(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974441
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】ガスケットかみ合い部を備えた注射器およびプランジャーロッド
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
A61M5/315 514
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-511527(P2019-511527)
(86)(22)【出願日】2017年9月21日
(65)【公表番号】特表2019-528833(P2019-528833A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】GB2017052833
(87)【国際公開番号】WO2018060682
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2020年7月8日
(31)【優先権主張番号】1616398.2
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501410160
【氏名又は名称】オウエン マンフォード リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ホランド,ダミアン アレクサンダー
【審査官】
伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/196056(WO,A1)
【文献】
国際公開第01/097885(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/040522(WO,A1)
【文献】
特開2002−272843(JP,A)
【文献】
米国特許第04180069(US,A)
【文献】
特表平10−500324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャーにおいて、
前記プランジャーは、
凹部と該凹部の側壁の雌ねじ部を含む口栓と、
物質を注射器バレルから放出するために、該注射器バレルを介して前記口栓を駆動するために該注射器バレル内で使用するためのプランジャーロッドであって、前記口栓に対して回転するように構成されているプランジャーロッドと、
前記プランジャーロッドと共に回転するように構成されておりかつ前記口栓の前記凹部内で受け取られるように構成された口栓固定部であって、該口栓固定部の対向する側で横方向に伸びる第1及び第2突起を含み、該第1及び第2突起はそれぞれ横方向の軸から後方に角度が付けられたねじ山かみ合い表面を含んで、該第1及び第2突起の少なくとも1つの、ねじ山を介した直線状の運動を可能にし、前記ねじ山の軌道部の箇所とかみ合うように構成された口栓固定部を含み、
おのおのの突起は、ユーザーによって加えられた力の下で、前記プランジャーロッドとの前記口栓の間の相対回転時にねじ山と交差するように更に構成され、その結果、各突起のねじ山のかみ合い表面が、前記口栓に対する前記プランジャーロッドの全回転毎の前記軌道部の箇所とかみ合う、ことを特徴とするプランジャー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突起は、前記ねじ山と交差する前に前記ねじ山に適用されたトルクを前記口栓に作用する直線状の力に変換するように前記ねじ山の軌道部に作用するように構成される、請求項1に記載のプランジャー。
【請求項3】
複数の前記突起のおのおののねじ山かみ合い表面が、前記プランジャーロッドの回転の対応する角度で前記ねじ山の軌道部の箇所とかみ合うように、前記突起が前記口栓固定部の周囲に関して角度をなして離間される、請求項1または2に記載のプランジャー。
【請求項4】
前記突起は等しく角度をなして離間される、請求項3に記載のプランジャー。
【請求項5】
前記第1突起のねじ山かみ合い表面が、前記軌道部の箇所とかみ合うとき、第2突起のねじ山かみ合い表面が前記軌道部と対向する更なる軌道部の箇所とかみ合うように、第1及び第2突起が構成される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプランジャー。
【請求項6】
前記突起の各々がプランジャーロッドの同じ縦方向の位置にある、請求項3乃至5のいずれか1項に記載のプランジャー。
【請求項7】
口栓固定部が受け入れられたときに凹部を囲む口栓の表面と当接するように構成された肩部を更に含み、前記肩部は、凹部の中へのプランジャーロッドの縦方向の運動に更に抵抗するように構成される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプランジャー。
