挿入溝部56内に挿入するようにしてもよい。
【0043】
なお、本実施形態に示す梁型パネル2の下面梁パネル21も、浴室の天井の一部を構成しており、天井パネルであるということができる。従って、図示しないが、この下面梁パネル21を浴室壁パネル1に対して取り付ける梁パネル支持部材23にも、上述した天井パネル支持部材5と同一の構成を適用することができる。これにより、下面梁パネル21の取付け構造においても上記同様の効果を奏することができる。
【0044】
また、本発明に係る浴室天井構造は、梁型パネル2に対して天井パネル3が取り付けられる構造に限らず、図示しないが、浴室の壁パネルの上端部に対して天井パネル3が取り付けられる構造にも同様に適用することができる。