(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ネットワークを介して請求項2に記載の1つまたは複数の情報処理装置と接続し、前記情報処理装置から処理対象となる相手処理装置に関する相手データを複数取得するように構成されたデータ取得部と、
前記相手データに付加されている相手データ時刻に基づいて、前記相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理するように構成されたデータ処理部と
を備えることを特徴とするデータ処理端末。
通信ネットワークを介して請求項3に記載の1つまたは複数の情報処理装置と接続し、前記情報処理装置から処理対象となる相手処理装置に関する相手データを複数取得するように構成されたデータ取得部と、
前記相手データに付加されている基準データ時刻に基づいて、前記相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理するように構成されたデータ処理部と
を備えることを特徴とするデータ処理端末。
通信ネットワークを介して請求項4に記載の1つまたは複数の情報処理装置と接続し、前記情報処理装置から処理対象となる相手処理装置に関する相手データを複数取得するように構成されたデータ取得部と、
前記相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該相手データの基準データ時刻を、前記相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換するように構成された時刻変換部と、
得られた前記相手データ時刻に基づいて前記相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理するように構成されたデータ処理部と
を備えることを特徴とするデータ処理端末。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる情報処理装置10について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
この情報処理装置10は、全体としてサーバなどの情報処理装置(コンピュータ)からなり、VPN(Virtual Private Network)、専用線網、インターネットなどの通信ネットワークNWを介して、各相手処理装置50(51,52,…,5N:Nは1以上の整数)やデータ処理端末40との間で、各種のアプリケーション処理に用いる処理データをやり取りする機能を有している。
【0028】
情報処理装置10の具体例としては、通信ネットワークNWを介した相手処理装置50からのアクセスに応じて、各種のWebサービスを相手処理装置50に提供するサービス提供サーバがある。
相手処理装置50の具体例としては、PC、サーバ、携帯情報端末などの情報処理装置(コンピュータ)があり、それぞれの相手クロック信号に基づき相手マスタ時刻TMi(i=1,2,…,N)を計時する機能を有している。
【0029】
データ処理端末40は、PC、サーバ、携帯情報端末などの情報処理装置(コンピュータ)からなり、情報処理装置10から取得した処理データを用いて、各種アプリケーション処理を実行する機能を有している。アプリケーション処理の具体例としては、対象となる設備や施設の運用又は運転に関する時系列データ(履歴情報)をグラフ表示して監視する処理などが考えられる。
図1の例では、1つのデータ処理端末40を情報処理装置10に接続した例が示されているが、これに限定されるものではなく、複数のデータ処理端末40を情報処理装置10に接続することも可能である。また、このような各種アプリケーション処理は、相手処理装置50においても実行可能である。
【0030】
図1に示すように、情報処理装置10は、主な機能部として、時計部11、記憶部12、網I/F部13、処理DB14、および演算処理部15を備えている。
【0031】
時計部11は、一般的な公知の時計回路からなり、基準クロック信号に基づいて情報処理装置10での処理動作の基準となる基準マスタ時刻TMsを計時する機能を有している。本実施の形態にかかる基準マスタ時刻TMsは、一般的には、協定世界時(UTC)や日本標準時(JST)などの標準時と同期するよう定期的に同期処理しているが、これに限定されるものではなく、これら標準時と同期している必要はない。
【0032】
記憶部12は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での各種処理に用いるデータやプログラムを記憶する機能を有している。
網I/F部13は、通信ネットワークNWを介して相手処理装置50、さらにはデータ処理端末40との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0033】
処理DB(処理データベース)14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、相手処理装置50から取得した相手データや相手処理装置50へ提供する提供データなど、相手処理装置50が利用するアプリケーション処理で用いる各種処理データを記憶するデータベースである。
【0034】
演算処理部15は、CPUとその周辺回路を備え、記憶部12からプログラムを読み出してCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとを協働させて、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部15で実現される主な処理部として、データ受信部15A、ずれ時間計算部15B、時刻変換部15C、およびデータ処理部15Dがある。
【0035】
データ受信部15Aは、通信ネットワークNWおよび網I/F部13を介して接続された相手処理装置i(50)から、相手処理装置iで計時した相手マスタ時刻TMiに基づく相手データ時刻Hiが付与された相手データDiと、当該相手データDiを送信した相手マスタ時刻TMiに基づく相手送信時刻Siとを受信して記憶部12へ保存する機能と、基準マスタ時刻TMsに基づく相手データDiの受信時刻を示す基準受信時刻Rsを時計部11から取得し、当該相手データDiと関連付けて記憶部12に記録する機能とを有している。
【0036】
図2は、相手データと相手送信時刻を示す説明図である。
図2に示すように、相手データDiは、相手処理装置iにより、例えば1分間隔で計測された温度[℃]を示す履歴データからなり、相手マスタ時刻TMiに基づく相手データ時刻Hiがそれぞれ付与されている。以下では、相手データが1分間隔で計測された温度[℃]を示す履歴データからなる場合を例として説明するが、これに限定されるものではない。例えば、相手データが不定期な間隔を持つ時系列データであってもよく、計測されたデータではなく計算や計数して得られたデータであってもよい。
【0037】
