特許第6974211号(P6974211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6974211-部品装着機 図000002
  • 特許6974211-部品装着機 図000003
  • 特許6974211-部品装着機 図000004
  • 特許6974211-部品装着機 図000005
  • 特許6974211-部品装着機 図000006
  • 特許6974211-部品装着機 図000007
  • 特許6974211-部品装着機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974211
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20211118BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H05K13/04 M
   H05K13/08 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-30610(P2018-30610)
(22)【出願日】2018年2月23日
(65)【公開番号】特開2019-145736(P2019-145736A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2020年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智広
(72)【発明者】
【氏名】篭嶋 裕之
(72)【発明者】
【氏名】深尾 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽介
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044591(JP,A)
【文献】 特開2006−351911(JP,A)
【文献】 特開平11−312898(JP,A)
【文献】 特開平10−062134(JP,A)
【文献】 特開2016−063182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬入し、位置決めし、搬出する基板搬送装置と、
供給位置で部品を供給する部品供給装置と、
昇降動作が可能であり前記供給位置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する部品装着具、前記基板に付設された位置マークを撮像する撮像部および撮像時に点灯して前記位置マークを照明する光源部をもつマークカメラ、前記部品装着具および前記マークカメラを並べて保持する装着ヘッド、ならびに、前記装着ヘッドを水平方向に駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置と、
オペレータの目視により前記部品装着具と前記供給位置との相対位置関係を調整する調整作業を実施するときに、前記撮像部の撮像視野が前記供給位置から外れた状態で前記光源部を点灯制御して、前記部品装着具および前記供給位置を照明する調整作業支援部と、
を備える部品装着機。
【請求項2】
前記調整作業支援部は、前記光源部の点灯時間を所定時間以下に規制する点灯時間規制部を含む、
請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記調整作業支援部は、前記撮像部が前記位置マークを撮像するときと比較して、前記調整作業を実施するときの前記光源部の光度を低減する調整時光度低減部を含む、
請求項1または2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記部品装着機は、前記部品を前記基板に装着する装着作業を行う稼働モード、および前記調整作業を支援する調整モードのモード選択が可能とされており、
前記調整作業支援部は、前記調整モードにおいて前記部品装着具が昇降動作しているときに前記光源部を点灯制御する動作時点灯部を含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項5】
前記部品装着機は、前記部品を前記基板に装着する装着作業を行う稼働モード、および前記調整作業を支援する調整モードのモード選択が可能とされており、
前記調整作業支援部は、前記調整モードにおいて前記光源部の点灯および消灯を前記オペレータが操作する光源スイッチを含む、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項6】