【請求項8】
肩部が凹部を囲む口栓の表面に当接するときに、口栓固定部が凹部の底面に接しないように、前記口栓固定部が前記肩部から延びている、請求項7に記載のプランジャー。
【請求項9】
前記第1及び第2突起は、第1及び第2突起と肩の間の口栓の一部を圧縮するためにねじ山に作用するように構成される、請求項2に直接あるいは間接的に従属する場合の請求項7または8に記載のプランジャー。
【請求項10】
プランジャーロッドのキー部は、プランジャーロッドの回転を防ぐ注射器の対応するキー穴とかみ合うように構成された非円形の断面部を有し、前記プランジャーロッドの断面部がキー穴と一列に並ぶとき、ねじ山かみ合い表面がねじ山の軌道部の箇所とかみ合うように、前記少なくとも1つの突起が位置づけられる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプランジャー。
【請求項11】
前記プランジャーロッドの断面部がキー穴と一列に並ぶとき、第1及び第2突起がねじ山の軌道部に作用するように、第1及び第2突起が位置づけられる、請求項2に直接あるいは間接的に従属する場合の請求項10に記載のプランジャー。
【請求項12】
請求項1に記載のプランジャーを含んでなる、
ことを特徴とする注射器。
【請求項13】
バレル内のプランジャーの移動によって物質をバレルから放出するように、プランジャーロッドが注射器のバレルの口内に受け入れられ、
前記バレルの口は、プランジャーロッドのキー部の非円形の断面部に対応し、バレルに対するプランジャーロッドの回転を防ぐためにキー部とかみ合うように構成されたキー穴を含み、
プランジャーロッドのキー部がキー穴を通り抜けた後、プランジャーロッドはバレルと口栓に対して回転可能である、
請求項10または11のプランジャーロッドを含む場合の請求項12に記載の注射器。
【請求項14】
前記口栓は弾力的に変形可能であり、プランジャーロッドのキー部がバレルの口のキー穴を通過すると、バレルの一端に対して口栓を圧縮するように構成され、その結果、プランジャーの回転中に、エネルギーが口栓に蓄積され、バレルからプランジャーロッドに力を外方に付勢させる、請求項13に記載の注射器。
【請求項15】
前記プランジャーロッドの第1及び第2突起の各々のねじ山かみ合い表面は、プランジャーロッドのキー部がキー穴と一列に並んだときに、口栓の側壁のねじ山の軌道部の箇所とかみ合うように構成され、その結果、キー穴からプランジャーロッドを付勢するように口栓が拡大しない、請求項14に記載の注射器。
【請求項16】
前記第1及び第2突起はプランジャーロッドのキー部がキー穴と一列に並ぶときに、第1及び第2突起とプランジャーロッドの肩部の間の口栓の一部を圧縮するように、口栓の側壁のねじ山の軌道部に作用するように構成される、請求項9のプランジャーロッドを含む場合の請求項14または15に記載の注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射器と共に使用するためのプランジャーロッドに関する。いくつかの装置において、本発明は、注射器と共に使用するためのプランジャー、および/またはプランジャーおよび/またはプランジャーロッドを含む注射器に関しうる。本発明は、限定される必要はないが、安全注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、プランジャーロッドは、十分な薬剤送達を保証するために注射器のバレル端部を圧縮して弾力的に変形可能な口栓を配置している。いくつかの注射器設計では、これは、プランジャーロッドを外方に押すために口栓によってプランジャーロッドに及ぼされた力に関係のある問題に結びつく場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者らは、プランジャーロッドを外方に付勢する口栓によって引き起こされる問題を緩和するために、圧縮下で留まること、および/または圧縮される時に口栓に蓄積されたエネルギーが、注射器のバレルからプランジャーロッドを外方に付勢することが許されないこと、が望まれることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、注射器バレルを介して物質を注射器バレルから放出するように、口栓を駆動するために注射器バレルで使用するためのプランジャーロッドが提供され、
当該プランジャーロッドは、
口栓の凹部内に受け取られるように構成され、ねじのかみ合い表面を含む、少なくとも1つの横に伸びる突起を含む口栓固定部であって、前記ねじのかみ合い表面は凹部の側壁のねじの軌道部の先端部でかみ合うように構成されてなる口栓固定部を含み、
