(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、施工管理者が作業機械から離れた地域にいることで、作業機械の位置する地域において地震等の災害が発生したことを認識することができないという問題がある。
また、作業機械の位置する地域の作業者が例えばランマ等の振動を伴う作業機械を使用している場合、作業者は地震に気が付かない虞がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
土工用作業機械が位置する地域において災害が発生したことを
土工用作業機械の管理者及び
土工用作業機械の周囲に位置する作業者に認識させることができる
土工用作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の
土工用作業機械は、機体を自動で走行させる自動走行部を含み、前記機体を制御するコントローラを備えた
土工用作業機械において、前記機体が位置する地域で災害が発生したことを検出する災害検出装置と、前記機体を管理する管理者と前記機体との間で情報を送受信する通信装置と、前記機体の周囲に位置する作業者に前記災害の発生を報知する報知装置と、を有し、
前記災害検出装置は、加速度センサであり、前記コントローラは、
前記災害を判定する災害判定部と前記機体の走行を停止させる走行停止部
とを含み、
前記災害判定部は、前記加速度センサにより検出される機体上下方向の加速度を基に振動数を算出し、前記機体によって生じる加速度及び振動数と前記災害によって生じる加速度及び振動数とに区別して前記災害の発生を判定するものであって、前記災害判定部により
前記災害が発生したことを
判定すると、前記走行停止部により前記機体の走行を停止し、前記通信装置により前記管理者に前記災害があったことを通知し、前記報知装置により前記機体の周囲に位置する作業者に前記災害の発生を報知することを特徴とする。
【0008】
これにより、機体が位置する地域で災害が発生したことを災害検出装置によって検出すると、走行停止部により前記機体の走行を停止し、通信装置により管理者に災害があったことを送信し、さらに、報知装置により機体の周囲に位置する作業者に災害の発生を報知することで、機体を自動で走行させる自動走行部を備えた作業機械のような、管理者が機体と異なる地域にいることにより、機体が位置する地域で災害が発生したことを管理者が認識することができないような場合であっても、該災害があったことを管理者に通知するとともに機体を停止させ、さらに、機体の周囲に位置する作業者に避難を促すことが可能とされる。
特に、災害判定部が加速度センサにより検出される機体上下方向の加速度を基に振動数を算出し、機体によって生じる加速度及び振動数と災害によって生じる加速度及び振動数とに区別して災害の発生を判定することで、例えば作業機械が振動ローラのような機体によって発する振動による機体の上下方向にかかる加速度が、災害によって機体が上下方向に加振されるときの加速度より大きいものであっても、正確に災害を判定することが可能とされる。
【0009】
その他の態様として、
前記災害判定部は、前記災害として地震を判定する地震判定部を有し
、前記地震判定部は、前記加速度センサにより検出される機体上下方向の加速度を基に振動数を算出し、前記機体によって生じる加速度及び振動数と前記地震によって生じる加速度及び振動数とに区別して地震の発生を判定するのが好ましい。
【0010】
これにより、地震判定部が加速度センサにより検出される機体上下方向の加速度を基に振動数を算出し
、機体によって生じる
加速度及び振動数と地震によって生じる
加速度及び振動数とに区別して地震の発生を判定することで、例えば作業機械が振動ローラのような機体によって発する振動による機体の上下方向にかかる加速度が、地震によって機体が上下方向に加振されるときの加速度より大きいものであっても、正確に地震を判定することが可能とされる。
【0011】
その他の態様として、前記地震判定部は、前記地震によって生じる加速度及び振動数の相関から該振動数における加速度の大きさを地震スペクトルとして求め、該地震スペクトルが所定の加速度の大きさを超えると地震が発生したと判定するのが好ましい。