前記基板搬送装置、前記部品供給装置、および前記部品移載装置を覆うとともに覗き窓を有し、かつ、前記覗き窓の開口面積のうち前記オペレータが前記部品装着具および前記供給位置を目視するのに好適な一部を透明な材料で覆い、前記覗き窓の前記開口面積の残部を半透明の材料で覆ったカバー部材をさらに備える、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、基板に部品を装着する装着作業を実施する部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に部品を装着するための対基板作業を実施して、回路基板を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品装着機がある。部品装着機は、一般的に、基板搬送装置、部品供給装置、および部品移載装置を備える。部品供給装置は、例えば、複数のテープフィーダがパレット部材の上面に交換可能に列設されて構成される。部品移載装置は、例えば、吸着ノズルを保持する装着ヘッド、および装着ヘッドを水平方向に駆動するヘッド駆動機構などで構成される。吸着ノズルは、テープフィーダの所定の供給位置の上方から下降動作して部品に接近し、負圧を利用して部品を吸着する。
【0003】
ここで、供給位置の高さや水平方向の位置に誤差が生じる場合がある。この対策として、オペレータによる調整作業が実施される。調整作業では、実際に吸着ノズルを下降させ、吸着ノズルと供給位置との相対位置関係を目視により確認する。この調整作業は、テープフィーダと吸着ノズルの組み合わせに限定されず、様々な部品供給装置と部品装着具の組み合わせで実施される。部品の供給位置の調整に関する技術例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の部品装着機では、部品のサイズよりも小さい撮像視野をもつマークカメラを用いて供給位置の部品を複数回撮像し、複数の部分画像から部品の全体画像を合成し、全体画像上で供給位置をティーチする。これによれば、大型の部品を対象として、供給位置のティーチを簡便な方法で適正に行える、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−164908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の技術では、供給位置の水平方向の調整は行えても、高さ方向の調整は行えない。また、キャリアテープのキャビティ内を移動し得る部品については、部品がキャビティ内のどこに位置するかという傾向を把握しておくことが重要となる。このため、オペレータによる調整作業を無くすことはできない。しかしながら、部品装着機は、防塵性や安全性を高める目的でカバー部材が付設されており、内部が暗く、かつ目視できる方向が限定される。このため、調整作業は、目視による確認が難しくて作業性が低下し、長い作業時間を必要としていた。
【0007】
本明細書では、部品装着具と供給位置との相対位置関係を調整する調整作業において、目視による確認を容易にして従来よりも作業性を向上し、作業時間を短縮できる部品装着機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、基板を搬入し、位置決めし、搬出する基板搬送装置と、供給位置で部品を供給する部品供給装置と、昇降動作が可能であり前記供給位置から前記部品を採取して位置決めされた前記基板に装着する部品装着具、前記基板に付設された位置マークを撮像する撮像部および撮像時に点灯して前記位置マークを照明する光源部をもつマークカメラ、前記部品装着具および前記マークカメラを並べて保持する装着ヘッド、ならびに、前記装着ヘッドを水平方向に駆動するヘッド駆動機構を有する部品移載装置と、オペレータの目視により前記部品装着具と前記供給位置との相対位置関係を調整する調整作業を実施するときに、前記撮像部の撮像視野が前記供給位置から外れた状態で前記光源部を点灯制御して、前記部品装着具および前記供給位置を照明する調整作業支援部と、を備える部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する部品装着機によれば、オペレータの目視により部品装着具と供給位置との相対位置関係を調整する調整作業を実施するときに、マークカメラの光源部を点灯制御する。したがって、目視による確認が容易となり、従来よりも作業性が向上し、作業時間が短縮される。また、部品装着機に一般的に設けられているマークカメラの光源部を利用するので、ハードウェアのコストが増加しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の部品装着機の構成を模式的に示す平面図である。
図2】部品移載装置の装着ヘッドの近傍、およびその周りの構成を模式的に示す側面図であり、テープフィーダの供給位置の調整作業の説明図を兼ねる。
図3】カバー部材の構造を模式的に示す斜視図である。
図4】部品装着機の制御の構成を示すブロック図である。
図5】調整作業を支援する制御装置の制御フローを示す図である。
図6】第2実施形態の制御装置の制御フローを示す図である。
図7】第3実施形態の部品装着機の制御の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態の部品装着機1の構成
