(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られた前記ガラス板含有積層体のヘーズ値が3%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られた前記ガラス板含有積層体の全光線透過率が50%以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る熱可塑性樹脂膜(本明細書において、「樹脂膜」と略記することがある)は、ガラス板等の他の部材に貼り合わされて好適に用いられる。上記他の部材は、貼り合わせ対象部材である。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、例えば、ガラス板に直接貼り合されてもよく、他の樹脂膜等を介してガラス板に間接的に貼り合されてもよい。
【0029】
本発明に係る樹脂膜を用いて、以下の色調変化を測定する。1)硬度60のゴムシート上に、上記熱可塑性樹脂膜、色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜、及びJIS R3208に準拠した、厚み2mmのグリーンガラスをこの順に積層した積層体を得る。2)この積層体に、23℃及び湿度25%の条件で200g/cm
2の加重を1週間かける(加重工程、色移り試験)。3)JIS K8781−4:2013に準拠して色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の加重前後の色調変化を測定する。本発明に係る樹脂膜に対して積層される色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜のこの測定において、上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の色移り試験前後の色差ΔEが4.3以下である。上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の、JIS B0601:1994に準拠して測定される表面の十点平均粗さRzが20μmである。上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜は、ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)100重量部及びトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部から構成される。上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜は、厚みが760μmであり、染料及び顔料が未使用であるポリビニルブチラール樹脂膜である。色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の色差ΔEは、染料として、モル体積が200cm
3/mol以上である染料を用いることで達成することができる。
【0030】
なお、色差ΔEは、以下のようにして求める。放置前の色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜と放置後の色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜とを用いて、それぞれJIS R3106:1998に準拠して測定された可視光線透過率が90%の2枚のクリアガラス(厚み2.5mm、縦4cm、横4cm)を用いて合わせガラスを作製する。分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS K 8781−4:2013に準拠して、放置前後における色調変化を色差ΔEで求める。なお測定位置は合わせガラスの中央部とする。
【0031】
本発明に係る樹脂膜は、熱可塑性樹脂と、染料とを含む。本発明に係る樹脂膜では、色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の色差ΔEを容易に4.3以下とできることから、上記染料は、モル体積が200cm
3/mol以上である染料を含むことが好ましい。
【0032】
本発明では、上記の構成が備えられているので、染料が含まれているにもかかわらず、色移りによる変色を抑えることができる。本発明では、熱可塑性樹脂膜内で部分的に色移りが生じるのを抑えることができ、更には、光が照射された後の、色むらの発生を抑えることができる。さらに、熱可塑性樹脂膜が他の樹脂膜又はガラス板などに積層された場合に、他の樹脂膜又はガラス板に対して色移りが生じるのを抑えることができ、色移りによる変色を抑えることができる。
【0033】
本発明では、上記ガラス板含有積層体が高い透明性を有する場合に、高い透明性を維持することができ、可視光線透過率の低下を防ぐことができる。
【0034】
また、本発明に係る樹脂膜は、光安定剤を含むことが好ましく、ヒンダードアミン光安定剤を含むことがより好ましい。
【0035】
従来の熱可塑性樹脂膜では、耐光性が低く、光が照射された後に、縁部と縁部の内側とで色調がかわり、色むらが発生することがある。上記樹脂膜が光安定剤を含むことによって、特に上記樹脂膜がヒンダードアミン光安定剤を含むことによって、光が照射された後に、色むらの発生を抑えることができる。より具体的には、上記樹脂膜が光安定剤を含むことによって、特に上記樹脂膜がヒンダードアミン光安定剤を含むことによって、縁部と縁部の内側とで色調がかわり難くなり、色むらが発生し難くなる。本明細書において、「色むら」とは、縁部と縁部の内側とで色調が異なることを意味する。
【0036】
本発明に係る樹脂膜は、ガラス板に貼り合わされて好適に用いられ、ガラス板含有積層体を得るために好適に用いられる。上記樹脂膜が光安定剤を含むことによって、特に上記樹脂膜がヒンダードアミン光安定剤を含むことによって、ガラス板含有積層体の耐光性を高めることができ、色むらの発生を抑えることができる。
【0037】
JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得る。この得られたガラス板含有積層体の全光線透過率は、好ましくは1%以上、より好ましくは4%以上、更に好ましくは6%以上、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは8%以下である。上記熱可塑性樹脂膜は、上記全光線透過率の下限又は上限を満足する領域を有することが好ましい。
【0038】
上記全光線透過率は、平行光透過率と拡散光透過率との合計である。上記全光線透過率は、JIS R3106:1998に準拠して測定される。具体的には、分光光度計を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、測定対象物を平行にかつ密着させ、分光透過率を測定する。上記全光線透過率は、この状態で測定された分光透過率から算出された可視光線透過率を意味する。上記分光光度計としては、例えば、日立ハイテク社製「U−4100」等が挙げられる。
【0039】
ガラス板含有積層体の透明性を高める観点からは、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラスの間に熱可塑性樹脂膜を挟み込んでガラス板含有積層体を得たときに、得られたガラス板含有積層体のヘーズ値は好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1.2%以下である。
【0040】
以下、本発明に係る樹脂膜に用いることができる各材料を詳細に説明する。
【0041】
(熱可塑性樹脂)
上記樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アイオノマー樹脂及びシクロオレフィン樹脂等が挙げられる。
【0042】
本発明に係る樹脂膜では、上記樹脂膜に含まれている熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記表面層及び上記中間層が、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内である。
【0044】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、好ましくは3500以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、樹脂膜の成形が容易になる。
