特許第6974447号(P6974447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6974447吸収性半結晶性ポリマーフィルムを積層する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974447
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】吸収性半結晶性ポリマーフィルムを積層する方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/15 20060101AFI20211118BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20211118BHJP
   B29C 55/02 20060101ALI20211118BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B32B37/15
   B29C48/08
   B29C55/02
   B32B27/00 C
【請求項の数】23
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-515311(P2019-515311)
(86)(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公表番号】特表2020-500734(P2020-500734A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】US2017046846
(87)【国際公開番号】WO2018052608
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2020年6月12日
(31)【優先権主張番号】15/267,700
(32)【優先日】2016年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリック・ササ
(72)【発明者】
【氏名】エジディオ・ドミニク
【審査官】 南 宏樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−527997(JP,A)
【文献】 特開2004−142305(JP,A)
【文献】 特表2015−519099(JP,A)
【文献】 特表2013−505109(JP,A)
【文献】 特表2015−511649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
A61L 15/00−33/18
A61F 13/00−13/84
B29C 48/08
B29C 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層医療用デバイス構造体を作製する方法であって、
a)140℃以上の融点温度、25℃未満のガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムを押し出す押出ステップであって、前記半結晶性ポリマーフィルムは、室内条件で結晶化可能である、押出ステップと、
b)前記半結晶性ポリマーフィルムを押し出した後10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、前記積層医療用デバイス構造体を形成するために前記半結晶性ポリマーフィルムを、140℃以上の温度の加工温度にさらされると化学的分解又は物理的歪みを受ける感熱性ポリマー基材に直接積層する積層ステップと、を含み、前記半結晶性ポリマーフィルムは、前記半結晶性ポリマーフィルムを120℃以下の温度で前記感熱性ポリマー基材上に積層するために、10%以下の前記結晶化度を有し、前記感熱性ポリマー基材は、前記化学的分解及び前記物理的歪みを受けておらず、前記半結晶性ポリマーフィルムは前記感熱性ポリマー基材に積層される、方法。
【請求項2】
前記感熱性ポリマー基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半結晶性ポリマーフィルムは、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半結晶性ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記半結晶性ポリマーフィルムは、それぞれ7対25%のモル比でグリコリドとイプシロンカプロラクトンとのコポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記感熱性ポリマー基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
記結晶化度は、押し出し後の最初の30分で0〜10%、24時間より長い滞留/エージング時間の間に20%超、変化する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
押出された前記半結晶性ポリマーフィルムは、前記感熱性ポリマー基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
積層医療用デバイス構造体を作製する方法であって、
a)140℃以上の融点温度、25℃を超えるガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムを押し出す押出ステップと、
b)前記半結晶性ポリマーフィルムを押し出した後10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、前記積層医療用デバイス構造体を形成するために前記半結晶性ポリマーフィルムを、140℃以上の温度の加工温度にさらされると化学的分解又は物理的歪みを受ける感熱性ポリマー基材に直接積層する積層ステップと、を含み、前記半結晶性ポリマーフィルムは、前記半結晶性ポリマーフィルムを120℃以下の温度で前記感熱性ポリマー基材上に積層するために、10%以下の前記結晶化度を有し、前記感熱性ポリマー基材は、前記化学的分解及び前記物理的歪みを受けておらず、前記半結晶性ポリマーフィルムは前記感熱性ポリマー基材に積層され、前記半結晶性ポリマーフィルムは、少なくとも10%の達成可能な前記結晶化度を有する、方法。
【請求項10】
前記感熱性ポリマー基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記半結晶性ポリマーフィルムは、グリコリド又はラクチドのホモポリマー、それらのコポリマー、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記感熱性ポリマー基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記半結晶性ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
押出された前記半結晶性ポリマーフィルムは、前記感熱性ポリマー基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマーフィルムをポリマー基材に積層する方法であって、
