(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974466
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】薄い根元構成要素を有する鋳造構成要素を製造するための一体型鋳造コアシェル構造
(51)【国際特許分類】
B22C 9/24 20060101AFI20211118BHJP
B22C 9/04 20060101ALI20211118BHJP
B22D 29/00 20060101ALI20211118BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20211118BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20211118BHJP
F01D 5/18 20060101ALI20211118BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20211118BHJP
F01D 5/28 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
B22C9/24 C
B22C9/04 A
B22C9/04 C
B22D29/00 F
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F01D5/18
F01D9/02 102
F01D5/28
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-531710(P2019-531710)
(86)(22)【出願日】2017年10月23日
(65)【公表番号】特表2020-501907(P2020-501907A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】US2017057874
(87)【国際公開番号】WO2018111405
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年8月8日
(31)【優先権主張番号】15/377,766
(32)【優先日】2016年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ガライ、グレゴリー、テレンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シ
(72)【発明者】
【氏名】ダイネス、ジェームズ、ハーバート
【審査官】
池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−520134(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0003619(US,A1)
【文献】
特表2012−505773(JP,A)
【文献】
特開2012−206513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/24
B22C 9/04
B22D 29/00
F01D 25/00
F02C 7/00
F01D 5/18
F01D 9/02
F01D 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンブレード又は静翼のためのセラミック鋳型を製造する方法であって、
(a)加工物の硬化部分を液体セラミックフォトポリマーと接触させ、
(b)前記硬化部分に隣接する前記液体セラミックフォトポリマーの一部に、前記液体セラミックフォトポリマーに接触する窓を通して光を照射し、
(c)未硬化の前記液体セラミックフォトポリマーから前記加工物を取り出し、
(d)セラミック鋳型が形成されるまで、ステップ(a)〜(c)を繰り返す、
ことを含む、方法であって、
前記セラミック鋳型は、
(1)コア部分とシェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有する前記コア部分及び前記シェル部分であって、前記キャビティは、前記セラミック鋳型の鋳造及び除去の際に前記タービンブレード又は静翼の形状を画定するように適合されている、コア部分及びシェル部分と、
(2)0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティと、
を含む、方法。
【請求項2】
プロセスは、ステップ(d)の後に、鋳造構成要素を形成するために前記セラミック鋳型に液体金属を注入し、前記液体金属を凝固させるステップ(e)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスは、ステップ(e)の後に、前記鋳造構成要素から前記セラミック鋳型を除去するステップ(f)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
タービンブレード又は静翼を製造する方法であって、
(a)前記タービンブレード又は静翼を形成するために液体金属を、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の方法で製造した前記セラミック鋳型に注入し、前記液体金属を凝固させ、
