(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の操舵および車速の少なくとも1つを自動的に制御する自動運転機能を搭載した車両上で、自動運転に関連する情報を前記車両の運転者に提示する情報提示部を含む車載システムであって、
無線通信が可能な所定の携帯端末を接続可能な通話管理部を備え、
前記通話管理部は、前記情報提示部が自動運転に関連する情報を提示する状況を検知した場合に、前記携帯端末の動作を自動的に制限する、
ことを特徴とする車載システム。
前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、自車両が前記第1状態に到達するよりも少なくとも一定時間又は一定距離以上手前の第2状態のタイミングにおいて、前記携帯端末の動作制限に関する予告情報を提示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載システム。
前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、自車両が前記第1状態に到達するまでの残り時間又は距離の大小に応じて、前記携帯端末の動作制限の程度を自動的に切り替える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載システム。
前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限する場合、又は前記制限が予想される場合に、前記携帯端末との間で通信している他の端末に対して、前記制限に関連する情報を自動的に送出する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車載システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動車の製造業においては、特許文献3のような自動ブレーキ装置以外にも、運転操作の一部分を自動化する技術や、ほとんど全ての運転操作を乗員の代わりにコンピュータを含むシステムが自動的に実施する自動運転の技術開発が進められている。
【0007】
ところで、自動運転システムを搭載した車両が自動運転で走行しているときには、システムが十分に対応しきれない状況に遭遇する場合がある。したがって、そのような状況では例えば自動運転モードから手動運転モードにハンドオーバ(H/O)して、運転者の判断および運転操作により車両の運転を継続するか、それができなければ車両を自動停止することが想定される。また、運転者の補助を全く必要としない自動運転モードから、運転者の補助を必要とする自動運転モードへのハンドオーバが行われる場合もある。
【0008】
上記のようなハンドオーバを実施する際には、システムが例えば「手動運転に切り替えて下さい」のような重要なメッセージを表示や音声などにより提示して、ハンドオーバが必要な状態であることを運転者に知らせることになる。そして、運転者が手動運転の操作を開始すると、実際にハンドオーバが実行されて手動運転モードなどに遷移する。
【0009】
ここで、自動運転モードから手動運転モードへのハンドオーバを円滑に実施するためには、実際にハンドオーバが発生する前に、システムが運転者に対して何らかの注意喚起を行い、運転者がハンドオーバの準備をしておくように促すことが必要になる。つまり、ハンドオーバの要求が突然発生しないように、ハンドオーバの可能性を事前に運転者に知らせることも必要である。そこで、道路状況などの予測に基づいて、実際にハンドオーバ要求が発生する前に、例えば「自動運転終了まで後1分」のような注意喚起をシステムが運転者に行い、運転者がハンドオーバの準備をしておくように促すことが想定される。
【0010】
また、車両側のシステムから運転者へ情報伝達する必要があるのは、上記のハンドオーバの場合に限らない。例えば、車両の運転中に特許文献3のような自動ブレーキ装置が作動した場合には、運転者が現在の自車両の状況を素早く把握できるように、例えば自動ブレーキ装置が作動したことを表すメッセージをシステムから運転者へ情報伝達することが望ましい。これにより、運転者が突然の急減速に慌てることがなくなり、運転の安全性を確保できる。
【0011】
一方、車両側のシステムから運転者への情報伝達に失敗する可能性も考えられる。このような失敗は、上記のような円滑なハンドオーバの妨げになったり、ハンドオーバする必要があるにもかかわらず、それができない状況の発生に繋がる。このような情報伝達失敗の要因の1つとして、携帯電話をはじめとする様々な端末の運転中利用が想定される。
【0012】
例えば、運転者が携帯電話による音声通話や電子メールのやり取りに夢中になっているような状況では、システムが発生したハンドオーバ要求のメッセージやその予告、自動ブレーキ作動のメッセージなどを運転者が見落とす可能性が高くなる。その結果、車両運転時における安全性の確保が困難になる。
【0013】
そのため、例えば特許文献1や特許文献2の技術を採用し、携帯電話などの使用を制限することが考えられる。しかし、特許文献1の技術を採用する場合は、車両の運転中に携帯電話の電波が遮断されるので、運転中は携帯電話を全く利用できない状況になる。つまり、比較的安全に通話が可能なハンズフリー通話機能を搭載した車両であっても、その機能を利用できないのでユーザの利便性の悪化は避けられない。
【0014】
