特許第6974438号(P6974438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974438
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】ターボポンプ通気組立体及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   F04D19/04 Z
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-508884(P2019-508884)
(86)(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公表番号】特表2019-525071(P2019-525071A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】GB2017052254
(87)【国際公開番号】WO2018033697
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2020年7月27日
(31)【優先権主張番号】1613928.9
(32)【優先日】2016年8月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】マイルズ クリストファー
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−008612(JP,A)
【文献】 特開2010−038137(JP,A)
【文献】 特開平09−158847(JP,A)
【文献】 米国特許第04588361(US,A)
【文献】 実開昭61−099694(JP,U)
【文献】 特開平03−229071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期空気容積をターボポンプに送給するように作動可能な一次手動アクチュエータと、
前記初期空気容積よりも大きな二次空気容積を前記ターボポンプに送給するように作動可能な二次手動アクチュエータと、を備え、
前記一次手動アクチュエータは、前記初期空気容積が前記ターボポンプに送給される通気位置と、前記初期空気容積が前記ターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置とを有し
前記初期空気容積の供給源は、前記分離位置にある場合に貯蔵空気容積を保持するように、及び前記通気位置にある場合に前記初期空気容積として前記貯蔵空気容積を前記ターボポンプに送給するように作動可能なリザーバを有している、
ことを特徴とするターボポンプ通気組立体。
【請求項2】
前記一次手動アクチュエータは、手動で前記通気位置と前記分離位置との間に設定可能である、
請求項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項3】
前記一次手動アクチュエータは、前記分離位置に向かって付勢される、
請求項1又は2に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項4】
前記一次手動アクチュエータは、解除可能に前記通気位置に設定可能である、
請求項1から3のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項5】
前記一次手動アクチュエータは、前記通気位置にある場合に前記初期空気容積の前記供給源を前記ターボポンプと流体的に結合し、かつ前記分離位置にある場合に前記初期空気容積の前記供給源を前記ターボポンプと流体的に分離するように作動可能なバルブ構成を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項6】
前記バルブ構成は、前記通気位置にある場合に前記初期空気容積の前記供給源を前記ターボポンプと流体的に結合するように手動で操作可能であり、前記分離位置にある場合に前記初期空気容積の前記供給源を前記ターボポンプと流体的に分離するように付勢される、
請求項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項7】
前記一次手動アクチュエータは、前記初期空気容積の前記供給源を前記ターボポンプと流体的に結合する導管を有し、前記導管は、前記通気位置にある場合に前記導管を通る流れを制限するように構成された制限器を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項8】
前記一次手動アクチュエータは、前記分離位置にある場合に前記リザーバを充填するように外部空気供給源と前記リザーバを流体的に結合するように作動可能なバルブ構成を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項9】
前記バルブ構成は、前記分離位置にある場合に前記ターボポンプから前記リザーバを流体的に分離するように作動可能である、
