(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記縦框及び前記横框のうち、その長手方向が長い方に固定される前記ガラス外れ止め部材の前記押さえ片と前記ガラスの隙間よりも、短い方に固定される前記ガラス外れ止め部材の前記押さえ片と前記ガラスの隙間の方が大きくなるように、前記保持部が前記縦框及び前記横框に固定される請求項1に記載の建具。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具(サッシ)の枠体に収められるガラスや障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る建具1を示す正面図である。本実施形態の建具1は、防火仕様の縦辷り窓である。まず、建具1の全体構成について説明する。本実施形態の建具1は、建物開口部に固定される枠体10と、枠体10の内側に開閉可能に取り付けられる障子20と、を備える。
【0016】
枠体10は、上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14が矩形に枠組みされて構成される。上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。
【0017】
図2は、本実施形態の建具1の縦断面図である。上枠11の内部は、見込方向で複数の空間に区画されており、室外側から室内側の順に中空部11a,11b,11cが形成される。中空部11cには金属製の上枠芯材11dが配置される。また、上枠11の室内側下部には、下方に延びる延出部11eが形成され、延出部11eの室外側の見付面にはクッション材11fが配置される。同様に、下枠12の内部にも、見込方向に複数の中空部12a,12b,12cが形成され、中空部12bには金属製の下枠芯材12dが配置される。また、下枠12の室内側上部には、上方に延びる延出部12eが形成され、該延出部12eにもクッション材12fが配置される。
【0018】
図3は、本実施形態の建具1の横断面図である。吊元側縦枠13の内部も、見込方向で区画された複数の中空部13a,13b,13cが形成され、中空部13bには金属製の縦枠芯材13dが配置される。また、吊元側縦枠13の室外側には見付方向戸先側に延びる延出部13eが形成され、該延出部13eにもクッション材13fが配置される。
【0019】
戸先側縦枠14の内部にも、見込方向で区画された複数の中空部14a,14b,14cが形成され、中空部14bには金属製の縦枠芯材14dが配置される。戸先側縦枠14の室外側にも見付方向吊元側に延びる延出部14eが形成され、該延出部14eにもクッション材14fが配置される。
【0020】
図3に示すように、枠体10の内側の隅(内隅)には枠側コーナー金具46がそれぞれ配置される(
図2において図示省略)。枠側コーナー金具46は、4隅のそれぞれに配置される。枠側コーナー金具46自体は、枠体10の見込面に配置されるが、ネジ等の締結部材を介して枠体10の内側の芯材(上枠芯材11d、下枠芯材12d、縦枠芯材13d及び縦枠芯材14d)に締結固定される。より具体的には、枠体10の戸先側上部では、上枠芯材11dと縦枠芯材14dが枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側上部では、上枠芯材11dと縦枠芯材13dが連結される。同様に、戸先側下部では、下枠芯材12dと縦枠芯材14dが枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側下部では、下枠芯材12dと縦枠芯材13dが連結される。
【0021】
障子20は、ガラス25と、ガラス25を囲うように構成される框体30と、を含むように構成される。
【0022】
ガラス25は、室外側に配置される室外側ガラス25aと、室外側ガラス25aに対して隙間をあけて室内側に配置される室内側ガラス25bと、を備える複層ガラスである。室外側ガラス25aと室内側ガラス25bの間にはスペーサ26等が配置される。
【0023】
框体30は、上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34が矩形に枠組みされて構成される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。
【0024】