突起のねじのかみ合い表面が、口栓に対する注射器プランジャーの一回転毎に、軌道部の先端部とかみ合うように、前記突起はユーザーによって加えられる力の下でプランジャーロッドと口栓の間の相対回転時にねじと交差するように更に構成される。
【0005】
随意に、少なくとも1つの突起はねじと交差する前にねじの軌道部に作用するように構成される。
【0006】
ねじの軌道部とのかみ合いは、軌道部に接している1つ以上の突起を含む。かみ合いは、プランジャーロッドに適用されたトルクの、ねじに作用する直線状の力への変換の必要がないという点で中立であり得る。1つ以上の突起がねじとかみ合う場合、それらはプランジャーロッドから口栓に直線状の力を適用し得る。軌道部で作用することは、ねじとかみ合わされる突起を含み、さらにねじに適用されたトルクを口栓に作用する直線状の力に変換する1つ以上の突起を含む。口栓が圧縮下にある場合、突起は、口栓内に蓄積されたエネルギーの配分を変更するために、および/または放出するために、ねじに作用することができる。その結果、プランジャーロッドは外方に付勢されない。突起がねじと交差した後、口栓の圧縮は配分の標準状態に戻り得、圧縮された口栓に蓄積されたエネルギーはプランジャーロッドを外方に付勢する。
したがって、ねじとのかみ合い、および/または、ねじへの作用によるプランジャーロッドの回転時に特定箇所でプランジャーロッドが外方に付勢されるのを防ぐように、突起が構成される
【0007】
随意に、プランジャーロッドは、複数の突起のおのおののかみ合い表面は、プランジャーロッドの回転の対応する角度でねじの起動部の箇所とかみ合うように、口栓固定部の周囲で角をなして離間された複数の突起をさらに含む。
【0008】
随意に、複数の突起が等角度で離間される。
【0009】
随意に、第1および第2突起は口栓固定部の反対側にある。
【0010】
随意に、第1突起ねじのかみ合い表面が軌道部の箇所とかみ合ったとき、第2突起のねじのかみ合い表面が前記軌道部の反対の更なる軌道部の箇所とかみ合うように、第1および第2突起が構成される。
【0011】
随意に、突起の各々はプランジャーロッド上の同じ縦方向の位置にある。
【0012】
随意に、少なくとも1つの突起のねじのかみ合い表面は、ねじを介して少なくとも1つの突起の直線状の運動を可能にするために角度がつけられる。
【0013】
随意に、プランジャーロッドは肩部を含み、前記肩部は、口栓固定部が前記肩部に受け取られるときに凹部を囲む口栓の表面と当接するように構成され、前記肩部はプランジャーロッドの凹部の中への縦方向の運動に、更に抵抗するように構成される。
【0014】
随意に、肩部が凹部を囲む口栓の表面に当接するとき、口栓固定部が凹部の底面に接していないように、口栓固定部は肩部から伸びている。
【0015】
随意に、少なくとも1つの突起は少なくとも1つの突起と肩部の間の口栓の一部を圧縮するようにねじに作用するように構成される。
【0016】
随意に、プランジャーロッドのキー部は非円形の断面部を有し、前記非円形の断面部は、プランジャーロッドの回転を防ぐために注射器の対応するキー穴とかみ合うように構成され、プランジャーロッドの断面部がキー穴と一列に並んだとき、ねじのかみ合い表面がねじの軌道部の箇所とかみ合うように、少なくとも1つの突起が位置づけられる。
【0017】
随意に、プランジャーロッドの突起がキー穴と一列に並んだとき、前記断面部がねじの軌道部に作用するように、突起が位置づけられる。
【0018】
本発明の一態様によれば、プランジャーが提供され、
該プランジャーは、
本明細書に記載されたとおりのプランジャーロッド、および
凹部と、該凹部の側壁上の雌ねじを含む口栓
を含み、
前記プランジャーロッドの口栓固定部は口栓の凹部内で受け取られる。
【0019】
本発明の一態様によれば、注射器が提供され、
該注射器は、
本明細書に記載されたとおりのプランジャー/プランジャーロッドを含む。
【0020】
随意に、バレル内のプランジャーの移動が物質をバレルから放出するように、プランジャーロッドは注射器のバレルの口内に受け取られ得、バレルの口は、プランジャーロッドのキー部の非円形の断面部に対応し、バレルに対するプランジャーロッドの回転を防ぐために、バレルとかみ合うように構成されたキー穴を含み、
プランジャーロッドのキー部がキー穴を通り抜けた後、プランジャーロッドはバレルと口栓に対して回転可能である。
【0021】
随意に、口栓は弾力的に変形可能であり、プランジャーロッドのキー部がバレルの口のキー穴を通り抜けると口栓をバレルの端部に押圧するように、プランジャーロッドが構成され、その結果、プランジャーの回転中に、エネルギーが口栓に蓄積され、バレルから外方の力をプランジャーロッドに付勢する。
【0022】
