【文献】
CLINICAL CANCER RESEARCH,2013年,Vol.19, No.20,pp.5636-5646
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0078】
実施例1
scFvがPD−1連結を阻害する能力を試験するために、scFv−Fcドメイン(scFv−Fc)融合タンパク質を作成し、ここで、scFvをマウスFc(マウスIgG1a)ドメインに連結させた。scFv−Fcクローンを次いで、ELISAプレートをヒトPD−1単量体でコーティングすることにより、PD−1に結合する能力について分析した。scFvのPD−1への結合をHRP−接合抗マウスIgG1 Fc二次抗体を用いて定量した。7つのすべての抗体は、用量依存的にPD1単量体に関して結合活性を示した(
図1)。ET901 ScFv−Fc(マウスIgG1 Fc)を陰性対照として用いた。scFv−Fcクローンの結合親和性を順位付けしたところ、クローン31が弱く結合し、クローン26および27が最も強く結合した(31<23<40<18<16=27<26)。
【0079】
実施例2
PD−L1と相互作用するPD−1を阻害するscFv−Fcの能力を試験するために、模式的に
図2Aに示す競合的リガンド−結合アッセイを行った。このアッセイにおいて、PD−L1−FcをELISAプレート上にコーティングした。ビオチン化−PD1−Fcを段階希釈したET901 ScFv−Fc(陰性対照)または抗PD1 ScFv−Fcと混合し、次いでPD−L1−Fcコートプレート中に添加した。プレート上にコーティングされたPD−L1へのPD−1−Fcの結合をHRP−接合ストレプトアビジンを介して可視化した(
図2B)。同様の濃度のscFv−Fcを比較した場合(丸で囲む)、PD−1−PDL1相互作用を破壊する能力を順位付けしたところ、クローン40および23が最も弱く、クローン26が最も強い破壊能力を有していた(26>27=16>18>31>23=40、
図2B)。
【0080】
実施例3
これらのクローンを次いで特異的T細胞機能を制御するそれらの能力について調べた。本発明者らは以前に、T細胞が腫瘍−特異的キメラ抗原受容体(CAR)を発現するようレトロウイルスにより形質導入されている、腫瘍−標的化T細胞を作成している。本発明者らは以前に、CARの発現が所与の抗原を標的化するT細胞機能を再指示したことを実証している(Brentjens,Santos et al,2007)。本発明者らの研究室において、本発明者らは、1928zと称するCD19に特異的なCARを用いてB細胞悪性腫瘍を標的とする(Brentjens,Santosら.2007)。本発明者らは以前に、CAR改変T細胞がインビトロおよびインビボおよび臨床研究において有意な抗腫瘍活性を示したことを実証している(Brentjens,Latoucheら.2003;Brentjens,Davilaら.2013;Davila,Riviereら.2014)。7つのscFvクローンが、アゴニスト性であるか(PD−1を刺激する)、アンタゴニスト性であるか(PD−1をブロックする)またはPD−1に対して有意な効果を有さないかを決定するために、本発明者らは、抗PD−1 scFv遺伝子の近位にマウスカッパリーダー配列を含めることにより分泌可能scFvを作成した(
図3)。本発明者らは次いで、1928z CARの発現および形質導入されたヒト末梢血T細胞からの抗PD−1 scFvの分泌を誘導するために2シストロン性レトロウイルスベクターを作成した。
【0081】
実施例4
PD−1刺激がT細胞の増殖および機能を阻害する能力があるので、本発明者らは引き続いてT細胞増殖に対する抗PD−1 scFvの効果を特徴決定する探索を行った。これを達成するために、ヒトT細胞を健康ドナーの末梢血から単離し、以前に記載されている方法を用いて、CARを発現し、PD−1−特異的scFvを分泌するようレトロウイルス形質導入を介して改変した(Brentjens、Santosら.2007)。形質導入の後、改変されたT細胞をインビトロでの増殖についてモニターした(
図4)。1928z CARを発現し、PD−1特異的scFvクローン23および27を分泌するT細
胞は、1928z CARのみを発現するよう改変されたT細胞と同様に増殖した。CARを発現し、PD−1−特異的scFvクローン16、18、26、31または40を分泌するよう改変された細胞は増殖せず、これらのPD−1−特異的scFvクローンがアゴニスト性であり、潜在的にPD−1を刺激し、そしてT細胞増殖の低下をもたらしたことが示唆された。
【0082】
実施例5
増殖研究に加えて、本発明者らは、(CARを発現する、またはCARを発現し、PD−1−特異的scFvを分泌する)T細胞を、CD19
+バーキットリンパ腫腫瘍細胞株、Rajiと共培養し、T細胞からのサイトカイン分泌のレベルを決定した。
図5に示されるように、1928z CARを発現し、PD−1−特異的scFvクローン23または27を分泌するよう改変されたT細胞は、CARのみを発現するよう改変された細胞と比較してIFN−γの分泌の上昇を示し、これらのscFvクローンがPD−1シグナル伝達に関してアンタゴニスト性であったことが示唆された。1928z CARを発現し、PD−1−特異的scFvクローン16、18、
26、31または40を分泌するよう改変された細胞は、CARのみにより改変された細胞と比較してより少ないIFN−γを分泌し、これらのscFvがPD−1に関してアゴニスト性であり、T細胞機能を阻害したことが示唆された。
【0083】
実施例6