請求項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項10】
前記バルブ構成は、前記通気位置にある場合に前記初期空気容積としての前記貯蔵空気容積を前記ターボポンプに送給するように前記リザーバを前記ターボポンプと流体的に結合するように作動可能である、
請求項8又は9に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項11】
前記バルブ構成は、前記通気位置にある場合に前記外部空気供給源から前記リザーバを流体的に分離するように作動可能である、
請求項8から10のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項12】
前記リザーバは、前記分離位置と前記通気位置との間で変位可能である、
請求項8から11のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項13】
前記リザーバは、直線的及び回転的うちの1つで変位可能である、
請求項8から12のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項14】
前記一次手動アクチュエータは複数の前記リザーバを有する、
請求項8から13のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項15】
前記リザーバの各々は、関連する通気位置にある場合に前記初期空気容積を前記ターボポンプに送給するように作動可能である、
請求項8から14のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項16】
前記二次手動アクチュエータは、前記二次空気容積が前記ターボポンプに送給される通気位置と、前記二次空気容積が前記ターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置とを有する、
請求項1から15のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項17】
前記二次手動アクチュエータは、手動で前記通気位置と前記分離位置との間に設定可能である、
請求項16に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項18】
前記ターボポンプ通気組立体は、前記ターボポンプの相補的結合部に収容されるように作動可能な結合部を含み、前記二次手動アクチュエータは、前記二次空気容積を前記ターボポンプに送給するために、前記分離位置において前記相補的結合部から前記結合部を引き離すように作動可能である、
請求項1から17のいずれか一項に記載のターボポンプ通気組立体。
【請求項19】
一次手動アクチュエータを用いて初期空気容積をターボポンプに送給する段階であって、前記一次手動アクチュエータは、前記初期空気容積が前記ターボポンプに送給される通気位置と、前記初期空気容積が前記ターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置とを有し、前記初期空気容積の供給源は、前記分離位置にある場合に貯蔵空気容積を保持するように、及び前記通気位置にある場合に前記初期空気容積として前記貯蔵空気容積を前記ターボポンプに送給するように作動可能なリザーバを有している、送給する段階と、
二次手動アクチュエータを用いて二次空気容積をターボポンプに送給する段階と、を含み、前記二次空気容積は、前記初期空気容積よりも大きい、
ことを特徴とするターボポンプ通気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボポンプ通気組立体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造ステップにおいて高真空プロセスチャンバで行われる乾式エッチング、化学蒸着(CVD)等のプロセスでは、例えば、特開2000−291586に示されるように、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプは、プロセスチャンバからガスを排出することによってプロセスチャンバ内に高真空を生成するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−291586
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、初期空気容積をターボポンプに送給するように作動可能な一次手動アクチュエータと、初期空気容積よりも大きな二次空気容積をターボポンプに送給するように作動可能な二次手動アクチュエータとを含むターボポンプ通気組立体が提供される。第1の態様は、ターボポンプ使用時の制限要因が、真空を生成して破壊するのに要する時間であることを認識している。ターボポンプによって生成された真空を破壊することに関する制限要因のうちの1つは、ターボポンプのロータを減速するのに要する時間である。真空破壊によってロータを減速するための装置が存在するが、これらの装置は複雑であり、信頼性が低いか又はそうでなければ問題のある可能性がある。それほど複雑でない手法としては、ポンプの環境側からポンプの真空側の中に空気を導入することによるターボポンプの通気が挙げられる。しかしながら、第1の態様は、従来の手動通気バルブを用いた急激な通気が、主軸受又は軸受ケージの高応力及び摩耗を引き起こし、従来の固定軸受式及び磁気浮上式ターボポンプの両方におけるロータ不安定につながる可能性があることも認識している。このような通気は、ターボポンプの作動寿命を短くする可能性があり、もしくはさらに深刻な場合には、急な軸受寿命の終了又はロータ/ステータ構成部品の衝突に起因してターボポンプの急停止につながる可能性がある。
