(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のアームが前記閉位置にある場合に、弁尖組織を収集する空間が前記一対のアームの各々と前記細長部材の第1部分との間に画定される、請求項1に記載のクリップ。
前記一対のアーム及び前記細長部材の前記第2部分は、前記一対のアームが前記閉位置にある場合に前記弁尖組織を圧縮するように構成されている、請求項3に記載のクリップ。
前記アクチュエータ部材の前記遠位端に接続された管状部材であって、前記一対のアームを前記開位置から前記閉位置へ移動させるように構成された管状部材をさらに備える、請求項5に記載の弁修復システム。
前記アクチュエータ部材の前記遠位端は、前記クリップの構成要素に螺合されることにより、前記クリップを前記アクチュエータ部材に取り付ける、請求項5に記載の弁修復システム。
前記アクチュエータ部材の端は、前記クリップの構成要素に螺合されることにより、前記クリップを前記アクチュエータ部材に取り付け、前記導管は、径方向に内側に変形したタブにより、前記細長部材の前記第2端部に結合される、請求項5に記載の弁修復システム。
前記クリップは、前記クリップの前記構成要素から前記アクチュエータ部材の螺合を解除すること、及び前記タブが径方向に外側に移動することができるように前記タブを解放することにより、前記送達システムから解放される、請求項11に記載の弁修復システム。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】弁尖クリップの代表的な実施形態の斜視図である。
【
図2】クリッピングアームが開位置にある
図1の弁尖クリップの部分展開図である。
【
図3】クリッピングアームが閉位置にある
図1の弁尖クリップの斜視図である。
【
図4】
図1の弁尖クリップと組み合わせて用いることができる送達システムの代表的な実施形態の斜視図である。
【
図6】アクチュエータ導管の一実施形態を示す図である。
【
図7】アクチュエータ導管の一実施形態を示す図である。
【
図8】
図6のアクチュエータ導管の周りに同軸で配置された外側導管の一実施形態を示す図である。
【
図9】細長部材の周りの遠位位置に配置された管状部材の一実施形態を示す図である。
【
図10】細長部材の周りの遠位位置に配置された管状部材の一実施形態を示す図である。
【
図11】心臓弁に埋め込まれた3つの弁尖クリップを有する心臓弁の断面平面図である。
【
図12】弁輪の直径の低減を示す心臓弁の概略図である。
【
図13】クリッピングアームが開位置にある心臓弁内に配置された弁尖クリップの側面図である。
【
図14】クリッピングアームが閉位置にある
図8の弁尖クリップの側面図である。
【
図15】弁輪の壁の基準点間の距離を示す心臓弁の概略平面図である。
【
図16】弁尖クリップを埋め込む前の弁輪の壁の基準点間の距離を示す心臓弁の断面平面図である。
【
図17】弁尖クリップを埋め込んだ後の弁輪の直径の低減を示す
図11の心臓弁の断面平面図である。
【
図18】3つの弁尖クリップ上の支持リングの埋め込みを示す大動脈弁の心室側の断面図である。
【
図19】弁尖クリップおよび支持リングを用いた弁輪の直径の低減を示す
図13の弁の大動脈側の断面図である。
【
図20】僧帽弁への弁尖クリップの埋め込みを示す図である。
【
図21】僧帽弁への弁尖クリップの埋め込みを示す図である。
【
図22】三尖弁への弁尖クリップの埋め込みを示す図である。
【
図23】三尖弁への弁尖クリップの埋め込みを示す図である。
【
図24】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図25】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図26】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図27】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図28】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図29】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図30】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図31】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図32】弁尖クリップのクリッピングアームの様々な代表的な構成を示す図である。
【
図33】受動弁尖係合機構を含む弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図34】弁尖クリップのクリッピングアームが開位置から閉位置まで動かされるときのクリッピングアームに対する心臓弁の弁尖の動きを示す図である。
【
図35】遠位位置に示された移動可能かつ拡張可能な覆いを備える弁尖クリップの別の実施形態の側面図である。
【
図36】拡張された構成における近位位置の能動弁尖係合機構を示す
図26の弁尖クリップの側面図である。
【
図37】複数の突起を含む能動弁尖係合機構を備える弁尖クリップの別の実施形態の側面図である。
【
図38】複数の突起を含む能動弁尖係合機構を備える弁尖クリップの別の実施形態の側面図である。
【
図39】弁尖クリップのクリッピングアームが送達システムに対し遠位方向に延びている、送達システムに結合された弁尖クリップの一実施形態を示す図である。
【
図40】弁尖クリップのクリッピングアームが送達システムに対し近位方向に延びている、送達システムに結合された弁尖クリップの一実施形態を示す図である。
【
図41】弁尖クリップのクリッピングアームが送達システムに対し近位方向に延びている、送達システムに結合された弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図42】組織収集領域を含む弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図43】組織収集領域を含む弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図44】
図42の弁尖クリップの組織収集領域の機能を概略的に示す図である。
【
図45】
図42の弁尖クリップの組織収集領域の機能を概略的に示す図である。
【
図46】クリッピングアームが閉位置にあり、弁尖が組織収集領域に配置された
図42および
図43の弁尖クリップを示す図である。
【
図47】管状中央部材内に配置された螺旋部材を備える弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図48】クリッピングアームの周りに配置された螺旋部材を備える弁尖クリップの別の実施形態を示す図である。
【
図49】本明細書に記載の弁尖クリップのうちの任意のものと組み合わせて用いることができる送達システムの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
説明の目的で、本開示の実施形態のいくつかの態様、利点および新規の特徴が本明細書に開示される。開示される方法、装置およびシステムは、いかなる形でも限定として解釈されるべきでない。そうではなく、本開示は、様々な開示される実施形態の全ての新規な明白でない特徴および態様を、単独で、ならびに互いの様々な組み合わせおよび部分的組み合わせで対象とする。本方法、装置およびシステムは、それらのいかなる特定の態様または特徴または組み合わせに限定されるものではなく、また、開示された実施形態は、任意の1つ以上の特定の利点が存在するかまたは問題が解決されることを必要とするものではない。
【0009】
特定の態様、実施形態または例と併せて説明される特徴、完全体、特性、化合物、化学部分またはグループは、矛盾しない限り、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態または例に適用可能であると理解される。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される全ての特徴、および/またはそのように開示される任意の方法またはプロセスの全てのステップは、そのような特徴および/またはステップのうちの少なくともいくつかが互いに相反する組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本発明は、開示されるいかなる実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される特徴の任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせ、またはそのように開示される任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規の1つもしくは任意の新規の組み合わせに拡張される。
