(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R4により置換されてよい。)または、各場合に、1以上の基R4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の化合物。
電子素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機ソーラーセル、染料感受性有機ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学セル、有機レーザーダイオードおよび有機プラスモン発光素子より成る群から選ばれる、請求項14記載の電子素子。
請求項1〜10何れか1項記載の化合物が、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロッックもしくは電子ブロッック層中で正孔輸送材料として、または、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項15記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用のための材料およびこれらの材料を含む電子素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として用いられる有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4,539,507、US 5,151,629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体にますますなっている(M.A.Baldo et al., Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。
【0003】
先行技術にしたがうと、正孔輸送層もしくは正孔注入層中で使用される正孔輸送材料は、特に、少なくとも2つのトリアリールアミノ基または少なくとも1つのトリアリールアミノ基と少なくとも1つのカルバゾール基を含むトリアリールアミン誘導体である。これらの化合物は、ジアリールアミノ置換トリフェニルアミン(TPA型)から、ジアリールアミノ置換ビフェニル誘導体(TAD型)から、またはこれらの基本化合物の組み合わせから誘導されることが多い。さらに、たとえば、1〜4個のジアリールアミノ基により置換されるスピロビフルオレンの使用がなされることが多い(たとえば、EP 676461、US 7,714,145もしくはEP2814906にしたがうもの。)。これらの化合物の場合に、蛍光OLEDの場合と燐光OLEDの場合両者において、効率、寿命および駆動電圧に関して、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用について、改良に対する需要がさらに存在する。
【0004】
本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLED、特に、燐光OLEDにおける、たとえば、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロック層または電子ブロック層中で正孔輸送材料としてのまたは発光層中の蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用のために適している化合物を提供することである。
【0005】
以下でより詳細に説明されるある種の化合物が、この目的を実現し、特に、寿命、効率と駆動電圧に関して、有機エレクトロルミネッセンス素子における顕著な改善をもたらすことが、今回見出された。これは、特別に、正孔輸送材料、正孔注入材料としてまたはマトリックス材料としての本発明による化合物の使用について、燐光および蛍光エレクトロルミネッセンス素子にあてはまる。さらに、以下説明される化合物は、高い熱安定性を示し、それゆえ、分解することなくまた残留物もなく昇華することができる。さらに、それらは、低い結晶化度と高いガラス転移温度を有し、改良された寿命をもたらす。
【0006】
したがって、本発明は、以下の式(1)の化合物に関する:
【0007】
【化1】
【0008】
式中、Aは、以下の式(2)の基であり、式(1)に示されるとおりのスピロビフルオレン構造の1位もしくは4位にのみ存在することができ、
【0009】
【化2】
【0010】
式中、破線の結合は、スピロビフルオレン構造への結合を示し;
スピロビフルオレン構造のフリーな1〜8もしくは1’〜8’位置夫々は、基AもしくはN(Ar)
2により置換されず、基Rにより置換されてよく;
以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Xは、出現毎に同一であるか異なり、B(R
0)、C(R
0)
2、C(R
0)
2-C(R
0)
2、CR
0=CR
0、Si(R
0)
2、C=O、C=NR
0、C=C(R
0)
2、O、S、S=O、SO
2、P(R
0)およびP(=O)(R
0)より成る基から選ばれる2価ブリッジであるか、またはXは、以下の式(3)の基であり、
【0011】
【化3】
【0012】
式中、破線の結合は、フルオレン基への結合を示し;
R、R
0は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、CN、C(=O)Ar
1、P(=O)(Ar
1)
2、S(=O)Ar
1、S(=O)
2Ar
1、NO
2、Si(R
4)
3、B(OR
4)
2、OSO
2R
4、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、R
4C=CR
4、C≡C、Si(R
4)
2、Ge(R
4)
2、Sn(R
4)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
4)、SO、SO
2、O、SもしくはCONR
4で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
6で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または1以上の基R
4で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するチオアリールもしくはチオヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、同じCもしくはSi原子に結合する2個の置換基R
0は、1以上の基R
4により置換されてよいモノあるいはポリ環状の脂肪族環構造を随意に形成してもよく;