a)140℃以上の溶融温度を有する吸収性ポリマーを、スリットダイを備えた溶融押出機のホッパーに、前記吸収性ポリマーの前記溶融温度より10℃高い範囲内のバレル及びダイ温度で移送するステップと、
b)前記吸収性ポリマーを、前記スリットダイを通して押し出し、それによって前記ポリマーフィルムを形成する押出ステップと、
c)前記ポリマーフィルムが0.254μm〜254μm(0.01ミル〜10ミル)の厚さを有するように、前記ポリマーフィルムを延伸する延伸ステップと、
d)前記ポリマーフィルムが10%以下の結晶化度を有する、ステップc)の下での前記押出ステップ後0〜10分の間の時間間隔において、新たに押し出された前記ポリマーフィルムと前記ポリマー基材との間の接触を提供するステップと、
e)120℃以下の温度で、積層構造体を形成するために前記ポリマーフィルム及び前記ポリマー基材を熱プレスするステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記ポリマー基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマーフィルムは、グリコリド又はラクチドのホモポリマー、それらのコポリマー、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーフィルムは、それぞれ75対25%のモル比でグリコリドとイプシロンカプロラクトンとのコポリマーを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
記結晶化度は、押し出し後の最初の30分で0〜10%、24時間より長い滞留/エージング時間の間に20%超、変化する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
押出された前記ポリマーフィルムは、前記ポリマー基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
記ポリマーフィルムは、少なくとも10%の達成可能な前記結晶化度を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関連する技術分野は、吸収性及び部分吸収性医療用途のための様々な感熱性基材上への吸収性、半結晶性、高融点ポリマーフィルムの積層のための新規な方法である。
【背景技術】
【0002】
合成吸収性ポリエステルは、当該技術分野において周知である。吸収性、生体吸収性、生体再吸収性、再吸収性、生分解性なる用語は、本明細書では互換可能に用いられる。公開文献及び特許文献には特に、グリコリド、L(−)−ラクチド、D(+)−ラクチド、メソ−ラクチド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートから作製されるポリマー及びコポリマーが記載されている。
【0003】
ポリマーフィルム、又は基材及び積層フィルムを含む複合構造体の形態の医療用デバイスは、当該技術分野において公知であり、組織修復、ヘルニア修復、臓器修復などを含む様々な外科用途において有用性を有する。
【0004】
生体吸収性フィルム、及び生体吸収性ポリマー材料からのそのようなフィルムを形成するためのプロセスについては、様々な研究者が長年にわたって記載しており、例えば、米国特許第7,943,683(B2)号、「Medical Devices Containing Oriented Films of Poly−4−hydroxybutyrate and Copolymers」、米国特許第8,030,434(B2)号、「Polyester Film,Process for Producing the Same and Use Thereof」、米国特許第4,942,087(A)号、「Films of Wholly Aromatic Polyester and Processes for Preparation Thereof」、米国特許第4,664,859A号、「Process for Solvent Casting a Film」、及び、米国特許第5,510,176(A)号、「Polytetrafluoroethylene Porous Film」などがある。ポリマーフィルムを製造するための様々な従来の方法論及びプロセスが公知であり、存在する。これらには、溶融押出、溶液流延、及び圧縮成形が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、全てのポリマーをフィルム製品に容易に転化することはできない。更に、異なる転化技術は異なる課題を有している。溶融押出法の場合、樹脂は、熱的に安定で、適切な融解粘度、すなわち、「液だれ」が生じるほど低すぎず、押出成形機の中で非常に高い圧力を発生させて不安定性及び不均一な結果をもたらすほど高すぎない融解粘度を示す必要がある。低いガラス転移温度を有する樹脂の場合、ポリマー形態がいくつかの鎖配向を有する場合には、この樹脂から製造されるフィルムの寸法安定性は非常に低くなり得る。これは、収縮及び変形の大きな駆動力となる。寸法不安定性の問題を回避するために、フィルムにおいてある程度の結晶化度が発現するのが有利である。結晶化速度は、堅牢なフィルム押出プロセスを確立する上で重要であり、全体的な結晶化度レベルは、寸法安定性及び良好な機械的特性を達成する上で重要である。結晶化度レベルが低すぎると、エチレンオキシドによる滅菌時、又は加工、輸送、若しくは貯蔵中に軽度に上昇した温度にさらされた時でさえ、フィルムが変形することがあることが知られている。特定の外科用途においては、最終フィルムが適切な引き裂き抵抗を有して強く、しかも良好な取扱い特適性を有するのに十分なほど柔軟であることが望ましい。そのような外科用途の例としては、周囲組織への固定手段としての縫合及び/又はタッキングを必要とするヘルニアフィルム含有修復パッチ、フィルムが耐荷重構成要素である場合に、移植前に広範な取扱い及び操作を受ける様々なフィルムベースの医療用デバイス、などが挙げられる。
【0005】
フィルムを製造するために使用される吸収性ポリマーは、それが溶融押出プロセスによって外科用フィルム製品を製造するのに適したものにしようとする場合には、特定の溶融及び熱特性、特定の結晶化特性、並びに特定の機械的及び加水分解特性を有さなければならない。溶液流延法によって製造されるフィルムの場合、ポリマー樹脂は、好適な溶媒に対して適切な溶解度を有している必要がある。好適な溶媒は、有利には、好適な蒸発速度を示す適切な蒸気圧曲線を有し、一般に非毒性である。次に、ポリマーは、溶液流延プロセスによって外科用フィルム製品を製造するのに適したものにしようとする場合には、特定の溶解度及び結晶化特性、並びに特定の機械的特性及び加水分解特性を有している必要がある。
【0006】
異なる基材上にポリマーフィルムを積層する方法が、特許文献に記載されている。例えば、米国特許第8,349,354(B2)号(Andjelic)は、吸収性布地又は不織布基材、及び基材の1つの主面上に積層された連続的な非多孔質ポリマーフィルムを有する止血複合構造体について記載している。しかしながら、フィルム層は、非晶質ポリマー材料、又は120℃未満の融点温度を有する半結晶性ポリマー材料に限定されている。
【0007】
