(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974437
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】投票回路および自己修正ラッチ
(51)【国際特許分類】
H03K 19/003 20060101AFI20211118BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
H03K19/003 192
H03K19/0175 220
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-508184(P2019-508184)
(86)(22)【出願日】2017年7月18日
(65)【公表番号】特表2019-532549(P2019-532549A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】US2017042549
(87)【国際公開番号】WO2018034769
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2020年7月16日
(31)【優先権主張番号】15/237,439
(32)【優先日】2016年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グェン, チィ エム.
(72)【発明者】
【氏名】フー, ロバート アイ.
【審査官】
竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第09191009(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0009664(US,A1)
【文献】
特開2002−185309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/003
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路構成であって、
第1のラッチと、
第2のラッチと、
第3のラッチと、
第1の投票回路であり、
第1の出力ノードおよび正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、
前記第1の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路と
を備え、
前記プルアップ回路は、前記第2のラッチおよび前記第3のラッチからの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、前記第1の出力ノードを前記正供給電圧にプルするように設定および構成されており、
前記プルダウン回路は、前記第2のラッチおよび前記第3のラッチからの相補的出力信号が前記第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、前記第1の出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている、第1の投票回路と、
前記第1のラッチの真出力と前記第1の出力ノードとの間に接続されている第1の送信ゲートと、
第2の投票回路であり、
第2の出力ノードおよび前記正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、
前記第2の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路と
を備え、
前記プルアップ回路は、前記第1のラッチおよび前記第3のラッチからの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、前記第2の出力ノードを前記正供給電圧にプルするように設定および構成されており、
前記プルダウン回路は、前記第1のラッチおよび前記第3のラッチからの相補的出力信号が前記第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、前記第2の出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている、第2の投票回路と、
前記第2のラッチの真出力と前記第2の出力ノードとの間に接続されている第2の送信ゲートと、
第3の投票回路であり、
第3の出力ノードおよび前記正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、
前記第3の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路と
を備え、
前記プルアップ回路は、前記第1のラッチおよび前記第2のラッチからの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、前記第3の出力ノードを前記正供給電圧にプルするように設定および構成されており、