R
1、R
2およびR
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、CN、N(Ar
1)
2、C(=O)Ar
1、P(=O)(Ar
1)
2、S(=O)Ar
1、S(=O)
2Ar
1、NO
2、Si(R
4)
3、B(OR
4)
2、OSO
2R
4、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、R
4C=CR
4、C≡C、Si(R
4)
2、Ge(R
4)
2、Sn(R
4)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
4)、SO、SO
2、O、SもしくはCONR
4で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
4で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、1以上の基R
4で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するチオアリールもしくはチオヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
1、2個以上の隣接する置換基R
2もしくは2個以上の隣接する置換基R
3は、1以上の基R
4により置換されてよいモノあるいはポリ環式の脂肪族環構造もしくは芳香族環構造を随意に形成してもよく;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、CN、N(Ar
1)
2、C(=O)Ar
1、P(=O)(Ar
1)
2、S(=O)Ar
1、S(=O)
2Ar
1、NO
2、Si(R
5)
3、B(OR
5)
2、OSO
2R
5、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(夫々は、1以上の基R
5により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、R
5C=CR
5、C≡C、Si(R
5)
2、Ge(R
5)
2、Sn(R
5)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、O、SもしくはCONR
5で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
5により置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
5で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、1以上の基R
5で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するチオアリールもしくはチオヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
4は、1以上の基R
5により置換されてよいモノあるいはポリ環状の脂肪族環構造もしくは芳香族環構造を随意に形成してもよく;
R
5は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、SO、SO
2、O、Sで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;
Ar、Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
4により置換されてもよい5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
m、n、rは、同一であるか異なり、0または1であり;
pは、0、1、2または3であり;
q、uは、同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1、2、3または4であり;ここで、s+r≦4であり
tは、0、1、2、3、4または5であり;ここで、t+r≦5である。
【0013】
本願の目的のために、化学基の以下の定義が適用される。
【0014】
本発明の意味での、アリール基は、環構造中に、6〜60個のC原子を含み、これは、全てCである6〜60個の芳香族環原子を含むことを意味し;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0015】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかを意味で使用される。本願の意味での縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した2以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0016】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0017】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基(-O-アリール)は、酸素原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基に適用される。
【0018】
本発明の定義にしたがうチオアリール基(-S-アリール)は、硫黄原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、チオ-ヘテロアリール基に適用される。
【0019】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わり加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、2個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の2個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0020】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-もしくはtrnas-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0021】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0022】