随意に、プランジャーロッドの少なくとも1つの突起のねじのかみ合い表面は、プランジャーロッドのキー部がキー穴と一列に並んだときに、口栓の側壁のねじの軌道部の箇所とかみ合うように構成され、その結果、口栓はキー穴から外方にプランジャーロッドを付勢するように拡がらない。
【0023】
随意に、少なくとも1つの突起は、プランジャーロッドのキー部がキー穴と一列に並んだときに、少なくとも1つの突起とプランジャーロッドの肩部の間の口栓の一部を押圧するように口栓の側壁のねじの軌道部に作用するように構成される。
【0024】
発明の典型的な実施形態は、添付図面を参照して本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図2は、プランジャーロッドと口栓を含むプランジャーの等角図である。
【
図3】
図3はプランジャーを示す、注射器のニードル端部で切断した縦断面図である。
【
図5a】
図5aは注射器のハンドル部分の等角図である。
【
図5b】
図5bは注射器のハンドル部分の平面図である。
【
図6a】
図6aは、動作の種々の段階でのプランジャーを示し、注射器のニードル端部で切断した縦断面図を示す。
【
図6b】
図6bは、動作の種々の段階でのプランジャーを示し、注射器のニードル端部で切断した縦断面図を示す。
【
図6c】
図6cは、動作の種々の段階でのプランジャーを示し、注射器のニードル端部で切断した縦断面を示す。
【
図6aa】
図6aaは、
図6aに対応する注射器のニードル端部で切断した横断面図を示す。
【
図6bb】
図6bbは、
図6bに対応する注射器のニードル端部で切断した横断面図を示す。
【
図6cc】
図6ccは、
図6cに対応する注射器のニードル端部で切断した横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一般に、注射器で使用される典型的なプランジャーロッドが本明細書に開示されており、前記プランジャーロッドは、注射器のバレルの端部に押圧して口栓を保持するように、および/またはプランジャーロッドが外方に付勢されるのを防ぐために口栓内に蓄積されたエネルギーを再分配するように構成される。典型的な方法および装置では、プランジャーロッドは、注射器中のキー穴を通り抜けて、ついでプランジャーロッドが通り抜けた後、回転するように構成され得る。そのような装置では、プランジャーロッドの回転は、回転中に1以上の箇所でプランジャーロッドがキー穴と一列に並ぶことをもたらし得る。そして、プランジャーロッドは、これら一列に並んだ箇所でキー穴を通して、口栓がプランジャーロッドを戻すのを防ぐように構成される。口栓に蓄積されたエネルギーの再配分は、口栓の1つ以上の部分の圧縮の量の変化を含み得る。
【0027】
プランジャーのストロークに適用される場合の「内方に」という用語は、注射器のバレル内で、かつ注射器のバレルの端部、典型的には針が取り付けられた端部の開口へと向かうプランジャーの縦方向の移動を含む。すなわち、バレルら物質を排出する方向である。ストロークに適用される場合の「外方に」という用語は、バレルからプランジャーの移動という反対の意味を有する。
【0028】
典型的なプランジャーロッドは、口栓のねじの軌道部上の箇所でかみ合うように構成された少なくとも1つの突起を含む。少なくとも1つの突起はプランジャーロッドの回転中の口栓のねじと交差するように構成され得る。すなわち、突起はねじの隣接した軌道部に交差し得る。
突起および/または口栓は、ねじと交差するために突起に所定のトルクが要求されるように構成される。所定トルクは、ねじと交差する前に、ねじに突起がしばらく作用するような状態であり得る。突起がねじに作用する箇所は、以下に詳細に説明されるように、プランジャーロッドがキー穴と一列に並ぶ箇所と一致するように構成されるかもしれない。このように、口栓に作用する突起によって生成された力を使用するかもしれないが、プランジャーロッドは口栓にねじ込むことはない。典型的な注射器プランジャーにおいて、口栓のねじの軌道部上の箇所との少なくとも1つの突起のかみ合いは、圧縮された状態で口栓を保持し、および/またはプランジャーロッドを外方に駆動するような口栓の膨張を防ぐ。
【0029】
図1aおよび1bは、第1端部102およびプランジャー軸104を含む典型的なプランジャーロッド100を示す。
図1bは、プランジャーロッド100の第1端部102の拡大図を示す。
第1端部102は複数の横に伸びる突起106a−106bを含む。
【0030】
本明細書に使用されるとおりの、用語「横方向」は、プランジャーロッドの縦軸と交わる方向を含む。一般に、横、縦、上部、より低いなどの相対的な用語は、記載を助けるために本明細書に使用されるものであり、発明の範囲を制限する必要はない。
【0031】
以下に述べるとおり、プランジャーロッド100の口栓固定部と称する第1端部102は、プランジャーを形成する口栓の凹部によって受け取られるように構成される。プランジャーロッド100と口栓の組合わせは本明細書の全体にわたってプランジャーと呼ばれる。