【0045】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0046】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、樹脂膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0047】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0048】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、樹脂膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、樹脂膜の柔軟性が高くなり、樹脂膜の取扱いが容易になる。
【0049】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0050】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、樹脂膜及びガラス板含有積層体の耐湿性が高くなる。
【0051】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0052】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0053】
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。先ず、主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。このモル分率を百分率で示した値がアセタール化度である。
【0054】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396−92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
【0055】
(可塑剤)
樹脂膜の接着力を適度に高める観点から、上記樹脂膜は、可塑剤を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する本発明に係る樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0057】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0058】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0059】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0060】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0061】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0063】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
【0064】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0065】
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂膜において、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下、更に好ましくは45重量部以下、特に好ましくは40重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、樹脂膜の透明性がより一層高くなる。
【0066】
(着色剤(染料及び顔料))
変色を抑える観点から、上記樹脂膜は、染料を含み、該染料のモル体積が200cm
3/mol以上であることが好ましい。上記樹脂膜に含まれる染料は、モル体積が200cm
3/mol以上である染料を含むことが好ましい。
【0067】
変色をより一層抑える観点、並びに、色むらをより一層抑える観点からは、上記染料のモル体積は、好ましくは220cm
3/mol以上、より好ましくは260cm
3/mol以上、更に好ましくは300cm
3/mol以上である。上記樹脂膜は、モル体積が上記下限以上である染料を含むことが好ましい。上記染料のモル体積の上限は特に限定されない。上記染料のモル体積は、595cm
3/mol以下であってもよい。
【0068】
上記樹脂膜に含まれる染料の少なくとも1種が上記下限以上のモル体積を有することが好ましい。上記樹脂膜に含まれる染料の全てが上記下限以上のモル体積を有することが好ましい。
【0069】
変色をより一層抑える観点、並びに、色むらをより一層抑える観点からは、上記樹脂膜は、上記樹脂膜に含まれる染料全体での平均モル体積は、好ましくは280cm
3/mol以上、より好ましくは300cm
3/mol以上、更に好ましくは350cm
3/mol以上、特に好ましくは400cm
3/mol以上である。上記染料全体での平均モル体積は、595cm
3/mol以下であってもよい。
【0070】
上記染料全体での平均モル体積とは、以下の合計である。(1種目の染料のモル体積×全染料100重量%中の1種目の染料の含有量(重量%))/100+(2種目の染料のモル体積×全染料100重量%中の2種目の染料の含有量(重量%))/100+…(n種目の染料のモル体積×全染料100重量%中のn種目の染料の含有量(重量%))/100の合計。例えば、全染料100重量%中の、モル体積が300cm
3/molの染料の含有量が25重量%、かつ、全染料100重量%中の、モル体積が400cm
3/molの染料の含有量が75重量%である場合に、平均モル体積は、375cm
3/molである。上記樹脂膜に含まれる染料が1種である場合に、上記染料全体での平均モル体積は、1つの染料のモル体積である。
【0071】
着色剤が染料と顔料との何れに該当するかは、カラーインデックスによる分類から判別することができる。
【0072】
上記樹脂膜は顔料を含んでいてもよい。上記染料は、顔料とは異なる。本明細書において、カラーインデックスに記載されていない着色剤等については、「染料」及び「顔料」は、以下のように定義されてもよい。ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)を用意する。このポリビニルブチラール樹脂100重量部と、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部と、ポリビニルブチラール樹脂と3GOと着色剤との合計量100重量%に対して0.015重量%の含有量となる着色剤とを混練し、押し出して得られる厚さ760μmの樹脂膜(単層)を得る。この樹脂膜と、JIS R3106:1998に準拠して測定された可視光線透過率が90%の2枚のクリアガラス(厚み2.5mm)とを用いて合わせガラスを作製した際に、得られる合わせガラスのヘーズ値が0.35%未満となる着色剤を染料とする。ヘーズ値が0.35%以上となる着色剤は顔料とする。
【0073】
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、色移りによる変色をより一層抑えることができ、かつ、光が照射された後の色むらの発生をより一層抑えられることから、顔料を含むことが好ましい。本発明に係る熱可塑性樹脂膜が顔料を含むことによって、染料のみを含み、かつ、同程度の色味を有する樹脂膜に比較して、変色及び色むらの発生をより一層抑えることができる。変色及び色むらの発生を更により一層抑えられることから、本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、染料を2種以上含み、かつ顔料を1種以上含むことがより好ましく、染料を3種以上含み、かつ顔料を1種以上含むことが更に好ましい。
【0074】
上記染料としては、ピレン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系染料、及びアゾ系染料等が挙げられる。
【0075】
上記ピレン系染料としては、Solvent Green5(CAS79869−59−3)及びSolvent Green7(CAS6358−69−6)等が挙げられる。
【0076】
