特許第6974083号(P6974083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974083
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】EGRクーラ
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/29 20160101AFI20211118BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20211118BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20211118BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20211118BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20211118BHJP
   F02M 26/32 20160101ALI20211118BHJP
【FI】
   F02M26/29 301
   F28F1/02 B
   F28F9/22
   F28F1/40 N
   F28D7/16 A
   F02M26/29 311
   F02M26/32
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-172189(P2017-172189)
(22)【出願日】2017年9月7日
(65)【公開番号】特開2019-44756(P2019-44756A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊道
(72)【発明者】
【氏名】杉本 弘仁
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−302190(JP,A)
【文献】 特開2007−225190(JP,A)
【文献】 特開2009−019580(JP,A)
【文献】 特開2010−144979(JP,A)
【文献】 特開2014−051953(JP,A)
【文献】 特開2015−025649(JP,A)
【文献】 実開平07−012772(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/29
F28D 7/16
F28F 1/02
F28F 1/40
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス(1)の流通方向の両端部に、厚み方向に膨出する膨出部(2)が形成された複数の偏平チューブ(3)を有し、各偏平チューブ(3)が前記膨出部(2)で厚み方向に互いに積層されてコア(4)が形成され、コア(4)の外周にケーシング(5)が被嵌され、偏平チューブ(3)内に排気ガス(1)が導かれると共に、ケーシング(5)を介して偏平チューブ(3)の外面側に冷却水(6)が導入されるEGRクーラにおいて、
排気ガス(1)の入口側で、各偏平チューブ(3)の前記膨出部(2)の内面側へ、その偏平チューブ(3)の厚み方向に部分的に凹陥して、前記膨出部(2)の幅方向に変形可能な熱応力吸収部(7)が設けられており、
前記熱応力吸収部(7)が、前記膨出部(2)の前記入口側の開口端に形成されたEGRクーラ。
【請求項2】
前記各偏平チューブ(3)の前記膨出部(2)の内面側で、そのチューブの幅方向に離間して間欠的に厚み方向に凹陥した複数の熱応力吸収部(7)を有する請求項1に記載のEGRクーラ。
【請求項3】
前記偏平チューブ(3)にインナーフィン(8)が挿入され、そのインナーフィン(8)の先端が前記熱応力吸収部(7)に達するようにした請求項1または請求項2に記載のEGRクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスを冷却水により冷却するEGRクーラに関し、特に、排気ガスの流通方向の両端部を厚み方向に膨出し、その膨出部において偏平チューブどうしを積層したヘッダレスタイプのEGRクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の熱交換器は、偏平チューブの積層体でコアを形成したものである。この偏平チューブは、排気ガスの流通方向の両端部が厚み方向に膨出し、その膨出部において各偏平チューブの端部どうしが積層されている。それにより、ヘッダプレートを不要とするヘッダレスタイプの熱交換器であって、EGRクーラとして用いられるものである。そして、偏平チューブの内部に高温の排気ガスが流通し、コアの外周を被嵌するケーシングを介して偏平チューブの外側に冷却水が流通する。そして、排気ガスと冷却水との間に熱交換が行われるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−148319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような偏平チューブは、浅い溝型に形成された一対のプレートの嵌着体からなり、各偏平チューブどうしが排気ガスの流通方向の両端で互いにろう付されている。また、偏平チューブの内部にはインナーフィンが介装されている。
このようなヘッダレスタイプのEGRクーラにおいては、特に、排気ガスの流入端において高温になり、偏平チューブの端部どうしのろう付部に劣化が生じ、母材割れが起こりがちである。
そこで本発明は、排気ガスの流入端部において生じる熱応力を吸収して、EGRクーラの劣化及び母材割れを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、排気ガス(1)の流通方向の両端部に、厚み方向に膨出する膨出部(2)が形成された複数の偏平チューブ(3)を有し、各偏平チューブ(3)が前記膨出部(2)で厚み方向に互いに積層されてコア(4)が形成され、コア(4)の外周にケーシング(5)が被嵌され、偏平チューブ(3)内に排気ガス(1)が導かれると共に、ケーシング(5)を介して偏平チューブ(3)の外面側に冷却水(6)が導入されるEGRクーラにおいて、
排気ガス(1)の入口側で、各偏平チューブ(3)の前記膨出部(2)の内面側へ、その偏平チューブ(3)の厚み方向に部分的に凹陥して、前記膨出部(2)の幅方向に変形可能な熱応力吸収部(7)が設けられており、
前記熱応力吸収部(7)が、前記膨出部(2)の前記入口側の開口端に形成されたEGRクーラである。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、前記各偏平チューブ(3)の前記膨出部(2)の内面側で、そのチューブの幅方向に離間して間欠的に厚み方向に凹陥した複数の熱応力吸収部(7)を有する請求項1に記載のEGRクーラである。
