【文献】
KUMAR,Shiv,New Journal of Chemistry,2015年,39(8),6351-6357
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機ソーラーセル、染料感受性有機ソーラーセル、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学セル、有機レーザーダイオードおよび有機プラスモン発光素子より成る群から選ばれる、請求項1〜9何れか1項記載の少なくとも一つの化合物を含む電子素子。
請求項1〜9何れか1項記載の化合物が、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料、電子ブロッックもしくは励起子ブロッックまたは正孔ブロッック材料、または、電子輸送材料として使用されることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項12記載の電子素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用のための材料およびこれらの材料を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として用いられる有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで用いられる発光材料は、ますます蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体となっている。量子力学的理由により、エネルギーとパワー効率の4倍までの増加が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。とはいえ、一般的に、OLEDの場合において、特に、三重項発光(燐光発光)を示すOLEDの場合において、たとえば、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。
【0003】
燐光発光OLEDの特性は、用いられる三重項エミッターによって決定されるだけではない。特に、マトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子もしくは励起子ブロック材料等の使用されるその他の材料が、ここで、特に重要である。そこで、これら材料における改善は、また、OLED特性、特に、効率、駆動電圧および材料の熱安定性に顕著な改善をもたらし得る。
【0004】
本発明の目的は、OLEDにおける、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料としてのみならず、正孔ブロック材料として、電子輸送材料として、もしくは随意に電荷生成層のための材料としての使用のために適している化合物を提供することである。本発明のさらなる目的は、OLED製造のためのより可能性の多い選択肢を当業者に提供するために、有機エレクトロルミッセンス素子のためのさらなる有機半導体を提供することである。
【0005】
ジベンゾフランおよびジベンゾチオフェン等の芳香族ヘテロ環をもつ化合物は、OLEDにおいて、一般的に発光材料のためのホストとして、または電荷移動性のために有用であることが知られている。ジベンゾフランおよびジベンゾチオフェンは、適合した電荷移動性をもつ化合物を得るために、芳香族もしくは複素環式芳香族基等の置換基で置換されてよい。
【0006】
EP 2372803、CN 102850334、EP 1885818は、ジベンゾフラン骨格にまたはジベンゾチオフェン骨格に結合する芳香族基、複素環式芳香族基もしくはアリールアミン基をもつ化合物を含むOLEDを記載している。
【0007】
US 2012/0119196、WO 2013/132278、WO2015/050173およびUS2015/0108449は、芳香族ヘテロ環基に結合するフルオランテン環をもつ化合物を含むOLEDを記載している。
【0008】
優れた性能データが、一方の側のフルオランテン骨格および他方の側の特定の芳香族もしくは複素環式芳香族基に直接結合するジベンゾフランおよびジベンゾチオフェン基を含む化合物により実現できることが見出された。より特別に、以下でより詳細に説明される本発明の化合物は、OLEDでの使用のために高度に適しており、有機エレクトロルミッセンス素子において、効率、寿命および/または駆動電圧に関して、有機エレクトロルミッセンス素子において、改善をもたらす。ここで、改善は、特に、輝度効率に関する。より特別に、赤色もしくは黄色燐光エミッター(三重項状態T1 2.4〜1.8eV)のための発光層でマトリックス材料もしくはホストとして本発明の化合物を含むOLEDは、輝度効率の点で改善された特性を示す一方、駆動電圧と寿命の点で極めて良好な特性を示す。したがって、本発明は、これらの化合物と以下に説明するタイプの化合物を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子に関する。
【0009】
したがって、本発明は、式(1)または(2)の化合物に関する:
【0010】
【化1】
【0011】
以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Xは、OまたはSであり;
Ar
Sは、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有する縮合アリール基であるか、またはArは、式(Ar−1)の基であり;
【0012】
【化2】
【0013】
ただし、Arは、フルオランテンではなく;破線はAr
Sへの結合であるか、またはAr
Sが存在しない場合は、式(1)または(2)で示されるXを含むヘテロ環のフェニル基への結合であり;
Eは、O、S、C(R
0)
2であり;tが0である場合は、そこで、2価ブリッジEは、存在せず;
R
0、R
1、R
2、R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)Ar
1、P(=O)(Ar
1)
2、S(=O)Ar
1、S(=O)
2Ar
1、(R
4)C=C(R
4)Ar
1、CN、NO
2、N(R
4)
2、Si(R
4)
3、B(OR
4)
2、B(R
4)
2、B(N(R
4)
2)
2、OSO
2R
4、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、1以上の、好ましくは、隣接しないCH
2基は、(R
4)C=C(R
4)、C≡C、Si(R
4)
2、Ge(R
4)
2、Sn(R
4)
2、C=O、C=S、C=Se、P(=O)(R
4)、SO、SO
2、N(R
4)、O、SもしくはCON(R
4)で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
4で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個の隣接する置換基R