上框31の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部31a,31b,31cが形成される。最も室内側に位置する中空部31cには、金属で形成される室内側上框芯材31dが配置される。中空部31bにも、金属製の室外側上框芯材31eが配置される。室内側上框芯材31d及び室外側上框芯材31eは、何れも上框31の長手方向に沿って延びている。上框31の室外側上部には、上枠11の一部と見込方向で対向する延出部31fが形成される。延出部31fの室内側にはクッション材31gが設けられる。また、延出部31fの下方には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部31hが形成される。
【0025】
下框32の内部にも、室外側から室内側に向かって複数の中空部32a,32b,32cが形成される。最も室内側に位置する中空部32cには、金属で形成される室内側下框芯材32dが配置される。中空部32bにも、金属製の室外側下框芯材32eが配置される。室内側下框芯材32d及び室外側下框芯材32eは、何れも下框32の長手方向に沿って延びている。下框32の室外側下部には、下枠12の一部と見込方向で対向する延出部32fが形成される。延出部32fの室内側にはクッション材32gが設けられる。また、延出部32fの下方には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部32hが形成される。
【0026】
吊元側縦框33の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部33a,33b,33cが形成される。最も室内側に位置する中空部33cには、金属で形成される室内側縦框芯材33dが配置される。中空部33bにも、金属製の室外側縦框芯材33eが配置される。室内側縦框芯材33d及び室外側縦框芯材33eは、何れも吊元側縦框33の長手方向に沿って延びている。吊元側縦框33の室外側には、吊元側縦枠13の一部と見込方向で対向する延出部33fが形成される。延出部33fの室内側にはクッション材33gが設けられる。また、延出部33fの戸先側には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部33hが形成される。
【0027】
戸先側縦框34の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部34a,34b,34cが形成される。最も室内側に位置する中空部34cには、金属で形成される室内側縦框芯材34dが配置される。中空部34bにも、金属製の室外側縦框芯材34eが配置される。室内側縦框芯材34d及び室外側縦框芯材34eは、何れも戸先側縦框34の長手方向に沿って延びている。戸先側縦框34の室外側には、吊元側縦枠13の一部と見込方向で対向する延出部34fが形成される。延出部34fの室内側にはクッション材34gが設けられる。また、延出部34fの吊元側には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部34hが形成される。
【0028】
本実施形態では、框体30内部の室外側に位置する芯材(室外側上框芯材31e、室外側下框芯材32e、室外側縦框芯材33e及び室外側縦框芯材34e)と、室内側に位置する芯材(室内側上框芯材31d、室内側下框芯材32d、室内側縦框芯材33d及び室内側縦框芯材34d)と、が框芯材連結金具67によって連結されている。框芯材連結金具67は、框体30の外側面の形状に応じて段差状に形成されるプレート部材である。框芯材連結金具67は、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)の外部に配置され、框体30の内部で異なる中空部に配置される室外側の芯材と室内側の芯材にネジ等の締結部材によってそれぞれ締結される。これによって見込方向に複数の中空部が形成される樹脂製の框体30が火災発生時の高温環境下で室外側と室内側に分離する事態が確実に防止されている。
【0029】
障子20は、上枠11に連結されるとともに上框31(框体30)に連結される上アーム部材61及び下枠12に連結されるとともに下框32(框体30)に連結される下アーム部材62によって開閉可能に枠体10の内側に支持される。本実施形態では、上アーム部材61及び下アーム部材62は、何れも框体30に対して金属により板状に成形される補強材65を介して連結される。
【0030】