【0032】
口栓固定部102は、略丸形断面部を有し、口栓固定部102の端部に向かうプランジャーロッド100の肩部108から離れる方向に先細っている。プランジャーロッド100の口栓固定部102は、プランジャーロッド100から横方向に伸びる複数の突起106a−106bを含む。
図1aおよび1bの典型的なプランジャーロッド100において、突起106a−106bは、口栓固定部102の末端に位置づけられるが、突起106a−106bは第1端部102に沿った他の箇所に代替的に位置付けられ得る。
図1aおよび1bの典型的な注射器のプランジャー100は2つの対向する突起106a、106bを含む。すなわち突起106a、106bは、口栓固定部102から反対方向に伸びる。口栓固定部102は略円環状断面部を有しているので、突起106a、106bは正反対であると考えられうる。しかしながら、他の典型的な注射器のプランジャーが様々な角度で離間した他の数の突起を含み得ることが理解されるべきである。
【0033】
突起106a−106bの各々は、プランジャーロッド100の縦軸上の同じ箇所から横方向に伸びる。そのため、典型的なプランジャーロッド100において、肩部108と複数の突起106a,106bのおのおのと間の距離は、本質的に同一であり得る。他の装置において、突起は、プランジャーロッド100の縦軸上の異なる位置から伸び得る。
【0034】
突起106a、106bは、ねじのかみ合い表面110a、110bを含み得る。ねじのかみ合い表面110a、110bは、口栓のねじと接触するように構成され、かつプランジャーロッド100の縦軸に垂直な平面から後方に角度が付けられている。ねじのかみ合い表面110a、110bは、プランジャーロッド100の縦軸から垂直に伸びる横方向の軸に対して30度から40度までの範囲の角度にある。特定の装置において、ねじのかみ合い表面110a、110bは、横方向の軸に対して36度の角度にある。角度が付けられたねじのかみ合い表面110a、110bは、プランジャーロッド100の口栓固定部がねじを乗り越えることにより直線状に口栓に駆動されることを可能にするように構成される。
【0035】
突起106a、106bの横方向の外方限界間の距離は、3mmから4mmまでの範囲にあり得、特定の装置では3.8mmであり得る。各突起106a、106bの横方向の延長は、0.5mmから1mmまでの範囲にあり得、特定の実施例において、0.6mmであり得る。突起は0.5mmから1mmまでの範囲の幅を持ち得る。突起106a、106bはプランジャーロッド100に対して直角に伸び得、特定の典型的な装置においてねじのかみ合い表面は口栓のねじの角度と一列に並ばない。突起106a、106bは硬質プラスチック材料から製造され得る。
【0036】
肩部108は曲げられ、以下に述べるように、口栓の表面に当接するように構成される。肩部108から突起106a、106bの上部表面までの距離は、2mmから3mmまでの範囲にあり得、特定の装置において2.5mmであり得る。
【0037】
プランジャーロッド100と協働するように構成された口栓のねじが刻設された凹部の内径は2mmから3mmまでの範囲にあり得、特定の装置において2.6mmであり得る。
【0038】
上に示された寸法が1mlの注射器に関するものであることは注目され、それらは他の容量の注射器についての使用のために縮小・拡大され得る。プランジャー軸104はその長さのいくらか、あるいはすべてに亘って非円形の断面部を持っている。非円形の断面部があるプランジャー軸106の部分は、プランジャーロッド100のキー部と称する。キー部の断面形状は、以下に述べるように、プランジャーロッド100の回転を防ぐために注射器中、相応して形作られた隙間(キー穴)とかみ合うように構成される。典型的な装置では、キー部の断面形状は向かい合った平坦なエッジ部と、向かい合った外方に曲がったエッジ部を含み、わずかに圧縮した矩形の印象を与え、その辺は外方に膨れている。突起106aおよび106bはキー部の断面形状と一致し、その結果、ねじのかみ合い表面110a、110bは、プランジャー軸104の断面形状が注射器の隙間と一列に並んだとき、プランジャーロッド100の回転中にいくつかの箇所で口栓のねじとかみ合うか、および/または口栓のねじに作用する。これは以下により詳細に述べる。典型的な装置では、プランジャーロッド100は、
図1aおよび1bにおいて目に見えない雌ねじを含み得る。これは以下により詳細に述べる。
【0039】
図2は、プランジャーロッド100および口栓112を含むプランジャー200の等角図を示す。口栓固定部102(
図2には図示されず)は、口栓112中の凹部内で受け入れられる。
【0040】