これにより、地震によって生じる加速度及び振動数の相関から該振動数における加速度の大きさを地震スペクトルとして求め、地震スペクトルが所定の加速度の大きさを超えると地震が発生したと判定するので、加速度センサを利用して地震を的確に検出することが可能である。
その他の態様として、前記コントローラは、前記
災害判定部により
前記災害が発生したことを
判定すると、前記自動走行部により前記機体を所定の駐機地点まで自動で走行させて駐機させるのが好ましい。
これにより、
災害判定部により災害が発生したことを
判定すると、自動走行部により機体を所定の駐機位置まで自動で走行させて駐機させることで、例えば管理者が災害によって機体の操作をすることができない場合であっても、機体を自動で所定の駐機位置に移動させて駐機させることが可能とされる。
【0012】
その他の態様として、前記所定の駐機位置は、複数の駐機候補地点から選択されるのが好ましい。
これにより、複数の駐機候補地点から駐機位置を選択することで、例えば駐機候補地点のうち最も近い駐機候補地点を駐機位置として選択し、最短距離で機体を走行させることが可能とされる。
【0013】
その他の態様として、前記コントローラは、該機体が作業を実施する作業範囲を判定する作業範囲判定部を有し、前記所定の駐機位置は、前記作業範囲判定部によって判定された前記作業範囲における外周縁のいずれかの位置であるのが好ましい。
【0014】
これにより、作業範囲の端である外周縁のいずれかに機体を駐機させることで、災害の発生後における復旧作業において機体が物資の搬入等の邪魔になることを抑制することが可能とされる。
【0015】
その他の態様として、前記作業範囲が機体上下方向上方から視て多角形形状である場合において、前記所定の駐機位置は、前記作業範囲の複数の角のいずれかであるのが好ましい。
【0016】
これにより、作業範囲が機体上下方向上方から視て多角形形状である場合において、所定の駐機位置が作業範囲の複数の角のいずれかであるようにすることで、災害の発生後における復旧作業において機体が物資の搬入等の邪魔になることをより的確に抑制することが可能とされる。
【0017】
その他の態様として、前記コントローラは、特定の作業者にのみ操作を許容するセキュリティ部を有し、
前記災害判定部により
前記災害が発生したことを
判定すると、前記セキュリティ部を停止させるのが好ましい。
【0018】
これにより、
災害判定部によ
り災害が発生したことを検出すると、特定の作業者にのみ操作を許容するセキュリティ部を停止することで、誰でも作業機械を操作可能となり、災害の発生後における復旧作業において機体が物資の搬入等の邪魔になることを抑制することが可能とされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の
土工用作業機械によれば、機体が位置する地域で災害が発生したことを災害検出装置によって検出すると、走行停止部により前記機体の走行を停止し、通信装置により管理者に災害があったことを送信し、さらに、報知装置により機体の周囲に位置する作業者に災害の発生を報知するようにしたので、機体を自動で走行させる自動走行部を備えた作業機械のような、管理者が機体と異なる地域にいることにより、機体が位置する地域で災害が発生したことを管理者が認識することができないような場合であっても、該災害があったことを管理者に通知するとともに機体を停止させ、さらに、機体の周囲に位置する作業者に避難を促すことができる。
特に、災害判定部が加速度センサにより検出される機体上下方向の加速度を基に振動数を算出し、機体によって生じる加速度及び振動数と災害によって生じる加速度及び振動数とに区別して災害の発生を判定することで、例えば作業機械が振動ローラのような機体によって発する振動による機体の上下方向にかかる加速度が、災害によって機体が上下方向に加振されるときの加速度より大きいものであっても、正確に災害を判定することができる。
【0020】
これにより、
土工用作業機械が位置する地域において災害が発生したことを
土工用作業機械の管理者及び
土工用作業機械の周囲に位置する作業者に認識させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、機体1の概略構成図が示されている。
【0023】
機体(
