(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明器部分が、前記硝子体切除カッタ部分によって処置される手術部位に向かって光を放射するように構成された光ファイバを含む、請求項1に記載の多機能手術装置。
前記照明器部分が、遠位端部に形成された平坦部分を有する円筒状外面を含み、前記平坦部分が、前記カッタ部分に向かって扇状に延在するように放射光を向けるように配設および配置されている、請求項1に記載の多機能手術装置。
前記手術領域の一部を照明するように構成された照明機構を含むカニューレであって、前記注入部分、前記照明器部分および前記硝子体切除カッタ部分を受け入れるようなサイズであるカニューレを含む、請求項1に記載の多機能手術装置。
【背景技術】
【0002】
マイクロ手術処置では、さまざまな生体組織の精密な切断および/または除去が必要であることが多い。たとえば、硝子体切除処置等のいくつかの眼科手術処置では、硝子体液、すなわち前眼部を充填する透明なゼリー状物質の一部を切除することが必要である。硝子体液または硝子体は、網膜に付着していることが多い多数の原線維から構成される。したがって、硝子体の切除は、網膜に対する牽引、脈絡膜からの網膜の分離、網膜裂傷、または最悪の場合には網膜自体の切除を回避するように細心の注意を払って行われなければならない。膜の切除は、可動組織管理(たとえば、網膜の剥離部分または網膜裂傷の近くでの硝子体の切除)および硝子体基底切開等、いくつかの細心の注意を要する手術において特に困難である可能性がある。
【0003】
後眼部における処置等、マイクロ手術処置では、通常、眼の内部にアクセスするために多くの切開部が必要である。切開部が追加されるごとに、処置および/または回復中に合併症のリスクがもたらされる可能性がある。執刀医または他の医療専門家等の使用者が処置を行っている間に使用するために、さまざまな用具が切開部を通して挿入される。たとえば、注入ラインの一部が切開部の1つを通して挿入される場合がある。注入ラインは、眼内圧を維持し、それにより手術処置中に眼が虚脱することを防止するために眼の内部に流体を送達する。注入ラインとは別個の用具である照明器が他の切開部の1つを通して挿入される場合がある。手持ち式光ファイバプローブ照明器等の照明器は、手術野を照明する。第3器具、すなわち手術デバイスは、切開部のさらに別のものを通して挿入される場合がある。使用者は、切断プローブ(すなわち硝子体切除プローブ)等の手術デバイスを使用して眼内から組織を切除する。
【0004】
3切開(3ポート)硝子体切除処置には、複数の限界および欠点がある。たとえば、執刀医は、各手に器具を有して2本の手を使用しなければならない。通常の処置では、執刀医は、一方の手で照明器を保持し、他方の手で硝子体切除プローブを保持する。さらに、眼内に3つ以上の切開部があるため、眼の解剖学的構造に高レベルの組織外傷が生じる可能性がある。比較的高レベルの眼の炎症がある可能性があり、術後の重篤な有害事象に対してより高いレベルの可能性がある。これらの重篤な事象としては、特に結膜出血、創傷による流体圧損失のための低眼圧症(低眼圧)、眼内炎(失明の恐れがある眼の感染)、脈絡膜再剥離および失明、増殖性硝子体網膜症(PVR)、眼内炎(内部感染)、ならびに脈絡膜または網膜再剥離が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのリスクのために、3ポート眼科手術は、視力回復および温存の規模および速度を制限する可能性があり、最終的に、満足のいく患者転帰の可能性を低減させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの例示的な態様では、本開示は、使用者による把持のためのハンドルと、ハンドル部分から延在する照明器部分とを含む多機能手術装置に関する。照明器部分は、手術処置中に患者の手術領域に照明を提供するように配置され得る。手術装置はまた、ハンドル部分から延在し、かつ照明器部分と同軸上に位置合わせされた硝子体切除カッタ部分も含むことができる。硝子体切除カッタ部分は、硝子体液を吸引するためのポートを含むことができる。照明器部分は、ポートの周囲の領域を照明するように配設され得る。
