特許第6974475号(P6974475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974475
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】硬化性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20211118BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20211118BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   C08L83/07
   C08L83/05
   C09K3/10 G
【請求項の数】24
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-536084(P2019-536084)
(86)(22)【出願日】2017年12月29日
(65)【公表番号】特表2020-503421(P2020-503421A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2017119650
(87)【国際公開番号】WO2018121706
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/113942
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516190747
【氏名又は名称】エルケム・シリコーンズ・シャンハイ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ELKEM SILICONES SHANGHAI CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リヤ・ジャ
(72)【発明者】
【氏名】チチョン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユアンチー・ユエ
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−012433(JP,A)
【文献】 特表2005−526398(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/107533(WO,A1)
【文献】 特開2015−052027(JP,A)
【文献】 特開2007−063538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/07
C08L 83/05
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のもの:
(a1)ケイ素原子に結合した2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を少なくとも2個含有する1種以上の本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1;及び
(b1)次の単位:
(i)式4.1(x)R’R2SiO1/2を有し、次の化学構造:
【化1】
を有する、1個以上の一価シロキサン単位MVi
(ii)式4.1(ix)R3SiO1/2を有し、次の化学構造:
【化2】
を有する、1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(iii)式4.1(xii)SiO4/2を有し、次の化学構造:
【化3】
を有する、1個以上の四価シロキサン単位Q:
から本質的に成る式MMViQの少なくとも1種の樹脂を含む1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂A2
(これらの式中に用いられた時のRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、R’はビニル基を表す);
(a3)R’RSiO単位から成り且つ環状構造中で有機化された1種以上の環状オルガノポリシロキサンA3(この式中に用いられた時のR’は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を表し、この式中に用いられた時のRは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状アルキル基を表す);
(b)式4.1(ii)Si(O(CH3)2SiH)4を有するM’Q樹脂である1種以上のオルガノポリシロキサンクロスリンカーB;並びに
(c)有効量の1種以上の重付加触媒C:
を含み、
前記オルガノポリシロキサンクロスリンカーBが分岐状又は網状オルガノポリシロキサンであり、
MMViQ樹脂の量がオルガノポリシロキサン樹脂A2の総量の少なくとも60重量%であり、
[SiHクロスリンカー(B)中のケイ素原子に結合した水素原子の数/第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A)中のアルケニル不飽和の基の総数]のモル比が1.5〜3であり、
[前記環状オルガノポリシロキサンA3の質量/(前記本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計質量)]の比が0.5×10-2〜8×10-2である、硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項2】
前記環状オルガノポリシロキサンA3がメチルビニルポリシロキサンである、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項3】
前記環状オルガノポリシロキサンA3がテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンである、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項4】
次の単位:
(a)式4.1(vii)RR’SiO2/2を有し、次の化学構造:
【化4】
を有する、1個以上の二価シロキサン単位DVi
(b)式4.1(ix)R3SiO1/2を有し、次の化学構造:
【化5】
を有する、1個以上の一価シロキサン単位M;
(c)式4.1(xii)SiO4/2を有し、次の化学構造:
を有する、1個以上の四価シロキサン単位Q:
(これらの式中に用いられた時のRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、R’はビニル基を表す)