【0005】
従って、ターボポンプのための通気手段を提供することができる。通気手段は、一次、第1の又は初期アクチュエータを含むことができる。アクチュエータは、手動であり又はユーザが作動させる又は操作することができる。アクチュエータは、空気又は他のガスの一次、第1の又は初期容積、量又は分量をターボポンプに送給又は供給することができる。また、通気手段は、二次又は別のアクチュエータを含むことができる。二次アクチュエータは、手動であり又はユーザが作動させる又は操作することができ、空気又は他のガスの第2の又はさらなる容積又は量をターボポンプに送給又は供給することができる。第2の空気容積は、初期空気容積の量よりも大きいか又はそれ以上とすることができる。このようにして、最初に初期空気容積を送給してターボポンプを減速することができる、単純かつ信頼性の高い通気手段が提供される。その後、二次空気容積が送給されて、さらなる初期空気容積だけを用いて可能になるものよりも迅速にターボポンプを減速することができる。異なる空気容積を送給することができる装置を備えることで、単に同じ大きさの空気容積を送給することによって可能になるものよりも安全かつ迅速にターボポンプを減速することができる。
【0006】
1つの実施形態において、初期空気容積は、二次空気容積よりも小さい。従って、初期空気容積はより小さくすること、又は二次空気容積ほど大きくしないことが可能である。
【0007】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、初期空気容積がターボポンプに送給される通気位置と、初期空気容積がターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置とを有する。従って、一次手動アクチュエータは、初期空気容積がターボポンプに送給又は供給される通気位置又は開放位置を有することができる。一次アクチュエータは、初期空気容積がターボポンプに送給されるのが阻止される又は妨害される分離位置又は閉鎖位置を有することができる。従って、初期空気容積の個々の噴出空気(burst)を、ターボポンプに送給することができる。
【0008】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、手動で通気位置と分離位置との間に設定可能である。従って、アクチュエータは、ユーザが通気位置と分離位置との間で操作することができる。
【0009】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、分離位置に向かって付勢される。従って、アクチュエータは、分離位置に事前配置することができる。
【0010】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、解除可能に通気位置に設定可能である。従って、アクチュエータは、ユーザが通気位置に操作可能とすることができるが、その後、解除すると分離位置に戻ることができる。
【0011】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、通気位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に結合し、そして分離位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に分離するように作動可能なバルブ構成を有する。従って、通気位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に結合することができ、分離位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと分離することができるバルブを設けることができる。
【0012】
1つの実施形態において、バルブ構成は、通気位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に結合するように手動で操作可能であり、分離位置にある場合に初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に分離するように付勢される。
【0013】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、初期空気容積の供給源をターボポンプと流体的に結合する導管を有し、導管は、通気位置にある場合に導管を通る流れを制限するように構成された制限器を有する。従って、初期空気容積の流れは、ターボポンプに送給される際に制限器によって制限できる。