【0010】
開示される方法のうちのいくつかの動作が、提示の都合上、特定の順序で説明されるが、この説明方式は、以下で示される特定の言い回しによって特定の順序付けが必要とされない限り、並べ替えを包含すると理解されるべきである。例えば、連続して説明される動作は、いくつかの場合、並べ替えられるかまたは同時に実行されてもよい。更に、単純にするために、添付の図面は、開示される方法を他の方法と併せて用いることができる様々な形を示していない場合がある。加えて、説明は、場合によっては、「提供する」または「達成する」等の用語を用いて、開示される方法を説明する。これらの用語は、実行される実際の動作を高度に抽象化したものである。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に依拠して変動する場合があり、当業者によって容易に認識可能である。
【0011】
本出願および特許請求の範囲において用いられるとき、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈により別段の明確な指示がない限り、複数形を含む。更に、「含む、備える(include)」という用語は、「備える、含む(comprises)」を意味する。更に、「結合される(coupled)」および「関連付けられる(associated)」という用語は通常、電気的、電磁的および/または物理的(例えば、機械的または化学的)に結合または連結されることを意味し、特定の別段の言い回しがない限り、結合されたまたは関連付けられた項目間に中間要素が存在することを排除するものではない。
【0012】
本明細書において用いられるとき、「近位」という用語は、使用者により近く、埋め込み部位からより離れたデバイスの位置、方向または部分を指す。本明細書において用いられるとき、「遠位」という用語は、使用者からより離れており、埋め込み部位により近いデバイスの位置、方向または部分を指す。このため、例えば、デバイスの近位運動は使用者に向かうデバイスの運動である一方、デバイスの遠位運動は使用者から離れるデバイスの運動である。「長手方向」および「軸方向」という用語は、別段の明確な定義がない限り、近位方向および遠位方向に延びる軸を指す。
【0013】
本明細書において用いられるとき、「一体に形成される」および「単体構造」という用語は、溶接部、固定具、または別個に形成された材料を互いに固定するための他の手段を一切含まない構造を指す。
【0014】
図1〜
図3は、中央の細長部材またはシャフト102、第1のクリッピングアーム104および第2のクリッピングアーム106、ならびに細長部材102の上に同軸で配置された管状部材108(「カバー」または「シース」とも呼ばれる)を含む弁尖クリップ100の代表的な実施形態を示す。細長部材102は、近位端部分110および遠位端部分112を有することができ、ガイドワイヤを挿入することができる管腔114(
図1においてファントムで示される)を画定することができる。
【0015】
クリッピングアーム104、106は、細長部材の近位端部分110に結合することができ、開位置(
図1および
図2)と閉位置(
図3)との間で移動可能とすることができる。示される実施形態では、クリッピングアーム104、106は、細長部材の近位端部分110から遠位方向に延在し、開位置にあるとき、細長部材102から径方向に離れて湾曲するように設定された形状にすることができる。いくつかの実施形態では、クリッピングアーム104、106は、閉位置にあるとき、細長部材102に対し実質的に同一平面上にあるように(細長部材102の長手方向軸に直交する平面において)湾曲した断面外形を有することができる。
【0016】
図2に示すように、クリッピングアーム104、106は、細長部材102の近位端部分110上で同軸に位置する環状カラー116から延びることができる。いくつかの実施形態では、所望に応じて、クリッピングアーム104、106は、カラー116と一体形成することもできるし、カラー116と別個に形成してカラー116に取り付けることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、クリッピングアーム104、106はヒンジ接続することができる。以下で更に説明するように、環状カラー116は、カラー116から延び、細長部材102に対し管状部材108の回転を阻止する(すなわち、管状部材108を「割り出す(index)」)ように構成された、1つ以上の径方向に延びる突起またはタブ118を含むことができる。いくつかの実施形態では、クリッピングアーム104、106および/またはカラー116は、例えば、チタン、ニッケルチタンまたはニチノール、プラスチック、ステンレス鋼等の任意の生体適合性材料から作製することができる。
【0017】
管状部材108は、細長部材102の上に同軸で配置することができ、
図1の矢印127によって示すように、第1の位置(
図1)と第2の位置(
図3)との間の細長部材102に対して軸方向に移動可能とすることができる。
図2を参照すると、管状部材108は、近位端部分120と、第1のクリッピングアーム104および第2のクリッピングアーム106に対応する第1の延長部分122および第2の延長部分124とを含むことができる。管状部材108は、
図3に示すように、管状部材108が第2の位置にあるときにカラー116のタブ118を受けることができる延長部分122、124間のスロット126も画定することができる。このようにして、管状部材108は、第1の位置から第2の位置に遠位方向に動き、タブ118はそれぞれのスロット126内を進むことができ、第1の延長部分122および第2の延長部分124は、それぞれ、第1のクリッピングアーム104および第2のクリッピングアーム106と接触し、クリッピングアーム104、106を閉位置に押し付けることができる。
【0018】
クリッピングアーム104、106および細長部材102は、クリッピングアーム104、106が開位置にあるときに心臓弁の弁尖を受けるように構成されるそれぞれの弁尖受け領域を画定することができる。
図1および
図2に示すように、例えば、第1のクリッピングアーム104および細長部材102は第1の弁尖受け領域128を画定することができ、第2のクリッピングアーム106は、細長部材102と併せて、第2の弁尖受け領域130を画定することができる。埋め込み中、弁尖クリップ100は、1つの弁尖が第1の弁尖受け領域128内に受けられ、対応する弁尖が第2の弁尖受け領域130内に受けられる一方、細長部材102が弁尖間に延びるように、心臓弁の交連部に隣接して位置決めすることができる。このようにして、クリッピングアーム104、106が開位置から閉位置まで動かされるとき、弁尖は、以下で説明するように、それぞれ、第1のクリッピングアーム104および第2のクリッピングアーム106と細長部材102との間に捕捉することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、細長部材102の近位端部分110は、管状部材108を第2の位置に保持するためのロック機構または保持機構132を含むことができる。示される実施形態では、保持機構132は、細長部材102の近位端に位置する突起134を備えることができる。突起134は、管状部材108の近位端部分120が突起134の上を進められる場合、突起134が近位端部分120をその本来の直径より拡張させるように、管状部材108の直径よりも長い直径を有することができる。管状部材108の近位端部分120が突起134の遠位側に進められると、近位端部分120は、その本来の(変形されず、かつ拡張されていない)直径に戻ることができ、それによって、突起134は、管状部材108が突起134を越えて近位方向に動くことを抑制し、これによりクリッピングアーム104、106を閉位置にロックする。
【0020】