第1実施形態の部品装着機1について、図1図5を参考にして説明する。図1は、第1実施形態の部品装着機1の構成を模式的に示す平面図である。図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬送するX軸方向、紙面下側から紙面上側に向かう方向がY軸方向(前後方向)である。部品装着機1は、基板搬送装置2、複数のテープフィーダ3、部品移載装置4、部品カメラ5、制御装置6、およびカバー部材9などが機台10に組み付けられて構成される。
【0012】
図2は、部品移載装置4の装着ヘッド44の近傍、およびその周りの構成を模式的に示す側面図である。図2は、後述するテープフィーダ3の供給位置32の調整作業の説明図を兼ねる。図3は、カバー部材9の構造を模式的に示す斜視図である。カバー部材9は、図1では省略されている。図4は、部品装着機1の制御の構成を示すブロック図である。
【0013】
基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、22、一対のコンベアベルト、および基板クランプ機構などで構成される。コンベアベルトは、基板Kを載置した状態で、ガイドレール21、22に沿って輪転することにより、基板Kを装着実施位置まで搬入する。基板クランプ機構は、装着実施位置の基板Kを押し上げてクランプし、位置決めする。部品の装着作業が終了すると、基板クランプ機構は、基板Kを解放し、コンベアベルトは、基板Kを搬出する。
【0014】
複数のテープフィーダ3は、部品供給装置に相当する。テープフィーダ3は、機台10上のパレット部材11に刻設された複数のスロットに取り付けられて、列設される。テープフィーダ3は、本体部31の前側にテープリール39を保持する。本体部31の後側寄りの上部に、部品を供給する供給位置32が設定される。テープリール39には、多数のキャビティにそれぞれ部品を収容したキャリアテープが巻回されている。テープフィーダ3は、図略のテープ送り機構によりキャリアテープを供給位置32まで送り、順次キャビティから部品を供給する。
【0015】
部品移載装置4は、XーY座標を用いた位置制御により、部品をテープフィーダ3から基板Kへと移載する装着動作を行う。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構40、装着ヘッド44、ノズルツール45、吸着ノズル46、およびマークカメラ47などで構成される。ヘッド駆動機構40は、一対のY軸レール41、42、Y軸スライダ43、および図略の駆動モータを含んで構成される。X軸方向に長いY軸スライダ43は、両方のY軸レール41、42にまたがって装架され、Y軸方向に移動する。側面視でL形状の装着ヘッド44は、Y軸スライダ43に装架され、X軸方向に移動する。ヘッド駆動機構40は、Y軸スライダ43をY軸方向に駆動するとともに、Y軸スライダ43上の装着ヘッド44をX軸方向に駆動する。
【0016】
装着ヘッド44は、ノズルツール45およびマークカメラ47を保持する。ノズルツール45は、装着ヘッド44の前側に配置される。ノズルツール45は、部品装着具に相当する1本または複数本の吸着ノズル46を下側に有する。吸着ノズル46は、昇降駆動部461に駆動されて昇降動作する。また、吸着ノズル46は、回転駆動部462に駆動されて回転動作する。吸着ノズル46は、供給位置32の上方から下降動作し、負圧を利用して部品を吸着し、採取する。ノズルツール45のノズル保持体が複数本の吸着ノズル46を有する構成では、ノズル保持体も回転動作する。
【0017】
マークカメラ47は、装着ヘッド44の下側に設けられ、吸着ノズル46に並んで配置される。マークカメラ47は、位置決めされた基板Kに付設されている位置マークを撮像して、基板Kの正確な装着実施位置を検出する。マークカメラ47は、撮像部471、筒状ガイド472、反射鏡473、および光源部474などで構成される。撮像部471は、装着ヘッド44の下面に前向きに設けられる。筒状ガイド472は、撮像部471から前向きに設けられる。筒状ガイド472は、矩形の断面を有し、途中で下方に屈折する。反射鏡473は、筒状ガイド472の内部の屈折した位置に45°の傾斜角で設けられる。撮像部471の中心から出た光軸AXは、筒状ガイド472の内部を水平方向に向かい、反射鏡473で屈折されて下方に向かう。
【0018】
光源部474は、筒状ガイド472の屈折した下端の開口部の周囲に設けられる。光源部474は、下方に向かう比較的広い照明角度LAを有する。光源部474として、複数のLED素子を例示でき、これに限定されない。光源部474は、撮像部471の撮像動作時に点灯して、下方を照明する。光源部474は、点灯時間が長引くと、温度上昇が過大となって寿命に影響を及ぼすおそれが生じる。
【0019】
部品カメラ5は、基板搬送装置2とテープフィーダ3との間の機台10の上面に、上向きに設けられる。部品カメラ5は、装着ヘッド44がテープフィーダ3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズル46に吸着されている部品の状態を撮像して、画像データを取得する。画像データは、画像処理されて、部品の吸着姿勢の誤差や回転角のずれなどの有無がチェックされる。部品カメラ5は、撮像時に点灯する図略の光源部を有する。
【0020】
