特許第6974246号(P6974246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974246
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20211118BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20211118BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20211118BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20211118BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20211118BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20211118BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   H04N5/225 430
   G03B15/00 V
   G03B17/55
   G03B17/56 H
   G03B19/07
   G03B35/08
   H04N5/225 100
   H04N5/225 200
   H04N5/225 800
   H05K7/20 H
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-86529(P2018-86529)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-193199(P2019-193199A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 盛一
(72)【発明者】
【氏名】風間 敦
(72)【発明者】
【氏名】増田 圭輔
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/163584(WO,A1)
【文献】 特開平9−139593(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/143444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
H05K 7/20
G03B 15/00
G03B 19/07
G03B 17/56
G03B 17/55
G03B 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカメラモジュールと、
板状の部材の両面に第一及び第二主面を有し、前記カメラモジュールで撮像された画像の処理を行う機能を有する回路基板と、
前記回路基板を内包するケースとを備えたカメラ装置において、
前記ケースは、前記回路基板の前記第一主面に対向して前記ケースの外部に配置されるファンに向かって突出するように形成された凸部を有し、
前記凸部は、少なくとも前記ケースの前記回路基板における前記第一主面側面と前記凸部とで画定され、前記回路基板の前記第一主面側の空気を排出するための第一空間と、少なくとも前記ケースの前記回路基板における第一主面側の面と前記凸部とで画定され、前記回路基板の前記第二主面側の空気を排出するための第二空間と、を隔てるように延在して形成され、かつ、前記ファンの回転軸に沿う方向から見た場合に前記ファンと少なくとも一部が重なるように配置されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
請求項1記載のカメラ装置において、
前記複数のカメラモジュールは、左右一対のカメラモジュールであって、前記凸部は前記左右一対のカメラモジュールの間に位置するように配置され、
前記第二空間の前記左右一対のカメラモジュールを結ぶ直線に沿う方向の幅は、前記第一空間の前記幅より広く形成されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項3】
請求項2記載のカメラ装置において、
前記第二空間の前記左右一対のカメラモジュールを結ぶ方向の幅が、前記ファンの幅以上、かつ、前記ファンの幅の4倍以下となるように形成されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項4】
請求項1記載のカメラ装置において、
前記凸部は、前記ファンから前記第二空間の前記ケースまでの前記凸部に沿った方向の距離が、前記ファンから前記第一空間の前記ケースまでの前記凸部に沿った方向の距離よりも長くなるように形成されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項5】
請求項1記載のカメラ装置において、
前記回路基板の前記第一及び第二主面の少なくとも何れか一方に搭載され、前記複数のカメラモジュールで撮像された画像の処理を行う信号処理素子と、
前記複数のカメラモジュールと前記回路基板を内包する前記ケースとを一体的に覆うとともに、前記ファンによる前記第一及び第二空間からの空気の排出を許容する排出口を有するカバーとをさらに備え、
前記カバーは、前記カバーの外部からの空気を内部に導くための空気口を有し、
前記ファンは、前記空気口から見て前記信号処理素子よりも遠い位置に配置されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項6】
請求項5記載のカメラ装置において、
前記凸部は、前記空気口から見て前記信号処理素子よりも遠く、かつ、前記ファンの回転中心よりも近い位置に配置されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項7】
請求項1記載のカメラ装置において、
前記回路基板の前記第一及び第二主面の少なくとも何れか一方に搭載され、前記複数のカメラモジュールで撮像された画像の処理を行う信号処理素子をさらに有し、
前記複数のカメラモジュールは、左右一対のカメラモジュールであって、前記凸部は前記左右一対のカメラモジュールの間に位置するように配置され、
前記信号処理素子及び前記凸部は、前記左右一対のカメラモジュールを結ぶ直線に沿う方向の前記左右一対のカメラモジュールの中央よりも同一の前記一方のカメラモジュール側に配置されたことを特徴とするカメラ装置。
【請求項8】
請求項1に記載のカメラ装置において、
前記回路基板の前記第一及び第二主面の少なくとも何れか一方に搭載され、前記複数のカメラモジュールで撮像された画像の処理を行う信号処理素子をさらに有し、
前記複数のカメラモジュールは、左右一対のカメラモジュールであり、
前記信号処理素子は、前記左右一対のカメラモジュールを結ぶ直線に沿う方向の前記左右一対のカメラモジュールの中央よりも一方のカメラモジュール側に配置され、
前記凸部は、前記左右一対のカメラモジュールの間の略中央に配置された前記ファンの回転軸に沿う方向から見た場合に前記ファンと少なくとも一部が重なるように配置されたことを特徴とするカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置を車両に搭載し、撮像装置(所謂、カメラ装置)により取得された車両走行時の周囲の環境データに基づいて、ドライバーに安全走行のための情報を提供したり、車両制御を自動的に行ったりする運転支援システムが提案されている。このような運転支援システムに用いられるカメラ装置としては、例えば、ステレオカメラを用いたステレオカメラ装置が知られている。ステレオカメラ装置は、左右に設置された一対の撮像素子によって得られた画像から、自車両周辺の車両や歩行者、障害物などの対象物を認識するとともに、その対象物までの距離を計測し、運転支援システムでは計測した距離の情報などに基づいて、自動ブレーキ制御などの制御を行う。
【0003】
ところで、カメラ装置は、カメラ視野角度の広角化や認識対象物の増加によって信号処理量が増加し、消費電力が増加傾向にあり、電力消費に伴う発熱による温度も上昇傾向にある。また、車両前方の対象物の認識を目的としてフロントガラス近傍に設置されることが多く、太陽光や装置内部の発熱等による温度上昇が生じやすい。そして、内部の構成部品の温度が上限温度を越えると、動作不良の発生や構成部品の寿命低下などが懸念される。
【0004】