1928 CARおよびPD−1ブロッキングscFvを発現するよう改変されたヒトT細胞をフローサイトメトリーによって分析した。CARの発現の検証(
図6)の後、scFvの存在を、細胞可溶化液における検出を可能とするようにゴルジ阻害剤で処理されたヒトT細胞から調製した可溶化液についての(scFv設計において組み込まれたHAタグに対して特異的な抗体を使用する)ウェスタンブロットを使用して決定した。1928z CARおよびクローン23を発現するよう改変されたヒトT細胞では、その他のクローンと比較してscFvタンパク質が有意に少なかった(
図7)。これらの細胞を次いで、PD−1リガンドである、PD−L1/L2を発現するか、または発現しない、3T3マウス線維芽細胞(人工抗原提示細胞、aAPC)上に蒔いた。aAPCとの24時間の培養の後、ヒトT細胞を活性化させるために培養物にCD3/D28ビーズを添加した。ヒトT細胞、aAPCおよびビーズの培養の3日後、ヒトT細胞を数え上げて、PD−1リガンドの存在がヒトT細胞のビーズに駆動される増殖を阻害したか、または抗PD−1 scFvがT細胞増殖のPD−1リガンドに媒介される阻害を妨げたかを、決定した。1928z CARおよび抗PD−1 scFvクローン26および23を発現するよう改変されたT細胞では、抑制性リガンドを発現しないaAPCと比較してPD−L1/L2を発現するaAPC上での増殖が低下していた(
図8)。一方、1928z CARおよび抗PD−1 scFvクローン27を発現するよう改変されたT細胞は、PD−L1/L2を発現するaAPC上での増殖が上昇していた。
【0084】
実施例7
当該技術分野において知られている組換え技術を使用して、PD−1特異的scFvから組換えヒトモノクローナル抗体を作成し、即ち、対応するscFvにおいてみられるものと同じ可変重および軽鎖を有する完全にヒトのIg分子を作った(上記表1〜14および
図9を参照されたい)。これらのモノクローナル抗体のPD−1への結合をフローサイトメトリーを使用して実証した(
図10を参照されたい)。
【0085】
ヒトT細胞を、ヒトPD−1を過剰発現するように改変し、次いで1μg/mlの抗体とともにインキュベートした。クローン27 mAbはPD−1 T細胞に最も結合し、次いでクローン26であり、そして次にクローン23であった(
図9)。対照モノクローナル抗体である、901は、PD−1 T細胞に結合しなかった。これらの抗体とともにインキュベートしたT細胞を次いで、PD−1リガンドの、T細胞の増殖およびモノクローナル抗体がこの相互作用を妨げる能力に対する影響を決定するために、ビーズとともに人工抗原提示細胞(aAPC)上に蒔いた。抗PD−1クローン27モノクローナル抗体とともにインキュベートされた19z1 T細胞は、PD−L1/L2 aAPC上でより高い程度に増殖した。
【0086】
実施例8
PD−L1/L2を発現するaAPC上でインキュベートされた、第1世代CARを発現するよう改変されたT細胞は、抗PD−1クローン27モノクローナル抗体が存在する場合、増殖する。第1世代CD19−特異的CAR(19z1)を発現するよう改変されたヒトT細胞を、抗PD−1モノクローナル抗体とともに24時間インキュベートし、次いでPD−L1/L2を発現するか、または発現しないaAPC上に置いた。aAPCによる24時間の刺激の後、細胞を次いでCD3/CD28ビーズにより刺激した。3日後、細胞を数え上げた。モノクローナル抗体なしでインキュベートした19z1 T細胞、対照抗体(901)およびクローン23および26モノクローナル抗体とともにインキュベートした19z1 T細胞は、抑制性リガンドなしのaAPC上(
図11黒色バー)と比較して、PD−1リガンドを発現するaAPC上での増殖(
図11白色バー)がより低かった。しかしながら、抗PD−1クローン27モノクローナル抗体とともにインキュベートした19z1 T細胞はPD−L1/L2 aAPC上でより高い程度に増殖した。示したデータは1回の実験の代表である。
【0087】
実施例9
PD−1ブロッキングscFvである、E27を分泌するようさらに改変されたCAR T細胞の作成。CD19−特異的CAR(1928zと称する)または卵巣腫瘍抗原特異的CAR(4H1128zと称する)およびPD−1ブロッキングscFvである、E27をコードする2シストロン性レトロウイルスコンストラクトを作成した(
図12A)。E27は、scFvの分泌を可能にするように、シグナルペプチドである、マウスIgKにより先行された。T細胞からいったん分泌されたscFvを検出するために、HA/Hisタグもまた含めた。ヒト末梢血T細胞に、CAR、1928z、またはCARおよびE27 PD−1ブロッキングscFv、1928z−E27をコードするレトロウイルスコンストラクトを形質導入した。形質導入の後、フローサイトメトリーを使用して、CD19−標的化CARに特異的に結合する、19E3と称する抗体を用いて、CARの発現を検出した(
図12B)。形質導入されたヒトT細胞からの上清のウェスタンブロット分析を利用して、抗HA抗体を用いてPD−1ブロッキングscFvを検出した(
図12C)。本発明者らはまた、CARおよび対照scFvである、B6を発現するよう改変されたT細胞からのscFv分泌を調べ、これは抗c−mycタグ抗体を用いて検出した。2つのCD19
+腫瘍標的に対する標準的
51Cr放出アッセイを行って、scFvの分泌が、CARがT細胞の細胞溶解能力を再指示する能力を妨げないことを確証した。CARのみ(1928zまたは4H1128z対照CAR)、CARおよびE27 scFv(1928z−E27または4H1128z−E27)、またはCARおよび対照scFv(1928z−B6H12.2または4H1128z−B6H12.2)のいずれかを発現するCAR T細胞を、
