特許第6974102号(P6974102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974102
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】混合キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20211118BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B65D51/22 110
   B65D81/32 T
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-194218(P2017-194218)
(22)【出願日】2017年10月4日
(65)【公開番号】特開2019-64721(P2019-64721A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】上野 寛敏
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02569666(FR,A1)
【文献】 特開2012−245986(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0149585(US,A1)
【文献】 特開2008−114860(JP,A)
【文献】 特表2008−514514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤が充填された容器の口部に装着され、副剤を容器内へ混合可能な混合キャップであって、
該混合キャップは、外蓋と、内蓋と、開封用カッターを有する稼動部材と、充填された副剤を保持したまま密封可能な開封面を有するポーションカップを保持可能な保持空間とを有し、
前記外蓋は、前記内蓋と係合可能且つ相対的に回転可能に構成され、外蓋天面と、前記外蓋天面から下方に延びる筒状壁と、前記外蓋天面から下方に延びる、前記筒状壁より外方に形成された外蓋壁部とを有し、
前記外蓋天面には、前記外蓋天面を貫通した注出孔と、前記注出孔を開閉可能な密閉カバーが設けられ、
前記保持空間は、筒状壁の内周側に前記ポーションカップを収容可能に構成され、
前記内蓋は、前記容器口部と係合可能に構成され、頂板部と、前記頂板部から上方に延び前記外蓋壁部の内側に係合可能な筒状突起とを有し、
前記頂板部には、前記頂板部の上下を貫通し、前記容器口部と連通可能な貫通孔が設けられ、
前記稼動部材は、前記外蓋と前記内蓋との間に、前記外蓋とネジ係合可能且つ前記内蓋に対して相対的に上昇可能に構成され、
前記開封用カッターは、前記稼部材の、前記ポーションカップの前記開封面と対向する位置に設けられていることを特徴とする混合キャップ。
【請求項2】
前記稼動部材は、底面と、前記底面の周縁から上方に延びる環状壁とから構成され、
前記底面には、上下方向に貫通する混合孔と、通過孔とが設けられ、
前記開封用カッターは、前記底面から上方に向かって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の混合キャップ。
【請求項3】
前記通過孔の周方向の位置が、内容液を前記注出孔から取り出す際、少なくとも前記稼動部材の中心軸からみて前記注出孔側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の混合キャップ。
【請求項4】
前記稼動部材は、底面と、前記底面の周縁から上方に延びる環状壁とから構成され、
前記筒状壁の外周面には、稼動部材係合ネジが設けられ、
前記環状壁の内周面には、外蓋係合ネジが設けられ、
前記稼部材係合ネジと前記外蓋係合ネジとは、互いに係合可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の混合キャップ。
【請求項5】
前記開封用カッターは、前記混合孔の外周縁に沿って弧状に延在し、
前記通過孔は、前記開封用カッターおよび前記混合孔が形成された領域よりも外方に設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の混合キャップ。
【請求項6】
前記環状壁には、下方に開放したスリットが形成され、前記筒状突起の内周面には、前記スリット内を摺動可能な方向規制部を有した方向規制リブが設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の混合キャップ。
【請求項7】
前記頂板部の上面には、上方にのびる支持リブが設けられ、
前記方向規制リブおよび支持リブは、上端に支持部を有し、