0、2個以上の隣接する置換基R
1、2個以上の隣接する置換基R
2および/または2個以上の置換基R
3は、モノあるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
Ar
1は、出現毎に同一であるか異なり、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
R
4は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、Si(R
5)
3、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基(1以上の基R
5により置換されてよく、夫々、1以上の隣接しないCH
2基は、C(R
5)=C(R
5)、Si(R
5)
2、C=NR
5、P(=O)(R
5)、SO、SO
2、NR
5、O、SもしくはCONR
5で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、BrもしくはIで置き代えられてよい。)または、1以上の基R
5により置換されてよい6〜40個の炭素原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基R
5で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアリールオキシ基、または、1以上の基R
5で置換されてよい5〜40個の芳香族環原子を有するアラルキル基より成る基から選ばれ;ここで、随意に2個以上の隣接する置換基R
4は、モノあるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
R
5は、H、D、F、1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ、ここで、2個以上の隣接する置換基R
5は、モノあるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
m、n、r、uは、夫々、同一であるか異なり、0、1、2または3であり;
p、tは、夫々、同一であるか異なり、0または1であり;
q、vは、夫々、同一であるか異なり、0、1、2、3または4であり、
sは、0、1または2である。
【0014】
本願の目的のために、化学基の以下の定義が適用される。
【0015】
本発明の意味での、アリール基は、6〜60個のC原子を含み、本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1つは、ヘテロ原子である。好ましくは、ヘテロアリール基は、環中に、3個を超えるヘテロ原子を含まない。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0016】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環、すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン等、または、縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本願の意味での縮合(縮合環化)芳香族もしくは複素環式芳香族ポリ環状基は、互いに縮合した2以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0017】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0018】
本発明の定義にしたがうアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義が、ヘテロアリールオキシ基に適用される。
【0019】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わり加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp
3混成のC、Si、NあるいはO原子、sp
2混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用されることを意図される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、2個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の2個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0020】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族構造に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、cis-もしくはtrnas-インデノフルオレン、トルキセン、イソトルキセン、スピロトルキセン、スピロイソトルキセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0021】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0022】
2個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本願の目的のためには、特に、2個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用されることを意図される。これは、以下のスキームにより図解される。
【0023】
【化3】
【0024】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、2個の基の一つが水素である場合には、第2の基は、水素原子が結合した位置で結合して環を形成する意味で使用されることを意図される。これは、以下のスキームにより図解される。
【0025】
【化4】
【0026】
好ましい1態様にしたがうと、p=0であり、その結果、Ar
Sは存在せず、Arは、式(1)または(2)で示されるXを含むヘテロ環のフェニル基に直接結合する。
【0027】
p=1の場合は、基Ar
Sは、好ましくは、各場合に1以上の基R
3により置換されてもよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0028】
特に好ましい基Ar
Sは、式(Ar
S−1)〜(Ar
S−13)の基から選ばれる。
【0029】
【化5】
【0030】
式中、破線の結合は、Xを含むヘテロ環のフェニル基への結合と式(1)または(2)で示される基Arへの結合であり、ここで、基は、基R
3により各遊離位置で置換されてよいが、好ましくは、置換されない。
【0031】
本発明の好ましい1態様では、式(1)または(2)の化合物は、式(1−1)または(2−1)の化合物から選ばれる。
【0032】
【化6】
【0033】