土工用作業機械)1は、フロントフレーム3、リアフレーム5、駆動装置7、操縦席9、転圧ローラ11及び駆動輪13を備えたアーティキュレート式の土工用振動ローラである。この機体1は、駆動輪13を駆動することで前後進しつつ、転圧ローラ11を用いて地面を締固めることが可能である。また、機体1は、後述する自動走行制御部63が備えられており、作業者が操縦席9に搭乗することなく自動走行制御により走行することが可能である。
フロントフレーム3は、機体1の前部に配設された左右一対の骨格部材である。このフロントフレーム3には、金属製の円筒状に形成された転圧ローラ11が備えられている。また、フロントフレーム3は、回動支持体4を介してリアフレーム5に回動可能に取付けられている。
【0024】
回動支持体4には、アーティキュレート機構を作動させるステアリングシリンダ17が取り付けられている。また、ハンドル19の根元には、ステアリングバルブ15が備えられており、ステアリングバルブ15は、ステアリングシリンダ17への油圧供給を操作し、例えば駆動装置7の後述するエンジンの駆動力を利用することで回動支持体4を軸にしてフロントフレーム3を回動させることが可能な油圧バルブである。
【0025】
リアフレーム5は、機体1の後部に配設された骨格部材である。このリアフレーム5には、上部に駆動装置7及び操縦席9が配設されている。また、リアフレーム5には、ゴム製のタイヤを備えた駆動輪13が機体左右方向でリアフレーム5を挟むように配設されている。
【0026】
駆動装置7は、例えばエンジンやHST(Hydraulic Static Transmission)が備えられており、駆動輪13を駆動することが可能である。
操縦席9は、リアフレーム5の前側上部に配設され、図示はしないが、座席やコントロールパネル及び操作レバーが備えられている。これにより、操縦席9は、オペレータが搭乗して座席に着座し、コントロールパネルや操作レバーを操作することで機体1の走行等の操作をすることが可能である。この操縦席9には、駆動装置7のエンジンを稼動させるためのイグニッションスイッチ9aが備えられている。
【0027】
このような構成により、機体1は、操縦席9に作業者が搭乗することで機体1の操作をすることが可能である。
この機体1には、さらに、GNSSユニット21、無線通信機(通信装置)23、障害物センサ25、車輪速度センサ27、転舵角度センサ29、加速度センサ(災害検出装置)31及びスピーカ(報知装置)33が備えられている。
【0028】
GNSSユニット21は、GNSSアンテナ21aによって受信する電波からGNSS受信機21bによって位置情報を取得することが可能なGNSS(Global Navigation Satellite System)である。
無線通信機23は、例えばタブレット端末40等の無線機器と通信することが可能な通信機である。
【0029】
障害物センサ25は、フロントフレーム3の前端及びリアフレーム5の後端に設けられたソナーであり、機体1の前方及び後方に位置する障害物を検出することが可能である。
車輪速度センサ27は、転圧ローラ11及び駆動輪13の近傍に備えられた、転圧ローラ11及び駆動輪13夫々の回転数を検出するセンサである。
【0030】
転舵角度センサ29は、フロントフレーム3が機体1前後方向に対して屈曲する角度、すなわち転舵角度を検出するセンサである。
加速度センサ31は、フロントフレーム3の機体前後方向中央に配設され、転圧ローラ11の機体上下方向の加速度を検出することが可能なセンサである。
【0031】
スピーカ33は、機体1の周囲に報知音を発すことが可能であり、例えば操縦席9の上側に配設されている。
ECU(コントローラ)50は、駆動装置7におけるエンジンの運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
【0032】
図2を参照すると、本発明に係る
土工用作業機械の制御に係るECU50の接続構成がブロック図で示されている。
ECU50には、災害判定部51、作業範囲判定部53、機体位置判定部55、経路判定部57、通報制御部61、自動走行制御部63、走行停止部64、セキュリティ部65及びエンジン稼動制御部67を備えている。
【0033】
災害判定部51は、機体1が位置する地域で災害が発生したことを判定する判定部である。なお、本実施形態では、災害判定部51は後述する地震判定制御によって災害の一である地震を判定するが、例えば地震速報等の地震に関する情報や津波、火事等の災害情報を無線通信機23を介して受信したときに地震等の災害であると判定するようにしてもよい。