(b)前記タービンブレード又は静翼の孔を通して、前記セラミック鋳型の前記コア部分の少なくとも一部を浸出させることによって、鋳造構成要素から前記セラミック鋳型を除去する、
ことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインベストメント鋳造コアシェル型構成要素(component)、及びこれらの構成要素を利用する方法に関する。本発明によって製造されたコアシェル型は、薄い根元(thin root)構成要素を形成するために利用される、型のコアとシェル型との間の一体化セラミック凹み(indentation)を含む。薄い根元構成要素には、これらの型から製造されるタービンブレード又は静翼(vane)のエンジェルウィング、ダンパラグ及びスカートがある。一体型コアシェル型は、ジェット航空機エンジン用のタービンブレード及び静翼、又は発電用タービン構成要素を製造するために使用される超合金の鋳造などの鋳造作業において有用な特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
現代の多くのエンジン及び次世代のタービンエンジンは、入り組んだ複雑な形状を有する構成要素及び部品を必要とし、それらは新しいタイプの材料及び製造技術を必要とする。エンジン部品及び構成要素を製造するための従来技術は、インベストメント鋳造又はロストワックス鋳造の面倒な工程を含む。インベストメント鋳造の一例は、ガスタービンエンジンに使用される典型的な動翼の製造を含む。タービンブレードは、通常、エンジン内での作動中に加圧冷却空気を受けるための少なくとも1つ以上の入口を有するブレードのスパンに沿って延びる径方向チャネルを有する中空の翼形部(airfoil)を含む。ブレード内の様々な冷却通路は、通常、前縁と後縁との間の翼形部の中央に配置された蛇行チャネルを含む。翼形部は、通常、翼形部の加熱された側壁と内部冷却空気との間の熱伝達を増大させるための短いタービュレータリブ又はピンなどの局所的特徴を含む、加圧冷却空気を受けるためにブレードを通って延びる入口を含む。
【0003】
典型的には、高強度超合金金属材料からのこれらのタービンブレードの製造は、
図1に示す多数のステップを含む。第1に、タービンブレードの内側に望まれる入り組んだ冷却通路に適合するように精密セラミックコアが製造される。その翼形部、プラットフォーム、及び一体型ダブテールを含むタービンブレードの精密な3次元外面を画定する精密なダイ又は型も作られる。このような型構造の概略図を
図2に示す。セラミックコア200は、間に空間又は空隙を形成する2つのダイ半体の内側に組み立てられ、この空間又は空隙が結果として生じるブレードの金属部分を画定する。組み立てられたダイにワックスが注入されて空隙を充填し、その中に封入されたセラミックコアを取り囲む。2つのダイ半体は分割され、成形ワックスから除去される。成形ワックスは、所望のブレードの精密な構成を有し、次いでセラミック材料で被覆されて周囲のセラミックシェル202を形成する。その後、ワックスが溶融されてシェル202から除去され、セラミックシェル202と内部セラミックコア200及び先端プレナム204との間に対応する空隙又は空間201が残る。次いで、溶融超合金金属がシェル内に注入されてその中の空隙を充填し、シェル202内に収容されているセラミックコア200及び先端プレナム204を再び封入する。溶融金属を冷却して凝固させ、次いで外部シェル202ならびに内部コア200及び先端プレナム204を適切に除去して、内部冷却通路が見られる所望の金属タービンブレードを残す。浸出プロセスを介してセラミックコア材料を除去するための経路を設けるために、ボールシュート203及び先端ピン205が設けられ、これらは浸出するとタービンブレード内にボールシュート及び先端ピンを形成し、これは後にろう付け閉鎖しなければならない。
【0004】
鋳造タービンブレードはその後、これに限定されるわけではないが、内部に導かれた冷却空気のための出口を設けるのが望ましいように、翼形部の側壁を通るフィルム冷却孔の適切な列の穿孔といった追加の鋳造後修正を受けることができ、これによって、ガスタービンエンジンの運転中に、翼形部の外面上に保護用の冷却空気膜又はブランケットが形成される。タービンブレードがセラミック型から除去された後、セラミックコア200のボールシュート203は、鋳造タービンブレードの内部空隙を通る所望の空気通路を提供するために後でろう付け閉鎖される通路を形成する。しかしながら、これらの鋳造後の修正は制限されており、タービンエンジンの複雑さが増え続けていることや、タービンブレード内の特定の冷却回路の認識されている効率性を考慮すると、より複雑で入り組んだ内部形状が必要とされる。インベストメント鋳造は、これらの部品を製造することができるが、位置精度及び入り組んだ内部形状は、これらの従来の製造方法を使用して製造することがより複雑になる。したがって、入り組んだ内部空隙を有する3次元構成要素のための改良された鋳造方法を提供することが望まれる。
【0005】