2個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本願の目的のためには、特に、2個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用されることを意図される。これは、以下のスキームにより図解される。
【0023】
【化4】
【0024】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、2個の基の一つが水素である場合には、第2の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用されることを意図される。これは、以下のスキームにより図解される。
【0025】
【化5】
【0026】
好ましい1態様にしたがうと、m+n=0または1である。より好ましくは、m+n=0である。
【0027】
Xは、C(R
0)
2、C(R
0)
2-C(R
0)
2、CR
0=CR
0、Si(R
0)
2、O、S、S=OおよびSO
2より成る基から選ばれる2価ブリッジであるか、またはXは、式(3)の基であることが好ましい。
【0028】
Xは、C(R
0)
2、O、SおよびSO
2より成る基から選ばれ、rは0であることが、特に好ましい。
【0029】
Xは、C(R
0)
2であり、rは0であることが、非常に特に好ましい。
【0030】
Arは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0031】
ここで、基Arは、非常に特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、以下の式(10)〜(66)の基から選ばれる。
【0032】
【化6-1】
【0033】
【化6-2】
【0034】
【化6-3】
【0035】
【化6-4】
【0036】
【化6-5】
【0037】
式中、破線の結合は窒素への結合であり、基は1以上の基R
4により置換されてよいが、好ましくは、置換されない。
【0038】
さらに好ましい1態様では、基N(Ar)
2は、式(2)のA基である。
【0039】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物は、以下の式(1−1)〜(1−6)の化合物から選ばれる。
【0040】
【化7】
【0041】
式(1−1)と(1−4)は、式(1−1)〜(1−6)の中で特に好ましいものである。
【0042】
本発明の特に好ましい1態様では、式(1−1)〜(1−6)の化合物は、以下の式(1−1a)〜(1−6a)の化合物から選ばれる;
【0043】
【化8】
【0044】
式中、使用される記号と添え字は、上記示される意味を有する。
【0045】
式(1−1a)と(1−4a)は、式(1−1a)〜(1−6a)の中で特に好ましいものである。
【0046】
本発明の非常に特に好ましい1態様では、式(1−1a)〜(1−6a)の化合物は、以下の式(1−1b)〜(1−6b)の化合物から選ばれる;
【0047】
【化9】
【0048】
式中、記号Aは、上記示される同じ意味を有する。
【0049】
式(1−1b)と(1−4b)は、式(1−1b)〜(1−6b)の中で特に好ましいものである。
【0050】
本発明の好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0051】
本発明の特に好ましい1態様では、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜6個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれる。
【0052】
式(1)、(1−1)〜(1−6)と式(1−1a)〜(1−6a)の化合物におけるRは、非常に特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、F、CN、メチル、tert-ブチルまたはフェニルより成る基から選ばれる。
【0053】
R
1とR
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれることが好ましい。
【0054】
R
2は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基はOもしくはSで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基または1以上の基R
4で置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、または、1以上の基R
4で置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有するチオアリールもしくはチオヘテロアリール基より成る基から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基R
2は、1以上の基R
4により置換されてよいモノあるいはポリ環状の脂肪族環構造もしくは芳香族環構造を随意に形成してもよいことがさらに好ましい。
【0055】
特に好ましい態様によれば、2個以上の隣接する置換基R
2は、モノあるいはポリ環状の脂肪族環構造もしくは芳香族環構造を形成しない。
【0056】
さらに特に好ましい態様によれば、2個以上の隣接する置換基R
2は、モノあるいはポリ環状の脂肪族環構造もしくは芳香族環構造を形成する。
【0057】
2個以上の隣接する置換基R
2が、経路(1)〜(5)の一つにより、環を形成することが、非常に特に好ましい。
【0058】
【化10】
【0059】
本発明のさらに好ましい1態様では、R
0は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個の置換基R
0は、1以上の基R
4により置換されてよいモノ環状の脂肪族環構造を随意に形成してもよい。
【0060】
R
0は、特に好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよい。)より成る基から選ばれる。
【0061】
真空蒸発から加工される化合物に対しては、アルキル基は、好ましくは、4個を超えないC原子、特に好ましくは、1個を超えないC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、適切な化合物は、10個までのC原子を有する直鎖、分岐もしくは環状アルキル基で置換されたものか、オリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルまたはクアテルフェニルで置換されたものである。
【0062】
本発明による適切な化合物の例は、以下の表に示される化合物である。
【0063】