【0014】
1つの実施形態において、初期空気容積の供給源は、分離位置にある場合に貯蔵空気容積を保持するように、及び通気位置にある場合に初期空気容積として貯蔵空気容積をターボポンプに送給するように作動可能なリザーバを含む。従って、貯蔵又は一定の空気容積として収容される初期空気容積を供給するリザーバを設けることができる。貯蔵空気容積は、分離位置にある場合に保持することができ、通気位置にある場合にターボポンプに送給することができる。
【0015】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは、分離位置にある場合にリザーバを満たすように外部空気供給源とリザーバを流体的に結合するように作動可能なバルブ構成を含む。従って、バルブは、分離位置にある場合にリザーバを満たす又は補充するように外部空気供給源とリザーバを結合することができる。
【0016】
1つの実施形態において、バルブ構成は、分離位置にある場合にターボポンプからリザーバを流体的に分離するように作動可能である。従って、バルブは、分離位置にある場合にリザーバ及びターボポンプを分離又は流体的に分離することができる。
【0017】
1つの実施形態において、バルブ構成は、通気位置にある場合に初期空気容積としての貯蔵空気容積をターボポンプに送給するようにリザーバをターボポンプと流体的に結合するように作動可能である。従って、バルブ構成は、通気位置にある場合にリザーバ及びターボポンプを結合又は流体的に接続することができる。
【0018】
1つの実施形態において、バルブ構成は、通気位置にある場合に外部空気供給源からリザーバを流体的に分離するように作動可能である。
【0019】
1つの実施形態において、リザーバは、分離位置と通気位置との間で変位可能である。従って、リザーバは、分離位置と通気位置との間で移動、平行移動、又は変位することができる。リザーバの移動により、リザーバを満たすこと又は放出させることができる。
【0020】
1つの実施形態において、リザーバは、直線的及び回転的のうちの1つで変位可能である。
【0021】
1つの実施形態において、一次手動アクチュエータは複数のリザーバを有する。従って、2以上のリザーバは、空気の個々の、複数の、初期容積の送給を容易にするために設けることができる。
【0022】
1つの実施形態において、各リザーバは、関連する通気位置にある場合に、単独で第1の空気容積をターボポンプに送給するように作動可能である。従って、一度に1つのリザーバだけが所定の空気容積をターボポンプに送給することができる。
【0023】
1つの実施形態において、二次手動アクチュエータは、第2の空気容積がターボポンプに送給される通気位置と、第2の空気容積がターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置とを有する。従って、第2の空気容積をターボポンプに送給することができる、第2の又はさらなる手動アクチュエータを設けることができる。
【0024】
1つの実施形態において、二次手動アクチュエータは、手動で通気位置と分離位置との間に設定可能である。
【0025】
1つの実施形態において、ターボポンプ通気組立体は、ターボポンプの相補的結合部に収容されるように作動可能な結合部を含み、二次手動アクチュエータは、第2の空気容積をターボポンプに送給するために、分離位置において相補的結合部から結合部を引き離すように作動可能である。従って、二次手動アクチュエータは、ターボポンプ通気手段との間の結合部を含むことができる。
【0026】
第2の態様によれば、一次手動アクチュエータを用いてターボポンプを減速するために初期空気容積を送給する段階と、二次手動アクチュエータを用いてターボポンプを減速する二次空気容積を送給する段階と、を含み、二次空気容積は、初期空気容積よりも大きい、ターボポンプ通気方法が提供される。
【0027】
1つの実施形態において、初期空気容積は、二次空気容積よりも小さい。
【0028】
1つの実施形態において、本方法は、初期空気容積がターボポンプに送給されるのが阻止される分離位置から初期空気容積を送給する通気位置へ一次手動アクチュエータを手動で作動させる段階を含む。
【0029】
1つの実施形態において、本方法は、通気位置と分離位置との間に一次手動アクチュエータを手動で作動させる段階を含む。
【0030】
1つの実施形態において、本方法は、一次手動アクチュエータを分離位置に付勢する段階を含む。
【0031】
1つの実施形態において、本方法は、一次手動アクチュエータを通気位置に手動で作動させる段階を含む。
【0032】
1つの実施形態において、本方法は、バルブを用いて、通気位置にある場合に空気の供給源をターボポンプに流体的に結合する段階と、分離位置にある場合に空気の供給源をターボポンプから流体的に分離する段階とを含む。
【0033】