51Cr標識化腫瘍細胞(RajiまたはNalm6)とともに4時間インキュベートした。CD19特異的CARを発現するT細胞は、腫瘍標的を同等のレベルで溶解することができ、卵巣−標的化CAR T細胞はRajiもNalm6も溶解することができなかった(
図12D)。それゆえ、本発明者らは、scFvの分泌は、CARがT細胞溶解能力を再指示する能力を妨げなかったと結論する。
【0088】
実施例10
CARを発現し、PD−1ブロッキングscFvを分泌するよう改変されたT細胞は、PD−L1−PD−1相互作用からの阻害に、インビトロで耐える。CARのみ(1928z)、またはCARおよびPD−1ブロッキングscFv(1928z−E27)を発現するT細胞を
3T3空細胞またはヒトPD−L1を発現するよう改変された3T3細胞上で培養した。3T3フィーダー細胞上での24時間の後、細胞を、1:3のビーズ:T細胞比にて培養物に添加したCD3/CD28ビーズにより刺激した。T細胞の増殖をトリパンブルーでの数え上げにより決定し、新しいビーズを2回培養物に添加した(矢印によって示す)。1928z T細胞は、3T3空フィーダー細胞上で増殖したが、しかし、3T3−PD−L1フィーダー細胞上では増殖しなかった。一方、1928z−E27 T細胞は、3T3空および3T3−PD−L1フィーダー細胞の両方の上で増殖し、PD−L1−PD−1に媒介される抑制に対する抵抗性が示された(
図13A)。
図13Aに示すように3T3空または3T3−PD−L1細胞上でインキュベートしたT細胞をフローサイトメトリーによって分析して、抑制性受容体である、PD−1、2B4およびLAG3についての発現を検出した。1928z細胞は、1928z−E27細胞よりも上昇したレベルのPD−1を発現した(示さず)。PD−1
+細胞でゲートをかけた場合、2B4およびLAG3の分析により、1928z細胞は、1928z−E27細胞と比較してPD−1
+、2B4
+およびLAG3
+細胞のより高い割合を有していたことが明らかになった(
図13B)。形質導入されたT細胞を、様々なエフェクター対標的(E:T)比(1:1、1:3、1:5)で72時間、Raji−PDL1またはNalm6−PDL1腫瘍細胞とともに培養した。抗CD3および抗CD19抗体での染色後のフローサイトメトリーおよびビーズの数え上げを使用して、腫瘍標的の溶解およびT細胞の増殖を経時的にモニターした。1928z−E27細胞は、PDL1
+腫瘍細胞とともに培養した場合、1928z T細胞と比較してより高いレベルで増殖し続けた(
図13C)。形質導入されたT細胞を
図13Cに示すようにNalm6−PDL1腫瘍細胞で刺激し、Nalm6−PDL1腫瘍細胞で1:5のT E:T比で再刺激した。48時間の共培養の後、フローサイトメトリーを使用して腫瘍標的の溶解を決定した。1928z−E27は、1928z細胞と比較して再刺激の際にPD−L1腫瘍標的を溶解する能力を保持していた(
図13D)。
【0089】
実施例11
CARを発現し、PD−1ブロッキングscFvを分泌するよう改変されたT細胞のインビボ抗腫瘍効力を
図14に示す。SCID−ベージュマウスに静脈内注入により0日目にRaji−PD−L1腫瘍細胞を接種した。1日目に、マウスに10
6のCAR+T細胞を静脈内に注入し、生存を臨床的にモニターした。後肢麻痺が生じるとマウスを安楽死させた。
【0090】
実施例12
PD−1ブロッキングmAb候補である、E27、E26およびE23を競合的結合アッセイにおいて使用して、様々な濃度で、ヒトには存在しないハプテンを標的とする対照mAbと比較してのPD−1のPD−L1への結合の妨害を検出した。E23、E26およびE27 mAbはすべてPD−1のPD−L1への結合を妨げた(
図15A)。1928z CARとともに分泌可能scFvを発現するよう形質導入された293Glv9パッケージング細胞からのSNについての、抗HA抗体により染色したウェスタンブロット。E27 scFvが最高レベルで検出され、それゆえ残りの研究において使用した(
図15C)。
【0091】
実施例13
T細胞を、CARを発現し、PD−1ブロッキングscFvである、E27を分泌するよう共改変することができる。
図16Aは、1928z CARのみ(1928z)または1928z CARおよびE27 PD−1ブロッキングscFv(1928z−E27)を形質導入した後の、1928z CARに特異的に結合する19E3 mAbによる染色の後での、同等のCAR発現を実証する代表的フローサイトメトリープロットである。
図16Bは、抗HA mAbで染色した、1928zおよび1928z−E27 T細胞からのSNについてのウェスタンブロットを示し、約30kDaタンパク質が1928z−E27細胞においてのみ示され、E27 scFvが、1928z−E27を形質導入されたT細胞から分泌されるが、CARのみを形質導入されたT細胞からは分泌されないことを実証している。
図16Cは、形質導入の後に、1928z T細胞と比較して1928z−E27 T細胞上でのより低いレベルのPD−1発現を実証する代表的フローサイトメトリーである。PD−1の発現は、1928z T細胞と比較して1928z−E27 T細胞上で統計的に有意により低かった。示されたデータは、4回の独立した実験からの平均+/−SEMである(
図16D)。Raji腫瘍細胞の溶解はE27 scFvの分泌によって影響を受けなかったことを実証する4時間
51Cr放出アッセイ。1928zおよび1928z−E27 T細胞はRaji腫瘍細胞を同等に溶解した。対照4H1128z−E27 T細胞は、4H1128z T細胞と比較してRaji細胞の溶解の上昇を媒介しなかった(