前記プルダウン回路は、前記第1のラッチおよび前記第2のラッチからの相補的出力信号が前記第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、前記第3の出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている、第3の投票回路と、
前記第3のラッチの真出力と前記第3の出力ノードとの間に接続されている第3の送信ゲートと、
前記第1の送信ゲート、前記第2の送信ゲート、および前記第3の送信ゲートの制御ゲートに結合されており、それぞれ前記第1のラッチ、前記第2のラッチ、および前記第3のラッチの前記真出力から前記第1の出力ノード、前記第2の出力ノード、および前記第3の出力ノードを接続および接続解除するように設定および構成されている制御回路と
を備え、
前記第1の出力ノード、前記第2の出力ノード、および前記第3の出力ノードはともに結合されている、回路構成。
【請求項2】
前記第1の投票回路の前記プルアップ回路、前記第2の投票回路の前記プルアップ回路、および前記第3の投票回路の前記プルアップ回路は、PMOSトランジスタを含み、前記第1の投票回路の前記プルダウン回路、前記第2の投票回路の前記プルダウン回路、および前記第3の投票回路の前記プルダウン回路は、NMOSトランジスタを含む、請求項1に記載の回路構成。
【請求項3】
回路構成であって、
第1のラッチと、
第2のラッチと、
第3のラッチと、
第1のタイプの第2のトランジスタに直列接続されている前記第1のタイプの第1のトランジスタであり、前記第1のトランジスタは正供給電圧に直列結合されている、第1のトランジスタと、
第2のタイプの第4のトランジスタに直列接続されている前記第2のタイプの第3のトランジスタであり、前記第2のトランジスタは出力ノードにおいて前記第3のトランジスタに直列接続されており、前記第4のトランジスタは接地に直列結合されている、第3のトランジスタと、
前記第1のラッチの真出力と前記出力ノードとの間に接続されている送信ゲートと、
前記出力ノードに接続されている出力信号線であり、前記出力信号線上の信号の状態が、前記第1のラッチ、前記第2のラッチ、および前記第3のラッチの真出力の大多数の状態である、出力信号線と、
前記送信ゲートの制御ゲートに結合されており、前記第1のラッチの前記真出力から前記出力ノードを接続および接続解除するように設定および構成されている制御回路と
を備え、
前記出力ノードは、前記第1のラッチの真出力を受信するように結合されており、
前記第1のトランジスタおよび前記第3のトランジスタのゲートは、前記第2のラッチの相補的出力を受信するように結合されており、
前記第2のトランジスタおよび前記第4のトランジスタのゲートは、前記第3のラッチの相補的出力を受信するように結合されている、回路構成。
【請求項4】
前記第1のタイプはPMOSであり、前記第2のタイプはNMOSである、請求項3に記載の回路構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して三重モジュール式冗長(TMR)回路内で使用される投票回路に関する。
【背景技術】
【0002】
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなプログラム可能集積回路(IC)は、様々なデジタル論理演算を実施することが可能なユーザ設定可能ICである。FPGAは、行および列に構成される設定可能論理ブロック(CLB)のようなプログラム可能論理回路、CLBを取り囲む入出力ブロック、および、CLBの行と列との間に延びるプログラム可能相互接続線を含む。CLB、IOB、および相互接続線は、プログラム可能ICの設定メモリセル内に記憶されている設定データに従って特定の設計を実装するように設定される。
【0003】
プログラム可能ICの多用途性は、物理的交換よりも遠隔再設定が好ましい、高い可用性、高い信頼性、または機能的安全性を必要とするもののような用途において有利である。しかしながら、デバイス幾何形状の縮小により、大気放射が、シングルイベントアップセット(SEU)として知られる、双安定回路におけるエラーを引き起こす可能性がある。単一重イオンがシリコン基板に衝突すると、イオンは自由電子正孔対が生じることによってエネルギーを失い、結果として、局部領域内に密なイオン化トラックがもたらされ、回路を乱す可能性がある電流パルスが生成される。SEUは、α粒子によって引き起こされる可能性もある。α粒子は、中性子がシリコン基板に衝突するときに生成される。α粒子は、基板を通じて移動し、限定されたシリコン体積内で電荷クラスタを生成する。α粒子は、高エネルギー中性子、または、動作環境との熱平衡に至るための十分な運動エネルギーを失った中性子から生成される可能性がある。α粒子はまた、少量の放射能汚染を含有する半導体パッケージの減衰を通じて生成される可能性もある。
【0004】