このようにして、弁尖クリップ100が心臓弁の弁尖に対して所望のロケーションに位置決めされると、管状部材108を第2の位置まで完全に進め、突起134の遠位方向に管状部材108をロックし、これによって弁尖クリップ100が弁尖上に保持されるようにクリッピングアーム104、106を閉位置にロックすることができる。いくつかの実施形態では、管状部材108の近位端部分120は、近位端部分120の壁が突起134の上を通過するときに径方向に外側に拡がることを可能にする1つ以上のノッチ136を画定し、それによって、近位端部分120が突起134の上をより容易に通過することを可能にすることができる。次に、近位端部分120の壁は、突起134の遠位側でそれらの本来の直径に戻ることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、弁尖クリップ100は、クリッピングアーム104、106が開位置から閉位置に動かされるときにそれぞれの第1の弁尖受け領域128および第2の弁尖受け領域130における心臓弁の弁尖に係合しこれらを保持するのに役立つ、細長部材102上に配置することができる能動弁尖係合機構または受動弁尖係合機構を含むことができる。例えば、弁尖クリップ100は、細長部材102の遠位端部分112上に配置された覆い138として構成された受動弁尖係合機構を含むことができる。覆い138は、弁尖が弁尖受け領域128、130に受けられるときに弁尖に摩擦係合し、クリッピングアーム104、106が開位置から閉位置まで動かされるときにそれぞれの弁尖受け領域128、130内に弁尖を保持することができるようなテクスチャ表面を有することができる。いくつかの実施形態では、覆い138は、織布もしくは組布を含むことができるか、または、細長部材102の遠位端部分112上に位置決めされるように構成されたポリマーチューブもしくはスリーブとすることができる。いくつかの実施形態では、覆い138は、様々な天然材料、または、ポリエチレンテレフタレート(PET)、発泡体、シリコーンまたは縫合材料等の合成材料のうちの任意のものから作製することができる。
【0022】
図4および
図5は、弁尖クリップ100等の弁尖クリップを所望の心臓弁に送達するように用いることができる送達システム150の代表的な実施形態に結合された弁尖クリップ100を示す。送達システム150は、近位位置と遠位位置との間で移動可能な外側導管またはシャフト154を含む主要ハンドル本体152と、制御ボタン156、158と、2つの把持部分160とを含むことができる。
図5を参照すると、送達システム150は、外側導管154内に同軸で配置され、管状部材108に結合された、アクチュエータ導管またはシャフト162を更に備え、矢印164によって示される方向におけるアクチュエータ導管162の近位運動または遠位運動によって、細長部材102およびクリッピングアーム104、106に対して管状部材108の対応する近位運動または遠位運動が生じるようになっている。
【0023】
図6〜
図8に示すように、いくつかの実施形態では、アクチュエータ導管162は、アクチュエータ導管162を管状部材108の近位端部分120に結合する結合デバイス166を含むことができる。
図7に示すように、いくつかの実施形態では、結合デバイス166は、それぞれの近位端においてアクチュエータ導管162に結合された1対の角度付きタブ163、165を含み、タブ163、165のそれぞれの角度付き部分163A、165Aが、アクチュエータ導管162の直径より径方向に延びるように設定された形状を含むことができる。このようにして、
図8に示すように、タブ163、165は、外側導管154がアクチュエータ導管162の遠位端の周囲に(すなわち、遠位位置に)配置されるときに、外側導管154の内面がタブ163、165の角度付き部分163A、165Aと接触し、これらをアクチュエータ導管162に対して径方向に内側に変形させることができるように、ばねとしての役割を果たすことができる。このようにして、タブ163、165は、
図9および
図10に示す開口部167等の管状部材108の近位端部分120に画定されたそれぞれの開口部内に延びることができる。これにより、アクチュエータ部材162のタブ163、165を管状部材108に取り外し可能に係合することが可能になり、アクチュエータ導管162の近位運動および/または遠位運動によって管状部材108の近位運動および/または遠位運動が生じ、それによって開位置と閉位置との間のクリッピングアーム104、106の動きが生じるようにすることができる。代替的な実施形態では、アクチュエータ導管162は、例えば、ねじ、クリップ、ボールおよび回り止めシステム等を含む任意の適切な結合メカニズムによって管状部材108に結合することができる。
【0024】
アクチュエータ導管162の近位運動、およびそれによる管状部材108の近位運動は、弁尖クリップ100の位置決めに成功する前に、遠位位置における管状部材108のロックのリスクを低減する(すなわち、管状部材108の近位端部分120が細長部材102の突起134に対して遠位方向に動くことを阻止する)様々な制御可能な運動制限機構(例えば、カム、ハードストップ、プルタブ等)のうちの1つ以上によって制限することができる。運動制限機構は、動き制限係止部を確立することができ、この動き制限係止部を越える、結合ユニットとしてのアクチュエータ導管162、外側導管154および管状部材108の遠位運動は、内側シャフト168に対し抑制される。示される実施形態では、そのような運動制限機構は、制御ボタン156によって制御することができる。例えば、制御ボタン156の作動は、管状部材108の近位端部分120が細長部材102の突起134の上を遠位方向に動き、それによってクリッピングアーム104、106を閉位置にロックするように、アクチュエータ導管162、外側導管154および管状部材108が制限係止部を通過して動かされることを可能にすることができる。このため、弁尖クリップ100が心臓弁の弁尖にクリップされた後、制御ボタン156を作動させて、アクチュエータ導管162、外側導管154および管状部材108が制限係止部を通過する遠位運動を可能にし、クリッピングアーム104、106を閉位置にロックすることができる。
【0025】
外側導管154の近位運動は、弁尖クリップ100の位置決め中にアクチュエータ導管162から管状部材108が誤って取り外されるリスクを低減するように、1つ以上の制御可能な運動制限機構によって制限することもできる。示される実施形態では、そのような運動制限機構は、制御ボタン158によって制御することができる。例えば、制御ボタン158の作動は、外側導管154がアクチュエータ導管162に対して近位方向に動かされ、それによってタブ163、165が覆われていない状態にすることを可能にし、これらが本来の変形されていない形状を取り戻し、管状部材108から外れることを可能にすることができる。これによって、管状部材108を送達システム150から取り外すことができる。このため、弁尖クリップ100を心臓弁内に最終的に位置決めした後、制御ボタン158を作動させて、外側導管154の近位運動および管状部材108からのアクチュエータ導管162の取り外しを可能にすることができる。
【0026】
図5に示す実施形態に関して、送達システム150は、アクチュエータ導管162内に同軸に配置され、一端において細長部材102の近位端部分110に、反対端においてハンドル部材170に結合された内側部材またはシャフト168を更に含むことができる。示される実施形態では、内側部材168は、矢印172によって示される方向におけるハンドル部材170の回転によって、細長部材102から内側部材168を切り離すことができるように、ねじによって細長部材102の近位端部分110に結合することができる。例えば、内側部材168の遠位端部分は、細長部材102の近位端部分110の内面に形成された雌ねじに螺合可能に係合する雄ねじを有することができる。このようにして、心臓弁における弁尖クリップ100の最終的な位置決めの後に、アクチュエータ部材162は管状部材108から外すことができ、内側部材168は細長部材102から外すことができ、弁尖クリップ100を適所に残して送達システム150を後退させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、外側導管154の直径は約10Frenchとすることができ、システム150は、ガイドワイヤ(例えば、細長部材102の管腔114に通される)と共に使用するように構成することができる。いくつかの実施形態では、送達システム150のそれぞれの導管154、162および内側部材168は、所望に応じて、可撓性であっても剛性であってもよい。いくつかの実施形態では、送達システム150は、心臓弁に対する弁尖クリップ100の位置決めおよび方向付けを支援するステアリング要素を備えることができる。また、送達システム150のそれぞれの導管154、162および内側部材168は、図示の目的で低減された長さで示されており、任意の適切な長さとすることができることが理解されるべきである。
【0028】