から本質的に成る式MDViQの1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂A2をさらに含む、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項5】
前記の本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1が10mPa・s〜200000mPa・sの範囲の動的粘度を有する、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項6】
前記オルガノポリシロキサン樹脂A2/前記本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1の質量比が0.4〜1である、請求項1〜のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項7】
1種以上の接着促進剤D1及び随意としての重縮合触媒D2をさらに含む、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項8】
[接着促進剤D1の質量/(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計質量)]の比が0.01×10-2〜10×10-2である、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項9】
A3の量が、成分A1100質量部当たり0質量部超〜成分A1100質量部当たり8質量部である、請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項10】
接着促進剤D1として、少なくとも2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基少なくとも1個及びシラノール基少なくとも1個を含有する流体状オルガノポリシロキサン(A)と、少なくとも4〜10個の炭素原子を有するエポキシド基を少なくとも1個含有する加水分解可能なシラン(B)との反応生成物を含む、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項11】
D1が少なくとも2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基少なくとも1個及びシラノール基少なくとも1個を含有する流体状オルガノポリシロキサン(A)と少なくとも4〜10個の炭素原子を有するエポキシド基を少なくとも1個含有する加水分解可能なシラン(B)との反応生成物であり、D2がチタン酸テトラブチルである、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項12】
接着促進剤D1として、少なくとも4〜10個の炭素原子を有するエポキシド基を1個以上有するオルガノポリシロキサンをさらに含む、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項13】
D1の総量が、全組成物の4.5重量%以下である、請求項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物X。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることによって得られる硬化生成物。
【請求項15】
硬化した組成物の透明性が450nmにおいて透過度88%超である、請求項14に記載の硬化生成物。
【請求項16】
硬化した組成物の硬度が75超のショアーA硬度である、請求項14に記載の硬化生成物。
【請求項17】
硬化した組成物の硬度が7〜80のショアーA硬度である、請求項14に記載の硬化生成物。
【請求項18】
硬化した組成物の硬度が8〜90のショアーA硬度である、請求項14に記載の硬化生成物。
【請求項19】
光学装置用のシーリング材として配合される、請求項14に記載の硬化生成物。
【請求項20】
前記光学装置が発光ダイオードである、請求項19に記載の硬化生成物。
【請求項21】
光学装置用途における、請求項14に記載の硬化生成物の使用。
【請求項22】
射出成形、トランスファー成形、キャスティング、押出、オーバーモールディング、圧縮成形及びキャビティ成形を含む群から選択される方法における、請求項1〜13のいずれかに記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の使用。
【請求項23】
光学装置における請求項14に記載の硬化生成物の使用であって、前記光学装置が、電荷結合素子、発光ダイオード、ライトガイド、光学カメラ、フォトカプラー、導波路及びそれらの組合せの内の1つ以上を含む群から選択される、前記使用。
【請求項24】
チップスケールパッケージのための、請求項14に記載の硬化生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びその硬化生成物、並びに良好な透明性を要求する用途、例えばLEDを含む光学装置における前記組成物及びその硬化生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の光学装置を被覆/封入するための材料は知られているが、迅速な硬化速度、高い透明性、高い硬度及び良好な接着性等の鍵となる特性について最適化されてはいない。この要望は今日まで満たされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここに、良好な透明性を要求する広範な用途(他にもあるが例えば光学関連用途等)のための所望の物理的特性を同時に有する、優れた硬化性組成物及びその硬化生成物(製品、材料、方法を含む)が報告される。前記硬化性組成物及び/又はその硬化生成物によって達成される所望の物理的特性の例には、高い透明性、高い硬度及び素早い硬化が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある実施形態において、前記の優れた硬化性組成物及びその硬化生成物はまた、良好な接着性という追加の望ましい物理的特性をも有し、即ちそれらは所定の基材表面に対して比較的短時間で比較的強く接着することができる。
【0005】