また、特許文献2の技術を採用する場合には、使用禁止条件が満たされたときに、携帯電話等の利用が突然制限されることになる。そのため、運転者が状況の把握に混乱する状態になると考えられる。更に、通話相手においても突然の機能制限により混乱が生じる。したがって、車両の運転時における安全の確保が困難になり、利便性も低下する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両運転時の安全性を確保すると共に、車両上における携帯電話の利用などに関する利便性の低下を抑制可能な車載システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載システムは、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 車両の操舵および車速の少なくとも1つを自動的に制御する自動運転機能を搭載した車両上で、自動運転に関連する情報を前記車両の運転者に提示する情報提示部を含む車載システムであって、
無線通信が可能な所定の携帯端末を接続可能な通話管理部を備え、
前記通話管理部は、前記情報提示部が自動運転に関連する情報を提示する状況を検知した場合に、前記携帯端末の動作を自動的に制限する、
ことを特徴とする車載システム。
【0016】
上記(1)の構成の車載システムによれば、例えばハンドオーバが必要な状況や、自動ブレーキが作動した状況などにおいて、前記情報提示部が自動運転に関連する情報を提示する時に、前記携帯端末の動作が制限される。これにより、前記情報提示部が提示する重要なメッセージを運転者が見落とすのを避けることができ、運転の安全性を確保できる。また、運転者は前記情報提示部が提示するメッセージにより状況を把握できるので、状況の把握に混乱が生じることもない。また、前記情報提示部が自動運転に関連する情報を提示する時以外は、車両の運転中であっても携帯電話等の利用が可能であるので、ユーザの利便性の低下を避けることができる。
【0017】
(2) 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、前記車両が前記第1状態に到達するよりも少なくとも一定時間又は一定距離以上手前の第2状態のタイミングにおいて、前記携帯端末の動作制限に関する予告情報を提示する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載システム。
【0018】
上記(2)の構成の車載システムによれば、例えばハンドオーバ要求の発生が予想される場合に、その予想に対して時間的に余裕のある前記第2状態のタイミングで、運転者に対してメッセージを提示できる。これにより、運転者は余裕を持ってハンドオーバの準備をすることができ、円滑なハンドオーバが可能になる。
【0019】
(3) 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、前記車両が前記第1状態に到達するまでの残り時間又は距離の大小に応じて、前記携帯端末の動作制限の程度を自動的に切り替える、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の車載システム。
【0020】
上記(3)の構成の車載システムによれば、前記携帯端末の動作を段階的に制限できるので、突然の動作制限を防止し、運転者の混乱を避けることができる。
【0021】
(4) 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限する場合、又は前記制限が予想される場合に、前記携帯端末との間で通信している他の端末に対して、前記制限に関連する情報を自動的に送出する、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の車載システム。
【0022】
上記(4)の構成の車載システムによれば、自車両の運転者との間で通話又は通信をしている相手に対して、通信制限に関するメッセージを自動的に通知できる。したがって、通信制限の際に通信相手が混乱することがなくなり、通信制限中に通信相手が電話をかけ直すような無駄な動作も避けることができる。
【0023】
(5) 前記通話管理部は、前記制限に関連する情報を送出する処理が完了した後で、前記携帯端末と他の端末との間の通信制限を実行する、
ことを特徴とする上記(4)に記載の車載システム。
【0024】
上記(5)の構成の車載システムによれば、自車両の運転者との間で通話又は通信をしている相手に対して通信制限に関するメッセージを確実に通知できるので、通信制限の場合であっても状況の把握が容易になり、利用者の利便性の低下を避けることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車載システムによれば、車両運転時の安全性を確保すると共に、車両上における携帯電話の利用などに関する利便性の低下を抑制できる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0029】
<車載システムの主要部の構成例>
車載システム100の主要部の構成例を
図1に示す。この車載システム100は、自動車を自動運転するための機能と、自動運転に関連する情報を運転者に対して提示する機能と、携帯電話端末30のハンズフリー通話を管理するための機能とを含んでいる。
【0030】
図1に示した車載システムは、自動車を自動運転するために必要な構成要素として、自動運転制御部10、無線通信機器11、道路地図データベース(DB)12、位置検出部13、車載カメラ14、レーダ15、アクセル制御部16、ブレーキ制御部17、および操舵制御部18を備えている。
【0031】
無線通信機器11は、無線通信により車両外部の所定のサーバと接続することにより、自車両が現在走行している道路の進行方向前方の各地点における天候の情報や交通情報などを取得することができる。無線通信機器11が取得した天候の情報や交通情報などが、入力情報SG11として自動運転制御部10に入力される。
【0032】