使用時に、送達システム150を(例えば、大腿動脈または他の適切なアクセスポイントを介して)患者の血管系内に導入し、様々な送達技法のうちの任意のものを用いて、クリッピングアーム104、106が閉位置にある(しかしロックされていない)状態で患者の心臓に経皮的に進めることができる。経大腿手技では、送達デバイスは、大腿動脈および大動脈を通じて逆行方向に心臓に挿入することができる(限定ではないが通常、大動脈弁または僧帽弁の弁尖上にクリップを配置するために用いられる)。同様に、送達デバイスは、大腿静脈および大静脈を通じて順行方向に心臓の右側に挿入することができる(限定ではないが通常、肺動脈弁または三尖弁の弁尖上にクリップを配置するために用いられる)。経心室手技では、送達デバイスは、胸部に作られた外科的切開を通じて下側前心室壁上のベアスポットに挿入される(限定ではないが通常、大動脈弁または僧帽弁の弁尖上にクリップを配置するために用いられる)。同様に、送達デバイスは、右心室の壁上の外科的切開を通じて挿入され、肺動脈弁または三尖弁にアクセスすることができる。経心房手技では、送達デバイスは、左心房または右心房の壁に作られた外科的切開を通じて挿入され、それぞれ心臓の左側または右側にある生来の弁にアクセスすることができる。経大動脈手技では、送達デバイスは、上行大動脈内に作られた外科的切開を通じて挿入され、心臓に向かって進めることができる(限定ではないが通常、大動脈弁または僧帽弁の弁尖上にクリップを配置するために用いられる)。経中隔手技では、送達デバイスは、大腿静脈等を介して、右心室および左心室を隔てる隔膜を通じて右心房に進めることができる(限定ではないが通常、大動脈弁または僧帽弁の弁尖上にクリップを配置するために用いられる)。心臓の生来の弁にアクセスするための送達技法の更なる詳細は、べいこくとっきょしゅつがんこうかいだい2014/0067052ごう特許文献1に開示されている。
【0029】
クリッピングアーム104、106は、所望の心臓弁に近接して配置されると、アクチュエータ導管162を後退させ、クリッピングアーム104、106に対し管状部材108を後退させることによって拡張される。次に、弁尖クリップ100を、弁の交連部に対して位置決めすることができ、交連部の1つの弁尖が第1の弁尖受け領域128内に受けられ、交連部の第2の弁尖が第2の弁尖受け領域130に受けられるように弁尖クリップ100を位置決めするために必要に応じて遠位方向に進め、および/または後退させることができる。弁尖クリップ100が適切に位置決めされると、管状部材108が細長部材102に対し遠位方向に動き、クリッピングアーム104、106を閉位置に向けて押し付けるようにアクチュエータ導管162を進めることができる。
【0030】
クリッピングアーム104、106が閉位置にあるとき、送達システム150を近位方向に引っ張ることによって、弁尖クリップ100のクリップ強度を試験することができる。本明細書において用いられるとき、「クリップ保持力」および「クリッピング強度」という用語は、クリッピングアームが閉位置にあるときに弁尖クリップが心臓弁の弁尖から外れることなく耐えることができる近位方向の力を指す。いくつかの実施形態では、送達システム150は、弁尖クリップ100に加えられる力を測定する歪みゲージまたは他のデバイスを備えることができる。いくつかの実施形態では、弁尖クリップ100は、弁尖にクリップされたままで、1N〜約10Nで加わる近位方向の力に耐えることができる。例えば、弁尖クリップ100が適切に位置決めされていない場合、または弁尖クリップ100が弁尖にクリップされているときに適切なクリッピング強度を呈しない場合、管状部材108を、アクチュエータ導管162の近位運動によって後退させ、クリッピングアーム104、106を再度開き、弁尖クリップ100が再度位置決めされることを可能にすることができる。弁尖クリップ100が弁尖に対し適切に位置決めされると、アクチュエータ部材162は、管状部材108を突起134の遠位側に進め、それによってクリッピングアーム104、106を閉位置にロックすることができる。次に、内側部材168を細長部材102から外すことができ、弁尖クリップ100を弁尖上の適所に残して送達システム150を後退させることができる。
【0031】
弁尖クリップ100および本明細書に記載の他の弁尖クリップ実施形態のうちの任意のものを用いて、弁閉鎖不全を治療するか、または心臓弁の弁輪を再モデル化することができる。例えば、
図11は、生来の大動脈弁200内に位置する
図1の弁尖クリップ100に類似した3つの弁尖クリップ202、204、206を示す。生来の大動脈弁200は、弁輪216に取り付けられた3つの弁尖210、212、214を含むことができる。弁尖210および212は、第1の交連部218を形成することができ、弁尖212および214は第2の交連部220を形成することができ、弁尖210および214は第3の交連部222を形成することができる。弁尖クリップ202、204、206は、それぞれ第1の交連部218、第2の交連部220および第3の交連部222に位置して示されており、弁尖クリップ202が弁尖210および212に係合し、弁尖クリップ204が弁尖212および214に係合し、弁尖クリップ206が弁尖214および210に係合するようになっている。弁尖クリップ202、204、206も、弁輪216の壁の付近に位置して示されている。このようにして、弁尖クリップ202、204、206は、それぞれの交連部218、220、222において弁尖210、212、214の接合を改善し、それによって弁閉鎖不全に起因した弁200を通じた逆流を低減することができる。更に、弁尖クリップ202、204、206は、弁輪216に隣接したそれぞれの弁尖にクリップされて示されているが、弁尖クリップ202、204、206は、所望に応じて、交連部の中心を含む、弁尖に沿った任意の適切なロケーションにおいて弁尖にクリップすることができる。
【0032】
弁尖クリップ202、204、206は、弁200の弁輪216を再モデル化して、弁輪216の拡張を低減し、および/または弁輪216の形状の異常に対処することもできる。例えば、
図12は、クリップ202、204、206等の弁尖クリップを用いて、弁輪の直径を、拡張された弁輪直径D
1から目標のまたは低減された弁輪直径D
2まで低減する弁輪216の再モデル化を概略的に示す。
図13および
図14に示すように、そのような再モデル化または直径低減は、弁輪216の外周を低減することによって達成することができる。
【0033】
例えば、
図13は、クリップアームが開位置にある弁尖クリップ202を示す。クリッピングアーム間の初期距離、および弁輪の外周の初期基準を示す目的で、ハッシュマーク230、232が組織上に示されている。破線234は、弁尖の生来の輪郭を示す。
図14は、クリップアームが閉位置にある弁尖クリップ202を示し、クリップ202に隣接する弁輪216の組織が弁尖クリップによって集められ、共にクリップされるようになっている。これによって、ハッシュマーク230、232の互いに対する動きによって示されるように、弁輪216の外周、それによって直径を低減させることができる。
【0034】
そのような直径低減の効果が、
図15、
図16および
図17に更に示される。
図15に概略的に示され、
図16および
図17における心臓弁300の弁輪に示される3つの点302、304、306間の距離a、bおよびcは、弁300の交連部に3つの弁尖クリップ308、310、312を付加した後に低減される。いくつかの実施形態では、弁輪の直径は、約29mmの拡張した直径から、約25mmの目標直径まで低減させることができる。いくつかの実施形態では、弁輪の直径は、約10%〜約50%低減することができる。いくつかの実施形態では、弁輪の直径は約14%低減することができる。
【0035】
図18および
図19に示すように、本明細書に開示される弁尖クリップのうちの任意のものは、1つ以上の支持リングと組み合わせて用いることもできる。
図19は、大動脈基部から見たときの、大動脈弁400の交連部にクリップされた3つの弁尖クリップ402、404、406を示す。
図18は、
図19に示すように、大動脈弁400の直径を再モデル化および/または低減するように弁尖クリップ402、404、406と協働することができる大動脈弁400の心室側にある支持リング408のロケーションを示す。左心室内の弁尖クリップの各々の中央シャフトの延長部410は、図示のように、リング408のそれぞれの開口部を通じて延びることができる。代替的に、リング408を延長部410の周りに配置することができる。
図19に示すように、弁尖クリップ402、404、406を、支持リング408と共に、または任意の支持デバイスもしくは構造から独立して用いて、交連部の折り畳みまたはひだ形成を達成することもできる。
【0036】
上述したように、本明細書において開示される弁尖クリップのうちの任意のものを用いて、弁閉鎖不全を治療するか、または、大動脈弁に加えて僧帽弁および/または三尖弁の弁輪を再モデル化することもできる。
図20および
図21は、僧帽弁500の弁尖504、506上の
図1の弁尖クリップ100に類似した弁尖クリップ502の配置を示す。
図20および
図21に示すように、僧帽弁500の腱索に対し弁尖クリップ502のクリップアーム508の幅を比較的小さくすることによって、弁尖クリップ502の埋め込み中および埋め込み後の双方で、クリップアーム508による腱索との干渉を低減することができる。所望に応じて、使用時に、1つ以上の弁尖クリップ502を弁尖504、506の中心もしくは中心付近に、または弁輪の付近に配置することができる。
【0037】
図22および
図23は、三尖弁600の弁尖604、606上への
図1の弁尖クリップ100に類似した弁尖クリップ602の配置を示す。上記のように、弁尖クリップ602を単独で、または1つ以上の追加の弁尖クリップと組み合わせて用いて、弁閉鎖不全を低減し、および/または弁輪を再モデル化することができる。