【0034】
作業範囲判定部53は、機体1が地面の締固め作業を実施する範囲Aを判定する判定部である。この範囲Aは、例えば管理者が所有するタブレット端末40を操作することで無線通信機23を介して機体1に指令する作業範囲である。
【0035】
機体位置判定部55は、GNSS受信機21bによって取得した位置情報を基に機体1の現在位置を判定する判定部である。
経路判定部57は、後述する駐機位置判定制御や経路判定制御を実行する判定部である。
【0036】
通報制御部61は、無線通信機23及びスピーカ33を制御することが可能な制御部である。したがって、通報制御部61は、無線通信機23を制御することで、機体1が位置する地域で災害が発生したことをタブレット端末40に通知することが可能である。また、通報制御部61は、スピーカ33を制御することで、機体1の周囲で作業をする作業者に災害が発生したことを報知することが可能である。
【0037】
自動走行制御部63は、車輪速度センサ27や転舵角度センサ29から入力される情報を基に機体1の速度や転舵角度を算出し、機体1を走行させる自動走行制御を実行することが可能である。また、自動走行制御を実行中、障害物センサ25から入力される情報を基に機体1が障害物等と接触する虞があると判定するときは、障害物等との接触を回避しつつスピーカ33からブザー等の警告音を吹鳴することが可能である。
【0038】
このように、自動走行制御部63は、自動走行制御を実行することで、作業者や管理者の操作に依らずに機体1を自動で走行させる制御部である。走行停止部64は、機体1を減速させて走行を停止させることが可能である。
【0039】
セキュリティ部65は、セキュリティ制御を実行することで、例えば登録されていない人によりイグニッションスイッチ9aが操作されたとき、駆動装置7の稼動を行わず、また、タブレット端末40に通知し、注意を促すことが可能である。換言すると、このセキュリティ部65は、セキュリティ制御を解除することで、登録されていない人によりイグニッションスイッチ9aが操作されたときであってもエンジン稼動制御部67を介した駆動装置7の稼動が行われる。なお、セキュリティ部65は、操縦席9の図示しないドアを施錠するようにしてもよく、盗難やいたずらによって機体1が走行することを未然に防ぐことができればよい。また、セキュリティ部65は、セキュリティ制御を解除するときであっても、タブレット端末40に駆動装置7が稼動されたことを通知するようにしてもよい。
【0040】
エンジン稼動制御部67は、駆動装置7を稼動させ、または停止させる制御部である。このエンジン稼動制御部67は、イグニッションスイッチ9aが操作されたときに駆動装置7のエンジンを稼動させることが可能である。また、エンジン稼動制御部67は、例えば管理者がタブレット端末40を操作して駆動装置7の停止操作したときに駆動装置7のエンジンを停止することが可能である。
【0041】
ECU50の入力側(入力デバイス)には、イグニッションスイッチ(IGスイッチ)9a、GNSS受信機21b、無線通信機23、障害物センサ25、車輪速度センサ27、転舵角度センサ29及び加速度センサ31が電気的に接続されている。イグニッションスイッチ9aからは、作業者等による駆動装置7のエンジンの稼動操作情報が入力され、GNSS受信機21bからは、GNSSアンテナ21aによって受信する電波に基づいて取得する位置情報が入力され、無線通信機23からは、タブレット端末40を介した管理者が機体1にする作業範囲等の指令に関する情報が入力される。
【0042】
また、障害物センサ25からは機体1の前後方向に位置する障害物と機体1との距離が入力され、車輪速度センサ27からは、転圧ローラ11及び駆動輪13の回転数が入力され、転舵角度センサ29からは、機体1の転舵角度が入力され、加速度センサ31からは、転圧ローラ11の機体上下方向についての加速度が入力される。
【0043】
一方、ECU50の出力側(出力デバイス)には、駆動装置7、ステアリングバルブ15、無線通信機23及びスピーカ33が電気的に接続されている。これにより、駆動装置7を制御することで機体1の走行速度を制御し、ステアリングバルブ15を制御することで機体1の転舵角度を制御し、無線通信機23を介してタブレット端末40に転圧状況や災害発生の有無についての情報を送信し、スピーカ33を制御することで、機体1周辺の作業者等の音による報知をすることができる。
