(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の検知部の各々が、定電圧源、該定電圧源に接続されて前記負荷に応じて抵抗値が変化するセンサ材料、及び前記センサ材料と前記出力ノードの間を前記走査に応じて開閉する薄膜トランジスタを含む、請求項1に記載の2次元センサ。
前記ノイズ検出配線に対応する列に配置されたダミー検知部をさらに備え、前記ダミー検知部の各々が、前記定電圧源、前記センサ材料及び前記薄膜トランジスタの少なくとも1つが形成されていない前記検知部である、請求項2に記載の2次元センサ。
前記センサアレイの各行に対してダミー検知部が設けられ、前記ダミー検知部の各々が、前記定電圧源、前記センサ材料並びに前記薄膜トランジスタの少なくとも1つが形成されていない前記検知部であり、
前記制御回路が、前記走査手段によって走査されている前記ダミー検知部が属する列が前記ノイズ検出配線に対応するとともに、前記走査手段によって走査されている前記複数の検知部が属する列が前記複数の信号配線に対応するものとして前記検出値分布データを生成するように構成された、請求項2に記載の2次元センサ。
前記検出回路が前記ノイズ値を前記複数の検出値よりも先に前記制御回路に転送するように構成され、前記制御回路が前記複数の検出値の各々から前記ノイズ値を逐次減算して前記各補正検出値を生成するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載の2次元センサ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
図1に、第1の実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。2次元センサ1は、センサアレイ2、垂直走査回路3、検出回路4、制御回路5、m行の選択配線X1〜Xm、n列の信号配線Y1〜Yn及びノイズ検出配線Y0を備える。本実施形態では、2次元センサ1は、タッチセンサ(タッチパネル)、2次元圧力検出センサに適用される。なお、以降の説明において、選択配線X1〜Xmを総称して又はいずれか1本を代表して選択配線Xといい、第i行(1≦i≦m)の選択配線Xを選択配線Xiという場合もある。同様に、信号配線Y1〜Ymを総称して又はいずれか1本を代表して信号配線Yといい、第j列(1≦j≦n)の信号配線Yを信号配線Yjという場合もある。
【0010】
センサアレイ2は、m行×n列のマトリクス状に配列されたm×n個の圧力検知部20を含む。圧力検知部20の各々は、選択配線Xによって選択されている場合に、付加される圧力に応じた電気信号を出力ノードに出力する。出力ノードは、対応する信号配線Yに接続される。
【0011】
図2に、圧力検知部20の回路図を示す。圧力検知部20は、定電圧源21、センサ材料22及び薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という)23を含む。センサ材料22の一端が定電圧源21に接続され、センサ材料22の他端がTFT23のドレインDに接続される。TFT23のゲートGは、選択配線Xに接続される。TFT23のソースSは、信号配線Yに接続され、圧力検知部20の出力ノードを構成する。なお、信号配線Yは、例えば、後述する検出回路4の内部において抵抗41などで終端される。
【0012】
定電圧源21は、例えば、電源電圧VDDを供給する電源配線に接続されたノードである。センサ材料22は、付加される圧力に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器と等価である。例えば、センサ材料22には、付加される圧力の増加に対して抵抗値が減少する素子が適用される。なお、本開示において、センサ材料22に付加される圧力とは、ユーザの指、スタイラスなどの部材などによるセンサアレイ2への押圧によって加えられる力を意味するものとする。TFT23は、NPN型のMOSFETであり、ゲートGにハイレベルの選択信号が印加されるとオンしてセンサ材料22と信号配線Yとを導通させる。そして、抵抗41に発生する電圧(すなわち、センサ材料22と抵抗41による電源電圧VDDの分圧値)が、圧力検知部20に付加される圧力を示す検出電圧となる。すなわち、圧力検知部20に付加される圧力が比較的低い場合には、センサ材料22の抵抗値が相対的に高いため検出電圧は低くなり、圧力検知部20に付加される圧力が比較的高い場合には、センサ材料22の抵抗値が相対的に低いため検出電圧は高くなる。
【0013】
図1に戻り、選択配線X1〜Xmは、それぞれ第1〜第m行の圧力検知部20のTFT23のゲートに接続される。信号配線Y1〜Ynは、それぞれ第1〜第n列の圧力検知部20のTFT23のソースに接続される。本実施形態では、ノイズ検出配線Y0は、信号配線Yに平行に配置され、かつ各信号配線Yから電気的に絶縁される。さらに、本実施形態では、ノイズ検出配線Y0は、センサアレイ2の外部に配置され、いずれの圧力検知部20にも接続されない。また、ノイズ検出配線Y0において、検出回路4に接続されない側の終端は開放される。これにより、ノイズ検出配線Y0は、垂直走査回路3の走査とは無関係に発生する外来ノイズを検出することができる。なお、
図1では、ノイズ検出配線Y0が垂直走査回路3から遠い側(すなわち検出配線Yn側)のセンサアレイ外部に配置される例を示すが、ノイズ検出配線Y0は垂直走査回路3から近い側(すなわち検出配線Y1側)のセンサアレイ外部に配置されてもよい。
【0014】
垂直走査回路3はシフトレジスタを含み、選択信号(例えば、ハイレベルのパルス)を選択配線X1〜Xmに順次出力し、この選択信号が印加された選択配線X上の圧力検知部20が電気信号を信号配線Yに出力する。これにより、垂直走査が実行される。なお、本開示において、垂直走査回路3及び選択配線X1〜Xmをまとめて走査手段ともいう。