「ブレードスカート」と題された米国特許第9,039,382号明細書は、ブレード根元の詳細を含むタービンブレードについて記載している。ブレード300は通常、翼形部302、プラットフォーム304、シャンク306、及びモミの木構造を有するマルチローブダブテール308を有する。ブレード300の前方側には、前方エンジェルウィング310がある。ブレード300の後方側には、遠位後方エンジェルウィング312があり、その径方向内側には遠位後方エンジェルウィング312との間に間隙を有する近位後方エンジェルウィング314がある。後方近位エンジェルウィング314の近位には、ブレードスカート318に融合するフィレット316がある。ブレード300の前方側と後方側との間のシャンク部分306内に凹部を設けることができる。その凹部内には、ダンパ(図示せず)を保持するために互いに関連して使用される前方ダンパ保持ラグ324及び後方ダンパ保持ラグ326がある。ダブテール部308は、ダブテールローブ328がロータと噛み合ってブレードを径方向に所定位置に固定するように、ロータ(図示せず)に挿入される。
【0006】
インベストメント鋳造工程の間に、
図3に示す構造全体がワックス形態で用意され、次いでセラミックシェルがワックスの上に形成される。タービンブレードの根元部分に突出する特徴(すなわち、エンジェルウィング、ブレードスカート、ダンパラグ)が十分に厚くされない限り、これらの特徴は、ワックス型からの除去時、ワックスの処理中、最終金属部分の処理中、又はセラミックシェルの形成中に変形する。例えば、エンジェルウィング、スカート及びダンパラグの最小寸法は、25ミル(0.64mm)より大きくなければならず、好ましくは30ミル(0.8mm)より大きくなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鋳造工程の最終製品において細部の詳細な鋳造特徴を提供できる、より高精細な方法を使用して製造されたセラミックコアシェル型を製造する必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明は、タービンブレードのためのセラミック型(ceramic mold)の製造方法に関する。この方法は、(a)加工物の硬化部分を液体セラミックフォトポリマーと接触させる、(b)硬化部分に隣接する液体セラミックフォトポリマーの一部に液体セラミックフォトポリマーに接触する窓を通して光照射する、(c)未硬化の液体セラミックフォトポリマーから加工物を除去する、(d)セラミック型が形成されるまでステップ(a)〜(c)を繰り返すステップを含み、セラミック型は、コア部分及びシェル部分を備え、前記コア部分と前記シェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有し、前記キャビティが、前記セラミック型の鋳造及び除去の際に前記タービンブレード又は静翼の形状を画定するように適合されるコア部分及びシェル部分と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティとを含む。ステップ(d)の後、工程は、鋳造構成要素を形成するために鋳型に液体金属を注入し、液体金属を凝固させるステップ(e)をさらに含んでもよい。ステップ(e)の後、工程は、型を鋳造構成要素から除去するステップ(f)をさらに含むことができ、このステップは、好ましくは、機械力とアルカリ浴中での化学的浸出との組み合わせを含む。
【0009】
他の態様では、本発明は、タービンブレード又は静翼を用意する方法に関する。この方法は、タービンブレード又は静翼を形成するために液体金属をセラミック鋳型に注入し、液体金属を凝固させるステップを含み、セラミック鋳型は、コア部分及びシェル部分を備え、前記コア部分と前記シェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有し、前記キャビティが、前記セラミック型の鋳造及び除去の際に前記タービンブレード又は静翼の形状を画定するように適合されるコア部分及びシェル部分と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティとを含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、コア部分及びシェル部分を有し、コア部分とシェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有し、キャビティが、セラミック型の鋳造及び除去の際に鋳造構成要素の形状を画定するように適合されるコア部分及びシェル部分と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定するキャビティとを有するセラミック鋳型に関する。セラミックは、光重合セラミック又は硬化光重合セラミックであり得る。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、内部キャビティ及び外側表面と、内部キャビティと外側表面との間の流体連通を提供する複数の冷却孔と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素とを有する単結晶金属タービンブレード又は静翼に関する。好ましくは、単結晶金属は超合金である。
【0012】
一態様では、タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する。別の態様では、タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.2〜0.5mmの範囲の最小寸法を有する。
【0013】
一態様では、タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来のインベストメント鋳造のステップを示すフロー図である。
【