相手送信時刻Siは、相手データDiを送信した相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiに基づく送信時刻である。これら相手データDiと相手データ時刻Hiは、1つずつ相手処理装置iから送信してもよく、複数まとめた相手データ群Giとして送信してもよい。この際、相手データ群Giに対して1つの相手送信時刻Siを送信すればよい。
【0038】
以下では、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiに関するロケールがJST(+9:00)であり、情報処理装置10の基準マスタ時刻TMsに関するロケールがUTC(0:00)である場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、TMiおよびTMsに関するタイムゾーンは、それぞれいずれのタイムゾーンであってもよい。また、一般的なロケールには、国や言語を識別する情報が含まれているが、本発明でいうロケールは、相手マスタ時刻TMiの標準時すなわちタイムゾーンを識別する標準時識別情報からなるものとする。
【0039】
ずれ時間計算部15Bは、基準マスタ時刻TMsの基準標準時と相手マスタ時刻TMiの相手標準時との差を示す相手時差Liに基づいて、記憶部12に保存されている相手データDiの相手送信時刻Siを基準マスタ時刻TMsに基づく基準送信時刻Ssに変換する機能と、当該基準送信時刻Ssと記憶部12に保存されている基準受信時刻Rsとの差分を示すずれ時間ΔTiを計算する機能とを有している。
【0040】
相手時差Liについては、Siに付与されているJSTなどのロケールに基づいて、相手処理装置iのLiを特定すればよく、ロケールに代えてUTCとの時差をSiに付与するようにしてもよい。また、予め記憶部12に、各相手処理装置iに関するロケールをそれぞれ登録しておき、ずれ時間計算部15Bが受信したDiの送信元である相手処理装置iと対応するロケールを記憶部12から取得し、得られたロケールに基づいて、相手処理装置iのLiを特定するようにしてもよい。
【0041】
時刻変換部15Cは、相手時差Liとずれ時間計算部15Bで得られたずれ時間ΔTiとに基づいて、相手データDiに付与されている相手データ時刻Hiを、基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsに変換する機能と、処理DB14に保存されている相手データDiの基準データ時刻Hsを、当該相手データDiのずれ時間ΔTiと相手時差Liとに基づいて、相手マスタ時刻TMiに基づく元の相手データ時刻Hiに変換する機能とを有している。
【0042】
データ処理部15Dは、時刻変換部15Cで得られた基準データ時刻Hsが付与された相手データDiに、ずれ時間計算部15Bで得られたずれ時間ΔTiを付与して処理DB14に保存する機能と、処理DB14に保存されている相手データDiに、時刻変換部15Cで得られた相手データ時刻Hiを付与し、網I/F部13および通信ネットワークNWを介して相手処理装置iまたはデータ処理端末40へ送信する機能とを有している。
【0043】
また、データ処理部15Dに、相手データDiを処理DB14に保存する際、基準データ時刻Hsおよびずれ時間ΔTiに加えて、相手時差Liを付加して保存する機能を設けてもよい。
相手時差Liについては、前述したように、予め記憶部12に、各相手処理装置iに関するロケールをそれぞれ登録しておけば、Di処理時に、Diの送信元である相手処理装置iと対応するロケールを記憶部12から取得し、得られたロケールに基づいて、相手処理装置iの相手時差Liを特定できるが、このようなLi特定処理が必要となる。したがって、DiにLiを付加しておけば、Diを読み出して処理する場合、Diに付加されているHs,ΔTiおよびLiに基づきHsを元の相手データ時刻Hiに極めて容易に逆変換することができる。
【0044】
また、データ処理部15Dに、相手データDiを相手処理装置iまたはデータ処理端末40や相手処理装置jなどの相手処理装置i以外の処理装置へ送信する際、Diに付加されているHsおよびΔTiとDiの相手処理装置iに関する相手時差Liを送信する機能を設けてもよい。
これにより、Diをその相手処理装置iとは異なる処理装置、例えば相手処理装置jやデータ処理端末40へ情報処理装置10から送信した場合、受信側の処理装置で、Diの相手処理装置iに関するLiを容易に特定でき、Hsを元の相手データ時刻Hiに極めて容易に逆変換することができる。
【0045】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる情報処理装置10の動作について説明する。
図3は、情報処理装置での相手データ時刻変換処理を示すフローチャートである。
演算処理部15は、相手処理装置iから相手データDiを受信した後、
図3の相手データ時刻変換処理を実行する。
【0046】
ここでは、予め時刻変換処理を実行する前に、データ受信部15Aにより、通信ネットワークNWおよび網I/F部13を介して接続された相手処理装置i(50)から受信した、相手データ時刻Hiが付与された相手データDiと当該Diの相手送信時刻Siとが記憶部12に一時保存されているとともに、時計部11から取得したDiの受信時刻を示す基準受信時刻Rsが、当該Diと関連付けて記憶部12に記録されているものとする。
【0047】
まず、ずれ時間計算部15Bは、記憶部12に一時保存されているDi、Si、およびRiを取得し(ステップS100)、基準マスタ時刻TMsに対する相手マスタ時刻TMiの時差を示す相手時差Liに基づいて、記憶部12に保存されているDiの相手送信時刻Siを、基準マスタ時刻TMsに基づく基準送信時刻Ss(=Si−Li)に変換する(ステップS101)。
【0048】
続いて、ずれ時間計算部15Bは、記憶部12に保存されているDiと関連する基準受信時刻Rsを読み出して、SsとRsとの差分を示すずれ時間ΔTi(=Ss−Rs)を計算する(ステップS102)。
【0049】
次に、時刻変換部15Cは、TMiのLiとずれ時間計算部15Bで得られたΔTiとに基づいて、Diに付与されているHiを、基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hs(=Hi−Li−ΔTi)に変換する(ステップS103)。
【0050】
この後、データ処理部15Dは、時刻変換部15Cで得られた基準データ時刻Hsとずれ時間計算部15Bで得られたずれ時間ΔTiとをDiに付与して、処理DB14に保存し(ステップS104)、一連の相手データ受信時における時刻変換処理を終了する。
【0051】
図4は、相手データ時刻変換処理例を示す説明図である。
図4には、相手処理装置iから4つの相手データDiをまとめて受信した場合における相手データ時刻変換処理例が示されている。
これら相手データDiは、相手データ時刻Hi「2017/10/25 12:34」から1分間隔で計測した4つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」,「14.1」から構成されている。また、これら相手データDiには相手送信時刻Si「2017/10/25 13:00」が付与されている。