図3は典型的な注射器のニードル端部で切断した断面図を示し、プランジャーロッド100の口栓固定部102が口栓112の凹部114内でどのように適合するかを示している。突起106a、106bは、口栓112の凹部114の内周面でねじとかみ合う。プランジャーロッド100の口栓固定部102は、口栓112内でそれによって保持される。
【0041】
口栓112の凹部114は、凹部114の一側面で隣接する複数の軌道部116a−116cを含むねじを備える。螺旋状の経路をとっている単一の軌道だけが存在すると認識されるが、軌道116a−116cの部分は隣接していると考えられる。
【0042】
肩部108は、口栓112の上部表面と当接する。口栓112の上部表面は凹部114を取り囲む表面である。そのため、プランジャーロッド100の口栓112の凹部114への更なる縦方向の移動は抵抗される。口栓112は、ゴム引きされた材料のような弾力的に変形可能材料から作られ得る。そのため肩部108は、口栓が十分に圧縮されるとき、更に、凹部107内のプランジャーロッド100の第1端部102の縦方向の移動が可能なので、縦方向への移動を防ぐより寧ろ縦方向の移動に抵抗する。
【0043】
プランジャーロッド100が口栓112と結合されるとき、突起106a、106bは、口栓112の軌道116a−116cの対向部と接触し得る、或いは他の突起106a、106bが軌道部同士の間の箇所にある間、突起106a、106bは、軌道部と接触する。
【0044】
図4は、プランジャー200を含む典型的な注射器400の断面図を示し、
図1〜3に示される特徴を含み得る。
【0045】
典型的な注射器400は、プランジャー200が受け入れられるバレル402をさらに含む。
プランジャー200が受け入れられるバレル402の口は、プランジャー軸104のキー部の断面部に対応するキー穴を含んでいる。そのため、プランジャーロッド100は、キー穴におけるキー部のかみ合いによって回転することが妨げられる。
図4の典型的な装置では、バレル402の口でのキー穴は、注射器のハンドル404内に設けられる。ハンドル404は、
図5aおよび5bに、より詳細に示され、下に議論されるが、バレル402に固着され、かつ使用の間に注射器のユーザーの人差し指および中指を受け取るように一般に構成される。
【0046】
プランジャーロッド100のキー部がキー穴を通り抜けた後、プランジャーロッド100が、バレル402および口栓112に対して自由に回転することができるように注射器400が形成される。特定の典型的な装置では、プランジャーロッド100は完全にキー穴を通り抜けるように構成される。キー部がキー穴を通り抜ける前に、口栓112が肩部108によって圧縮されるように、プランジャーロッド100の長さが構成される。
【0047】
図4に示される典型的な注射器400は、さらに安全プランジャー406およびシース408を含む。プランジャー200と安全性プランジャー406を区別するために、プランジャー200は
図4の記載のために注射器プランジャーと称する。注射器プランジャー200は注射器400のバレル402内に位置づけられ、バレル内で移動するように構成される。注射器プランジャー200は内部ストロークで移動し得、該内部ストローク中に注射器プランジャー200は、物質を放出すためにバレル402内へとさらに移動するか、あるいは外部ストロークで移動し、該外部ストローク中に注射器プランジャー200はバレル402から引かれる。皮下注射針410はバレル402の端部411に適合され、物質がバレルから放出されることを可能にするように構成される。
【0048】
安全プランジャー406はシース408および注射器プランジャー200に結合される。したがって、下に説明されるように、安全プランジャー406の移動はシース408と安全プランジャー200の移動を引き起こす。
図4の典型的な装置では、安全プランジャー406、シース408および注射器プランジャー200の間の結合は、それらがともに移動するという点において、各々の縦方向の同一の移動量をもたらす。
【0049】
注射器プランジャー200への安全プランジャー406の結合は、注射器プランジャー200の対応するねじが刻設された開口414内に受け入れられるねじが刻設された挿入物によって提供される。ねじが刻設された挿入物412によって、注射器プランジャー200のキー部のキー穴とのかみ合いによって、開口414のねじに作用すること、及び注射器プランジャー200を回転させることが妨げられる。安全プランジャー406が、その内部ストローク上の点で注射器プランジャー200から分断するように、注射器400が構成される。縦方向の分断は、キー穴を通り抜ける注射器プランジャー200のキー部によって提供され、その後、ねじが刻設された挿入物412は、バレル402および口栓112に対してプランジャーロッド100を回転させるために、開口414のねじに作用する。したがって分断は、安全プランジャー406および注射器プランジャー200の独立した縦方向の移動を可能にする。本明細書において使用される「分断された」という用語は、相対運動が構成部品間で許されるあらゆる状況を含み得る。特定の構成部分において、相対運動は相対的な縦方向の移動であり得る。これは本明細書に開示されたすべての装置に当てはまる。すなわち、プランジャーロッドは、注射器プランジャーから分断されるために、安全プランジャーから分離される(detached)或いは切り離される(separated)必要はない。
