【実施例1】
【0016】
実施例1に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、
図1から
図8を参照して説明する。以下、
図1の紙面左側を冷凍・冷蔵ショーケースの正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0017】
図1に示されるように、冷凍・冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置されるものであり、正面側を開口した内箱3により囲まれた保冷室5には、商品を陳列する棚板6,6,…が上下方向に複数設置され、内箱3の下部に設けられた底部3bにも商品を陳列可能になっている。尚、本実施例の冷凍・冷蔵ショーケース1は、商品を冷蔵した状態で陳列する態様を例に挙げ説明する。
【0018】
冷凍・冷蔵ショーケース1は、前面(図の左方)が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放された略コ字形の内箱3とからなるケース本体を備え、その内部空間は保冷室5(庫内)となっている。内箱3の背面部3aには、前後に延びるブラケット28,28,…の後端が取付けられており、ブラケット28,28,…の上に棚板6,6,…が配設されている。この各棚板6,6,…と内箱3の底部3bとの上面に、商品が陳列されるようになっている。
【0019】
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の鉛直部と水平底部には、それぞれ蒸発器8と送風機9が設置されている。後述するように蒸発器8は、その周囲の空気を冷却することができるようになっている。また、蒸発器8の前面側には、断熱材29が設けられており、蒸発器8と内箱3を介した保冷室5側との熱交換が抑えられている。ケース本体の上部の前端には、通風路7と連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、ケース本体の下部前端の上端には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。
【0020】
蒸発器8は、通常運転時(営業時間中)における冷却設定温度(吹出口温度)が、−3℃前後となるように設定されており、本実施例の条件下において庫内温度が3℃前後となっている(
図7参照)。尚、ここでいう庫内温度は、棚板6,6,…付近(商品に近い場所)の温度を指すとともに、冷凍・冷蔵ショーケース1の保冷室5内に陳列される商品に応じて図示しない制御部を操作することで変更することができる。
【0021】
送風機9を作動させると、蒸発器8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が保冷室5内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
【0022】
次いで、冷凍・冷蔵ショーケース1における蒸発器8について説明する。
図1,
図3に示されるように、蒸発器8は、その内部に冷媒16が流れる銅管である伝熱管15を備え、この伝熱管15は、複数のフィン30,30,…を貫通して蛇行するように延びており、これにより、伝熱管15と周囲の空気との接触面積が増え、送風機9からの送風が効率よく当たり、冷却効率が向上している。尚、この伝熱管15は、銅管に限らず、熱伝導率の高い金属製や樹脂製の管であってもよい。
【0023】
詳しくは、
図3に示されるように、伝熱管15は、複数のフィン30,30,…(説明の便宜上、一部図示)を貫通する複数の直管部15a,15a,…と、隣接する直管部15a,15aの端部同士を繋ぐUベンド部15b,15b,…と、から構成されており、組み立てが容易となっている。
【0024】
伝熱管15は、構造上、Uベンド部15b,15b,…が端部に位置しており、Uベンド部15b,15b,…に対して送風機9からの送風が当たりづらくなっているため、Uベンド部15b,15b,…には、直管部15a,15a,…に比べて着霜し易くなっている。
【0025】
また、蒸発器8の伝熱管15において熱交換が起こりにくいUベンド部15b,15b,…の中でも、通風路7上流側に位置するUベンド部15b’は、通風路7内の冷却前の空気と接触するため、着霜が最も大きくなる。このUベンド部15b’の上流側に接続される直管部15a’には、上流側に第1温度センサt1が、下流側に第2温度センサt2が、それぞれ設けられている。
【0026】
第1温度センサt1および第2温度センサt2の検出信号は図示しない制御部に入力され、制御部は検出された温度と閾値とを比較しON/OFF信号を出力する第1復帰サーモT1および第2復帰サーモT2(