【化11-1】
【0064】
【化11-2】
【0065】
【化11-3】
【0066】
【化11-4】
【0067】
【化11-5】
【0068】
【化11-6】
【0069】
【化11-7】
【0070】
【化11-8】
【0071】
本発明による化合物は、たとえば、臭素化、ウルマンアリール化、ハートウィッグ-ブフバルトカップリング等の当業者に知られた合成工程により調製することができる。
【0072】
本発明による化合物の合成は、スキーム1に示され、ここで、2個の異なるアクセス経路が示される。
合成は、一般的に、1-もしくは4-ハロゲン化、特に、臭素化スピロビフルオレンから出発する。これらの合成は、WO 2013/120577に既に記載されている。ジアリールアミノ基の導入は、出発物質として2級アリールアミンを使用するC-Nカップリング反応による1段階でか、または、最初に1級ジアリールアミンとアリール臭素化物、引き続き第2のC-Nカップリングを夫々使用する2段階反応でかの何れかを使用して実施することができる。
同様に、別の適切な脱離基、たとえば、トシレートもしくはトリフレートを、ハロゲンに代えて使用することができる。同様に、対応して置換された構造も、全く同様にして合成することができる。
例として、C-Nカップリング反応、ハートウィッグ-ブフバルトカップリングもしくはウルマンカップリング反応を使用することができる。
【0073】
【化12】
【0074】
したがって、本発明は、さらに、ジアリールアミノ基が、1-もしくは4-ハロゲン化スピロビフルオレンとジアリールアミン基との間のC-Nカップリング反応により導入されることを特徴とする、式(1)の化合物の製造方法に関する。
【0075】
上記記載の本発明による化合物は、特に、臭素、沃素、ボロン酸もしくはボロン酸エステル等の反応性脱離基により置換された化合物は、対応するオリゴマー、デンドリマーまたはポリマーの調製のためのモノマーとして使用することができる。ここで、オリゴマー化またはポリマー化は、好ましくは、ハロゲン官能基またはボロン酸官能基により実行される。
【0076】
したがって、本発明は、さらに、1以上の式(1)の化合物を含むオリゴマー、ポリマーまたはデンドリマーに関し、ここで、ポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーへの結合は、Rで置換された式(1)において任意の占有されない位置に局在化してよい。式(1)の化合物の結合に応じて、化合物は、オリゴマーもしくはポリマーの側鎖の部分であるか、または主鎖の部分である。本発明の意味でのオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。本発明の意味でのポリマーは、少なくとも10個のモノマー単位から形成される化合物の意味で使用される。本発明によるポリマー、オリゴマーまたはデンドリマーは、共役、部分共役もしくは非共役であってよい。本発明によるオリゴマーまたはポリマーは、直鎖、分岐鎖もしくは樹状であってよい。直鎖状の結合を有する構造においては、式(1)の単位は、たがいに直接結合してよいか、または2価の基、たとえば、置換もしくは非置換アルキレン基により、ヘテロ原子により、または2価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により、たがいに結合してよい。分岐および樹状構造においては、たとえば、3個以上の式(1)の単位が、たとえば、3価もしくは多価の基、たとえば、3価もしくは多価の芳香族もしくは複素環式芳香族基により結合することができ、分岐もしくは樹状オリゴマーまたはポリマーを生じる。式(1)の化合物に対する上記記載したとおりの同じ選好が、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマー中の式(1)の反復単位にあてはまる。
【0077】
オリゴマーまたはポリマーの調製のために、本発明によるモノマーは、さらなるモノマーとホモ重合するか共重合する。適切で好ましいコモノマーは、フルオレン(たとえば、EP842208もしくはWO00/22026にしたがうもの)、スピロビフルオレン(たとえば、EP707020、EP894107もしくはWO06/061181にしたがうもの)、パラ-フェニレン(たとえば、WO92/18552にしたがうもの)、カルバゾール(たとえば、WO04/070772もしくはW004/113468にしたがうもの)、チオフェン(たとえば、EP1028136にしたがうもの)、ジヒドロフェナントレン(たとえば、WO 05/014689もしくはWO 07/006383にしたがうもの)、cis-およびtrans-インデノフルオレン(たとえば、WO04/041901もしくはWO04/113412にしたがうもの)、ケトン(たとえば、WO05/040302にしたがうもの)、フェナントレン(たとえば、WO05/104264もしくはWO07/017066にしたがうもの)または複数のこれらの単位から選ばれる。ポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、さらなる単位、たとえば、ビニルトリアリールアミン(たとえば、WO07/068325にしたがうもの)もしくは燐光金属錯体(たとえば、WO06/03000にしたがうもの)等の発光(蛍光または燐光)単位および/または電荷輸送単位、特に、トリアリールアミン系のものを通常含む。
【0078】
本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーは、有利な特性、特に、長い寿命、高い効率と良好な色座標を有する。
【0079】
本発明によるポリマーおよびオリゴマーは、1以上のタイプのモノマーの重合により一般的に調製され、少なくとも一つのモノマーは、ポリマー中に式(1)の反復単位を生じる。適切な重合反応は、当業者に知られ、文献に記載されている。C-CまたはC-N結合を生じる、特に適切で好ましい重合反応は、以下である:
(A)スズキ重合;
(B)ヤマモト重合;
(C)スチル重合および
(D)ハートウイッグ-ブッフバルト重合。
【0080】
重合をこれらの方法により実行することができる方法と次いでポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、当業者に知られており、文献、たとえば、WO 2003/048225、WO 2004/037887およびWO 2004/037887に詳細に記載されている。
【0081】