ある実施形態において、前記の優れた硬化性組成物は、(a)有効量の、1種以上のオルガノポリシロキサンを含む第1の反応成分、(b)有効量の、ポリアルキルハイドロジェンシロキサンSiHクロスリンカー(架橋用成分)を含む第2の反応成分、及び(c)有効量の、1種以上の重付加触媒を含む。前記の第1の反応成分は、有効量の1種以上の本質的に線状のオルガノポリシロキサン、有効量の1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂、好ましくはMMViQ(4.1の項に記載)、及び有効量の1種以上の環状オルガノポリシロキサン、好ましくは環状構造中で有機化された複数個のR’RSi単位を持つもの(ここで、R’は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル基を表し、Rは1〜6個の直鎖状又は分岐鎖状炭素原子を有するアルキル基を表す)を含むことができる。前記の第2の反応成分は、有効量の複数個のSiH基を含むことができる。前記重付加触媒は、金属白金を有する錯体及び/又は化合物を含むことができる。
【0006】
有利には、前記硬化性組成物は、硬化性組成物又はその硬化生成物の所望の物理的特性を損なうことなく、MDViQ等の、MMViQと組み合わされた他のオルガノポリシロキサン樹脂を許容することができる。
【0007】
ある実施形態において、前記の優れた硬化性組成物はまた、硬化性組成物及び/又はその硬化生成物の接着性を強化するために接着促進剤を有効量で含む。接着促進剤は、有効量の接着化合物及び随意としての有効量の重縮合触媒を含むことができる。
【0008】
前記の優れた硬化性組成物は、射出成形、トランスファー成形、キャスティング、押出、オーバーモールディング、圧縮成形及びキャビティ成形を含む様々な方法によって硬化させることができる。
【0009】
また、前記硬化性組成物及びその硬化生成物の例示的な組成配合物及び用途もここに報告される。例えば、前記硬化性組成物及びその硬化生成物は、LEDの封入及びシーリングを含めた光学装置用途に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
4.1 解説及び定義
別段の定めがない限り、本明細書では、化学、有機化学、物理化学及びポリマー化学の分野の当業者にとって普通の意味を持つ慣用のメソッド及び用語を採用する。引用するすべての刊行物、文献、特許及び特許出願は、言及することによってここにすべて組み込まれるものとする。
【0011】
本明細書及び添付した特許請求の範囲において用いた時、以下の一般的な規則が適用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容から明らかに単数のみを指す場合を除き、複数の場合も包含する。
【0012】
本明細書で用いた時、以下の用語は特定された意味を持つ。「約」なる用語は、当業者が理解できるように、その普通且つ通常の「おおよそ」の意味を持つ。「含む」、「含み」、「含有する」、「含有し」、「包含する」、「包含し」、「包含するが限定されない」、「特徴とする」等の用語は、包括的で拡張可能なものであり、追加の記載していない要素を除外するものではない。
【0013】
本明細書において、以下の用語は特定された意味を持つ:
【0014】
「α1」は、線状オルガノポリシロキサン、即ちα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(CAS-No. 68083-19-2)であって、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を2個有し、約3500mPa・sの動的粘度を有するものを意味する。
【0015】
「α2」は、線状オルガノポリシロキサン、即ちα,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(CAS-No. 68083-19-2)であって、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を2個有し、約60000mPa・sの動的粘度を有するものを意味する。
【0016】
「α3」は、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(D4Viとも称される)を意味し、次の構造を有する環状オルガノポリシロキサンである。
【化1】
(式4.1(i))
【0017】
「β1」は、式Si(O(CH3)2SiH)4を有する水素含有オルガノポリシロキサンを意味する。
【化2】
(式4.1(ii))
【0018】
「δ3」は、次の構造を有するチタン酸テトラブチルを意味する。
【化3】
(式4.1(iii))
【0019】
「γ1」は、W.C. Heraeus GmbH社からの商品名「Karstedt concentrate」のKarstedt白金(Pt)触媒を意味する。
【0020】
「δ1」は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基少なくとも1個及びシラノール基少なくとも1個を含有する流体状オルガノポリシロキサン(A)と、少なくとも4〜10個の炭素原子を有するエポキシド基を少なくとも1個含有する加水分解可能なシラン(B)との反応生成物を意味する。例えば、δ1は、次の2つの材料の縮合によって得られる生成物であることができる。
【化4】
【0021】
「δ2」は、少なくとも4〜10個の炭素原子を有するエポキシド基を1個以上有するオルガノポリシロキサンを意味する。例えば、δ2は、α,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン(CAS-No. 70900-21-9)とアリルグリシジルエーテル(CAS-No. CAS 106-92-3)とを反応させることによって得られる生成物であって、エポキシド基を含み且つ150mPa・sの動的粘度を有するものであることができる。
【0022】
「オルガノポリシロキサン」は、あるタイプのポリシロキサン又はシリコーンの通常の意味を採り、混合無機及び有機ポリマーであり、当業者が理解する通りのものである。
【0023】
「SiH」とは、シロキシ又はシリル基又は単位を意味し、少なくとも1個の水素がケイ素原子に共有結合したものである。
【0024】
「粘度」とは、別段の定めがない限り、25℃において周知の態様で測定されてmPa・sで表される動的粘度を意味する。
【0025】
「MDDViQ」は、式MDDViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の二価シロキサン単位DVi
(b)1個以上の二価シロキサン単位D;
(c)1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(d)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0026】