【0038】
図24〜
図32は、本明細書に開示された弁尖クリップのうちの任意のものと組み合わせて用いることができるクリッピングアームの様々な構成を示す。更に、
図24〜
図26の弁尖クリップは、中央の細長部材なしで示されているが、所望に応じて、本明細書に記載の弁尖クリップのうちの任意のものが細長部材(例えば部材102)を含んでも含まなくてもよいことが理解されるべきである。
図24は弁尖クリップ700を示し、クリッピングアーム702、704は、702Aおよび704Aに示される屈曲を呈し、大きな更なる湾曲を呈することなく外側に延びる(すなわち、クリッピングアーム702、704は比較的直線状である)。
【0039】
図25は弁尖クリップ800を示し、クリッピングポイント802、804は2つの屈曲を呈し、それぞれ、第1の屈曲は802A、804Aに示され、第2の屈曲は802B、804Bに示され、クリッピングアーム802、804が、約45度よりも大きい角度αで管状部材810から離れるように角度を付けられたそれぞれの遠位部分806、808を含むようになっている。
【0040】
図26は弁尖クリップ900を示し、クリッピングアーム902、904は湾曲した遠位端部分906、908を有する。
【0041】
図27は、
図25の弁尖クリップ800に類似した弁尖クリップ1000を示し、クリッピングアーム1002、1004は、1002A、1004Aに示される第1の屈曲と、1002B、1004Bに示される第2の屈曲とを呈し、クリッピングアーム1002、1004の遠位部分1006、1008が約45度未満の角度αで管状部材1010から離れるように角度を付けられるようになっている。
【0042】
図28は弁尖クリップ1100を示し、クリッピングアーム1102、1104は、細長部材1106から離れるように屈曲する前に、細長部材1106に隣接して遠位方向に延在し、それぞれの弁尖受け領域1108、1110のエリアが低減されるようにする。
【0043】
図29および
図30は、クリッピングアーム1600内に画定された1つ以上の開口部1602を含むクリッピングアーム1600の一実施形態を示す。クリッピングアーム1600は、
図29に示すようにクリッピングアーム1600の遠位端部分に位置するか、または
図30に示すようにクリッピングアーム1600の長さに沿って離間された開口部1602を含むことができる。クリッピングアーム1600は、
図29に示すようにクリッピングアーム1600の遠位端部分の周囲に配置することができるか、または
図30に示すようにクリッピングアーム1600の長さ全体に沿って配置することができる、繊維状の覆いまたはスリーブ1604を含むことができる。覆い1604は、縫合糸1606によってクリッピングアーム1600上に保持することができ、縫合糸1606は、クリッピングアーム1600上に覆い1604を保持するために、覆い1604の周りに配置することができ、複数の開口部1602を通じて受けるかまたは締めることができる。このようにして、覆い1604は、弁尖に対する損傷のリスクを低減しながら、心臓弁の弁尖の組織に摩擦係合するのに役立つことができる。代替的な実施形態では、クリッピングアーム1600は、所望に応じて、クリッピングアームの長さに沿った任意の適切なロケーションに配置された任意の適切な数の開口部1602を含むことができ、クリッピングアーム1600の任意の適切な割合に沿って延びる覆いを含むことができる。覆い1604は、PET等の適切な生体適合性の布地から作製することができる。
【0044】
図31は、近位端部分1702および遠位端部分1704を含むクリッピングアーム1700の別の実施形態を示す。示される実施形態では、クリッピングアーム1700は、近位端部分1702が第1の直径または幅W
1を有し、遠位端部分1704が第2の直径または幅W
2を有するようにテーパを付けることができ、第1の直径W
1は第2の直径W
2よりも大きい。これによって、遠位端部分1704が、矢印1706によって示される方向における、近位端部分1702に対する柔軟度を更に大きくすることを可能にすることができ、これによって、生来の心臓弁弁尖の組織に対する損傷のリスクを低減することができる。遠位端部分1704は、遠位端部分1704の直径W
2に対し比較的大きな直径を有する突起1708も含むことができ、これによって、弁尖クリップの埋め込み中または埋め込み後に生来の弁尖を穿刺するリスクを低減することができる。
【0045】
図32は、内側部材1802およびオーバーモールドされた覆い1804(すなわち、「インサート成形」)を含むクリッピングアーム1800の別の実施形態を示す。覆い1804は、任意の生体適合性ポリマー(例えば、シリコーン、ePTFE等)から製造することができ、生来の弁尖の組織に係合しこれを保持するのに役立つテクスチャ処理、ディンプル加工、または他の表面形状を含むことができる。内側部材1802は、所望に応じて、金属またはポリマー材料から製造することができる。
【0046】
図33は、
図1の弁尖クリップ100に類似した弁尖クリップ1200の別の実施形態を示す。弁尖クリップ1200は、細長部材1202および2つのクリッピングアーム1204、1206を含むことができる。弁尖クリップ1200は、説明の目的で、管状部材(シース)なしで示されている。弁尖クリップ1200は、チューブまたはスリーブ1208として構成され、細長部材1202の遠位端部分1210上に配置された、受動弁尖係合機構を含むことができる。スリーブ1208は、例えば、ポリエステルから作製することができ、クリッピングアームが開位置から閉位置まで動かされるときに、それぞれのクリッピングアーム1204、1206と細長部材1202との間の心臓弁の弁尖と摩擦係合し、これを保持するように構成することができる。
【0047】
図34は、クリッピングアーム1308、1310が開位置から閉位置に動かされる前後の弁尖クリップ1300のクリッピングアーム1308、1310に対する心臓弁1306の生来の弁尖1302、1304の相対位置を概略的に示す。上記で説明した弁尖クリップ実施形態と類似した方式で、第1の位置(実線で示される)から第2の位置(ファントムで示される)への管状部材1316の遠位運動によって、クリッピングアーム1308、1310を開位置から閉位置に動かすことができる。弁尖1302、1304がそれぞれの弁尖受け領域1312、1314に受けられるとき、クリッピングアーム1308、1310の端部は、それぞれの弁尖1302、1304に沿ったそれぞれの点Aにおいて弁尖1302、1304と接触することができる。いくつかの実施形態では、クリッピングアーム1308、1310が開位置から閉位置まで動かされる場合、弁尖1302、1304は、クリッピングアーム1308、1310が閉位置にあるときに、それらがそれぞれの点Bにおいて弁尖1302、1304と接触するようにスリップすることができる。所望の把持強度に依拠して、いくつかの環境では、クリッピングアームが開位置から閉位置まで動かされるとき、弁尖1302、1304のより大きな割合を弁尖受け領域1312、1314内に保持することが有利であり得る。
【0048】
そのような目的で、
図35および
図36は、細長部材1402および2つのクリッピングアーム1404、1406を含む弁尖クリップ1400の別の実施形態を示す。弁尖クリップ1400は、固定の近位保持部材1412と、遠位位置および近位位置の間で移動可能な遠位保持部材1414との間の細長部材1402上に配置された、織られたまたは編まれた覆い1410として構成された能動弁尖係合機構1408を含むことができる。弁尖クリップ1400が、生来の弁尖1416、1418がそれぞれの弁尖受け領域1420、1422内に受けられるように位置決めされるとき、遠位保持部材1414は、
図36の矢印1424によって(例えば、細長部材1402内に配置された部材の作動によって)示される方向に近位方向に動かすことができる。近位保持部材1412に向かう遠位保持部材1414の動きによって、覆い1410が束ねられ、それによって、覆い1410が細長部材から径方向に離れるように拡張または膨張し、覆い1410とそれぞれのクリッピングアーム1404、1406との間で弁尖1416、1418に係合する。遠位保持部材1414が近位位置にあるとき、クリッピングアーム1404、1406が開位置から閉位置まで動かされるように管状部材1426を遠位方向に進めることができる。このようにして、クリッピングアーム1404、1406が閉位置に動かされる間、それぞれの弁尖受け領域1420、1422において弁尖1416、1418を保持することによって、結果として、弁尖のより大きな割合を弁尖クリップ1400によって細長部材1402に対し保持することができ、結果として弁尖に対する把持がより強力になり、弁尖クリップ1400の性能が改善される。更に、弁尖係合機構1408は、クリッピングアーム1404、1406が閉位置に動かされるとき、これらを通過する弁尖1416、1418の滑りを低減し、弁尖1416、1418のより大きな割合が弁尖受け領域1420、1422に保持されることを確実にし、弁尖1416、1418に対する弁尖クリップ1400の保持を増大させるのに役立つことができる。