1つの実施形態において、本方法は、通気位置にある場合に付勢に抗して手動で空気の供給源をターボポンプと流体的に結合する段階と、分離位置にある場合に付勢によって空気の供給源をターボポンプと流体的に分離する段階とを含む。
【0034】
1つの実施形態において、本方法は、通気位置にある場合に一次手動アクチュエータを通る流れを制限する段階を含む。
【0035】
1つの実施形態において、本方法は、分離位置にある場合に貯蔵空気容積をリザーバに保持する段階と、通気位置にある場合に第1の空気容積として貯蔵空気容積をターボポンプに送給する段階とを含む。
【0036】
1つの実施形態において、本方法は、分離位置にある場合にリザーバを満たすようにリザーバを外部空気供給源と流体的に結合する段階を含む。
【0037】
1つの実施形態において、本方法は、分離位置にある場合にリザーバをターボポンプから流体的に分離する段階を含む。
【0038】
1つの実施形態において、本方法は、通気位置にある場合に第1の空気容積として貯蔵空気容積をターボポンプに送給するようにリザーバをターボポンプに流体的に結合する段階を含む。
【0039】
1つの実施形態において、本方法は、通気位置にある場合にリザーバを外部空気供給源から流体的に分離する段階を含む。
【0040】
1つの実施形態において、本方法は、分離位置と通気位置との間でリザーバを手動で変位させる段階を含む。
【0041】
1つの実施形態において、本方法は、直線的及び回転的のうちの1つでリザーバを変位させる段階を含む。
【0042】
1つの実施形態において、本方法は複数のリザーバを提供する段階を含む。
【0043】
1つの実施形態において、本方法は、関連する通気位置にある場合に各リザーバからターボポンプに第1の容積を送給する段階を含む。
【0044】
1つの実施形態において、本方法は、第2の容積をターボポンプに送給するために、二次手動アクチュエータを通気位置に作動させる段階を含む。
【0045】
1つの実施形態において、本方法は、第2の容積がターボポンプに送給されるのを阻止するために、二次手動アクチュエータを分離位置に作動させる段階を含む。
【0046】
1つの実施形態において、本方法は、手動で二次手動アクチュエータを通気位置と分離位置との間に設定する段階を含む。
【0047】
1つの実施形態において、本方法は、第2の空気容積をターボポンプに送給するために、ターボポンプ通気組立体の結合部をターボポンプの相補的結合部から引き離す段階を含む。
【0048】
第3の態様によれば、添付の図面を参照して上記に説明したようなターボポンプ通気組立体又は方法が提供される。
【0049】
さらなる特定の及び好ましい態様は、添付の独立及び従属クレームで提示される。従属クレームの特徴部は、必要に応じて独立クレームの特徴部と組み合わせることができ、それ以外の組み合わせはクレームに明示的に提示されている。
【0050】
装置特徴部が機能を提供するように作動可能であると説明されている場合、このことは、その機能を提供する、又はその機能を提供するようになっている又はそのように構成された装置特徴部を含むことを理解されたい。
【0051】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】1つの実施形態による通気組立体を示す。
図2】1つの実施形態による通気組立体を示す。
図3】1つの実施形態による通気組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施形態をより詳細に検討する前にまず概略を提示する。半導体製作設備などの処理設備において、各処理ステージの間を迅速に切り替える能力の1つの制限要因は、処理設備内で真空を生成して解放する能力である。詳細には、ターボポンプが真空の生成に利用される場合、ターボポンプが動作停止後も長期間回転し続けるという結果となるようなターボポンプの回転速度、運動量、及び低いロスを考慮に入れると、ターボポンプを減速させることができる速度は制限要因である。
【0054】
実施形態は、ターボポンプ室へのガス流の導入がターボポンプを減速するための簡単な機構であることを認識している。ターボポンプ室に導入されるガス流の摩擦作用は、ターボポンプロータの減速に役立つ。しかしながら、ターボポンプの中へのガスの導入は、ロータ及びロータを支持する軸受に応力をもたらす。従って、導入することができるガスの量又は分量は、ロータの速度によって異なる。詳細には、最初に導入されるガス量は、ターボポンプの損傷を防ぐために慎重に制御する必要がある。しかしながら、初期ガス流を送給し続けるとロータの減速に必要以上に時間がかかってしまう。これは、より多くの量のガスを導入しても安全なようにロータ速度が十分に減速したのなら、より多くの量のガスを導入することができるからである。ターボポンプを迅速に減速するために用いることができる電気機械的構成が存在するが、これらは複雑で多くの構成部品で構成される。
【0055】