【0015】
検出回路4は、信号配線Y1〜Ym及びノイズ検出配線Y0に接続される。検出回路4は、信号配線Y1〜Ym及びノイズ検出配線Y0の各々に対応する抵抗41及びA/D変換回路42、並びにすべてのA/D変換回路42に接続された転送回路43を含む。説明の便宜上、信号配線Yjに接続された抵抗41に発生する電圧を検出電圧といい、ノイズ検出配線Y0に接続された抵抗41に発生する電圧をノイズ電圧というものとする。それぞれのA/D変換回路42は、抵抗41に発生するアナログ値の検出電圧及びノイズ電圧をそれぞれデジタル値の検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値Nに変換する。転送回路43は、ラッチ機能、シフトレジスタ機能などを含み、検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値Nをラッチし、ラッチされた値をシリアルに制御回路5に転送する。なお、本実施形態では、転送回路43の前段にA/D変換回路42が接続されるが、転送回路43がアナログ信号を処理するように構成され、転送回路43の後段にA/D変換回路42が接続されてもよい。いずれにしても、信号配線Y1〜Ym及びノイズ検出配線Y0のそれぞれに対応するデジタル値の検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値Nが、検出回路4から制御回路5に転送される。
【0016】
制御回路5は、CPU50、メモリ55及び不図示の入出力インターフェースを含み、マイクロコンピュータ又はマイクロプロセッサ及びその周辺回路からなる。メモリ55は、ROM、RAMなどを含み、プログラム、データなどを記憶する。CPU50は、減算処理部51、走査同期部52及び分布決定部53を含む。CPU50の各部及びメモリ55はデータ及び信号のやり取りが可能な状態でバスによって相互に接続される。また、CPU50は、減算処理部51、走査同期部52及び分布決定部53による処理以外にも一般的なCPUによって可能な適宜の処理を実行可能なものとする。
【0017】
減算処理部51は、検出回路4から入力された検出値D(j)の各々からノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(j)を生成する。各補正検出値Dc(j)に基づく補正検出値Dc(1)〜Dc(n)が、1行分の圧力分布データを構成する。なお、減算処理部51は、転送回路43から転送されてくるデータの順序から検出値とノイズ値を識別可能なものとする。
【0018】
走査同期部52は、減算処理部51における減算処理に係る補正検出値Dc(j)と、走査行iとを対応させた走査行情報を生成する。走査同期部52は、垂直走査回路3から減算処理に係る(現在走査されている)行iの情報の入力を受けて走査行情報を生成してもよいし、垂直走査回路3に対して減算処理に係る(これから走査すべき)行iの情報を走査行情報の生成とともに出力するようにしてもよい。すなわち、垂直走査回路3による走査は、制御回路5とは別途の制御部によって制御されてもよいし、制御回路5によって制御されてもよい。
【0019】
分布決定部53は、減算処理部51から生成される補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(1行分の圧力分布データ)と走査同期部52からの走査行情報とに基づいて2次元の面圧力分布データを決定及び生成する。CPU50は、減算処理部51によって生成された圧力分布データ又は分布決定部53によって生成された面圧力分布データを、不図示の出力インターフェースを介して適宜の処理部に出力することができる。
【0020】
図3A及び
図3Bを参照して、圧力分布の取得を説明する。
図3Aは、n=10とした場合に、検出回路4から出力される所定行の検出値D(1)〜D(10)及びノイズ値Nを示すグラフである。
図3Bは、
図3Aに対応する補正検出値Dc(1)〜Dc(10)を示すグラフである。
図3A及び
図3Bにおいて、横軸は各列の配線番号を示し、縦軸は各値のレベルを示す。なお、検出値D(1)〜D(10)及びノイズ値Nは、実質的に同時に一括して取得される。
図3Aから分かるように、信号配線Y7上にタッチポイントがあり、ノイズ値N=20であることが検出されている。言い換えると、検出値D(1)〜D(10)にはオフセット値20が重畳されていることになる。そこで、制御回路5(減算処理部51)において、検出値D(1)〜D(10)からノイズ値Nがそれぞれ減算され、
図3Bに示すような補正検出値Dc(1)〜Dc(10)が得られる。この補正検出値Dc(1)〜Dc(10)が1行分の圧力分布データを構成する。
【0021】
このようにして、1行分の走査に関して、外来ノイズの影響が補正された圧力分布データ(補正検出値Dc(1)〜Dc(10))が取得される。他の走査行に関しても同様にして、外来ノイズの影響が補正された圧力分布データが取得される。そして、走査同期部52によって取得される走査行情報及び各行に関する圧力分布データに基づいて、分布決定部53は、2次元的な面圧力分布データを生成することができる。なお、
図3Aでは、ノイズ値Nが正の値である例を示したが、ノイズ値は負の値の場合もあり、この場合も上記と同様の処理が実行される。特に、外来ノイズが、例えば商用電源に同期したノイズ(50Hz若しくは60Hz又はその2倍の周波数のいわゆるハムノイズ)である場合など、時間とともにレベルが変化するノイズである場合、上記のように走査行ごとに外来ノイズの影響が補正されることが好ましい。これにより、信号配線Yに沿う方向(縦方向)に関しても正確な圧力分布が取得可能となる。
【0022】
図4に、検出回路4及び制御回路5における圧力分布取得方法の一例のフローチャートを示す。