上記アミノケトン系染料としては、Solvent Yellow98(CAS12671−74−8)、Solvent Yellow85(CAS12271−01−1)及びSolvent Red179(CAS8910−94−5)、及びSolvent Red135(CAS71902−17−5)等が挙げられる。
【0077】
上記アントラキノン系染料としては、Solvent Yellow163(CAS13676091−0)、Solvent Red207(CAS15958−69−6),Disperse Red92(CAS12236−11−2)、Solvent Violet13(CAS81−48−1)、Disperse Violet31(CAS6408−72−6)、Solvent Blue97(CAS61969−44−6)、Solvent Blue45(CAS37229−23−5)、Solvent Blue104(CAS116−75−6)及びDisperse Blue214(CAS104491−84−1)等が挙げられる。
【0078】
上記アゾ染料としては、Solvent Yellow30(CAS3321−10−4)、Solvent Red164(CAS70956−30−8)、及びDisperse Blue146(CAS88650−91−3)等が挙げられる。
【0079】
変色をより一層抑える観点、並びに、色むらをより一層抑える観点からは、上記樹脂膜は、上記染料として、アントラキノン系染料、アゾ系染料又はアミノケトン系染料を含むことが好ましい。上記樹脂膜は、アントラキノン系染料を含んでいてもよく、アゾ系染料を含んでいてもよく、アミノケトン系染料を含んでいてもよい。
【0080】
上記アントラキノン系染料は、アントラキノン骨格を有する。上記アゾ系染料は、アゾ基を有する。
【0081】
特定のモル体積を有する染料の使用によって染料や顔料等の着色剤の合計の含有量が多くても、変色を抑えることができる。従って、上記染料は、熱可塑性樹脂膜に含まれる全着色剤成分のうち、重量基準での含有量が4番目までに多い成分であってもよい。即ち、上記染料は、熱可塑性樹脂膜に含まれる全着色剤成分のうち、重量基準での含有量が1番目、2番目、3番目又は4番目に多い成分であってもよい。変色をより一層抑える観点、並びに、色むらをより一層抑える観点からは、上記染料は、熱可塑性樹脂膜に含まれる全着色剤成分のうち、重量基準での含有量が3番目まで又は4番目までに多い成分であることが好ましい。
【0082】
上記染料は、色で分類することもできる。色に深みを持たせる観点からは、上記染料は赤色染料又は紫色染料であることが好ましい。上記赤色染料としては、Solvent Red 179、Solvent Red 164、及びSolvent Red 135などが挙げられる。上記紫色染料としては、Disperse Violet31、及びSolvent Violet13等が挙げられる。上記染料として、他にも青色染料、茶色染料、黒色染料、及び緑色染料等を用いることができる。
【0083】
変色をより一層抑え、かつ光照射後の色むらを効果的に抑える観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記染料の含有量は好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.03重量%以上、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.08重量%以下である。
【0084】
(光安定剤)
上記樹脂膜は、光安定剤を含むことが好ましい。光安定剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、太陽光に晒されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。また、光照射後の色むら、及び変色を抑える観点から、上記樹脂膜は、上記染料とともに、上記光安定剤を含むことが好ましい。上記光安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0085】
変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤であることが好ましい。
【0086】
上記ヒンダードアミン光安定剤としては、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基、アルコキシ基又は水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤等が挙げられる。変色をより一層抑える観点からは、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基又はアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤が好ましい。上記ヒンダードアミン光安定剤は、ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることが好ましく、ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤であることも好ましい。
【0087】
上記ピペリジン構造の窒素原子にアルキル基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin765」及び「Tinuvin622SF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA−52」等が挙げられる。
【0088】
上記ピペリジン構造の窒素原子にアルコキシ基が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「TinuvinXT−850FF」及び「TinuvinXT−855FF」、及びADEKA社製「アデカスタブ LA−81」等が挙げられる。
【0089】
上記ピペリジン構造の窒素原子に水素原子が結合しているヒンダードアミン光安定剤としては、BASF社製「Tinuvin770DF」、及びクラリアント社製「Hostavin N24」等が挙げられる。
【0090】
変色をより一層抑える観点からは、上記光安定剤の分子量は好ましくは2000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは700以下である。
【0091】
過度の色むら、及び変色をより一層抑える観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記光安定剤の含有量は好ましくは0.0025重量%以上、より好ましくは0.025重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
【0092】
(金属塩)
上記樹脂膜は、マグネシウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(以下、これらを併せて金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記金属塩Mの使用により、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する本発明に係る樹脂膜の接着力を制御することがより一層容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0093】
上記金属塩Mは、金属として、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr又はBaを含むことが好ましい。樹脂膜中に含まれている金属塩は、K又はMgであることが好ましい。この場合に、KとMgとの双方が含まれていてもよい。
【0094】
また、上記金属塩Mは、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩又は炭素数2〜16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩であることが更に好ましい。
【0095】
上記炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチル酪酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム及び2−エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0096】