障子20の戸先側には、ハンドル55に連動するスライドロック機構50が配置される。スライドロック機構50は、ハンドル55操作に連動して上下方向に移動するスライドプレート51と、スライドプレート51の戸先側の見込面に形成されるロックピン52と、を備える。戸先側縦枠14の内側の見込面には、ロックピン52が嵌合するロックピン受け金具15が固定される。本実施形態では、ロックピン52は、上下方向で複数個所に形成されており、ロックピン受け金具15もロックピン52の数に応じて上下方向に間隔をあけて複数固定される。また、スライドプレート51は、戸先側縦框34の戸先側にスライド嵌合された状態でハンドル55に連結されている。
【0031】
次に、框体30の内側の見込面に配置されるガラス外れ止め部材40について説明する。
図1に示すように、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)の内側の見込面にはガラス外れ止め部材40が1又は複数配置される。なお、框体30の内側の見込面とは、框体30におけるガラス25に対向する面である。
【0032】
図4は、本実施形態の建具1が備える戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材40を見付方向の吊元側から見た図である。なお、
図4では、加熱発泡材やセッティングブロックの図示が省略されるとともに、ガラス25が鎖線で示されている。
【0033】
図4に示すように、戸先側縦框34の内側の見込面には、4個のガラス外れ止め部材40が間隔をあけて配置される(
図4参照)。同様に吊元側縦框33の見込面にも4個のガラス外れ止め部材40が配置される。以下の説明において吊元側縦框33又は戸先側縦框34に配置されるガラス外れ止め部材40の符号をガラス外れ止め部材40aとして説明する。
【0034】
図5は、本実施形態の建具1が備える上框31に固定されるガラス外れ止め部材40を下側から見た図である。なお、
図5でも、加熱発泡材やセッティングブロックの図示が省略されるとともに、ガラス25が鎖線で示されている。
【0035】
図5に示すように、上框31の内側の見込面には、中央にガラス外れ止め部材40が1個配置される(
図5参照)。同様に、下框32の内側の見込面にもガラス外れ止め部材40が1個配置される。以下の説明において吊元側縦框33又は戸先側縦框34に配置されるガラス外れ止め部材40の符号をガラス外れ止め部材40bとして説明する。
【0036】
本実施形態では、ガラス外れ止め部材40aとガラス外れ止め部材40bは、同じ形状のガラス外れ止め部材40である。次に、このガラス外れ止め部材40の構成について説明する。
図6は、本実施形態のガラス外れ止め部材40の分解斜視図である。
【0037】
図6に示すように、本実施形態のガラス外れ止め部材40は、框体30に固定される保持金具41と、保持金具41によって保持される押さえ片42と、を備える。本実施形態では、保持金具41及び押さえ片42は、何れも金属製(例えば、ステンレス鋼)である。
【0038】
保持金具41は、框体30との間に隙間を形成する台部41aと、台部41aの両側(見込方向に直交する)に配置される取付部41bと、を備える。両側の取付部41bのそれぞれには、見込方向に細長い締結孔41cが形成される。この締結孔41cに締結部材としてのネジ45が締結されることにより、保持金具41が框体30に固定される。台部41aは、固定された状態で框体30の見込面との間に隙間を形成する。台部41aの室内側の端部には、室内側から室外側に切り欠かれた係合孔41dが形成される。また、台部41aの室内側の端部には、ガラス25側に向かって延出する延出片41eが形成される。延出片41eは、係合孔41dを跨る壁状に形成されており、保持金具41に係合された状態の押さえ片42に対向する。
【0039】
押さえ片42は、ガラス25の端部に対向する押さえ部42aと、押さえ部42aの下部から室内側に延びる係合部42bと、押さえ部42aの下部で係合部42bの両側にそれぞれ延びる足部42cと、を備える。押さえ片42の係合部42bが保持金具41の係合孔41dに係合することで押さえ片42が保持金具41に係合固定される。本実施形態の係合部42bは、その先端がガラス25側に突出する爪状に形成されており、台部41aの裏側を通って爪状の部分が係合孔41dの端面に係合する。
【0040】
本実施形態では、押さえ片42は、保持金具41に係合した状態でも見込方向で若干の移動が可能となっている。保持金具41と押さえ片42の係合を解除する場合は、係合部42bの爪状の部分を框体30側に押し込んで係合を解除し、押さえ片42を室内外側に移動させる。
【0041】