【0052】
相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiがJSTに同期している場合、UTCと同期している情報処理装置10の基準マスタ時刻TMsとの時間差は、UTCに対するJSTの時差、すなわち+9:00となる。
このため、相手処理装置iから情報処理装置10までのデータ転送所要時間が、相手データの取得間隔と比べて十分無視できる程度に小さい場合、送信側の相手処理装置iで記録された相手送信時刻Siと、受信側の情報処理装置10で記録した基準受信時刻Rsとの時間差も、相手時差Liすなわち+9:00と等しくなる。
【0053】
したがって、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiがJSTに同期しておらず、JSTに対してずれ時間ΔTiが存在する場合、SiとRsとの時間差は、Li+ΔTiとなる。
本発明は、このようなSiおよびRsとずれ時間ΔTiとの関係に基づいて、相手マスタ時刻TMiのずれ時間ΔTiを計算し、LiとΔTiとに基づいて相手データDiに付与されている相手データ時刻Hiを、基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsに変換するようにしたものである。
【0054】
図4の例では、まず、ずれ時間計算部15Bが、相手処理装置iのLi「+9:00」をSi「2017/10/25 13:00」から減算することにより、基準送信時刻Ss「2017/10/25 04:00」を計算し(Ss=Si−Li)、データ受信部15Aが記録したDiの受信時刻を示す基準受信時刻Rs「2017/10/25 03:52」をSsから減算することにより、ずれ時間ΔTi「+0:08」を計算する(ΔTi=Ss−Rs)。
【0055】
続いて、時刻変換部15Cが、これらLiおよびΔTiに基づいて、各DiのHiからLiとΔTiを減算することにより、HiをHsに変換する(Hs=Hi−Li−ΔTi)。これにより、例えばHi「2017/10/25 12:34」は、Li「+9:00」とΔTi「+0:08」とが減算されて、Hs「2017/10/25 03:26」に変換される。
【0056】
この後、データ処理部15Dが、例えばDi「13.0」にHs「2017/10/25 03:26」とΔTi「+0:08」とを付与して、処理DB14に保存する。
したがって、処理DB14には、相手マスタ時刻TMiと基準マスタ時刻TMsとの相手時差Liに加えて、TMiとその標準時とのずれ時間ΔTiで補正された基準データ時刻Hsが、各相手データDiに付与されて保存されることになる。
【0057】
次に、
図5を参照して、本実施の形態にかかる情報処理装置10の動作について説明する。
図5は、相手データ時刻逆変換処理を示すフローチャートである。
演算処理部15は、相手処理装置iから要求やデータ処理部15Dで実行中のアプリケーション処理に応じて、処理DB14に保存されている相手データDiを相手処理装置iに送信する際、
図5の相手データ時刻逆変換処理を実行する。
【0058】
まず、時刻変換部15Cは、対象となる相手データDiと、Diに付与されている基準データ時刻Hsおよびずれ時間ΔTiとを、処理DB14から取得する(ステップS110)。
次に、時刻変換部15Cは、Diと対応する相手処理装置iの相手時差LiとΔTiをHsに加算することにより、Hsを相手マスタ時刻TMiに基づく元の相手データ時刻Hiに逆変換する(ステップS111)。
【0059】
この後、データ処理部15Dは、時刻変換部15Cで得られたHiをDiに付与し、網I/F部13および通信ネットワークNWを介して相手処理装置iへ送信し(ステップS112)、一連の相手データ時刻逆変換処理を終了する。
【0060】
図6は、相手データ時刻逆変換処理例を示す説明図である。
図6には、処理DB14に保存されている4つの相手データDiをまとめて相手処理装置iへ送信する場合における相手データ時刻逆変換処理例が示されている。
これら相手データDiは、基準データ時刻Hs「2017/10/25 03:26」から1分間隔で計測した4つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」,「14.1」から構成されている。また、これら相手データDiにはずれ時間ΔTi「+0:08」が付与されている。
【0061】
図6の例では、まず、時刻変換部15Cが、相手処理装置iのLi「+9:00」とずれ時間ΔTi「+0:08」をHsに加算することにより、Hsを相手データ時刻Hiに変換する(Hi=Hs+Li+ΔTi)。これにより、例えばHs「2017/10/25 03:26」は、Li「+9:00」とΔTi「+0:08」とが加算されて、Hi「2017/10/25 12:34」に変換される。
【0062】
この後、データ処理部15Dが、例えばDi「13.0」にHi「2017/10/25 12:34」を付与して、相手処理装置iに送信する。
したがって、相手処理装置iには、相手データDi送信時に付与した、相手マスタ時刻TMiに基づく元の相手データ時刻Hiが相手データDiに付与されて送信されることになる。
【0063】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、
図7を参照して、本実施の形態にかかる情報処理装置10の動作例について説明する。
図7は、第1の実施の形態にかかる情報処理装置の動作例を示す説明図である。
ここでは、相手処理装置iから異なるタイミングでそれぞれ3つの相手データDiをまとめて受信した場合における、情報処理装置10での相手データ時刻変換例について説明する。
【0064】
まず、相手データ時刻Hi「2017/10/25 12:34」(JST)から1分間隔で計測した3つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」を、相手処理装置iから相手データDiとしてまとめて受信したものとする。これら相手データDiには相手送信時刻Si「2017/10/25 13:00」(JST)が付与されている。
【0065】
情報処理装置10は、前述した
図3の相手データ時刻変換処理により、Siを相手時差Li「+9:00」で変換して得られた基準送信時刻Ss「2017/10/25 04:00」(UTC)と、これら相手データDiを受信した基準受信時刻Rs「2017/10/25 03:52」(UTC)とから、Diに関するずれ時間ΔTi「+0:08」を計算し、LiとΔTiとに基づいて、各DiのHiを基準データ時刻Hs(UTC)に変換し、各DiにHsとΔTiとを付与して、処理DB14に保存する。
【0066】
これにより、相手処理装置iから受信した3つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」は、基準データ時刻Hs「2017/10/25 03:26」(UTC)から1分間隔で計測したDiとして、ΔTi「+0:08」が付与されて、処理DB14に保存されることになる。