【0044】
次に、ECU50が実行する制御のうちの、通常施工制御及び災害時自動走行制御について詳しく説明する。
【0045】
[通常施工制御]
図3を参照すると、ECU50に係る通常施工制御による機体1の稼動態様を説明する説明図が示されている。
ECU50が通常施工制御を実施するとき、機体1は、予め設定された範囲Aについて転圧施工を実施する。詳しくは、例えば遠隔地にいる管理者がタブレット端末40を操作して、機体1が施工する範囲Aを設定する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、範囲Aを長方形とするが、必要に応じて円形や五角形その他複雑な形状としてもよい。
【0046】
ここで、タブレット端末40によって設定された範囲Aは、無線通信機23を介してECU50内の作業範囲判定部53に入力される。従って、作業範囲判定部53は、機体1が転圧施工をする範囲Aを記憶することができる。
【0047】
機体位置判定部55は、GNSS受信機21bより入力される機体1の位置情報を基に機体1の位置を判定する。これにより、機体1が範囲Aにおける転圧作業を実施した範囲Bを作業範囲判定部53に記憶させることで、作業範囲判定部53に記憶される範囲Aを、転圧作業がすでに完了した範囲Bと未だ転圧作業が実施されていない範囲Cとで区別することができる。ここで、機体1が転圧作業を完了させたか否かの判定は、例えば加速度センサ31を用いて判定する。
【0048】
図4を参照すると、転圧作業開始時における時間tと加速度Gとの相関がグラフで示されている。また、
図5を参照すると、転圧作業開始時における周波数Hzと加速度Gとの相関がグラフで示されている。またさらに、
図6を参照すると、転圧作業完了時における周波数Hzと加速度Gとの相関がグラフで示されている。
【0049】
転圧作業において、機体1は、転圧ローラ11を振動させながら所定回数往復するように前後進することで、地面を締固める。このとき、加速度センサ31によって検出される加速度Gは、略一定の周波数(一定周波数)で振動する(
図4)。この時間tと加速度Gとの相関を、例えばフーリエ変換すると、
図5のように、周波数Hzと加速度Gとの相関に変換することができる。
【0050】
ここで、転圧作業開始時は、転圧作業完了時と比較して地面が柔らかいため、機体1が加振した転圧ローラ11の振動数と同様の周波数のスペクトル(加振スペクトル)が主に検出される。一方、転圧作業が進むにつれて地面が締め固められることで、機体1が加振した転圧ローラ11の振動に対する地面の応答が強くなる。従って、転圧作業完了時には、加速度センサ31によって検出される加速度Gのうち、加振スペクトルとは異なる周波数のスペクトル(応答スペクトル)の加速度Gが増加する(
図6)。
【0051】
したがって、転圧作業が完了したと判定できるときの応答スペクトルの加速度Gのピークを結ぶ領域を応答スペクトル域とし、該応答スペクトル域を各応答スペクトルの加速度Gがひとつでも超えたとき、機体1の転圧作業をしている地面が必要十分に転圧され、転圧作業が完了したと判定する。
【0052】
このようにして転圧作業が完了したと判定すると、機体1が位置する地点を転圧作業がすでに完了した範囲Bとして記憶し、未だ転圧作業が実施されていない範囲Cに移動する。このように転圧作業を繰り返すことで、範囲Bを広げるようにして範囲Aの転圧作業を実施する。
【0053】
[災害時自動走行制御]
図7を参照すると、ECU50が実行する、本発明に係る
土工用作業機械の制御手順を示すルーチンがフローチャートで示されており、以下、同フローチャートに沿い説明する。
【0054】
ステップS10では、災害判定部51が、機体1が位置する地域で地震が発生したか否かを判定する。
図8を参照すると、転圧作業中に地震が発生した場合における周波数Hzと加速度Gとの相関がグラフで示されている。
【0055】
災害判定部51は、加速度センサ31によって検出される加速度Gから変換した周波数Hzと加速度Gとの相関に基づき、特定スペクトル域を超える加速度G(