従って、実施形態は、ターボポンプを迅速に減速させるための簡単な機械的構成を提供する。実施形態は、既存のターボポンプに後付けすることができるターボポンプ通気組立体を提供する。ターボポンプ通気組立体は、使用時、最初にターボポンプを減速する1又は2以上の空気初期流、容積、又は噴出流を送給する一次、初期、又は第1のアクチュエータ又はデバイスを有する手動作動式機械的構成である。また、通気組立体は、使用時、空気の第2の流量又は容積をターボポンプに送給する、別の、第2の、又はさらなる手動操作式アクチュエータ又はデバイスを含む。二次手動アクチュエータによって供給される空気量は、一次手動アクチュエータによって供給される空気量よりも大きい。従って、簡単なユーザ操作によって、ターボポンプは、最初に一次アクチュエータを用いて減速し、次に、ユーザが二次アクチュエータを操作することによって完全に停止させることができる。これは、ターボポンプを迅速に停止するための簡単で信頼性が高くかつ有効な機構を提供する。典型的には、一次手動アクチュエータは、制御された一定のガス容積量を送給してターボポンプを段階的に減速する。典型的には、二次アクチュエータは、制限された連続ガス流をターボポンプ組立体に提供してロータが完全に停止するまで減速させる。
【0056】
通気組立体−第1の実施形態
図1は、1つの実施形態による通気組立体10Aを示す。通気組立体は、典型的には、ターボポンプ30のハウジング20に形成された導管40の中に後付けされる。導管40は、ロータ、軸受、及び関連の構造体が設けられているターボポンプ30の内部の真空側50から大気圧の環境側60に延びる。一次手動アクチュエータ70Aが設けられている。一次手動アクチュエータは、ばね80Aによって図1に示す分離位置に付勢されているピストン装置を含む。
【0057】
図1に示す位置にある場合、ピストン装置内に定められた容積90Aは、ギャラリー110A及び入口120Aを介して環境側60の空気と流体連通状態にある。この位置では、空気は容積90Aの中に流入することができる。典型的にはユーザがピストン装置の端部130Aに力が付与すると、力は、ばね80Aの付勢力に打ち勝ち、ピストン装置は、通気位置(図示せず)に向かって方向Aに長手方向に平行移動する。ピストン装置が方向Aに移動すると、ピストン装置の表面上の溝150A内に保持されたOリングシール140Aは、ギャラリー110Aの中を方向Aに移動し、入口120Aと容積90Aを流体的に分離する。ピストン装置の方向Aの連続した押圧は、容積90Aが通気組立体の内面に設けられた溝170Aに保持されたOリングシール160Aを通過するようにさせる。トラップ容積90AがOリングシール160A及び通気位置を通過すると、容積90Aは結果的に真空側50と流体連通状態になり、トラップ容積90Aの中に蓄えられた空気は、蓄えられた空気容積の真空側50の中への流れを制限する制限器アパーチャ200Aを介して、ターボポンプ30のロータを減速するために真空側50Aに送給される。
【0058】
ユーザが端部130Aに圧力を加えるのを止めると、ピストン装置は、方向Bのばね80Aの動作によって変位して図1に示す位置に戻り、ここでトラップ容積90Aに空気が補給される。
【0059】
端部130Aの各押圧は、一定容積の空気をターボポンプ30の真空側50に送給させる。これらの一定容積の空気の送給は、ターボポンプ30内のロータを順次的に減速させる。
【0060】
ピストン装置を保持するハウジング190Aは、二次手動アクチュエータとして設けられる。ハウジング190Aの外側表面180Aには、ハウジング190Aの把持及び回動を容易にするギザギザ又は隆起部があり、これはハウジング190Aを部分的に又は完全に取り外すことを可能にする。これは、制限器アパーチャ200を環境側60と流体的に結合して真空側50に第2の空気流が入ることを可能にし、結果的にターボポンプ30内のロータを停止させる、ターボポンプを再始動させたい場合、ハウジング190を再装備して、環境側60から制限器アパーチャ200Aを流体的に分離する。
【0061】
通気組立体−第2の実施形態
図2は、1つの実施形態による通気組立体10Bを示す。通気組立体10Bは、典型的には、ターボポンプ30のハウジング20に形成された導管40の中に後付けされる。導管40は、ロータ、軸受及び関連の構造体が設けられているターボポンプ30の内部の真空側50から大気圧の環境側60に延びる。制限器アパーチャ200Bは、通気組立体10Bから供給された何らかの空気の真空側50への流量を制限する。通気組立体10Bは、上述の実施形態と同様であるが、一次手動アクチュエータ70Bとして双投式ピストン装置を使用しており、それを通して延びる1対のトラップ容積90B1、90B2を有する。
【0062】
端部130B1、103B2は、ユーザによって交互に押し下げられる。一方の端部130B1を押圧すると方向Cの変位が生じ、これによりトラップ容積90B1内に貯留された空気は真空側と流体連通状態になり制限器アパーチャ200Bを介して送給される。この位置では、トラップ容積90B2は、空気で満たされた入口120B2を介して流体連通状態にある。トラップ容積90B2内の空気は、1対のOリングシール140B2によって貯留される。端部130B2を押すと、方向Dのピストン装置の変位が生じ、トラップ容積90B2は真空側50と流体連通状態になり、トラップ容積90B2内の空気は制限器アパーチャ200Bを介して送給される。この位置にある場合、トラップ容積90B1は、入口120B1を介して環境側60と流体連通状態にあり、空気が補給される。トラップ容積90B1内の空気は、1対のOリングシール140B1によって貯留される。