道路地図データベース12は、自車両が現在走行している道路を含む広範囲の道路地図や、この道路に関連する様々な情報を予め蓄積し保持している。道路地図データベース12が保持している地図などの情報が入力情報SG12として自動運転制御部10に入力される。
【0033】
位置検出部13は、例えばGPS(Global Positioning System)の衛星などの電波を受信して利用することにより、自車両の現在位置を表す最新の位置情報を算出することができる。この位置情報が、入力情報SG13として自動運転制御部10に入力される。
【0034】
車載カメラ14は、自車両の進行方向前方、後方、側方などの周辺のそれぞれの状況を表す映像を撮影し、映像信号を出力することができる。この映像信号が入力情報SG14として自動運転制御部10に入力される。
【0035】
レーダ15は、例えばミリ波などの電波を用いた探知機能により、先行車両などの障害物の有無や、先行車両と自車両との車間距離などを検出することができる。レーダ15の検出した情報が、入力情報SG15として自動運転制御部10に入力される。
【0036】
アクセル制御部16は、自車両のアクセル開度を自動的に調整するために必要な電気的に制御可能なアクチュエータを備えている。自動運転制御部10が出力する制御命令SG16に従って、アクセル制御部16はアクセル開度を調整できる。
【0037】
ブレーキ制御部17は、自車両のブレーキ機構に連結された電気的に制御可能なアクチュエータを備えている。自動運転制御部10が出力する制御命令SG17に従って、ブレーキ制御部17は自車両のブレーキのオンオフや制動力を制御できる。
【0038】
操舵制御部18は、自車両の操舵機構に連結された電気的に制御可能なアクチュエータを備えている。自動運転制御部10が出力する制御命令SG18に従って、操舵制御部18は自車両の操舵機構を動かしたり、運転者の操舵力を補助するための助勢トルクを発生することができる。
【0039】
自動運転制御部10は、自動車の自動運転の制御を行うための電子制御ユニット(ECU)であって、例えば日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が規定している自動化レベルのレベル2(LV2)やレベル3(LV3)の自動運転に対応する機能を搭載している。更に、一般的な自動運転機能の他に、緊急システムとして、プリクラッシュセーフティシステムのブレーキ制御を行う機能も自動運転制御部10に搭載されている。
【0040】
プリクラッシュセーフティシステムは、ミリ波のレーダ15及び車載カメラ14から得られる物体情報(距離、方位及び相対速度等)に基づいて自車両が物体に衝突する可能性を判別し、自車両が物体に衝突する可能性が高いと判定した場合に自車両に自動的にブレーキをかける。
【0041】
自動運転機能のレベル2では、車両の加速、操舵、制動のうち複数の操作をシステムが自動的に実施する。但し、レベル2では、運転者は常時、運転状況を監視して必要に応じて運転操作を実施する必要がある。
【0042】
一方、レベル3では、車両の加速、操舵、制動の制御を全てシステムが実施するので、通常は運転者は運転の状況を監視するだけでよい。また、必ずしも運転者が状況を監視する必要はない。但し、レベル3の場合であっても、緊急時やシステムの精度が低下する場合にシステムが要請したときは、この要請に運転者が応じる必要がある。つまり、運転の責任をシステムから運転者の手動操作にハンドオーバして、レベル3からそれよりも自動化率の低いレベル2などに移行する必要がある。また、同じレベル内でも、自車両の自動運転中に、ステアリングホイールに手を添える、運転者が監視義務を負う、ウィンカー操作を起点とした車線変更の開始、システムの判断に対する運転者の承認などの運転者の補助が不要な走行状態から、これらのいずれかの補助が必要な走行状態に移行する場合もある。つまり、運転制御が自動で実行される第1状態から、当該第1状態よりも運転者による運転制御への関与の度合いが大きい第2状態に移行する場合がある。
【0043】
自動運転制御部10は、制御命令SG16を利用してアクセル制御部16に指示を与えることにより自車両の加速制御を行うことができる。また、自動運転制御部10は、制御命令SG17を利用してブレーキ制御部17に指示を与えることにより自車両の制動制御を行うことができる。また、自動運転制御部10は制御命令SG18を利用して操舵制御部18に指示を与えることにより、自車両の操舵制御を行うことができる。
【0044】
また、自動運転制御部10は車載カメラ14の映像を解析することにより、走行レーン境界の各白線や自車両の左右方向の位置を把握して、左右方向の適切な自車両の位置を算出したり、前方の道路のカーブの状況などを把握できる。したがって、自動運転制御部10は例えば自車両が道路上の走行レーンの中央位置を走行するように自動的に制御する車線維持補助機能を実現できる。
【0045】
また、自動運転制御部10は車載カメラ14の映像を解析した結果や、レーダ15が検出した先行車両の位置や距離情報に基づいて、例えば先行車両と自車両との間の車間距離が安全な範囲内に維持されるように加速及び減速を自動的に実施することができる。つまり、ACC(Adaptive Cruse Control System)を実現できる。
【0046】
また、自動運転制御部10は、事前に定めた目標地点、位置検出部13が検出した現在位置、道路地図データベース12の道路地図、無線通信機器11が取得した交通情報などに基づいて、自車両が走行すべき道路上の適切な走行経路を算出したり、この先の道路状況の変化を予測することができる。また、車載カメラ14の実際の映像の解析結果を反映することにより、予測精度を上げることもできる。
【0047】
また、自動運転制御部10は、運転者のスイッチ操作等により発生する自動/手動切替指示を受け付けて、あるいは運転者による手動運転操作の開始を検知することにより、レベル3からそれよりも自動化率の低いレベル2などに移行するためのハンドオーバを実施することができる。