図8参照)の機能を有している。また、該制御部は後述する第1電磁弁S1および第2電磁弁S2に接続されている。
【0027】
伝熱管15の直管部15a’の上流側と下流側における表面温度は第1温度センサt1および第2温度センサt2によって計測されており、詳しくは後述するが、計測される直管部15a’の表面温度が共に閾値以上となると、第1復帰サーモT1および第2復帰サーモT2が共に作動状態(ON)となり、制御部は第2電磁弁S2に閉動作信号を与え除霜運転パターンβの圧力上昇過程β1から圧力保持過程β2へと切り替える。換言すれば、計測される直管部15a’の表面温度が閾値内であれば、第1復帰サーモT1および第2復帰サーモT2は待機状態(OFF)にある。尚、棚板6,6,…の近傍および冷気吹出口10の近傍にも、図示しない温度センサが設けられており、庫内温度および蒸発器8を通過した空気の温度を計測可能となっている。
【0028】
尚、本実施例では、第1温度センサt1および第2温度センサt2が伝熱管15の直管部15a’の上流側および下流側における表面温度を計測する形態を例示したが、伝熱管15の他の部位の表面温度を1つまたは3つ以上の温度センサで計測するようになっていてもよい。また、各温度センサにより、伝熱管15の表面温度、蒸発器8を通過した空気の温度、および庫内温度を計測していたが、温度センサは、伝熱管15の表面温度、蒸発器8を通過した空気の温度、または庫内温度のうち、少なくとも1箇所を計測できる位置に設けられていればよい。
【0029】
図2に示されるように、蒸発器8は、冷凍サイクルの配管系統Cの一部である。詳しくは、蒸発器8の伝熱管15の上流側端部には、液化状態の冷媒16を所定の蒸発圧力となるように減圧して気化状態とする膨張弁17が設けられているとともに、膨張弁17の上流側には第2電磁弁S2が設けられる供給管19が接続され、第2電磁弁S2の上流側に受液器18が供給管19を介して接続されている。第2電磁弁S2は、膨張弁17と受液器18との間の供給管19の流路を適宜開閉可能となっている。
【0030】
また、蒸発器8の伝熱管15の下流側端部には、第1電磁弁S1が設けられる導出管23が接続され、第1電磁弁S1の下流側には、蒸発器8内で蒸発した気化状態の冷媒16を吸い込むとともに、該冷媒16を圧縮して受液器18側に送り出す圧縮器21(ポンプ)が接続されており、圧縮器21は、凝縮器22を介して受液器18に接続されている。この凝縮器22は、圧縮器21により圧縮された高圧気化状態の冷媒16の熱を外部に放出して冷媒16を液化状態にするものである。
【0031】
尚、
図2では、液体(液化)状態の冷媒16を実線で、気体(気化)状態の冷媒16を破線で示した。また、受液器18内の液化状態の冷媒16の温度は、例えば夏場では、35℃から40℃程度となっており、冬場では、20℃程度となっている。
【0032】
図2および
図4〜
図6に示されるように、第1電磁弁S1は、伝熱管15と導出管23とを連通させる態様(
図4参照)と、伝熱管15と導出管23とを遮断する態様(
図5,
図6参照)と、に切り換え可能となっている。また、第2電磁弁S2は、供給管19と伝熱管15とを連通させる態様(
図4,
図5参照)と、供給管19と伝熱管15とを遮断する態様(
図6参照)と、に切り替え可能となっている。
【0033】
ここで、
図8を用いて、冷却運転パターンα、除霜運転パターンβおよび冷却復帰パターンγにおける第1電磁弁S1および第2電磁弁S2の開閉状態について説明する。先ず、冷却運転パターンαでは、第1電磁弁S1の開状態および第2電磁弁S2の開状態(
図4参照)により、冷媒16が蒸発器8内を通過することで、蒸発器8は周囲の空気を冷却することができる。
【0034】
次に、除霜運転パターンβは、圧力上昇過程β1と圧力保持過程β2とを有し、伝熱管15に付着した霜を除霜することができる。圧力上昇過程β1では、第1電磁弁S1の閉状態および第2電磁弁S2の開状態(
図5参照)により、蒸発器8の伝熱管15の表面温度を昇温させる。圧力保持過程β2では、第1電磁弁S1の閉状態および第2電磁弁S2の閉状態(
図6参照)により、圧力上昇過程β1で高められた蒸発器8内の圧力(昇温された伝熱管15の表面温度)を略一定に保持する。
【0035】
次に、冷却復帰パターンγでは、第1電磁弁S1の開状態および第2電磁弁S2の開状態(
図4参照)により、除霜運転パターンβ後の蒸発器8の冷却を即座に開始することができる。尚、蒸発器8の冷却運転パターンα、除霜運転パターンβおよび冷却復帰パターンγにおける運転態様については後段にて詳述する。
【0036】