このようなカメラ装置の放熱に関する技術として、例えば、特許文献1には、複数の撮像装置と、前記複数の撮像装置を保持する筐体と、回路基板と、を有する撮像ユニットであって、前記筐体または前記回路基板と接して設けられる伝熱部材を備え、前記伝熱部材は前記筐体の熱伝導率より大きい熱伝導率を有し、撮像ユニットの被設置部材に対する取付け部を備える撮像ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−d64号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術においては、撮像ユニットから伝熱部材及びその取付け部を介して車体側に熱を伝えることにより、撮像ユニットの温度上昇の抑制を図っている。しかしながら、例えば、カメラ装置が設置されるフロントガラスなどの車体側が太陽光などによって温度上昇し、車体側とカメラ装置との温度差が十分に無かったり、或いは、カメラ装置よりも車体側の温度が高かったりする場合には、放熱の効果が十分に得られず、カメラ装置の温度上昇を抑制できないことが考えられる。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、放熱効果を向上させることによって温度上昇を抑制することができるカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、複数のカメラモジュールと、板状の部材の両面に第一及び第二主面を有し、前記カメラモジュールで撮像された画像の処理を行う機能を有する回路基板と、前記回路基板を内包するケースとを備えたカメラ装置において、前記ケースは、前記回路基板の前記第一主面に対向して前記ケースの外部に配置されるファンに向かって突出するように形成された凸部を有し、前記凸部は、少なくとも前記ケースの前記回路基板における前記第一主面側面と前記凸部とで画定され、前記回路基板の前記第一主面側の空気を排出するための第一空間と、少なくとも前記ケースの前記回路基板における第一主面側の面と前記凸部とで画定され、前記回路基板の前記第二主面側の空気を排出するための第二空間と、を隔てるように延在して形成され、かつ、前記ファンの回転軸に沿う方向から見た場合に前記ファンと少なくとも一部が重なるように配置されたものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放熱効果を向上させることによって温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す上方斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下方斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
図4】第1の実施の形態に係るカメラ装置を自動車などの車両に搭載した場合の一例を示す部分断面側面図である。
図5図2におけるA−A線断面図である。
図6】比較例として示す従来技術に係るカメラ装置の外観を示す下方斜視図である。
図7】比較例として示す従来技術に係るカメラ装置の図6におけるB−B線断面図である。
図8】第2の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下方斜視図である。
図9】第2の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
図10】第3の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
図11】第4の実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。
図12図11におけるC−C線断面図である。
図13】第5の実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。
図14図13におけるD−D線断面図である。
図15】第6の実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。
図16図15におけるE−E線断面図である。
図17】第7の実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。
図18図17におけるF−F線断面図である。
図19】第8の実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。
図20図19におけるG−G線断面図である。
図21】第9の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
図22】第10の実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1図5を参照しつつ説明する。
【0013】
図1図3は、本実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す図であり、図1は上方斜視図、図2は下方斜視図、図3は下面図である。図4は、カメラ装置を自動車などの車両に搭載した場合の一例を示す部分断面側面図である。また、図5は、カメラ装置の図2におけるA−A線断面図である。なお、図4及び図5においては、カメラ装置200がカバー72に覆われた状態を例示している。本実施の形態に係る各図においては、カメラ装置の前後方向(カメラモジュールの光軸方向)に前方向を正とするx軸、上下方向に上方向を正とするy軸、左右方向に右方向を正とするx軸方向に向いて右方向にz軸をそれぞれ規定した直行座標系を設定して説明する。
【0014】
図1図3に示すように、カメラ装置200は、複数(本実施の形態では2つの場合を例示する)のカメラモジュール53,53と、板状の部材の両面に第一及び第二主面55,56を有し、カメラモジュール53,53で撮像された画像の処理を行う機能を有する回路基板54と、回路基板54を内包するケース(第一ケース51及び第二ケース52)とを備えている。
【0015】
複数のカメラモジュール53は、それぞれ、撮像素子を備えた左右一対のカメラモジュール53,53であり、撮像方向(ここでは、前方:x軸方向)に光軸を向けて配置されている。
【0016】
回路基板54は、下方に第一主面55を、上方に第二主面56を向けて配置された板状部材であり、その左右方向(z軸に沿う方向)の端部にそれぞれ左右一対のカメラモジュール53,53が配置されている。回路基板54の第一主面55及び第二主面56の少なくとも何れか一方には、左右一対のカメラモジュール53,53で撮像された一対の画像中の対象物の視差を求め、その視差から対象物までの距離を求める画像処理を行う少なくとも1つ(本実施の形態では1つ)の回路素子21(信号処理素子)が配置されている。回路素子21は、画像信号を処理するマイコンや信号処理素子、FPGA(Field Programmable Gate Array)などであり、第一ケース51や第二ケース52などへの熱伝導を必要とするような発熱量が大きい素子(発熱部品)を指している。なお、本実施の形態では、回路基板54の第二主面56であって、左右一対のカメラモジュール53,53の間の中央よりも一方(右側:z軸正方向)のカメラモジュール寄りに回路素子21が搭載された場合を例示して説明する。
【0017】
左右一対のカメラモジュール53,53及び回路素子21を含む回路基板54の外部との電気的な接続(電力の供給や信号の授受に供する接続)は、例えば、第一ケース51の後面の図示しない開口部を介して回路基板54に設けた電気コネクタ(図示せず)に配線を接続することで行う。
【0018】
回路基板54は、左右一対のカメラモジュール53,53とともに回路基板54を上方から覆う第一ケース51と、回路基板54を下方から覆う第二ケース52とからなるケースにより内包されている。第二ケース52は、例えば、ネジなどを用いて第一ケース51に固定されている。
【0019】
回路基板54の第二主面56に搭載される回路素子21は発熱部品であり、放熱ゲルなどの第一熱伝導部材22を介して第一ケース51に熱的に連結されている。また、回路素子21は回路基板54を挟んで第二熱伝導部材23を介して第二ケース52に熱的に連結されている。
【0020】
カメラ装置200の下方には、第二ケース52の外部に回路基板54の第一主面55に対向してファン71が配置されており、ファン71によって第一ケース51や第二ケース52周辺に空気の流れをつくることにより、回路素子21や回路基板54から第一熱伝導部材22や第二熱伝導部材23を介して第一ケース51や第二ケース52に伝えられる熱の放熱を促進する。