式中、使用される記号と添え字は、上記と同じ意味を有する。
【0034】
本発明の好ましい1態様では、式(1−1)または(2−1)の化合物は、以下の式(1−1−1)〜(2−1−4)の化合物から選ばれる;
【0035】
【化7-1】
【0036】
【化7-2】
【0037】
【化7-3】
【0038】
式中、使用される記号と添え字は、上記と同じ意味を有する。
【0039】
本発明の極めて特に好ましい1態様では、式(1−1−1)〜(2−1−4)の化合物は、以下の式(1−1−1−a)〜(2−1−4−d)の化合物から選ばれる;
【0040】
【化8-1】
【0041】
【化8-2】
【0042】
【化8-3】
【0043】
【化8-4】
【0044】
式中、使用される記号と添え字は、上記と同じ意味を有する。
【0045】
本発明によれば、式(1)が好ましく、式(1−1)が非常に好ましく、式(1−1−1)〜(1−1−4)が特に好ましく、式(1−1−1−a)〜(1−1−4−d)が非常に特に好ましい。
【0046】
式(1)、(2)、(1−1)、(2−1)、(1−1−1)〜(2−1−4)および式(1−1−1−a)〜(2−1−4−d)における基Arは、各場合に、1以上の基R
3により置換されてよい10〜40個の芳香族環原子を有する縮合アリール基であるか、またはArは、上記定義されたとおりの式(Ar−1)の基であり;ただし、Arは、フルオランテンではない。
【0047】
より好ましくは、基Arは、夫々、1以上の基R
3により置換されてよいナフタレン、アントラセン、テトラセン、フェナントレン、クリセン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン、ベンゾフェナントラセン、ベンゾピレン、ビフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェンより成る基から選ばれる。基Arは、夫々、1以上の基R
3により置換されてよいアントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、トリフェニレン、フルオレン、ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェンより成る基から選ばれることが、特に好ましい。
【0048】
適切な基Arは、以下の式(Ar−2)〜(Ar−38)の基であり、ここで、R
0は上記示されるのと同じ意味を有し、式(Ar−2)〜(Ar−38)の基は、上記で定義される1以上の基R
3により任意の遊離位置で置換されてよい。
【0049】
【化9-1】
【0050】
【化9-2】
【0051】
【化9-3】
【0052】
本発明の好ましい1態様では、R
1、R
2、R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれる。
【0053】
本発明のより好ましい1態様では、R
1、R
2、R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基はOもしくはSで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基より成る基から選ばれる。
【0054】
本発明の特に好ましい1態様では、R
1、R
2、R
3は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、メチル、t-ブチル、フェニルもしくはナフチルであって、夫々は、1以上の基R
4により置換されてよい。
【0055】
本発明の好ましい1態様では、R
0は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基R
4により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個の置換基R
0は、モノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成してもよい。
【0056】
より好ましくは、R
0は、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜5個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜5個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
6により置換されてよく、各場合に、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、Fで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
4により置換されてよい5〜14個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る基から選ばれ;ここで、2個の置換基R
0は、1以上の基により置換されてよいモノあるいはポリ環状の脂肪族もしくは芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意形成してもよい。
【0057】
R
0は、メチルまたはフェニルであることが特に好ましい。
【0058】
真空蒸発により加工される化合物に対しては、アルキル基は、好ましくは、4個を超えないC原子、特に好ましくは、1個を超えないC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、適切な化合物は、10個までのC原子を有する直鎖、分岐もしくは環状アルキル基で置換されたものか、オリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニルまたはクアテルフェニルで置換されたものである。
【0059】
以下の例は、式(1)または(2)によるいくつかの化合物である。
【0060】
【化10-1】
【0061】
【化10-2】
【0062】
【化10-3】
【0063】
【化10-4】
【0064】
【化10-5】
【0065】
【化10-6】
【0066】
【化10-7】
【0067】
【化10-8】
【0068】
【化10-9】
【0069】
【化10-10】
【0070】
【化10-11】
【0071】
【化10-12】
【0072】
本発明は、さらに、以下の反応工程を含む式(1)または(2)の化合物の製造方法に関する;
a.スズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール-クロス、スチルカップリング、ウルマンカップリング等のC-Cカップリングにおけるジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェンの上記定義されたArとの、またはp=1の場合上記定義された基Ar
Sとの反応:
b.ジベンゾフランもしくはジベンゾチオフェン骨格上にフルオランテンを付加するための、工程aで得られた化合物のスズキ、ネギシ、ヤマモト、グリニャール-クロス等のC-Cカップリングでの反応。