図16E)。示したデータは、2回の独立した実験の代表である。
【0092】
実施例14
CARおよびE27の発現は、CD19
+PD−L1
+腫瘍細胞に関して、T細胞の増殖および溶解能力を保護する。Raji腫瘍細胞を、ヒトPD−L1を発現するようレトロウイルスにより改変し(Raji−PDL1)、PD−L1に対して特異的なmAbにより染色した。親Raji腫瘍(Raji)はPD−L1を発現せず、Raji−PDL1腫瘍細胞は高レベルのPD−L1を発現した(
図17A)。
図17Bは、1928z−E27 T細胞は、72時間の共培養の後のフローサイトメトリーにより決定して、1928z T細胞と比較してより多くのRaji−PDL1腫瘍細胞を溶解することを示す代表的フローサイトメトリープロットを示す。1928z−E27 T細胞は、1928z T細胞と比較して統計的に有意により多くのRaji−PDL1腫瘍細胞を溶解し、示されたデータは4回の独立した実験からの平均+/−SEMである(
図17C)。1928z−E27 T細胞は、フローサイトメトリーおよびビーズの数え上げにより決定して、Raji−PDL1腫瘍細胞との共培養の後により多くの数に増殖し、示されたデータは4回の独立した実験からのT細胞の平均総数+/−SEMである(
図17D)。
図17Eは、Raji−PDL1腫瘍細胞との7日間の共培養の後の、1928z−E27 T細胞と比較して1928z T細胞上での上昇したPD−1発現を示す、代表的フローサイトメトリープロットを示す。1928z T細胞は、パーセンテージ陽性細胞およびPD−1染色の平均蛍光強度(MFI)に関して、1928z−E27 T細胞と比較して有意により多くのPD−1を発現する。示されたデータは、4回の独立した実験からの平均+/−SEMである(
図17F)。
図17Gは、7日間のRaji−PDL1との共培養の後に、1928z−E27細胞と比較して上昇したパーセンテージの2B4+PD−1+1928z T細胞を示す、代表的フローサイトメトリープロットを示す。1928z−E27 T細胞はまた、2B4+PD−1+集団について、より少ないBTLAおよびTIM3を発現する。示したデータは、3回の独立した実験の代表である。
【0093】
実施例15
E27は、PD−L1に関してCD3/CD28刺激T細胞の増殖能力を保護する。NIH3T3細胞をヒトPD−L1を発現するようレトロウイルスにより改変し(3T3−PDL1)、PD−L1に特異的なmAbにより染色した。親NIH3T3(3T3−空)は、PD−L1を発現せず、3T3−PDL1腫瘍細胞は、高レベルのPD−L1を発現した(
図18A)。1928zおよび1928z−E27 T細胞を3T3−空または3T3−PDL1細胞とともに培養し、CD3/CD28ビーズにより刺激した。細胞を数え上げ、3、6、9および12日目に新しい3T3細胞上に再び蒔いた。1928z T細胞は3T3−空細胞と比較して3T3−PDL1細胞とともに培養した場合に増殖の低下を示した。1928z−E27細胞は、3T3−空または3T3−PDL1細胞上で培養した場合、同等の増殖を示した(
図18B)。示したデータは、4回の独立した実験からの平均倍数増殖+/−SEMである。
図18Cは、3T3−空細胞上で培養した1928z T細胞と比較して3T3−PDL1とともに培養した1928z T細胞上で2B4、PD−1、BTLAおよびTIM3の発現の上昇を示す、代表的フローサイトメトリープロットである。1928z−E27細胞は、3T3−空および3T3−PDL1とともに培養した場合、2B4、PD−1、BTLA−4およびTIM3の同等の発現を示した。示したデータは、3回の独立した実験の代表である。
【0094】
実施例16
E27 scFvを分泌するCAR T細胞は、抗腫瘍機能のインビボでの上昇を示す。SCID−ベージュマウスにRaji−PDL1腫瘍細胞を静脈内に接種し、翌日にCAR T細胞を静脈内に注入した。
図19に示すように、1928z−E27 T細胞で処理されたマウスは1928z T細胞で処理されたマウスと比較して生存の向上を示した。1928z T細胞で処理したマウスは非処理マウスおよび無関係の抗原を標的としたCAR T細胞である、4H1128zおよび4H1128z−E27 T細胞で処理したマウスよりも長く生存した。示したデータは2回の独立した実験からのものである。
【0095】
実施例17
PD1/PDL1結合に対するブロッキング効果を確認するために、抗PD−1抗体ET130−23、ET130−26およびET130−27をELISAにより試験した。
図20に示すように、ET901(陰性対照)は結合を示さず、一方、ET130−23、ET130−26およびET130−27は、0.031〜10μg/mlの濃度範囲にわたってPD1/PDL1結合に対してブロッキング効果を示した。
【0096】
同様に、PD1/PDL2結合に対するブロッキング効果を確認するために、ET130−23、ET130−26およびET130−27をELISAにより試験した。
図21に示すように、ET901(陰性対照)は結合を示さず、一方、ET130−23、ET130−26およびET130−27は同じ濃度範囲にわたってPD1/PDL2結合に対するブロッキング効果を示した。ET130−26はPD1/PDL2に対して最高のブロッキング効果を示し、一方、ET130−23は最低の効果を示した。ブロッキングパターンは、PD1/PDL1結合に対応している。
【0097】
実施例18