【0007】
いくつかの態様では、手術装置は、ハンドル部分から延在する注入部分を含むことができる。注入部分は、手術領域に注入流体を導入するように配置され得る。注入部分は、照明器部分の周囲に同心円状に配設され得る。いくつかの態様では、照明器部分は、硝子体液を吸引するためのポート上に光を放射するように配置されたファイバを含むことができる。いくつかの態様では、照明器部分は、硝子体切除カッタ部分の断面幅より大きい断面幅を有することができる。いくつかの態様では、照明器部分は、硝子体切除カッタ部分によって処置される手術部位に向かって光を放射するように構成された光ファイバを含むことができる。いくつかの態様では、照明器部分と硝子体切除カッタ部分との間に肩部を含むことができる。照明器部分は、肩部から光を放射するように配置され得る。いくつかの態様では、本装置は、ハンドル部分から延在し、かつハンドル部分によって支持される注入部分を含むことができる。注入部分は、注入部分の外面と照明器部分との間の第2肩部に配設された注入ポートを通して手術領域に注入流体を導入するように配置され得る。いくつかの態様では、注入ポートは環状である。いくつかの態様では、照明器部分は、遠位端部に形成された平坦部分を有する円筒状外面を含み、平坦部分(図示せず)は、カッタ部分に向かって扇状に延在するように放射光を向けるように配設および配置されている。したがって、平坦部分は、周囲の平面として現れる場合があり、または外面へのくぼみ部分もしくは切欠きとして現れる場合がある。
【0008】
いくつかの例示的な態様では、本開示は、使用者による把持のためのハンドル部分と、ハンドル部分から延在する針部分とを含む手術装置に関する。針部分は、ハンドル部分から遠位側に延在する注入部分を含むことができ、かつ内腔と、患者の手術領域に注入流体を導入するように配置された注入ポートとを有することができる。注入部分は、第1断面幅を有することができる。針部分は、ハンドル部分から遠位側に延在し、かつ手術領域に照明を提供するように配置された照明器部分も含むことができる。照明器部分は、第1断面幅と異なる第2断面幅を有することができる。針部分はまた、照明器部分および注入部分の一方を越えて遠位側に延在する組織処置部分も含むことができる。組織処置部分は、第1断面幅および第2断面幅と異なる第3断面幅を有することができる。
【0009】
手術装置は、第1断面幅と第2断面幅との間の第1肩部を含むことができる。第1肩部は、手術領域に注入流体を導入する注入ポートを含むことができる。第2断面幅と第3断面幅との間に第2肩部を配設することができ、照明は第2肩部から放射される。いくつかの態様では、注入部分、照明器部分および組織処置部分は、同心円状に配設されている。いくつかの態様では、注入ポートは、環状の形状であり、かつ照明器部分に対して同心円状に配設されている。手術装置は、照明器部分によって支持され、かつ照明器部分の周囲に放射状に間隔を空けて配置されている複数の光ファイバを含むことができる。手術装置は、手術領域の一部を照明するように構成された照明機構を含むカニューレを含むことができる。カニューレは、注入部分、照明器部分および組織処置部分を受け入れるようなサイズであり得る。いくつかの態様では、組織処置部分は、内側カッタおよび外側カッタと、外側カッタの組織受入れポートとを有する硝子体切除カッタ部分である。いくつかの態様では、照明器部分は、遠位端部に形成された平坦部分を有する円筒状外面を含む。平坦部分は、組織処置部分に向かって扇状に延在するように放射光を向けるように配設および配置され得る。
【0010】
いくつかの例示的な態様では、本開示は、多機能手術装置を用いて患者を処置する方法に関する。本方法は、単一切開部を通して患者内に注入部分を導入するステップを含むことができる。注入部分は、手術領域に注入流体を導入するように配置され、照明器部分は、患者の一部に照明を提供するように配置され、組織処置部分は、患者内の組織または液体と係合するように構成され得る。本方法はまた、注入部分を通して注入流体を導入することと、照明器部分を用いて照明を導入することと、組織処置部分を用いて患者を処置することとを同時に行うステップも含むことができる。
【0011】