【0021】
カメラ装置200は、自動車などの車両に搭載する際には、カメラ装置200の保護や、カメラ装置200がドライバーなどから見えにくくすること(いわゆる、審美性)などの観点からカバー72で覆われることが考えられる。したがって、本実施の形態においては、カメラ装置200とカバー72とを併せてカメラ装置200Aと考えることもできる。
【0022】
カメラ装置200Aは、例えば、車両を構成する天井62の前端部から前下方向に向かって傾斜するフロントガラス61の天井62との境界付近の位置に、カメラ装置200の左右一対のカメラモジュール53,53がフロントガラス61に近接するように設置される。この位置は、カメラ装置200Aがドライバーの視界の妨げにならない位置であり、かつ、左右一対のカメラモジュール53,53の視野領域53aで車両前方の対象物を撮像する場合に、車両の構成物やドライバーなどによって視野領域53aが遮られることを抑制できる位置である。
【0023】
カバー72は、左右一対のカメラモジュール53,53と、回路基板54を内包する第一及び第二ケース51,52とを一体的に覆うように形成されており、カメラ装置200の放熱を促進するためのファン71によるカバー72の内部の空気の外部への排出を許容する開口部である排出口71aと、カバー72の前面に配置され、カバー72の外部からの空気を内部に導くための空気口である開口部73とを有している。
【0024】
カメラ装置200の下面側に配置されたファン71により、排出口71aからカバー72の内部の空気が排気されるとともに、カバー72の前面に配置された開口部73から外部の空気が供給されることにより、カバー72の内部におけるカメラ装置200の外周全体に空気の流れが生じ、放熱効率が向上する。
【0025】
カメラ装置200に対するファン71の配置は、ファン71の後方に排出された空気が流れる空間が必要なことと、カバー72の内部での空気の流量を大きくする必要性とから、カメラ装置200の下部に配置されることが望ましい。
【0026】
逆に言えば、カメラ装置200の前方にはフロントガラス61が、上方には車両の天井62が存在し、空気の流れを阻害する要因となるため、ファン71の設置には好ましくないと言える。
【0027】
また、カメラ装置200の後方には、コンソール63が配置されることが多いため、カメラ装置200の後方にも、空気の流れを阻害する要因があることが多いことになり、ファン71の設置には好ましくないと言える。
【0028】
また、ファン71をカメラ装置200の左右方向(z軸方向の側面)に配置すると、回路基板54の発熱部品である回路素子21とファン71との距離が長くなるため、ファン71によって生じる空気の流れについての流路抵抗が大きくなってしまう。したがって、ファン71をカメラ装置200の左右方向に配置することは好ましくないと言える。
【0029】
すなわち、これらの好ましくないファン71の配置に対して、本実施の形態のように、ファン71をカメラ装置200の下面に配置すると、回路基板54の発熱部品(発熱源)である回路素子21とファン71との距離を短くすることができるため、流路抵抗が小さくなる。したがって、ファン71をカメラ装置200の下面に配置し、カバー72の内部での空気の流量を大きくすることにより、カメラ装置200の放熱効率が向上する。
【0030】
第二ケース52は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース52の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部1を有している。凸部1は、左右一対のカメラモジュール53,53の間の中央よりも一方(例えば、右側、すなわち、z軸正方向)のカメラモジュール寄りの位置に第二ケース52に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部1より前方側に第一空間11を、凸部1より後方側に第二空間12を形成している。第一及び第二空間11,12のz軸方向の中心(すなわち、凸部1のz軸方向の中心)は、回路素子21の中心、及び、ファン71の中心z軸方向において重なるように配置されている。
【0031】
すなわち、凸部1は、少なくとも第二ケース52(言い換えると、第一及び第二ケース51,52の回路基板54における第一主面55側)と凸部1とで画定され、回路基板54の第一主面55側の空気を排出するための第一空間11と、少なくとも第二ケース52(言い換えると、第一及び第二ケース51,52の回路基板54における第一主面55側)と凸部1とで画定され、回路基板54の第二主面56側の空気を排出するための第二空間12と、を隔てるように左右方向に延在して形成され、かつ、ファン71の回転軸に沿う方向(y軸に沿う方向)から見た場合にファン71(より詳しくは、ファン71による空気流路の断面)の中心と重なるように配置されている。また、第一空間11は、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に、回路素子21(より正確には、回路素子21と熱的に接続される第二熱伝導部材23)の範囲を含むように配置されている。言い換えると、ファン71は、開口部73から見て回路素子21よりも遠い位置に配置されている。
【0032】
つまり、凸部1は、ファン71の排気動作によってカバー72の内部に生じる空気の流れを、開口部73から流入して回路基板54の下面(第一主面55)側の空間及び第一空間11を通り、ファン71から排出される空気の流れ13と、開口部73から流入して回路基板54の上面(第二主面56)側の空間を介し、回路基板54の後方をまわって第二空間12を通り、ファン71から排出される空気の流れ14との2つに分岐するように形成されている。
【0033】
第二ケース52に凸部1を形成し、第二ケース52の下方のファン71との間の空間を第一空間11と第二空間12とに隔てることにより、ファン71近傍の空気の圧力を低減して空気の流量を増加させることができる。また、第二ケース52に凸部1を形成し、開口部73からファン71に至るカバー72内での空気の流れを2つに分岐することにより、回路基板54の第一主面側および第一空間11を通る空気の流れ13によって主に第二ケース52側の放熱を促進し、回路基板54の第二面側からカメラ装置200の後方をまわって第二空間12を流れる空気の流れ14によって主に第一ケース51側の放熱を促進する。すなわち、2分岐した空気の流れによって、カメラ装置200全体の放熱を促進し、カメラ装置200の放熱効率を向上する(すなわち、温度を低減する)とともに、カメラ装置200の第一ケース51と第二ケース52の温度差を低減することで温度差によるカメラ装置200の変形も低減することができる。
【0034】
以上のように構成した本実施の形態における作用効果を従来技術の比較例と対比しつつ説明する。
【0035】
図6は、比較例として示す従来技術に係るカメラ装置の外観を示す下方斜視図である。また、図7は、比較例として示す従来技術に係るカメラ装置の図6におけるB−B線断面図に相当する。なお、図7では、カバーで覆われたカメラ装置を示している。
【0036】
図6に示すように、従来技術に係るカメラ装置201の第二ケース57には、本実施の形態のような溝構造や凸部1がなく、したがって、第二ケース57の下面は平面となっている。図7に示すように、従来技術に係るカメラ装置201では、ファン71の空気の流れは流路抵抗が小さい方向に集中するため、カバー72の内部において開口部73からファン71に至る空気の流れは、開口部73から回路基板54の第一主面55側(すなわち、第二ケース52側)を通る空気の流れ15,16となる。つまり、第二ケース52側より相対的に流路抵抗が大きい、開口部73から回路基板54の第二主面56側(すなわち、第一ケース51側)を通りってカメラ装置201の後方を回りファン71に至る空気の流れ17がほとんどなくなる。このため、第二ケース52側に比べて第一ケース51側の放熱能力が低下してしまい、回路素子21の温度上昇を十分に抑制できず、カメラ装置201の内部温度が上昇して、回路基板54の回路素子21等の故障や寿命の低下が生じやすくなる。
【0037】