抗PD−1 scFvまたはモノクローナル抗体の適用を、scFvまたはモノクローナル抗体が免疫応答を弱め、自己免疫疾患を消失させる能力について調べる。これはまた、GVHDのマウスモデルを用いて調べることができる。ヒトT細胞の照射したNOD.SCID.IL−2Rγ
−/−への注入の結果、ヒト細胞が生着し、ヒトT細胞がマウス組織を攻撃する重篤なGVHDが起こった。抗PD−1 scFvを分泌するT細胞(またはモノクローナル抗体の注入により増強されたT細胞)を対象に注入し、GVHDの発生を評価する。抗PD−1 scFv/mAbがアゴニスト性である場合、GVHD応答はヒトT細胞の抑制により阻害される。
例示的実施形態
1.以下の1つを含む組換え抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片:
(A)配列番号10、配列番号21、配列番号32、配列番号43、配列番号53、配列番号61、配列番号72、配列番号83、配列番号94、配列番号103、配列番号114、配列番号125、配列番号133、配列番号142;その断片およびその相同配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗原結合領域;
(B)配列番号6および8;配列番号17および19;配列番号28および30;配列番号39および41;配列番号49および51;配列番号57および59;配列番号68および70;配列番号79および81;配列番号90および92;配列番号99および101;配列番号110および112;配列番号121および123;配列番号129および131;配列番号138および140;それらの断片ならびにそれらの相同配列から選択されるアミノ酸配列をそれぞれ有する可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)を含む抗原結合領域;
(C)以下を含む抗原結合領域:
(i)アミノ酸配列QSISSY(配列番号1)、AASおよびQQSYSTPLT(配列番号2)をそれぞれ有する軽鎖相補性決定領域(LCCDR)LCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTSSSYW(配列番号4)、IKQDGSEK(配列番号5)およびARGGWSYDM(配列番号6)をそれぞれ有する重鎖相補性決定領域(HCCDR)HCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(ii)アミノ酸配列SSNIGAGYA(配列番号12)、TNNおよびQSYDSSLSGVI(配列番号13)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GYTLTELS(配列番号14)、FDPEDGET(配列番号15)およびARAYYGFDQ(配列番号16)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(iii)アミノ酸配列SSNIGNNA(配列番号23)、YNDおよびAAWDDSVNGYV(配列番号24)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GYTFTRFG(配列番号25)、ISVNNGNT(配列番号26)およびARYMYGRRDS(配列番号27)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(iv)アミノ酸配列NIGSKS(配列番号34)、YDSおよびQVWDNHSDVV(配列番号35)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列RNKFSSYA(配列番号36)、ISGSGGTT(配列番号37)およびARWYSSYYDV(配列番号38)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(v)アミノ酸配列NIGSKS(配列番号34)、YDSおよびQVWDSSSDYV(配列番号45)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号46)、ISGSGGST(配列番号47)およびARNYISMFDS(配列番号48)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(vi)アミノ酸配列NIGSKS(配列番号34)、YDSおよびQVWDSSSDHV(配列番号55)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号46)、ISGSGGST(配列番号47)およびARGYSSYYDA(配列番号56)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(vii)アミノ酸配列RSNIGENT(配列番号63)、SNNおよびAAWDDRLNGYV(配列番号64)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GYTFTNYG(配列番号65)、IGAQKGDT(配列番号66)およびARSQGVPFDS(配列番号67)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(viii)アミノ酸配列RSNIGSNT(配列番号74)、NNNおよびATWDDSLNEYV(配列番号75)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GYTFTRYG(配列番号76)、ISGYNGNT(配列番号77)およびARHGYGYHGD(配列番号78)