また、第1電磁弁S1は、通電時において閉状態であり、非通電時において開状態である、いわゆるノーマルオープンの弁であることから、停電等の非通電時には、第1電磁弁S1が開状態となり、蒸発器8内に冷媒16が残留することを防止できる。これにより、運転を再開させた際に液バック現象の発生を防ぐことができる。尚、液バック現象の発生を防止するために、第1電磁弁S1と圧縮器21との間に、逆止弁を配置してもよい。
【0037】
このように構成された冷凍・冷蔵ショーケース1は、
図7〜
図8に示されるように、設定された時間毎(例えば6時間)に除霜運転パターンβ、冷却復帰パターンγが行われる。次いで、これら冷却運転パターンα、除霜運転パターンβ、冷却復帰パターンγにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について個別に説明する。
【0038】
先ず、蒸発器8が冷却運転パターンαにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について説明する。
図2,
図4に示されるように、第1電磁弁S1は開状態とされており、伝熱管15と導出管23とが連通されているとともに、第2電磁弁S2は開状態とされており、伝熱管15と供給管19とが連通されている。圧縮器21の作動により、受液器18に貯留された液化状態の冷媒16が、蒸発器8に向けて供給管19および膨張弁17を介して送り出される。この液化状態の冷媒16は、膨張弁17によって所定の蒸発圧力となるように減圧され、気化状態となる。蒸発器8の伝熱管15内に流入した気化状態の冷媒16が、通風路7内の空気から熱を奪うことにより、通風路7内の空気が冷却される。
【0039】
また、冷却運転パターンαでは、庫内温度を略一定に保持するため、圧縮器21の出力(回転数)を一定にしながら、言い換えれば圧縮器21の出力を変更しなくとも、制御部の制御(例えばPWM制御)による第2電磁弁S2の開閉動作により蒸発器8内への冷媒16の供給と停止を繰り返すことで、蒸発器8による冷却能力を制御することができる。
【0040】
蒸発器8の伝熱管15を通過した気化状態の冷媒16は、伝熱管15に連通した導出管23に流入し、圧縮器21および凝縮器22を介して受液器18に戻される。この循環を繰り返すことにより、蒸発器8の冷却運転パターンαが連続して継続される。尚、蒸発器8が冷却運転パターンαにおける伝熱管15の表面温度は、伝熱管15内に流入した気化状態の冷媒16によって−13℃前後となっている(
図7参照)。
【0041】
次に、蒸発器8が除霜運転パターンβにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について説明する。尚、蒸発器8が冷却運転パターンαにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様の説明と重複する点については説明を省略する。
図7,
図8に示されるように、除霜運転パターンβでは、蒸発器8の温度を圧力上昇過程β1にて除霜に好適な温度に早く到達させるとともに、その温度を圧力保持過程β2によって保持することができる。
【0042】
圧力上昇過程β1は、冷却運転パターンαにおいて開状態にある第1電磁弁S1の閉動作により開始(「除霜運転パターンβの開始」と同意)され、
図5に示されるように、閉状態の第1電磁弁S1により冷媒16が蒸発器8内に滞留するとともに、圧縮器21の作動によって送り出される後続の冷媒16が蒸発器8内に流入し続けるため、第1電磁弁S1の閉動作の直後から蒸発器8内の冷媒16の圧力が急上昇し、伝熱管15が急速に昇温(
図7参照)する。
【0043】
図8に示されるように、第1温度センサt1および第2温度センサt2が個別に測定した温度が共に閾値以上(本実施例においては+3℃以上(
図7参照))に達したこと、すなわち伝熱管15の表面温度が閾値以上に達したことを受けて、第1温度センサt1に対応する第1復帰サーモT1および第2温度センサt2に対応する第2復帰サーモT2が個別に作動状態(ON)となり、第2電磁弁S2が閉動作される。これにより、圧力上昇過程β1から圧力保持過程β2に切り替わり、伝熱管15の昇温が停止する。
【0044】
このように、第2電磁弁S2の閉動作の条件として、第1温度センサt1および第2温度センサt2が測定した両方の温度としているので、伝熱管15全体の表面に霜を確実に除霜できる。また、霜の付着しやすい上流側の直管部15a’に第1温度センサt1および第2温度センサt2を配置しているため、伝熱管15全体の表面に霜を確実に除霜できる。加えて、直管部15a’の左右に離間した位置に第1温度センサt1および第2温度センサt2を配置しているため、伝熱管15全体の表面に霜を確実に除霜できる。
【0045】