【0073】
本発明の材料は、一般的に以下の合成スキーム1または2により製造することができる。
【0074】
【化11】
【0075】
【化12】
【0076】
液相からの、たとえば、スピンコーティングまたは印刷法による本発明の化合物の加工のためには、本発明による化合物の調合物が必要である。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであってよい。この目的のために、2種以上の溶媒の混合物を使用することが、好ましい可能性がある。適切で好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサン、フェノキシトルエン、特に、3-フェノキシトルエン、(-)-フェンコンヌ、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、1-メチルナフタレン、2-メチルベンゾチアゾール、2-フェノキシエタノール、2-ピロリジノン、3-メチルアニソール、4-メチルアニソール、3,4-ジメチルアニソール、3,5-ジメチルアニソール、アセトフェノン、α-テルピネオール、ベンゾチアゾール、ブチルベンゾエート、クメン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキシルベンゼン、デカリン、ドデシルベンゼン、エチルベンゾエート、インダン、ヘキサメチルインダン、メチルベンゾエート、NMP、p-シメン、フェネトール、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジベンジルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエ−テル、トリプロピレングリコールジメチルエ−テル、テトラエチレングリコールジメチルエ−テル、2-イソプロピルナフタレン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、1,1-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタンもしくはこれら溶媒の混合物である。
【0077】
したがって、本発明は、本発明による化合物と少なくとも一つのさらなる化合物を含む調合物に関する。さらなる化合物は、たとえば、溶媒、特に、上記溶媒の一つまたはこれらの溶媒の混合物である。しかしながら、さらなる化合物は、電子素子、たとえば、発光化合物および/またはさらなるマトリックス材料に同様に用いられる少なくとも一つの有機もしくは無機化合物であってもよい。適切な発光化合物とさらなるマトリックス材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子と関連して以下に示される。このさらなる化合物は、ポリマー状であってもよい。
【0078】
本発明による化合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用に適している。したがって、本発明は、さらに、本発明による化合物の、電子素子での、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用に関する。本発明は、なおさらに、少なくとも一つの本発明による化合物を含む電子素子に関する。
【0079】
本発明の意味での電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子である。素子は、無機材料または無機材料から完全に形成される層をも含んでよい。電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)、有機発光トランジスタ(O−LET)、有機ソーラーセル(O−SC)、染料増感性有機ソーラーセル(DSSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(O−FQD)、発光電子化学セル(LEC)、有機レーザーダイオード(O−laser)および有機プラズモン発光素子より成る群から選ばれるが、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)、特に好ましくは、燐光OLEDである。
【0080】
有機エレクトロルミネッセンス素子は、カソード、アノードと少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層を含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層を、2個の発光層の間に導入することも同様に可能である。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はないことが指摘されねばならない。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層を含んでもよく、または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在する場合には、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、その結果全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し得る種々の発光化合物が、発光層で使用される。特別に好ましいものは、2個の発光層を有する構造であり、その2層は青色およびオレンジ色もしくは黄色発光を呈し、または3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、タンデムOLEDでも、特に、白色発光OLEDであってもよい。
【0081】
上記詳細な態様による本発明による混合物は、その正確な構造により、種々の層に用いることができる。好ましいものは、式(1)または(2)の化合物またはその好ましい態様を、正確な置換に応じて、蛍光もしくは燐光エミッター、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料としておよび/または電子ブロックもしくは励起子ブロック層に、および/または電荷生成層に、および/また正孔ブロックもしくは電子輸送層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0082】
本発明の好ましい1態様では、本発明による化合物は、発光層中で燐光化合物のためのマトリックス材料として用いられる。ここで、有機エレクトロルミッセンス素子は、一つの発光層を含むか、または複数の発光層を含み、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの本発明による化合物をマトリックス材料として含む。
【0083】