120℃よりかなり高い融点温度(例えば、約200℃)を有するポリマーフィルムの積層のために、米国特許第7,615,065号及び米国特許第8,821,585(B2)号に記載されているように、高融点ポリマーフィルムと基材の間に接着剤層を追加することを含む様々なアプローチが従来技術において使用され開示されている。市場では、ETHICON Physiomesh(商標)メッシュデバイスは、非吸収性ポリプロピレンメッシュと結合した吸収性ポリマーフィルム(75/25 Gly/Cap樹脂系の)から製造される市販のヘルニアメッシュ製品である。メッシュ上に高融点ポリマーフィルムを接合するために、メッシュの両側に低融点ポリ(p−ジオキサノン)系フィルム(融点110℃)の中間層を使用して、これら3つの構造体を互いに接着して複合構造体を形成する。接着剤層/フィルムが接合に使用されない場合、吸収性ポリマーフィルムをメッシュに接着するためには150℃を超える高温が必要とされ、その結果、メッシュの歪み及び収縮が生じる。一方、接合目的のための追加の層の存在は、有害な組織反応(遊離酸などのより多くの分解生成物が放出される)、生体適合性の危険性を増加させ、かつデバイスの剛性を増加させる。追加の層の存在はまた、生産コストを著しく増加させ、かつそのような医療用デバイスの製造を複雑にもする。
【0008】
上述の技術と同様に、米国特許第3,467,565(A)号は、ポリエチレンなどの低融点プラスチックフィルムを用いて、ナイロンなどの高融点プラスチックフィルムをキャリアウェブ上に積層することを記載している。この開示は、この技術を吸収性ポリマー系に使用することに関しては言及していない。
【0009】
米国特許第4,475,971(A)号に記載されている強力なクロスラミネートフラットフィルムを形成する方法は、高融点層及び低融点層を有する複合共押出フィルム構造体を含む。高融点層はポリエチレン、ナイロン、ポリエステル又はポリプロピレンであってもよく、一方低融点成分は、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、低密度ポリエチレンポリマー及びエチレン/プロピレンコポリマーからなる群から選択される。また、接着剤としての低融点成分は、全ての非吸収性成分に使用される。
【0010】
米国特許第6,911,244(B2)号は、感熱性材料、好ましくはエチレンビニルアルコールから作製されたバリア層と、2つ以上の接着剤層によって封入された少なくとも1つの基材、好ましくは配向されたポリプロピレンから作製されたバリア層を含む可撓性フィルム用のカプセル化されたバリアについて記載している。接着剤層は、接合機能を有することに加えて、ハードウェアの高温及びハードウェア内の長い滞留時間からバリア材料を保護することもできる。
【0011】
米国特許出願公開第20130001782(A1)号は、半導体デバイスの製造のために3層構造上に高融点はんだ付け層を積層するために低融点金属薄膜を利用する方法を教示している。
【0012】
生分解性高強度ポリマー繊維を第2の生分解性接着剤ポリマーと互いに接合し、少なくとも片面に第3の生分解性ポリマーの薄いフィルムを積層することによって作製された複合メッシュ材料のシートを含む、血管に使用するための生分解性メッシュ及びフィルムステントが、米国特許第5,629,077号に記載されている。積層は、イプシロン−カプロラクトン又はメッシュ構造中の低融点温度の複数の繊維などの低温接着性生分解性層を介した熱接着によって達成される。
【0013】
多層フィルム構造を有し、低い蒸気及びガス透過性を有する積層食品包装が、米国特許第3,932,693(A)号に記載されている。この構造は、10重量%を超える酢酸ビニル含有量を有するエチレン/酢酸ビニルコポリマーフィルムの層を使用して塩化ビニリデンポリマーの層の上に積層された配向ポリプロピレンフィルムのベース層を含む。
【0014】
米国特許第4,119,481(A)号は、高エネルギー赤外線放射を使用してビニル、ポリエステル又はウレタンポリマーから作製された熱可塑性フィルムを有する非晶質シリカ繊維から作製された溶融積層高温布地を記載している。高エネルギーは、短い時間及び空間で優先的に吸収され、熱可塑性フィルムとの所望の接着度をもたらすのに十分な温度の上昇をもたらす。この積層方法は追加の接着剤要素を必要としないが、布及び/又はフィルムが吸収性ポリマーから作製される場合には高エネルギー放射線の使用は分解を引き起こす可能性がある。
【0015】
積層ナイロン系布地の製造方法は、米国特許第2,269,125(A)号に記載されている。この方法は、熱圧着を容易にするために布地を水で処理することを提供する。吸収された水分は、ガラス転移温度を著しく下げ、ナイロン系繊維の熱伝導率を高め、より低い積層温度を可能にする。しかしながら、吸収性ポリマー構造体に熱を伴う水分を使用すると、著しいポリマー分解を引き起こすであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
要約すると、水分を含む任意の追加の接着剤層又は任意の種類の糊物質を必要とせずに、様々な感熱性吸収性又は非吸収性基材上に、高融点、半結晶性吸収性フィルムを効果的に積層する新規な方法に対する強く継続的な必要性が当該技術分野において存在する。感熱性基材の積層は、化学的分解及び物理的歪みを回避するために、120℃以下などの低い積層温度を用いて行う必要があり、そのような基材の積層を提供するために新規な方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、新規な積層方法及び積層医療用デバイス構造体が開示される。
【0018】
本発明の一態様は、積層医療用デバイス構造体の製造方法である。140℃以上の融点温度、25℃未満のガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムが押し出され、当該ポリマーフィルムは室内条件/周囲条件で結晶化可能である。
【0019】
ポリマーフィルムは、ポリマーフィルム押し出し後約10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、積層医療用デバイス構造体を形成するために感熱性ポリマー基材に積層され、当該フィルムは、約10%以下の結晶化度を有し、約120℃以下の温度で基材上に積層され、それによって基材は損傷を受けず又は分解されず、フィルムは基材に効果的に積層される。
【0020】
本発明の別の態様は、積層医療用デバイス構造体の製造方法である。140°以上の融点温度、25℃を超えるガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムが押し出される。
【0021】
ポリマーフィルムは、ポリマーフィルム押し出し後約10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、積層医療用デバイス構造体を形成するために感熱性ポリマー基材に積層され、当該フィルムは、約10%以下の結晶化度を有し、約120℃以下の温度で基材上に積層され、それによって基材は損傷を受けず又は分解せず、フィルムは基材に効果的に積層され、積層ポリマーフィルムは、少なくとも約10%の達成可能な結晶化度を有する。
【0022】