本方法はまた、注入部分と照明器部分との間の肩部の注入ポートから注入流体を導入することを含み得、照明器部分と組織処置部分との間の肩部から照明を導入することを含み得る。
【0012】
上述した概要と以下の図面および詳細な説明とは、本質的に例示的かつ説明的であり、本開示の範囲を限定することなく本開示の理解を可能にするように意図されていることが理解されるべきである。それに関して、本開示のさらなる態様、特徴および利点は、以下に述べることから当業者に明らかになるであろう。
【0013】
添付図面は、本明細書に開示するシステム、装置および方法の実装形態を例示し、説明とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これらの図は、以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【0016】
本開示の原理の理解を促進する目的で、ここで、図面に示す実装形態を参照し、具体的な文言を使用してそれらについて説明する。それにも関わらず、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。記載されている装置、器具、方法、および本開示の原理の任意のさらなる応用に対する任意の改変形態およびさらなる変更形態は、本開示が関連する技術分野における当業者であれば通常想到するように完全に企図されている。さらに、本開示は、1つもしくは複数の実装形態または図を参照して、いくつかの要素または特徴について詳細に、それらの同じ要素または特徴が後続する図に現れるときにはそうした高レベルの詳細なしに記載する。1つまたは複数の実装形態または図に関して記載する特徴、構成要素および/またはステップは、本開示の他の実装形態または図に関して記載する特徴、構成要素および/またはステップと組み合わせ得ることが完全に企図されている。簡単のために、場合により、図面を通して同じまたは同様の参照番号を使用して同じまたは同様の部分を参照する。
【0017】
本開示は、概して、低侵襲手術処置を行うための手術器具、システムおよび方法に関する。いくつかの実装形態では、手術器具は、単一ポートの多機能器具である。単一ポートは、単一の器具が単一のポートまたは切開部を通して複数の手術機能を同時に行うことを意味するように意図される。器具は、実施形態に応じて、より効率的に手術プロセスを行い、患者に対してより低侵襲性でありかつ/または執刀医に対して技法をより容易にする方法で複数の器具の機能を組み合わせることができる。多機能器具のいくつかの実施形態は、硝子体切除プローブ、照明器および注入ラインの機能を単一器具に結合する。これらが単一器具に結合されるため、執刀医は、片手で十分な照明および注入で硝子体切除を行うことができる。したがって、もう一方の手は、手術の他のプロセスまたは他の要素を自由に行うことができる。たとえば、もう一方の手は、有用性を倍増する第2手術用具を使用することができる(たとえば、外部強膜圧迫)。また、それにより、切開部が(照明用、注入用および硝子体切除プローブ用の別個の切開部を含む)3つから1つに低減する。切開部が少なくなることにより、感染の機会を低減させることができ、瘢痕組織を低減させ、もたらされる患者の組織の外傷を少なくすることができ、患者回復時間を早めることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、多機能器具は、手術部位に対して追加の照明を提供する照明付きカニューレとともに利用することができる。したがって、カニューレを通して患者内の手術処置領域まで多機能器具を導入することができる。
【0019】
図1は、例示的な実施形態による、全体として参照数字100によって示される多機能硝子体切除手術装置を示す。手術装置100は、ベースハウジング104および関連する表示画面106を含むコンソール102を含み、表示画面106は、硝子体切除手術処置中にシステムの動作および性能に関するデータを示す。コンソール102は、硝子体切除処置を含む1つまたは複数の手術治療処置を行うための複数の機能、サブアセンブリ、機器および他の機能を含むことができる。
【0020】