図8中の地震スペクトル)の振動を発見すると、機体1の位置する地域で地震が発生したと判定する。ここで、特定スペクトル域とは、例えば応答スペクトル域にバラつきを考慮した振動数のスペクトル域であり、転圧作業に係る転圧ローラ11の振動では発生しない領域のスペクトル域である。これにより、転圧作業に用いる加速度センサ31を利用して地震を的確に検出することができる。
【0056】
図7に戻り、ステップS10は、判定結果が真(Yes)で機体1が位置する地域で地震が発生したと判定するまで繰り返し実行し、地震が発生したと判定すると、ステップS20に移行する。
【0057】
ステップS20では、走行停止部64により、機体1の走行を停止させてステップS30に移行する。このように機体1を停止させることで、地震による揺れの影響を受けて機体1が予期せぬ方向に移動すること等を抑制することができる。
【0058】
ステップS30では、通報制御部61により、スピーカ33を制御して範囲A内にいる作業者に地震が発生したことを報知してステップS40に移行する。ここで、範囲A内にいる作業者は、範囲A内にいる作業者、換言すると機体1が位置する地域にいる作業者ではあるが、例えばランマ等の振動を伴う作業機械を使用している場合、地震に気が付かない虞がある。従って、ステップS30によってスピーカ33を制御して範囲A内にいる作業者に地震が発生したことを報知することで、避難を促すことができる。
【0059】
ステップS40では、通報制御部61により、無線通信機23からタブレット端末40に向け、機体1が位置する地域で地震が発生したことを通知してステップS50に移行する。ここで、タブレット端末40を所有する管理者は、機体1の位置する地域にはおらず、遠隔地から機体1の管理及び範囲Aの転圧作業の管理を行っていることが考えられる。
【0060】
従って、ステップS40によってタブレット端末40に向けて機体1が位置する地域で地震が発生したことを通知し、該通知に関する情報をタブレット端末40に表示することで、遠隔地にいる管理者に地震の発生を認識させることができる。
【0061】
図9を参照すると、地震発生時における範囲Aの状況及び駐機位置判定制御の判定手法を説明する説明図が示されている。ステップS50〜S70では、機体位置判定部55、経路判定部57及び自動走行制御部63によって機体1を地点P1〜P4のいずれか(所定の駐機地点)に移動させる。
【0062】
例えば範囲Aが幹線道路R1と幹線道路R2との交差点である場合、地震後の復旧作業において範囲Aは物資の搬入等に必要な道路の一部となる。また、上記したように範囲Aが例えば長方形である場合、地点P1〜P4(駐機候補地点)までの4つの角が存在する。このような範囲Aの場合、範囲Aの例えば中央に機体1が位置すると、地震後の復旧作業において機体1が物資の搬入等の邪魔になることが考えられる。
【0063】
そこで、地震後の復旧作業において機体1が物資の搬入等の邪魔になることを抑制するべく、ステップS50〜S70の各制御によって機体1を地点P1〜P4のいずれかに移動させる。なお、駐機候補地点は、地形や状況に応じて駐機地点を変更してもよく、範囲Aの角でなく範囲Aの外周縁のいずれかであってもよい。
【0064】
ステップS50では、駐機位置判定制御を実行する。
図9に戻り、駐機位置判定制御では、機体位置判定部55によって判定される機体1の位置に基づき算出される地点P1〜P4(駐機候補地点)の直線距離から、最も近い駐機位置を判定する。
【0065】
図9において、機体1が最も近い駐機位置は、地点P1である。従って、ステップS50では、機体1を駐機する駐機位置を地点P1とし、ステップS60に移行する。
【0066】
ステップS60では、経路判定部57により、機体1が地点P1に向かうための最適な経路を判定する。ここで、機体1は、後進走行も可能であるため、
図9のような場合は後進しながら地点P1に向かうことが考えられる。従って、ステップS60は、経路判定部57により経路L1を判定し、ステップS70に移行する。
【0067】
図10を参照すると、ECU50が実行する、自動走行制御部63による自動走行制御の制御手順を示すルーチンがフローチャートで示されている。
【0068】
ステップS110では、機体1が地点P1に到着したか否かを判別する。ステップS110の判別結果が真(Yes)で機体1が地点P1に到着したと判別すると、自動走行制御を終了する。また、ステップS110の判別結果が偽(No)で未だ機体1が地点P1に到着していないと判別すると、ステップS120に移行する。