カバー部材9は、図2および図3に示されるように、部品装着機1の上側から前側にかけて配設される。カバー部材9は、基板搬送装置2、複数のテープフィーダ3の後部、および部品移載装置4を覆う。カバー部材9は、金属板に抜き加工および曲げ加工が施されたカバー本体91を用いて形成される。カバー本体91は、第1覗き窓92および第2覗き窓93を有する。第1覗き窓92は、カバー本体91の上側の前寄りから前側にかけて屈曲した形状に形成される。第2覗き窓93は、カバー本体91の前側の下部に配設される。オペレータは、カバー部材9の前側を持ち上げて開閉することができる。
【0021】
第1覗き窓92の開口面積の全部は、半透明の材料で覆われる。半透明の材料として、光透過率が20%程度の塩化ビニル板を例示できる。第1覗き窓92が半透明であることにより、マークカメラ47の光源部474や部品カメラ5の光源部が点灯したときに、部品装着機1の外部へ漏れる光が減衰する。これにより、部品装着機1の近傍にいるオペレータは、あまり眩しさを感じない。
【0022】
一方、第2覗き窓93は、透明な材料で覆われる。透明な材料として、アクリル板を例示でき、これに限定されない。第2覗き窓93は、後述するテープフィーダ3の供給位置32の調整作業の作業性を向上する目的で設けられる。つまり、第2覗き窓93は、オペレータが吸着ノズル46の下端および供給位置32を目視するのに好適な位置に設けられる。
【0023】
カバー部材9は、部品装着機1の防塵性や安全性を高める目的で付設される。カバー部材9が有ることにより、部品装着機1の内部は暗くなっている。第2覗き窓93が透明であるので、オペレータは、部品装着機1の内部を明瞭に目視できる。それでも、内部が暗いときには、目視による内部の確認は難しい。また、目視しているときにマークカメラ47の光源部474や部品カメラ5の光源部が点灯すると、オペレータは眩しさを感じる。
【0024】
制御装置6は、図1に示されるように、第2覗き窓93に近接して、機台10の前面右側に配設される。制御装置6は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置を用いて構成される。制御装置6は、予め記憶した装着シーケンスにしたがって、部品の装着作業を制御する。具体的には、制御装置6は、図4に示されるように、基板搬送装置2、テープフィーダ3、部品移載装置4のヘッド駆動機構40、昇降駆動部461、回転駆動部462、撮像部471、および光源部474、ならびに部品カメラ5を制御する。
【0025】
制御装置6は、設定部61および表示部66を有する。設定部61は、上昇スイッチ62、下降スイッチ63、およびテンキー64などで構成される。上昇スイッチ62および下降スイッチ63は、後述する調整モードで使用されるスイッチである。上昇スイッチ62および下降スイッチ63は、手動操作による吸着ノズル46の昇降動作を可能にする。また、テンキー64などにより、各種の設定操作が行われる。表示部66により、各種の情報が表示される。なお、制御装置6は、設定部61および表示部66が一体化されたタッチパネルを有してもよい。
【0026】
ここで、テープフィーダ3の個体差や取り付け姿勢の再現誤差などに起因して、供給位置32の高さや水平方向の位置に誤差が生じる場合がある。この誤差は、装着作業の信頼性を低下させるため、見過ごすことができない。したがって、オペレータの目視による供給位置32の調整作業が必要となる。オペレータは、調整作業で実際に吸着ノズル46を下降動作させ、吸着ノズル46と供給位置32との相対位置関係を目視により確認し、供給位置32の補正量を求めて設定する。
【0027】
制御装置6は、上述した調整作業を支援する。制御装置6は、モード選択部71、調整作業支援部72、および稼働制御部79を有する。モード選択部71は、オペレータの設定操作にしたがい、稼働モードおよび調整モードのモード選択を行う。稼働制御部79は、稼働モードが設定されたときに動作して、前述した装着作業の進捗を制御する。調整作業支援部72は、調整モードが設定されたときに動作する。
【0028】
換言すると、調整作業支援部72は、オペレータの目視により吸着ノズル46と供給位置32との相対位置関係を調整するときに動作する。調整作業支援部72は、撮像部471を動作させることなく光源部474を点灯制御して、吸着ノズル46および供給位置32を照明する。調整作業支援部72は、点灯時間規制部73、調整時光度低減部74、および動作時点灯部75を含む。
【0029】
点灯時間規制部73は、光源部474の点灯時間を所定時間以下に規制する。調整時光度低減部74は、撮像部471が基板Kの位置マークを撮像するときと比較して、調整作業を実施するときの光源部474の光度を低減し、低減光度とする。点灯時間規制部73および調整時光度低減部74の作用により、光源部474は、間欠的に点灯し、かつ消費電力が低減される。これにより、光源部474は、温度上昇が過大とならず、寿命を損なうことが無い。また、光源部474が低減光度とされることにより、適度の明るさが得られるとともに、眩しさが軽減される。したがって、オペレータは、目視による確認を容易にかつ正確に行える。
【0030】