図2】従来のプロセスで製造されたボールシュート付きコアシェル型の従来の方式の一例を示す概略図である。
【
図3】コア部分とシェル部分とを結ぶ結合部を有する先行技術の一体型コアシェル型の斜視図を示す。
【
図4】直接光処理(DLP)のための方法シーケンスの連続した段階を実行するための装置の概略横断面図を示す。
【
図5】直接光処理(DLP)のための方法シーケンスの連続した段階を実行するための装置の概略横断面図を示す。
【
図6】直接光処理(DLP)のための方法シーケンスの連続した段階を実行するための装置の概略横断面図を示す。
【
図7】直接光処理(DLP)のための方法シーケンスの連続した段階を実行するための装置の概略横断面図を示す。
【
図9】本発明の実施形態によって製造されたタービンブレードの根元部分の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明される概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を提供するための特定の詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことは当業者には明らかであろう。例えば、本発明は、鋳造金属部品、好ましくはジェット航空機エンジンの製造に使用される鋳造金属部品を製造するための好ましい方法を提供する。具体的には、タービンブレード、静翼、及びシュラウド構成要素などの単結晶ニッケル基超合金鋳造部品の製造は、本発明によって有利に製造することができる。しかしながら、他の鋳造金属構成要素は、本発明の技術及び一体型セラミック型を用いて製造することができる。
【0016】
本発明者らは、タービンブレード及び静翼を製造するための既知の従来の方法、すなわちインベストメント鋳造法は、薄い根元要素を有するタービンブレード及び静翼を製造するのに必要な微細解像度能力を欠いていることを認識した。特に、インベストメント鋳造におけるワックス処理ステップでは、ブレード又は静翼の根元要素を所望のように薄く又は細くすることができるタービンブレード製造能力には厳しい制限がある。
【0017】
本発明者らは、本発明の一体型コアシェル型を直接光処理(DLP)を用いて製造できることを見出した。DLPは、プロセスが行われるにつれて上昇する造形プラットフォーム上に、光を投射する樹脂タンクの底部の窓を通してポリマーの光硬化が起こるという点で、粉末床法及びSLAプロセスとは異なる。DLPを用いると、硬化したポリマーの全層が同時に製造され、レーザを用いてパターンを走査する必要性が排除される。さらに、下にある窓と造形物の最後の硬化層との間で重合が起こる。下にある窓は、別の支持構造を必要とせずに材料の薄いフィラメントを製造することを可能にする支持を提供する。言い換えれば、造形物の2つの部分を橋渡しする材料の薄いフィラメントを製造することは困難であり、従来技術において一般的に回避されていた。例えば、ロールスロイス社に譲渡された米国特許第8,851,151号は、長さと直径がほぼ等しい短いシリンダと連結された垂直プレート構造を使用したセラミックコアシェル型を製造する3D印刷方法について記載している。‘151号において開示された粉末床及びSLA技術が垂直に支持されたセラミック構造を必要とし、また、この技術では、鋳造タービンブレードの薄いタービンブレード根元構成要素(すなわち、エンジェルウィング、ダンパラグ、スカート)に対応する薄い凹み又は凹部を確実に形成することができないという事実によって、千鳥状の垂直キャビティが必要とされる。さらに、粉末床内で利用可能な解像度は、およそ1/8インチ(3.2mm)であり、薄いタービンブレード根元構成要素の製造は実用的ではない。例えば、これらの薄いタービンブレード根元構成要素は、一般に0.64mm未満、好ましくは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.5mmの最小寸法を有する。本明細書で使用する場合、用語「最小寸法」は「最小可能寸法」を意味する。そのような寸法のタービンブレード根元構成要素の製造は、粉末床法では事実上利用できない解像度を必要とする。同様に、ステレオリソグラフィは、支持体の欠如及びレーザ散乱に関連する解像度の問題のために、そのような薄い凹みを生成する能力において制限がある。しかし、DLPが凹みの全長を露光し、それを窓と構築板との間に支持するという事実は、所望の最小寸法を有する十分に薄い凹みを製造することを可能にする。粉末床法及びSLAは凹みを生成するために使用され得るが、それらが上述のように十分に微細な凹みを生成する能力は限られている。
【0018】
1つの適切なDLPプロセスは、Ivoclar Vivadent AG及びTechnische Universitat Wienに譲渡された米国特許第9,079,357号、ならびに国際公開2010/045950A1号及び米国特許第2011310370号に開示されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれ、
図4〜
図8を参照して以下に論じられる。装置は、露光ユニット410の少なくとも一部を覆う少なくとも1つの半透明底部406を有するタンク404を含む。露光ユニット410は、光源及び変調器を含み、それによって制御ユニットの制御下で強度を位置選択的に調整することができ、造形中の層に望ましい形状でタンク底部406に露光フィールドを生成する。代替として、レーザを露光ユニットに使用することができ、その光ビームは、制御ユニットによって制御される可動ミラーによって所望の強度パターンで露光フィールドを連続的に走査する。