【0067】
次に、1ヶ月後、相手データ時刻Hi「2017/11/25 12:34」(JST)から1分間隔で計測した3つの温度「12.3」,「11.7」,「12.0」を、相手処理装置iから相手データDiとしてまとめて受信したものとする。これら相手データDiには相手送信時刻Si「2017/11/25 13:00」(JST)が付与されている。
【0068】
情報処理装置10は、前述した
図3の相手データ時刻変換処理により、Siを相手時差Li「+9:00」で変換して得られた基準送信時刻Ss「2017/11/25 04:00」(UTC)と、これら相手データDiを受信した基準受信時刻Rs「2017/11/25 03:51」とから、Diに関するずれ時間ΔTi「+0:09」を計算し、LiとΔTiとに基づいて、各DiのHiを基準データ時刻Hs(UTC)に変換し、各DiにHsとΔTiとを付与して、処理DB14に保存する。
【0069】
これにより、相手処理装置iから受信した3つの温度「12.3」,「11.7」,「12.0」は、基準データ時刻Hs「2017/11/25 03:25」(UTC)から1分間隔で計測したDiとして、ΔTi「+0:09」が付与されて、処理DB14に保存されることになる。
【0070】
この例では、1ヶ月間でTMiのずれ時間ΔTiが「+0:08」から「+0:09」に変化していたことになる。したがって、相手処理装置iのTMiでは、先に計測した温度から1ヶ月後の同日同時刻に計測した温度であっても、これら相手データDiの計測時刻すなわち相手データ時刻Hiに、実際には1分という誤差が含まれていたことになる。
【0071】
本実施の形態によれば、各DiのHiがそれぞれのΔTiに基づいて精度よく基準データ時刻Hsに変換される。このため、異なるタイミングで計測されたDiを、精度よく同一時間軸上に配置することができる。なお、このことは、同一の相手処理装置iに限定されるものではなく、後述する
図10に示すように、異なる相手処理装置i間であっても同様に適用できる。
【0072】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ずれ時間計算部15Bが、基準マスタ時刻TMsに対する相手マスタ時刻TMiの時差を示す相手時差Liに基づいて、相手送信時刻SiをTMsに基づく基準送信時刻Ssに変換し、当該Ssと基準受信時刻Rsとの差分を示すずれ時間ΔTiを計算し、時刻変換部15Cが、相手時差Liとずれ時間ΔTiとに基づいて、相手データDiに付与されている相手データ時刻Hiを、TMsに基づく基準データ時刻Hsに変換し、データ処理部15Dが、時刻変換部15Cで得られた基準データ時刻Hsと、ずれ時間計算部15Bで得られたΔTiとを、Diに付与して、処理DB14に保存するようにしたものである。
【0073】
これにより、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiが標準時との間にずれ時間ΔTiを持つ場合、さらには、このΔTiが時間経過とともに変動するような場合であっても、相手処理装置iから通知された相手データ時刻Hiを、情報処理装置10の基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsへ、正確に変換することができる。
このため、同一相手処理装置iから通知された異なる時刻における相手データDiや、異なる相手処理装置iから通知された相手データDiを、同一時間軸上で統一的に精度よく管理することが可能となる。したがって、これら相手データDiが示す事象の発生順序を正しく認識することができ、これら事象を正確に解析することができる。
【0074】
また、処理DB14に保存された各相手データDiには、Di送信時における、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiに関する標準時との間のずれ時間ΔTiが付与されているため、基準データ時刻Hsを逆変換することにより、元の相手データ時刻Hiを極めて容易に生成することができる。このため、相手処理装置iにおけるDiの再利用を極めて容易に実現することができる。
【0075】
[第2の実施の形態]
次に、
図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるクラウドサーバ20について説明する。
図8は、クラウド基盤の構成例である。
クラウド基盤CBは、VPN、専用線網、インターネットなどの通信ネットワークNWを介して、クラウドサービスを利用する各顧客が用いる相手処理装置50(51,52,…,5N:Nは1以上の整数)との間で、各種のアプリケーション処理に用いる処理データをやり取りすることにより、各種のクラウドサービスを相手処理装置50に提供する機能を有している。
【0076】
相手処理装置50の具体例としては、PC、サーバ、携帯情報端末などの情報処理装置(コンピュータ)があり、それぞれの相手クロック信号に基づき相手マスタ時刻TMi(i=1,2,…,N)を計時する機能を有している。
【0077】
時刻管理サーバ30は、1つの物理サーバから構成されて、クラウド基盤CBの各クラウドサーバ20で用いる基準マスタ時刻TMsを計時する機能を有している。時刻管理サーバ30は、一般的な公知の時計回路を備え、基準クロック信号に基づいて基準マスタ時刻TMsを計時する機能を有している。本実施の形態にかかる基準マスタ時刻TMsは、一般的には、協定世界時(UTC)や日本標準時(JST)などの標準時と同期しているが、これに限定されるものではなく、これら標準時と同期している必要はない。
【0078】
共通DB31は、1つの物理サーバから構成されて、通信回線Lを介して各クラウドサーバ20と接続されて、各クラウドサーバ20からの処理データを共通して保存する機能を有している。
【0079】
データ処理端末40は、PC、サーバ、携帯情報端末などの情報処理装置(コンピュータ)からなり、クラウドサーバ20から取得した処理データを用いて、各種アプリケーション処理を実行する機能を有している。アプリケーション処理の具体例としては、対象となる設備や施設の運用又は運転に関する時系列データ(履歴情報)をグラフ表示して監視する処理などが考えられる。
図8の例では、1つのデータ処理端末40をクラウドサーバ20に接続した例が示されているが、これに限定されるものではなく、複数のデータ処理端末40をクラウドサーバ20に接続することも可能である。また、このような各種アプリケーション処理は、相手処理装置50においても実行可能である。
【0080】
クラウドサーバ20は、1つまたは複数の物理サーバから構成された仮想サーバであり、通信回線Lを介して時刻管理サーバ30から取得した基準マスタ時刻TMsに基づく基準時刻情報Dsに基づいて各種のアプリケーション処理を実行することにより、予め対応付けられている1つまたは複数の相手処理装置50、さらにはデータ処理端末40に対して、予め設定されているクラウドサービスを提供する機能を有している。