したがって、本発明は、また、スズキ重合、ヤマモト重合、スチル重合またはハートウイッグ-ブッフバルト重合によって調製されることを特徴とする、本発明によるポリマー、オリゴマーおよびデンドリマーを製造する方法に関する。本発明によるデンドリマーは、当業者に知られた方法または類似方法により製造され得る。適切な方法は、文献、たとえば、Frechet, Jean M. J.; Hawker, Craig J., "Hyperbranched polyphenylene and hyperbranched polyesters: new soluble, three-dimensional, reactive polymers"、 Reactive & Functional Polymers (1995), 26(1-3), 127-36; Janssen, H. M.; Meijer, E. W.、 "The synthesis and characterization of dendritic molecules", Materials Science and Technology (1999), 20 (Synthesis of Polymers), 403-458; Tomalia, Donald A., "Dendrimer molecules", Scientific American (1995), 272(5), 62-6、WO 02/067343 A1およびWO 2005/026144 A1に記載されている。
【0082】
本発明による化合物は、電子素子での使用に適している。ここで、電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子の意味で使用される。しかしながら、ここで、素子は、また、無機材料または完全に無機材料から構成される層を含んでもよい。
【0083】
したがって、本発明は、さらに、本発明による化合物の、電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に関する。
【0084】
本発明は、なおさらに、少なくとも一つの本発明による化合物を含む電子素子に関する。上記選好は、同様に電子素子にもあてはまる。
【0085】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機発光ダイオード、OLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機ソーラーセル(O−SC)、有機染料増感性ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−laser)および有機プラズモン発光素子(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)から選ばれるが、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、特に好ましくは、燐光OLEDから選ばれる。
【0086】
有機エレクトロルミネッセンス素子と発光電子化学セルを種々の用途、たとえば、単色もしくは多色表示装置、医療および/または美容用途、たとえば、光治療に用いることができる。
【0087】
有機エレクトロルミッセンス素子は、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。これらの層に加えて、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層を、2個の発光層の間に同様に導入してもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。
【0088】
ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでよい。複数の発光層が存在する場合には、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、その結果全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し得る種々の発光化合物が、発光層で使用される。特別に好ましいものは、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。ここで、全発光層が蛍光発光であるか、または全発光層が燐光発光であるか、または1以上の発光層が蛍光発光であり1以上の他の発光層が燐光発光であることも可能である。
【0089】
上記詳細な態様にしたがう本発明による化合物は、その正確な構造に応じて、種々の層に用いることができる。好ましいものは、式(1)の化合物またはその好ましい態様を、正孔輸送もしくは正孔注入もしくは励起子ブロック層での正孔輸送材料として、または発光層での蛍光もしくは燐光エミッターのための、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料として含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。上記示される好ましい態様は、有機電子素子での材料の使用にもあてはまる。
【0090】
本発明の好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、正孔輸送もしくは正孔注入層中で正孔輸送もしくは正孔注入材料として用いられる。ここで、発光層は、蛍光もしくは燐光であることができる。本発明の意味での正孔注入層は、アノードに直接隣接する層である。本発明の意味での正孔輸送層は、正孔注入層と発光層との間に位置する層である。
【0091】
本発明のなおさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、励起子ブロック層中で用いられる。励起子ブロック層は、アノード側で発光層に直接隣接する層の意味で使用される。
【0092】
式(1)の化合物またはその好ましい態様は、特に好ましくは、正孔輸送または励起子ブロック層中で用いられる。
【0093】
式(1)の化合物が、正孔輸送層、正孔注入層もしくは励起子ブロック層中で正孔輸送材料として用いられる場合には、式(1)の化合物は、単一材料として、すなわち、100%の割合で使用され得るか、または式(1)の化合物は、1以上の他の材料と組み合わせてそのような層中で使用され得る。好ましい態様によれば、式(1)の化合物を含む有機層は、追加的に1以上のp-ドーパントを含む。本発明のための好ましいp-ドーパントは、電子を受容することができ(電子受容体)、混合物中に存在する1以上のその他の化合物を酸化することができる有機化合物である。
【0094】
p-ドーパントの特に好ましい態様は、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600、WO2012/095143およびDE1020012209523に開示されている。