これに対して、本実施の形態においては、カメラ装置200において、第二ケース52に、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース52の外部に配置されるファン71に向かって突出するように凸部1を形成し有し、凸部1が少なくとも第二ケース52と凸部1とで画定された第一空間11と少なくとも第二ケース52と凸部1とで画定された第二空間12とを隔てるように延在して形成され、かつ、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に凸部1がファン71の中心と重なるように配置した。これにより、凸部1が、カメラ装置200をカバー72で覆った場合に、第二ケース52側から第一空間11を通ってファン71により排出される空気の流路13と、第一ケース51側から後方を回って第二空間12を通ってファン71により排出される空気の流路14との2つの空気の流路を形成する。すなわち、第一ケース51側の放熱に寄与する空気の流れと、第二ケース52側の放熱に寄与する空気の流れとを分けることにより、第二ケース52側の放熱効果を向上させることができ、カメラ装置200全体でみた場合の放熱効果を向上させることによってカメラ装置200の温度上昇を抑制することができる。
【0038】
すなわち、凸部1を設けることによって、カメラ装置200内の回路素子21の熱を外部に効果的に放熱させることが可能となり、動作保証温度の範囲内に回路素子21の温度を保持することができることにより、カメラ装置200の信頼性を向上することができる。
【0039】
また、カメラ装置200の各部の温度差を小さくすることができる、言い換えると、温度分布の偏りを抑制してより平坦にすることができ、カメラ装置200の変形を低減することができるので、測定不良や動作障害の発生を抑制した信頼性の高いカメラ装置200を提供することができる。
【0040】
また、第一空間11が、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に、回路素子21(より正確には、回路素子21と熱的に接続される第二熱伝導部材23)の範囲を含むように配置した、すなわち、より空気の流量が大きい場所の近傍に回路素子21を配置するように構成したので、発熱源である回路素子21で発生する熱をより効率的に放熱することができる。また、回路素子21と第二ケース52間の距離をより小さく、すなわち、第二熱伝導部材23の厚みをより薄く構成したので、第二熱伝導部材23による熱抵抗をより小さくすることができ、より放熱効率を向上することができる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、ファン71の空気の向きを排気とし、ファン71によってカバー72の内部の空気を外部に排出する場合を例示しているが、これに限られず、例えば、ファン71の空気の向きを吸気としても本実施の形態の場合と同様に、回路素子21の温度低減効果をえることができる。
【0042】
また、本実施の形態においては、第一熱伝導部材22と第二熱伝導部材23の2つの熱伝導部材を用いる場合を例示しているが、これに限られず、例えば、回路素子21から第一及び第二ケース51,52への熱伝導が十分に行われる場合には、第一熱伝導部材22及び第二熱伝導部材23のどちらか一方を用いるように構成しても良い。
【0043】
また、本実施の形態においては、回路素子21を回路基板54の第二主面56に配置した場合を例示しているが、これに限られず、例えば、第一主面55に配置するように構成しても良い。
【0044】
また、本実施の形態においては、回路基板54に搭載される回路素子21の個数に合わせて1つの凸部1を形成する場合を例示したが、これに限られず、例えば、回路基板54に回路素子21が複数搭載される場合には、その個数及び配置位置に応じて凸部1の個数及び配置を変えても良い。
【0045】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図8及び図9を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
本実施の形態は、第1の実施の形態における第二空間の左右一対のカメラモジュールを結ぶ方向の幅が第一空間の幅よりも広くなるように凸部を形成したものである。
【0047】
図8は、本実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下方斜視図であり、図9は下面図である。
【0048】
図8及び図9において、カメラ装置202は、左右一対のカメラモジュール53,53と、板状の部材の両面に第一及び第二主面55,56を有し、左右一対のカメラモジュール53,53で撮像された画像の処理を行う機能を有する回路基板54と、回路基板54を内包するケース(第一ケース51及び第二ケース103)とを備えている。
【0049】
回路基板54は、左右一対のカメラモジュール53,53とともに回路基板54を上方から覆う第一ケース51と、回路基板54を下方から覆う第二ケース103とからなるケースにより内包されている。第二ケース103は、例えば、ネジなどを用いて第一ケース51に固定されている。
【0050】
カメラ装置202の下方には、第二ケース103の外部に回路基板54の第一主面55に対向してファン71が配置されており、ファン71によって第一ケース51や第二ケース103周辺に空気の流れをつくることにより、回路素子21や回路基板54から第一熱伝導部材22や第二熱伝導部材23を介して第一ケース51や第二ケース103に伝えられる熱の放熱を促進する。
【0051】
第二ケース103は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース103の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部100を有している。本実施の形態において、凸部100は、第二ケース103に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部100より前方側に第一空間101を、凸部100より後方側に第二空間102を形成している。ただし、溝構造のz軸方向の幅は、凸部100の前方側よりも後方側が広くなるように、すなわち、第二空間102の左右一対のカメラモジュール53,53を結ぶ方向(z軸方向)の幅105が第一空間101の幅104よりも広くなるように形成されている。
【0052】
すなわち、凸部100は、少なくとも第二ケース103と凸部100とで画定され、回路基板54の第一主面55側の空気を排出するための第一空間101と、少なくとも第二ケース103と凸部100とで画定され、回路基板54の第二主面56側の空気を排出するための第二空間102と、を隔てるように延在して形成され、かつ、ファン71の回転軸に沿う方向(y軸に沿う方向)から見た場合にファン71(より詳しくは、ファン71による空気流路の断面)の中心と重なるように配置されている。また、第一空間101は、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に、回路素子21(より正確には、回路素子21と熱的に接続される第二熱伝導部材23)の範囲を含むように配置されている。
【0053】
つまり、凸部100は、カメラ装置202をカバー72で覆った場合(第1の実施の形態の図5参照)に、ファン71の排気動作によってカバー72の内部に生じる空気の流れを、開口部73から流入して回路基板54の下面(第一主面55)側の空間及び第一空間101を通り、ファン71から排出される空気の流れと、開口部73から流入して回路基板54の上面(第二主面56)側の空間を介し、回路基板54の後方をまわって第二空間102を通り、ファン71から排出される空気の流れとの2つに分岐するように形成されている。
【0054】
開口部73から流入して回路基板54の第二主面56側から後方を回って第二空間102を通る空気の流れにおける流路の距離は、開口部73から流入して回路基板54の第一主面55側及び第一空間101を通る空気の流れにおける流路の距離よりも長い。そのため、空気の流れの流路の長さのみについて考えた場合には、第一空間101を通る空気の流れの流路抵抗よりも第二空間102を通る空気の流れの流路抵抗の方が大きくなり、したがって、第一空間101を通る空気の流れより第二空間102を通る空気の流れの流量が少なくなると考えられる。
【0055】
そこで、本実施の形態においては、第二空間102を通る空気の流れの流路抵抗を低減し空気の流量の増加を図るため、第二空間102のz軸方向の幅105を、第一空間101のz軸方向の幅104よりも広くなるように形成している。これにより、第二空間102を通る空気の流れの流路抵抗を減らして、第一空間101を通る空気の流れの流路抵抗に近づけることができる。
【0056】