本発明による化合物が発光層中で燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される場合には、1以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて使用される。本発明の意味での燐光発光は、比較的高いスピン多重度すなわち、スピン状態>1を有する励起状態から、特別には励起三重項状態から、ルミネッセンスを呈する意味で使用される。本願の意味では、遷移金属もしくはランタニドを含む全てのルミネッセンス錯体、特に、全てのイリジウム、白金および銅錯体が、燐光発光化合物とみなされるべきである。本願の意味では、赤色および黄色三重項エミッターは、2.4〜1.8eVに含まれる最低三重項状態T1を呈する。
【0084】
燐光エミッターの最低三重項状態T1は、ソフトウエアパッケージ「Gaussian09、改訂版D.01」(Gaussian Inc.)により決定される。有機金属化合物を計算するために、まず、幾何学的最適化が、Hartree-Fock法、標準基本セット「LanL2MB」(Gaussian入力ライン「#HF/LanL2MB opt」)(電荷0および多重度1)によってなされる。引き続き、単一点エネルギー計算が、最適化されたジオメトリーのトップで実行される。この計算において、基底状態と三重項状態が、DFT/関数B3PW91と6−31G(d)標準ベースセット(電荷0、多重度1)を用いるTDDFT法(時間依存密度関数理論)により決定される。Gaussian入力ラインは、「# B3PW91/gen pseudo=lanl2 td=(50-50,nstates=4)」である。全ての他の原子とは対照的にECP基本セット(有効コアポテンシャル)「LanL2DZ」が、金属原子のために使用される。
【0085】
エネルギー的に最低の一重項状態は、S0である。三重項状態T1は、上記量子化学単一点計算から生じる最低エネルギーをもつ三重項状態での相対励起エネルギー(eV)として定義される。
【0086】
ここに記載された方法は、使用されるソフトウエアパッケージとは独立しており、常に同じ結果を与える。この目的のためによく利用されるプログラムの例は、「Gaussian09W」 (Gaussian Inc.)とQ-Chem 4.1 (Q-Chem, Inc.)である。
【0087】
本発明による化合物と発光化合物との混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、本発明による化合物を、99〜1体積%、好ましくは、98〜10体積%、特に好ましくは、97〜60体積%、特には、95〜80体積%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、エミッターを、1〜99体積%、好ましくは、2〜90体積%、特に好ましくは、3〜40体積%、特には、5〜20体積%含む。
【0088】
本発明のさらに好ましい1態様は、本発明による化合物の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。本発明による化合物と組み合わせて使用することのできる、特に適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)もしくはWO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527、WO 2008/086851もしくはWO 2013/041176に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO2010/136109、WO2011/000455、WO2013/041176およびWO2013/056776にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO2007/063754、WO 2008/056746、WO 2010/015306、WO 2011/057706、WO 2011/060859もしくはWO 2011/060877にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、WO 2011/042107、WO 2011/060867、WO 2011/088877およびWO 2012/143080にしたがう架橋カルバゾール誘導体またはWO 2012/048781にしたがうトリフェニレンである。実際のエミッターよりも短い波長で発光するさらなる燐光エミッターが、コホストとして、または、たとえば、WO 2010/108579に記載されるとおりの、あるとしても顕著な程度には電荷輸送特性に関与しない化合物として混合物中に存在してよい。適切なマトリックス材料と発光層のためのエミッターを、存在する全材料の適正な相対割合に沿って選択することも十分に本技術内である。
【0089】
適切な燐光化合物(=三重項エミッター)は、特に好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、より好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金もしくはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウムもしくは白金を含む化合物である。
【0090】
上記記載されたエミッターの例は、出願WO00/70655、WO2001/41512、WO2002/02714、WO2002/15645、EP1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373、US2005/0258742、WO2010/086089、WO 2011/157339、WO2012/007086、WO 2012/163471、WO 2013/000531およびWO 2013/20631で明らかにされる。また適切なものは、出願EP 2872590およびEP 2882763に開示された金属錯体である。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがい使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は進歩性を要することなく、さらなる燐光錯体を使用することもできるであろう。
【0091】
本発明による化合物は、たとえば、US 2011/0248247およびUS 2012/0223633に記載されるとおり、有機エレクトロルミネッセンス素子での燐光エミッターのためのマトリックス材料としても特に適している。これらの多色表示素子においては、追加的な青色発光層が、青色以外の色を有するものを含む全画素に全領域に亘り気相堆積により適用される。ここで驚くべきことに、本発明による化合物が、赤色および/または緑色画素、より特に、赤色画素のためのマトリックス材料として使用される場合に、気相堆積青色発光層と共に極めて良好な発光を生じ続けることが見出された。
【0092】