【0019】
露光ユニット410の反対側には、製造プラットフォーム412がタンク404の上方に設けられており、これは、露光ユニット410の上方の領域においてタンク底部406上で高さ調整可能な方法で保持されるように、持ち上げ機構(図示せず)によって支持されている。製造プラットフォーム412は、少なくとも製造プラットフォーム412の下側に第1の層を形成するときに、製造プラットフォームの上のさらなる露光ユニットによって光を入射させることができるように透明又は半透明であってもよく、製造プラットフォームは、製造プラットフォーム上で最初に硬化した層がさらに高い信頼性で接着するように上から露光することもできる。
【0020】
タンク404は、高粘性光重合性材料420の充填物を収容する。充填物の材料レベルは、位置選択的露光用に画定されることが意図されている層の厚さよりはるかに高い。光重合性材料の層を画定するために、以下の手順が採用される。製造プラットフォーム412は、(第1の露光ステップの前に)その下側が光重合性材料420の充填物に浸されるように、そして製造プラットフォーム412の下側とタンク底部406との間に所望の層厚Δ(
図5参照)が精密に残るようにタンク底部406に近づくように昇降機構によって制御された方法で下げられる。この浸漬プロセスの間、光重合性材料は、製造プラットフォーム412の下側とタンク底部406との間の間隙から排除される。層厚Δが設定された後、所望の位置選択層露光がこの層に対して行われ、これを所望の形状に硬化させる。特に第1の層を形成するとき、上からの露光もまた透明又は半透明の製造プラットフォーム412を介して行われるので、製造プラットフォーム412の下側と光重合性材料との間の接触領域において確実で完全な硬化が起こり、それゆえ、第1の層の製造プラットフォーム412への良好な接着が保証される。層が形成された後、製造プラットフォームは昇降機構によって再び持ち上げられる。
【0021】
続いてこれらのステップが数回繰り返され、最後に形成された層422の下側からタンク底部406までの距離がそれぞれ所望の層厚Δに設定され、その上の次の層が所望の方法で位置選択的に硬化される。
【0022】
露光ステップに続いて製造プラットフォーム412が持ち上げられた後、
図6に示すように、露光領域では、材料が不足している。これは、厚さΔで層を硬化させた後、この層の材料が、製造プラットフォーム及びその上に既に形成された成形体の一部と共に硬化されて持ち上がるからである。したがって、既に形成された成形体の下側とタンク底部406との間で失われた光重合性材料は、露光領域を囲む領域からの光重合性材料420の充填物から充填されなければならない。しかしながら、粘度が高いので材料自体が成形体の下側とタンク底部との間の露光領域に逆流することはなく、材料の窪み又は「孔」がここに残ることがある。
【0023】
露光領域に光重合性材料を補充するために、細長い混合要素432をタンク内の光重合性材料420の充填物中で移動させる。
図4〜
図8に示す例示的実施形態では、混合要素432は、タンク404の側壁に移動可能に取り付けられた2つの支持アーム430間に引っ張られた細長いワイヤを含む。支持アーム430は、タンク404の側壁のガイドスロット434内に移動可能に取り付けられてもよく、その結果、支持アーム430間に引っ張られたワイヤ432は、ガイドスロット434内の支持アーム430を移動することによって、タンク404に対してタンク底部406に平行に移動できる。細長い混合要素432は寸法を有し、細長い混合要素432の上端が露光領域の外側のタンク内の光重合性材料420の充填物の材料レベルより下に留まるように、その動きはタンク底部に対して案内される。
図8の断面図に見られるように、混合要素432はワイヤの全長にわたってタンク内の材料レベルより下にあり、支持アーム430のみがタンク内の材料レベルを超えて突出している。細長い混合要素をタンク404内の材料レベルより下に配置することの効果は、細長い混合要素432が露光領域の中でタンクに対する移動中にその前にある材料を実質的に移動させるのではなく、むしろわずかな上方移動の実行中にこの材料が混合要素432上を流れることである。
図6に示す位置から、例えば矢印Aで示す方向の新しい位置への混合要素432の移動が
図7に示されている。タンク内の光重合性材料に対するこの種の作用によって、製造プラットフォーム412と露光ユニット410との間で材料が枯渇した露光領域に逆流するように材料が効果的に刺激されることが分かった。
【0024】
タンクに対する細長い混合要素432の移動は、最初に、固定タンク404を用いて、露光領域の中における製造プラットフォーム412と露光ユニット410との間の細長い混合要素432の所望の移動を達成するために、ガイドスロット434に沿って支持アーム430を移動させる線形駆動装置によって実行することができる。
図8に示すように、タンク底部406は両側に凹部406’を有する。支持アーム430はそれらの下端でこれらの凹部406’内に突出する。これにより、タンク底部406における支持アーム430の下縁部の移動を妨げることなく、細長い混合要素432をタンク底部406の高さに保持することが可能になる。
【0025】