なお、第二空間102のz軸方向の幅105がファン71の幅以上である場合には、幅105が広くなるのに従って第一ケース51側の空気の流れによる放熱性が向上し、幅105がファン71の幅の2倍程度ある場合に第一ケース51側の空気の流れによる放熱性が最高となり、幅105がファン71の幅の4倍以上である場合には、幅105が広くなるのに従って第一ケース51側の空気の流れによる放熱性が低下していく。そのため、第二空間102のz軸方向の幅105は、ファン71の幅以上、かつ、ファン71の幅の4倍以下とすることで、カメラ装置202としての放熱効率をより向上することができ、回路素子21の温度上昇を低減することができる。
【0057】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0058】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、第二空間102のz軸方向の幅105を、ファン71の幅以上、かつ、ファン71の幅の4倍以下とするように構成したので、開口部73から流入して回路基板54の上面(第二主面56)側の空間を介し、回路基板54の後方をまわって第二空間102を通り、ファン71から排出される空気の流れを増加させることができ、回路基板54の第一ケース51側の放熱効果をより向上させることによってカメラ装置202の温度上昇を抑制することができる。
【0060】
また、第二空間102のz軸方向の幅105を、第一空間101のz軸方向の幅104よりも広くなるように形成したので、第二空間102を通る空気の流れの流路抵抗を減らして、第一空間101を通る空気の流れの流路抵抗に近づけることで2つの流路を通る空気の流量のバランスをとることができ、カメラ装置202全体でみた場合の放熱効果をより向上させることによってカメラ装置202の温度上昇を抑制することができる。
【0061】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図10を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0062】
本実施の形態は、凸部を、開口部から見て回路素子よりも遠く、かつ、ファンの回転中心よりも近い位置に形成したものである。
【0063】
図10は、本実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
【0064】
図10において、カメラ装置203は、左右一対のカメラモジュール53,53と、板状の部材の両面に第一及び第二主面55,56を有し、カメラモジュール53,53で撮像された画像の処理を行う機能を有する回路基板54と、回路基板54を内包するケース(第一ケース51及び第二ケース113)とを備えている。
【0065】
第二ケース52は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース113の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部110を有している。本実施の形態において、凸部110は、左右一対のカメラモジュール53,53の間の中央よりも一方(左側)のカメラモジュール寄りであって、回路素子21の中心と凸部110の中心(すなわち、溝構造の中心)とがz軸方向において重なる位置に第二ケース113に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部110より前方側に第一空間111を、凸部110より後方側に第二空間112を形成している。
【0066】
すなわち、凸部110は、少なくとも第二ケース113(言い換えると、第一及び第二ケース51,113の回路基板54における第一主面55側)と凸部110とで画定され、回路基板54の第一主面55側の空気を排出するための第一空間111と、少なくとも第二ケース113(言い換えると、第一及び第二ケース51,113の回路基板54における第一主面55側)と凸部110とで画定され、回路基板54の第二主面56側の空気を排出するための第二空間112と、を隔てるように左右方向に延在して形成されている。また、凸部110は、ファン71の回転軸に沿う方向(y軸に沿う方向)から見た場合に、ファン71(より詳しくは、ファン71による空気流路の断面)の少なくとも一部と重なるように、かつ、ファン71の中心のz軸方向(カメラモジュール53の光軸方向)の位置よりも後方に、凸部110のx軸方向の中心の位置115とファン71の中心の位置114とが距離116だけ離れる位置に形成されている。
【0067】
開口部73から流入して回路基板54の第二主面56側から後方を回って第二空間102を通る空気の流れにおける流路の距離は、開口部73から流入して回路基板54の第一主面55側及び第一空間101を通る空気の流れにおける流路の距離よりも長い。そのため、空気の流れの流路の長さのみについて考えた場合には、第一空間101を通る空気の流れの流路抵抗よりも第二空間102を通る空気の流れの流路抵抗の方が大きくなり、したがって、第一空間101を通る空気の流れより第二空間102を通る空気の流れの流量が少なくなると考えられる。
【0068】
そこで、本実施の形態においては、凸部110をファン71の中心よりも前方に形成することで、ファン71の回転軸に沿った方向から見た場合のファン71(ファン71の断面)と第一及び第二空間101,102との重複面積を調整し、ファン71と第一空間111との重複面積より、ファン71と第二空間112との重複面積の方が大きくなるように構成した。これにより、第二空間112を通る空気の流れが相対的に増加し、第一空間111を通る空気の流れの流量が相対的に減少するので、2つの流路を通る空気の流量のバランスをとることができ、カメラ装置203の全体でみた放熱効果をより向上させることによってカメラ装置203の温度上昇を抑制することができる。
【0069】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0070】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、第二空間112を通る空気の流れの流量と、第一空間111を通る空気の流れの流量とのバランスをとることができ、カメラ装置203の全体でみた場合の放熱効果をより向上させることによってカメラ装置203の温度上昇を抑制することができる。
【0072】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図11及び図12を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
本実施の形態は、ファンから第一空間の部分における第二ケースまでの凸部に沿った距離よりも、ファンから第二空間の部分における第二ケースまでの凸部に沿った方向の距離が遠くなるように形成したものである。
【0074】
図11は、本実施の形態に係るカメラ装置の第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。また、図12は、図11におけるC−C線断面図である。
【0075】
図11及び図12において、第二ケース123は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース123の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部120を有している。本実施の形態において、凸部120は、第二ケース123に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部120より前方側に第一空間121を、凸部120より後方側に第二空間122を形成している。ただし、溝構造のy軸方向の深さは、凸部120の前方側よりも後方側が広くなるように形成されており、凸部120の第二空間122側の高さ125が第一空間121側の高さ124よりも高くなるように凸部120が形成されている。言い換えると、ファン71から第一空間121の部分における第二ケース123までの凸部120に沿った距離(高さ124)よりも、ファン71から第二空間122の部分における第二ケース123までの凸部120に沿った方向の距離(高さ125)が遠くなるように形成されている。
【0076】