動作時点灯部75は、調整モードにおいて、吸着ノズル46が昇降動作しているときに光源部474を点灯制御する。これによれば、光源部474の点灯が吸着ノズル46の昇降動作に連動する。したがって、光源スイッチを別に設けて、光源部474の点灯を操作する必要がない。点灯時間規制部73、調整時光度低減部74、および動作時点灯部75の機能については、次の動作の説明の中でも述べる。
【0031】
2.第1実施形態の部品装着機1の動作、作用、および効果
次に第1実施形態の部品装着機1の動作、作用、および効果について説明する。図5は、調整作業を支援する制御装置6の制御フローを示す図である。図5に示される制御フローは、オペレータの作業および設定操作を伴って実行される。図5のステップS1で、オペレータは、設定部61からの設定操作により、調整モードを選択する。これにより、調整作業支援部72が動作を開始する。また、上昇スイッチ62および下降スイッチ63が、使用可能な状態となる。
【0032】
次のステップS2で、調整作業支援部72は、ヘッド駆動機構40を制御して、吸着ノズル46を供給位置32の上方に移動する。次のステップS3で、調整作業支援部72は、上昇スイッチ62または下降スイッチ63の操作を待つ。オペレータは、下降スイッチ63を操作して、図2の矢印Aに示されるように、吸着ノズル46をわずかずつ下降動作させる。
【0033】
このときのステップS4で、動作時点灯部75は、光源部474を点灯制御して、オペレータの目視を支援する。調整時光度低減部74の作用により、光源部474は低減光度とされる。マークカメラ47は吸着ノズル46に並べて配置されているので、光源部474の照明角度LAの範囲内に吸着ノズル46の先端および供給位置32が位置する。光源部474の低減光度での点灯により、吸着ノズル46の先端および供給位置32は適度に照明され、目視に適した条件が整えられる。なお、撮像部471の撮像視野は、供給位置32から外れた状態となる。このため、仮に撮像部471が撮像を行っても、調整作業に有用な画像データは得られない。実際には、撮像部471は、無意味な撮像を行わない。
【0034】
この後、点灯時間規制部73は、下降スイッチ63の操作の継続に関わりなく、光源部474の低減光度での点灯を継続する。そして、点灯時間が所定時間に達すると、点灯時間規制部73は、光源部474を強制的に消灯する。なお、吸着ノズル46が下降し過ぎた場合、オペレータは、上昇スイッチ62を操作して、吸着ノズル46を上昇動作させる。上昇スイッチ62が操作されたときも、調整時光度低減部74は、光源部474を低減光度で点灯する。
【0035】
光源部474が点灯している間のステップS5で、オペレータは調整作業を実施する。詳述すると、オペレータは、下降スイッチ63を操作しながら、目視により第2覗き窓93を通して吸着ノズル46と供給位置32との相対位置関係を確認する(図2の破線矢印Bを参照)。そして、オペレータは、吸着ノズル46がちょうど供給位置32まで下降した状態を確認して、供給位置32の高さ方向の補正量を求める。あるいは、吸着ノズル46と供給位置32とが水平方向にずれている場合に、水平方向の補正量を求める。なお、高さ方向の補正量および水平方向の補正量を同時に求めることもできる。また、補正量は、制御装置6によって求められてもよく、あるいは、オペレータと制御装置6の共同作業によって求められてもよい。
【0036】
点灯時間が所定時間に達したときのステップS6で、光源部474が消灯され、調整作業が終了しているか否かが判定される。調整作業が終了しているときに、制御フローはステップS8に進められ、調整作業が終了していないときに、制御フローはステップS7に分岐される。ステップS7で、点灯時間規制部73は、光源部474を一時休止する。これにより、光源部474の温度が低下するので、寿命を損なうおそれが回避される。この後、点灯時間規制部73は、制御フローの実行をステップS3に戻す。2度目のステップS3で、オペレータは、上昇スイッチ62または下降スイッチ63を操作して、調整作業を再開する。
【0037】
調整作業が終了した後のステップS8で、オペレータは、高さ方向の補正量および水平方向の補正量の少なくとも一方に基づき、設定部61から供給位置32の補正量を設定する。設定された補正量は、昇降駆動部461の高さ制御や、ヘッド駆動機構40のXーY座標の制御に反映される。次のステップS9で、調整作業支援部72は、吸着ノズル46の吸着動作を試行する。吸着動作の試行は、稼働モードのときと同様に、実際の部品に対して実施される。
【0038】
次のステップS10で、調整作業支援部72は、吸着動作の試行結果を確認する。試行結果が良好でない場合、調整作業支援部72は、制御フローの実行をステップS3に戻す。これにより、再度の調整作業が実施される。試行結果が良好である場合、調整作業支援部72は、調整作業の支援を終了する。この後、稼働モードが選択されて、基板Kの生産が開始される。
【0039】
第1実施形態の部品装着機1によれば、オペレータの目視により吸着ノズル46(部品装着具)と供給位置32との相対位置関係を調整する調整作業を実施するときに、マークカメラ47の光源部474を点灯制御する。したがって、目視による確認が容易となり、従来よりも作業性が向上し、作業時間が短縮される。また、部品装着機1に一般的に設けられているマークカメラ47の光源部474を利用するので、ハードウェアのコストが増加しない。