本発明の一体型コアシェル型を用意するために、DLPの他の代替方法を使用してもよい。例えば、タンクは回転可能なプラットフォーム上に配置されてもよい。連続する構築ステップの間に加工物が粘性ポリマーから引き出されると、タンクは、プラットフォーム及び光源に対して回転されて粘性ポリマーの新しい層を提供し、その中に構築プラットフォームを浸して連続層を構築する。
【0026】
本発明は、0.64mm未満の根元特徴最小寸法を有するタービンブレード及び静翼を製造するために使用することができる。
図9に示すように、ブレード900は、エアフォイル902、プラットフォーム904、シャンク906、及びモミの木構造を有するマルチローブダブテール908を有する。エンジェルウィング910、912、914、スカート918、及びダンパ保持突起924、926は、好ましくは0.64mm未満の厚さを有する。一般に、エンジェルウィングの厚さは0.1〜0.6mm、より好ましくは0.2〜0.5mmの範囲であり得る。タービンブレード又は静翼の根元特徴の寸法がより薄くなると、大幅な軽量化が可能になり、新規な設計が可能になる。
図9に示すブレードの特定の設計は例示目的のみのためであり、決して本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。タービンブレード及び静翼は一般的に根本特徴を有し、これらのタービンブレード又は静翼の設計は軽量化を達成するために本発明の方法を使用して用意できることに留意されたい。
【0027】
本発明によってコアシェル型構造を印刷した後、セラミックコアフォトポリマー材料の要件に応じてコアシェル型を硬化及び/又は焼成することができる。溶融金属を型に流し込んで、一体のコアシェル型によって提供される形状を有しかつ特徴を有する鋳造物体を形成することができる。タービンブレード又は静翼の場合、溶融金属は、従来のインベストメント鋳型で使用されることが知られている技術を使用して単結晶超合金タービンブレード又は静翼に形成される超合金金属であることが好ましい。
【0028】
一態様では、本発明は、同様の方法で製造された他のコアシェル型の特徴を組み込んだ、又は組み合わせた本発明のコアシェル型構造に関する。以下の特許出願は、これらの様々な態様及びそれらの使用の開示を含む。
【0029】
「一体型鋳造コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00036/284976で2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0030】
「浮動先端プレナムを有する一体型鋳造コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00037/284997で2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0031】
「鋳造構成要素を製造するためのマルチピース一体型コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00033/284909で2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0032】
「鋳造構成要素を製造するための標準的なスタンドオフ及び/又はバンパを備えたマルチピース一体型コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00042/284909Aで2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0033】
「鋳造構成要素を製造するための印刷されたチューブを有する一体型鋳造コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00032/284917で2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0034】
「鋳造構成要素を製造するための一体型鋳造コアシェル構造及びフィルタ」と題され、代理人整理番号037216.00039/285021で2016年12月13日に出願された米国特許出願第[]号。
【0035】
「非直線孔を有する鋳造構成要素を製造するための一体型鋳造コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00041/285064で2016年12月13日に出願された米国特許第[]号。
【0036】
「アクセス不能な位置に冷却孔を有する鋳造構成要素を製造するための一体型鋳造コアシェル構造」と題され、代理人整理番号037216.00055/285064Aで2016年12月13日に出願された米国特許第[]号。
【0037】
これらの出願の各々の開示は、それらが本明細書に開示されたコアシェル型と共に使用することができるコアシェル型及びその製造方法のさらなる態様を開示する限りにおいてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
本明細書は、好ましい実施形態を含む本発明を開示するために、また任意の装置又はシステムを製造及び使用することならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて当業者が本発明を実施することを可能にするために例を使用する。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言とごくわずかに異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。記載された様々な実施形態からの態様、ならびにそのような各態様に対する他の既知の同等物は、本願の原理によって追加の実施形態及び技術を構築するために当業者によって混合及び適合され得る。