前記支持部と前記筒状壁下端とは、前記ポーションカップのフランジを挟持可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の混合キャップ。
【請求項8】
前記外蓋壁部の内周面下端には、係合突起が設けられ、
前記内蓋は、前記頂板部の下面から垂下したスカート壁をさらに有し、前記スカート壁の外周面上端には、前記係合突起と係合可能なラチェットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の混合キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主剤が充填された容器の口部に装着され、副剤を容器内へ混合可能な混合キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主剤が充填された容器の口部に装着され、ポーションカップ内に充填された副剤を任意のタイミングで取り出し容器内の主剤と混合可能な混合キャップとして、容器の口部に装着可能な内蓋と、副剤を充填したポーションカップとで構成された混合キャップが特許文献1で公知である。
この特許文献1で公知の混合キャップは、円筒状に形成されたキャップ本体(第二の部材4)の半径方向中心から放射状に延びる開封用カッター(切断片42)を有し、内蓋(第二の部材4)の上部には開封面(閉塞片8)を下に向けたポーションカップ(第一の部材2)が係合しており、ポーションカップ(第一の部材2)を押し込むことで、開封用カッター(切断片42)によって開封面(閉塞片8)を切り裂き、ポーションカップ(第一の部材2)内に充填されている副剤を容器内へ落下させて主剤と混合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5893851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献で公知の混合キャップは、未だ改善の余地があった。
すなわち、ポーションカップ(第一の部材2)内の副剤を主剤と混合し終えた後、容器から液体を取り出すには、内蓋(第二の部材4)を容器口部から外す必要があり、例えば、シャンプーや調味料等の、片手で使用する頻度が高く、容器内に水や異物が入りやすい使用環境では、迅速な容器の開閉を行えない虞があった。
また、容器内の液体が高粘度原液の場合、内蓋(第二の部材4)を容器口部から外して液体を取り出す際、容器口部の外周面に液体が付着することで、内蓋(第二の部材4)を容器口部に装着しにくくなる虞があった。
【0005】
また、ポーションカップ(第一の部材2)が十分に降下する前にポーションカップ(第一の部材2)の開封面(閉塞片8)が開封され始めるため、ポーションカップ(第一の部材2)と内蓋(第二の部材4)との隙間から、開封したポーションカップ(第一の部材2)内の副剤が容器外へ漏出するおそれがあった。
また、開封前のポーションカップ(第一の部材2)の降下を制限する制限片がポーションカップ(第一の部材2)に設けられているが、制限片は円筒状の内蓋(第二の部材4)よりも半径方向外方へ突出しているため、搬送時における混合キャップの周方向の向きに注意する必要があるとともに、突出した制限片に不意に触れてしまい、開封時以外で制限片を破断してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、ポーションカップの開封面を十分に開封できるとともに、混合キャップ及び混合キャップを装着した容器の外部との密閉性を保ち、開封されたポーションカップから取り出した副剤を迅速に容器内の主剤側へ落下し混合させることができ、混合キャップを容器の口部から取り外すことなく混合後の液体を注出可能な混合キャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の混合キャップは、主剤が充填された容器の口部に装着され、副剤を容器内へ混合可能な混合キャップであって、該混合キャップは、外蓋と、内蓋と、開封用カッターを有する稼動部材と、充填された副剤を保持したまま密封可能な開封面を有するポーションカップを保持可能な保持空間とを有し、前記外蓋は、前記内蓋と係合可能且つ相対的に回転可能に構成され、外蓋天面と、前記外蓋天面から下方に延びる筒状壁と、前記外蓋天面から下方に延びる、前記筒状壁より外方に形成された外蓋壁部とを有し、前記外蓋天面には、前記外蓋天面を貫通した注出孔と、前記注出孔を開閉可能な密閉カバーが設けられ、前記保持空間は、筒状壁の内周側に前記ポーションカップを収容可能に構成され、前記内蓋は、前記容器口部と係合可能に構成され、頂板部と、前記頂板部から上方に延び前記外蓋壁