本発明の更に別の態様は、感熱性ポリマー基材上にポリマーフィルムを積層する方法である。最初に、溶融温度を有する吸収性ポリマーを、スリットダイを備えた溶融押出機のホッパーに、当該吸収性ポリマーの溶融温度より約10℃高い範囲内のバレル及びダイの温度で移送する。吸収性ポリマーを、当該スリットダイを通して押し出し、それによってフィルムを形成する。フィルムが0.254μm〜254μm(0.01ミル〜10ミル)の厚さを有するように、フィルムを約0.8倍〜約10倍に延伸する。フィルム押し出し後0〜10分の時間間隔において、約10%以下の結晶化度を有する新たに押し出されたポリマーフィルムと感熱性ポリマー基材との間に接触を提供する。その後、120℃以下の温度で、積層構造体を形成するためにフィルム及び基材を熱プレスする。
【0023】
本発明のなお更なる別の態様は、上記の方法のうちのいずれかを使用して作製された積層医療用デバイス構造体である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「感熱性ポリマー基材」は、140℃以上の温度などの比較的高い加工温度にさらされると、化学的分解又は様々な物理的歪み(例えば収縮)を受ける、メッシュ又は不織布若しくは織布の多孔質構造の形態のポリマー基材を意味する。ポリマーフィルムは吸収性ポリマーから作製されることが好ましいが、代替実施形態では、ポリマーフィルムは非吸収性ポリマーから作製されてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「積層フィルムの達成可能な結晶化度」は、アニーリングなどの様々な熱及び加工手段を適用することによってポリマーフィルムが達成できる結晶化度の最大レベルを意味すると定義される。
【0026】
本発明は、140℃以上の高融点を示し、25℃以下のガラス転移温度を有する半結晶性ポリマーフィルムに適した新規な積層方法に関する。好ましい実施形態では、ポリマーフィルムは吸収性である。そのようなフィルムは、不織布又は織布、吸収性又は非吸収性ポリマー基材、特に感熱基材上に積層することができ、その積層は120℃以下の中程度の加工温度で行われる。本発明の別の態様は、140℃以上の融点、及び25℃より高いガラス転移温度を示し、積層ポリマーフィルムにおいて10%以上の達成可能な結晶化度レベルを有する、吸収性、半結晶性ポリマーフィルムに適した新規な積層方法である。好ましい実施形態では、ポリマーフィルムは吸収性である。そのようなフィルムは、不織布又は織布、吸収性又は非吸収性ポリマー基材、特に感熱基材上に積層することができ、その積層は120℃以下の中程度の加工温度で行われる。
【0027】
本発明の実施に有用なコポリマーから製造されたフィルムは、組織分離障壁、強化バットレス材料、止血、薬物送達及び癒着防止を含む様々な医療用途に使用され得る。フィルムを他のデバイス(メッシュ及び他の織物など)に積層して多層構造を形成することができる。
【0028】
一実施形態では、フィルム層は、140℃を超える融点を有する半結晶性吸収性ポリマーであるポリマー材料から作製される。別の実施形態では、フィルム層は、150℃を超える、より好ましくは180℃を超える融点温度を有するポリマー材料から作製される。他の実施形態では、フィルム層は、約25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー材料から作製される。本発明のプロセスの別の実施形態では、フィルム層は、140℃を超える融点を有し、約25℃を超えるガラス転移温度を有し、積層フィルムにおける達成可能な結晶化度レベルは10%以上である、半結晶性の吸収性ポリマーであるポリマー材料から作製される。
【0029】
本発明は、少なくとも2つの反対方向を向く主表面エリアを有する生体吸収性布地又は不織布基材、及び基材の少なくとも1つの主表面上に積層されたポリマー系フィルム、を有する止血複合構造体にも関する。止血は、創傷部位に複合構造体を適用することによって達成され、ここでフィルム層のない基材の主表面が創傷部位に適用される。生体吸収性布地基材は、酸化多糖類であってもよく、及び/又は不織布基材は、生体吸収性の非セルロース由来のポリマーから作製されてもよい。ポリマー系のフィルムは、ポリ(エトキシエチレンジグリコレート−コ−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(アミノ酸)並びにそのコポリマー及びターポリマーからなる群から選択される生体吸収性ポリマーなどの従来の生体吸収性ポリマーであることができる。これには、ラクチド及び/又はグリコリドのホモポリマー、コポリマー、並びに、ラクチド及び/又はグリコリドと、カプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及び様々なポリエーテルエステル配合物を含む低融点成分とのコポリマーも含まれる。一実施形態では、基材は酸化再生セルロースから作製され、トップコートフィルムはコポリマー、好ましくは75/25ポリ(グリコリド−コ−イプシロンカプロラクトン)である。特に好ましい実施形態では、フィルムは約0.1〜10ミルの範囲の厚さを有する。別の実施形態では、ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの非吸収性の従来のポリマー用に作製される。
【0030】
本発明の積層複合構造体は、凝固促進剤酵素などの止血剤を含む止血剤などの生物活性剤、タンパク質及びペプチド、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、第X/Xa因子、第VII/VIIa因子、第IX/IXa因子、第XI/XIa因子、第XII/XIIa因子、組織因子、バトロキソビン、アンコッド、エカリン、フォンビルブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン及びバソプレシン類似体、エピネフリン、セレクチン、凝固促進剤、プラスミノーゲンアクチベータインヒビタ、血小板活性化剤、止血活性を有する合成ペプチド、上記の誘導体並びにそれらの組み合わせを、任意選択で更に含むことができる。一実施形態では、止血剤は、トロンビン、フィブリノゲン、及びフィブリンからなる群から選択される。
【0031】
ポリマーフィルム及び基材を含む複合構造体は、外科用途及び設定のためのより良好な取扱い特性を示すことが多い。多くの布地又は不織布系止血材は、それらが外科手術処置中に、特に血液又は他の流体の存在下で皺になり、折り重なるため、理想的な取扱い特性を有していない。本発明の基材/フィルム複合体は、かかる挙動を最小限にする。更に、フィルムの存在は布地又は不織布基材系材料の機械的強度及び柔軟性を改善し、腹腔鏡処置で使用するために、それらの適合性を向上させる。腹腔鏡処置では、複合体は、基材又はフィルム構成要素のいずれかを個々にするよりも、より容易にトロカールを通じて押され、体腔内でバネにより開くものと期待されている。
【0032】
本発明の複合構造体は、既存の止血デバイスと比較して、外科手術中に適所に留まる高い傾向及び/又は能力を示すことが多い。例えば、多層で使用される一部の布地系製品、又は不織布形体の布地系製品は、分解する場合があり、あるいはそれらの一部は適用処置中に移動する場合がある。本発明の基材/フィルムの複合構造は、止血材料の物理的一体性を維持するのに役立ち、よって処置中に該構造が時期尚早に崩壊したり、湾曲したり、又は移動することはない。複合構造体の別の利点は、デバイスが適所に縫合され得ることである。