プログラム可能ICにおいて、SEUは、プログラム可能論理回路を設定するために使用される設定メモリセルのものであり得る。SEUは、付加的にまたは代替的に、プログラム可能論理回路によって実装されるユーザ回路設計内に含まれる双安定回路(フリップフロップまたはラッチ)の値を変化させることによってエラーを誘起する場合がある。SEUによって設定メモリ内で誘起されるエラーは、「設定アップセット(configuration upset)」と称される場合があり、ユーザ回路設計の双安定回路内で誘起されるエラーは、論理アップセットと称される場合がある。
【0005】
SEUによって誘起される設定および論理アップセットは、回路の3つの冗長なインスタンスを投票回路とともに実装して、冗長なインスタンスのうちの1つにおいて論理または設定アップセットが発生するときに正確な値が出力されることを保証することによって、軽減することができる。回路の3つの冗長なインスタンスを有する回路および投票回路は、「三重モジュール式冗長」(TMR)を実装すると言われる。
【発明の概要】
【0006】
開示される投票回路は、出力ノードおよび正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路とを含む。出力ノードは、第1の双安定回路の真出力を受信するように結合されている。プルアップ回路は、第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、出力ノードを正供給電圧にプルするように設定および構成されており、プルダウン回路は、第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が、第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている。
【0007】
任意選択で、投票回路は、第1の双安定回路の真出力と出力ノードとの間に接続されている送信ゲートをさらに含んでもよい。
【0008】
任意選択で、投票回路は、送信ゲートの制御ゲートに結合されており、第1の双安定回路の真出力から出力ノードを接続および接続解除するように設定および構成されている制御回路をさらに含んでもよい。
【0009】
任意選択で、プルアップ回路は、第1のタイプのトランジスタを含んでもよく、プルダウン回路は、第1のタイプとは異なる第2のタイプのトランジスタを含んでもよい。
【0010】
任意選択で、第1のタイプはPMOSであってもよく、第2のタイプはNMOSであってもよい。
【0011】
任意選択で、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路は、プログラム可能ICの設定メモリセルであってもよい。
【0012】
開示される回路構成は、第1の投票回路、第2の投票回路、および第3の投票回路を含む。第1の投票回路は、第1の出力ノードおよび正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、第1の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路とを含む。プルアップ回路は、第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、第1の出力ノードを正供給電圧にプルするように設定および構成されている。プルダウン回路は、第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、第1の出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている。第2の投票回路は、第2の出力ノードおよび正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、第2の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路とを含む。第2の投票回路のプルアップ回路は、第1の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、第2の出力ノードを正供給電圧にプルするように設定および構成されている。第2の投票回路のプルダウン回路は、第1の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、第2の出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている。第3の投票回路は、第3の出力ノードおよび正供給電圧に接続されているプルアップ回路と、第3の出力ノードおよび接地に接続されているプルダウン回路とを含む。第3の投票回路のプルアップ回路は、第1の双安定回路および第2の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、第3の出力ノードを正供給電圧にプルするように設定および構成されている。第3の投票回路のプルダウン回路は、第1の双安定回路および第2の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態とは反対である第2の状態にあることに応答して、第3出力ノードを接地にプルするように設定および構成されている。第1の出力ノード、第2の出力ノード、および第3の出力ノードはともに結合されている。