【0069】
ステップS120では、機体1を経路L1に沿って進行させることが可能か否かを判別する。ここで、
図11を参照すると、機体1を経路L1に沿って進行させることができない状態を説明する説明図が示されており、機体1が経路L1に沿って走行不可能な場合とは、例えば経路L1上に地震によって範囲Aに形成された地割れX1が位置する場合や、落石等の障害物X2が位置する等の理由により、機体1を経路L1に沿って進行させることができない場合のことをいう。この地割れX1や障害物X2は、障害物センサ25によって検出する。
【0070】
従って、ステップS120の判別結果が偽(No)で地割れX1や障害物X2が経路L1上に発見されず、機体1を経路L1に沿って進行させることが可能であると判別すると、ステップS130に移行して機体1を経路L1に沿って例えば所定距離進行させてステップS110に戻る。一方、ステップS120の判別結果が真(Yes)で、機体1を経路L1に沿って進行させることができないと判別すると、ステップS140に移行する。
【0071】
ステップS140では、地割れX1や障害物X2を回避して地点P1に向かうことが可能か否かを判別する。ステップS140の判別結果が真(Yes)で、経路L1上に位置する障害物X2が遠回りすることで回避することが可能な場合にはステップS60に戻り、機体1が地点P1に向かうための最適な経路を再び判定し、ステップS70を改めて実行する。一方、ステップS140の判別結果が偽(No)で、経路L1上に地震によって範囲Aに形成された地割れX1が位置し、該地割れX1が断続的に延びており、機体1が地点P1に向かうことはできない場合には、ステップS150に移行する。
【0072】
ステップS150では、地点P1を駐機候補地点から除外してステップS50に戻る。以降、ステップS50では、地点P1を除外した地点P2〜P4から最も近い駐機位置を改めて判定し、ステップS60及びステップS70を改めて実行する。
【0073】
このようにして、自動走行制御部63による自動走行制御では、地割れX1や障害物X2を検出する場合(ステップS120)、障害物X2のように回避可能(ステップS130でYes)であれば、ステップS60に移行して障害物X2を回避して地点P1に向かう経路を判定することができる。また、地割れX1のように回避できない(ステップS130でNo)であれば、地点P1を駐機候補地点から除外して(ステップS150)地点P2〜P3に向かう経路を改めて判定することができる。
【0074】
図7に戻り、ステップS70の自動走行制御部63による自動走行制御及び、適宜ステップS50及びステップS60に戻ることによって、機体1が地点P1〜P4のいずれかに位置すると、ステップS80に移行する。
【0075】
ステップS80では、セキュリティ部65によるセキュリティ制御を解除してステップS90に移行する。これにより、管理者の操作によらずに誰でもエンジン稼動制御部67を介して駆動装置7を稼動し、機体1を走行可能にして地震後の復旧作業において機体1を使用することや、幹線道路R1、R2等を行き来する輸送車両等の邪魔にならないよう機体1を移動させることができる。
【0076】
ステップS90では、機体1の駆動装置7のエンジンの稼動を停止して本ルーチンを終了する。
このようにして、ECU50が実行する災害時自動走行制御により、管理者や作業者の操作または作業に依らずに機体1を的確な駐機地点に駐機させることができる。特に、災害時自動走行制御は、通常施工制御に用いる各センサ等の入力デバイス及び駆動装置7等の出力デバイスを用いて実行されるため、災害時自動走行制御に用いるために入力デバイスや出力デバイスを追加することなく、該災害時自動走行制御を実行することができる。
【0077】
以上説明したように、本発明に係る
土工用作業機械では、機体1を自動で走行させる自動走行制御部63を含み、機体1を制御するECU50を備えた