框体30に固定されたガラス外れ止め部材40の取付状態について説明する。まず、吊元側縦框(縦框)33に固定されるガラス外れ止め部材40aについて説明する。
図7は、本実施形態の建具1に適用されるガラス外れ止め部材40a及びその周囲を示す拡大横断面図である。
【0042】
図7に示すように、ガラス外れ止め部材40が吊元側縦框33に固定された状態では、押さえ部42aが室外側ガラス25aの吊元側端部に室外側で対面した状態となる。ガラス外れ止め部材40aは、保持金具41を框体30に取り付けた状態で加熱発泡材38を配置し、ガラス25を嵌め込んだ状態で押さえ片42を保持金具41に係合させる。加熱発泡材38は、ガラス25の4周を囲う帯状に形成されており、ガラス外れ止め部材40に差し掛かる部分では、保持金具41の台部41aのガラス25側の面に加熱発泡材38が載った状態となる。加熱発泡材38は、接着剤、接着テープ等を用いた接着固定やネジ等を用いた締結固定等、適宜の方法で框体30に固定される。
【0043】
保持金具41は、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33eに締結孔41cを通じてネジ45が締結固定されることにより、吊元側縦框33の見込面に固定される。上述のように、締結孔41cは、見込方向に長い長孔となっている。従って、吊元側縦框33及び室外側縦框芯材33eに対する加工位置を変えることなく、保持金具41の取付位置を見込方向(室内外方向)で調整することが可能となっている。例えば、室外側ガラス25aの室外側面から保持金具41の延出片41eまでの長さを距離d1とすると、距離d1は保持金具41の取付位置によって変わることになる。押さえ片42は保持金具41によって位置が決まるので、ガラス25と押さえ片42の位置関係は保持金具41の取付位置によって調整することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、押さえ片42は、保持金具41に係合された状態でも見込方向に若干移動可能となっているが、この移動範囲も保持金具41の位置によって決まるので、何れにしても保持金具41の取付位置によってガラス25とガラス外れ止め部材40aの位置関係が調整されることになる。
【0045】
以上、
図7を参照して吊元側縦框33に固定されるガラス外れ止め部材40aについて説明したが、戸先側縦框34でも同様の構成及び方法でガラス外れ止め部材40aが吊元側縦框33と同様に距離d1の設定で戸先側縦框34に固定される。
【0046】
次に、上框(横框)31に固定されるガラス外れ止め部材40bについて説明する。
図8は、本実施形態の建具1に適用されるガラス外れ止め部材40b及びその周囲を示す拡大縦断面図である。
【0047】
図8に示すように、ガラス外れ止め部材40bが上框31に固定された状態では、押さえ部42aが室外側ガラス25aの上端部に室外側で対面した状態となる。なお、ガラス外れ止め部材40bを上框31に固定する方法は、吊元側縦框33に固定する場合と基本的に同様であるが、ガラス25とガラス外れ部材40bの位置関係は、ガラス25とガラス外れ部材40aの位置関係とは異なるように、保持金具41が固定される。本実施形態では、縦框(吊元側縦框33及び戸先側縦框34)に設定されるガラス25に対するガラス外れ止め部材40の位置関係を示す距離d1よりも、上框31のガラス25に対するガラス外れ止め部材40の位置関係を示す距離d2の方が長くなるように設定される。即ち、上框31のガラス外れ止め部材40は、縦框(吊元側縦框33及び戸先側縦框34)に比べて相対的に隙間が大きくなるようにレイアウトされる。
【0048】
以上、
図8を参照して上框31に固定されるガラス外れ止め部材40bについて説明したが、下框32でも同様の構成及び方法でガラス外れ止め部材40bが上框31と同様に距離d2の設定で下框32に固定される。
【0049】
以上説明した上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は框体30を構成する吊元側縦框33、戸先側縦框34、上框31及び下框32のそれぞれに固定されるガラス外れ止め部材40を備え、ガラス外れ止め部材40は、ガラス25の端部に見込方向一側で対面する押さえ片42と、押さえ片を保持し、見込方向に長く形成される締結孔41cを通じてネジ(締結部材)45によって吊元側縦框33、戸先側縦框34、上框31又は下框32に固定される保持金具(保持部)41と、を有する。
【0050】