【0095】
p-ドーパントとして特に好ましいものは、キノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I
2、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を含むリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体である。また好ましいのは、ドーパントとしての遷移金属酸化物、好ましくは、レニウム酸化物、モリブデン酸化物およびタングステン酸化物、特に好ましくは、Re
2O
7、MoO
3、WO
3およびReO
3である。
【0096】
p-ドーパントは、好ましくは、p-ドープ層に実質的に均一に分配されている。これは、たとえば、p-ドーパントと正孔輸送材料マトリックスの共蒸発により実現することができる。
【0097】
特に好ましいp-ドーパントは、化合物(D−1)〜(D−13)から選ばれる。
【0098】
【化13】
【0099】
本発明の1態様では、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、正孔輸送もしくは注入層中で、ヘキサアザトリフェニレン誘導体、特に、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(たとえば、EP 1175470にしたがうもの)を含む層と組み合わせて使用される。したがって、好ましいものは、たとえば、以下に見られる組み合わせである:アノード−ヘキサアザトリフェニレン誘導体−正孔輸送層であって、ここで、正孔輸送層は、1以上の式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含むもの。この構造では、同様に、複数の連続する正孔輸送層を使用することもでき、ここで、少なくとも一つの正孔輸送層は、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含む。さらに、好ましい組み合わせは、以下に見られる:アノード−正孔輸送層−ヘキサアザトリフェニレン誘導体−正孔輸送層であって、ここで、2個の正孔輸送層の少なくとも一つは、1以上の式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含む。この構造では、同様に、一つの正孔輸送層に代えて複数の連続する正孔輸送層を使用することもでき、少なくとも一つの正孔輸送層は、少なくとも一つの式(1)化合物もしくはその好ましい態様を含む。
【0100】
本発明のさらに好ましい1態様では、式(1)の化合物またはその好ましい態様は、発光層中で、蛍光もしくは燐光化合物のための、特に、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層または複数の発光層を含んでもよく、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0101】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様が、発光層中で発光化合物のためのマトリックス材料として用いられる場合には、好ましくは、1以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて用いられる。本発明の意味での燐光発光は、>1のスピン多重度をもつ励起状態からの、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスの意味で使用される。本願の目的のために、遷移金属もしくはランタノイドを含む全てのルミネッセント錯体、特に、全てのルミネッセントイリジウム、白金および銅が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0102】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様を含むマトリックス材料と発光化合物とを含む混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、マトリックス材料を、99.9〜1重量%、好ましくは、99〜10重量%、特に好ましくは、97〜60重量%、特には、95〜80重量%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料の全混合物を基礎として、エミッターを、0.1〜99重量%、好ましくは、1〜90重量%、特に好ましくは、3〜40重量%、特には、5〜20重量%含む。上記制限は、特に、層が溶液から適用される場合にあてはまる。層が真空蒸発により適用される場合には、同じ数値が、各場合に、体積%で示されたこの場合のパーセントで適用される。
【0103】
本発明の特に好ましい1態様は、式(1)の化合物もしくはその好ましい態様の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて使用することのできる、特に適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)、m-CBPもしくはWO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109およびWO2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/15306、WO 2007/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2009/124627にしたがうフルオレン誘導体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US 2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107、WO 2011/088877もしくはWO 2012/1430800にしたがう架橋カルバゾール誘導体である。さらに、たとえば、WO 2010/108579に記載されるとおりの、正孔輸送特性も電子輸送特性も有さない電気的に中性なコホストを使用することも可能である。
【0104】
同様に、混合物において、2個以上の燐光エミッターを使用することも可能である。この場合、より短い波長で発光するエミッターは、混合物において、コホストとして機能する。
【0105】
適切な燐光化合物(=三重項エミッター)は、特に好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金もしくはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金もしくは銅を含む化合物である。