上記樹脂膜におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは20ppm以上、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、更に好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、ガラス板、合わせガラス部材又は他の樹脂膜等に対する樹脂膜の接着力をより一層良好に制御できる。
【0097】
(紫外線遮蔽剤)
上記樹脂膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記紫外線遮蔽剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0098】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0099】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤(金属を含有する紫外線遮蔽剤)、金属酸化物系紫外線遮蔽剤(金属酸化物を含有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤)、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤)、トリアジン系紫外線遮蔽剤(トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤)、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤)、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤)及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤(ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤)等が挙げられる。
【0100】
上記金属系紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0101】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤である。
【0102】
上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0103】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0104】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0105】
上記ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0106】
上記トリアジン系紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0107】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0108】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0109】
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0110】
上記ベンゾエート系紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0111】
耐候性をより一層高め、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。耐候性をより一層高め、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。
【0112】
(酸化防止剤)
上記樹脂膜は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤の使用により、樹脂膜が長期間使用されたり、高温下で使用されたりしても、変色がより一層抑えられ、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0113】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0114】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0115】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0116】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0117】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H−BHT」、BASF社製「IRGANOX 1010」、並びにADEKA社製「アデカスタブ AO−40」等が挙げられる。
【0118】
耐候性をより一層高め、可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記樹脂膜100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記樹脂膜100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0119】
(他の成分)
上記樹脂膜は、必要に応じて、難燃剤、帯電防止剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0120】
(樹脂膜の他の詳細)
ガラス板含有積層体の耐貫通性を効果的に高める観点からは、上記樹脂膜のガラス転移温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下である。
【0121】
上記樹脂膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、上記樹脂膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。上記樹脂膜の厚みが上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記樹脂膜の厚みが上記上限以下であると、樹脂膜の透明性がより一層良好になる。
【0122】
上記樹脂膜の製造方法は特に限定されない。該樹脂膜の製造方法として、従来公知の方法を用いることができる。例えば、配合成分を混練し、樹脂膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
【0123】
上記混練の方法は特に限定されない。この方法として、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。
【0124】
本発明に係る樹脂膜は、単独で合わせガラスに用いられてもよく、他の樹脂膜とともに合わせガラスに用いられてもよい。本発明に係る樹脂膜は、他の樹脂膜に積層された状態で、多層樹脂膜として用いることができる。
【0125】
(ガラス板含有積層体)
図1は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体の一例を示す断面図である。
【0126】
図1に示すガラス板含有積層体1は、樹脂膜2と、第1の合わせガラス部材21(第1のガラス板)と、第2の合わせガラス部材22(第2のガラス板であってもよい)とを備える。樹脂膜2は単層の樹脂膜である。樹脂膜2は、ガラス板含有積層体を得るために用いられる。樹脂膜2は、ガラス板に貼り合わされて用いられる樹脂膜である。ガラス板含有積層体1は、合わせガラスである。
【0127】
樹脂膜2は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。樹脂膜2の第1の表面2a(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材21が積層されている。樹脂膜2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材22が積層されている。
【0128】
図2は、本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を用いたガラス板含有積層体の変形例を示す断面図である。