【0063】
端部130B1及び130B2上の連続した交互の押圧は、ターボポンプ30のロータを最初に減速させるために、制限器アパーチャ200Bを介して一定の容積の空気を真空側50に送給させる。
【0064】
プラグ210Bは、二次手動アクチュエータとして設けられており、ハウジング190Bからプラグ210Bの部分的な又は完全な取り外しのための回動を容易にするギザギザ又は隆起部を有する表面220Bを備えている。プラグ210Bを取り外すと、環境側60は、制限器アパーチャ200Bを介して真空側50と流体的に結合し、空気は、制限器アパーチャ200Bを介して真空側50に送給され、ターボポンプ30内のロータは減速して停止する。次に、プラグ210Bは、ターボポンプ30を再始動する前に、真空側50を環境側60から流体的に分離するために再装着することができる。
【0065】
通気組立体−第3の実施形態
図3は、1つの実施形態による通気組立体10Cを示す。通気組立体10Cは、典型的には、ターボポンプ30のハウジング20に形成された導管40の中に後付けされる。導管40は、ロータ、軸受及び関連の構造体が設けられているターボポンプ30の内部の真空側50から大気圧の環境側60に延びる。制限器アパーチャ200Cは、通気組立体10Cから供給された何らかの空気の真空側50への流量を制限する。通気組立体10Cは、上述の実施形態と同様であるが、一次手動アクチュエータ70Cとして、内部に1又2以上のトラップ容積90Cを有する回転部材を使用する。
【0066】
この装置において、一次手動アクチュエータ70Cは、保持ばね80Cで同心円状に取り囲まれたシャフト230Cを用いてハウジング190Cによって保持される。一次手動アクチュエータ70Cは、ハウジング190Cの周りで方向Eに自由に回転する。
【0067】
図3に示す位置にある場合、本体130C内のトラップ容積90Cは、トラップ容積90内の空気の真空側への送給のために導管240Cを介して真空側50と流体的に結合され、最初にターボポンプ30のロータを減速させる。
【0068】
一次手動アクチュエータ70Cの連続的な回動は、トラップ容積90Cを導管240Cから分離する。連続的な回動はトラップ容積90Cを入口120Cと整列させて、トラップ容積90Cを環境側60と流体的に結合するので、空気がトラップ容積90Cに再充填される。Oリングシート140Cは、空気をトラップ容積90C内に貯留する。
【0069】
部材130Cの連続的な可動は、トラップ容積90Cを導管240Cと流体的に再結合させ、制限器200Cを介してさらなる空気容積を真空側50に送給して、ターボポンプ30のロータをさらに減速する。
【0070】
一次手動アクチュエータ70Cは、二重の用途を有し、さらに二次手動アクチュエータの機能をもたらす。ターボポンプ30のロータ速度が十分に減速すると、一次手動アクチュエータ70Cは、把持してばね80Cの付勢に抗して方向Fに引くことができる。これは、制限器200Cを介して真空側50を環境側60と流体的に結合し、空気が環境側60から真空側50に入り、ターボポンプ30のロータがさらに減速して停止することを可能にする。
【0071】
本実施形態において、唯一のトラップ容積90Cが示されているが、このようなトラップ容積を複数設けることができ、トラップ容積は、一次手動アクチュエータ70Cの完全な回転未満で補給され送給されることができることが理解されよう。
【0072】
本発明の例示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書で詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、種々の変更を修正は、添付の特許請求の範囲及びこれらの均等手段によって定めるように、本発明の範囲から逸脱することなく当業者によってその中で達成することができることは理解される。
【符号の説明】
【0073】
10A 通気組立体
10B 通気組立体
10C 通気組立体
20 ハウジング
30 ターボポンプ
40 導管
50 真空側
60 環境側
70A 一次手動アクチュエータ
70B 一次手動アクチュエータ
70C 一次手動アクチュエータ
80A ばね
80C ばね
90A 容積
90B1 容積
90B2 容積
90C 容積
110A ギャラリー
120A 入口
120B1 入口
120B2 入口
120C 入口
130A 端部
130B1 端部
130B2 端部
140A Oリングシール
140B1 Oリングシール
140B2 Oリングシール
140C Oリングシール
150A 溝
160A Oリングシール
170A 溝
180A 表面
190A ハウジング
190B ハウジング
190C ハウジング
200A 制限器アパーチャ
200B 制限器アパーチャ
200C 制限器アパーチャ
210B プラグ
220B 表面
230C シャフト
240C 導管
図1
図2
図3