開口部73から流入して回路基板54の第二主面56側から後方を回って第二空間122を通る空気の流れにおける流路の距離は、開口部73から流入して回路基板54の第一主面55側及び第一空間121を通る空気の流れにおける流路の距離よりも長い。そのため、空気の流れの流路の長さのみについて考えた場合には、第一空間121を通る空気の流れの流路抵抗よりも第二空間122を通る空気の流れの流路抵抗の方が大きくなり、したがって、第一空間121を通る空気の流れより第二空間122を通る空気の流れの流量が少なくなると考えられる。
【0077】
そこで、本実施の形態においては、第二空間122を通る空気の流れの流路抵抗を低減し空気の流量の増加を図るため、凸部120の第二空間122側のy軸方向の高さ125を、第一空間121側のy軸方向の高さ124よりも広くなるように形成している。これにより、第二空間122を通る空気の流れの流路抵抗を減らして、第一空間121を通る空気の流れの流路抵抗に近づけることができるので、2つの流路を通る空気の流量のバランスをとることができ、カメラ装置200の全体でみた放熱効果をより向上させることによってカメラ装置200の温度上昇を抑制することができる。
【0078】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0079】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、第二空間122を通る空気の流れの流量と、第一空間121を通る空気の流れの流量とのバランスをとることができ、カメラ装置200の全体でみた場合の放熱効果をより向上させることによってカメラ装置200の温度上昇を抑制することができる。
【0081】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を図13及び図14を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第2の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0082】
本実施の形態は、凸部130のファン71側端部から第一空間131及び第二空間132における第二ケース133(第二ケース133のxz平面に沿う面)に至るまでの部分にそれぞれ第一傾斜134及び第二傾斜135を形成したものである。
【0083】
図13は、本実施の形態に係る第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。また、図14は、図13におけるD−D線断面図である。
【0084】
図13及び図14において、第二ケース133は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース133の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部130を有している。本実施の形態において、凸部130は、第二ケース133に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部130より前方側に第一空間131を、凸部130より後方側に第二空間132を形成している。ただし、溝構造のz軸方向の幅は、凸部130の前方側よりも後方側が広くなるように、すなわち、第二空間132のz軸方向の幅が第一空間131の幅よりも広くなるように形成されている。
【0085】
また、凸部130のファン71側の端部から第一空間131側の第二ケース133のxz平面に沿う面に至るまでの部分に、第二ケース133のxz平面に沿う面との成す角が鈍角となるような第一傾斜134が形成されている。同様に、凸部130のファン71側の端部から第二空間132側の第二ケース133のxz平面に沿う面に至るまでの部分に、第二ケース133のxz平面に沿う面との成す角が鈍角となるような第二傾斜135が形成されている。
【0086】
空気の流れは、空気の流れに対して垂直な面があると、その端部に空気のうずが生じやすく、また、袋小路状の構造では空気の流れが滞って空気が滞留しやすい。すなわち、このような空気の流れに対する渦や滞留は空気の流路抵抗となる。
【0087】
そこで、本実施の形態においては、第2の実施の形態の凸部100によって形成された、空気の流れに対する垂直な面や袋小路状の構造を無くした構造、すなわち、第一傾斜134及び第二傾斜135を形成する構造としている。これにより、第一及び第二空間131,132を通る空気の流れを整流化して渦や滞留の発生を抑制できるので、第一及び第二空間131,132を通る空気の流れの流路抵抗が減少し、空気流量を増加させることができる。
【0088】
その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0089】
以上のように構成した本実施の形態においても第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、本実施の形態においては、第一傾斜134及び第二傾斜135を形成し、空気の流れに対する垂直な面や袋小路状の構造を無くした構造としたので、第一及び第二空間131,132を通る空気の流量を増加させることができ、放熱効果をより向上させることによってカメラ装置202の温度上昇を抑制することができる。
【0091】
なお、本実施の形態においては、第一傾斜134及び第二傾斜135を平面で形成する場合を例示して説明したが、これに限られず、傾斜を空気の流れを阻害しない形状で形成する、すなわち、渦や滞留の発生を抑制できる曲面等で形成することも出来る。
【0092】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態を図15及び図16を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第5の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第5の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0093】
本実施の形態は、凸部140のファン71側端部から第二空間132における第二ケース133のxz平面に沿う面に至るまでの部分に形成した第二傾斜135に加え、第二空間142のz軸方向の幅が第二ケース133の後方に向かって広くなるような扇形状148を形成したものである。
【0094】
図15は、本実施の形態に係る第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。また、図16は、図15におけるE−E線断面図である。
【0095】
図15及び図16において、第二ケース143は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース143の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部140を有している。本実施の形態において、凸部140は、第二ケース143に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部140より前方側に第一空間141を、凸部140より後方側に第二空間142を形成している。ただし、溝構造のz軸方向の幅は、凸部140の前方側よりも後方側が広くなるように、すなわち、すなわち、第二空間142のz軸方向の幅が第一空間141の幅よりも広くなるように形成されている。
【0096】
また、凸部140のファン71側の端部から第一空間141側の第二ケース143のxz平面に沿う面に至るまでの部分に、第二ケース143のxz平面に沿う面との成す角が鈍角となるような第一傾斜134が形成されている。同様に、凸部140のファン71側の端部から第二空間142側の第二ケース143のxz平面に沿う面に至るまでの部分に、第二ケース143のxz平面に沿う面との成す角が鈍角となるような第二傾斜135が形成されている。
【0097】
さらに、第二空間142のz軸方向の幅が第二ケース133の後方に向かって広くなるような扇形状148が形成されている。
【0098】
空気の流れは、空気の流れに対して垂直な面があると、その端部に空気のうずが生じやすく、また、袋小路状の構造では空気の流れが滞って空気が滞留しやすい。すなわち、このような空気の流れに対する渦や滞留は空気の流路抵抗となる。
【0099】
そこで、本実施の形態においては、第5の実施の形態の凸部130によって形成された、空気の流れに対する垂直な面や袋小路状の構造をさらに無くした構造、すなわち、第一傾斜134及び第二傾斜135に加えて、扇形状148を形成する構造としている。これにより、第二空間142を通る空気の流れを整流化して渦や滞留の発生をさらに抑制できるので、第二空間142を通る空気の流れの流路抵抗が減少し、空気流量を増加させることができる。