【0033】
本発明の方法から作製された複合構造デバイスは、組織支持を提供し、創傷治癒を助け、及び/又は生物活性剤の送達担体として作用するなど、更なる外科的機能のためにフィルム構成要素を使用する可能性も提供する。
【0034】
本発明の積層複合構造体中の布地又は不織布基材を調製するのに有用なポリマーとしては、限定なしに、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい繊維は、酸化再生多糖類、具体的には酸化再生セルロースを含む。
【0035】
好ましくは、酸化多糖類は本発明の創傷包帯を調製するのに使用される。より好ましくは、酸化セルロースは本発明の創傷包帯に使用される布地を調製するのに使用される。セルロースは、それぞれが本明細書に定義され、記載されているように、カルボキシル−酸化セルロースであってもよく、又はアルデヒド−酸化セルロースであってもよい。更により好ましくは、酸化再生セルロースは本発明の創傷包帯に使用される布基材を調製するのに使用される。再生セルロースは、再生されていないセルロースに比べて、そのより高い均一性のために好ましい。再生セルロース、及び再生酸化セルロースの製造方法についての詳細な記載は、米国特許第3,364,200号及び同第5,180,398号に説明されており、その各内容は参照することにより全体が記載されているかのように本明細書に組み込まれる。よって、再生酸化セルロース及びこれを製造する方法に関する教示は十分に、止血用創傷包帯の当業者の知識の範囲内である。
【0036】
Surgicel(登録商標)吸収性止血材Surgicel Nu−Kit(登録商標)吸収性止血剤、Surgicel SNoW(登録商標)Absorbable Hemostat、及びSurgicel(登録商標)Fibrillar吸収性止血剤(全て、Johnson & Johnson Wound Management Worldwide、Ethicon,Inc.(Somerville,N.J.)、Johnson & Johnson Company(Johnson & Johnson Company)から入手可能)、並びにOxycel(登録商標)吸収性セルロース外科用包帯(Becton Dickinson And Company(Morris Plains,N.J.)から入手可能)などの従来の止血創傷包帯に使用される基材、又は布地は、全て、本発明に係る創傷包帯を調製するのに使用することができる。特定の実施形態では、本発明の創傷包帯は、重症な出血の場合に止血をもたらし、これを維持するのに効果的である。本明細書で使用するとき、重症の出血とは、比較的速い速度で、比較的大量の血液が失われる出血の場合を含むことを意味する。重症の出血の例としては、動脈穿刺、肝臓切除、肝臓の鈍的外傷、脾臓の鈍的外傷、大動脈瘤、過剰な抗凝固薬療(over-anticoagulation)による患者からの出血、又は凝結障害、例えば血友病を有する患者からの出血が挙げられるが、これらに限定されない。かかる創傷包帯は、例えば診断又は介入血管内処置に続くケアの従来の基準よりも、患者がより早く歩き回るのを可能にする。
【0037】
本発明の新規積層プロセスは従来の加圧積層プロセス装置及び従来のフィルム押出プロセス装置を使用する。フィルム押出プロセス装置は、所与のポリマーに対して所望のフィルム及び出力速度を効果的に提供するのに十分な温度、圧力及び押出速度で操作される。例えば、押出プロセス装置の温度は、典型的には100℃〜約300℃、より典型的には120℃〜約250℃、好ましくは約160℃〜約220℃の温度に維持することができる。本発明のプロセスに関するフィルム出力速度は、典型的には約1fpm〜約2,000fpm、より典型的には約5fpm〜約100fpm、好ましくは約6fpm〜約20fpmの範囲である。本発明のプロセスで押し出されるフィルムの厚さは、積層構造体に効果的な特性を与えるのに十分である。そのような特性は、引っ張り強度、引き裂き抵抗及び剛性を含む。典型的には、フィルム厚さは約0.1ミル〜約10ミル、より典型的には約0.2ミル〜約5.0ミル、好ましくは約1.0ミル〜約3.0ミルの範囲である。押出機圧力は、典型的には約100psi〜約5,000psi、より典型的には約500psi〜約3,000psi、好ましくは約1,000psi〜約2,000psiである。
【0038】
プロセス装置からの押し出し後、押し出されたフィルムは、好ましくは、隣接する層をシリコーン剥離紙によって分離して、巻き取りロール上に巻き取られる。押し出されたフィルムは次に従来の切断装置で所定の長さに切断される。切断されたフィルムは次いで積層ステーションに運ばれるか又は窒素下で保管される。フィルムは、フィルムを基材に効果的に積層するのに十分な熱及び圧力を用いて、従来の積層機器を用いて適切な基材に積層される。フィルム押し出しと積層ステップとの間の時間は、典型的には約5秒〜約10分、より典型的には約1分〜約8分、好ましくは約2分〜約5分である。積層温度は、典型的には約60℃〜約140℃、より典型的には約80℃〜約130℃、好ましくは約100℃〜約120℃である。積層(Godetの速度)は、典型的には約0.1fpm〜約10fpm、より典型的には約0.2fpm〜約5.0fpm、好ましくは約0.5fpm〜約2.0fpmである。
【0039】
所望であれば、フィルムを巻き取り及び切断する中間ステップなしに、押し出されたフィルムを積層機器に移動させてもよい。プロセスのこの変形では、フィルムの押し出しと積層ステップとの間の時間は、典型的には約1秒〜約10秒、より典型的には約2秒〜約6秒、好ましくは約3秒〜約5秒の範囲である。この連続プロセスで積層した後、積層体を巻き取り又は切断して別々のセクションにすることができる。
【0040】
押出ポリマーフィルムは、積層時に、約0%〜約10%、より好ましくは0%〜6%、最も好ましくは0%〜4%の結晶度レベルを有する必要がある。
【0041】
本発明の新規な積層方法及びそのような方法から作製された積層医療用デバイス構造体は多くの利点を有する。利点には、接合に接着剤層/フィルムが不要であること、低い加工温度(120℃以下)を使用して吸収性又は非吸収性ポリマーフィルムを感熱性基材に接着することができること、が含まれ、これらは、基材の歪み及び収縮を防ぎ、化学的分解を最小限に抑える。追加の接合層がないことで、有害な組織反応(遊離酸などの分解生成物の放出が少なくなる)のリスクが軽減され、生体適合性が向上し、デバイスの剛性が低下し、柔軟性が向上する。本発明の方法の使用はまた、製造コストを著しく減少させ、そのような医療用デバイスの製造ステップを大いに単純化する。
【0042】
以下の実施例は、本発明の原理及び実施を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
(実施例1)
セグメント化75/25 Gly/Capコポリマーの合成