【0106】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO2000/70655、WO2001/41512、WO2002/02714, WO2002/15645、EP1191613、EP1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO2005/019373、US2005/0258742、WO 2009/146770、WO2010/015307、WO 2010/031485、WO 2010/054731、WO2010/054728、WO 2010/086089、WO 2010/099852、WO2010/102709、WO 2011/157339もしくはWO 2012/007086に見出すことができる。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがい使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は進歩性を要することなく、さらなる燐光錯体を使用することもできるであろう。
【0107】
本発明のさらなる1態様では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、すなわち、たとえば、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0108】
式(1)の化合物もしくはその好ましい態様は、さらに、正孔輸送層もしくは励起子ブロック層両者において、および発光層中でマトリックスとして使用することができる。
【0109】
本発明による有機エレクトロルミッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常用いられる全ての材料を使用することができる。したがって、当業者は、進歩性を要することなく、本発明による式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて、有機エレクトロルミッセンス素子のために知られた全材料を用いることができるだろう。
【0110】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0111】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により被覆されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。この方法の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0112】
さらに、好ましいのは、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。これらの方法は、一般的に有機溶媒中で極めて良好な溶解度を有していることから、本発明による化合物に特に適している。
【0113】
さらに、たとえば、1以上の層が溶液から適用され、1以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッド法も可能である。したがって、たとえば、溶液から発光層を適用し、気相堆積により電子輸送層を適用することができる。
【0114】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を、当業者により進歩性を要することなく適用することができる。
【0115】
液相からの、たとえば、スピンコーティングまたは印刷法による本発明の化合物の加工のためには、本発明による化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。2以上の溶媒の混合物を使用することが、この目的のために好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0116】
したがって、本発明は、さらに、少なくとも一つの式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と少なくとも一つの溶媒、特に、有機溶媒とを含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはミニエマルジョンに関する。このタイプの溶液を製造することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0117】
本発明は、さらに、上記示された少なくとも一つの式(1)の化合物もしくはその好ましい態様と少なくとも一つのさらなる化合物とを含む混合物に関する。さらなる化合物は、本発明による化合物がマトリックス材料として使用される場合には、たとえば、蛍光もしくは燐光ドーパントであることができる。そこで、混合物は、追加的マトリックス材料として、さらなる材料を追加的に含んでよい。
【0118】
本発明による化合物および本発明による有機エレクトロルミッセンス素子は、先行技術を超える以下の驚くべき優位性により特徴づけられる。
【0119】
1.本発明による化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子において、正孔輸送もしくは正孔注入層での使用に極めて高度に適している。本発明による化合物は、ルミネッセンスを消さないことから、特に、燐光発光層に直接隣接する層での使用にも適している。
【0120】
2.本発明による化合物は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられると、極めて高い効率と長い寿命をもたらす。化合物が、さらなるマトリックス材料と燐光エミッターと一緒のマトリックス材料として用いられると、これが特に、あてはまる。
【0121】
3.本発明による化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子で用いられると、高い効率と急峻な電流/電圧曲線と低駆動電圧をもたらす。
【0122】
4.本発明による化合物は、高い熱安定性を示し、そのため、分解することなく、残留物もなく昇華することができる。
【0123】
5.本発明による化合物は、低い結晶化度と高いガラス転移温度を有し、改善された寿命をもたらす。
【0124】
上記利点は、その他の電子特性を損なわない。
【0125】