これにより、加工位置を変えることなく保持金具41の位置を調整することができる。また、火災発生時に樹脂製の框体30が溶融してガラス25が反ろうとしても締結孔41cによって見込方向への押さえ片42の移動が許容されるので、ガラス25への応力の集中によるヒビや破損の発生を防止又は効果的に遅らせることができる。
【0051】
また、本実施形態では、吊元側縦框33及び戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材aと上框31及び下框32に固定されるガラス外れ止め部材40bが、見込方向で位置をずらして配置される。
【0052】
これにより、縦と横で異なるガラス25の反りに応じてガラス外れ止め部材40a,40bの見込方向の位置をずらすことにより、框体30の溶融時にガラス25がガラス外れ止め部材40a,40bの応力による破損を効果的に防止できる。
【0053】
また、本実施形態では、長手方向が長い吊元側縦框33及び戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材40aの押さえ片42とガラス25の隙間よりも長手方向が短い上框31及び下框32に固定されるガラス外れ止め部材40bの押さえ片42とガラス25の隙間の方が大きくなるように、見込方向で位置をずらして保持金具41が吊元側縦框33、戸先側縦框34、上框31及び下框32のそれぞれに締結固定される。
【0054】
これにより、長手方向が長いため反り易くなっているガラス25を吊元側縦框33及び戸先側縦框34のガラス外れ止め部材40aによってしっかりと保持しつつ、火災発生時には相対的にガラス25との間の隙間が大きい上框31及び下框32に配置されるガラス外れ止め部材40bによって上下ではガラス25の反りを許容することで応力の集中を防ぎ、ガラス25の破損をより一層防止できる。
【0055】
上記実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0056】
図9は、変形例のガラス外れ止め部材240の保持金具241を示す斜視図である。
図9に示すように、保持金具241は、框体30との間に隙間を形成する台部241aと、台部241aの両側に配置される取付部241bと、を備える。両側の取付部241bのそれぞれには、見込方向に細長い締結孔241cが形成される。この締結孔241cに締結部材としてのネジ45が締結されることにより、保持金具241が框体30に固定される。台部241aは、固定された状態で框体30の見込面との間に隙間を形成する。台部241aの室内側の端部には、室内側から室外側に切り欠かれた係合孔241dが形成される。
【0057】
図10は、変形例の建具1に適用されるガラス外れ止め部材240a及びその周囲を示す拡大横断面図である。
図11は、変形例の建具に適用されるガラス外れ止め部材240b及びその周囲を示す拡大縦断面図である。なお、
図10及び
図11に示す建具1は、ガラス外れ止め部材40に関する構成以外は、上記実施形態と同様の構成である。
【0058】
図10及び
図11に示すように、ガラス外れ止め部材240a,240bは、何れもL字状のプレート部材246を框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33又は戸先側縦框34)の見込面に配置し、このL字状のプレート部材246を介した状態で保持金具241がネジ45によって框体30に締結固定される。
【0059】
図10に示すように、吊元側縦框33の見込面に固定された保持金具24の係合孔241dに押さえ片242が係合される。変形例の押さえ片242は、上記実施形態と同様の構成である。保持金具241は、上記実施形態の構成に比べて見込方向に直交する長手方向が長い形状となっており、押さえ片242も見込方向に直交する方向が長いものが用いられる。室外側ガラス25aの室外側面から保持金具241の室内側端部までの長さを距離d3とすると、距離d3は保持金具241の取付位置によって変わる。押さえ片242は保持金具241によって位置が決まるので、ガラス25と押さえ片242の位置関係は保持金具241の取付位置によって調整することができる。戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材240aも同様の方法で取付位置が設定される。
【0060】
図11に示すように、上框31の見込面に固定された保持金具24の係合孔241dに押さえ片242が係合される。室外側ガラス25aの室外側面から保持金具241の室内側端部までの長さを距離d4とすると、距離d4も保持金具241の取付位置によって変わる。下框32に固定されるガラス外れ止め部材240aも同様の方法で取付位置が設定される。