この実施例で使用されるセグメント化コポリマーは、「Monocryl(登録商標) Suture,a New Ultra−Pliable Absorbable Monofilament Suture」Biomaterials、第16巻、第15号、1995年10月、ページ1141〜1148に記載されている方法によって製造された。その合成は、米国特許第5,133,739(A)号及び米国特許第8,278,409(B2)号などの特許文献にも記載されている。これらの参考文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
最終乾燥樹脂は、核磁気共鳴、NMR法で測定して、75モル%の重合グリコリド及び25モル%の重合ε−カプロラクトン単位を有するセグメント化A−B−A型コポリマーであった。乾燥樹脂は、25℃で0.10g/dLの濃度でヘキサフルオロイソプロパノール中で測定して、1.71dL/gの固有粘度(IV)を示した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析は、約85,000ダルトンの重量平均分子量を示した。乾燥樹脂のガラス転移温度Tは4.4℃であり、融点は194℃であり、融解熱ΔHは、第1の熱データ及び10℃/分の加熱速度を用いて示差走査熱量測定(DSC)によって測定して、45.3J/gであった。広角X線回折(WAXD)分析は、乾燥樹脂が45%結晶性であることを示した。
【0045】
(実施例2)
実施例1の乾燥樹脂の選択された熱量特性
DSC測定は、自動サンプラを装備した、TA Instruments(New Castle、DE)からのモデルQ20−3290カロリメータを使用して実施された。個々の実験において、実施例1に記載された乾燥され熱処理されたコポリマー樹脂をDSCパンに入れ、マイナス(−)60℃以下まで急冷し、10℃/分の一定加熱速度で加熱してその熱量特性(第1の加熱特性)を決定した。これらはガラス転移温度T、融点T及び融解熱ΔHを含んでいた。第2の加熱測定(樹脂を240℃で溶融した後−60℃未満に急冷)から、前の熱処理履歴とは無関係であるT、T、T(結晶化温度)、及びΔHの値を得た。熱量測定を用いて得られたデータを表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
結晶化特性も等温結晶化法によって評価した。DSC技術を用いて、実施例1のコポリマーの等温結晶化速度分析を実施した。実施例1に記載したように、乾燥し、熱処理したコポリマー樹脂をDSCパンに入れ、240℃で2分間完全に溶融してサンプル中に存在するいずれの核形成部位も除去した。続いて、試験した材料を所望の結晶化温度まで急速冷却/急冷した(−60℃/分の冷却速度)。等温法は、試料が試験温度に達する前に結晶化が起こらないと仮定しており、得られたデータは、この仮定を支持した。樹脂の結晶化挙動は、50℃〜110℃の間の広範囲の温度にわたって特徴付けられた。等温結晶化動力学(一定温度における)は、時間の関数としての熱流の変化として監視された。等温熱流量曲線を積分して結晶化度パラメータを求めた。あらゆる偏見を避けるために、等温DSC実験が無作為的な順番で行われたことに留意する価値がある。
【0048】
経時的な結晶部分の生成は、結晶化の程度αで評価することができ、これは次の比で表すことができる。
【0049】
【数1】
式中、dQ/dtは、それぞれの熱流量であり、dHは、DSC曲線と時間tにおける時間軸との間の部分面積であり、dHは、ピークの下の総面積で、結晶化の全体的な熱に対応する。したがって、結晶化の程度αは、時間tにおいて生成された結晶体積分率である。
【0050】
熱流量/時間曲線の積分を行った後、1/2結晶化時間(t1/2)を決定することができる。1/2結晶化時間とは、等温試験の間に生じる総量の50%結晶化度に達するのに要する時間である。結晶化速度論を表すため、1/2結晶化時間の逆数を結晶化温度の関数として示した。等温測定から得られたデータを以下の表2に示す。試験した樹脂の最速動力学は約100℃で観察された。
【0051】
【表2】
【0052】
(実施例3)
実施例1の樹脂の溶融押出によるフィルム形成
実施例1の樹脂の溶融フィルム押出は、フィルムダイを備えた、Davis Standard Corp.(Pawcatuck,CT 06379,U.S.A)によって製造された溶融押出機モデルKN125を使用して行った。全てのフィルム押し出しランにおいて6ミルのダイギャップを使用した。異なるバレルゾーン全体の押出機温度は180〜210℃の範囲であり、ダイ温度は220℃に保たれた。引き出しロールの線速度を10.4fpmに維持しながら、1ミル厚のフィルムに対してスクリュー速度を15.8rpmに設定した。同様に、厚さ2ミルのフィルムに対して、スクリュー速度を19.1rpmとしたが、引き抜きロールの線速度は6.0fpmに維持した。フィルム収集中、ロールスタンドから分配されたシリコーン剥離紙を使用して、巻き取りロールに巻き取られたフィルム層を分離した。押し出し後、対応するシリコーン剥離紙を有するフィルムを都合の良い長さに切断し、押し出し直後に積層機器に運ぶか、又は窒素下で長期間保管した。製造されたフィルムの厚さは1.0ミル及び2.0ミルであると決定された。
【0053】
(実施例4)
実施例3で製造したフィルムの結晶化特性の試験
実施例3のアニーリングされていない及びアニーリングされたフィルムの熱量特性は、第1及び第2の加熱DSC法を用いて決定された。結果の要約を以下の表3に示す。
【0054】
【表3】
【表4】
第2の熱DSC測定は、樹脂を240℃で2分間溶融し、続いて−60℃まで急冷(−60℃/分)した後、10℃/分で一定の加熱スキャンを行うことによって開始した
**結晶化度パーセントは、100%結晶性PGA材料(ΔH=12KJ/モル、103J/gに相当する)の融解熱から計算した、[参考文献:Biomedical Engineering Fundamentals by Joseph D.Bronzino,Donald R.Peterson、Wound Closure Biomaterials and Devices edited by Chih−Chang Chu,J.Anthony vonBiomaterials:Principles and Practices edited by Joyce Y.Wong,Joseph D.Bronzino,Donald R.、Biotextiles as Medical Implants edited by M W King,B S Gupta,R Guidoin、The Biomedical Engineering Handbook 1 by Joseph D.Bronzino、Surfaces and Interfaces for Biomaterials edited by P Vadgama]
【0055】
表3に示すように、実施例4で製造されたアニーリングされていないフィルム及びアニーリングされたフィルムは両方とも、比較的高いレベルの結晶度(それぞれ46%及び47%)、並びに第1の加熱測定から決定される高い融点(両方とも約191℃)を含む。第2の加熱スキャンから、両方のフィルムは低レベルの結晶化度(約40%)を示した。これは、実験中に、熱履歴が最初に消去され(サンプルが非晶質相にされ)、続いて結晶化度が10℃/分の比較的速い加熱速度での急冷からの加熱スキャン中にのみ成長したという事実による。
【0056】