本発明のさらなる1態様では、本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、すなわち、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0093】
本発明のさらなる1態様では、本発明による化合物は、励起子ブロック層で用いられる。
【0094】
本発明のなおさらなる1態様では、本発明による化合物は、電子輸送層または電子注入層中で電子輸送材料として用いられる。ここで、発光層は蛍光発光もしくは燐光発光であってよい。化合物が電子輸送材料として用いられる場合には、たとえば、LiもしくはLiq(リチウムヒドロキシキノリナート)等のアルカリ金属またはアルカリ金属錯体でドープされることが好ましい可能性がある。
【0095】
本発明のなおさらなる好ましい1態様では、本発明による化合物は、正孔ブロック層で用いられる。正孔ブロック層は、カソード側で発光層に直接隣接する層の意味で使用される。別の好ましい態様は、電荷生成層の部分として化合物を用いることである。電荷生成層(CGL)は、電圧の印加により、電子−正孔対の注入体として機能し、当分野で周知である。一般的に、CGLは、電子プアー層(たとえば、p-ドープ正孔輸送層)に隣接する電子リッチ層(たとえば、n-ドープ電子輸送層)から成る。しかしながら、幾つかの場合では、CGLは、単一層のみであることができる。別の場合では、CGLの一または両層が、ドープされてよく、ドープされなくてもよい。
【0096】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、全ての材料は、先行技術にしたがい通常用いられるとおり使用することができる。したがって、当業者は、進歩性を要することなく、本発明による式(1)または(2)の化合物もしくはその好ましい態様と組み合わせて、有機エレクトロルミッセンス素子のために知られた全材料を用いることができるだろう。
【0097】
さらに好ましいのは、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で気相堆積により適用される。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0098】
同様に好ましいのは、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)法もしくはキャリアガス昇華により被覆されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子であり、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。この方法の特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)法であり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0099】
さらに、好ましいのは、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。
【0100】
また好ましいのは、たとえば、1以上の層が溶液から適用され、1以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッドプロセスである。これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明による化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子に、当業者により進歩性を要することなく適用することができる。
【0101】
本発明による化合物および本発明による有機エレクトロルミッセンス素子は、先行技術を超える以下の驚くべき優位性により特徴づけられる。
【0102】
1.本発明による化合物は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられると、長い寿命をもたらす。化合物が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として用いられると、これが特に、あてはまる。
【0103】
2.本発明による化合物は、極めて高い効率をもたらす。化合物が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、または正孔ブロック材料として用いられると、これが特に、あてはまる。
【0104】
3.幾つかの態様では、本発明による化合物は、低い駆動電圧をもたらす。化合物が、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、または電子輸送層に用いられると、これが特に、あてはまる。
【0105】
上記利点は、その他の電子特性を損なわない。
【0106】
本発明は、次の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、進歩性を要することなく、説明に基づいて、開示された範囲全体を実行し、本発明によるさらなる化合物を調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用することができるだろう。
【0107】
例:
A)合成例
以下の合成を、別段の指定がない限り、無水溶媒中で保護ガス雰囲気下で実施する。溶媒および試薬を、ALDRICHまたはABCRから購入することができる。市販されている出発材料の場合に示される数字は、対応するCAS番号である。
【0108】
本発明の材料を、一般に、先に定義したように、スキーム1または2により調製することができる。
【0109】
a)6-ブロモ-2-フルオロ-2'-メトキシ-ビフェニル
【0110】
【化13】
【0111】
200g(664ミリモル)の1-ブロモ-3-フルオロ-2-ヨード-ベンゼンと、101g(664ミリモル)の2-メトキシフェニル-ボロン酸と、137.5g(997ミリモル)の四ホウ酸ナトリウムとを、1000mLのTHFおよび600mlの水に溶解し、脱気する。 その後、9.3g(13.3ミリモル)のビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)と、1g(20ミリモル)の水酸化ヒドラジニウムとを、反応混合物に添加し、それを不活性ガス雰囲気下で70℃で48時間撹拌する。冷ました溶液をトルエンで仕上げ、水で数回洗浄し、乾燥し、濃縮する。 生成物を、トルエン/ヘプタン:エチル(1:2)とともに、シリカゲルでカラムクロマトグラフィを介して洗浄する。
収率:155g(553ミリモル)、理論値の83%。
【0112】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0113】
【化14】
【0114】
b)6'-ブロモ-2'-フルオロ-ビフェニル-2-オル
【0115】
【化15】
【0116】