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(ix)アミノ酸配列SSNIGAGYV(配列番号85)、HNNおよびQSYDSSLSGWV(配列番号86)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFKDYY(配列番号87)、ISTSGNSV(配列番号88)およびARSPGHSDYDS(配列番号89)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(x)アミノ酸配列NIGDKS(配列番号96)、YDSおよびQVWASGTDHPYVI(配列番号97)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号46)、ISGSGGST(配列番号47)およびARMYGSYTDM(配列番号98)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(xi)アミノ酸配列SSNIGYNY(配列番号105)、RNNおよびTSWDDSLSGYV(配列番号106)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GNAFTNFY(配列番号107)、INPSGTDLT(配列番号108)およびARQYAYGYSGFDM(配列番号109)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(xii)アミノ酸配列QSVSNW(配列番号116)、AASおよびQQSYSTPIT(配列番号117)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GYTFTSYY(配列番号118)、INPNTGGS(配列番号119)およびARGDVTYDE(配列番号120)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;
(xiii)アミノ酸配列NIGSKS(配列番号34)、YDDおよびQVWDINDHYV(配列番号127)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号46)、ISGSGGST(配列番号47)およびARSQASFMDI(配列番号128)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列;または
(xiv)アミノ酸配列NIGSKS(配列番号34)、DDSおよびQVWDSSSDQGV(配列番号135)をそれぞれ有するLCCDR1、LCCDR2およびLCCDR3を含む軽鎖(LC)ならびにアミノ酸配列GFTFSSYA(配列番号46)、IGTGGGT(配列番号136)およびARGTGYDGDQ(配列番号137)をそれぞれ有するHCCDR1、HCCDR2およびHCCDR3を含む重鎖(HC);それらの断片ならびにそれらの相同配列。
2.前記タンパク質が抗体である、実施形態1に記載の組換え抗原結合性タンパク質。
3.前記抗体がヒト抗体である、実施形態2に記載の組換え抗原結合性タンパク質。
4.前記抗体またはその抗原結合性断片がインタクトなIg、Fab、F(ab’)
2、Fv、またはscFvである、実施形態2に記載の組換え抗原結合性タンパク質。
5.前記抗原結合性タンパク質がPD−1アゴニストである、実施形態1に記載の抗原結合性タンパク質。
6.前記抗原結合性タンパク質がPD−1アンタゴニストである、実施形態1に記載の抗原結合性タンパク質。
7.前記抗原結合性タンパク質がキメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1に記載の抗原結合性タンパク質。
8.実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質をコードする核酸。
9.実施形態8に記載の核酸を含むベクター。
10.実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質、実施形態8に記載の核酸または実施形態9に記載のベクターを含む細胞。
11.治療薬に接合した実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質。
12.前記治療薬が、薬物、毒素、放射性同位元素、タンパク質、またはペプチドである、実施形態11に記載の抗原結合性タンパク質。
13.実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質、実施形態8に記載の核酸、実施形態9に記載のベクター、実施形態10に記載の細胞または実施形態11もしくは12に記載の抗原結合性タンパク質を含む、医薬組成物。
14.医薬上許容され得る担体をさらに含む、実施形態13に記載の医薬組成物。
15.対象におけるT細胞応答を上昇させる方法であって、治療上有効量の、実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片、実施形態8に記載の核酸、実施形態9に記載のベクター、実施形態10に記載の細胞、実施形態11もしくは12のいずれかに記載の抗原結合性タンパク質または実施形態13もしくは14のいずれかに記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
16.前記抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片が、PD−1によって媒介されるシグナル伝達を阻害する、低下させる、調節する、または消失させる、実施形態15に記載の方法。