【0129】
図2に示すガラス板含有積層体11は、樹脂膜12と、第1の合わせガラス部材21(第1のガラス板)と、第2の合わせガラス部材22とを備える。樹脂膜12は、多層の樹脂膜である。樹脂膜12は、ガラス板含有積層体を得るために用いられる。樹脂膜12は、ガラス板に貼り合わされて用いられる樹脂膜である。ガラス板含有積層体11は、合わせガラスである。
【0130】
樹脂膜12は、第1の層13(樹脂膜)、第2の層14(樹脂膜)及び第3の層15(樹脂膜)の3つの樹脂膜がこの順で積層された構造を有する。本実施形態では、第2の層14は、遮音層である。第2の層14は、第1,第3の層13,15を介して、第1,第2の合わせガラス部材21,22に貼り合されている。第1,第3の層13,15は、保護層である。第1,第3の層13,15として、本発明の一実施形態に係る樹脂膜が用いられている。第2の層14として、本発明の一実施形態に係る樹脂膜が用いられていてもよい。第1の層13又は第3の層15も、本発明の実施形態に係る樹脂膜であってもよい。
【0131】
樹脂膜12は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。第2の層14(樹脂膜)が、第1,第3の層13,15を介して、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されている。第1の層13の外側の表面13aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第2の層15の外側の表面15aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
【0132】
このように、本発明に係るガラス板含有積層体は、第1のガラス板と、本発明に係る樹脂膜とを備えていればよい。上記樹脂膜は、上記第1の合わせガラス部材(第1のガラス板)と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されていることが好ましい。上記ガラス板含有積層体は、樹脂膜として、本発明に係る樹脂膜のみを備えていてもよく、本発明に係る樹脂膜と他の樹脂膜とを備えていてもよい。上記ガラス板含有積層体は、本発明に係る樹脂膜を少なくとも含む。
【0133】
本発明に係る熱可塑性樹脂膜が2層以上の多層膜の内の少なくとも1層として用いられる場合に、合わせガラスの遮音性を向上させるために、多層膜は、遮音層を備える遮音膜であることが好ましい。上記多層膜は、本発明に係る樹脂膜を含む膜である。多層膜は、遮音層と保護層とを備えていてもよい。多層膜は、遮音層と保護層との2層の構造、保護層と遮音層と保護層との3層の構造、及び遮音層の少なくとも1層と保護層の少なくとも1層とを備える4層以上の構造が挙げられる。
図2において、第1の層13と第2の層14と第3の層15との多層膜が示されている。この場合に、第1の層13に、本発明に係る樹脂膜を用いることができ、第3の層15にも、本発明に係る樹脂膜を用いることができる。例えば、
図2において、第1の層13と第2の層14とのみの多層膜であってもよい。この場合に、第1の層13に、本発明に係る樹脂膜を用いることができ、第2の層14にも、本発明に係る樹脂膜を用いることができる。
【0134】
遮音層と保護層との2層の構造の多層膜の場合に、遮音層が、本発明に係る樹脂膜であってもよく、保護層が、本発明に係る樹脂膜であってもよく、保護層が、本発明に係る樹脂膜であることが好ましい。保護層と遮音層と保護層との3層の構造の多層膜の場合に、保護層が、本発明に係る樹脂膜を含み、遮音層が、本発明に係る樹脂膜であってもよい。保護層が、本発明に係る樹脂膜であることが好ましい。遮音層の少なくとも1層と保護層の少なくとも1層とを備える4層以上の構造を有する多層膜の場合に、遮音層が、本発明に係る樹脂膜であってもよく、保護層が、本発明に係る樹脂膜であってもよい。保護層が、本発明に係る樹脂膜であることが好ましい。
【0135】
上記多層膜において、上記遮音層は遮音性を付与する役割を有する。上記遮音層は、ポリビニルアセタール樹脂(X)と可塑剤とを含むことが好ましい。
【0136】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内である。
【0137】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の製造に用いられる上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は好ましくは200以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、遮音層の成形が容易になる。
【0138】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の製造において、上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数は好ましくは4以上、好ましくは6以下である。アルデヒドの炭素数が上記下限以上であると、充分な量の可塑剤を安定して含有させることができ、優れた遮音性を発揮することができる。また、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。アルデヒドの炭素数が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(X)の合成が容易であり、生産性を確保できる。
【0139】
炭素数が4〜6のアルデヒドは、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよい。炭素数4〜6のアルデヒドとしては、n−ブチルアルデヒド、及びn−バレルアルデヒド等が挙げられる。
【0140】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の水酸基の含有率は好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の水酸基の含有率が上記上限以下であると、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトを防止することができる。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の水酸基の含有率は好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは20モル%以上である。
【0141】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセタール化度は好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは68モル%以上、好ましくは85モル%以下である。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセタール化度が上記下限以上であると、遮音層の疎水性を高くして、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、可塑剤のブリードアウトや白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(X)の合成が容易であり、生産性を確保することができる。
【0142】
上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセチル化度は好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、更に好ましくは5モル%以上、特に好ましくは8モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセチル化度が上記下限以上であると、遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができ、ブリードアウトを防止することができる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂(X)のアセチル化度が上記上限以下であると、遮音層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。
【0143】