ステップS100において、垂直走査回路3が、走査行の初期値をi=1に設定して垂直走査を開始する。また、制御回路5は、減算処理対象となる列の初期値をj=1に設定しておく。
ステップS102において、検出回路4が、検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値Nを取得する。
【0023】
ステップS104において、検出回路4が、検出値D(1)〜D(n)を制御回路5に順次転送する。
ステップS106において、制御回路5が、検出値D(1)〜D(n)をメモリ55に記憶する。
ステップS108において、検出回路4が、ノイズ値Nを制御回路5に転送する。
ステップS110において、制御回路5が、ノイズ値Nをメモリ55に記憶する。
【0024】
ステップS112において、CPU50(減算処理部51)が、検出値D(j)−ノイズ値Nを実行して、補正検出値Dc(j)を演算する。
ステップS114において、CPU50が、j<nであるか否かを判別する。j<nである場合(ステップS114、Yes)、ステップS115において、jが1だけ増分され、処理はステップS112に戻る。j=nである場合(ステップS114、No)、処理はステップS116に進む。
ステップS116において、CPU50(走査同期部52及び分布決定部53)は、第i行に対する圧力分布データを生成する。その後、処理は、ステップS118に進む。
【0025】
ステップS118において、CPU50が、i<mであるか否かを判別する。i<mである場合(ステップS118、Yes)、ステップS119において、iが1だけ増分され、jが1にリセットされ、処理はステップS102に戻る。i=mである場合(ステップS118、No)、処理はステップS120に進む。
ステップS120において、CPU50(分布決定部53)が、i=1〜mについての2次元的な面圧力分布データを生成する。
【0026】
図5に、検出回路4及び制御回路5における圧力分布取得方法の他の例のフローチャートを示す。ステップS100及びS102は、
図4のものと同様である。すなわち、ステップS100において、垂直走査回路3が走査行の初期値をi=1に設定して垂直走査を開始し、制御回路5が初期値をj=1を設定し、ステップS102において、検出回路4が検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値Nを取得する。
【0027】
ステップS108において、検出回路4が、ノイズ値Nを制御回路5に転送する。
ステップS110において、制御回路5が、ノイズ値Nをメモリ55に記憶する。
ステップS104において、検出回路4が、検出値D(1)〜D(n)を制御回路5に順次転送する。
【0028】
ステップS112において、CPU50(減算処理部51)が、検出値D(j)−ノイズ値Nを逐次実行して、補正検出値Dc(j)を演算する。ここでは、逐次入力されてくる検出値D(j)に対してD(j)−Nを実行する。したがって、制御回路5が検出値D(1)〜D(n)をまとめてメモリ55に記憶する必要はない。
ステップS114において、CPU50が、j<nであるか否かを判別する。j<nである場合(ステップS114、Yes)、ステップS115において、jが1だけ増分され、処理はステップS112に戻る。j=nである場合(ステップS114、No)、処理はステップS116に進む。
ステップS116において、CPU50(走査同期部52及び分布決定部53)は、第i行に対する圧力分布データを生成する。その後、処理は、ステップS118に進む。
【0029】
ステップS118及びS120は、
図4のものと同様である。すなわち、i<mである場合(ステップS118、Yes)には、ステップS119においてiが1だけ増分され、jが1にリセットされ、処理はステップS102に戻る。一方、i=mである場合(ステップS118、No)には、ステップS120において、i=1〜mについての2次元的な面圧力分布データが生成される。
【0030】
図4のフローチャートによる方法においては、検出値D(1)〜D(n)の転送(ステップS104)の後にノイズ値Nが転送される(ステップS108)。一方、
図5のフローチャートによる方法においては、ノイズ値Nの転送(ステップS108)の後に検出値D(1)〜D(n)が転送される(ステップS104)。すなわち、
図4のフローチャートによる方法においては、検出値D(1)〜D(n)のすべてをメモリ55に記憶させるステップ(ステップS106)が必要であるのに対し、
図5のフローチャートによる方法においては、検出値D(1)〜D(n)のすべてをメモリ55に記憶させる必要がない。したがって、
図5のフローチャートによる方法においては、メモリ55の記憶容量を低減させることが可能となる。
【0031】
以上のように、本発明の2次元センサ1は、マトリクス状に配列されて各々が圧力(負荷)に応じた電気信号を出力ノードに出力可能な複数の圧力検知部20(複数の検知部)を有するセンサアレイ2と、センサアレイ2の行毎に複数の圧力検知部20の走査を行う垂直走査回路3及び選択配線X1〜Xm(走査手段)と、センサアレイ2の列毎に複数の圧力検知部20の各々の出力ノードに接続された複数の信号配線Y1〜Ymと、信号配線Y1〜Ynに平行に配置され、信号配線Y1〜Ynから電気的に絶縁されたノイズ検出配線Y0と、信号配線Y1〜Yn及びノイズ検出配線Y0に接続され、信号配線Y1〜Ynの各々の電圧に基づく検出値D(1)〜D(n)及びノイズ検出配線Y0の電圧に基づくノイズ値Nを生成する検出回路4と、各検出値D(j)からノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(j)を生成し、補正検出値Dc(j)に基づいて補正検出値Dc(1)〜Dc(n)すなわち圧力分布データ(検出値分布データ)を生成する制御回路5とを備える。
【0032】