部の内側に係合可能な筒状突起とを有し、前記頂板部には、前記頂板部の上下を貫通し、前記容器口部と連通可能な貫通孔が設けられ、前記稼動部材は、前記外蓋と前記内蓋との間に、前記外蓋とネジ係合可能且つ前記内蓋に対して相対的に上昇可能に構成され、前記開封用カッターは、前記稼部材の、前記ポーションカップの前記開封面と対向する位置に設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明の混合キャップによれば、該混合キャップの外蓋天面には、外蓋天面を貫通した注出孔と、注出孔を開閉可能な密閉カバーが設けられているため、混合キャップ内の副剤を主剤と混合させた後、密閉カバーを開けることで、混合キャップを容器口部から外すことなく、注出孔から容器内の液体を取り出すことができる。
また、保持空間は、筒状壁の内周側に前記ポーションカップを収容可能に構成されているため、複数の種類の副剤を使用して生産する場合でも、ポーションカップの形状が統一されていれば、生産ラインの型替えの必要なく混合キャップの生産が可能である。
さらに、既に副剤が充填されているポーションカップを保持空間内に配置するため、混合キャップの組立て作業時に副剤が他の部品に付着して汚染してしまうことを抑制できる。
また、副剤は、容器口部と連通可能な貫通孔を通るため、確実に容器内へ落下できる。
【0009】
さらに、稼動部材は、開封用カッターを有し、外蓋と内蓋との間に、外蓋とネジ係合可能且つ内蓋に対して相対的に上昇可能に構成されており、開封用カッターは、ポーションカップの開封面と対向する位置に設けられているため、外蓋を回転させて稼動部材を外蓋側へ上昇させ、開封面を開封用カッターで開口することで、容器口部の開口空間を広げることができ、容器内の液体を取り出すための流路をより大きく確保できる。
また、稼動部材と筒状壁の外周面とがネジ係合可能に構成されているため、予め開封用カッターと開封面とが触れることがない距離に互いを配置することで、振動等で使用時以外に稼動部材に設けられた開封用カッターが開封面に触れて開封することを防止できる。
【0010】
請求項2に記載の構成によれば、稼動部材は、底面と、底面の周縁から上方に延びる環状壁とから構成され、底面には、上下方向に貫通する混合孔と、通過孔とが設けられているため、開封用カッターによって開封されたポーションカップから流れ落ちてくる副剤を、混合孔を通すことによって迅速に容器内へ混合できるとともに、混合した内容液を取り出す際、通過孔を通して効率よく内容液を注出孔側へ通すことができる。
【0011】
請求項3に記載の構成によれば、通過孔の周方向の位置が、内容液を注出孔から取り出す際、少なくとも稼動部材の中心軸からみて注出孔側に位置するように構成されているため、容器口部から注出孔へ向かう液体が流れやすく短い流路を形成でき、容器内の液体をより一層効率よく取り出すことができる。
【0012】
請求項4に記載の構成によれば、稼動部材は、底面と、底面の周縁から上方に延びる環状壁とから構成され、筒状壁の外周面の稼動部材係合ネジと、環状壁の内周面の外蓋係合ネジとが互いに係合可能に構成されているため、稼動部材の環状壁の内周面を筒状壁の外周面側に密着させるように、稼動部材が外蓋に向かって上昇することで、ポーションカップに環状壁が干渉することなく、開封用カッターで開封面を確実に開口できる。
また、振動等で使用時以外に開封用カッターが開封面に触れて開封することを確実に防止できる。
【0013】
請求項5に記載の構成によれば、開封用カッターは、混合孔の外周縁に沿って弧状に延在しているため、ポーションカップの開封面の縁に沿って大きく開口できるとともに、副剤を迅速に混合孔へ流入できる。
また、通過孔は、開封用カッターおよび混合孔が形成された領域よりも外方に設けられているため、ポーションカップの開封面と稼動部材の底面とが密着した状態であっても、通過孔はポーションカップに塞がれることなく、内容液を通過孔に通すことで、確実に注出孔側へ流入でき、内容液を容器外へ取り出すことができる。
【0014】
請求項6に記載の構成によれば、環状壁には、下方に開放したスリットが形成され、筒状突起の内周面には、スリット内を摺動可能な方向規制部を有した方向規制リブが設けられているため、稼動部材は、筒状突起と周方向位置を変えることなく稼動部材を外蓋に向かって上昇でき、開封用カッターを回転させることなく開封面に確実に食い込ませて開口できるとともに、通過孔の筒状突起に対する周方向位置を、常に内容液の注出に適した位置に固定することができる。