土工用作業機械において、機体1が位置する地域で災害が発生したことを検出する災害検出装置と、機体1を管理する管理者と機体1との間で情報を送受信する無線通信機23と、機体1の周囲に位置する作業者に災害の発生を報知するスピーカ33と、を有し、ECU50は、機体1の走行を停止させる走行停止部64を含み、災害検出装置により機体1の位置する地域で災害が発生したことを検出すると、走行停止部64により機体1の走行を停止し、無線通信機23により管理者に災害があったことを通知し、スピーカ33により機体1の周囲に位置する作業者に災害の発生を報知する。
【0078】
従って、機体1が位置する地域で災害が発生したことを災害検出装置によって検出すると、走行停止部64により機体1の走行を停止し、無線通信機23により管理者に災害があったことを送信し、さらに、スピーカ33により機体1の周囲に位置する作業者に災害の発生を報知するようにしたので、機体1を自動で走行させる自動走行制御部63を備えた作業機械のような、管理者が機体1と異なる地域にいることにより、機体1が位置する地域で災害が発生したことを管理者が認識することができないような場合であっても、該災害があったことを管理者に通知するとともに機体1を停止させ、さらに、機体1の周囲に位置する作業者に避難を促すことができる。
【0079】
そして、ECU50は、地震を判定する災害判定部51を有し、災害検出装置として加速度センサ31を用い、災害判定部51は、加速度センサ31により検出される機体1上下方向の加速度を基に振動数を算出し、機体1によって生じる加速度及び振動数と地震によって生じる加速度及び振動数とに区別して地震の発生を判定することで、例えば作業機械が振動ローラのような機体1によって発する振動による機体1の上下方向にかかる加速度が、地震によって機体1が上下方向に加振されるときの加速度より大きいものであっても、正確に地震を判定することができる。
【0080】
そして、ECU50は、は、加速度センサ31により機体1の位置する地域で災害が発生したことを検出すると、自動走行制御部63により機体1を所定の駐機地点まで自動で走行させて駐機させたので、例えば管理者が災害によって機体1の操作をすることができない場合であっても、機体1を自動で所定の駐機位置に移動させて駐機させることができる。
【0081】
そして、所定の駐機位置は、地点P1〜P4から選択されるので、例えば地点P1〜P4のうち最も近い地点P1を駐機位置として選択し、最短距離で機体1を走行させることができる。また、地点P1までの経路Lに地割れX1のような回避できない障害があれば、他の地点P2〜P3に向かう経路を改めて判定することができる。
【0082】
そして、ECU50は、は、機体1が作業を実施する範囲Aを判定する作業範囲判定部53を有し、所定の駐機位置は、作業範囲判定部53によって判定された範囲Aにおける外周縁に位置する地点P1〜P4のいずれかの位置なので、災害の発生後における復旧作業において機体1が物資の搬入等の邪魔になることを抑制することができる。
【0083】
そして、範囲Aが機体1上下方向上方から視て多角形形状である場合において、所定の駐機位置は、範囲Aの複数の角にあたる地点P1〜P4なので、災害の発生後における復旧作業において機体1が物資の搬入等の邪魔になることをより的確に抑制することができる。
【0084】
そして、ECU50は、は、特定の作業者にのみ操作を許容するセキュリティ部65を有し、加速度センサ31により機体1の位置する地域で災害が発生したことを検出すると、セキュリティ部65を停止させることで、機体1を誰でも操作することが可能となり、災害の発生後における復旧作業において機体1が物資の搬入等の邪魔になることを抑制することができる。
【0085】
以上で本発明に係る
土工用作業機械の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0086】
例えば、本実施形態では、加速度センサ31によって入力される加速度を基に災害判定部51が地震を判定するようにしたが、地震速報や管理者からの地震があった旨の通信を基に災害を判定するようにしてもよい。このとき、災害検出装置として、無線通信機23を用いるようにすればよい。
【0087】
また、本実施形態では、災害時自動走行制御の制御手順をステップS10〜S90を用いて説明したが、各ステップの順番はこれに限らず、適宜変更するようにしてもよい。
【0088】
また、本実施形態では、自動走行制御の制御手順をステップS110〜S150を用いて説明したが、災害時自動走行制御と同様に、各ステップの順番はこれに限らず、適宜変更するようにしてもよい。