(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974275
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】レーザーポインタ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/20 20060101AFI20211118BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
G02B27/20
B08B3/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-154796(P2018-154796)
(22)【出願日】2018年8月21日
(65)【公開番号】特開2020-30278(P2020-30278A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2020年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川森 巧曜
(72)【発明者】
【氏名】沢崎 富男
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6158413(JP,B1)
【文献】
中国実用新案第201130271(CN,Y)
【文献】
特開2002−310849(JP,A)
【文献】
特開2016−022481(JP,A)
【文献】
特開2002−116412(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0096649(KR,A)
【文献】
米国特許第07762684(US,B2)
【文献】
米国特許第06000813(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−30/60
B08B 3/02
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部に雄ねじを有し、第2端部に照射穴とケーブル穴とを有するボディと、
前記ボディの内部に配置される円筒状のレーザー室であって、前記第1端部が開口したレーザー室と、
前記レーザー室に設けられ、前記照射穴からレーザーを照射するレーザー発振器と、
前記ケーブル穴を介して、前記ボディの外部から前記レーザー発振器に電源を供給するケーブルと、
を有するレーザーポインタ。
【請求項2】
前記ボディは、外周面に周方向に均等に配置される調整ねじ穴であって、前記ボディの外周面から前記レーザー室に貫通する調整ねじ穴を有し、
前記調整ねじ穴にねじ込まれ、前記レーザー発振器を支持する調整ねじと、
を有する請求項1に記載のレーザーポインタ。
【請求項3】
前記ボディは、外周面に周方向に均等に配置される3つ又は4つの前記調整ねじ穴を有する、請求項2に記載のレーザーポインタ。
【請求項4】
前記ボディは、前記照射穴の軸方向に並んで配置される2つの前記調整ねじ穴を有する、請求項2又は3に記載のレーザーポインタ。
【請求項5】
前記照射穴は、前記雄ねじと同軸である、請求項1〜4のいずれかに記載のレーザーポインタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機用のレーザーポインタに関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄機のノズルから噴射される洗浄液が対象物と衝突する位置を確認するため、レーザーポインタが利用される。
例えば、従来のレーザーポインタは、光が通過する開口を有する本体ケースと、本体ケースの外周面中央に設けられた第一のねじ部と、第一のねじ部よりも径の小さい第二のねじ部と、本体ケースに内蔵されて光を発生させる励起光発生機と、バッテリーと、励起光発生機から照射した光を透過又は収束する凸レンズと、凸レンズを透過又は収束した光を十文字形に出力する十文字出力パーツと、レンズ枠体とを有する(特許第6030802号、以下、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のレーザーポインタは、電源ケーブルを背面から通してバッテリーに接続するため、洗浄機への取り付けが困難である。
本発明は、洗浄機へ容易に装着できるレーザーポインタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点のレーザーポインタは、