【0048】
また、自動運転制御部10は、車載カメラ14の映像の解析結果や、レーダ15が検出した距離情報などに基づいて、安全の確保が難しい状況を検出することができる。例えば、自車両とその近傍に存在する他車両とが接触する可能性のある時刻までの残り時間TTC(Time To Collision)等に基づいて時間余裕を把握することにより、安全の確保が難しいような状況を検出できる。時間TTCは、例えば次式により算出できる。
TTC=(自車両と対象物との間の距離)/(相対速度)
【0049】
したがって、自動運転制御部10は、安全の確保が難しい状況を検知した場合には、ハンドオーバの要求を表す信号を通知情報SG10として出力する。また、この通知情報SG10は、予想した事象の種類を表す情報や、プリクラッシュセーフティシステムのブレーキ作動を表す通知を含む場合もある。この通知情報SG10が情報入出力制御部20に入力される。
【0050】
情報入出力制御部20は、自動運転時に必要な情報を運転者に対して提示する機能や、携帯電話端末30のハンズフリー通話に関する機能を実現するための制御を行う電子制御ユニット(ECU)である。なお、
図1に示した自動運転制御部10と情報入出力制御部20とを一体化してもよい。
【0051】
携帯電話端末30は、運転者等のユーザが自身の所有物を必要に応じて自車両内に持ち込んで使用するものである。また、自車両の運転中であっても安全な通話ができるように、ハンズフリー通話の機能をこの車載システム100が携帯電話端末30に対して提供する。そのため、携帯電話端末30は通話管理部28を介して情報入出力制御部20と接続される。また、情報入出力制御部20と通話管理部28との間は有線で接続されており、通話管理部28と携帯電話端末30との間は例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などを用いて無線接続される。
【0052】
ハンズフリー通話の機能を利用する場合には、マイク26から入力した音声情報SG21を携帯電話端末30で相手端末に送信することができる。また、操作部27に備わっているタッチパネルやスイッチを用いて、携帯電話端末30の遠隔操作を行うことができる。また、携帯電話端末30が通話の際に受信した音声情報や着信音などを、音/音声出力デバイス23のスピーカから音として出力することができる。
【0053】
通話管理部28は、携帯電話端末30でハンズフリー通話を行う場合に、携帯電話端末30の無線接続、電話の発信、電話の着信、通話、電話回線の切断などを行う機能を有している。本実施形態の情報入出力制御部20は、携帯電話端末30がハンズフリー通話を利用する場合に、自動運転制御部10および通話管理部28と連携することにより、運転の安全性を確保した状態で、通話機能をユーザに提供することができる。
【0054】
表示出力デバイス21は、例えば車両に搭載されているメータユニットやセンターディスプレイのように、この車両を運転席で運転している乗員が容易に視認可能な位置に配置されている表示機器に相当する。
【0055】
照明出力デバイス22は、車両に搭載されている室内の各種照明機器に相当する。音/音声出力デバイス23は、オーディオ装置などを含めた各種の聴覚出力機器に相当する。振動出力デバイス24は、電気的な制御により機械振動を発生することが可能なデバイスである。運転者が運転中に触覚などとして振動を認識できるように、振動出力デバイス24は運転席の着座部位や、ステアリングホイールに装着又は連結される。
【0056】
匂い出力デバイス25は、電気的な制御により車室内に特定の匂いを発生させることが可能なデバイスである。この匂い出力デバイス25は、例えばカーエアコンの内部に装備され、芳香剤を噴霧したりその匂いを送風によって車室内の空間に広げることができる。
【0057】
情報入出力制御部20は、例えば自動運転制御部10から入力される通知情報SG10に応じて、表示出力デバイス21、照明出力デバイス22、音/音声出力デバイス23、振動出力デバイス24、および匂い出力デバイス25のいずれか1つを選択し、あるいは複数を組み合わせて必要な情報を運転者に対して提示することができる。必要に応じて様々な種類の出力デバイスを使い分けることにより、情報入出力制御部20は様々な種類の形態で情報を提示したり、情報提示の強度を調節することができる。
【0058】
<通話管理のための作動パターンの例>
車載システム100の作動パターンを規定するテーブルの構成例を
図2に示す。すなわち、自車両の運転の安全性を確保するために、例えば情報入出力制御部20が、
図2のテーブルで規定された作動パターンに従って、携帯電話端末30のハンズフリー通話を制御する。
【0059】
図2に示したテーブルにおいては、イベントが発生する前の元の状態と、発生したイベントの種類との組合せに応じた作動内容が規定されている。この例では、元の状態として、電話着信/発信中、電話通話中、ハンドオーバ通知中、およびプリクラッシュセーフティシステム通知中の4種類があり、発生するイベントの種類としてハンドオーバ予告通知、ハンドオーバ通知(要求)、プリクラッシュセーフティシステム通知、および電話着信の4種類がある。
【0060】
イベントが発生する前の元の状態は情報入出力制御部20により管理される。また、ハンドオーバ予告通知、ハンドオーバ通知、およびプリクラッシュセーフティシステム通知は、通知情報SG10として自動運転制御部10から情報入出力制御部20に通知される。電話着信のイベントは、通信制御情報SG23により通話管理部28から情報入出力制御部20に通知される。
【0061】
図2に示したテーブルの例では、次のように規定されている。