請求項7に記載の構成によれば、頂板部の上面には、上方に延びる支持リブが設けられ、方向規制リブおよび支持リブは、上端に支持部を有し、支持部と筒状壁下端とは、ポーションカップのフランジを挟持可能に構成されているため、ポーションカップが方向規制リブおよび支持リブよりも下方に落下することを防ぐことで、振動等で使用時以外に開封用カッターが開封面に触れて開封することをより確実に防止できる。
【0015】
請求項8に記載の構成によれば、外蓋壁部の内周面下端には、係合突起が設けられ、内蓋は、頂板部の下面から垂下したスカート壁をさらに有し、スカート壁の外周面上端には、係合突起と係合可能なラチェットが設けられているため、頂板部に設けられた貫通孔が、注出孔に対して周方向均一に設けられていない場合、注出孔と貫通孔との周方向の位置が合う箇所で係合突起とラチェットが係合するように配置することで、外蓋を回転させるだけで、容器内の内容液を効率よく取り出せる向きに微調整することなく揃えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る混合キャップ100の断面図。
図2】本発明の一実施形態に係る外蓋110の断面図。
図3】本発明の一実施形態に係る外蓋110の下面図。
図4】本発明の一実施形態に係る内蓋130の断面図。
図5】本発明の一実施形態に係る内蓋130の上面図および下面図。
図6】本発明の一実施形態に係る稼動部材140の斜視図。
図7】本発明の一実施形態に係る稼動部材140の断面図。
図8】本発明の一実施形態に係る稼動部材140の上面図。
図9】本発明の一実施形態に係るポーションカップPの断面図および下面図。
図10】本発明の一実施形態に係る混合キャップ100の、副剤Sの混合手順1を示す断面図。
図11】本発明の一実施形態に係る混合キャップ100の、副剤Sの混合手順2を示す断面図。
図12】本発明の一実施形態に係る混合キャップ100の、副剤Sの混合手順3を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態に係る混合キャップ100について、図面に基づいて説明する。なお、混合キャップ100に嵌合する容器は、容器口部Bのみを図示する。
混合キャップ100は、主剤が充填された容器の口部Bに装着され、副剤Sを取り出し容器内へ混合可能なものであり、図1に示すように、外蓋110と、内蓋130と、稼動部材140と、ポーションカップPとが設けられている。
【0018】
外蓋110は内蓋130と係合可能且つ相対的に回転可能に構成され、図2および図3に示すように、外蓋天面111と、外蓋天面111から下方に延びる筒状壁115と、外蓋天面111から下方に延びる、筒状壁115より外方に形成された外蓋壁部112と、外蓋天面111から下方に延びる、筒状壁115と外蓋壁部112との間に形成された密着リング114とを有している。
外蓋天面111には、外蓋天面111を貫通した注出孔120と、注出孔120を開閉可能な密閉カバー121が設けられている。
【0019】
外蓋壁部112の下部の内周面には、弧状に形成された係合突起113が2つ形成されており、2つの係合突起113の間には、2つの切欠き部122が設けられている。
筒状壁115の内周側には、副剤Sを充填したポーションカップPを収容する保持空間119が設けられており、筒状壁115の内周面には、上下方向に延びるリブ118が形成されている。
筒状壁115の外周面には、稼動部材係合ネジ117が設けられており、筒状壁115の注出孔120形成側の下端には、下方に開放した補助スリット116が設けられている。
【0020】
内蓋130は、容器口部Bに装着可能に構成され、図4および図5に示すように、頂板部131と、頂板部131から上方に延び外蓋壁部112の内側に係合可能な筒状突起139と、頂板部131から下方に延び容器口部Bの外側に係合可能なスカート壁133とを有している。
頂板部131には、頂板部131の上下を貫通し、容器口部Bと連通可能な貫通孔132と、頂板部131から上方に延びる支持リブ135とが設けられている。
筒状突起139の内周面には、方向規制部137を有した方向規制リブ136が設けられており、支持リブ135と方向規制部137の上端には、支持部138が形成されている。
スカート壁133の上部外周面には、外周面ラチェット134が2つ形成されている。
【0021】
稼動部材140は、図6乃至図8に示すように、底面141と、底面141の周縁から上方に延びる環状壁145と、底面141を上下方向に貫通する混合孔144とが設けられている。
底面141には、底面141から上方に延びる、押上げリブ142と、押上げリブ142を囲むように円弧状に形成された開封用カッター143とがさらに設けられ、開封用カッター143の円弧の開口側には、通過孔148が形成されている。
環状壁145には、下方に開放したスリット146が設けられ、環状壁145の内周面には、筒状壁係合ネジ147が設けられている。