【0100】
その他の構成は第5の実施の形態と同様である。
【0101】
以上のように構成した本実施の形態においても第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0102】
<第7の実施の形態>
本発明の第7の実施の形態を図17及び図18を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0103】
本実施の形態は、第二ケースのファンと対向する面に溝構造を設けずに凸部を形成したものである。
【0104】
図17は、本実施の形態に係る第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。また、図18は、図17におけるF−F線断面図である。
【0105】
図17及び図18において、第二ケース153は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース123の外部に配置されるファン71に向かって第二ケース153のxz平面に沿う面から突出するように形成された凸部150を有している。本実施の形態において、凸部150は、第二ケース153のxz平面に沿う面に、z軸方向に沿って延在するように形成されており、この凸部120によって前方側の空間と後方側の空間とに隔てることによって、凸部150より前方側に第一空間151を、凸部150より後方側に第二空間152を形成している。
【0106】
つまり、凸部150は、カメラ装置200をカバー72で覆った場合(第1の実施の形態の図5参照)に、ファン71の排気動作によってカバー72の内部に生じる空気の流れを、開口部73から流入して回路基板54の下面(第一主面55)側の空間及び第一空間151を通り、ファン71から排出される空気の流れと、開口部73から流入して回路基板54の上面(第二主面56)側の空間を介し、回路基板54の後方をまわって第二空間152を通り、ファン71から排出される空気の流れとの2つに分岐するように形成されている。
【0107】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0108】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
また、例えば、第二ケース153に凸部150以外の構造(溝構造など)を形成せず、第二ケース153の必要な部分にだけ凸部150を形成するように構成したので、第二ケース153の一部の加工で済み、第二ケース153の製造が容易となり、カメラ装置200のコストを低減することができる。
【0110】
<第8の実施の形態>
本発明の第8の実施の形態を図19及び図20を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第7の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第7の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0111】
本実施の形態は、第二ケースのファンと対向する面に溝構造を設けずに凸部を形成し、さらに、凸部の左右の端部に連なるように前後方向に延在する凸部を形成したしたものである。
【0112】
図19は、本実施の形態に係る第二ケースを抜き出して示す下方斜視図である。また、図20は、図19におけるG−G線断面図である。
【0113】
図17及び図18において、第二ケース163は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース163の外部に配置されるファン71に向かって第二ケース163のxz平面に沿う面から突出してz軸方向に延在するように形成された凸部160を有している。また、凸部160のz軸方向の両端部には、カメラ装置200の前後方向(x軸方向)に沿って延在するように凸部164,165が形成されている。すなわち、凸部160,164,165によって、H形状の凸構造が形成されており、凸部160,164,165で画定される空間の凸部160より前方側に第一空間161を、凸部160より後方側に第二空間162を形成している。これは、第二ケース163の凸部164,165間によりx軸方向に沿って形成された溝構造内に凸部160が配置されており、凸部160でその溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部160より前方側に第一空間161を、凸部160より後方側に第二空間162を形成しているといえる。
【0114】
その他の構成は第7の実施の形態と同様である。
【0115】
以上のように構成した本実施の形態においても第7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
また、x軸方向に延在するように凸部164,165を形成することによって、空気の流れが左右一対のカメラモジュール53,53の光軸方向に誘導されやすくなり、空気の流速が上昇することによってカメラ装置200の放熱性を向上することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、x軸方向に直線状に延在する凸部164,165を形成する場合を例示して説明したが、これに限られず、xz平面に沿う曲線状の凸部を形成しても良い。
【0118】
また、本実施の形態では、凸部160,164,165の第二ケース163からの突出距離(高さ)が同じ場合を例示して説明したが、これに限られず、凸部160,164,165の高さが異なるように構成してもよい。
【0119】
<第9の実施の形態>
本発明の第9の実施の形態を図21を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0120】
本実施の形態は、回路基板に搭載された回路素子とファンとの左右方向の位置が異なる場合に、凸部によって回路素子の位置に第一空間を形成しつつファンと凸部とが重なるように形成したものである。
【0121】
図21は、本実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
【0122】
図21において、カメラ装置204の回路素子21は、回路基板54の第二主面56(第1の実施の形態の図5等参照)であって、左右一対のカメラモジュール53,53の間の中央よりも一方(例えば、右側、すなわち、z軸正方向)のカメラモジュール53寄りに搭載されている。
【0123】
第二ケース173は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース52の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部170を有している。本実施の形態において、ファン71は、左右一対のカメラモジュール53,53の間の中央付近に配置されており、回路素子21の中心のz軸方向の位置176とファン71の中心の位置177とが距離178だけ異なる位置に配置されている。凸部170は、ファン71の回転軸に沿う方向(y軸に沿う方向)から見た場合に、ファン71(より詳しくは、ファン71による空気流路の断面)の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0124】
また、凸部170は、z軸に沿う方向から見た場合に、第二ケース173の前方側(x軸正方向側)の端部から後方側(x軸負方向側)端部まで、回路素子21の位置とファン71の位置とを滑らかに繋いで通るように設けられた曲線状の溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部170より前方側に第一空間171を、凸部170より後方側に第二空間172を形成している。すなわち、第一空間171は、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に、回路素子21(より正確には、回路素子21と熱的に接続される第二熱伝導部材23)の範囲を含むように配置されている。
【0125】
第二ケース173において、第二空間172の後方側の開放端(溝構造の後方側の端部)のz軸方向の幅175は、第一空間171の前方側の開放端(溝構造の前方側の端部)のz軸方向の幅174よりも広くなるように形成されている。