【0013】
任意選択で、回路構成は、第1の双安定回路の真出力と第1の出力ノードとの間に接続されている第1の送信ゲートと、第2の双安定回路の真出力と第2の出力ノードとの間に接続されている第2の送信ゲートと、第3の双安定回路の真出力と第3の出力ノードとの間に接続されている第3の送信ゲートとをさらに含んでもよい。
【0014】
任意選択で、回路構成は、第1の送信ゲート、第2の送信ゲート、および第3の送信ゲートの制御ゲートに結合されており、それぞれ第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路の真出力から第1の出力ノード、第2の出力ノード、および第3の出力ノードを接続および接続解除するように設定および構成されている制御回路をさらに含んでもよい。
【0015】
任意選択で、第1の投票回路のプルアップ回路、第2の投票回路のプルアップ回路、および第3の投票回路のプルアップ回路は、第1のタイプのトランジスタを含んでもよく、第1の投票回路のプルダウン回路、第2の投票回路のプルダウン回路、および第3の投票回路のプルダウン回路は、第1のタイプとは異なる第2のタイプのトランジスタを含んでもよい。
【0016】
任意選択で、第1のタイプはPMOSであってもよく、第2のタイプはNMOSであってもよい。
【0017】
任意選択で、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路は、プログラム可能ICの設定メモリセルであってもよい。
【0018】
開示される回路構成は、第1の双安定回路、第2の双安定回路、第3の双安定回路、第1のタイプの第1のトランジスタおよび第2のトランジスタ、ならびに、第2のタイプの第3のトランジスタおよび第4のトランジスタを含む。第1のトランジスタは第2のトランジスタに直列接続されており、第1のトランジスタは正供給電圧に直列結合されている。第3のトランジスタは第4のトランジスタに直列接続されており、第2のトランジスタは第3のトランジスタに出力ノードで直列接続されており、第4のトランジスタは接地に直列結合されている。出力ノードは、第1の双安定回路の真出力を受信するように結合されている。第1のトランジスタおよび第3のトランジスタのゲートは、第2の双安定回路の相補的出力を受信するように結合されており、第2のトランジスタおよび第4のトランジスタのゲートは、第3の双安定回路の相補的出力を受信するように結合されている。出力信号線が、出力ノードに接続されており、出力信号線上の信号の状態が、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路の真出力の大多数の状態である。
【0019】
任意選択で、回路構成は、第1の双安定回路の真出力と出力ノードとの間に接続されている送信ゲートをさらに含んでもよい。
【0020】
任意選択で、回路構成は、送信ゲートの制御ゲートに結合されており、第1の双安定回路の真出力から出力ノードを接続および接続解除するように設定および構成されている制御回路をさらに含んでもよい。
【0021】
任意選択で、第1のタイプはPMOSであってもよく、第2のタイプはNMOSであってもよい。
【0022】
任意選択で、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路は、ラッチであってもよい。
【0023】
任意選択で、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路は、プログラム可能ICの設定メモリセルである。
【0024】
任意選択で、第1の双安定回路、第2の双安定回路、および第3の双安定回路は、ラッチであってもよい。
【0025】
任意選択で、回路構成は、第1の双安定回路の真出力と出力ノードとの間に接続されている送信ゲートをさらに含んでもよい。
【0026】
他の特徴が、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の考察から認識される。
【0027】
以下の詳細な説明を検討し、図面を参照すると、回路要素の様々な態様および特徴が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】投票回路が3つの双安定回路に接続されている回路構成を示す図である。
【
図2】3つのラッチのうちのいずれかが自己修正され得る回路構成の回路図である。
【
図3】ラッチのうちの1つだけが自己修正している、ラッチに対する書き込みにおける競合を防止するための制御を提供する回路構成の回路図である。
【
図4】3つすべてのラッチが投票回路によって自己修正しており、ラッチへの異なる値の書き込みにおける競合を防止するための制御が提供される回路構成の回路図である。
【