(1)電話着信又は発信中に、ハンドオーバ予告通知のイベントが発生した場合には、着信又は発信の自動切断を行う。
(2)電話通話中に、ハンドオーバ予告通知のイベントが発生した場合には、出力音量(通話音声又は着信音)の抑制を行う。
(3)電話着信又は発信中に、ハンドオーバ通知(要求)のイベントが発生した場合には、着信又は発信の自動切断を行う。
(4)電話通話中に、ハンドオーバ通知(要求)のイベントが発生した場合には、通話の自動切断又は保留状態への遷移を行う。また実際には、切断等の前に通話相手への案内メッセージ送信を行う。
(5)電話着信又は発信中に、プリクラッシュセーフティシステムの作動通知のイベントが発生した場合には、着信又は発信の自動切断を行う。
(6)電話通話中に、プリクラッシュセーフティシステムの作動通知のイベントが発生した場合には、通話の自動切断又は保留状態への遷移を行う。また実際には、切断等の前に通話相手への案内メッセージ送信を行う。
(7)ハンドオーバ通知中に電話着信のイベントが発生した場合には、この着信を受け付けずに回線を自動切断する。
(8)プリクラッシュセーフティシステムの作動通知中に電話着信のイベントが発生した場合には、この着信を受け付けずに回線を自動切断する。
【0062】
なお、ハンドオーバ予告通知が発生するタイミングは、例えばハンドオーバが必要な予定時刻の3分前とする。また、ハンドオーバ通知が発生するタイミングは、例えばハンドオーバが必要な予定時刻の10秒前とする。つまり、道路状況などに基づいてハンドオーバが必要な状況の発生をシステム(自動運転制御部10)が予測した場合に、該当する地点に自車両が実際に到達するまでの残り時間又は距離を考慮して、予め定めた適切なタイミングでハンドオーバ予告通知およびハンドオーバ通知をシステムが発生する。勿論、これらのタイミングは必要に応じて変更しても良い。また、プリクラッシュセーフティシステム通知が発生するタイミングは、衝突が発生する直前(2〜3秒前)になる。
【0063】
<通話管理の具体的な制御の内容>
通話を管理するための情報入出力制御の動作例を
図3に示す。例えば、
図1に示した情報入出力制御部20が
図3の動作を実行する。これにより、
図2に示したようなテーブルで規定された作動パターンに従い、現在の状態と、発生したイベントとの組合せに応じて、適切な通話管理が実施される。
図3に示した動作を情報入出力制御部20が実行する場合について以下に説明する。
【0064】
情報入出力制御部20は、通知情報SG10および通信制御情報SG23を監視することにより、現在の状況を常時把握する(S11)。すなわち、携帯電話端末30の着信中、発信中、通話中、ハンドオーバ通知中(予告も含む)、プリクラッシュセーフティシステム通知中などの各状態を区別する。これにより、
図2に示したテーブルにおける元の状態を特定できる。
【0065】
また、情報入出力制御部20は通知情報SG10および通信制御情報SG23を監視することにより、新たなイベントの発生の有無を識別する(S12)。新たなイベントの発生を検知するとS13以降の処理に進む。
【0066】
そして、通話中にハンドオーバ予告通知のイベントが発生した場合には、情報入出力制御部20はS13からS14の処理に進む。そして、携帯電話端末30のハンズフリー通話利用に対して通信制限を実施する。この場合の具体的な通信制限は、通話音量の低減である。すなわち、ユーザ(運転者および通話相手)は通話をまだ継続することが可能であるが、音量低下の認識により数分後に通話が中断される予定であることを意識しながら通話することになる。また同時に、ハンドオーバ予告通知が発生したことを表す通知音を出力したり、画面表示を利用して注意喚起を実施する。具体例については後で説明する。
【0067】
一方、通話中にハンドオーバ通知(要求)のイベントが発生した場合には、情報入出力制御部20はS15からS16の処理に進む。そして、携帯電話端末30のハンズフリー通話利用に対して通信制限を実施する。この場合の具体的な通信制限は、通話音の遮断である。したがって、この場合はユーザの通話が強制的に終了することになる。これにより、運転者は通話を意識する必要がなくなるので、発生したハンドオーバ通知(要求)を認識することが容易になり、ハンドオーバの要求に応じることが可能になる。
【0068】
実際には、このハンドオーバ通知(要求)の発生よりも数分前に、運転者は既にハンドオーバ予告通知の発生を認識しているので、ハンドオーバの要求に対して円滑にハンドオーバを実施することが可能である。
【0069】
また、S16とほぼ同時に実行される次のS17で、情報入出力制御部20は通話相手の端末に対して、通話が中断されることを表す案内メッセージ、すなわち切断ガイダンスの情報を送出する。
【0070】
したがって、ハンドオーバの要求が発生した場合には、自車両の運転者との間で通話中の通話相手も、その通話が中断されることを確実に認識した状態で通話を中断することになる。そのため、自動的に通話が中断した後で、通話相手が電話をかけ直すような無駄な動作の発生を避けることができ利便性が向上する。
【0071】
また、
図3の動作には示されていないが、ハンドオーバ通知(要求)が発生した場合には、ハンドオーバの要求を表すメッセージを運転者が容易に視認できるように画面表示などにより出力する。このメッセージは、車両のメータユニット上のディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、次世代車載情報通信(In-Vehicle Infotainment system:IVI)システムのディスプレイなどを用いて出力される。運転者は、このメッセージを視認することにより、手動運転へ切り替える必要があることを認識し、手動運転の操作を開始する。これによりハンドオーバが実行される。
【0072】