【0049】
図37および
図38は、細長部材1502と、2つのクリッピングアーム1504、1506と、シース1526とを含む弁尖クリップ1500の別の実施形態を示す。弁尖クリップ1500は、スリーブ1510に沿って互いに軸方向に離間された複数の突起1512を含むスリーブ1510として構成された能動弁尖係合機構1508を含むことができる。スリーブ1510は、矢印1514(
図37)によって示されるように、クリッピングアーム1504、1506に対し遠位位置および近位位置の間で移動可能とすることができる。
図38に示すように、突起1512は、スリーブ1510が近位方向に動かされるときに、それぞれの弁尖受け領域1522、1524に配置された生来の弁尖1518、1520に係合するかまたはこれを把持するように構成されたそれぞれのエッジ部分1516を有することができる。このため、クリッピングアーム1504、1506が(例えば、シース1526をクリッピングアームの上に進めることによって)閉位置に動かされるとき、突起1512のエッジ部分1516は、弁尖受け領域1522、1524内で弁尖1518、1520に係合し、これを保持することができ、それによって、弁尖が弁尖受け領域から滑り出ることを阻止する。この結果、弁尖1518、1520のより大きな割合を、クリッピングアーム1504、1506によって細長部材1502に対し保持することができ、結果として、弁尖に対する把持がより強力になり、弁尖クリップ1500の性能が改善される。
【0050】
示される実施形態では、スリーブ1510は3つの突起1512を含む。一方、スリーブ1510は、任意の適切なサイズおよび互いに対する間隔を有する任意の適切な数の突起を含むことができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、スリーブ1510は、細長部材1502上に配置することができ、この細長部材1502は近位方向におよび/または遠位方向に移動可能とすることができる。代替的な実施形態では、スリーブ1510は、細長部材1502の中に(または外部にわたって)同軸で配置され、身体の外側から独立して作動される、シャフトまたは導管上に配置することができる。いくつかの実施形態では、スリーブ1510は、天然材料、または、例えばポリエステル等の合成材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、突起1512間の空間は、組織収集領域として機能することができ(
図42〜
図46に関する説明を参照されたい)、弁尖クリップ1500のクリップ強度を増大させるのに役立つ。
【0051】
図39および
図40は、送達システムに対する弁尖クリップの代替的な結合の向きを概略的に示す。
図39において、弁尖クリップ1900は、クリッピングアーム1904、1906が送達システム1902に対して遠位方向に延びた状態で送達システム1902と結合されて示される。
図40は、クリッピングアーム2004、2006が送達システム2002に対し近位方向に延びた状態で送達システム2002に結合された弁尖クリップ2000を示す。これらの結合の向きは、本明細書に記載の弁尖クリップのうちの任意のものに適用することができ、上記で説明した様々な送達技法を容易にすることができることが理解されるべきである。
【0052】
図41は、
図40の実施形態と同様に、クリッピングアーム2104、2106が送達システム2102に対して近位方向に延びるように送達システム2102に結合された弁尖クリップ2100の別の実施形態を示す。弁尖クリップ2100は、細長部材2110の周りに同軸で配置され、クリッピングアーム2104、2106が管状部材2108によってそれぞれ開位置から閉位置まで押し付けられるように遠位位置および近位位置の間で移動可能な、管状部材2108を備えることができる。管状部材2108は、結合デバイス2114を介してアクチュエータ部材2112に結合することができ、これは、管状部材2108の遠位端とアクチュエータ部材2112との間の螺合として示される。アクチュエータ部材2112は、細長部材2110を通じて同軸で延びることができ、矢印2113によって示される方向において、アクチュエータ部材2112の近位運動または遠位運動によって管状部材2108の対応する近位運動または遠位運動が生じるように、細長部材2110に対し移動可能とすることができる。
【0053】
細長部材2110は、細長部材2110のそれぞれの開口部2122、2124に受けられるタブ2118、2120によって内側導管2116に結合することができる。タブ2118、2120は、隣接する外側導管2126によって開口部2122、2124内に保持することができ、この外側導管2126は、内側導管2116の周りに同軸で配置され、外側導管2126の内面がタブ2118、2120に接触し、これらを細長部材2110の開口部2122、2124内に押し付けるかまたは変形させるように構成される。このようにして、アクチュエータ部材2112および管状部材2108の近位運動および遠位運動がクリッピングアーム2104、2106の位置決めおよび/または再位置決めを容易にすることを可能にしながら、弁尖クリップ2100を送達システム2102に結合されたままにすることができる
【0054】
示される実施形態では、細長部材2110は、管状部材2108内に画定される対応する開口部2132、2134内に受けることができる、細長部材2110の遠位端付近のタブまたは延長部分2128、2130を含むことができる。このようにして、弁尖クリップの最終的な位置決めの後、アクチュエータ部材2112を細長部材2110に対して近位方向に動かして、管状部材2108がクリッピングアーム2104、2106を閉位置に変形させ、タブ2128、2130が管状部材2108の開口部2132、2134内に受けられるようにし、それによって管状部材2108を近位位置にロックし、クリッピングアーム2104、2106を閉位置にロックすることができる。次に、外側導管2126を、矢印2136の方向に近位方向に動かし、内側導管2116のタブ2118、2120が細長部材2110から外れることを可能にすることができる。次に、アクチュエータ部材2112を、例えば、矢印2138によって示される方向に回転させ、アクチュエータ部材2112と管状部材2108との間の螺合による結合2114が外れるようにすることができる。次に、弁尖クリップ2100を適所に残して送達システム2102を引き抜くことができる。
【0055】
図42および
図43は、細長部材2202と、第1のクリッピングアーム2204および第2のクリッピングアーム2206と、細長部材2202に対して同軸で配置された管状部材2208とを備える弁尖クリップ2200の別の実施形態を示す。細長部材2202は近位端部分2210および遠位端部分2212を有することができ、遠位端部分2212は、近位端部分2210の直径D
2よりも大きい直径D
1を有する。このようにして、クリッピングアーム2204、2206は、
図43に示すようにクリッピングアームが閉位置にあるとき、それぞれのクリッピングアーム2204、2206と細長部材2202との間のそれぞれの組織収集領域2214、2215を画定することができる。示される実施形態では、組織収集領域2214、2215は、それぞれの幅寸法X
1およびX
2、ならびに高さ寸法H
1およびH
2を有することができる。いくつかの実施形態では、幅寸法X
1およびX
2は、例えば、それぞれのクリッピングアーム2204、2206と細長部材2202との間の角度、および/またはクリッピングアーム2204、2206が閉位置にあるときのそれらのクリッピングアームの撓みに起因して、それぞれの組織収集領域の高さに沿って変動させることができる。
【0056】
クリッピングアーム2204、2206は、クリッピングアーム2204、2206と、細長部材2202との間の、それぞれの幅寸法W
1およびW
2を有するそれぞれの組織圧縮領域2220、2222を画定することもできる。いくつかの実施形態では、上記で説明したように、寸法W
1およびW
2は、それぞれのクリッピングアーム2204、2206と細長部材2202との間の角度、および/またはクリッピングアーム2204、2206の撓みに起因して、それぞれの組織圧縮領域2220、2222の長さに沿って変動させることができる。
【0057】