【0050】
プランジャーロッド100の回転は、口栓112と突起106a、106bの凹部114の口栓固定部102を回転させる。したがって、本明細書に記載されるように、口栓112の雌ねじのねじ部116bとかみ合う。
【0051】
分断後の安全プランジャー406の継続的な移動は、シース408のニードル410を超える移動を可能にする。
【0052】
図5aは、注射器を通過するプランジャーロッド100を備えた注射器400のハンドル404の等角図を示す。
図5bは、ハンドル404の平面図を示す。
図5bで示されるように、キー穴500は対向するストレートエッジ502a、502bと、対向する外側に曲がったエッジ504a、504bを有する。
図5aで見られるように、プランジャーロッド100はキー部上に対応する断面部を持っている。対向するストレートエッジ502a、502bは、キー部がキー穴500とかみ合うときに、プランジャーロッド100の回転を防ぐ。
図5aで見られるように、プランジャーロッドのキー部は、ヘッド側の端部506までずっと伸びる。したがって、プランジャーロッド100は完全にキー穴500を通り抜けることができる。
【0053】
図6a−6cは、安全プランジャー406からの縦方向分断後、プランジャーロッド100の多数の回転角度で注射器400を切断する部分を示している。
【0054】
図6aおよび
図6aaは、プランジャー200の内部の全ストロークであって、かつ口栓112に対してプランジャーロッド100の回転前のプランジャーロッド100の位置を示す。プランジャーロッド100がキー穴500を通り抜けると、プランジャーロッド100のキー部は、もはやキー穴500とかみ合わない。したがって、プランジャーロッド100は、口栓112に対して自由に回転することができる。
【0055】
口栓112が、凹部114を囲む口栓112の表面と当接するプランジャーロッド100の肩部108と注射器バレル402の端部411との間で圧縮した状態で置かれると、プランジャーロッド100と安全プランジャー406は縦方向に分断される。この箇所で、プランジャーロッド100のキー部は、キー穴500と、典型的には注射器400と一列に並び、ユーザーによって安全プランジャー406に加えられた更なる力は、ねじが刻設された挿入物412に対して開口414のねじを作用させ、注射器400のバレル402内のプランジャーロッド100を回転させる。
【0056】
図6aおよび
図6aaで見られるように、突起106bのねじかみ合い表面110bは、口栓112の雌ねじの軌道部116bとかみ合う。対向する突起106aは、口栓112の雌ねじと交差しており、軌道部とかみ合わない。他の装置では、対向する突起106aはねじの対向する軌道部とかみ合い得る。上述したように、プランジャーロッド100と安全プランジャー406が分断する前に、口栓112は圧縮下に置かれる。口栓112は、プランジャーロッド100のキー部とキー穴との不揃いによってプランジャーロッド100の回転中にほとんどの箇所において圧縮下で保持される。すなわち、プランジャーロッド100を「外方に」押すため圧縮した口栓112によりプランジャーロッド100の肩部108に加えられた力は、ハンドル404によって抵抗されるが、これはキー部とキー穴500の不揃いによる。
【0057】
しかしながらプランジャーロッド100の一回で360度の回転中、1箇所以上で、プランジャーロッド100のキー部は、キー穴500と一列に並ぶものと認識される。例えば、典型的なプランジャーロッド100の一回の回転中に、一列に並ぶことがプランジャーロッド100の回転で2箇所で生じる:180度および0度/360度の回転で。そのため、口栓112は、プランジャーロッド100の回転ですべての箇所における不揃いのために圧縮状態で保持することができない。圧縮状態で口栓112を保持する更なる手段なしには、口栓112によってプランジャーロッド100の肩部108に加えられた力は、キー穴500によってプランジャー100を押し返すであろう。プランジャーロッド100のそのような外方への移動は0.25mmから0.75mmまでの範囲にあり得る。
【0058】