また、S17で案内メッセージの送信を完了した後、情報入出力制御部20はS21で通話管理部28を制御し、電話回線の切断又は保留状態への移行を実施する。
【0073】
一方、携帯電話端末30の着信中又は発信中にプリクラッシュセーフティシステム通知のイベントが発生した場合には、情報入出力制御部20はS18からS19の処理に進む。そして、携帯電話端末30のハンズフリー通話利用に対して通信制限を実施する。この場合の具体的な通信制限は、着信音の遮断である。したがって、この場合は着信があっても着信音が鳴らないので、運転者は電話の着信を意識することがなくなり、プリクラッシュセーフティシステム通知を容易に把握可能な状態になる。つまり、運転者はプリクラッシュセーフティシステムによりブレーキが作動したことを直ちに認識できるので、自車両の急減速に対して慌てることがなくなり、安全を確保できる。
【0074】
また、この場合は情報入出力制御部20が次のS20で、着信した通信相手の端末に対して所定の案内メッセージを送出する。具体的には、自車両の運転者が現在は電話に出られない状態であることを通信相手に対して通知する。したがって、通信相手は必要に応じて後で電話をかけ直すことができる。この場合も、S20で案内メッセージの送信を完了した後、情報入出力制御部20はS21で通話管理部28を制御し、電話回線の切断又は保留状態への移行を実施する。
【0075】
図2のテーブルに示した上記以外の他の作動パターンについても、
図3のステップS22で同様に処理できる。すなわち、
図2のテーブルで規定されている各作動パターンの内容に従い、電話着信中又は発信中の状態でハンドオーバ予告通知、又はハンドオーバ通知(要求)が発生した場合には、S19〜S21と同様に通信制限(着信音の遮断)を行い、案内メッセージの送信の後で、発信又は着信の自動切断、又は保留状態への移行を実施する。
【0076】
また、電話通話中の状態でプリクラッシュセーフティシステム通知が発生した場合には、S16、S17、S21と同様に、通信制限(通話音の遮断)を行い、案内メッセージの送信の後で、発信又は着信の自動切断、又は保留状態への移行を実施する。また、ハンドオーバ通知中、又はプリクラッシュセーフティシステム通知中の状態で電話着信のイベントが発生した場合には、この着信を受け付けずにこの回線を切断する。
【0077】
なお、各イベントの発生に伴って実行した
図2の各動作AC1〜AC3を解除する条件については、例えば一定時間が経過した後、あるいは所定の解除通知が発生した後とすることが想定される。
【0078】
<システム各部の状態変化の具体例_1>
通話中にハンドオーバ要求が発生した場合の各部の状態変化の例を
図4に示す。すなわち、
図2に示したテーブルで規定されている動作AC1およびAC2に相当するシステム各部の状態変化が
図4に示されている。また、この例ではメータ表示画面40、IVI表示画面50、および音出力部60がシステムに含まれ、これらを情報入出力制御部20が制御できる場合を想定している。
【0079】
「元の状態」が電話通話中であり他のイベントがまだ発生していない状態では、
図4の上段に示すように、メータ表示画面40は通常の表示内容を出力し、IVI表示画面50は「通話中」のメッセージを表示し、音出力部60は通話音を通常の音量で出力する。この状態でハンドオーバ予告通知のイベントが発生すると、「H/O3分前」として
図4の中段に示した状態に遷移する。
【0080】
つまり、「H/O3分前」の状態では、メータ表示画面40はハンドオーバ予告表示41のメッセージを表示する。また、IVI表示画面50は「通話中」の他に、ハンドオーバ予定の3分前であり、まもなく通話が切断されることを予告するメッセージを表示する。また、音出力部60は、通話音の音量を通常よりも低減し、更にハンドオーバ予告を表す報知音を通話音に重ねた状態で出力する。この状態になってから3分程度を経過してハンドオーバ通知(要求)のイベントが発生すると、「H/O10秒前」として
図4の下段に示した状態に遷移する。
【0081】
つまり、「H/O10秒前」の状態では、メータ表示画面40はハンドオーバ要求メッセージ42を表示する。また、IVI表示画面50は通話を切断したことを表すメッセージを含むハンドオーバ要求メッセージ52を表示する。また、音出力部60は、通話音の出力を遮断し、更にハンドオーバの要求を表す警報音を出力する。
【0082】
運転者は、
図4下段の「H/O10秒前」の状態において、メータ表示画面40、IVI表示画面50、音出力部60の少なくとも1つの内容を認識することにより、手動運転への切替が必要であることを確実に理解し、手動運転の操作を開始できる。運転者が手動運転の操作を開始すると、ハンドオーバが実行される。また、このタイミングよりも3分程度前に、
図4中段の状態でハンドオーバの発生が予告されているので、「H/O10秒前」の状態になる前に運転者は余裕を持ってハンドオーバの準備をすることができ、円滑なハンドオーバを容易に実行できる。
【0083】
<システム各部の状態変化の具体例_2>
着信中にプリクラッシュセーフティシステムのブレーキが作動した場合の各部の状態変化の例を
図5に示す。すなわち、
図2に示したテーブルで規定されている動作AC3に相当するシステム各部の状態変化が
図5に示されている。また、この例ではメータ表示画面40、IVI表示画面50、および音出力部60がシステムに含まれ、これらを情報入出力制御部20が制御できる場合を想定している。
【0084】
「元の状態」が電話の着信中であり他のイベントがまだ発生していない状態では、
図5の上段に示すように、メータ表示画面40は通常の表示内容を出力し、IVI表示画面50は「着信中」のメッセージを表示し、音出力部60は着信音を通常の音量で出力する。この状態でプリクラッシュセーフティシステム通知のイベントが発生すると、「PCS発生」として