この実施形態では、手術装置100は、硝子体切除処置を行うための硝子体切除プローブ110として示す多機能器具を含む。ここで、硝子体切除プローブ110は、硝子体液等の組織の除去、または患者の房内に導入された注入流体の洗浄のための照明、注入および硝子体切除処置を含む複数の機能を行う単一ポートハイブリッドゲージ器具であり得る。硝子体切除プローブは、単一ポートを通して複数の機能を行うことができるため、単一ポートプローブである。硝子体切除プローブ110は、ハンドル部分112および針部分114の両方を含む。ハンドル部分112は、灌流機能、吸引機能、電力または他の要素を提供するように構成することができるケーブル116を介してコンソール102または硝子体切除プローブ110に取り付けられる。
【0021】
図2は、硝子体切除プローブ110の針部分114の一部をより詳細に示す。それは、手術処置中、眼120等の患者組織内に突出して配設され得るように示されている。眼120は、前眼房124、後眼房126、ならびに水晶体128、角膜130、虹彩132、眼毛様体134および小柱網136の表現を含む眼球122を含む。硝子体切除プローブ110の針部分114は、表面組織を通って後眼部126内に延在する。
図2はまた、眼球122の外部から後眼部126内に延在するカニューレ140も示す。
【0022】
カニューレ140は、ハブ142および本体144を含む。この実施形態では、カニューレ140は、硝子体液を含む流体が後眼部126から本体144およびハブ142を通って出ることを制限するために、内部に配設された弁(図示せず)を含む。ハブ142は、組織表面の上に載り、カニューレ140が後眼部126内にさらに入ることを防止するように構成されている。この実施形態では、本体144は、手術部位を含む手術領域の照明も提供する照明機能を含む。
【0023】
カニューレ140上の照明機能は、光源から光を伝達し手術領域において光を放射する1本または複数本の光ファイバから形成することができる。いくつかの実装形態は、カニューレの本体に沿って、外面もしくは内面に沿って配設され、または本体内の事前形成された溝、通路もしくは他の特徴内に埋め込まれた1本または複数本の光ファイバを含む。光ファイバは、コンソール102(
図1)の上、ハブ142の上等、または他の場所に配設された光源から光を向け、本体144の遠位端部に隣接して光を放射することができる。これにより、使用者は、手術用顕微鏡または他の視覚化システムを使用して手術部位の内部を視覚化することができる。
【0024】
図示するように、針部分114は、ここではカッタ部分150として示す組織処置部分を含む。針部分はまた、照明器部分152および注入部分154も含み、それらはすべて中心軸155に沿って同軸上に位置合わせされている。針部分114は、異なる断面幅を有する外面を含むため、ハイブリッドゲージシステムである。たとえば、図示する実施形態では、針部分114は、注入部分154から照明器部分152までかつカッタ部分150まで、直径または断面が徐々に段階的に低減する。
【0025】
カッタ部分150は、ポートを開閉して網膜から硝子体液を分離し後眼部126から硝子体液を吸引する硝子体切除機能を行う。照明器部分152は、光ファイバ等の照明要素とともに埋め込まれ、カッタ部分150の切断要素に近接した位置から手術部位まで追加の光を提供することができる。注入部分154は、手術プロセス中に眼内圧を維持するために注入流体を提供するように構成される。これらの各々についてより詳細に後述する。
【0026】
図3は、例示的な硝子体切除プローブ110の断面図を示す。この例では、硝子体切除プローブ110は、第1空気供給ポート160および第2空気供給ポート162を通して交互に空気圧を受け取ることによって動作する空気圧駆動式プローブである。硝子体切除プローブ110の針部分114は、すべて部分的にハンドル部分112によって覆われている、外側切断チューブ166と、内側切断チューブ168と、ここでは往復運動する空気駆動式ダイヤフラム170として示されているプローブアクチュエータとを含むカッタ部分150を含む。ハンドル部分112は、硝子体切除プローブ近位端部において、第1空気供給ポート160および第2空気供給ポート162ならびに1つの吸引ポート176を備えたエンドピース174を含む。
【0027】