17.PD1−陽性疾患を有する対象を治療する方法であって、治療上有効量の、実施形態1から7のいずれか一項に記載の抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片、実施形態8に記載の核酸、実施形態9に記載のベクター、実施形態10に記載の細胞、実施形態11もしくは12のいずれかに記載の抗原結合性タンパク質または実施形態13もしくは14のいずれかに記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
18.前記抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片が、それに連結した細胞毒性部分を有する接合体である、実施形態17に記載の方法。
19.前記PD−1陽性疾患が癌である、実施形態17または18に記載の方法。
20.実施形態1から7のいずれか一項に記載の組換え抗PD1抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片、実施形態8に記載の核酸、実施形態9に記載のベクター、実施形態10に記載の細胞、実施形態11もしくは12のいずれかに記載の抗原結合性タンパク質または実施形態13もしくは14のいずれかに記載の医薬組成物の、PD1リガンドに対するPD1の結合を阻害することによるPD1−陽性疾患の治療のための、使用。
21.前記PD1−陽性疾患が癌である、実施形態20に記載の使用。
22.実施形態1から7のいずれか一項に記載の組換え抗PD1抗原結合性タンパク質またはその抗原結合性断片、実施形態8に記載の核酸、実施形態9に記載のベクター、実施形態10に記載の細胞、実施形態11もしくは12のいずれかに記載の抗原結合性タンパク質または実施形態13もしくは14のいずれかに記載の医薬組成物の、PD−1シグナル経路を阻害することによる免疫調節のための、使用。
23.組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質をコードする核酸およびキメラ抗原受容体をコードする核酸を含むベクターであって、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、前記キメラ抗原受容体と同一ではない、ベクター。
24.実施形態23に記載のベクターを含む、細胞。
25.組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質をコードする核酸およびキメラ抗原受容体をコードする核酸を含む細胞であって、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、前記キメラ抗原受容体と同一ではない、細胞。
26.組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質およびキメラ抗原受容体を含む細胞であって、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、前記キメラ抗原受容体と同一ではない、細胞。
27.前記キメラ抗原受容体がPD−1に特異的に結合するものではない、実施形態23から26のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
28.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が抗体である、実施形態23から27のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
29.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がヒト抗体である、実施形態23から28のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
30.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、インタクトなIg、Fab、F(ab’)
2、Fv、またはscFvである、実施形態23から29のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
31.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アゴニストである、実施形態23から30のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
32.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アンタゴニストである、実施形態23から30のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
33.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が分泌可能タンパク質である、実施形態23から32のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
34.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、実施形態1に記載の抗原結合領域を含む、実施形態23から33のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