【0126】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0127】
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、ファン71のz軸方向の位置を回路素子21の位置に左右されずに設定することができるので、例えば、回路素子21の位置に係らずカバー72の外観の審美性等を考慮してファン71をz軸方向の中央に配置することも可能である。
【0129】
また、第二空間172の後方側の開放端のz軸方向の幅175を、第一空間171の前方側の開放端の幅174よりも広くなるように形成したので、第二空間172を通る空気の流れの流路抵抗を減らして、第一空間171を通る空気の流れの流路抵抗に近づけることで2つの流路を通る空気の流量のバランスをとることができ、カメラ装置204全体でみた場合の放熱効果をより向上させることによってカメラ装置204の温度上昇を抑制することができる。
【0130】
なお、本実施の形態においては、第一空間171および第二空間172のz軸方向の壁面(すなわち、溝構造の壁面)を曲面とする場合を例示して説明したが、これに限られず、平面としてもよい。
【0131】
<第10の実施の形態>
本発明の第10の実施の形態を図22を参照しつつ説明する。本実施の形態では、第2の実施の形態との相違点についてのみ説明するものとし、本実施の形態で用いる図面において第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0132】
本実施の形態は、回路基板に搭載された回路素子とファンとの左右方向の位置が異なるように構成したものである。
【0133】
図22は、本実施の形態に係るカメラ装置の外観を示す下面図である。
【0134】
図22において、カメラ装置205の第二ケース183は、回路基板54の第一主面55に対向して第二ケース183の外部に配置されるファン71に向かって突出するように形成された凸部180を有している。凸部180は、z軸方向の中央よりも一方(例えば、右側、すなわち、z軸正方向)のカメラモジュール53寄りの位置に第二ケース183に前後方向(x軸方向)に沿って設けられた溝構造内に配置されており、その溝構造を前方側と後方側とに隔てることによって、凸部180より前方側に第一空間181を、凸部180より後方側に第二空間182をそれぞれ形成している。第一及び第二空間181,182のz軸方向の中心(すなわち、凸部180のz軸方向の中心)の位置184は、回路素子21の中心の位置185よりも一方(右側)のカメラモジュール53寄りの位置に、回路素子21の中心の位置185と第一及び第二空間181,182の中心の位置184とが距離186だけ異なるように配置されている。また、図示しないが、ファン71の中心のz軸方向の位置は、第一及び第二空間181,182と同じ位置に配置されている。 ここで、溝構造のz軸方向の幅は、凸部180の前方側よりも後方側が広くなるように、すなわち、第二空間182の左右一対のカメラモジュール53,53を結ぶ方向(z軸方向)の幅が第一空間181の幅よりも広くなるように形成されている。
【0135】
すなわち、凸部180は、少なくとも第二ケース183と凸部180とで画定され、回路基板54の第一主面55側の空気を排出するための第一空間181と、少なくとも第二ケース183と凸部180とで画定され、回路基板54の第二主面56側の空気を排出するための第二空間182と、を隔てるようにz軸方向に沿って延在して形成され、かつ、ファン71の回転軸に沿う方向(y軸に沿う方向)から見た場合にファン71(より詳しくは、ファン71による空気流路の断面)の少なくとも一部と重なるように配置されている。また、第一空間181は、ファン71の回転軸に沿う方向から見た場合に、回路素子21(より正確には、回路素子21と熱的に接続される第二熱伝導部材23)の範囲を含むように配置されている。
【0136】
本実施の形態のように、回路基板54に搭載される回路素子21が左右一対のカメラモジュール53,53のどちらかに近接している場合、回路素子21が近いほうのカメラモジュール53の温度が上昇しやすい。しかしながら、左右一対のカメラモジュール53,53の間に温度差が生じると、測定不良や動作障害が生じる可能性があるため、左右一対のカメラモジュール53,53の温度を同等とする必要がある。
【0137】
そこで、本実施の形態においては、回路素子21から見て近いほう(例えば、z軸正方向)のカメラモジュール53側の放熱を促進さるため、第一空間181及び第二空間182のz軸方向の中心の位置184が、回路素子21の中心の位置185よりも、回路素子21に近いほうのカメラモジュール53側に距離186だけ寄った構成とする、すなわち回路素子21の左右一対のカメラモジュール53,53間方向の中心の位置185と、第一空間181と第二空間182のz軸方向の中心の位置184との問に距離186を設けて構成した。これにより、第二ケース183の回路素子21に近い一方のカメラモジュール53側の放熱効果を他方のカメラモジュール53側の放熱効果よりも高くして、左右一対のカメラモジュール53,53の温度を同等とすることが可能となる。
【0138】
その他の構成は第2の実施の形態と同様である。
【0139】
以上のように構成した本実施の形態においても第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0140】
また、回路素子21と左右一対のカメラモジュール53,53のそれぞれとの位置関係に応じて、第一空間181と第二空間182のz軸方向の中心の位置184との問に距離186を調整することができるので、左右一対のカメラモジュール53,53の温度を同等とすることが可能となる。
【0141】
また、カメラ装置205の各部の温度差を小さくすることができる、言い換えると、温度分布の偏りを抑制してより平坦にすることができ、カメラ装置205の変形を低減することができるので、測定不良や動作障害の発生を抑制した信頼性の高いカメラ装置205を提供することができる。
【0142】
なお、本実施の形態においては、z軸方向において、第一及び第二空間181,182の中心の位置184を回路素子21の中心の位置185よりも距離186だけ左右一対のカメラモジュール53,53の近い一方のカメラモジュール53側にずらして配置する構成としたが、これに限られず、例えば、第一及び第二空間181,182の中心の位置184と回路素子21の中心の位置185とをz軸方向において同じ位置とし、ファン71の中心の位置(図示せず)を第一及び第二空間181,182の中心の位置184よりも左右一対のカメラモジュール53,53の近い一方のカメラモジュール53側にずらして配置することによっても同様の効果を得ることができる。
【0143】
<付記>
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例や組み合わせが含まれる。また、本発明は、上記の実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【符号の説明】
【0144】
1…凸部、11…第一空間、12…第二空間、13,14…空気の流路、21…回路素子、22…第一熱伝導部材、23…第二熱伝導部材、51…第一ケース、52,57,103,113,123,133,143,153,163,173,183…第二ケース、53…カメラモジュール、53a…視野領域、54…回路基板、55…第一主面、56…第二主面、61…フロントガラス、62…天井、63…コンソール、71…ファン、71a…排出口、72…カバー、73…開口部、100,110,120,130,140,150,160,164,165,170,180…凸部、101,111,121,131,141,151,161,171,181…第一空間、102,112,122,132,142,152,162,172,182…第二空間、104,105,174,175…幅、114,115,176,177,184,185…位置、116,178,186…距離、134…第一傾斜、135…第二傾斜、148…扇形状、200,200A,201,202,203,204,205…カメラ装置
図1
図2
図3
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図5
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