112g(418ミリモル)の6-ブロモ-2-クロロ-2'-メトキシ-ビフェニルを、2Lのジクロロメタンに溶解し、5℃に冷却する。その後、41.01ml(431ミリモル)の三臭化ホウ素を90分以内に滴下し、混合物を終夜、撹拌する。 次いで、混合物を水とゆっくりと混合し、有機相を水で三回洗浄し、Na
2SO
4で脱水させ、蒸発させ、クロマトグラフィにより精製する。
収率:104g(397ミリモル)、理論値の98%。
【0117】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0118】
【化16】
【0119】
c)1-ブロモ-ジベンゾフラン
【0120】
【化17】
【0121】
111g(416ミリモル)の6'-ブロモ-2'-フルオロ-ビフェニル-2-オルを、2LのDMF(最大0.003%のH
2O)SeccoSolv(登録商標)に溶解し、5℃に冷却する。20g(449ミリモル)の水素化ナトリウム(パラフィン油中60%の懸濁液)を、この溶液に小分けして添加する。混合物を20分間撹拌し、次いで45分間、100℃に加熱する。 混合物を冷ました後に、500mlのエタノールとゆっくりと混合し、次いで蒸発させ、クロマトグラフィにより精製する。
収率:90g(367ミリモル)、理論値の88.5%。
【0122】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0123】
【化18】
【0124】
d)1-ブロモ-8-ヨード-ジベンゾフラン
【0125】
【化19】
【0126】
20g(80ミリモル)のジベンゾフラン-1-ボロン酸と、2,06g(40,1ミリモル)のヨウ素と、3.13g(17,8ミリモル)のヨウ素酸と、80mlの酢酸と、5mlの硫酸と、5mlの水と、2mlのクロロホルムとを、65℃で3時間、撹拌する。冷ました後、混合物を水と混合し、沈殿した固形物を除去し、残留物を水で三回洗浄する。残留物をトルエンおよびジクロロメタン/ヘプタンから再結晶させる。
収率は25.6g(68ミリモル)であり、理論値の85%に相当する。
【0127】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0128】
【化20】
【0129】
e)ジベンゾフラン-1-ボロン酸
【0130】
【化21】
【0131】
180g(728ミリモル)の1-ブロモ-ジベンゾフランを、1500mLの無水THFに溶解し、−78℃に冷却する。この温度で、305mL(ヘキサン中、764ミリモル/2.5M)のn-ブチルリチウムを、約5分間以内に混合物に添加し、次いでこれを−78℃で2,5時間撹拌する。この温度で、151g(1456ミリモル)のホウ酸トリメチルを、可能な限り素早く混合物に添加し、次いで反応混合物を室温までゆっくりと温めておく(約18時間)。反応溶液を水で洗浄し、沈殿した固形物および有機相をトルエンで脱水させる。 粗生成物を約40℃でトルエン/塩化メチレンから、約40℃で抽出する。
収率:146g(690ミリモル)、理論値の95%。
【0132】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0133】
【化22】
【0134】
f)トリフルオロ-メタンスルホン酸-ジベンゾフラン-1-イルエステル
【0135】
【化23】
【0136】
40g(217ミリモル)のジベンゾフラン-1-オルを、500mlのジクロロメタン中に保護ガス下で懸濁させる。次いで、66.9g(661ミリモル)のトリエチルアミンをこの懸濁液に滴下する。 その後、100mlのジクロロメタン中、74.5gの無水トリフルオロメタンスルホン酸の溶液を滴下する。15℃で2.5時間撹拌した後、溶液を100mlの水と混合し、次いで有機相を分離し、トルエンとともに、シリカゲルを通して濾過し、次いで濃縮乾固する。
収率は60g(191ミリモル)であり、理論値の88%に相当する。
【0137】
同じような方法で、以下の化合物を調製する。
【0138】
【化24】
【0139】
g)1トリフルオロ-メタンスルホン酸8-ブロモ-ジベンゾフラン-1-イルエステル
【0140】
【化25】
【0141】
40g(126ミリモル)のトリフルオロメタンスルホン酸ジベンゾフラン-1-イル-エステルを、76ml(506ミリモル)のトリフルオロメタンスルホン酸に懸濁させる。52g(291ミリモル)のNBSをこの懸濁液に少しずつ加え、暗所で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を水/氷と混合し、固形物を分離し、エタノールで洗浄する。残留物をトルエンから再結晶させる。
収率は33g(84ミリモル)であり、理論値の66%に相当する。
本発明のチオフェン誘導体の場合、NBSの代わりに元素臭素が使用される。
【0142】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0143】
【化26】
【0144】
h)1-ブロモ-8-フェナントレン-9-イル-ジベンゾフラン
【0145】
【化27】
【0146】
24.4g(110.0ミリモル)のフェナントレン-9-ボロン酸と、41g(110.0ミリモル)の1-ブロモ-8-ヨード-ジベンゾフランと、26g(210.0ミリモル)の炭酸ナトリウムとを、500mLのエチレングリコールジアミンエーテルと500mlの水とに懸濁させる。913mg(3.0ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンを最初に、この混合物に加え、次いで112mg(0.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)を混合物に添加する。その後、反応混合物を還流下で16時間、加熱する。 冷ました後、有機相を分離し、シリカゲルを通して濾過し、次いで濃縮乾固する。 残留物をトルエンおよびジクロロメタン/ヘプタンから再結晶させる。
収率は37g(90ミリモル)であり、理論値の82%に相当する。
【0147】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0148】
【化28-1】
【0149】
【化28-2】
【0150】
【化28-3】
【0151】
【化28-4】
【0152】
【化28-5】
【0153】
【化28-6】
【0154】
【化28-7】
【0155】
i)1-フルオランテン-3-イル-8-フェナントレン-9-イル-ジベンゾフラン
【0156】
【化29】
【0157】
65.9g(156ミリモル)の1-ブロモ-8-フェナントレン-9-イル-ジベンゾフランと、36.7g(170ミリモル)のフルオランテン-3-ボロン酸と、36g(340ミリモル)の炭酸ナトリウムとを、1000mlのエチレングリコールジアミンエーテルと280mlの水とに懸濁させる。1.8g(1.5ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)をこの懸濁液に加え、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷ました後、有機相を分離し、シリカゲルを通して濾過し、200mLの水で三回洗浄し、次いで濃縮乾固する。 生成物を、トルエン/ヘプタン(1:2)とともにシリカゲルでカラムクロマトグラフィを介して、および高真空(p=5×10