図5】開示される回路およびプロセスを実装することができるプログラム可能集積回路(IC)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明において、本明細書において提示される特定の例を説明するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、下記に与えられるすべての特定の詳細を用いずに、1つまたは複数の他の例および/またはこれらの例の変形形態を実践することができることが、当業者には明らかであるはずである。他の事例において、本明細書における例の説明を不明瞭にしないように、既知の特徴は詳細には説明されていない。図解を容易にするために、同じ要素または同じ要素の追加のインスタンスを参照するために、同じ参照符号が異なる図において使用されている場合がある。
【0030】
TMRの投票回路は一般的に、以下のブール式に従って実装される。
(Q1 AND Q2)OR(Q1 AND Q3)OR(Q2 AND Q3)
【0031】
式中、Q1は第1の双安定回路の真出力であり、Q2は第2の双安定回路の真出力であり、Q3は第3の双安定回路の真出力である。実装される回路は、典型的には、合計4つのゲート(3つの2入力ANDゲートおよび1つの3入力ORゲート)を消費する。4つのゲートは、18個のトランジスタ上で実装することができる。
【0032】
以下の説明に記載されているように、投票回路は、以前の手法に見られる18個のトランジスタの代わりに、4つのトランジスタを用いて実装することができる。加えて、投票回路は、投票されるべき信号を提供する1つのまたは3つすべてのラッチを自己修正するように実装することができる。回路設計は、投票回路の数千のインスタンスを有し得る。したがって、開示される投票回路を使用することによって、トランジスタ数の相当の節約を実現することができる。
【0033】
開示される投票回路は、プルアップ回路およびプルダウン回路を含む。プルアップ回路は、出力ノードおよび正供給電圧に接続されており、プルダウン回路は、出力ノードおよび接地に接続されている。出力ノードはまた、第1の双安定回路の真出力を受信するように結合されている。第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態にあることに応答して、プルアップ回路は、出力ノードを正供給電圧にプルする。第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号が第1の状態とは反対の第2の状態にあることに応答して、プルダウン回路は、出力ノードを接地にプルする。双安定回路がラッチである実装態様において、出力ノードに結合されている出力を有するラッチにエラーがある場合、ラッチはプルアップ回路およびプルダウン回路内の適切なサイズのトランジスタを用いて自己修正することができる。他の開示される実装態様は、3つすべてのラッチの自己修正を提供する。
【0034】
図1は、投票回路102が3つの双安定回路104、106、および108に接続されている回路構成100を示す。投票回路は、プルアップ回路110およびプルダウン回路112を含む。プルアップ回路は、直列接続されているPMOSトランジスタ114および116を含む。プルダウン回路は、直列接続されているNMOSトランジスタ118および120を含む。プルアップ回路は正供給電圧122に接続されており、プルダウン回路は接地124に接続されている。双安定回路104の真出力(Q1)は出力ノード126に結合されており、プルアップ回路110のPMOSトランジスタ114および116のゲート、ならびに、NMOSトランジスタ118および120のゲートは、双安定回路106および108の相補的出力Q2_BおよびQ3_Bを受信するように結合されている。第2の双安定回路および第3の双安定回路からの相補的出力信号Q2_BおよびQ3_Bが論理0であることに応答して、プルアップ回路は、出力ノード126を正供給電圧にプルする。相補的出力信号Q2_BおよびQ3_Bが論理1であることに応答して、プルダウン回路は、出力ノードを接地にプルする。
【0035】
投票回路としての動作において、Q1、Q2、およびQ3がすべて論理1である場合、出力ノード126はQ1によって論理1に駆動され、また、正供給電圧にプルアップされる。Q1、Q2、およびQ3がすべて論理0である場合、出力ノードはQ1によって論理0に駆動され、また、接地にプルダウンされる。双安定回路104に誤りがあり、双安定回路106および108に誤りがない場合、出力ノードは、プルアップ回路110またはプルダウン回路112のいずれかによって、正確な状態にプルされる。Q2またはQ3のいずれかを駆動する双安定回路は誤った状態に反転される場合、プルアップ経路とプルダウン経路の両方がオフになり、出力ノードはQ1によって駆動される(Q1はQ2またはQ3のうちの誤りのない方に一致する)。
【0036】
投票回路102は、双安定回路104、106、および108としてのラッチまたはフリップフロップのいずれかとともに使用することができる。双安定回路がラッチである実装態様において、投票回路は、ラッチに誤りがある場合に、出力ノードに接続されているラッチを自己修正することができる。自己修正は、プルアップ回路およびプルダウン回路内のトランジスタ114、116、118、および120を適切なサイズにすることによって実装することができる。より大きいトランジスタは、より小さいトランジスタよりも大きいプルを提供する。