次に、圧力保持過程β2では、伝熱管15の表面温度が閾値以上(除霜に好適な温度)に達した状態で、所定時間第2電磁弁S2が閉状態であることから、冷媒16が第2電磁弁S2の上流側で滞留するとともに、第1電磁弁S1と第2電磁弁S2とによって蒸発器8内に充填された冷媒16が保持されている。換言すれば、圧力保持過程β2では、蒸発器8内の圧力および温度を略一定に所定時間(本実施例においては5分)保持する。尚、ここでいう所定時間は、図示しない制御部の一部であるタイマにより計測されており、除霜が確実になされるのに必要な時間が設定されていればよい。
【0046】
また、
図7,
図8に示されるように、圧力保持過程β2においては、第1復帰サーモT1および第2復帰サーモT2はOFF状態となっている。これは、第1復帰サーモT1および第2復帰サーモT2が共に作動状態(ON)となった後、冷却運転パターンαになるまで、待機状態となるように設定されているためである。
【0047】
上述したように、圧力上昇過程β1および圧力保持過程β2の状態にあっては、温度が3℃以上に上昇した冷媒16により伝熱管15の内部から熱伝導により熱が伝熱管15の外表面に伝えられる。このため、冷媒16の熱によって屈曲した伝熱管15において、特に着霜しやすく、且つ除霜し難いUベンド部15b,15b,…であっても隅々まで除霜することができる。また、霜の伝熱管15に付着している部分(言い換えると霜の根元)を直接加熱することができることから熱効率がよく、加えて、霜全体を融解させなくとも、霜の蒸発器8に付着している部分を融解させることで霜を蒸発器8から剥離させることができる。これらにより、蒸発器の除霜に係る時間が短い。
【0048】
次に、蒸発器8が冷却復帰パターンγにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について説明する。尚、蒸発器8が冷却運転パターンαまたは除霜運転パターンβにおける冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様の説明と重複する点については説明を省略する。
【0049】
冷却復帰パターンγは、圧力保持過程β2が所定時間実施されて終了すると同時に、制御部の制御により第1電磁弁S1の開動作および第2電磁弁S2の開動作により開始される。これにより、冷媒16が蒸発器8内を通過可能となることで、高圧状態にあった蒸発器8から冷媒16が圧縮器21に流入していくため、蒸発器8内の圧力が冷却運転パターンαと略同一の圧力に急速に復帰するとともに、蒸発器8の冷却が即座に開始されるため、冷却運転パターンαへの復帰を早めることができる。
【0050】
付言ながら、冷媒の流れを止めるオフサイクル方式のみの除霜(従来技術の除霜(以降、「従来技術の除霜」と表記))と除霜ヒータを用いた加熱方式のみの除霜(以降、「加熱方式の除霜」と表記)とについて簡単に説明する。従来技術の除霜および加熱方式の除霜では、先ず本実施例における第2電磁弁S2を閉状態とするが、このとき圧縮器21の吸い込みにより伝熱管15内の冷媒16の蒸発圧力が急激に下がり、冷媒16の温度が瞬間的に低下(例えば−20℃)した状態から除霜が行われる。また、従来技術の除霜は、時間がかかることから庫内温度が例えば16〜18℃程度に上昇し、加熱方式の除霜は、除霜ヒータにより蒸発器が加熱されることから庫内温度を従来技術の除霜以上に上昇する虞がある。
【0051】
次いで、蒸発器8の除霜態様並びに庫内温度、吹出口温度および伝熱管15の表面温度の変化について、
図7〜
図8を用いて説明する。先ず、圧力上昇過程β1では、冷却運転パターンαにおいて−13℃前後で推移していた伝熱管15の表面温度が+3℃以上まで急激に昇温されていく。この伝熱管15の表面温度の昇温において、伝熱管15の表面温度が霜の融点(0℃)を上回ると、伝熱管15の表面に付着する霜の融解が始まる。
【0052】
図8に示されるように、圧力上昇過程β1が開始された直後には、第1電磁弁S1の閉動作により、即座に伝熱管15の表面温度の昇温が開始されるため、短時間で除霜できる。尚、従来技術の除霜および加熱方式の除霜にあっては、伝熱管15の表面温度が一時的に低下することにより伝熱管15の外表面に付着した霜が溶けにくくなった状態から伝熱管15の温度を上昇させる必要があり、除霜運転に移行するまでに長い時間がかかっていた。
【0053】
図7〜
図8に示されるように、伝熱管15の表面温度の上昇に伴い、冷却運転パターンαにおいて−3℃前後で推移していた吹出口温度が+5℃まで上昇し、冷却運転パターンαにおいて+3℃前後で推移していた庫内温度が+6℃まで上昇する。これらについては、伝熱管15の表面温度が上昇することにより通風路7を循環する空気も昇温するのに加え、蒸発器8の冷却能力が低下した状態で保冷室5外の温度の高い空気が通風路7内に流入することで吹出口温度が上昇し、この昇温された通風路7を循環する空気や保冷室5外の温度の高い空気が保冷室5内に流入することで庫内温度が上昇するためである。