本発明は、次の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、説明に基づいて、開示された範囲全体を実行し、本発明によるさらなる化合物を調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用することができるだろう。
【0126】
例:
A)合成例
以下の合成を、別段の指定がない限り、保護ガス雰囲気下で実施する。出発材料を、ALDRICHまたはABCRから購入できる。文献から知られている出発材料の場合、角括弧内の数値は、対応するCAS番号である。
【0127】
例1:
ビス-(9,9-スピロビフルオレン-4-イル)-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-アミン(1−1)の合成
【0128】
【化14】
【0129】
(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)- (9,9-スピロビフルオレン-4-イル)-アミンAの合成
1,1-’ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.83g、1.49ミリモル)と、酢酸パラジウム(0.34mg、1.49ミリモル)と、ナトリウムtert-ブトキシド(9.3g、97.1ミリモル)とを、脱気トルエン(500ml)中で、フルオレン-2-イル-アミン(15.6g、97.1ミリモル)と、4-ブロモ-9,9-スピロビフルオレン(30.0g、97.1ミリモル)との溶液に添加し、混合物を還流下で20時間、加熱する。反応混合物を室温に冷まし、トルエンで増し、セライトを通して濾過する。濾過物を水で増し、トルエンで再抽出し、結合した有機相を脱水させ、真空で蒸発させる。残留物をシリカゲル(ヘプタン/ジクロロメタン)を通して濾過し、ヘプタン/トルエンから結晶化させる。(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-4-イル)-(9,9-スピロビフルオレン-2-イル)-アミンがオフホワイトの固形物として得られる(36.0g、理論値の92%)。
【0130】
同じような方法で、以下の化合物A−2〜A−6が得られる:
【0131】
【化15-1】
【0132】
【化15-2】
【0133】
ビス-(9,9-スピロビフルオレン-4-イル)-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-アミン(1−1)の合成
トリ-tert-ブチルホスフィン(トルエン中、1.69mlの1.0M溶液、1.69ミリモル)と、酢酸パラジウム(190mg、0.85ミリモル)と、ナトリウムtert-ブトキシド(9.7g、101.4ミリモル)とを、脱気トルエン(400ml)中で、(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)- (9,9-スピロビフルオレン-4-イル)-アミン(18.0g、33.8ミリモル)と、4-ブロモ-9,9-スピロビフルオレン(13.6g、33.8ミリモル)との溶液に添加し、混合物を還流下で2時間、加熱する。反応混合物を室温に冷まし、トルエンで増し、セライトを通して濾過する。濾過物を真空で蒸発させ、残留物をトルエン/ヘプタンから再結晶化させる。粗生成物をソックスレー抽出器中で増し(トルエン)、真空で二度のゾーン昇華により精製する。生成物は白色の固形物の形態で単離される(19.8g、理論値の70%、HPLCによる純度>99.99%)。
【0134】
同じような方法で、以下の化合物が得られる:
【0135】
【化16-1】
【0136】
【化16-2】
【0137】
【化16-3】
【0138】
B)素子例
本発明のOLEDと先行技術のOLEDとが、WO 04/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層厚の変化、材料)に適合される。
【0139】
種々のOLEDのデータが、以下の例1と2に提示されている(表1〜4を参照)。使用する基板は厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板である。OLEDは基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL1)/正孔輸送層(HTL2)/正孔注入層(HIL3)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/電子注入層(EIL)/および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は表1および3に示されている。OLEDの製造に必要とする材料を表5に示している。
【0140】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。この場合、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、このマトリックス材料に共蒸発により一定の体積割合で添加される発光ドーパント(エミッター)とからなる。ここで、H1:SEB1(5%)のような表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEB1が5体積%の割合で層中に在在することを意味する。同じように、電子輸送層もまた、二種の材料の混合物からなることができる。
【0141】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)、ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表現「1000cd/m
2におけるEQE」は駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率を示す。「6000cd/m
2におけるLT80」は、OLEDが輝度6000cd/m
2から初期輝度の80%、すなわち4800cd/m
2に落ちるまでの寿命である。種々のOLEDについてのデータが、表2と4に要約されている。
【0142】
蛍光OLEDでの正孔輸送材料としての、本発明の化合物の使用
とくに、本発明による化合物は、OLED中のEMLで、HIL、HTL、EBLまたはマトリックス材料として、適している。これらは、単層としてのみならず、HIL、HTL、EBLとしての混合成分として、またはEML内で適している。先行技術の素子(V1、V2、V3)と比べて、本発明の化合物を含む試料は、一重項青色と三重項緑色の両者で、高い効率および改善された寿命との両者を示す。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】