【0040】
3.第2実施形態の部品装着機
次に、第2実施形態の部品装着機について、第1実施形態と異なる点を主にして説明する。第2実施形態において、調整時光度低減部74は、連続的な点灯でも寿命を損なわない程度に光源部474の光度を低減して、低減光度とする。このため、点灯時間規制部73は、省略される。図6は、第2実施形態の制御装置6の制御フローを示す図である。
【0041】
図6のステップS21で、オペレータは、調整モードを選択する。これにより、調整作業支援部72が動作を開始する。また、上昇スイッチ62および下降スイッチ63が、使用可能な状態となる。次のステップS22で、調整作業支援部72は、ヘッド駆動機構40を制御して、吸着ノズル46を供給位置32の上方に移動する。次のステップS23で、動作時点灯部75は、光源部474を点灯制御する。調整時光度低減部74の作用により、光源部474は低減光度とされる。
【0042】
光源部474の点灯が継続された状態のステップS24で、オペレータは、調整作業を最後まで実施し、前述した補正量を求める。次のステップS25で、オペレータは、供給位置32の補正量を設定する。次のステップS26で、調整作業支援部72は、吸着ノズル46の吸着動作を試行する。次のステップS27で、調整作業支援部72は、吸着動作の試行結果を確認する。試行結果が良好でない場合、調整作業支援部72は、制御フローの実行をステップS24に戻す。これにより、再度の調整作業が実施される。試行結果が良好である場合のステップS28で、動作時点灯部75は、光源部474を消灯制御して、調整作業の支援を終了する。
【0043】
第2実施形態の部品装着機でも、第1実施形態と同様、調整作業を実施するときに目視による確認が容易となり、従来よりも作業性が向上し、作業時間が短縮される。また、ハードウェアのコストが増加しない点も、第1実施形態と同様である。
【0044】
4.第3実施形態の部品装着機1A
次に、第3実施形態の部品装着機1Aについて、第1および第2実施形態と異なる点を主にして説明する。第3実施形態では、オペレータの操作により、マークカメラ47の光源部474の点灯および消灯を切り替える。図7は、第3実施形態の部品装着機1Aの制御の構成を示すブロック図である。
【0045】
図7に示されるように、第3実施形態の制御装置6Aの設定部61Aは、上昇スイッチ62、下降スイッチ63、およびテンキー64に加え、光源スイッチ65を含む。光源スイッチ65は、調整モードで使用されるスイッチである。かつ、光源スイッチ65は、マークカメラ47の光源部474の点灯および消灯をオペレータが操作するスイッチである。第3実施形態の調整作業支援部72Aは、調整時光度低減部74、および光源スイッチ65を含み、点灯時間規制部73および動作時点灯部75を含まない。
【0046】
第3実施形態において、第2実施形態と同様、調整時光度低減部74は、連続的な点灯でも寿命を損なわない程度に光源部474の光度を低減して、低減光度とする。また、第3実施形態の制御装置6Aの制御フローは、図6に示される第2実施形態の制御フローに類似する。ただし、第3実施形態では、オペレータの光源スイッチ65の操作により、ステップS23の光源部474の点灯、およびステップS27の光源部474の消灯が行われる。第3実施形態の部品装着機1Aの効果は、第1および第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0047】
5.実施形態の応用および変形
なお、部品供給装置および部品装着具は、テープフィーダ3と吸着ノズル46の組み合わせに限定されない。例えば、トレー式部品供給装置と挟持式部品装着具の組み合わせや、ダイシングフィルムを用いるダイ部品供給装置と吸着ノズル46の組み合わせでもよい。また、点灯時間規制部73および調整時光度低減部74は、必須でない。例えば、第2実施形態と逆に、点灯時間規制部73が設けられ、調整時光度低減部74が省略されてもよい。さらに、第1実施形態において、カバー部材9は、1つの覗き窓を有し、覗き窓の開口面積の一部が透明な材料で覆われ、開口面積の残部が半透明の材料で覆われてもよい。第1〜第3実施形態は、他にも様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1、1A:部品装着機 2:基板搬送装置 3:テープフィーダ 32:供給位置 4:部品移載装置 40:ヘッド駆動機構 44:装着ヘッド 46:吸着ノズル 47:マークカメラ 471:撮像部 474:光源部 5:部品カメラ 6、6A:制御装置 62:上昇スイッチ 63:下降スイッチ 65:光源スイッチ 71:モード選択部 72、72A:調整作業支援部 73:点灯時間規制部 74:調整時光度低減部 75:動作時点灯部 9:カバー部材 92:第1覗き窓 93:第2覗き窓 K:基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7