このように、信号配線Y1〜Ynから電気的に絶縁されたノイズ検出配線Y0が設けられる。そして、検出回路4が信号配線Y1〜Ynの電圧に基づく検出値D(1)〜D(n)及びノイズ検出配線Y0の電圧に基づくノイズ値Nを生成し、制御回路5が検出値D(1)〜D(n)の各々からノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(1)〜Dc(n)を生成して圧力分布データを生成する。これにより、ノイズ検出配線Y0によって検出される外来ノイズに応じて走査行毎に検出値のオフセットがキャンセルされ、正確な圧力分布データが得られる。さらに、走査行毎に異なり得る外来ノイズに対しても検出値が走査行毎に補正されるので、圧力分布データの精度が向上する。したがって、外来ノイズの影響を低減して精度の高い検出値分布を取得可能なアクティブマトリクス方式の2次元センサ1が実現される。また、このような2次元センサ1は、タッチセンサに好適に適用され得る。
【0033】
また、複数の圧力検知部20の各々が、定電圧源21、定電圧源21に接続されて圧力に応じて抵抗値が変化するセンサ材料22、及びセンサ材料22と出力ノードの間を走査に応じて開閉するTFT23を含む。このように、本発明は、TFTを用いるアクティブマトリクス方式の2次元センサへの導入容易性が高い。
【0034】
また、ノイズ検出配線Y0は、センサアレイ2の外部に配置される。これにより、センサアレイ2が表示画面に適用される場合の視認性を損なうことなく、ノイズ検出配線Y0を配置することが可能となる。また、センサアレイ2の製造プロセスに影響を与えることなく、ノイズ検出配線Y0を配置することが可能となる。
【0035】
また、検出回路4がノイズ値Nを検出値D(1)〜D(n)よりも先に制御回路5に転送するように構成され、制御回路5が検出値D(1)〜D(n)の各々からノイズ値Nを逐次減算して補正検出値Dc(1)〜Dc(n)を生成するように構成されることが好ましい。これにより、制御回路5において、検出値D(1)〜D(n)をまとめて記憶することが不要となり、メモリ容量の低減が可能となる。この態様は、センサアレイ2を構成する圧力検知部20の数が比較的多い場合に特に有用である。
【0036】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、ノイズ検出配線Y0が配線のみで形成される構成を示したが、本実施形態では、ノイズ検出配線Y0が圧力検知部20の一部を伴う構成を示す。
【0037】
図6に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、圧力検知部20からセンサ材料22を欠いたダミー検知部25が、ノイズ検出配線Y0に接続される。
【0038】
図7に、圧力検知部20の断面図を示す。圧力検知部20において、基板201上に、定電圧源21を構成するVDD電極(配線)211及びTFT23のゲート電極23Gが形成される。導電プラグ212が、VDD電極211上に形成される。ゲート絶縁膜202が、基板201及びゲート電極23Gを覆うように形成される。ゲート絶縁膜202上に半導体203が形成され、半導体203上にTFT23のドレイン電極23D及びソース電極23Sが形成される。また、ゲート絶縁膜202上に、導電プラグ212に接続された導電部材213が形成される。すなわち、定電圧源21は、VDD電極211、導電プラグ212及び導電部材213によって構成され、TFT23とは離隔される。センサ材料22が、ゲート絶縁膜202上であって導電部材213とドレイン電極23Dの間に、導電部材213とドレイン電極23Dに接触するように形成される。また、ソース電極23Sに信号配線Yが電気的に接続され、ゲート電極23Gに選択配線X(不図示)が電気的に接続される。
【0039】
図8に、ダミー検知部25の断面図を示す。ダミー検知部25は、センサ材料22が形成されていない圧力検知部20に相当する。また、ノイズ検出配線Y0は、信号配線Yと同様に、ソース電極23Sに電気的に接続される。これにより、TFT23がオン状態となっても、ノイズ検出配線Y0は圧力を検知することなく、実質的にアンテナとなって外来ノイズを検知することになる。
【0040】
図8に示す例では、ダミー検知部25が、センサ材料22を欠いた圧力検知部20に相当するものとして示した。一方、ダミー検知部25は、定電圧源21、センサ材料22及びTFT23の構成要素の少なくとも1つを欠いた圧力検知部20であればよい。言い換えると、圧力検知部20から、定電圧源21、センサ材料22及びTFT23のすべてを欠いた構成は、第1の実施形態の構成と等価となる。なお、信号配線Y及びノイズ検出配線Y0が接続される検出回路4及び制御回路5における処理は、第1の実施形態のものと同様である。
【0041】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線Y0に対応する列に配置されたダミー検知部25がさらに設けられ、ダミー検知部25の各々が、定電圧源21、センサ材料22及びTFT23の少なくとも1つが形成されていない圧力検知部20に相当する。これにより、ノイズ検出配線Y0を追加するための、センサアレイ2に対する製造プロセスの変更を最小化することができ、2次元センサ1の生産性を向上し得る。特に、
図8に示す例のように、圧力検知部20の製造プロセスの比較的後の工程となるセンサ材料22の形成を省略することは、この省略に伴う製造プロセス全体への影響を最小化することができるので好ましい。
【0042】
<第3の実施形態>
上記第1及び第2の実施形態では、1本のノイズ検出配線が適用される構成を示したが、本実施形態では2本のノイズ検出配線が適用され、2本のノイズ検出配線によって検出されるノイズ値が補正される構成を示す。
【0043】