図5の下段に示した状態に遷移する。
【0085】
つまり、「PCS発生」の状態では、メータ表示画面40は緊急ブレーキ作動表示43を表示する。また、IVI表示画面50も緊急ブレーキ作動表示53を表示する。また、音出力部60は、着信音の出力を遮断し、更に注意喚起するために警報音を出力する。したがって、運転者は緊急ブレーキの作動により自車両が急減速したことを容易に認識できる。
【0086】
<動作シーケンスの具体例_1>
電話の通話中にハンドオーバ要求が発生した場合の詳細な動作シーケンスの例を
図6に示す。すなわち、
図2に示したテーブルで規定されている動作AC1およびAC2に相当する動作を実行する場合のメータ(MET)表示制御101、メータ音制御102、IVI背景表示制御103、IVIポップアップ表示制御104、IVI音制御105、および電話状態106の動作の流れが
図6に示されている。
【0087】
また、
図6の例では、メータ表示制御101、メータ音制御102、およびIVI背景表示制御103はメータユニットに内蔵された電子制御ユニットを制御する基本ソフトウェア(オペレーティングシステム:OS)が制御する場合を想定している。また、IVIポップアップ表示制御104、IVI音制御105、および電話状態106は、次世代車載情報通信システムに内蔵された電子制御ユニットを制御する基本ソフトウェアが制御する場合を想定している。
図6の動作について以下に説明する。
【0088】
前述のようにハンドオーバ予告通知のイベントが発生すると、
図6中の「H/O3分前」の状態になり、各部は次のように制御する。
メータ表示制御101は「H/O3分前」を表示する。
メータ音制御102は報知音を出力する。
IVI背景表示制御103は「H/O3分前」を表示する。
IVIポップアップ表示制御104は通話切断の予告に関する注意表示を出力する。つまり、実際に通話が途絶える前に事前にその予告を通知する。
IVI音制御105は通話音や着信音の音量を通常よりも抑制する(一時的に)。これにより、例えば
図4の中段のように特別に出力されたメッセージが運転者に伝わりやすくなる。
電話状態106については通話中又は着信中の状態が維持される。
【0089】
また、ハンドオーバ通知(要求)のイベントが発生すると、
図6中の「H/O 10秒前」の状態になるので各部は次のように制御する。
メータ表示制御101は「H/O して下さい」などを表示する。
メータ音制御102は注意喚起音の出力と共に「H/O して下さい」などの疑似音声を出力する。
IVI背景表示制御103は「H/O して下さい」などを表示する。
IVI音制御105は「ただいま電話に出られません」などの案内メッセージを疑似音声の信号により通話相手の端末に向けて送信し、通話音は遮断する。
なお、IVI音制御105が上記の案内メッセージを出力する際には、電話状態106は通話中が継続しているが、自車両の運転者側の通話音は途絶えた状態になり、通話相手は案内メッセージだけを受け取ることができる。この案内メッセージの送信が完了した後で、電話状態106は電話切断又は保留状態に移行する。
【0090】
また、運転者が手動運転の操作を開始すると、ハンドオーバが実行され、
図6中の「H/O完了」の状態になり、各部は次のように制御する。
メータ表示制御101は「手動運転に切り替わりました」のメッセージを表示する。
メータ音制御102は「手動運転に切り替わりました」のメッセージを表す疑似音声を出力する。
IVI背景表示制御103は「手動運転に切り替わりました」のメッセージを表示する。
IVIポップアップ表示制御104は、切断した電話のかけ直し、又は保留状態に移行した通話の復元操作をするための提案メッセージを表示する。
【0091】
<動作シーケンスの具体例_2>
電話の着信中にプリクラッシュセーフティシステムのブレーキが作動した場合の詳細な動作シーケンスの例を
図7に示す。すなわち、
図2に示したテーブルで規定されている動作AC3に相当する動作を実行する場合のメータ(MET/HUD)表示制御101、メータ音制御102、IVI背景表示制御103、IVIポップアップ表示制御104、IVI音制御105、および電話状態106の動作の流れが
図7に示されている。
図7の動作について以下に説明する。
【0092】
プリクラッシュセーフティシステム通知が発生する前の状況では、携帯電話端末30の着信中は、IVIポップアップ表示制御104が「着信中」のメッセージを表示し、IVI音制御105が着信音を通常の状態で出力する。また、電話状態106はコール状態になる。
【0093】
また、前述のように着信中にプリクラッシュセーフティシステム通知が発生すると、
図7中の「PCS通知」の状態になり、各部は次のように制御する。
メータ表示制御101は「ブレーキ作動」を表すメッセージを、メータ表示画面40やヘッドアップディスプレイの表示領域に表示する。
メータ音制御102は、「ブレーキ作動」を表す警報音を出力する。
IVIポップアップ表示制御104は、
図5中のIVI表示画面50の緊急ブレーキ作動表示53のように「ブレーキ作動」を表すメッセージを表示する。
IVI音制御105は、この車両上および通話相手の双方について通話音声の出力を遮断し、更に通話相手の端末に対して、「ただいま電話に出られません」の案内メッセージを送信する。
このとき、電話状態106については、通話状態がまだ維持されるが新たな着信は拒否される。また、通話音声が遮断されるので、自車両の運転者からは電話が切断されたように感じるが、電話回線は接続されている。通話相手は、この回線で伝達される案内メッセージを認識することにより、運転者側の事情により通話が中断した状態を把握できる。
【0094】
電話状態106は、上記の案内メッセージの送出が完了した後で、切断又は保留状態に移行する。