【0081】
[クラウドサーバ]
次に、
図9を参照して、本実施の形態にかかるクラウドサーバ20の構成について説明する。
図9は、第2の実施の形態にかかるクラウドサーバの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、クラウドサーバ20は、主な機能部として、通信I/F部21、記憶部22、網I/F部23、処理DB24、および演算処理部25を備えている。
【0082】
第1の実施の形態にかかる情報処理装置10と比較して、時計部11が時刻管理サーバ30に相当している。このため、クラウドサーバ20には、時計部11に代えて通信I/F部21が設けられている。その他構成については、情報処理装置10と同様である。すなわち、情報処理装置10の記憶部12、網I/F部13、処理DB14、および演算処理部15が、クラウドサーバ20の記憶部22、網I/F部23、処理DB24、および演算処理部25に相当している。
【0083】
また、演算処理部25のデータ受信部15A、ずれ時間計算部15B、時刻変換部15C、およびデータ処理部15Dが、後述する演算処理部25のデータ受信部25A、ずれ時間計算部25B、時刻変換部25C、およびデータ処理部25Dに相当している。
【0084】
通信I/F部21は、通信回線Lを介して時刻管理サーバ30との間でデータ通信を行う機能を有している。
記憶部22は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部25での各種処理に用いるデータやプログラムを記憶する機能を有している。
網I/F部23は、通信ネットワークNWを介して相手処理装置50、さらにはデータ処理端末40との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0085】
処理DB(処理データベース)24は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、相手処理装置50から取得した相手データや相手処理装置50へ提供する提供データなど、相手処理装置50が利用するアプリケーション処理で用いる各種処理データを記憶するデータベースである。
【0086】
演算処理部25は、CPUとその周辺回路を備え、記憶部22からプログラムを読み出してCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとを協働させて、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部25で実現される主な処理部として、データ受信部25A、ずれ時間計算部25B、時刻変換部25C、およびデータ処理部25Dがある。
【0087】
データ受信部25Aは、通信ネットワークNWおよび網I/F部23を介して接続された相手処理装置i(50)から、相手処理装置iで計時した相手マスタ時刻TMiに基づく相手データ時刻Hiが付与された相手データDiと、当該相手データDiを送信した相手マスタ時刻TMiに基づく相手送信時刻Siとを受信して記憶部22へ保存する機能と、基準マスタ時刻TMsに基づく相手データDiの受信時刻を示す基準受信時刻Rsを、通信I/F部21および通信回線Lを介して時刻管理サーバ30から取得し、当該相手データDiと関連付けて記憶部22に記録する機能とを有している。
【0088】
ずれ時間計算部25Bは、基準マスタ時刻TMsに対する相手マスタ時刻TMiの時差を示す相手時差Liに基づいて、記憶部22に保存されている相手データDiの相手送信時刻Siを基準マスタ時刻TMsに基づく基準送信時刻Ssに変換する機能と、当該基準送信時刻Ssと記憶部22に保存されている基準受信時刻Rsとの差分を示すずれ時間ΔTiを計算する機能とを有している。
【0089】
時刻変換部25Cは、相手時差Liとずれ時間計算部25Bで得られたずれ時間ΔTiとに基づいて、相手データDiに付与されている相手データ時刻Hiを、基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsに変換する機能と、処理DB24に保存されている相手データDiの基準データ時刻Hsを、当該相手データDiのずれ時間ΔTiと相手時差Liとに基づいて、相手マスタ時刻TMiに基づく元の相手データ時刻Hiに変換する機能とを有している。
【0090】
データ処理部25Dは、時刻変換部25Cで得られた基準データ時刻Hsが付与された相手データDiに、ずれ時間計算部25Bで得られたずれ時間ΔTiを付与して処理DB24に保存する機能と、処理DB24に保存されている相手データDiに、時刻変換部25Cで得られた相手データ時刻Hiを付与し、網I/F部23および通信ネットワークNWを介して相手処理装置iへ送信する機能と、処理DB24から取得した相手データDiからなる第1の相手データと、他のクラウドサーバ20から取得した第2の相手データDj(j=1,2,…,N)とを、これら第1および第2の相手データに付与されている基準データ時刻Hsi,Hsjに基づいて、同一時間軸上に配置して処理する機能とを有している。
【0091】
また、データ処理部25Dは、処理DB24に保存されている相手データDiを共通DB31に保存する機能と、共通DB31に保存されている相手データDiを読み出して処理DB24に保存する機能と、処理DB24や共通DB31に保存されている相手データDiに対して、指定されたアプリケーション処理を実行し、アプリケーション処理で得られた処理データを処理DB24や共通DB31に保存する機能と、処理DB24や共通DB31に保存されている処理データを、網I/F部23および通信ネットワークNWを介して相手処理装置50へ通知する機能とを有している。
【0092】
この際、データ処理部25Dにより、相手データDiが共通DB31に保存される場合、基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsとずれ時間ΔTiとが付与されている状態で共通DB31に保存される。これにより、共通DB31に保存されているDiがいずれのクラウドサーバ20により読み出された場合でも、基準マスタ時刻TMsの時間軸上で統一的に精度よく配置されることになる。
【0093】
[第2の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかるクラウドサーバ20の動作について説明する。クラウドサーバ20の主な動作としては、相手データ時刻変換処理および相手データ時刻逆変換処理がある。これら動作のそれぞれについては、情報処理装置10の相手データ時刻変換処理(
図4参照)および相手データ時刻逆変換処理(
図5参照)と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。なお、相手データ時刻変換処理において、基準受信時刻Rsを取得する場合、クラウドサーバ20は、通信I/F部21および通信回線Lを介して時刻管理サーバ30から基準受信時刻Rsを取得する。