【0054】
次に、第1温度センサt1および第2温度センサt2により伝熱管15の表面温度が共に+3℃まで上昇したことが検知されると、
図7,
図8に示されるように、制御部の制御による第2電磁弁S2の閉動作により(
図6参照)、圧力保持過程β2に切り替わる。尚、圧力上昇過程β1から圧力保持過程β2に切り替えた状態にあっては、伝熱管15の外周面に霜が残っている。
【0055】
圧力保持過程β2は、上述したように5分間継続して行われる。これにより、伝熱管15の表面温度は+3℃以上に5分間保持されることから、伝熱管15の表面に付着する霜が融解されるばかりでなく、霜の融解により発生した水を伝熱管15の表面から切ることができる。また、伝熱管15の表面に付着する霜が塊であった際には、霜の伝熱管15の表面に接触する部分が次々に融解していくことから、霜の塊全体が融解されなくとも、霜の塊を伝熱管15の表面から剥離させることができる。
【0056】
これらにより、蒸発器8の除霜に係る時間が短いうえに、蒸発器8による冷却が再開される際に、伝熱管15の表面から水が切られた状態であることから、着霜が始まるまでの時間が長い。これにより、除霜運転パターンβが短時間で済むとともに、冷却運転パターンαの時間を長くできることとなり、冷却効率が良好である。
【0057】
また、圧力保持過程β2に切り替えられた後、伝熱管15の表面温度については+3℃以上に5分間保持されるが、保冷室5外の温度の高い空気の影響を受ける吹出口温度および庫内温度については温度が上昇する。具体的には、吹出口温度は+10℃程度まで上昇し、庫内温度は+8℃程度まで上昇する。しかしながら、上述した従来技術の除霜と比較すると、庫内温度の上昇を抑えることができる。
【0058】
また、吹出口温度が+10℃程度まで昇温される空気が通風路7を循環することから、通風路7を循環する空気によって蒸発器8の伝熱管15の表面に着霜した霜を融解させることができる。これによって、伝熱管15の表面に着霜した霜の表面側と、伝熱管15の表面側と、から、それぞれ融解させることができるため、さらに蒸発器8の除霜に係る時間が短くなっている。
【0059】
尚、吹出口温度が+10℃程度まで上昇し、庫内温度が+8℃程度まで上昇するのは、正確には、圧力保持過程β2の終了後となる。これは、圧力保持過程β2から冷却復帰パターンγに移行した際に、蒸発器8は即座に冷却が始まるものの、蒸発器8の冷却によって通風路7を循環する空気が冷却されることで吹出口温度が低下し始めた後、該循環する空気が保冷室5内に流入することで庫内温度が低下し始めるため、吹出口温度および庫内温度が低下し始めるまでに時間差が発生するためである。
【0060】
次に、圧力保持過程β2に切り替えられてから制御部のタイマの計測時間が5分を経過すると、制御部の制御による第1電磁弁S1の開動作および第2電磁弁S2の開動作により(
図4参照)、冷却復帰パターンγに切り替わる。
図7,
図8に示されるように、冷却復帰パターンγに切り替わった直後から伝熱管15の表面温度が低下し、伝熱管15の表面温度は冷却運転パターンαにおける温度域のうち最低温度である−15℃まで低下させることができる。伝熱管15の表面温度の低下にともなって、吹出口温度は冷却運転パターンαにおける温度域のうち最低温度である−5℃まで低下し、庫内温度は冷却運転パターンαにおける温度域のうち最低温度である+3℃まで低下する。これらの温度に到達することで、制御部の制御により、蒸発器8の冷却復帰パターンγが冷却運転パターンαに切り替わる。
【0061】
尚、図示しないが、除霜運転パターンβから冷却復帰パターンγ切り替える際には、第1電磁弁S1の開状態および第2電磁弁S2の閉状態により、圧縮器21の吸い込みにより伝熱管15内の冷媒16の圧力を急激に下げ、冷媒16の温度を瞬間的に冷やすことで、より短時間で蒸発器8を冷却運転パターンαにおける温度域のうち最低温度である−15℃まで冷却することができる。
【0062】
尚、除霜運転パターンβでは、外部からヒータ等を付加的に用いて除霜が完了するまでの時間を短縮するようにしてもよい。
【0063】
尚、蒸発器8の冷却運転パターンαから除霜運転パターンβへの切り替えについては、上述した設定された時間毎に代えて、制御部により、第1温度センサt1および第2温度センサt2それぞれの温度の変化を基に蒸発器8に着霜する霜の量を判別し、該霜の量が一定以上であると判別されることで、自動的に切り替えられてもよい。