これらのフィルムの結晶化動力学を更に理解するために、以下のセットの実験を行った。実施例3で製造したフィルム片をDSCパンに入れ、2分間240℃に加熱して熱履歴をすべて消去し、次いで急速に室温にした。結晶形態を成長させるために特定の時間を費やした。この「滞留」期間の後、サンプルを10℃/分でその融点より高い240℃まで加熱した。この加熱ステップ(第1の加熱測定)中に、追加の結晶化が起こり、その後の溶融転移が続く。融解熱(溶融転移)下のピーク面積と結晶化熱との間の差は、サンプルが室温にさらされることによって成長した結晶化度の量に直接比例する。このセットの実験からのデータの要約を以下の表4に示す。表4の最後の欄は、所与の試料についての室温での滞留時間中に成長した結晶化度の量を示す。
【0057】
【表5】
第1の加熱DSC測定は、樹脂を240℃で2分間溶融することによって開始し、続いて22℃まで急冷(−60℃/分)し、その温度で所与の時間滞留させ、続いて10℃/分で一定加熱スキャンした。
**パーセント結晶化度は、100%結晶性PGA材料の融解熱から計算した(ΔH=12KJ/モル、これは103J/gに相当する)、[参考文献:Biomedical Engineering Fundamentals by Joseph D.Bronzino,Donald R.Peterson、Wound Closure Biomaterials and Devices edited by Chih−Chang Chu,J.Anthony vonBiomaterials:Principles and Practices edited by Joyce Y.Wong,Joseph D.Bronzino,Donald R.、Biotextiles as Medical Implants edited by M W King,B S Gupta,R Guidoin、The Biomedical Engineering Handbook 1 by Joseph D.Bronzino、Surfaces and Interfaces for Biomaterials edited by P Vadgama]
【0058】
表4に示すように、室温でフィルムが成長させることができた結晶化度の量は、10分以下の滞留時間において比較的少なかった(7%未満)。しかしながら、滞留が長くなるにつれて、結晶化度の量は次第に増加した。更に、室温でより長い滞留時間を有する試料は、第1の加熱スキャン中に、より速い又はより容易な結晶化を示した。これは、したがってより低い温度シフトした結晶化ピークとして、表4の第3欄に示されている。
【0059】
(実施例5)
異なる基材を有する複合構造体と、75/25 Gly/Capモル%から作製された半結晶性フィルムの積層(非発明例)
1及び2ミルの厚さを有する実施例1のコポリマー樹脂から作製されたフィルム(実施例3に記載)を、Surgicel Classic(登録商標)、Surgicel NuKnite(登録商標)、Sergicel Snow(登録商標)の商標名の下でEthicon Inc.から入手可能な様々なORC系基材、及びヘルニア修復用途のためのポリプロピレン(PP)系のメッシュの上に積層した。フィルムは室温でエージング又は熟成させ、実際のフィルム押出プロセスから積層時刻までの経過時間は少なくとも48時間以上に設定した。積層はニップロールの組み合わせでGodetの加熱セットを用いて行った。積層は、120〜200℃の範囲の様々なGodetの温度で行った。ロール速度は概して、1ミルのフィルムと2ミルのフィルムの両方に対して0.5〜1FPMに保たれた。低温積層は、酸化再生セルロース(ORC)材料が分解しないように保ため、並びにポリプロピレン(PP)メッシュがいかなる熱に関連する歪みも回避するために非常に望ましいということを言及することが重要である。ORCラインの製品については、120℃以下の温度は積層にとって安全であると考えられ、145〜150℃はポリプロピレン系のメッシュの上限温度と考えられている。
【0060】
エージングされた75/25 Gly/Capフィルム(1及び2ミル)を150℃未満の温度で任意の基材上に積層する試みはすべて、即時の層間剥離(接合の欠如)のために失敗した。これはフィルムの融点が191℃であったという事実による。150℃を超える温度では、基材上のフィルムのいくらかの部分的融解及び接合があったが、取扱い中にすぐに層間剥離が起こった。最も重要なことに、ORCベースの基材は黄色がかってきて分解プロセスの開始を示したが、PPメッシュは大幅な収縮のためにひどく歪んだ。
【0061】
(実施例6)
低い加工温度で75/25 Gly/Capモル%から作製された異なる基板及び新たに押し出された低結晶化度フィルムを有する複合構造の積層体(本発明例)
本明細書で使用される場合、用語「新たに押し出された」は、押し出しステップ後10分以内に基材上に積層された吸収性の半結晶性ポリマーフィルムを意味すると定義される。実施例3で前述した押し出しステップ直後の75/25 Gly/Capフィルムの積層体を調べるために、押し出しGodetの最後のセットを出た矩形ポリマーフィルム片を切断し、実施例4に記載の積層機器に移した。次に、120℃の低Godet温度を使用して、フィルム押し出しの終了から2、5、10、及び30分の間隔で、各基材に一連の積層手順を実施した。
【0062】
意外なことに、2、5及び10分の時間間隔でマークされたすべてのフィルム/基材の組み合わせは、120℃の低いプロセス温度で完全な積層(接合)を示した。しかしながら、フィルム押し出しの30分後に処理された特定の試験の組み合わせは、最適な結果をもたらさなかった(部分的な層間剥離が観察された)。良好な積層(2、5、及び10分)を生じることが観察されたサンプルを、その後、窒素流が供給される安定性チャンバに室温で72時間入れて、更なる結晶形態を成長させた。72時間室温エージングに続いて、フィルム/ORCフィルム/PPメッシュ複合材を取扱い特性について調べた。
【0063】
本発明のプロセスを使用して製造された積層複合材は優れた取扱い特性を示し、2、5及び10分のマークを付けた調製された組み合わせのいずれにおいても75/25 Gly/Capフィルムの層間剥離は観察されなかった。更に、ORC又はPP布地の歪み又は皺は観察されなかった。繰り返し曲げ手順、引っ張り及び他の主体的取扱い操作を含む広範な物理的処理を用いても、フィルム/ORC及びフィルム/PP構造は引き裂かれなかった又は損傷の兆候を何ら示さなかった。最後に、積層温度が120℃と低かったため、いずれのORC布地においても変色は観察されなかった。
【0064】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点が理解されるであろう。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 積層医療用デバイス構造体を作製する方法であって、
a)140℃以上の融点温度、25℃未満のガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムを押し出すステップであって、前記ポリマーフィルムは、室内条件/周囲条件で結晶化可能である、ステップと、
b)前記フィルムを押し出した後約10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、積層医療用デバイス構造体を形成するために前記ポリマーフィルムを感熱性ポリマー基材に直接積層するステップと、を含み、前記フィルムは、前記フィルムを約120℃以下の温度で基材上に積層するために、約10%以下の結晶化度を有し、前記基材は、損傷を受けておらず、前記フィルムは前記基材に効果的に積層される、方法。