請求項3に記載の本発明は、前記偏平チューブ(3)にインナーフィン(8)が挿入され、そのインナーフィン(8)の先端が前記熱応力吸収部(7)に達するようにした請求項1または請求項2に記載のEGRクーラである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のEGRクーラは、排気ガス1の入口側で、各偏平チューブ3の前記膨出部2の内面側へ、その偏平チューブ3の厚み方向に部分的に凹陥して、その幅方向に変形可能な熱応力吸収部7が設けられており、前記熱応力吸収部7が、前記膨出部2の前記入口側の開口端に形成されたものである。そのため、特に高温となる排気ガス1の入口部で、偏平チューブ3の幅方向に生じる熱応力を熱応力吸収部7の幅方向への変形により吸収し、EGRクーラの劣化を防止できる。それにより、偏平チューブおよびコアの母材割れを防止する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、偏平チューブ3の膨出部2の幅方向に離間して複数の熱応力吸収部7を有するから、さらに効果的に熱応力を吸収し、EGRクーラの劣化を防止できる。
請求項3に記載の発明は、偏平チューブ3のインナーフィン8の先端が前記熱応力吸収部7に達するようにしたので、特に高温となる膨出部2の先端部をインナーフィン8で冷却し、EGRクーラの劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のEGRクーラを構成する偏平チューブ3の第1実施例を示す分解図(A)、組立て図(B)、その積層状態を示す説明図(C)、及び(C)のD−D断面図(D)である。
図2】同偏平チューブ3の第2実施例を示す分解図(A)、組立て図(B)、その積層状態を示す説明図(C)、及び(C)のD−D断面図(D)である。
図3】同第1実施例の作用を示す説明図。
図4】同第2実施例の作用を示す説明図。
図5】同第1実施例の偏平チューブ3の積層体によりコア4を構成したEGRクーラ10の断面平面図であって、偏平チューブ3の平面に沿うもの。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づき本発明の各実施の形態につき説明する。
【実施例1】
【0011】
図5は本発明のEGRクーラ10の縦断面図であって、偏平チューブ3の平面に沿うものである。このEGRクーラ10は、偏平チューブ3の積層体によりコア4を構成し、そのコア4の外周にケーシング5を被嵌すると共に、そのケーシング5と一体に、入口タンク16及び出口タンク17をコア4の両端部に配置したものである。
そのコア4を構成する偏平チューブ3は、図1に示す如く、夫々溝型に形成された一対の溝型プレート3a,溝型プレート3bを対向させ、その両縁部を嵌着したものである。
【0012】
各溝型プレート3a,溝型プレート3bは、排気ガス1の流通方向である図1においてX方向の両端に厚み方向へ膨出部2が突設されたものである。この例では、図1(C)に示す如く、上側の溝型プレート3aの両縁部が下側の溝型プレート3bの端部に設けられた段付き部に嵌着されている。また、膨出部2を除く、溝型プレート3a,溝型プレート3bの外面側にはディンプル9が突設されている。さらに、溝型プレート3a,溝型プレート3bの膨出部2の幅方向(Y方向)中央位置には、熱応力吸収部7が凹陥されている。
このようにしてなる溝型プレート3a,溝型プレート3bには、その排気ガス1の流通方向に整合する長さのインナーフィン8が挿入されている。
【0013】
偏平チューブ3は、図1(C)(D)に示す如く、その膨出部2で互いに積層されてコアを構成する。そのコア4の外周には、図5に示す如く、ケーシング5が被嵌されると共に、その両端に、排気ガスの一対の入口タンク16,出口タンク17が配置される。同図において、排気ガス1が流入する入口11にはフランジが設けられ、出口タンク17には出口12が形成されている。
このように組み立てられたEGRクーラ10は、炉内で一体的にろう付される。
なお、偏平チューブ3とインナーフィン8とは互いにろう付することができる。さらには、偏平チューブ3とインナーフィン8とは部分的にろう付し、インナーフィン8の先端部と膨出部2とはろう付せずに両者間の相対移動が可能なようにすることもできる。
【0014】
熱応力吸収部7は、図1及び図3に示す如く、膨出部2の高さだけ凹陥させたものであうる。この例では、図5に示す如く、排気ガス1の流入側のみに熱応力吸収部7が形成されている。それは、入口側が出口側よりガス温度が高温だからである。その偏平チューブ3の排気ガス1の流入側においては、高温の排気ガス1により膨出部2が特に高温となり熱応力が生じる。すると、熱応力吸収部7の立ち上がり縁部が変形し、その応力を吸収する。それにより、各偏平チューブ3のろう付部の劣化及び亀裂を防止する。
【0015】
〔作用〕
図5において、左端の入口11から流入する高温の排気ガス1は、コア4を構成する各偏平チューブ3の膨出部2から流入する。また、冷却水6は右端の入口パイプ13からマニホールド15を介して各偏平チューブ3の外面側に供給され、排気ガス1に対して対向流となってマニホールド15から出口パイプ14を介して外部に流出する。そして、排気ガス1と冷却水6との間に熱交換が行われる。
【0016】
このとき、排気ガス1の流入側である各偏平チューブ3の膨出部2は、高温の排気ガス1により熱応力が生じ、膨出部2を幅方向に膨張しようとする。すると熱応力吸収部7に図3に示す如く、熱歪みが生じ、実線の状態から鎖線の状態に変形する。それにより、各偏平チューブ3の膨出部2に加わる歪みを吸収し、特に、偏平チューブ3の膨出部2に生じる歪みを逃がして、その劣化及び各偏平チューブ3どうしのろう付部の亀裂を防止することができる。
【実施例2】
【0017】
次に、図2は本発明の第2実施例であり、この例が図1のそれと異なる点は、膨出部2の長手方向に互いに離間して、複数の熱応力吸収部7が厚み方向の内面側に形成されていることである。さらには、そのインナーフィン8の先端が熱応力吸収部7から離反していることである。
このように複数の熱応力吸収部7を膨出部2に設けることにより、熱応力をより効果的に吸収することができる。
図4は熱応力吸収部7に熱応力が生じたとき、その変形状態を示す説明図である。
即ち、実線の状態から鎖線の状態に変化し熱応力を吸収するものである。
【符号の説明】
【0018】
1 排気ガス
2 膨出部
3 偏平チューブ
3a 溝型プレート
3b 溝型プレート
4 コア
5 ケーシング
6 冷却水
7 熱応力吸収部
【0019】
8 インナーフィン
9 ディンプル
10 EGRクーラ
11 入口
12 出口
13 入口パイプ
14 出口パイプ
15 マニホールド
16 入口タンク
17 出口タンク

図1
図2
図3
図4
図5