特に、上記遮音層に遮音性を発揮するのに必要な量の可塑剤を容易に含有させることができることから、上記ポリビニルアセタール樹脂(X)は、上記アセチル化度が8モル%以上のポリビニルアセタール樹脂、又は、上記アセチル化度が8モル%未満、かつ、アセタール化度が65モル%以上のポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。また、上記ポリビニルアセタール樹脂(X)は、上記アセチル化度が8モル%以上のポリビニルアセタール樹脂、又は、上記アセチル化度が8モル%未満、かつ、アセタール化度が68モル%以上のポリビニルアセタール樹脂であることがより好ましい。
【0144】
上記遮音層中の上記ポリビニルアセタール樹脂(X)100重量部に対して、上記遮音層中の上記可塑剤の含有量は、好ましくは45重量部以上、より好ましくは50重量部以上、更に好ましくは55重量部以上、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、更に好ましくは70重量部以下である。上記可塑剤の含有量が、上記下限以上であると、高い遮音性を発揮することができ、上記上限以下であると、可塑剤のブリードアウトが生じ難く、多層膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。
【0145】
上記遮音層の厚みは好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上、好ましくは300μm以下である。上記遮音層の厚みが上記下限以上であると、充分な遮音性を発揮することができる。上記遮音層の厚みは、平均厚みを示す。上記遮音層の厚み方向の断面形状は、矩形状であってもよく、上記遮音層は、楔形状である部分を有していてもよい。
【0146】
上記遮音層は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有していてもよい。上記遮音層は、厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有することが好ましい。この場合、上記遮音層の最小厚みは好ましくは50μm以上、より好ましくは80μm以上、更に好ましくは100μm以上である。上記遮音層の最小厚みが上記下限以上であると、充分な遮音性を発揮することができる。上記遮音層の最大厚みの上限は特に限定されない。多層膜としての厚さを考慮すると、上記遮音層の最大厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
【0147】
上記保護層は、遮音層に含まれる大量の可塑剤がブリードアウトして、多層膜とガラス板及び合わせガラス部材との接着性が低下するのを防止し、また、多層膜に耐貫通性を付与する役割を有する。上記保護層は、ポリビニルアセタール樹脂(Y)と可塑剤とを含むことが好ましい。
【0148】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内である。
【0149】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の製造に用いられる上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は好ましくは200以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、ガラス板含有積層体の耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、保護層の成形が容易になる。
【0150】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の製造において、上記ポリビニルアルコールをアセタール化するためのアルデヒドの炭素数は好ましくは3以上、好ましくは4以下である。アルデヒドの炭素数が上記下限以上であると、多層膜の耐貫通性が高くなる。アルデヒドの炭素数が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂(Y)の生産性が向上する。
【0151】
炭素数が3〜4のアルデヒドは、直鎖状のアルデヒドであってもよいし、分枝状のアルデヒドであってもよい。炭素数3〜4のアルデヒドとしては、n−ブチルアルデヒド等が挙げられる。
【0152】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の水酸基の含有率は好ましくは33モル%以下、好ましくは28モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の水酸基の含有率が上記上限以下であると、多層膜の白化を防止することができる。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の水酸基の含有率が上記下限以上であると、多層膜の耐貫通性が高くなる。
【0153】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)のアセタール化度は好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは69モル%以下である。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)のアセタール化度が上記下限以上であると、充分な耐貫通性を発揮するのに必要な量の可塑剤を含有させることができる。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)のアセタール化度が上記上限以下であると、上記保護層とガラス板及び合わせガラス部材との接着力を確保することができる。
【0154】
上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)のアセチル化度は好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、好ましくは7モル%以下である。上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)のアセチル化度が上記上限以下であると、保護層の疎水性を高くして、白化を防止することができる。
【0155】
上記保護層中の上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)100重量部に対して、上記保護層中の上記可塑剤の含有量は、好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは35重量部以上、好ましくは45重量部以下、より好ましくは43重量部以下である。上記可塑剤の含有量が、上記下限以上であると、耐貫通性を確保することができ、上記上限以下であると、可塑剤のブリードアウトを防止して、多層膜の透明性や接着性の低下を防止することができる。
【0156】
ガラス板含有積層体の遮音性がより一層向上することから、上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(X)の水酸基の含有率よりも大きいことが好ましく、1モル%以上大きいことがより好ましく、5モル%以上大きいことが更に好ましく、8モル%以上大きいことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂(X)及びポリビニルアセタール樹脂(Y)の水酸基の含有率を調整することにより、上記遮音層及び上記保護層における可塑剤の含有量を制御することができ、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、ガラス板含有積層体の遮音性がより一層向上する。
【0157】
上記遮音層中の上記ポリビニルアセタール樹脂(X)100重量部に対する、上記遮音層中の上記可塑剤の含有量を、含有量(X)とする。上記保護層中の上記ポリビニルアセタール樹脂(Y)100重量部に対する上記保護層中の上記可塑剤の含有量を、含有量(Y)とする。ガラス板含有積層体の遮音性がより一層向上することから、上記含有量(X)は、上記含有量(Y)よりも多いことが好ましく、5重量部以上多いことがより好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましく、20重量部以上多いことが特に好ましい。含有量(X)及び含有量(Y)を調整することにより、上記遮音層のガラス転移温度が低くなる。結果として、ガラス板含有積層体の遮音性がより一層向上する。