第1端部に雄ねじを有し、第2端部に照射穴とケーブル穴とを有するボディと、
前記ボディの内部に配置される円筒状のレーザー室であって、前記第1端部が開口したレーザー室と、
前記レーザー室に設けられ、前記照射穴からレーザーを照射するレーザー発振器と、
前記ケーブル穴を介して、前記ボディの外部から前記レーザー発振器に電源を供給するケーブルと、
を有する。
第2の観点のレーザーポインタは、
第1端部に雄ねじを有し、第2端部に照射穴を有し、外周面にケーブル穴を有するボディと、
ボディの内部に配置される円筒状のレーザー室であって、第1端部が開口したレーザー室と、
レーザー室に設けられ、照射穴からレーザーを照射するレーザー発振器と、
ケーブル穴を介して、ボディの外部からレーザー発振器に電源を供給するケーブルと、
を有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明のレーザーポインタによれば、洗浄機へ容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態のレーザーポインタを装着可能な洗浄機
【
図2】実施形態のレーザーポインタを装着した洗浄機
【
図3】実施形態のレーザーポインタのボディの左側面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に示すように、洗浄機1は、ノズルブロック(以下、「ブロック5」という。)、ノズル7、ジグ2、移動装置4及び制御装置6を有する。対象物3は、ジグ2に固定される。例えば、制御装置6は数値制御装置であり、制御装置6は移動装置4を数値制御する。移動装置4はブロック5を対象物3に対して相対的にXYZ方向に移動させる。ブロック5は、一つ以上(本実施形態では3つ)のノズル7を有する。ノズル7は、洗浄液を噴射する。ノズル7が対象物の洗浄部位3aに対向するように、移動装置4はブロック5を移動する。
【0008】
図2に示すように、レーザーポインタ(以下、「ポインタ10」という。)は、ノズル7に替えてブロック5に装着される。ポインタ10は、ボディ11、照射穴13、ケーブル15、電源17及びレーザー発振器(以下、「発振器26」という。
図4参照)を有する。ポインタ10は、調整ねじ(以下、「ねじ21」という。)を有してもよい。
【0009】
図3及び
図4に示すように、ボディ11は、雄ねじ11a、レーザー室31、照射穴13及びケーブル穴25を有する。ボディ11は、調整ねじ穴23を有してもよい。
ボディ11は軸11dを中心とする円筒状であり、第1端部(
図4の右側)に雄ねじ11aを有する。ボディ11は、ノズル7と実質的に同じ寸法を有する。雄ねじ11aは軸11dと同軸であり、平行ねじ又はテーパねじである。雄ねじ11aは、ブロック5の雌ねじ5aにねじ込まれる。ボディ11の円筒面11cはローレット加工されてよい。
なお、ボディ11は多角柱でもよい。
【0010】
レーザー室31は、ボディ11の第1端部に配置され、第1端部が開口している。レーザー室31は、円筒状である。レーザー室31は、ボディ11と同軸である。照射穴13は、ボディ11の第2端部(
図4の左側)に形成される。照射穴13は、雄ねじ11aと同軸であり、レーザー室31に貫通する。ケーブル穴25は、ボディ11の第1端部からレーザー室31に貫通する。
【0011】
ケーブル穴25の開口25aは、ボディ11の第2端部の端面11bに形成される。望ましくは、ケーブル穴25の断面は長穴(スロット穴)である。断面視で、長穴は円周方向に延びる。好ましくは、
図3に示すように、スロット穴である開口25aは、軸11dを中心とする円弧に沿って延びる。
図4に示すように、ケーブル穴25は縦断面において、緩やかなS字のカーブ形状を有する。ケーブル穴25の横断面形状は開口25aから第1端部にかけて一定である。好ましくは、第1端部側において、ケーブル穴25は軸11dと平行に延びる。ケーブル穴25は、第1端部においてレーザー室31の円周面から若干外側に膨らむように接して、レーザー室31と接続する。ケーブル穴25は、好ましくは雄ねじ11aの谷よりも中心寄りに設けられる。長穴断面のケーブル穴25は平形ケーブルに適合する。
【0012】
発振器26は、レーザーダイオード(以下、「ダイオード29」という。)、レンズ35、電気端子(以下、「端子30」という。)を有する。発振器26は円筒形状である。ダイオード29は、例えば、半導体レーザーである。ダイオード29は、発振器26の中心軸26a上にレーザーを発振する。レンズ35の光軸は、中心軸26aと同軸である。端子30は、第1端部側の発振器26の端部に設けられる。ダイオード29が発振したレーザー37は、レンズ35の光軸を通って実質的に平行な光線となって照射穴13から照射される。