図9に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1又は第2の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、ノイズ検出配線Y01及びY02が、センサアレイ2の両端外側に配置される。
【0044】
検出回路4において、信号配線Y1〜Ynに対応する各A/D変換回路42は、アナログ値の検出電圧をそれぞれデジタル値の検出値D(1)〜D(n)に変換する。同様に、ノイズ検出配線Y01及びY02に対応する各A/D変換回路42は、アナログ値のノイズ電圧をそれぞれデジタル値のノイズ値N(1)及びN(2)に変換する。転送回路43は、検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値N(1)及びN(2)を制御回路5に出力する。
【0045】
制御回路5において、減算処理部51は、ノイズ値Nを、N=(N(1)+N(2))/2として演算し、検出値D(1)〜D(n)からそれぞれノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(圧力分布データ)を生成する。減算処理部51は、転送回路43から転送されてくるデータの順序から検出値とノイズ値を識別可能なものとする。その後の処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、走査同期部52は、減算処理部51における減算処理に係る補正検出値と走査されている行とを対応させた走査行情報を生成する。分布決定部53は、減算処理部51から生成される圧力分布データ及び走査同期部52からの走査行情報に基づいて2次元の面圧力分布データを生成する。
【0046】
なお、本実施形態では、ノイズ値Nの導出(平均値取得)が制御回路5において実行される構成としているが、ノイズ値Nの導出が検出回路4の内部で実行されてからノイズ値Nが検出回路4から制御回路5に転送されるようにしてもよい。また、ノイズ値Nがノイズ値N(1)及びN(2)の単純平均であるものとしたが、ノイズの発生レベルの分布が予め特定されている場合には、ノイズ値Nはノイズ値N(1)及びN(2)の重み付け平均であってもよい。例えば、N=α×N(1)+(1−α)×N(2)、0<α<1、などであってもよい。また、重み付け係数は、垂直走査回路3からの距離に応じて定められても良い。例えば、垂直操作回路3から遠ざかるに従い、ゲートの選択信号のパルス波形が駆動信号ゲート駆動回路からの距離に応じて鈍ることから、当該距離に応じた重み付け係数を用いてノイズ値の補正を行っても良い。さらに、3本以上のノイズ検出配線によって検出されるノイズ値の重み付け平均を用いてもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線が、異なる位置に配置された複数のノイズ検出配線Y01及びY02からなり、ノイズ値Nは、ノイズ検出配線Y01及びY02に対応するノイズ値N(1)及びN(2)の平均値である。これにより、外来ノイズに位置的な分布(図面において横方向の分布)がある場合でも、外来ノイズに対する検出値の補正精度が向上し得る。
【0048】
また、ノイズ検出配線Y01及びY02は、センサアレイ2の両端の外部に配置される。これにより、センサアレイ2が表示画面に適用される場合の視認性を損なうことなく、ノイズ検出配線Y01及びY02を配置することが可能となる。また、センサアレイ2の製造プロセスに影響を与えることなく、ノイズ検出配線Y01及びY02を配置することが可能となる。
【0049】
<第4の実施形態>
上記第3の実施形態では、2本のノイズ検出配線によって検出されるノイズ値が平均化される構成を示したが、本実施形態では、2本のノイズ検出配線に対応して信号配線Yがグループ分けされてグループ毎にノイズキャンセルの処理が行われる構成を示す。
【0050】
図10に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1〜第3の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、ノイズ検出配線Y01及びY02がセンサアレイ2の両端外側に配置され、検出回路4が検出回路4−1及び4−2に分割される。検出回路4−1及び4−2の各々の構成は、第1〜第3の実施形態における検出回路4と実質的に同様である。
【0051】
検出回路4−1は信号配線Y1〜Yk及びノイズ検出配線Y01のグループに接続され、検出回路4−2は信号配線Yk+1〜Yn及びノイズ検出配線Y02のグループに接続される。なお、kは1<k<nの任意の値をとり得る。
図10においては、信号配線Yの分割位置がセンサアレイ2の中央付近に配置される(すなわち、kが1とnの中央値付近の値である)構成を示すが、信号配線Yの分割位置はこれに限られない。
【0052】
検出回路4−1は、上記各実施形態の検出回路4と実質的に同様の処理により、信号配線Y1〜Ykに対応する検出値D(1)〜D(k)及びノイズ検出配線Y01に対応するノイズ値N(1)を制御回路5に転送する。検出回路4−2も、同様にして、信号配線Yk+1〜Ynに対応する検出値D(k+1)〜D(n)及びノイズ検出配線Y02に対応するノイズ値N(2)を制御回路5に転送する。なお、説明の便宜上、検出回路4が2つのブロックの回路として示されているが、検出回路4が1つのブロックの回路で構成されて、検出値D(1)〜D(n)並びにノイズ値N(1)及びN(2)が適宜の順序で制御回路5に転送されるようにしてもよい。
【0053】