【0158】
上記保護層の厚みは、上記保護層の役割を果たし得る範囲に調整すればよく、特に限定されない。ただし、上記保護層上に凹凸を有する場合には、直接接する上記遮音層との界面への凹凸の転写を抑えられるように、上記保護層の厚みは、可能な範囲で厚くすることが好ましい。具体的には、上記保護層の厚みは好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、更に好ましくは400μm以上、特に好ましくは450μm以上である。上記保護層の厚みは特に限定されないが、充分な遮音性を達成できる程度に遮音層の厚さを確保するためには、実質的には500μm程度以下である。上記保護層の厚みは、平均厚みを示す。上記保護層の厚み方向の断面形状は、矩形状であってもよく、上記保護層は、楔形状である部分を有していてもよい。
【0159】
上記保護層は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有し、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きい形状を有していてもよい。上記保護層は、厚み方向の断面形状が楔形状である部分を有することが好ましい。上記保護層の最小厚みは、上記保護層の役割を果たし得る範囲に調整すればよく、特に限定されない。ただし、上記保護層上に凹凸を有する場合には、直接接する上記遮音層との界面への凹凸の転写を抑えられるように、上記保護層の最小厚みは、可能な範囲で厚くすることが好ましい。具体的には、上記保護層の最小厚みは好ましくは100μm以上、より好ましくは300μm以上、更に好ましくは400μm以上、特に好ましくは450μm以上である。上記保護層の最大厚みの上限は特に限定されない。充分な遮音性を達成できる程度に保護層の厚さを確保するためには、上記保護層の最大厚みは、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下である。
【0160】
本発明の熱可塑性樹脂膜は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有していてもよい。上記一端と上記他端とは、樹脂膜において対向し合う両側の端部である。本発明の熱可塑性樹脂膜を合わせガラス用中間膜として用いた場合に、得られる合わせガラスをヘッドアップディスプレイとして好適に用いることができることから、本発明の熱可塑性樹脂膜では、上記他端の厚みが、上記一端の厚みよりも大きいことが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂膜は、断面形状が楔形であってもよい。本発明の熱可塑性樹脂膜を含む膜は、断面形状が楔形であってもよい。熱可塑性樹脂膜の断面形状が楔形であれば、合わせガラス用中間膜として用いた場合に、合わせガラスの取り付け角度に応じて、楔形の楔角θを調整することにより、ヘッドアップディスプレイにおいて二重像の発生を防止した画像表示が可能となる。二重像をより一層抑制する観点から、上記楔角θは好ましくは0.1mrad以上、より好ましくは0.2mrad以上、更に好ましくは0.3mrad以上、好ましくは1mrad以下、より好ましくは0.9mrad以下である。なお、例えば押出機を用いて樹脂組成物を押出し成形する方法により断面形状が楔形の熱可塑性樹脂膜を製造した場合、樹脂膜又は多層膜の形状は、薄い側の一方の端部からわずかに内側の領域に最小厚みを有し、厚い側の一方の端部からわずかに内側の領域に最大厚みを有する形状となることがある。本明細書においては、このような形状も楔形に含まれる。上記薄い側の一方の端部からわずかに内側の領域は、例えば、具体的には、一端と他端との間の距離をXとしたときに、薄い側の一端から内側に向かって0X〜0.2Xの距離の領域である。上記厚い側の一方の端部からわずかに内側の領域は、例えば、具体的には、一端と他端との間の距離をXとしたときに、厚い側の一端から内側に向かって0X〜0.2Xの距離の領域である。
【0161】
本発明の熱可塑性樹脂膜の断面形状が楔形である場合、該熱可塑性樹脂膜を用いて、遮音層と、保護層を含む多層膜とすることもできる。上記遮音層の厚みを一定範囲とする一方、上記保護層を積層することにより、多層膜全体としての断面形状が一定の楔角である楔形となるように調整することができる。
【0162】
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に樹脂膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第2の合わせガラス部材がガラス板又はPETフィルムであることが好ましい。
【0163】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0164】
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0165】
上記ガラス板含有積層体の製造方法は特に限定されない。上記第1のガラス板に、上記樹脂膜を貼り合わせることにより、ガラス板含有積層体を得ることができる。さらに、例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、樹脂膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1の合わせガラス部材と樹脂膜との間及び上記第2の合わせガラス部材と樹脂膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、ガラス板含有積層体である合わせガラスを得ることができる。
【0166】
上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、これらの用途以外にも使用できる。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、車両用又は建築用の樹脂膜及びガラス板含有積層体であることが好ましく、車両用の樹脂膜及びガラス板含有積層体であることがより好ましい。上記樹脂膜及び上記ガラス板含有積層体は、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
【0167】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0168】
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
【0169】
(ポリビニルセタール樹脂)
ポリビニルブチラール樹脂(PVB(1))(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度(ブチラール化度)69モル%)
【0170】
ポリビニルブチラール(PVB)樹脂に関しては、ブチラール化度(アセタール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396−92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0171】
(可塑剤)
トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)
【0172】
(染料)
アントラキノン系染料(1)(CASNo.14233−37−5、モル体積262cm
3/mol)
アントラキノン系染料(2)(CASNo.13676−91−0、モル体積303cm
3/mol)
アントラキノン系染料(3)(CASNo.17418−58−5、モル体積223cm
3/mol)
アントラキノン系染料(4)(CASNo2475−44−7、モル体積477cm
3/mol)
アミノケトン系染料(1)(CASNo.20749−68−2、モル体積246cm
3/mol)
アントラキノン系染料(X)(CASNo.81−42−5、モル体積182cm
3/mol)
【0173】
(顔料)
インドール顔料(CASNo.5590−18−1)
【0174】
(光安定剤)
Tinuvin765(BASF社製、N−C(アルキル基)型)
Tinuvin770(BASF社製、N−H(水素基)型)
Tinuvin123(BASF社製、N−O−R(アルコキシ基)型)
【0175】
(金属塩)
混合物(1)(酢酸マグネシウムと2−エチルヘキサン酸マグネシウムとの混合物)
【0176】
(紫外線遮蔽剤)
Tinuvin326(BASF社製)
【0177】
(酸化防止剤)
BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)
【0178】
(実施例1)
樹脂膜を形成するための組成物の作製:
PVB(1)に、3GOと、アントラキノン系染料(4)と、アントラキノン系染料(3)と、アントラキノン系染料(2)と、混合物(1)と、Tinuvin326と、BHTとを下記の表1に示す配合量となるように添加して、ミキシングロールで充分に混練し、組成物を得た。
【0179】
樹脂膜の作製:
樹脂膜を形成するための組成物を、押出機を用いて押出し、JIS B 0601:1994に準拠して測定される十点平均粗さRzが20μmとなるようにエンボスロールを用いて樹脂膜表面にエンボスを付与することにより、単層の樹脂膜(厚み780μm)を作製した。
【0180】
合わせガラスの作製:
得られた樹脂膜を、縦15cm×横15cmに切り出した。次に、JIS R3208に準拠した、厚み2mmの2枚のグリーンガラス(縦15cm×横15cm×厚み2mm)の間に樹脂膜を挟み込み、真空ラミネーターにて90℃で30分間保持し、真空プレスし、合わせガラスを得た。
【0181】
(実施例2〜12及び比較例1〜4)
組成物の配合成分の種類及び配合量を下記の表1〜3に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂膜及び合わせガラスを得た。
【0182】
(評価)
(1)ガラス転移温度の測定
実施例及び比較例で得られた樹脂膜を、25℃及び相対湿度30%の条件で12時間放置した。12時間放置した後に、TA INSTRUMENTS社製のARES−G2を用いて、粘弾性を測定した。治具として、直径8mmのパラレルプレートを用いた。3℃/分の降温速度で100℃から−10℃まで温度を低下させる条件、及び周波数1Hz及び歪1%の条件で測定を行った。得られた測定結果において、損失正接のピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)とした。
【0183】
(2)ヘーズ値の測定
ヘーズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られた合わせガラスのヘーズ値を測定した。
【0184】
(3)全光線透過率
JIS R3106:1998に準拠して、得られた合わせガラスの全光線透過率(TvD)を測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、透過した光線をすべて積分球に受光するよう積分球の開口部に、得られた合わせガラスを平行にかつ密着させ、分光透過率を測定した。得られた上記分光透過率から算出した可視光線透過率を、全光線透過率とした。
【0185】
(4)変色(色移り)の評価
ゴムシート(硬度60、縦5cm、横5cm、厚み2mm)上に、より着色の少ない面がゴムシートと接するように実施例及び比較例で得られた樹脂膜(縦4cm、横4cm)を置いた。次に、色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜(厚み760μm、縦4cm、横4cm、染料及び顔料は未使用)を用意した。上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜の、JIS B 0601:1994に準拠して測定される表面の十点平均粗さRzは20μmである。上記色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜は、ポリビニルブチラール樹脂(ポリビニルアルコールの重合度1700、水酸基の含有率30モル%、アセチル化度1モル%、ブチラール化度69モル%)100重量部及びトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部から構成される。実施例及び比較例で得られた樹脂膜上に色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜、及び、グリーンガラス(JIS R3208に準拠、厚み2mm、縦4cm、横4cm)を載せて積層体を得た。得られた積層体のガラス板の上に、プレス機を用いて、200g/cm
2の加重を均一にかけ、23℃及び湿度25%の条件で1週間放置した。放置後に、色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜を取り出した。
【0186】
放置前の色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜と放置後の色移り試験用ポリビニルブチラール樹脂膜を用いて、それぞれJIS R3106:1998に準拠して測定された可視光線透過率が90%の2枚のクリアガラス(厚み2.5mm、縦4cm、横4cm)を用いて合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスについて、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS K 8781−4:2013に準拠して、放置前後における色調変化を色差ΔEで求めた。なお、測定位置は合わせガラスの中央部とした。色差ΔEから変色を以下の基準で判定した。
【0187】
[変色の判定基準]
○○:ΔEが4.3以下
○:ΔEが4.3を超え4.5以下
△:ΔEが4.5を超え7以下
×:ΔEが7を超える
【0188】
(5)光照射後の色むら(縁部と縁部の内側との色調の相違)の評価
実施例及び比較例で得られた縦15cm×横15cmの合わせガラスに対して、合わせガラスのどちらかの面を光源側とし、光源から230mmの距離に合わせガラスを設置した。さらに、合わせガラスの四辺のうち二辺が光に曝されるように、残る二辺が固定枠で光から隠れるように設置した。スガ試験機社製「H75」を用いて、ブラックパネル温度50℃、照射強度70W/m
2(波長300nmから400nm)に設定し、ブラックパネル温度50℃にて、光を1000時間照射した。目視観察により色むらを以下の基準で判定した。なお、
図3に、色むらが発生した合わせガラスを示した。
【0189】
[光照射後の色むらの判定基準]
○○:光に曝された二辺の縁部と、縁部の内側の縁部から5mm〜25mmの範囲とで色調が同じであり、色むらが発生していない
○:光に曝された二辺の縁部と、縁部の内側の縁部から5mm〜25mmの範囲とで色調が異なり、かなり薄く色むらが発生している
△:光に曝された二辺の縁部と、縁部の内側の縁部から5mm〜25mmの範囲とで色調が異なり、薄く色むらが発生している
×:光に曝された二辺の縁部と、縁部の内側の縁部から5mm〜25mmの範囲とで色調が異なり、濃く色むらが発生している
【0190】
(6)モル体積の計算
実施例及び比較例で用いた染料のモル体積を、ソフトウェアHSPiP 4th Edition 4.1.07を用いて計算した。
【0191】
(7)染料及び顔料の同定及び定量
染料に関しては熱可塑性樹脂膜を溶媒にて溶解後、HPLCで染料を分取し、分取した溶媒を除去した後、NMRやMALDI−TOF−MS、TOF−SIMS、LC−MS、GC―MS、IR、UV−Visスペクトル測定などを用いて同定した。顔料に関しては、熱可塑性樹脂膜から二酸化炭素による超臨界抽出や有機溶媒によるソックスレー抽出などをした後、抽出後の熱可塑性樹脂膜を熱分解GC、MALDI−TOF−MS、TOF−SIMS、LC−MS、GC―MS、TEM−EDS、NMRで分析した。他にも、上記ソックスレー抽出後の熱可塑性樹脂膜を溶媒にて溶解し、再沈殿法などで熱可塑性樹脂のみを取り出した後、沈殿に用いた溶媒を留去して得られた着色成分をXRD、NMR、MALDI−TOF−MS、TOF−SIMS、LC−MS、GC―MS、IR法、UV−Visスペクトル測定などを用いて同定した。顔料が複数存在する場合は、HPLCやGPCなどで分取した。同定後、定量方法として、HPLCのピーク面積を用いて検量線を作成し同定する方法や、UV−Visスペクトルを用いて検量線を作成する方法を使用した。
【0192】
詳細及び結果を下記の表1〜3に示す。なお、下記表1〜3において、可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対する含有量を示す。また、下記表1〜3において、染料、顔料、光安定剤、紫外線遮蔽剤及び酸化防止剤の含有量は、樹脂膜100重量%中での含有量を示す。また、下記表1〜3において、Mg及びKの含有量の合計(ppm)は、樹脂膜中での濃度を示す。