【0013】
電源17は、発振器26に電源を供給する。電源17は、レーザーダイオードの昇圧回路を有してもよい。
ケーブル15は、端子30と電源17を接続する。ケーブル15は、ケーブル穴25を介してボディ11の内部に挿入される。また、ケーブル15は、ボディ11の第2端部から引き出される。第1端部側において、ケーブル15は中心方向に曲げられ、端子30に接続する。好ましくは、ケーブル15は、端子30との接続部分を含めてレーザー室31からはみ出さない。好ましくは、ケーブル15は、2芯又は3芯の平形ケーブルである。平形ケーブルは、断面視でケーブル穴25を円周方向に広がるため、半径方向の高さを抑制できる。このため、平形ケーブルであるケーブル15と長穴断面のケーブル穴25の組み合わせにより、ボディ11を小型化できる。
【0014】
軸26aは軸11dと同一である。発振器26は、レーザー室31に嵌合して挿入されてよい。
【0015】
好ましくは、軸26aが軸11dと同一になるように、調整機構が設けられる。
図4に示すように、レーザー室31の直径D1は、発振器26の直径D2よりもわずかに大きい。そのため、発振器26の設置位置はレーザー室31内で調整できる。
ボディ11の円筒面11cには、半径方向に延びてレーザー室31に貫通する複数の調整ねじ穴(以下、「ねじ穴23」という。)が形成される。ねじ穴23は周方向に均等に配置される。好ましくは、ねじ穴23は円周方向に3つ又は4つ配置される。
図4に示すように、軸11dに沿って2つのねじ穴23が形成される。すなわち、合計6つ又は8つのねじ穴23が形成される。回転方向の位相が同一になるように、2列のねじ穴23が軸11dに沿って並んで配置される。
複数のねじ21は、それぞれねじ穴23にねじ込まれる。ねじ21は、止めねじでも良い。各ねじ21の先端部は、発振器26の外周面に接触し、発振器26を支持する。ねじ21の突出量に応じて、発振器26はボディ11に対して傾斜する。このように、ねじ21の突出量を調整することにより、レーザー37の光軸が軸11dに一致するように調整できる。
【0016】
図2に示すように、ケーブル15は、ボディ11の第2端部から引き出されて電源17と接続する。ケーブル15は、ブロック5や配管の内部を通らない。そのため、ポインタ10をブロック5に容易に装着できる。
洗浄機1が対象物3を洗浄する際、ノズル7やブロック5を対象物3やジグ2の隙間に挿入する場合がある。ボディ11は、ノズル7と実質的に同一の寸法を有する。電源17は、ノズル7やブロック5の移動を妨げない位置(例えばブロック5の上部)にバンド19等で固定できる。これにより、ポインタ10を装着したまま、狭い隙間にもブロック5を挿入できる。たとえわずかな隙間であっても、ノズル7を装着したブロック5を挿入できれば、ノズル7に替えてポインタ10を装着したブロック5を挿入できる。
【0017】
(変形例)
図5を参照して、変形例のポインタ100を説明する。ポインタ100は、ケーブル穴125の形状がポインタ10と異なる。ポインタ100の他の構成は実施形態のポインタ10と同様であるため、説明を省略する。
ケーブル穴125は、円筒面11cに開口125aを持つ。開口125aの断面は長穴(スロット穴)である。長穴断面は、円周方向に(
図5の紙面に垂直方向に)広がる。開口125aは第2端部よりに配置されてよい。ケーブル穴125は、縦断面においてJ字状である。第1端部側において、ケーブル穴125は軸11dに平行に延びる。第2端部側において、ケーブル穴125は外側に向けて緩やかにカーブを描く。ケーブル穴125は、第1端部側において、レーザー室31の円周面から若干外側に膨らむように接して、レーザー室31と接続する。第1端部側において、ケーブル穴125の断面は、軸11dを中心とする円周方向に沿って広がる。
ケーブル15は、開口125aから挿入され、端子30と接続する。
また、ケーブル15は、円筒面から引き出される。実施形態のポインタ10ではケーブル15が端面11bの第2端部側に飛び出ているため、端面11bと対象物3やジグ2との隙間にケーブル15を通す必要があった。変形例のポインタ100によれば、端面11bと対象物3やジグ2との隙間をさらに狭めて移動させることができる。
【符号の説明】
【0018】
10、100 ポインタ(レーザーポインタ)
11 ボディ
13 照射穴
15 ケーブル
21 ねじ(調整ねじ)
23 ねじ穴(調整ねじ穴)
25、125 ケーブル穴
26 発振器(レーザー発振器)