【0022】
ポーションカップPは、図9に示すように、下面に設けられた開封面Psが、フランジPfに接続され、ポーションカップP内を密閉している。
また、ポーションカップPの下面の概形は、円弧の両端を直線で結んだD型の形状を有している。
【0023】
次に、混合キャップ100の組み立てについて、図2乃至図10に基づいて説明する。
【0024】
まず、内蓋130の筒状突起139の内周面に沿うように、稼動部材140を挿入する。
このとき、稼動部材140のスリット146に方向規制リブ136の方向規制部137を進入させ、且つ、通過孔148に内蓋130の支持リブ135を進入させるように、稼動部材140を挿入することで、稼動部材140の底面141が内蓋130の頂板部131に接触する位置まで移動できる。
【0025】
次に、内蓋130の筒状突起139の内周面側に、ポーションカップPを挿入する。
このとき、ポーションカップPは、ポーションカップPの下面の概形を象るように配置された支持リブ135および方向規制リブ137の支持部138上に、フランジPfを乗せた位置で安定するため、内蓋130に対するポーションカップPの周方向の向きが固定される。
【0026】
次に、内蓋130の筒状突起139の外周面側に、外蓋110の外蓋壁部112を被せる。
このとき、外蓋壁部112の下方に設けられた係合突起113が、筒状突起139の下方に位置することで、内蓋130は外蓋110から抜け止めされる。
また、密着リング114の外側面が、筒状突起139の内周面に円周状に接触するため、内蓋130と外蓋110で囲まれた空間は、混合孔144以外を密閉状態にできる。
【0027】
さらに、外蓋110を内蓋130に被せると、筒状壁115の下端がフランジPfの上部を押さえ、支持リブ135と筒状壁115の下端とでフランジPfを挟持するため、ポーションカップPの位置ずれを抑えることができる。
また、外蓋110を内蓋130に被せると、外蓋110の稼動部材係合ネジ117と稼動部材140の筒状壁係合ネジ147の互いの不完全ネジ部付近が係合する。
【0028】
また、ポーションカップPの外周面は、筒状壁115の内周面に形成されたリブ118に周囲を囲まれるため、筒状壁115の内周面とポーションカップPの外周面との間の保持空間119には空隙が常に存在する。
【0029】
次に、混合キャップ100による、ポーションカップPの副剤Sと、容器内の主剤との混合手順および注出手順について、図10乃至図12に基づいて説明する。
なお、説明のため、図の容器の向きはすべて正立状態のものを使用する。
【0030】
まず、図10に示すように、容器口部Bに混合キャップ100を装着し、外蓋110を時計回りに回転させる。
外蓋110は内蓋130および稼動部材140に対して相対的に回転するため、外蓋110を回転させると、外蓋110の稼動部材係合ネジ117および稼動部材140の筒状壁係合ネジ147によって、稼動部材140が徐々に外蓋110側へ上昇し、開封用カッター143がポーションカップPの開封面Psに当接する。
【0031】
さらに外蓋110を回転させて稼動部材140を上昇させると、開封用カッター143は開封面Psに食い込み、複数の破線状の亀裂を形成し、亀裂から副剤SがポーションカップP外へ少しずつ漏れ出し、形成された流路を通って容器内へ入り始める。
このとき、稼動部材140のスリット146内に方向規制リブ136の方向規制部137が進入しているため、稼動部材140は内蓋130に対して相対的に回転することなく外蓋110側へ上昇し、開封用カッター143は開封面Psに確実に食い込むことができる。
さらに外蓋110を回転させると、図11に示すように、補助スリット116が通過孔148の直上に位置する状態で、内蓋130の外周面ラチェット134が外蓋110の係合突起113間の切欠き部122に係合し、外蓋110と内蓋130の周方向の位置が固定されるとともに、開封面Psは完全に開封され、副剤Sはすべて容器内へ入る。
【0032】
次に、副剤Sを容器内の主剤と混合した内容液Mを取り出す。
【0033】
図12に示すように、外蓋110の密閉カバー121を展開することで、外蓋天面111の注出孔120が開く。
容器を注出孔120側に傾けると、内容液Mは容器口部Bから貫通孔132を通り、混合キャップ100内へ流入する。
【0034】
混合キャップ100内は、ポーションカップPが保持空間119内に収容されており、稼動部材140の混合孔144はポーションカップPと接続されているため、混合孔144から注出孔120へ内容液Mを送り出すことはできないが、稼動部材140に設けられた通過孔148が注出孔120への流路側に開放されているとともに、リブ118によって筒状壁115の内周面とポーションカップPの外周面との間には常に空隙が存在するため、内容液Mは通過孔148を通り、筒状壁115とポーションカップPとの間の保持空間119を通って、注出孔120から混合キャップ100外へ注出することができる。