組織収集領域2214、2215は、細長部材2202の近位端部分に隣接して位置することができ、心臓弁の生来の弁尖の端部分が組織収集領域2214、2215内に延びるように構成することができる。組織収集領域2214、2215において、弁尖の自由端部分の組織が集まるかまたはまとまることができる一方、同時に、弁尖の下側部分を、組織圧縮領域2220、2222においてクリッピングアーム2204、2206と細長部材2202との間で係合するかまたはつまむことができる。この結果、組織が比較的拘束状態になくおよび/または圧縮されていない組織収集領域2214、2215における弁尖組織の厚みと、組織圧縮領域2220、2222に配置された弁尖組織の厚みとの間に差が生じる可能性がある。この厚みの差によって、弁尖クリップ2200のクリップ強度を大幅に増大させ、それによって、弁尖クリップが機能中の心臓弁の弁尖にクリップされた状態に留まる能力を増大させることができる。
【0058】
例えば、
図44および
図45は、組織収集領域および組織圧縮領域の仕組みを概略的に示す。
図44において、弁尖2302の自由端部分2304が、クリッピングアーム2306と弁尖クリップ2300の細長部材2308との間でつままれる。拘束されていない状態にあるとき、弁尖2302は厚みTを有することができ、弁尖クリップ2300は、クリッピングアーム2306および細長部材2308が、クリッピングアーム2306が閉位置にあるときに寸法Dを有する組織圧縮領域2310(
図42および
図43の組織圧縮領域2220、2222に対応する)を画定するように構成することができる。通常の例では、細長部材2308とクリッピングアーム2306との間の距離Dは、弁尖組織の厚みTが拘束されていない組織の厚みに対し約50%低減されるように弁尖2302の組織を圧縮するように構成することができる。このため、約1mmの厚みTを有する弁尖の場合、厚み圧縮領域2310は、その厚みTが約0.5mmまで低減されるように領域2310内に配置された組織を圧縮するように構成することができる。厚み低減のこの比率によって、結果として、通常、弁尖2302に対する損傷のリスクを最小限にしながら、クリッピングアーム2306と細長部材2308との間における弁尖組織の保持力をより大きくすることができる。
【0059】
上述したように、
図44は、組織収集領域2310に配置された弁尖2302の自由端部分2304を示す。通常の例において、そのような構成は、概ね1Nの近位力を加えることに耐えることができる。一方、弁尖2302の自由端部分2304が、組織収集領域内に配置されるとき等に、比較的拘束されない一方で、弁尖2302の中央部分2312が組織圧縮領域2310において圧縮されるように弁尖クリップ2300を構成することによって、弁尖クリップのクリッピング強度を大幅に増大させることができる。
図45はそのような構成を概略的に示し、弁尖2302の中央部分2312は、厚みが約0.5Tに低減されるように弁尖圧縮領域2310内でつままれる一方で、弁尖2302の自由端部分2304は組織収集領域2314内に配置され、その生来の厚みTを維持することを可能にされる。いくつかの実施形態では、この構成は、弁尖クリップ2300が約4Nの近位力を加えることに耐えることを可能にすることができ、これによって、弁尖クリップのクリッピング強度を大幅に改善することができる。組織収集領域2214、2215等の形状の使用も、組織収集領域2214、2215内およびクリップ2200の周りの組織成長を助長することによって、埋め込み後の弁尖クリップ2200の長期安定性を促進することができる。
【0060】
弁尖クリップ2200に戻ると、
図46は、弁尖2216、2218が組織圧縮領域2220、2222内に捕捉された状態でクリッピングアーム2204、2206が閉位置にある弁尖クリップ2200を示す。組織圧縮領域2220、2222は、上記で説明したように、領域2220、2222内に配置された弁尖2216、2218の部分を、それらのそれぞれの厚みTが約0.5Tまで低減されるように圧縮することができるように構成することができる。その間、組織収集領域2214、2215は、弁尖2216、2218の自由端部分2224、2226がそれらの生来の厚みTを維持することを可能にされるように構成することができ、これによって、弁尖クリップ2200のクリップ強度を大幅に増大させることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、組織収集領域2214、2215の幅寸法X
1、X
2および高さ寸法H
1、H
2、および/または組織圧縮領域2220、2222の幅寸法W
1、W
2は、弁尖2218、2220の厚みTに応じた大きさにすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、組織収集領域2214、2215の幅寸法X
1、X
2は、約1T〜約2Tにすることができる。いくつかの実施形態では、組織収集領域2214、2215の幅寸法X
1、X
2は約1Tにすることができる。いくつかの実施形態では、組織収集領域2214、2215の高さ寸法H
1、H
2は、約1T〜約2Tにすることができる。いくつかの実施形態では、上記で説明したように、組織圧縮領域2220、2222の幅寸法W
1、W
2は、約0.5Tにすることができる。
【0062】
図47は、近位端部分2404および遠位端部分2406を有する管状中央部材2402を含む弁尖クリップ2400の別の実施形態を示す。遠位端部分2406は、開位置と閉位置との間で移動可能な第1のクリッピングアーム2408および第2のクリッピングアーム2410を含むことができる。クリッピングアーム2408、2410は、それらの間に、心臓弁の弁尖2416、2418を受けることができる弁尖受け領域2411を画定することができる。弁尖クリップ2400は、中央部材2402を中心に同軸で配置され、中央部材2402に対し近位位置と遠位位置との間で移動可能な、管状外部部材2412も含むことができる。外側部材2412は、近位位置から遠位位置に動かされるときに、外側部材2412の内面がクリッピングアーム2408、2410に接触し、これらを開位置から閉位置に押し付けるかまたは変形させるように構成することができる。
【0063】
弁尖クリップ2400は、コルクスクリューの形状で示される螺旋部材2414も含むことができる。螺旋部材2414は中央部材2402の管腔内に配置することができ、中央部材2402に対する近位位置と遠位位置との間で移動可能とすることができる。このようにして、弁尖2416、2418が弁尖受け領域2411に受けられるとき、クリッピングアーム2408、2410は閉位置にあり、螺旋部材2414を、中央部材2402の管腔を通じて遠位方向に進めて弁尖2416、2418に係合させることができる。この結果、弁尖2416、2418のひだを生じさせることができ、弁尖クリップ2400のクリッピング強度を改善することができる。いくつかの実施形態では、所望に応じて、螺旋部材2414は、弁尖2416、2418を穿孔することができるか、または弁尖2416、2418を穿孔することなくこれらに係合することができる。いくつかの実施形態では、螺旋部材2414は、弁尖クリップ2400を送達デバイスに結合するための着脱可能な結合機構2420も備えることができる。
【0064】
図48は、2つのクリッピングアーム2504、2506がそこから遠位方向に延びる中央部材2502を含む弁尖クリップ2500の別の実施形態を示す。クリッピングアーム2504、2506は、開位置と閉位置との間で移動可能とすることができ、弁尖2510、2512を受けることができる弁尖受けエリア2508を画定することができる。弁尖クリップ2500は螺旋部材2514を更に含むことができ、この螺旋部材2514は、近位位置と遠位位置との間で移動可能とすることができる。いくつかの実施形態では、螺旋部材2514は、例えば、螺旋状に巻かれた金属ワイヤを含むことができる。螺旋部材2514は、遠位位置にあるとき、クリッピングアーム2510、2512の周りに配置され、クリッピングアーム2504、2506の互いに対する径方向の動きを抑えるように構成され得る。このようにして、螺旋部材2514は、クリッピングアーム2504、2506間で弁尖2510、2512を保持し、これによって心臓弁上に弁尖クリップ2500を保持することができる。
【0065】
図49および
図50は、本明細書に記載の弁尖クリップのうちの任意のものと組み合わせて用いることができる送達デバイス2600の別の実施形態を示す。送達デバイスは、近位ハンドル部分2604および遠位ハンドル部分2606を含むハンドル本体2602を含むことができる。送達デバイスは、遠位ハンドル部分2606に結合された外側導管2608と、外側導管2608内に同軸で配置され、近位ハンドル部分2604に結合された中間導管またはクリップ解放導管2610を更に含むことができる。クリップ解放導管2610は、近位ハンドル部分2604の近位運動および遠位運動と共に外側導管2608に対し近位方向におよび遠位方向に移動可能とすることができる。送達デバイスは、クリップ解放導管2610内に同軸で配置され、遠位ハンドル部分2606に結合されたクリップ保持導管2612を更に含むことができる。上記の
図1〜