図示するように、カッタ部分150は、ハンドル部分から延在し、遠位端部178を含む。
図4Aは、カッタ部分150の遠位端部178をより詳細に示す。外側切断チューブ166は、閉鎖端部182と、眼組織等の組織を受け入れる外部ポート184とを有する。外部ポート184は、外側切断チューブ166の内部チャネル186と流体連通している。内側切断チューブ168は、外側切断チューブ166の内部チャネル186内に位置する。内側切断チューブ168は、内部ボア190、開口端部192および切断面194を有する。内部ボア190は、内側切断チューブ168が外部ポート184から離れて位置するときに外部ポート184内に組織を引き込む真空圧に接続する吸引ライン(図示せず)と流体連通している。内側切断チューブ168は、外側切断チューブ166の内部チャネル186内で移動して、吸引システムによって外部ポート184内に引き込まれる組織を切断する。外部ポート184によって受け取られる眼組織は、好ましくは硝子体または膜である。
【0028】
内側切断チューブ168は、組織を切断するために使用されるとき、最初に外部ポート184から離れるように移動し、真空圧は、組織を外部ポート184および内部チャネル186内に引き込む。したがって、内側切断チューブ168は、外部ポート184に向かって移動し、内部チャネル186内で組織を切断する。切断された組織は、吸引システムにより内側切断チューブ168の内部ボア190を通して引き込まれる。したがって、内側切断チューブ168は、外部ポート184から離れるように移動し、切断プロセスは繰り返される。切断サイクルは、外部ポート184を開放するように内側切断チューブ168を移動させることと、その後、切断を始動するために外部ポート184を閉鎖するように内側切断チューブ168を移動させ、次の切断サイクルのために内側切断チューブ168をその開始位置に戻すこととを含む。
【0029】
ここで、
図3および
図4の両方を参照すると、内側切断チューブ168は、ダイヤフラム170の両側に向けられる空気圧によって駆動される。動作の一例では、第1ポート160において空気圧が上昇すると、ダイヤフラム170は遠位側に移動して、外側切断チューブ166に対して内側切断チューブ168を変位させ、それにより外側切断チューブ166の組織受入れ外部ポート184を閉鎖する。これにより、組織受入れ外部ポート184内に吸引されている可能性のある任意の硝子体物質が切断される。第1ポート160において圧力を抜き、第2空気供給ポート162において圧力を上昇させることにより、ダイヤフラム170は近位側に移動し、切断されるべき新たな硝子体物質を引き込むことができるように組織受入れ外部ポート184を開放する。注目すべき点は、他の実施形態が代替的なプローブアクチュエータを含むことである。たとえば、いくつかのアクチュエータ実施形態は、ダイヤフラムの代わりにピストンモータを含む。この種の実施形態では、カッタ部分150は、ピストンの移動によりカッタ部分150の内側切断チューブ168も移動させるように配置される。さらに他のアクチュエータ実施形態は、内側切断チューブ168を駆動する他のタイプの空気または電気モータを含む。
【0030】
図示するハイブリッドゲージ針部分114において、カッタ部分150は、遠位端部を形成し、照明器部分152または注入部分154より小さい直径、したがって小さい断面距離を有する。直径は、任意の好適なサイズであり得るが、いくつかの実施形態では、直径は、約20ゲージ〜40ゲージの範囲内にあるように選択され、約25ゲージ〜30ゲージの範囲内にあるように選択され得る。いくつかの実施形態では、カッタ部分150の直径は、約27ゲージであるように選択される。
【0031】
組織処置部分は、カッタ部分として記載されているが、手術処置中に組織を処理するように構成された他の器具または用具から形成され得る。いくつかの実施形態では、組織処置部分は、鉗子、スクレーパ、または手術処置を行うために使用することができる他の用具である。
【0032】
照明器部分152は、カッタ部分150に隣接して配設され、使用者が手術部位を見ることができるように手術部位に照明光を提供するように配置される。この実施形態では、照明器部分は、カッタ部分によって処置されている領域が照明されるようにカッタ部分の方向に光を放射する。