制御回路5において、減算処理部51は、検出値D(1)〜D(k)からそれぞれノイズ値N(1)を減算して補正検出値Dc(1)〜D(k)を生成し、検出値D(k+1)〜D(n)からそれぞれノイズ値N(2)を減算して補正検出値Dc(k+1)〜Dc(n)を生成する。減算処理部51は、各転送回路43から転送されてくるデータの順序から検出値とノイズ値を識別可能なものとする。これにより、1行分の補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(圧力分布データ)が取得される。その後の2次元の面圧力分布データ取得のための処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、走査同期部52は、減算処理部51における減算処理に係る補正検出値と走査されている行とを対応させた走査行情報を生成する。分布決定部53は、減算処理部51から生成される圧力分布データ及び走査同期部52からの走査行情報に基づいて面圧力分布データを生成する。
【0054】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線が、異なる位置に配置された2本のノイズ検出配線Y01及びY02からなる。各々がノイズ検出配線Y01及びY02のうちの1本及び信号配線Y1〜Ynのうちの1本以上の信号配線Yを含むように、信号配線Y1〜Ynが2つのグループに分けられる。制御回路5が、各グループについて、信号配線Yの電圧に基づく各検出値からノイズ検出配線Y01又はY02の電圧に基づくノイズ値N(1)又はN(2)をそれぞれ減算して各補正検出値を生成し、この補正検出値に基づいて圧力分布データを出力する。これにより、外来ノイズに位置的な分布がある場合でも、グループ毎に検出値のきめ細かい補正が可能となる。
【0055】
<第5の実施形態>
上記第1〜第4の実施形態では、ノイズ検出配線がセンサアレイ2の外部に配置される構成を示したが、本実施形態では、ノイズ検出配線が信号配線Y上に配置される構成を示す。
【0056】
図11に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1〜第4の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、ノイズ検出配線Y0が信号配線Yk上に配置される。
【0057】
ノイズ検出配線Y0は、センサアレイ2に垂直な方向からの上面視において信号配線Ykと重なり、かつ信号配線Ykから電気的に絶縁されて配置される。kは、1≦k≦nの任意の値をとり得る。
図11においては、ノイズ検出配線Y0がセンサアレイ2の中央付近に配置される(すなわち、kが1とnの中央値付近の値である)構成を示すが、ノイズ検出配線Y0が配置される列はこれに限られない。
【0058】
図12に、本実施形態における圧力検知部20の模式断面図を示す。
図12に示すように、ノイズ検出配線Y0は、絶縁層204を介して信号配線Yk上に配置される。これにより、センサアレイ2が適用され得る表示画面において、表示のための開口度を減少させることはなく、視認性が確保される。なお、信号配線Yの幅とノイズ検出配線Y0の幅は同じでなくてもよい。検出回路4及び制御回路5における処理は、第1の実施形態と同様である。
【0059】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線Y0が、センサアレイ2に対して垂直な方向からの視方向において信号配線Y1〜Ynのうちの所定の信号配線Ykと重なり、かつ所定の信号配線と電気的に絶縁されるように配置される。これにより、ノイズ検出配線Y0の配置の自由度が増し、外来ノイズの検知により適した位置にノイズ検出配線Y0を配置することができる。したがって、外来ノイズに対する検出値の補正精度が向上し得る。
【0060】
<第6の実施形態>
第5の実施形態では、1本のノイズ検出配線が適用される構成を示したが、本実施形態では複数のノイズ検出配線が適用され、複数のノイズ検出配線によって検出されるノイズ値が平均化される構成を示す。
【0061】
図13に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1〜第5の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、ノイズ検出配線Y01〜Y0pが、所定の信号配線Y上に配置される。なお、ノイズ検出配線Y01〜Y0pを総称して又はいずれか1つを代表してノイズ検出配線Y0というものとする。
【0062】
ノイズ検出配線Y01〜Y0pの各々は、センサアレイ2に垂直な方向からの上面視において対応する所定の信号配線Yと重なり、かつ信号配線Yから電気的に絶縁されて配置される。所定の信号配線Yにおける圧力検知部20の模式断面図は、第5の実施形態(
図12)と同様である。
図13においては、nが偶数であるものとしてp=n/2としているが、pは、1<p≦nの任意の値をとり得る。なお、p=nの場合には、全ての信号配線Yに対応してノイズ検出配線Y0が配置されることになる。また、ノイズ検出配線Y01〜Y1pは等間隔に配置されてもよいし、中央付近、両端付近などに偏重して配置されてもよい。
【0063】
検出回路4において、信号配線Y1〜Ynに対応する各A/D変換回路42は、アナログ値の検出電圧をそれぞれデジタル値の検出値D(1)〜D(n)に変換する。同様に、ノイズ検出配線Y01〜Y0pに対応する各A/D変換回路42は、アナログ値のノイズ電圧をそれぞれデジタル値のノイズ値N(1)〜N(p)に変換する。転送回路43は、検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値N(1)〜N(p)を制御回路5に出力する。
【0064】
制御回路5において、減算処理部51は、ノイズ値Nを、N=(N(1)+N(2)+・・・+N(p))/pとして演算し(すなわち、平均化し)、検出値D(1)〜D(n)からそれぞれノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(圧力分布データ)を生成する。減算処理部51は、転送回路43から転送されてくるデータの順序から検出値とノイズ値を識別可能なものとする。その後の2次元の面圧力分布データ取得のための処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、分布決定部53は、減算処理部51から生成される圧力分布データ及び走査同期部52からの走査行情報に基づいて面圧力分布データを生成する。