【0037】
双安定回路がフリップフロップである実装態様において、出力ノードはフリップフロップのスレーブ段の真出力Qに接続することができる。投票回路は、フリップフロップを自己修正しない。
【0038】
等価な投票回路が、投票回路102の論理を逆転することによって実現することができることを、当業者は認識しよう。すなわち、出力ノード126は、双安定回路104の相補的出力Q1_Bに接続することができ、トランジスタ114、116、118および120のゲートは、双安定回路106および108の真出力Q2およびQ3に接続することができる。
【0039】
投票回路は、4つ以上の双安定回路に適応するように拡張することができる。しかしながら、開示されるTMR投票回路は、SBEに対処し、より大きい回路に伴うマルチビットエラーを解決するコストは、利益よりも大きい場合がある。
【0040】
図2は、3つのラッチのうちのいずれかが自己修正され得る回路構成の回路図である。3つのラッチ201、203、および205のうちのいずれかが乱されるのに応答して、投票回路202、204、および206のうちの1つが、乱されたラッチを修正する。
【0041】
第1の投票回路202の出力ノード208はラッチ201から真出力Q1を受信するように結合されており、PMOSトランジスタ210および212のならびにNMOSトランジスタ214および216のゲートは、ラッチ203および205の相補的出力Q2_BおよびQ3_Bを受信するように結合されている。第2の投票回路204の出力ノード218はラッチ203から真出力Q2を受信するように結合されており、PMOSトランジスタ220および222ならびにNMOSトランジスタ224および226のゲートは、ラッチ201および205の相補的出力Q1_BおよびQ3_Bを受信するように結合されている。第3の投票回路206の出力ノード228はラッチ205から真出力Q3を受信するように結合されており、PMOSトランジスタ230および232ならびにNMOSトランジスタ234および236のゲートは、ラッチ201および203の相補的出力Q1_BおよびQ2_Bを受信するように結合されている。出力ノードは出力信号線に接続されている。
【0042】
図3は、ラッチのうちの1つだけが自己修正している、ラッチに対する書き込みにおける競合を防止するための制御を提供する回路構成の回路図を図示する。ラッチとして実装されるときに双安定回路間の競合を防止するために、ラッチは同時に書き込まれる。しかしながら、検証または暗号化のような目的のために、ラッチに異なる値を書き込むことが望ましい場合がある。
【0043】
送信ゲート302は、投票回路によるラッチ201の自己修正を制御するために、ラッチ201の真出力Q1と、投票回路102の出力ノード126との間に接続される。送信ゲート302の制御ゲートは、制御回路304に結合され、制御回路は、相補的信号ghighおよびghigh_Bを生成する。制御回路304は、同じICダイ、または、投票回路102が実装されている外部ICダイ上にある状態機械またはマイクロコントローラ回路であってもよい。ghighが論理1であり、ghigh_Bが論理0である場合、ラッチ201、203、および205は、異なる値を用いて設定され得る。
【0044】
図4は、3つすべてのラッチ201、203、および205が投票回路202、204、および206によって自己修正しており、ラッチへの異なる値の書き込みにおける競合を防止するための制御が提供される回路構成の回路図を図示する。
【0045】
送信ゲート302は、ラッチ201の真出力と出力ノード208との間に接続されており、送信ゲート402は、ラッチ203の真出力と出力ノード218との間に接続されており、送信ゲート404は、ラッチ206の真出力と出力ノード228との間に接続されている。
【0046】
送信ゲート302、送信ゲート402、および送信ゲート404の制御ゲートは、制御回路304の相補的信号に結合されている。ghighが論理1であり、ghigh_Bが論理0である場合、ラッチ201、203、および205は、異なる値を用いて設定され得る。例えば、ラッチおよび投票回路を有するデバイスが設定モードにあるとき、ghighによって制御される送信ゲートはオフであり、ラッチの出力の間に相互作用はなく、ラッチの異なる値または異なる時点における同じ値の書き込みが許可される。ラッチおよび投票回路を有するデバイスがTMR回路を用いて動作しているとき、ghighによって制御される送信ゲートはオンであり、ラッチは同じ値を有することを強いられる。ラッチのうちのいずれかが乱されて、他の2つのラッチとは異なる状態にある場合、乱されたラッチは、他の2つのラッチによって制御されるプルアップまたはプルダウンによって適当な状態に修正される。
【0047】