【0033】
図示する例示的な実施形態では、照明器部分152は、相対的に大きい直径、したがって相対的に大きい断面距離を有し、カッタ部分150と同軸である。したがって、照明肩部200がカッタ部分直径から照明器部分直径までの段を提供する。肩部200は、テーパ状肩部領域等、平滑な増大部であり得るか、または肩部表面が針部分114の中心軸155に対して垂直であるように、
図4Aに示すように急な段であり得る。肩部200から放射される光が、カッタ部分150に沿うとともにカッタ部分150から離れるように照明することができるように、肩部200をカッタ部分150の表面から間隔を空けて配置することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、照明器部分152は、照明器部分152内に埋め込まれたまたはそれに沿って配設される1本または複数本の光ファイバ202を含み得る。光ファイバ202は、コンソール102(
図1)の光源等の光源まで延在することができる。照明器部分152は、単一箇所からまたは照明器部分の周囲の複数の箇所から光を放射することができる。
図4Aに示す実施形態では、2本の光ファイバ202は、針部分114の中心軸155を中心に180度だけ互いに間隔を空けて配置されている。他の実施形態では、光ファイバ202は、他の角度で間隔を空けて配置され得る。いくつかの実施形態は、照明器部分152の周囲に互いから120度だけ離れて配設された3本の光ファイバを有する。この実施形態では、光ファイバは、肩部200と同一平面にまたは肩部200に隣接して配設される放射端部204を含む。
図4Aにおける例示的な実施形態の多ゲージの特質により、光ファイバの放射端部204を、カッタ部分150の表面から離れるように間隔を空けて配置することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1本の光ファイバ202は、
図4Aに示すように、外部ポート184と軸方向に位置合わせされる放射端部を有する。したがって、この光ファイバから放射される光により、使用者は、手術処置中にポートに向かってかつポート内に流れる硝子体および液体を受け取ることを可能にすることができる。
【0035】
いくつかの針部分実施形態は、光が広角で、いくつかの実施形態では扇状に放射されることを可能にする、放射端部204に隣接した特徴を含む。たとえば、いくつかの実施形態は、放射端部204が肩部200の近位側に配設され、したがって周囲構造によって保護されるように配設された光ファイバ202を含む。照明器部分152は、光が手術部位の周囲の領域を照明することを可能にする照明経路を提供するように形成することができる。いくつかの例では、照明器部分152は、肩部200に隣接するその外面にV字型切取部を含む。切取部により、放射端部204が肩部200の近位側に(ハンドル部分に向かう方向に)配設されていても、放射される光が広角で扇形に照射することを可能にすることができる。他の実施形態では、照明器部分152は、遠位端部に形成された平坦部分を有する円筒状外面を含む。放射端部204は、その部分と外面との間に配設され得る。いくつかの実施形態では、平坦部分は、照明器部分152の周囲に形成された平面として現れる場合があり、または外面へのくぼみ部分もしくは切欠き(
図4Bにおいて205として示す)として形成される場合がある。くぼみまたは切欠き205はV字型を有することができ、Vの開放端部は、放射光を扇状でカッタ部分に向けるように遠位カッタ部分に面している。
【0036】
図示するハイブリッドゲージ針部分114では、照明器部分152は、注入部分154より小さい直径を有し、カッタ部分150より大きい直径を有する。照明器部分152の直径は任意の好適なサイズであり得るが、いくつかの実施形態では、直径は、約20ゲージ〜40ゲージの範囲内にあるように選択され、約20ゲージ〜28ゲージの範囲内にあるように選択され得る。いくつかの実施形態では、照明器部分152の直径は、約25ゲージであるように選択される。
【0037】