【0035】
このとき、通過孔148の直上に補助スリット116が位置していることで、通過孔148付近の流路が大きく開口しているため、内容液Mが粘性の高いものでも簡単に注出することができる。
これによって、容器口部Bから混合キャップ100を外すことなく、内容液Mを取り出すことが可能となり、内容液Mの取り出し操作が片手で簡単に操作できるとともに、内容液Mの取り出し操作中における容器内への異物の混入を抑制できる。
また、外蓋110の密着リング114が筒状突起139の内周面に密着しているため、外蓋壁部112と筒状壁115の間から内容液Mが漏れ出ることはない。
【0036】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0037】
上述した実施形態では、外蓋天面に注出孔が設けられているものとして説明したが、注出孔の形成位置はこれに限定されず、例えば、外蓋壁部に設けられていてもよい、
また、上述した実施形態では、ポーションカップを支持する支持部を有した方向規制リブおよび支持リブが設けられているものとして説明したが、ポーションカップの支持方法はこれに限定されず、例えば、開封用カッターに直接ポーションカップを支持させてもよい。
また、上述した実施形態では、稼動部材のスリットに方向規制リブの方向規制部を進入させ、且つ、通過孔に内蓋の支持リブを進入させることで、稼動部材の内蓋との相対的な回転をさせないものとして説明したが、稼動部材と内蓋との関係はこれに限定されず、例えば、方向規制リブを設けずに、通過孔に支持リブを進入させて稼動部材の内蓋との相対的な回転を防止してもよく、方向規制リブや支持リブを設けずに、稼動部材の内蓋との相対的な回転を防止しなくてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、回転させた外蓋をラチェットに切欠き部を係合させることで周方向の位置を固定していたが、外蓋の位置固定方法はこれに限定されず、例えば、ラチェットや切欠き部のような固定部がなくてもよい。
また、上述した実施形態では、内容液を注出する際に容器を傾けるものとして説明したが、内容液の注出方法はこれに限定されず、例えば、スクイズボトルを容器として、容器を押して変形させることで内容液を注出孔から注出してもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、下面の概形がD型形状のポーションカップを使用するものとして説明したが、使用するポーションカップの形状はこれに限定されず、例えば、下面の概形がO型形状や、多角形形状のポーションカップを使用し、ポーションカップを中心からオフセットして保持するようにして、容器内から液体を取り出す際に容器口部から注出孔までの液体が通過する流路を大きく確保するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
100 ・・・ 混合キャップ
110 ・・・ 外蓋
111 ・・・ 外蓋天面
112 ・・・ 外蓋壁部
113 ・・・ 係合突起
114 ・・・ 密着リング
115 ・・・ 筒状壁
116 ・・・ 補助スリット
117 ・・・ 稼動部材係合ネジ
118 ・・・ リブ
119 ・・・ 保持空間
120 ・・・ 注出孔
121 ・・・ 密閉カバー
122 ・・・ 切欠き部
130 ・・・ 内蓋
131 ・・・ 頂板部
132 ・・・ 貫通孔
133 ・・・ スカート壁
134 ・・・ 外周面ラチェット
135 ・・・ 支持リブ
136 ・・・ 方向規制リブ
137 ・・・ 方向規制部
138 ・・・ 支持部
139 ・・・ 筒状突起
140 ・・・ 稼動部材
141 ・・・ 底面
142 ・・・ 押上げリブ
143 ・・・ 開封用カッター
144 ・・・ 混合孔
145 ・・・ 環状壁
146 ・・・ スリット
147 ・・・ 筒状壁係合ネジ
148 ・・・ 通過孔
P ・・・ ポーションカップ
Pf ・・・ フランジ
Ps ・・・ 開封面
B ・・・ 容器口部
S ・・・ 副剤
M ・・・ 内容液
図1
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図3
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図5
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図12