図5は、開示される回路およびプロセスを実装することができるプログラム可能集積回路(IC)500を図示する。プログラム可能ICはまた、他のプログラム可能リソースとともにフィールドプログラマブルゲートアレイ論理(FPGA)を含むシステムオンチップ(SOC)と称される場合もある。FPGA論理は、いくつかの異なるタイプのプログラム可能論理ブロックをアレイ内に含むことができる。例えば、
図5は、マルチギガビットトタンシーバ(MGT)501、設定可能論理ブロック(CLB)502、ランダムアクセスメモリブロック(BRAM)503、入出力ブロック(IOB)504、設定およびクロッキング論理(CONFIG/CLOCKS)505、デジタル信号処理ブロック(DSP)506、例えばクロックポートなどの特殊入出力ブロック(I/O)507および、デジタルクロックマネージャ、アナログ−デジタルコンバータ、システム監視論理などのような他のプログラム可能論理508を含む多数の異なるプログラム可能タイルを含むプログラム可能IC500を示す。FPGA論理を有する一部のプログラム可能ICはまた、専用プロセッサブロック(PROC)510ならびに内部および外部再設定ポート(図示せず)をも含む。
【0048】
一部のFPGA論理において、各プログラム可能タイルは、各隣接するタイル内の対応する相互接続要素へのおよび当該要素からの標準化接続を有するプログラム可能相互接続要素(INT)511を含む。それゆえ、プログラム可能相互接続要素はまとまって、示されているFPGA論理のプログラム可能相互接続構造を実装する。プログラム可能相互接続要素INT511はまた、(
図5に示す)の上部に含まれる例によって図示されるように、同じタイル内のプログラム可能論理要素へのおよび当該要素からの接続をも含む。
【0049】
例えば、CLB502は、ユーザ論理を実装するようにプログラムすることができる設定可能論理要素CLE512、加えて、単一のプログラム可能相互接続要素INT511を含むことができる。BRAM503は、1つまたは複数のプログラム可能相互接続要素に加えて、BRAM論理要素(BRL)513を含むことができる。典型的には、タイルに含まれる相互接続要素の数は、タイルの高さに依存する。描写されている実施形態において、BRAMタイルは、5つのCLBと同じ高さを有するが、他の数(例えば4つ)を使用することもできる。DSPタイル506は、妥当な数のプログラム可能相互接続要素に加えて、DSP論理要素(DSPL)514を含むことができる。IOB504は、例えば、プログラム可能相互接続要素INT511の1つのインスタンスに加えて、入出力論理要素(IOL)515の2つのインスタンスを含むことができる。当業者には明白になるように、例えば、I/O論理要素515に接続されている実際のI/Oボンドパッドは、様々な示されている論理ブロックの上に層状に重ねられた金属を使用して製造され、典型的には、入出力論理要素515の領域にとどめられない。プログラム可能ICの設定メモリセル(図示せず)の状態は、CLE512によって実装される論理、INT511の相互接続、およびIOL515の設定を指定する。
【0050】
描写されている実施形態において、ダイの中央付近の柱状領域(
図5において網掛けで示されている)は、設定、クロック、および他の制御論理に使用される。この柱から延びる水平領域509は、クロックおよび設定信号をプログラム可能ICの幅にわたって分配するために使用される。「柱状」および「水平」領域に対する参照は、図面を縦方向に見ることに対するものであることに留意されたい。
【0051】
図5に示すアーキテクチャを利用する一部のプログラム可能ICは、プログラム可能ICの大部分を編成する規則的な柱状構造を混乱させる追加の論理ブロックを含む。追加の論理ブロックは、プログラム可能ブロックおよび/または専用論理であり得る。例えば、
図5に図示するプロセッサブロックPROC510は、CLBおよびBRAMのいくつかの列にまたがる。
【0052】
図5は、例示的なプログラム可能ICアーキテクチャのみを示すように意図されていることに留意されたい。列内の論理ブロックの数、列の相対幅、列の数および順序、列に含まれる論理ブロックのタイプ、および
図5の上部に含まれる相互接続/論理実装態様は、純粋に例示である。例えば、実際のプログラム可能ICにおいて、典型的には、CLBがあるところにはどこでも、CLBの2つ以上の隣接する列が含まれて、ユーザ論理の効率的な実装を容易にする。
【0053】
態様および特徴は一部の事例において個々の図において記載されている場合があるが、たとえ組み合わせが明示的に図示されておらず、組み合わせとして明示的に記載されていない場合であっても、1つの図からの特徴を別の図の特徴と組み合わせることができることが認識されよう。
【0054】
開示される回路は、TMR用途の多種多様なシステムに適用可能であると考えられる。本明細書の考察から、他の態様および特徴が当業者には明らかであろう。本明細書および図面は例としてのみ考慮されることが意図されており、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって指示される。