【0065】
なお、本実施形態では、ノイズ値Nの導出(平均値取得)が制御回路5において実行される構成としているが、ノイズ値Nの導出は検出回路4の内部で実行されてからノイズ値Nが検出回路4から制御回路5に転送されるようにしてもよい。
【0066】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線Y0が、異なる位置に配置された複数のノイズ検出配線Y01〜Y0pからなり、ノイズ値Nが、ノイズ検出配線Y01〜Y0pに対応するノイズ値N(1)〜N(p)の平均値となるように構成される。これにより、外来ノイズに位置的な分布(図面において横方向の分布)がある場合でも、外来ノイズに対する検出値の補正精度がより向上し得る。
【0067】
<第7の実施形態>
上記第6の実施形態では、複数のノイズ検出配線によって検出されるノイズ値が平均化される構成を示したが、本実施形態では、複数のノイズ検出配線に対応して信号配線Yがグループ分けされる構成を示す。
【0068】
図14に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1〜第6の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態においては、センサアレイ2、ノイズ検出配線Y0及び検出回路4がp個のグループG1〜Gpに分けられる。
図14においては、グループGqについてのみセンサアレイ2及び検出回路4の構成を示すが、他のグループの構成も同様である。なお、qは、1≦q≦pの任意の値である。
【0069】
グループGqは、信号配線Yk−1〜Yk+1及びそれぞれに対応する圧力検知部20、ノイズ検出配線Y0q並びに検出回路4−qを含む。なお、2≦k≦n−1であるものとする。ノイズ検出配線Y0qは、信号配線Yk上に配置される。
図14の例では、1つのグループにおいて1本のノイズ検出配線Y0に対して3本の信号配線Yが含まれる構成を示すが、1本のノイズ検出配線Y0に対する信号配線Yの本数は適宜変更され得る。また、本例では、1つのグループ内でノイズ検出配線Y0が中央の信号配線Y上に配置される構成を示すが、1つのグループ内でノイズ検出配線Y0はいずれの信号配線Y上に配置されてもよい。また、各グループに含まれる信号配線Yの本数は、グループ間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0070】
検出回路4−qは、上記各実施形態の検出回路4と同様に、検出値D(k−1)〜D(k+1)及びノイズ値N(q)を制御回路5に転送する。他の検出回路も同様にして、制御回路5には、グループG1〜Gqについての検出値D(1)〜D(n)及びノイズ値N(1)〜N(p)が入力される。
【0071】
検出回路4−qに関しては、制御回路5の減算処理部51は、検出値D(k−1)〜D(k+1)からそれぞれノイズ値N(q)を減算して補正検出値Dc(k−1)〜Dc(k+1)を生成する。減算処理部51は、各転送回路43から転送されてくるデータの順序から検出値とノイズ値を識別可能なものとする。制御回路5は、上記処理をグループG1〜Gpについて実行する。これにより、補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(圧力分布データ)が得られる。その後の2次元の面圧力分布データ取得のための処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、分布決定部53は、減算処理部51から生成される圧力分布データ及び走査同期部52からの走査行情報に基づいて面圧力分布データを生成する。
【0072】
以上のように、本実施形態では、ノイズ検出配線が、異なる位置に配置された複数のノイズ検出配線Y01〜Y0pからなる。各々がノイズ検出配線Y01〜Y0pのうちの1本及び信号配線Y1〜Ynのうちの1本以上の信号配線Yを含むように、信号配線Y1〜Ynが複数のグループG1〜Gqに分けられる。制御回路5が、各グループについて、信号配線Yの電圧に基づく各検出値から対応するノイズ検出配線の電圧に基づくノイズ値をそれぞれ減算して各補正検出値を生成し、この補正検出値に基づいて圧力分布データを出力するように構成される。これにより、外来ノイズに位置的な分布(図面において横方向の分布)がある場合でも、外来ノイズに対する検出値のよりきめ細かい補正が可能となる。
【0073】
<第8の実施形態>
上記第1〜第7の実施形態では、信号配線Yとは別個のノイズ検出配線Y0が配置される構成を示したが、本実施形態では、信号配線Yとノイズ検出配線Y0とが分離されずにノイズ検出配線Y0が走査毎に可変とされる構成を示す。
【0074】
図15に、本実施形態による2次元センサ1のブロック図を示す。本実施形態において、第1〜第7の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。本実施形態では、少なくとも1本のダミー検知部25が各行に対して設けられる。なお、第2の実施形態において示したように、ダミー検知部25は、圧力検知部20の構成要素の一部又は全部を欠いた構成に相当する。
【0075】
ダミー検知部25の配置には種々の態様があり得る。例えば、
図15に示すように、ダミー検知部25は、信号配線Y1上の奇数行の選択配線Xのすべて(X1、X3、X5・・・)及び信号配線Yn上の偶数行の選択配線Xのすべて(X2、X4、X6・・・)に対応して配置されてもよい(本例ではmは偶数であるものとする)。この場合、走査行がX1、X3、X5・・・である場合には信号配線Y1がノイズ検出配線Y0となり、走査行がX2、X4、X6・・・である場合には信号配線Ynがノイズ検出配線Y0となる。