注入部分154は、針部分114の外面として配置され、照明器部分152に隣接して配設される。注入部分154は、手術領域内に注入流体を向けるように作用する。実施形態に応じて、注入部分154は、手術領域内に注入流体を向ける1つまたは複数の注入ポート206を形成するかまたは含むことができる。いくつかの実施形態では、注入部分154および照明器部分152は、注入ポート206に至る1つまたは複数の内腔208を合わせて形成する。いくつかの実施形態では、内腔は、注入部分154と照明器部分152との間に形成された単一の環状内腔である。他の実施形態では、注入部分154内において、照明器部分152の周囲に間隔を空けて配置された複数の内腔が形成される。たとえば、一実施形態は、180度だけ間隔を空けて配置された2つの内腔を含む。別の実施形態は、120度だけ間隔を空けて配置された3つの内腔を含む。いくつかの実施形態では、内腔は、注入部分154の内面の溝として形成される。コンソール102(
図1)から提供される流体は、硝子体切除プローブ110に、その後、内腔208に供給され、注入ポート206から出ることができる。たとえば、コンソールは、流体のリザーバ等の流体源と、こうしたリザーバと流体連通するポンプまたは他の流れ機構とを含むことができる。
【0038】
図示するハイブリッドゲージ針部分114では、注入部分154は、照明器部分152より大きい直径を有し、カッタ部分150より大きい直径を有する。したがって、それは、照明器部分152より大きい断面距離を有する。注入部分154の直径は任意の好適なサイズであり得るが、いくつかの実施形態では、直径は、約15ゲージ〜30ゲージの範囲内にあるように選択され、約18ゲージ〜27ゲージの範囲内であるように選択され得る。いくつかの実施形態では、注入部分154の直径は、約23ゲージであるように選択される。直径に関して記載したが、いくつかの実施形態は非円形外面を有し、したがって直径の代わりに断面距離を使用することができる。たとえば、いくつかの器具は、楕円形断面または他の形状を有することができる。
【0039】
図5は、眼科手術処置を行う例示的な方法300を示す。図示するように、方法300は、複数の列挙されているステップを含む。方法300の実装形態は、列挙されているステップの前、その後およびその間に追加のステップを含むことができる。いくつかの実装形態では、列挙されているステップの1つまたは複数を省略するか、または異なる順序で行うことができる。
【0040】
方法は、302で開始することができ、眼の後眼房等の内部にアクセスするために眼に切開部を作成することを含む。技法に応じて、使用者は、トロカールを使用して毛様体扁平部の強膜を通して切開部を作成することができる。切開は、強膜切開と呼ばれる場合がある。したがって、トロカールカニューレが切開部内に残り、硝子体眼房等の眼の後眼部内への内腔を画定した状態でトロカールブレードが取り除かれる。いくつかの実施形態では、トロカールカニューレは、光源からの光を伝達し、眼内に光を放射する1つまたは複数の光照明ファイバ等の照明機構を含む。上に示したように、カニューレは、硝子体液等の流体および/または組織がカニューレポートを通って流れることを防止するバルブカニューレであり得る。これは、眼内で眼内圧を許容可能なレベルで維持するのに役立つ。実施形態に応じて、カニューレの光源は、コンソール(
図1)に、手術用顕微鏡または手術室の別の場所に配設することができる。いくつかの実施形態は、カニューレ自体に光源を含む。
【0041】
304において、方法300は、カニューレの内腔を通して眼の内部に硝子体切除プローブ110等の多機能器具を挿入するステップを含む。いくつかの技法では、これは、組織処置部分(たとえば、カッタ部分)、照明器部分および注入部分を含み、カッタ部分が第1ゲージサイズを有し、照明器部分が第2のより大きいゲージサイズを有し、注入部分が第3のより大きいゲージサイズを有するハイブリットゲージ器具を挿入することを含む。したがって、単一ポートアクセスカニューレを通して、使用者は、硝子体切除処置を行い、処置対象の手術部位および/または領域を照明し、眼内眼圧を所望のレベルで維持するように流体を注入することができる。これにより、手術で使用されるアクセス切開部の数および器具の数が低減し、使用者および患者の両方に対して多くの利点が提供される。