また、プリクラッシュセーフティシステムの解除通知が発生した場合には、IVIポップアップ表示制御104は、自車両の運転状態が安定した後で、切断又は保留状態になっている電話のかけ直し、又は元の状態への復帰を提案する内容のメッセージを出力する。
【0095】
<本発明を適用可能な各種自動運転機能の例>
車両の自動運転に関連する様々な機能と衝突までの時間との関係を
図8に示す。
本発明を適用可能な各種自動運転機能の中には、
図8に示した「狭義の自動運転システム」と「緊急安全システム」との両方が含まれる。
【0096】
「狭義の自動運転システム」は、自車両運転者の快適な運転を支援するための機能であって、例えば手放し運転支援機能、適応型クルーズコントロール(ACC)機能、車線維持支援機能、レーンチェンジ支援機能など様々な種類がある。また、「狭義の自動運転システム」の場合にはハンドオーバが発生する可能性がある。
【0097】
一方、「緊急安全システム」は、自車両と他の車両等との衝突を予防するための機能であって、運転者の許可がなくても、例えば衝突予定時刻に対して2〜3秒前から自動的に作動を開始する。「緊急安全システム」としては、前述のプリクラッシュセーフティシステムの他に、緊急操舵回避システムなども想定される。この「緊急安全システム」の場合はハンドオーバが発生することはない。
【0098】
<車載システムの利点>
上述の車載システム100においては、特別な状況が発生したタイミング以外では、ハンズフリー通話機能を利用することにより、車両の運転中であっても安全性を損なうことなく携帯電話端末30を利用することが可能であり、ユーザの利便性を確保できる。
【0099】
また、自車両が自動運転機能を利用して走行している場合に、手動運転モードなどへのハンドオーバが必要な状況が発生したり、緊急ブレーキが作動したような場合には、携帯電話端末30の通話等が自動的に制限される。したがって、運転に関する重要なメッセージの運転者への伝達が通話や着信などによって阻害されるのを防止でき、運転の安全性を確保できる。
【0100】
また、ハンドオーバの発生が予想される場合には、車載システム100はハンドオーバの要求が発生する時刻に対して十分に余裕を持ったタイミングで、ハンドオーバ予告通知を実施する。したがって、運転者は時間的に余裕を持ってハンドオーバの要求に対応することが可能になり、円滑なハンドオーバが実現する。
【0101】
また、ハンドオーバ予告通知を実施する場合には、車載システム100が通話音量の自動抑制などの制限を実施するので、運転者は通話をすぐに中断する必要がない。したがって、運転者は通話を継続したままハンドオーバへの準備をすることも可能になる。
【0102】
また、携帯電話端末30の通話などの制限を実施する場合には、車載システム100が通話相手の端末に対して案内メッセージの送信を行ってから回線の切断や保留状態への移行を行うので、自車両の運転者だけでなく通話相手も、通話が中断される際に状況を把握可能になる。そのため、通話の中断時に通話相手が無駄に電話をかけ直すことがなくなり利便性が向上する。
【0103】
なお、上述の実施形態では携帯電話端末30を用いてハンズフリー通話を実施する場合のみを想定しているが、例えば電子メールなどのメッセージの送受信や表示などを行う場合についても、運転に関する重要な通知が発生した場合に同じように通信を制限したり、表示や音の出力を抑制することが想定される。
【0104】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る車載システムの特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両の操舵および車速の少なくとも1つを自動的に制御する自動運転機能を搭載した車両上で、自動運転に関連する情報を前記車両の運転者に提示する情報提示部を含む車載システムであって、
無線通信が可能な所定の携帯端末(携帯電話端末30)を接続可能な通話管理部(情報入出力制御部20、通話管理部28)を備え、
前記通話管理部は、前記情報提示部が自動運転に関連する情報を提示する状況を検知した場合に、前記携帯端末の動作を自動的に制限する(S14、S16、S19)、
ことを特徴とする車載システム。
【0105】
[2] 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、前記車両が前記第1状態に到達するよりも少なくとも一定時間又は一定距離以上手前の第2状態のタイミングにおいて、前記携帯端末の動作制限に関する予告情報(ハンドオーバ予告表示41、51)を提示する、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載システム。
【0106】
[3] 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限すべき第1状態の発生が予想される場合に、前記車両が前記第1状態に到達するまでの残り時間又は距離の大小に応じて、前記携帯端末の動作制限の程度を自動的に切り替える(S14、S16)、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の車載システム。
【0107】
[4] 前記通話管理部は、前記携帯端末の動作を制限する場合、又は前記制限が予想される場合に、前記携帯端末との間で通信している他の端末に対して、前記制限に関連する情報を自動的に送出する(S17、S20)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の車載システム。
【0108】
[5] 前記通話管理部は、前記制限に関連する情報を送出する処理が完了した後で、前記携帯端末と他の端末との間の通信制限を実行する(S21)、
ことを特徴とする上記[4]に記載の車載システム。