35.前記キメラ抗原受容体がCD−19に特異的に結合する、実施形態23から34のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
36.前記キメラ抗原受容体がヒトT細胞膜に挿入されることができる、実施形態23から35のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
37.前記細胞がT細胞である、実施形態24から36のいずれか一項に記載の細胞。
38.実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞を含む、医薬組成物。
39.医薬上許容され得る担体をさらに含む、実施形態38に記載の医薬組成物。
40.対象におけるT細胞応答を上昇させる方法であって、治療上有効量の、実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39の医薬組成物を前記対象に投与することを含み、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アンタゴニストである、方法。
41.前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、PD−1によって媒介されるシグナル伝達を阻害する、低下させる、調節する、または消失させる、実施形態40に記載の方法。
42.対象におけるT細胞応答を低下させる方法であって、治療上有効量の実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含み、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アゴニストである、方法。
43.PD1−陽性疾患を有する対象を治療する方法であって、治療上有効量の、実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
44.PD1−陽性疾患を有する対象を治療する方法であって、前記対象の少なくとも1つのT細胞に、組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質をコードする核酸およびキメラ抗原受容体をコードする核酸を形質導入することを含み、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質が、前記キメラ抗原受容体と同一ではない、方法。
45.前記キメラ抗原受容体がPD−1に特異的に結合するものではない、実施形態44に記載の方法。
46.前記PD1−陽性疾患が癌である、実施形態42から45のいずれか一項に記載の方法。
47.実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39に記載の医薬組成物の、PD1リガンドへのPD1の結合を阻害することによるPD1−陽性疾患の治療のための、使用。
48.前記PD1−陽性疾患が癌である、実施形態47に記載の使用。
49.実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39に記載の医薬組成物の、PD−1シグナル経路を阻害することによる免疫調節のための、使用。
50.実施形態5に記載の抗原結合性タンパク質、実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞、または実施形態38もしくは39に記載の医薬組成物の、自己免疫疾患の治療のための使用であって、前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アゴニストである、使用。
51.前記抗PD−1抗原結合性タンパク質およびキメラ抗原受容体の少なくとも1つが治療薬と接合している、実施形態23から37のいずれか一項に記載のベクターまたは細胞。
52.前記治療薬が、薬物、毒素、放射性同位元素、タンパク質、またはペプチドである、実施形態51に記載のベクターまたは細胞。
53.前記抗原結合性タンパク質または前記組換え抗PD−1抗原結合性タンパク質がPD−1アゴニストであり、前記PD1−陽性疾患が自己免疫疾患である、実施形態17および42から45のいずれか一項に記載の方法。
参考文献
Brentjens, R. J., M. L. Davila, et al. (2013). "CD19-targeted T cells rapidly induce molecular remissions in adults with chemotherapy-refractory acute lymphoblastic leukemia."
Sci Transl Med 5(177): 177ra138.
Brentjens, R. J., J. B. Latouche, et al. (2003). "Eradication of systemic B-cell tumors by genetically targeted human T lymphocytes co-stimulated by CD80 and interleukin-15."
Nat Med 9(3): 279-286.
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Davila, M. L., I. Riviere, et al. (2014). "Efficacy and toxicity management of 19-28z CAR T cell therapy in B cell acute lymphoblastic leukemia."
Sci Transl Med 6(224): 224ra225.