突起104a、104bの少なくとも1つが圧縮状態で口栓112を保持するように、および/またはプランジャーロッド100の、キー部がキー穴と一列に並ぶ回転角度で口栓に蓄積されたエネルギーを再配分するためにねじに作用するよう、構成されるように、プランジャーロッド100の突起106a−106bが位置づけられる。
【0059】
突起の数および一列に並ぶことと、プランジャーロッド100の口栓固定部102の周りの突起の配置は、キー部の断面部と、一回の360度の回転中に、何度キー部がキー穴500と一列に並ぶのかに、依存することが認識される。そのため、この実施例の目的で使用される突起の配置および数は、説明の目的だけのためのものであり、限定されない。
【0060】
図6bおよび
図6bbは、分断後の、90度の回転の口栓112とのプランジャーロッド100のかみ合いを示している。この位置では、キー部とキー穴500は不揃いであり、そのため、圧縮状態で口栓を保持するためには、突起106aが口栓112のねじとかみ合う必要はない。
【0061】
突起106a、106bは、プランジャーロッド100の開口414のねじに作用するねじが刻設された挿入物412を介してユーザーの親指により適用されたトルク下で突起106a、106bが口栓112の雌ねじと交差するように構成される。トルクは、ユーザーによって適用される約12Nの直線状の力によって生成される。口栓112のねじの軌道部が製造される材料は、突起がねじと交差するのに必要なトルクに寄与する。したがって、ねじと突起は、ともに突起がユーザーによって適用されるトルク下でねじと交差することを保証するために構成される。本明細書に示された典型的な構成において、プランジャーロッド100の肩部108は、口栓112の凹部114における口栓固定部112の更なる運動に抵抗する。これは、ねじの軌道部内での口栓固定部の継続的な移動を防ぎ、そのため、突起106a、106bは、ユーザーによって適用されるトルク下でねじと交差する。
【0062】
図6bおよび
図6bbにおいて、突起106a−106bは、口栓のねじと交差している。キー部は、キー穴500と不揃いであり、そのため口栓はハンドル404によって圧縮状態で保持される。
【0063】
図6cおよび
図6ccで、プランジャーロッドは、
図6bおよび
図6bbの中の位置から90度乃至180度まで回転している。プランジャーロッド100のキー部は、ハンドル404のキー穴500と一列に並ぶ。そのため、プランジャーロッドは、圧縮した口栓112によって加えられた力の下でキー穴500から外方に付勢され得る。もしこれが起こることを許されれば、安全プランジャー406がシースの展開中に注射器プランジャー200から縦方向の分断後に押圧されると、この移動はユーザーによって感じられる。プランジャーロッド100がキー穴500と瞬間的にかみ合うと、移動は、安全プランジャー406の移動におけるジャダー(judder)として感じられるだろう。
【0064】
突起106aがねじの軌道部116bと交差すると、ねじかみ合い表面110aはねじの軌道部とかみ合う。これは、圧縮状態で口栓を保持し、かつキー穴500にプランジャーロッド100を付勢する膨張に抵抗するために口栓112への圧縮力を提供する。代替的に、あるいは追加的に、突起106bは、ユーザーによってプランジャーロッド100に適用されたトルク下でねじの軌道部116bに作用する。ねじに作用することは、ねじの軌道部116bに沿った突起106aの移動によりプランジャーロッド100に適用されるトルクが口栓112の直線運動に変換されることを意味する。この直線運動は突起106aと肩部108の間の軌道部116b上の口栓の部分をはさむか圧縮するように作用する。これは、軌道部116bより下の口栓112の大部分の蓄積エネルギーを取り除く効果がある。すなわち、軌道部116b上の口栓112の部分の圧縮は、軌道部116bより下の口栓112の部分の膨張を許す。その結果、口栓112はキー穴500に尾ウランジャーロッド100を付勢するために拡大しない。これは口栓112に蓄積されたエネルギーの再配送である。
【0065】
キー部がキー穴500と不揃いで、突起106aがねじを乗り越えて交差するように、プランジャーロッド100のキー部がさらに回転する。したがって、本明細書に記載された典型的なプランジャーロッドは、口栓の凹部と螺合する口栓固定部なしに、かつ2つが一列に並んだときにキー穴からする口栓に蓄積されたエネルギーなしに、口栓に対するプランジャーロッドの相対運動を可能にする。認識されるように、プランジャーロッド100がさらに180度だけ回転するとき、同じ原理が突起106bに適用される。
【0066】
典型的な突起は、プランジャーロッド100の回転中に隣接した軌道部116aおよび116cにねじを交差される。
【0067】
当業者は添付された特許請求の範囲から逸脱することなしに、他の注射器およびその特徴を想到することができるだろう。