図10の実施形態と同様に、示される実施形態では、クリップ保持導管2612は、クリップ解放導管2610によって覆われ、内側に変形されたときに弁尖クリップ2620の管状部材2618内の開口部に係合するタブ部分2614、2616(
図50)を含むことができる。
【0066】
送達デバイスは、クリップ保持導管2612内で同軸に配置された内側シャフトまたは導管2622(
図40)も含むことができる。内側シャフト2622は、弁尖クリップの中央の細長部材2624(
図50)の近位端部分に結合することができ、内側シャフト2622の近位運動および遠位運動によって、管状部材2618に対する細長部材2624の対応する近位運動および遠位運動が生じるようにする。管状部材2618に対し弁尖クリップの中央の細長部材2624を動かすことによって、クリッピングアーム2626、2628を、管状部材2618の中に近位方向に引き込み、クリップアームが閉位置に動かされるように変形させることができるか、または、管状部材から遠位方向に押し、クリップアームが変形されていない開状態に戻るようにする。代替的に、内側シャフト2622は管状部材2618に結合することができ、それによって、内側シャフトの長手方向の運動により、クリップアームを開閉する管状部材の対応する長手方向の運動が生じる。
【0067】
示される実施形態では、内側シャフト2622は、内側シャフトの近位運動および遠位運動をもたらすためのハンドル部分2630も含むことができる。内側シャフト2622は、ガイドワイヤを受けるための細長部材2624の管腔と連通する管腔を画定することもできる。ハンドル部分2602は、(例えば、出荷中の)近位ハンドル部分および遠位ハンドル部分の不用意な分離を防ぐためのロック機構も含むことができる。
【0068】
示される実施形態では、クリップ解放導管2610は、外側導管2608内に画定されたトラックまたはガイド2634においてクリップ解放導管と共に移動可能なピンまたは突出部2632を含むことができる。示される実施形態では、ガイド2634は、円周方向に延びる遠位部分2636と、長手方向に延びる中間部分2638と、中間部分から円周方向にオフセットされた、長手方向に延びる近位部分2640とを含むことができるが、他の構成も可能である。
【0069】
デバイスが身体に挿入され、心臓に向かって進められるとき、近位ハンドル部分2604および遠位ハンドル部分2606は互いに隣接することができ、クリップ解放導管2610は、突出部2632がガイド2634の遠位部分2636内にあり、弁尖クリップがクリップ解放導管の管腔内に配置されるように遠位方向に配置することができる。デバイスの遠位端が所望の埋め込み部位に到達するとき、近位ハンドル部分2604を回転させ、クリップ解放導管2610の対応する回転を引き起こすことができる。これによって、クリップ解放導管の突出部2632をガイド2634の中間部分2638内に動かすことができる。次に、近位ハンドル部分2604を、近位ハンドル部分が遠位ハンドル部分2606から離れるように近位方向に引くかまたは後退させ、ガイドの中間部分2638におけるクリップ解放導管2610および突出部2632の対応する近位の動きを引き起こすことができる。クリップ解放導管2610は、弁尖クリップ2620のクリップアームを露出させるのに十分な距離であるが、クリップ保持導管のタブ2614、2616が露出され、かつ弁尖クリップを開いて送達デバイスから取り外すことを可能にされるほど遠くない距離だけ後退させることができる。
【0070】
次に、弁尖クリップ2620を、内側シャフト2622の近位運動および遠位運動によって目標の心臓弁の生来の弁尖上にクリップし、および/または弁尖から取り外すことができる。生来の弁尖上の弁尖クリップの適切な配置が達成されると、クリップアーム2626、2628は閉位置にロックすることができる。次に、近位ハンドル部分2604を回転させ、突出部2632がガイド2634の遠位部分2640内に移動するようにすることができる。これによって、ハンドル部分2604が近位方向に更に動かされることが可能になり、それによって、クリップ解放導管2610がクリップ保持導管2612のタブ2614、2616を覆われていない状態にし、弁尖クリップを送達デバイスから取り外す。
【0071】
図49および
図50に示される送達デバイスは、経心尖送達手技と共に用いるように適合することができる。一方、
図49および
図50のデバイスは、経大腿手技、経心房手技、経中隔手技等を含む任意の適切な送達手技と共に使用するように適合することができる。
【0072】
開示された技術の原理を適用することができる多くの可能な実施形態を鑑みて、示される実施形態は好ましい例にすぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが認識されるべきである。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0073】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
弁尖クリップであって、
近位端部分および遠位端部分を含む細長部材と、
開位置と閉位置との間で移動可能な第1のクリッピングアームおよび第2のクリッピングアームであって、前記第1及び第2のクリッピングアームは、前記細長部材の前記近位端部分に結合されたそれぞれの近位端部分と、前記細長部材に対し遠位方向かつ径方向に外側に延びるそれぞれの遠位端部分とを含む、第1のクリッピングアームおよび第2のクリッピングアームと、
前記細長部材の周りに同軸で配置された管状部材と、
を備え、前記細長部材に対する前記管状部材の軸方向運動または前記管状部材に対する前記細長部材の軸方向運動によって、前記開位置と前記閉位置との間で前記第1及び第2のクリッピングアームの対応する動きが生じることを特徴とする弁尖クリップ。
[項2]
前記管状部材の近位端部分は、送達デバイスへ取り付けるように構成される、項1に記載の弁尖クリップ。
[項3]
前記細長部材の前記遠位端部分に配置された弁尖係合機構を更に備える、項1または2に記載の弁尖クリップ。
[項4]
前記弁尖係合機構は、前記第1及び第2のクリッピングアームが前記開位置から前記閉位置まで動かされるときに、心臓弁の生来の弁尖に係合するように構成されたポリマーまたは布地の覆いである、項3に記載の弁尖クリップ。
[項5]
前記覆いは、第2の保持部材の近位の前記細長部材上に固定して配置された第1の保持部材によって前記細長部材上に保持され、前記第2の保持部材は、前記第1の保持部材に対する前記第2の保持部材の近位方向の動きによって、前記覆いの径方向の拡張が生じるように、前記第1の保持部材に対して移動可能である、項4に記載の弁尖クリップ。
[項6]
前記覆いは、天然材料または合成繊維材料から構成され、織られるか、編まれるか、またはそれらの任意の組み合わせである、項4に記載の弁尖クリップ。
[項7]
前記弁尖係合機構は、前記細長部材の前記遠位端部分に配置され、互いから離間された1つ以上の突起を含む、項3に記載の弁尖クリップ。
[項8]
前記細長部材の前記近位端部分は、前記管状部材を前記細長部材に対し遠位方向に延びた位置に保持するように構成された保持機構を備え、前記遠位方向に延びた位置において、前記管状部材は前記第1及び第2のクリッピングアームの上に延び、前記第1及び第2のクリッピングアームを前記閉位置に保持する、項1から7のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項9]
前記第1及び第2のクリッピングアームは、前記細長部材の前記近位端部分上に配置されたカラーと一体形成される、項1から8のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項10]
前記管状部材は、前記管状部材の軸方向に動くときに、それぞれ前記第1のクリッピングアームおよび前記第2のクリッピングアームに接触するように構成された第1の延長部分および第2の延長部分を含む、項1から9のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項11]
前記細長部材の前記近位端部分は、送達デバイスに取り付けるように構成される、項1から10のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項12]
前記細長部材は、ガイドワイヤを受けるように構成された管腔を画定する、項1から11のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項13]
前記弁尖クリップは、僧帽弁、大動脈弁、三尖弁またはそれらの任意の組み合わせと共に使用するように構成される、項1から12のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。
[項14]
組織圧縮領域および組織収集領域を更に備える、項1から13のいずれか一項に記載の弁尖クリップ。