【0042】
306において、器具が眼の内部に突出している状態で、使用者は、眼内圧を維持するために眼の内部に流体を送達することができる。流体の送達は、コンソールの注入モードまたは他の注入流体源を作動させることと、器具の注入部分を通して眼の内部に流体を注射することとを含むことができる。注入部分を通した流体の注射は、注入部分の内腔またはポートから流体を注射することを含み得る。構造的配置に応じて、内腔またはポートは、注入部分内のみに形成され得るか、または別法として注入部分の表面と照明器部分の表面との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、注入ポートは、環状形状であり、器具の軸と同軸であるが、他の実施形態では、注入部分は、1つのポート、または器具の軸を中心に間隔を空けて配置された複数のポートを含む。注入流体は、本明細書に記載するか、または他の方法でフラッシング、処置もしくは眼内の圧力の維持に好適な任意の流体であり得る。
【0043】
308において、眼に注入流体を送達するのと同時に、器具は、照明器部分により眼の内部を照明することができる。照明器部分は、手術部位を照明することができ、いくつかの実施形態では、器具のカッタ部分等の組織処置部分を照明することができる。器具の手術処置端部がカッタ部分である実施形態では、この技法は、ポート内に吸引されている組織および流体を使用者が視覚的に知覚することができるようにカッタ部分のポートを照明することを含み得る。本明細書に記載するように、照明器部分は、コンソールにおいて光源に電力を供給することを含み得、または手術室の周囲に配設された別の場所の光源を含み得る。いくつかの実施形態では、光源は、器具自体に配設される。光源を用いて眼の内部を照明することは、カッタ部分を照明器部分から分離する肩部にまたはそれに隣接して配設された照明光ファイバチップを含むことができる。ステップ306および308を同時に行うことができる。
【0044】
ステップ310において、流体を送達し眼の内部を照明するのと同時に、方法は、眼の内部で組織または流体を処置するステップを含むことができる。組織の処置は、器具を用いて種々の方法で行うことができる。多機能器具の組織処置部分がカッタ部分である場合、これは、眼に対して硝子体切除処置を行うことを含み得る。それはまた、カッタ部分の組織処置部分が別の組織または処置具である場合、眼に対して他の処置を行うことを含み得る。
【0045】
手術処置が終了すると、多機能器具を引き抜くことができる。多機能器具は複数の機能を単一器具に結合するため、器具は、低侵襲性とすることができ、単一の切開部のみを通して複数の機能を達成することができる。これにより、手術を能率的にし、使用者による器具のより容易な取扱いを可能にし、よりよい患者転帰を提供することができる。
【0046】
本明細書におけるシステムおよび方法は硝子体切除プローブについて言及するが、多機能器具は、照明、注入、および組織を処置するための別の用具部分を含み得ることが理解されるべきである。たとえば、いくつかの実施形態は、本明細書に記載したようなハイブリッドゲージ一体化注入および照明とともに、組織処置部分として鉗子を含む。他の組織処置部分としては、特にハサミ、レーザプローブ、吸引プローブ、ジアテルミープローブ、フレックスループ(flex loop)プローブ、流体注入デバイス、水晶体破砕プローブ、内視鏡が挙げられる。これらのすべてが、本明細書に記載したようなハイブリッドゲージ一体化注入および/または照明とともに使用することができる。手持ち式光ファイバも、本明細書に記載したようなハイブリッドゲージ一体化注入および/または照明を含むことができる。
【0047】
当業者であれば、本開示によって包含される実装形態が、上述した特定の例示的な実装形態に限定されないことを理解するであろう。それに関して、例示的な実装形態について示し記載したが、上述した本開示において広範囲の改変形態、変更形態、組み合わせおよび置換形態が企図されている。上述に対するこうした変形形態は、本開示の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広くかつ本開示に一貫して解釈されることが適切である。