-7mbar)での昇華を介して、洗浄する(純度99.9%)。
収率は53g(98ミリモル)であり、理論値の63%に相当する。
【0158】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0159】
【化30-1】
【0160】
【化30-2】
【0161】
【化30-3】
【0162】
【化30-4】
【0163】
【化30-5】
【0164】
【化30-6】
【0165】
【化30-7】
【0166】
【化30-8】
【0167】
j)トリフルオロ-メタンスルホン酸8-フルオランテン-3-イル-ジベンゾフラン-1-イルエステル
【0168】
【化31】
【0169】
41g(190ミリモル)の1-トリフルオロ-メタンスルホン酸8-ブロモ-ジベンゾフラン-1-イルエステルと、56.5g(220ミリモル)のフルオランテン-3-ボロン酸と、57g(410ミリモル)の炭酸カリウムとを、1000mLのトルエンと、100mLの水とに懸濁させる。1.8g(1.5ミリモル)のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加し、反応混合物を還流下で16時間加熱する。冷ました後、有機相を分離し、シリカゲルを通して濾過し、200mLの水で三回洗浄し、次いで濃縮乾固する。生成物を、トルエン/ヘプタン(1:2)とともにシリカゲルでのカラムクロマトグラフィを介して、および高真空(p=5×10
-7mbar)での昇華を介して洗浄する(純度99.9%)。
収率は76g(147ミリモル)であり、理論値の78%に相当する。
【0170】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0171】
【化32】
【0172】
k)8-フルオランテン-3-イル-1-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ジベンゾフラン
【0173】
【化33】
【0174】
165g(320ミリモル)のトリフルオロ-メタンスルホン酸8-フェナントレン-9-イル-ジベンゾフラン-1-イルエステルと、120g(484ミリモル)のビス(ピナコール)-ジボランと、95g(968ミリモル)の炭酸カリウムとを、3200mLのTHFに溶解する。ジクロロメタン中、15.8g(20ミリモル)のPd(dppf)Cl
2錯体を、不活性ガス下で反応混合物に加え、反応混合物を還流下で16時間加熱する。 冷ました後、反応混合物を水と混合し、有機相を分離する。次いで生成物をトルエン/ヘプタン(2:2)とともに、シリカゲルカラムでクロマトグラフィを介して、および高真空(p=5×10
-7mbar)下での昇華を介して洗浄する(純度99.9%)。
収率は88g(179ミリモル)であり、理論値の56%に相当する。
【0175】
同じような方法で、以下の化合物を調製する:
【0176】
【化34-1】
【0177】
【化34-2】
【0178】
l)8-フルオランテン-3-イル-[1,1']ビ[ジベンゾフラニル]
【0179】
【化35】
【0180】
この化合物および以下の化合物を、方法i)と同じような方法で調製する:
【0181】
【化36-1】
【0182】
【化36-2】
【0183】
【化36-3】
【0184】
B)OLEDの製造
以下の例V1〜E13(表1、2を参照)は種々のOLEDのデータを示している。
【0185】
例V1〜E13の基板前処理:構造化されたITO(50nm、インジウム錫酸化物)を有するガラス板が、OLEDが処理される基板を形成する。OLED材料の蒸発前に、基板は250℃で15分間、事前にベークされ、その後、O
2で、次いでアルゴンプラズマで処理される。
【0186】
OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL)/随意に、中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。正確な層構造が、表1に示されている。OLEDの製造に使用する材料を、表3に提示する。
【0187】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここでは、発光層は、常に、少なくとも一種のマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により特定の体積割合で一種または複数種のマトリックス材料に添加される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここでは、IC1:M1:TEG1(55%:35%:10%)のような表現は、材料IC1が55体積%の割合で層中に存在し、M1が35体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に存在することを意味する。同じように、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0188】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光プロフィールを仮定して、電流効率(CE1000、1000cd/m
2においてcd/Aで測定)、発光効率(LE1000、1000cd/m
2においてIm/Wで測定)、外部量子効率(EQE1000、1000cd/m
2において%で測定)および電圧(U1000、1000cd/m
2においてVで測定)が、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から測定される。エレクトロルミネセンス(EL)スペクトルは、光束密度1000cd/m
2で記録され、次いで、CIE 1931 xおよびy色座標がELスペクトルから計算される。
【0189】
種々のOLEDの素子データが表2に要約されている。例V1〜V3は、技術水準による比較例である。例E1−E13は本発明のOLEDのデータを示している。以下のセクションでは、本発明のOLEDの優位性を示すために、幾つかの例をより詳細に説明する。
【0190】
燐光OLEDでのホスト材料としての、本発明の化合物の使用
ホスト材料としての、本発明の化合物の使用は、技術水準の材料と比較して、とくに発光効率に関して著しく改善されたOLED素子データを生じる。
燐光赤色OLEDでのホスト材料としての、本発明の材料i39、i36、i37、i38の使用は、材料CE1、CE2、CE3を含む素子と比較して、10〜20%改善された輝度効率を生じる(それぞれ、例V1とE1、V2とE2、E3の比較、およびV3とV4の比較)。
【0191】
【表1】
【0192】
【表2】
【0193】
【表3-1】
【0194】
【表3-2】
【0195】
【表3-3】