【0094】
[第2の実施の形態の動作例]
次に、
図10を参照して、本実施の形態にかかるクラウドサーバ20の動作例について説明する。
図10は、第2の実施の形態にかかるクラウドサーバの動作例を示す説明図である。
ここでは、異なる相手処理装置i,j(j=1,2,…,N)から任意のタイミングでそれぞれ3つの相手データDi,Djをまとめて受信した場合における、情報処理装置10での相手データ時刻変換例について説明する。
【0095】
まず、相手データ時刻Hi「2017/10/25 12:34」(JST)から1分間隔で計測した3つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」を、相手処理装置iから相手データDiとしてまとめて受信したものとする。これら相手データDiには相手送信時刻Si「2017/10/25 13:00」(JST)が付与されている。
【0096】
情報処理装置10は、前述した
図3の相手データ時刻変換処理により、Siを相手時差Li「+9:00」で変換して得られた基準送信時刻Ssi「2017/10/25 04:00」(UTC)と、これら相手データDiを受信した基準受信時刻Rsi「2017/10/25 03:52」(UTC)とから、Diに関するずれ時間ΔTi「+0:08」を計算し、LiとΔTiとに基づいて、各DiのHiを基準データ時刻Hsi(UTC)に変換し、各DiにHsiとΔTiとを付与して、処理DB24に保存する。
【0097】
これにより、相手処理装置iから受信した3つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」は、基準データ時刻Hsi「2017/10/25 03:26」(UTC)から1分間隔で計測したDiとして、ΔTi「+0:08」が付与されて、処理DB24に保存されることになる。
【0098】
これと前後して、相手データ時刻Hj「2017/11/24 20:34」(PST:Pacific Standard Time/太平洋沿岸標準時間)から1分間隔で計測した3つの温度「12.3」,「11.7」,「12.0」を、相手処理装置jから相手データDjとしてまとめて受信したものとする。これら相手データDjには相手送信時刻Sj「2017/11/24 21:00」(PST)が付与されている。
【0099】
情報処理装置10は、前述した
図3の相手データ時刻変換処理により、Sjを相手時差Lj「−8:00」で変換して得られた基準送信時刻Ssj「2017/11/25 04:00」(UTC)と、これら相手データDjを受信した基準受信時刻Rsj「2017/11/25 03:51」とから、Djに関するずれ時間ΔTj「+0:09」を計算し、LjとΔTjとに基づいて、各DjのHjを基準データ時刻Hsj(UTC)に変換し、各DjにHjとΔTjとを付与して、処理DB24に保存する。
【0100】
これにより、相手処理装置iから受信した3つの温度「12.3」,「11.7」,「12.0」は、基準データ時刻Hsj「2017/11/25 03:25」(UTC)から1分間隔で計測したDiとして、ΔTi「+0:09」が付与されて、処理DB24に保存されることになる。
【0101】
この例では、相手処理装置i,jのずれ時間ΔTi,ΔTjがそれぞれ異なる「+0:08」,「+0:09」であったことになる。したがって、相手処理装置iのTMiと相手処理装置jのTMjが同日同時刻を示すタイミングに計測した温度であっても、これら相手データDi,Djの計測時刻すなわち相手データ時刻Hi,Hjに、実際には1分という誤差が含まれていたことになる。
【0102】
本実施の形態によれば、DiのHiとDjのHjがそれぞれのΔTi,ΔTjに基づいて精度よく基準データ時刻Hsi,Hsjに変換される。このため、異なる相手処理装置i,jで計測されたDi,Djを、同一時間軸上に精度よく配置することができる。なお、このことは、異なる相手処理装置i,jに限定されるものではなく、前述した
図7に示したように、同一相手処理装置iであっても同様に適用できる。
【0103】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ずれ時間計算部25Bが、基準マスタ時刻TMsに対する相手マスタ時刻TMiの時差を示す相手時差Liに基づいて、相手送信時刻SiをTMsに基づく基準送信時刻Ssに変換し、当該Ssと時刻管理サーバ30から取得した基準マスタ時刻TMsで記録した基準受信時刻Rsとの差分を示すずれ時間ΔTiを計算し、時刻変換部25Cが、相手時差Liとずれ時間ΔTiとに基づいて、相手データDiに付与されている相手データ時刻Hiを、TMsに基づく基準データ時刻Hsに変換し、データ処理部25Dが、時刻変換部25Cで得られた基準データ時刻Hsと、ずれ時間計算部25Bで得られたΔTiとを、Diに付与して、処理DB24に保存するようにしたものである。
【0104】
これにより、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiが標準時との間にずれ時間ΔTiを持つ場合、さらには、このΔTiが時間経過とともに変動するような場合であっても、相手処理装置iから通知された相手データ時刻Hiを、情報処理装置10の基準マスタ時刻TMsに基づく基準データ時刻Hsへ、正確に変換することができる。
このため、同一相手処理装置iから通知された異なる時刻における相手データDiや、異なる相手処理装置iから通知された相手データDiを、同一時間軸上で統一的に精度よく管理することが可能となる。したがって、これら相手データDiが示す事象の発生順序を正しく認識することができ、これら事象を正確に解析することができる。
【0105】
また、処理DB24に保存された各相手データDiには、Di送信時における、相手処理装置iの相手マスタ時刻TMiに関する標準時との間のずれ時間ΔTiが付与されているため、基準データ時刻Hsを逆変換することにより、元の相手データ時刻Hiを極めて容易に生成することができる。このため、相手処理装置iにおけるDiの再利用を実現することができる。
【0106】
また、本実施の形態において、データ処理部25Dは、処理DB24から取得した相手データからなる第1の相手データと、他のクラウドサーバ20から取得した第2の相手データとを、これら第1および第2の相手データに付与されている基準データ時刻Hsに基づいて、同一時間軸上に配置して処理するようにしてもよい。
【0107】
これにより、相手マスタ時刻TM1〜TMNのずれ時間がそれぞれの異なる相手処理装置51〜5Nからの相手データD1〜DNを、同一クラウド基盤CBに配置された任意のクラウドサーバ20で実行するアプリケーションで、同一時間軸上で統一的に精度よく処理することができるとともに、これらD1〜DNのデータ時刻の補正処理を必要とせず、処理負担を大幅に削減することが可能となる。
【0108】
[第3の実施の形態]
次に、
図11を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるデータ処理端末40について説明する。