「MDViQ」は、式MDViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の二価シロキサン単位DVi
(b)1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0027】
「MDViQ」は、式MDViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の二価シロキサン単位DVi
(b)1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0028】
「MD'Q」は、式MD'Qのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の二価シロキサン単位D'
(b)1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0029】
「MMViQ」は、式MMViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の一価シロキサン単位「MVi」;
(b)1個以上の一価シロキサン単位「M」;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位「Q」。
【0030】
「MTViQ」は、式MTViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の三価シロキサン単位TVi
(b)1個以上の一価シロキサン単位M;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0031】
「MViQ」は、式MViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の一価シロキサン単位MVi;及び
(b)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0032】
「M’Q」は、式M’Qのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の一価シロキサン単位M’; 及び
(b)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0033】
「MViViQ」は、式MViViQのオルガノポリシロキサン樹脂を意味し、これは次の単位を含む又はから本質的に成る:
(a)1個以上の一価シロキサン単位MVi
(b)1個以上の三価シロキサン単位TVi;及び
(c)1個以上の四価シロキサン単位Q。
【0034】
「D」は、式R2SiO2/2の二価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す。
【化5】
(式4.1(vi))
【0035】
「DVi」は、式RR’SiO2/2の二価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、この式中に用いられるR’は、ビニル基を表す。
【化6】
(式4.1(vii))
【0036】
「D’ 」は、式HRSiO2/2の二価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、この式中に用いられるHは水素を表す。
【化7】
(式4.1(viii))
【0037】
「M」は、式R3SiO1/2の一価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す。
【化8】
(式4.1(ix))
【0038】
「MVi」は、式R’R2SiO1/2の一価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、この式中に用いられるR’はビニル基を表す。
【化9】
(式4.1(x))
【0039】
「M’」は、式HR2SiO1/2の一価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、この式中に用いられるHは水素を表す。
【化10】
(式4.1(xi))
【0040】
「Q」は、式SiO4/2の四価シロキサン単位を意味する。
【化11】
(式4.1(xii))
【0041】
「TVi」は、式R’SiO3/2の三価シロキサン単位を意味し、この式中に用いられるR’はビニル基を表す。
【化12】
(式4.1(xiii))
【0042】
4.2 オルガノポリシロキサン材料
オルガノポリシロキサンは、あるタイプのポリシロキサン又はシリコーンである。オルガノポリシロキサンは多くの利点を有することができ、それには良好な耐熱性、低温耐性及び電気絶縁性が包含され得る。従って、ヒドロシリル化反応によって得られる硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、広範な産業及び消費者用途を有し得る。例えば、硬化性ポリシロキサン組成物は、保護被覆を形成させるため、及び/又は発光ダイオード(「LED」)や他の光学装置等の光学装置用の封入材料として、用いることができる。硬化性ポリシロキサン組成物はまた、透明シリコーン封入用途にも用いることができる。
【0043】
4.3 LED用途用の光学材料
発光ダイオード(「LED」)は、伝導電流で発光する半導体ダイオードである。LEDは、白熱電球やコンパクト蛍光灯等の従来の光学装置を上回る有意の利点を有する。これらの利点には、エネルギー消費が少ないこと、寸法が小さいこと、有効寿命が長いこと、及び環境に優しいことが包含される。結果として、LEDは、家庭用及び商業用の照明;自動車、道路及び交通信号を含む特殊照明の分野;並びに産業用装置、計器パネル、コンピューター、TV及びモバイル画面、並びに広告用パネルを含むディスプレイ:における光源として、広く用いられている。しかしながら、LED用途のために最適化された材料を開発するのは困難だった。この困難さの1つの理由は、LEDを構成する材料は高い透明性、高い硬度及び良好な接着性を同時に示さなければならないということである。
【0044】
LED用の初期の保護及び/又は封入材料は、大抵の場合エポキシ樹脂から成るか又はエポキシ樹脂から誘導されてきた。エポキシ樹脂は、強力な接着力や高屈折率等の利点を示すことができるが、時間が経つにつれて容易に風化したり変色したりすることもある。対照的に、シリコーンには、耐候性、耐熱性、耐変色性等の多くの利点があるため、LEDを保護及び/又は封入するための優れた材料となっている。しかし、高い透明性、良好な接着性、迅速な硬化、高い硬度、及び特にこれらの特性の組合せ等の特徴を含めて、これらの用途に最適な特徴を達成できるシリコーンを得ることは困難だった。