(2) 前記基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ポリマーフィルムは、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記ポリマーフィルムは、それぞれ約75対約25%のモル比でグリコリドとイプシロンカプロラクトンとのコポリマーを含む、実施態様1に記載の方法。
【0066】
(6) 前記基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記積層はオフラインで行われる、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記積層はインラインリールツーリール(in-line reel-to-reel)で行われる、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記フィルム結晶化度は、押し出し後の最初の30分で約0〜約10%、24時間より長い滞留/エージング時間の間に20%超、変化する、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記押出フィルムは、前記基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、実施態様1に記載の方法。
【0067】
(11) 実施態様1に記載の前記方法によって作製された医療用デバイス構造体。
(12) 積層医療用デバイス構造体を作製する方法であって、
a)140℃以上の融点温度、25℃を超えるガラス転移温度、及び結晶化度を有する半結晶性ポリマーフィルムを押し出すステップと、
b)前記フィルムを押し出した後約10分以内に熱/加圧積層ステップを実施することによって、積層医療用デバイス構造体を形成するために前記ポリマーフィルムを感熱性ポリマー基材に直接積層するステップと、を含み、前記フィルムは、前記フィルムを約120℃以下の温度で基材上に積層するために、約10%以下の結晶化度を有し、前記基材は、損傷を受けておらず、前記フィルムは前記基材に効果的に積層され、前記積層ポリマーフィルムは、少なくとも約10%の達成可能な結晶化度を有する、方法。
(13) 前記基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択される、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記ポリマーフィルムは、グリコリド又はラクチドのホモポリマー、それらのコポリマー、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、実施態様12に記載の方法。
【0068】
(16) 前記ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記積層はオフラインで行われる、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記積層はインラインリールツーリールで行われる、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記押出フィルムは、前記基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、実施態様12に記載の方法。
(20) 実施態様12に記載の前記方法によって作製された医療用デバイス構造体。
【0069】
(21) ポリマーフィルムを基材に積層する方法であって、
a)140℃以上の溶融温度を有する前記ポリマーを、スリットダイを備えた溶融押出機のホッパーに、前記吸収性ポリマーの前記溶融温度より約10℃高い範囲内のバレル及びダイ温度で移送するステップと、
b)前記ポリマーを、前記スリットダイを通して押し出し、それによってフィルムを形成するステップと、
c)前記フィルムが0.254μm〜254μm(0.01ミル〜10ミル)の厚さを有するように、前記フィルムを約0.8倍〜約10倍に延伸するステップと、
d)前記ポリマーフィルムが約10%以下の結晶化度を有する、ステップc)の下での前記フィルム押し出し後0〜10分の間の時間間隔において、新たに押し出されたポリマーフィルムとポリマー基材との間の接触を提供するステップと、
e)120℃以下の温度で、積層構造体を形成するために前記フィルム及び基材を熱プレスするステップと、を含む、方法。
(22) 前記基材は、不織布、織布及びメッシュからなる群から選択されるポリマー基材を含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記ポリマーフィルムは、グリコリド又はラクチドのホモポリマー、それらのコポリマー、主成分としてのラクチド又はグリコリドと、カプロラクトン、ポリ(p−ジオキサノン)、トリメチレンカーボネート(TMC)、ポリエチレングリコール、及びポリエーテルエステル配合物を含む1つ以上の他の成分と、のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記ポリマーフィルムは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びナイロンからなる群から選択されるポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
(25) 前記ポリマーフィルムは、それぞれ約75対約25%のモル比でグリコリドとイプシロンカプロラクトンとのコポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
【0070】
(26) 前記基材は、コラーゲン、アルギン酸カルシウム、キチン、ポリエステル、ポリプロピレン、多糖類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリヌクレオチド、ポリ核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリアルキレン、ポリチオエステル、ポリチオエーテル、ポリビニル、脂質を含むポリマー、酸化再生セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、実施態様21に記載の方法。
(27) 前記積層はオフラインで行われる、実施態様21に記載の方法。
(28) 前記積層はインラインリールツーリールで行われる、実施態様21に記載の方法。
(29) 前記フィルム結晶化度は、押し出し後の前記最初の30分で約0〜約10%、24時間より長い滞留/エージング時間の間に20%超、変化する、実施態様25に記載の方法。
(30) 前記押出フィルムは、前記基材に積層される前に、巻き取られ、断片に切断される、実施態様21に記載の方法。
【0071】
(31) 前記積層ポリマーフィルムは、少なくとも約10%の達成可能な結晶化度を有する、実施態様21に記載の方法。
(32) 実施態様21に記載の前記方法によって作製された医療用デバイス構造体。