【0039】
本発明のさらなる態様は下記の記載によって示される。
【0040】
タービンブレード又は静翼のためのセラミック型を製造する方法であって、(a)加工物の硬化部分を液体セラミックフォトポリマーと接触させ、(b)前記硬化部分に隣接する前記液体セラミックフォトポリマーの一部に、前記液体セラミックフォトポリマーに接触する窓を通して光を照射し、(c)未硬化の前記液体セラミックフォトポリマーから前記加工物を取り出し、(d)セラミック型が形成されるまで、ステップ(a)〜(c)を繰り返す、ことを含む、方法であって、前記セラミック型は、(1)コア部分とシェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有する前記コア部分及び前記シェル部分であって、前記キャビティは、前記セラミック型の鋳造及び除去の際に前記タービンブレード又は静翼の形状を画定するように適合されている、コア部分及びシェル部分と、(2)0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティと、を含む、方法。
【0041】
プロセスは、ステップ(d)の後に、鋳造構成要素を形成するために鋳型に液体金属を注入し、前記液体金属を凝固させるステップ(e)を含む。
【0042】
前記プロセスは、ステップ(e)の後に、前記鋳造構成要素から前記型を除去するステップ(f)を含む。
【0043】
前記鋳造構成要素から前記型を除去するステップは、機械力と化学的浸出との組み合わせを含む。
【0044】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する。
【0045】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.2〜0.5mmの範囲の最小寸法を有する。
【0046】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである。
【0047】
タービンブレード又は静翼を製造する方法であって、(a)前記タービンブレード又は静翼を形成するために液体金属をセラミック鋳型に注入し、前記液体金属を凝固させることであって、前記セラミック鋳型は、(1)コア部分とシェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有する前記コア部分及び前記シェル部分であって、前記キャビティは、前記セラミック型の鋳造及び除去の際に前記タービンブレード又は静翼の形状を画定するように適合されている、コア部分及びシェル部分と、(2)0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティと、を含み(b)前記タービンブレード又は静翼の孔を通して、前記セラミックコアの少なくとも一部を浸出させることによって、鋳造構成要素から前記セラミック鋳型を除去する、ことを含む、方法。
【0048】
前記鋳造構成要素から前記セラミック鋳型を除去することは、機械力と化学的浸出との組み合わせを含む。
【0049】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する。
【0050】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである。
【0051】
コア部分とシェル部分との間に少なくとも1つのキャビティを有する前記コア部分及び前記シェル部分であって、前記キャビティは、セラミック型の鋳造及び除去の際に鋳造構成要素の形状を画定するように適合されている、コア部分及びシェル部分と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレード又は静翼の根元構成要素を画定する前記キャビティと、を含む、セラミック鋳型。
【0052】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する。
【0053】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.2〜0.5mmの範囲の最小寸法を有する。
【0054】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである。
【0055】
内部キャビティ及び外側表面と、前記内部キャビティと前記外側表面との間の流体連通を提供する複数の冷却孔と、0.64mm未満の最小寸法を有するタービンブレードの根元構成要素と、を有する、単結晶金属タービンブレード又は静翼。
【0056】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.1〜0.6mmの範囲の最小寸法を有する。
【0057】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、0.2〜0.5mmの範囲の最小寸法を有する。
【0058】
前記タービンブレード又は静翼の根元構成要素は、エンジェルウィング、スカート、又はダンパラグである。