図11は、データ処理端末の構成例である。
第1および第2の実施の形態では、情報処理装置10またはクラウドサーバ20で保存している相手データを、データ処理端末40(または相手処理装置50)へ提供する際、情報処理装置10またはクラウドサーバ20側で、相手データに付加されている基準データ時刻を相手データ時刻に逆変換して提供する場合を例として説明した。本実施の形態では、この逆変換を、データ処理端末40(または相手処理装置50)側で実施する場合について説明する。
【0109】
データ処理端末40は、PC、サーバ、携帯情報端末などの情報処理装置(コンピュータ)からなり、第2の実施の形態にかかるクラウドサーバ20から取得した処理データを用いて、各種アプリケーション処理を実行する機能を有している。本実施の形態では、データ処理端末40が、通信ネットワークNWを介してクラウドサーバ20に接続されている場合を例として説明するが、これに限定されものではなく、第1の実施の形態で説明した情報処理装置10に接続されている場合も同様にして本実施の形態を適用できる。
【0110】
アプリケーション処理の具体例としては、対象となる設備や施設の運用又は運転に関する時系列データ(履歴情報)をグラフ表示して監視する処理などが考えられる。
図11の例では、1つのデータ処理端末40をクラウドサーバ20に接続した例が示されているが、これに限定されるものではなく、複数のデータ処理端末40をクラウドサーバ20に接続することも可能である。また、このような各種アプリケーション処理は、相手処理装置50においても実行可能である。
【0111】
[データ処理端末]
次に、
図11を参照して、本実施の形態にかかるデータ処理端末40について説明する。 データ処理端末40は、主な機能部として、通信I/F部41、操作入力部42、画面表示部43、記憶部44、および演算処理部45を備えている。
【0112】
通信I/F部41は、通信ネットワークNWを介してクラウドサーバ20との間でデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部42は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して演算処理部45へ出力する機能を有している。
【0113】
画面表示部43は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部45から出力された、メニュー画面、設定画面、各種アプリケーション画面などの各種画面を画面表示する機能を有している。
記憶部44は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部25での各種処理に用いる、例えばクラウドサーバ20から取得した相手データなどのデータやプログラムを記憶する機能を有している。
【0114】
演算処理部45は、CPUとその周辺回路を備え、記憶部44からプログラムを読み出してCPUで実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとを協働させて、各種の処理部を実現する機能を有している。
演算処理部45で実現される主な処理部として、データ取得部45A、時刻変換部45B、およびデータ処理部45Cがある。
【0115】
データ取得部45Aは、通信ネットワークを介して1つまたは複数のクラウドサーバ20(または情報処理装置10)と接続し、クラウドサーバ20から処理対象となる相手処理装置に関する相手データを複数取得する機能と、互いに異なる相手時差を有する第1および第2の相手処理装置に関する第1および第2の相手データをクラウドサーバ20からそれぞれ取得する機能とを有している。この際、相手データを取得するクラウドサーバ20は、クラウド基盤CBに配置された任意のクラウドサーバ20であり、第1および第2の相手データは、1つのクラウドサーバ20から取得してもよく、異なる複数のクラウドサーバ20から取得してもよい。また、同一相手処理装置の相手データを異なる複数のクラウドサーバ20から取得してもよい。
【0116】
時刻変換部45Bは、データ取得部45Aで取得した相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該相手データの基準データ時刻を、相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換する機能と、データ取得部45Aで取得した第1の相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該第1の相手データの基準データ時刻を、第1の相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換するとともに、第2の相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該第2の相手データの基準データ時刻を、第2の相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換する機能とを有している。
【0117】
データ処理部45Cは、時刻変換部45Bで得られた相手データ時刻に基づいて相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理する機能と、時刻変換部45Bで得られた第1および第2の相手データ時刻に基づいて第1および第2の相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理する機能とを有している。
【0118】
[第3の実施の形態の動作]
次に、
図12を参照して、本実施の形態にかかるデータ処理端末40の動作について説明する。
図12は、データ処理端末での相手データ時刻逆変換処理を示すフローチャートである。
演算処理部45は、オペレータの指示操作に応じて、クラウドサーバ20から、互いに異なる相手時差Li,Ljを有する相手処理装置i,jに関する相手データDi,Djを、同一時間軸上に配置して処理する場合、
図12の相手データ時刻逆変換処理を実行する。ここでは、Di,Djをクラウドサーバ20から取得する場合を例として説明するが、情報処理装置10も同様にして本実施の形態を適用できる。なお、同一相手処理装置に関する相手データ時刻逆変換処理についても
図12と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0119】
まず、データ取得部45Aは、通信I/F部41および通信ネットワークNWを介してクラウドサーバ20から、相手処理装置iのDiと、Diに付加されている基準データ時刻Hsiおよびずれ時間ΔTiと、相手処理装置iの相手時差Liを取得して、記憶部44に保存するとともに(ステップS200)、相手処理装置jのDjと、Djに付加されている基準データ時刻Hsjおよびずれ時間ΔTjと、相手処理装置jの相手時差Ljを取得して、記憶部44に保存する(ステップS201)。これらLi,Ljは、Di,Djに付加されているものであってもよい。