【0061】
以上説明した本変形例においても、締結孔241cにより保持金具241の取付位置を見込方向で調整することができる。例えば、上記実施形態同様に距離d3に対して距離d4が長くなるようにガラス外れ止め部材240の取付位置を設定することができる。即ち、本変形例においても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0062】
上記実施形態及び変形例では、開閉可能な障子を備える建具として縦辷り窓を例に説明したが、横辷り窓や引違い窓のような開閉可能な障子を備える建具にも本発明を適用できる。また、FIX窓のような框体の内側に窓を固定する建具に本発明を適用することができる。
【0063】
次に、
図12及び
図13を参照して上記変形例のガラス外れ止め部材240をFIX窓に適用した例について説明する。
図12は、本発明の一実施形態に係るFIX窓201に適用されるガラス外れ止め部材240及びその周囲を示す拡大横断面図である。
図13は、本発明の一実施形態に係るFIX窓201に適用されるガラス外れ止め部材240及びその周囲を示す拡大縦断面図である。
【0064】
なお、
図12及び
図13に示すFIX窓201は、上述の縦辷り窓の枠体10と基本構造が同じものを框体とし、この枠体10の内側にガラス25を固定したものである。以下の説明では、吊元側縦枠13を左右一側の縦枠13とし、戸先側縦枠14を左右他側の縦枠14として説明する。
【0065】
枠体10の室外側には、ガラス25を押さえる樹脂製の押し縁部材127が嵌合固定される。また、枠体10の室内側の見付面には、ガラス止め部材128が配置される。ガラス止め部材128は、見込方向でガラス25を挟んで押し縁部材127の反対側に位置する。例えば、
図12では、左右一側に配置される縦枠13に押し縁部材127及びガラス止め部材128が設けられる構成が示され、
図13では、下枠12に押し縁部材127及びガラス止め部材128が設けられる構成が示される。
【0066】
本変形例のFIX窓201は、枠体(框体)10を構成する縦枠(縦框)13,14及び上枠(上框)11、下枠(下框)12のそれぞれに固定されるガラス外れ止め部材240を備え、ガラス外れ止め部材240は、ガラス25の端部に見込方向一側で対面する押さえ片242と、押さえ片242を保持し、見込方向に長く形成される締結孔241cを通じてネジ45によって縦枠13,14、上枠11又は下枠12に固定される保持金具241と、を有する。
【0067】
本変形例のFIX窓201によっても、見込方向に長く形成される締結孔241cによって火災発生時に応力が集中してガラス25が破損する事態の発生を防止できる。即ち、上記実施形態や変形例と同様の効果を奏する。
【0068】
このように、上記実施形態や変形例の構成に制限されるわけではなく、框体及びガラスを備える種々の建具に本発明を適用できる。また、ガラス外れ止め部材の構成も適宜変更することができる。例えば、室内外の両方に押さえ片を有する構成や室内側にのみ押さえ片を有する構成とすることも場合によっては可能である。
【0069】
上記実施形態では、長孔として形成される締結孔41c,241cを利用して保持金具41,241の取付位置を見込方向でずらす例を説明したが、この構成に限定されない。例えば、上記実施形態の保持金具41,241の締結孔41c,241cを長孔から丸孔に変更し、上框31及び下框32に対する保持金具41のネジの締結位置と、吊元側縦框33及び戸先側縦框34に対する保持金具41のネジの締結位置と、を見込方向でずらすことにより、ガラス25に対する押さえ片42の位置を調整する構成としてもよい。このように、框体30に対する締結箇所が見込方向で異なるものの、吊元側縦框33及び戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材40と、横框である上框31又は下框32に固定されるガラス外れ止め部材40と、が見込方向で位置をずらして配置される建具を上記実施形態とは異なる方法で実現することもできる。
【0070】
また、上記実施形態で説明した上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の構成に限られず、框体の構成は適宜変更することができる。例えば、框体(上框、下框、吊元側縦框及び戸先側縦框)の見込方向室内側及び室外側の何れか一側又は両方にアルミ形材等の金属製のカバー部材を配置する構成としてもよい。