【0076】
あるいは、ダミー検知部25は、センサアレイ2内で、より分散されて配置されてもよい。例えば、m≦nの場合に、選択配線Xiと信号配線Yjの交点を座標(Xi、Yj)として示す場合に、(1、1)、(2、2)、(3、3)、・・・(m、m)の位置にダミー検知部25が配置されてもよい。この場合、走査行がX1である場合には信号配線Y1がノイズ検出配線Y0となり、走査行がX2である場合には信号配線Y2がノイズ検出配線Y0となり、他の選択行についても同様にして、走査行がXmである場合には信号配線Ymがノイズ検出配線Y0となる。
【0077】
なお、本実施形態では、当初の信号配線数nの範囲内(すなわち、信号配線Y1〜Ynの範囲内)で可変のノイズ検出配線Y0を設け、圧力検知部20が若干間引かれる構成を示している。一方、当初の信号配線数nを増加して(例えば、信号配線Y1〜Yn+2などとして)その範囲内で可変のノイズ検出配線Y0を設け、圧力検知部20の数が当初の構成から間引かれないようにしてもよい。
【0078】
また、1行に対して2以上のダミー検知部25が設けられる場合には、当該2以上のダミー検知部25が属する列に対応するノイズ値が平均化されるようにしてもよいし(第3又は第6の実施形態参照)、当該2以上のダミー検知部25が属する列毎に検出回路4及び制御回路5の処理が分割されてもよい(第4又は第7の実施形態参照)。なお、以降の説明において、第k列がノイズ検出配線Y0となる場合の信号配線Yを信号配線Ykというものとする。
【0079】
検出回路4において、各A/D変換回路42は、抵抗41で検出されるアナログ値の電圧をそれぞれデジタル値の検出値D(1)〜D(n)(潜在的にノイズ値Nとなる検出値D(k)を含む)に変換する。転送回路43は、この検出値D(1)〜D(n)を制御回路5に出力する。例えば、
図15に示す例において、走査行がX3である場合には、N(D(1))、D(2)、D(3)、D(4)、・・・、D(n)の順又はその逆の順に、検出回路4から制御回路5に値が転送される。ただし、この時点において、検出回路4において、いずれの信号配線Yがノイズ検出配線Y0となっているかについては認識されていない。
【0080】
制御回路5において、走査同期部52は、減算処理部51における減算処理に係る補正検出値と走査されている行とを対応させた走査行情報を生成する。減算処理部51は、走査行情報から、検出値D(1)〜D(n)(検出値D(k)を除く)とノイズ値N(検出値D(k))とを識別し、各検出値D(1)〜D(n)からそれぞれノイズ値Nを減算して補正検出値Dc(1)〜Dc(n)(1行分の圧力分布データ)を生成する。分布決定部53は、減算処理部51から生成される圧力分布データ及び走査同期部52からの走査行情報に基づいて2次元の面圧力分布データを生成する。
【0081】
以上のように、本実施形態では、センサアレイ2の各行に対してダミー検知部25が設けられ、ダミー検知部25の各々が、定電圧源21、センサ材料22並びにTFT23の少なくとも1つが形成されていない圧力検知部20に相当する。さらに、制御回路5が、垂直走査回路3及び選択配線X1〜Xm(走査手段)によって走査されているダミー検知部25が属する列kがノイズ検出配線Y0に対応するとともに、走査手段によって走査されている圧力検知部20が属する列(kを除く1〜n)が複数の信号配線Yに対応するものとして圧力分布データを生成する。これにより、センサ解像度の向上よりもノイズ低減が優先される場合に、追加の構成要素を要することなく、外来ノイズの影響が低減された圧力分布を取得可能な2次元センサ1が実現される。
【0082】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0083】
(1)2次元センサ1の適用に関する変形
上記各実施形態においては、2次元センサ1が、負荷として圧力を検出するタッチセンサである場合を説明したが、本発明の2次元センサ1の適用対象はこれに限られない。例えば、2次元センサ1は、圧力検知部20の代わりに温度検知部が設けられた2次元の温度センサにも適用可能である。この場合、温度検知部におけるセンサ材料22は、温度の上昇に対して抵抗値が増加又は減少する素子であればよい。
【0084】
(2)圧力検知部20の極性に関する変形
上記各実施形態では、定電圧源21が電源電圧VDDであり、TFT23がNPN型のトランジスタであり、信号配線Yの終端が抵抗41を介して接地される構成と示した。一方、定電圧源21が接地され(すなわち、グランドであり)、TFT23がPNP型のトランジスタであり、信号配線Yの終端が抵抗41を介して電源電圧VDDに接続される構成も可能である。この場合、選択配線Xにおける選択信号の極性は反転される。また、上記各実施形態では、センサ材料22が、付加される圧力の増加に対して抵抗値を増加させる素子であるものとして説明したが、付加される圧力の増加に対して抵抗値を減少させる素子であってもよい。この場合、制御回路5の分布決定部53から出力される圧力分布データの極性が反転される。
【0085】
(3)実施形態間の組合せに関する変形
上記各実施形態を個別のものとして記載したが、各実施形態は適宜相互に組み合わせて適用可能である。例えば、複数のノイズ検出配線Y0が設けられる場合に、その一部が第1の実施形態と同様に配線のみで構成され、その他が第2の実施形態と同様にダミー検知部25に接続された配線で構成されてもよい。また、複数のノイズ検出配線Y0が設けられる場合に、その一部が第1〜第4の実施形態のいずれかのようにセンサアレイ2の外部に設けられ、その他が第5〜第8の実施形態のいずれかのようにセンサアレイ2の内部に設けられてもよい。その他、実施形態間での種々の組合せが可能である。