【0120】
次に、時刻変換部45Bは、記憶部44に保存されている、DiのΔTiとLiに基づいて、DiのHsiを、相手処理装置iの相手マスタ時刻Msiに基づく元の相手データ時刻Hiに逆変換するとともに(ステップS202)、DjのΔTjとLjに基づいて、DjのHsjを、相手処理装置iの相手マスタ時刻Msjに基づく元の相手データ時刻Hjに逆変換する(ステップS203)。
【0121】
この後、データ処理部45Cは、時刻変換部45Bで得られたHi,Hjに基づいて、Di,Djを同一時間軸に配置して、指定されたアプリケーション処理を実行し(ステップS204)、一連の相手データ時刻変換処理を終了する。
【0122】
[第3の実施の形態にかかる動作例]
次に、
図13を参照して、本実施の形態にかかるデータ処理端末40の動作例について説明する。
図13は、第3の実施の形態にかかるデータ処理端末の動作例を示す説明図である。
【0123】
異なるタイムゾーンに位置する2つの工場A,B間で設備の稼働状況を比較する際、それぞれの現地時刻を基準とした時系列データを、同一時間軸上で比較する必要がある。したがって、設備の稼働を比較する対象時刻Htがそれぞれの現地時間で「2017/10/25 12:34」である場合、工場A,Bに関する現地時間「2017/10/25 12:34」からの時系列データをクラウドサーバ20から取得することになる。
【0124】
この場合、対象時刻Htと、工場A,Bに関する時系列データをクラウドサーバ20にアップロードする相手処理装置i,jとを指定した、データ取得要求をデータ処理端末40からクラウドサーバ20へ通知し、クラウドサーバ20のデータ処理部25Dが、データ取得要求で相手処理装置i,jの相手データDi,Djのうち、指定されたHtと対応する基準データ時刻Hsi,Hsjが付加された対象相手データDi,Djを処理DB14から取得して返送すればよい。
【0125】
Hsi,Hsjについては、前述した
図3の相手データ時刻変換処理と同様にして、Htから計算できる。相手処理装置iの相手時差Liが「+9:00」(JST)である場合、基準データ時刻Hsiが「2017/10/25 03:26」でずれ時間ΔTiが「+0:08」であるDiが、Ht「2017/10/25 12:34」と対応する時系列データとなる。また、相手処理装置jの相手時差Ljが「−8:00」(PST)である場合、基準データ時刻Hsjが「2017/10/25 20:25」でずれ時間ΔTjが「+0:09」であるDjが、Htと対応する時系列データとなる。
【0126】
このようにして、Htと対応する相手データDi,Djを取得した後、データ処理端末40の時刻変換部45Bは、Di,Djに付加されているHsi,HsjおよびΔTi,Tjと、相手処理装置i,jのLi,Ljとに基づいて、相手処理装置i,jの相手マスタ時刻Mi,Mjに基づく元の相手データ時刻Hi,Hjに逆変換する。Hi,Hjについては、前述した
図5の相手データ時刻逆変換処理と同様にして、Hsi,Hsjから計算できる。
【0127】
図13の例では、Htから1分間隔で合計3つの相手データDi,Djを取得している。このため、相手処理装置iの時系列データとして、Hi「2017/10/25 12:34」(JST)から1分間隔で計測した3つの温度「13.0」,「13.4」,「14.0」が得られる。また、相手処理装置jの時系列データとして、Hj「2017/10/25 12:34」(PST)から1分間隔で計測した3つの温度「12.3」,「11.7」,「12.0」が得られる。
【0128】
この後、データ処理部45Cは、これらDi,Djを、それぞれの現地時刻を示す同一時間軸上にプロットしたグラフを画面表示部43で画面表示する。
これにより、工場A,Bに関する現地時間「2017/10/25 12:34」からの時系列データを、同一時間軸上で比較することができる。このため、時差が存在する工場A,B間であっても、設備の稼働開始からの稼働状況がどのように変化しているかを容易に比較することができる。
【0129】
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、データ処理端末40において、時刻変換部45Bが、相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該相手データの基準データ時刻を、相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換し、データ処理部45Cが、得られた相手データ時刻に基づいて相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理するようにしたものである。
【0130】
また、時刻変換部45Bが、第1の相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該第1の相手データの基準データ時刻を、第1の相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換するとともに、第2の相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、当該第2の相手データの基準データ時刻を、第2の相手処理装置の相手マスタ時刻に基づく元の相手データ時刻に逆変換し、データ処理部45Cが、得られた第1および第2の相手データ時刻に基づいて第1および第2の相手データのそれぞれを同一時間軸上に配置して処理するようにしたものである。
【0131】
これにより、相手データに関する時刻が基準データ時刻であっても、データ処理端末40側で、元の相手データ時刻に逆変換することができる。したがって、相手データ提供時におけるクラウドサーバ20(または情報処理装置10)での逆変換処理を省くことができ、クラウドサーバ20(または情報処理装置10)の処理負担を軽減できる。
【0132】
また、本実施の形態では、受信した相手データに付加されているずれ時間と相手時差情報とに基づいて、基準データ時刻を相手データ時刻に逆変換した後、相手データ時刻に基づいて同一時間軸上で処理する場合を例として説明したが、データ処理端末40における処理ついては、これに限定されるものではない。
例えば、受信した相手データに基準データ時刻が付加されていれば、その基準データ時刻に基づいて同一時間軸上で処理すればよく、受信した相手データに相手データ時刻が付加されていれば、その相手データ時刻に基づいて同一時間軸上で処理してもよい。
【0133】
この際、相手データは、同一相手処理装置の相手データを同一時間軸上で処理してもよく、異なる相手処理装置の相手データを同一時間軸上で処理してもよい。また、これら相手データは、1つのクラウドサーバ20から取得してもよく、異なる複数のクラウドサーバ20から取得してもよい。
【0134】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。