【0045】
以前は、産業界は一般的に約60〜約70のショアーA硬度を達成できていた。しかしながら、LEDのような光学用途用の組成物の硬度を最適化することは困難になってきている。低硬度の組成物はシリコーンを引掻きや損耗に対してより一層脆弱にするので、このことは望ましくない。しかしながら、組成物の硬度を高めると一般的にシリコーンの接着強度が損なわれ、より一層剥離しやすくなり、LED用途にとって適さないものとなる。
【0046】
さらに、従来より、シリコーンの硬度を高める1つの方法は、シリコーンに無機フィラーを加えるものだった。しかしながら、シリコーンに無機フィラーを導入すると、シリコーンの透明性が低下し、それによってLED用途にとって非常に重要な他の望ましい特徴が損なわれる。シリコーンの硬度を高めるための別の選択肢は、有機基を導入するもの、例えばシリコーンに芳香族基を持つ剛性単位を導入するものである。このアプローチはシリコーン硬度を高めることができるが、芳香族基はシリコーンの経時黄変を引き起こすことがあり、それによってシリコーンを光学及び/又はLED被覆又は封入用途にとって許容できないものにする。
【0047】
従来の組成物にはまた、脂肪族不飽和有機基を少なくとも2個有する高粘度及び低粘度の両方のポリジオルガノシロキサン、脂肪族不飽和有機基を少なくとも2個有するシリコーン樹脂、水素原子に結合したケイ素を少なくとも2個有するクロスリンカー及びヒドロシリル化触媒から成る組成物がある。国際公開WO2010/138221A1号(2010年)。しかしながら、迅速な硬化速度及び良好な接着性という望ましい特性を有する光学ポリジオルガノシロキサン組成物は開示されていない。
【0048】
別の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、LED用途用の良好な光透過性を有することができる。米国特許第8389650B2号明細書。これらの組成物は、(1)SiO4/2単位及びR3SiO1/2単位並びに随意としてのR2SiO単位及び/又はRSiO3/2単位を含み、1分子当たり少なくとも3個のRが2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基である分岐状オルガノポリシロキサン、(2)随意としての、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を有する線状オルガノポリシロキサン、(3)SiO4/2単位及びH(CH3)2SiO1/2単位を含むポリアルキルハイドロジェンシロキサン、並びに(4)白金族金属化合物を含む。しかしながら、迅速な硬化速度及び良好な接着性という望ましい特性を有する光学ポリジオルガノシロキサン組成物は開示されていない。
【0049】
本出願人は以前、MMViQ樹脂、水素に結合したシリコーンを有するクロスリンカー及びヒドロシリル化触媒を含む透明シリコーン組成物を報告した。国際公開WO2016/107533A1号及び中国特許第105802238A号。しかしながら、本出願人が知る限り、ここに報告される組成物及びその生成物によって達成されるような、良好な接着性、高い硬度及び高い透明性の1つ又はそれ以上の組合せ又はバランスを同時に達成することができた組成物は、今日まで知られていない。
【0050】
最後に、別の組成物が、特殊な接着促進剤によってオルガノポリシロキサンの接着性の問題に取り組んでいる。米国特許第2010/0255205A1号。しかしながら、これらの組成物は、LEDに使用するための接着促進剤の使用について開示していないし取り組んでおらず、生成物の透明性を含めた別の所望の特性に対する接着促進剤の効果についても、開示していないし取り組んでもいない。
【0051】
従来の開示とは対照的に、本発明者らは、ここに、LED等の光学関連用途のための硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、該組成物及びその生成物が良好な透明性、高い硬度及び迅速な硬化速度といった所望の特徴を同時に示すものを報告する。
【0052】
例えば、ここに報告される組成物は、優れた透明性を有する。例えば、該組成物は一般的に約450nmの波長において約85%以上の透明性を有することができる。ある実施形態において、組成物の透明性は、約450nmの波長において約90%以上であることができ;別の実施形態において、この透明性は約450nmの波長において約92%以上であることができ;別の実施形態においてこの透明性は約450nmの波長において約94%以上であることができる。
【0053】
硬度に関しては、産業界の従来の組成物は一般的に約60〜約70の範囲のショアーA硬度を有していたのに対して、ここに報告される組成物は、約75を超えるショアーA硬度を有する。ある実施形態において、この硬度は約75〜約80ショアーAの範囲であることができ;別の実施形態において、この硬度約80〜約90ショアーAの範囲であることができる。
【0054】
硬化速度に関しては、産業界の従来の組成物は一般的に硬化が起こるのに150℃〜170℃において2〜5時間を要するのに対して、ここに報告される組成物についての硬化は、約80℃〜約200℃において約1分〜約120分で完了することができる。ある実施形態においては、約100℃〜約180℃において約1分〜約60分で適度な硬化が達成され得る;別の実施形態においては、約110℃〜約170℃において約2分〜約50分で適度な硬化が達成され得る;別の実施形態においては、約120℃〜約170℃において約3分〜約40分で適度な硬化が達成され得る;別の実施形態においては、約150℃〜約170℃において約5分〜約20分で適度な硬化が達成され得る;別の実施形態においては、約160℃においてたった約10分で適度な硬化が達成され得る。これらの組成物の著しく高い硬化速度は、現存の組成物を上回る有意の進歩であり、ペースの速い製造業では非常に望ましいものである。
【0055】
これらの利点に加えて、前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、ガラスやアルミニウムのような基材表面に、例えば硬化プロセスの際に、迅速且つ良好に接着するようにさらに最適化することができる。例示するために、ある実施形態において、前記組成物は、約160℃において約10分間硬化させた後に、ガラスやアルミニウムに適度に接着することができる。
【0056】
さらに、ある実施形態において前記組成物は所望の物理的特性を維持しつつ追加の化合物を許容できるので、前記組成物は特定用途のために仕立てられる追加の特性を達成するためにさらに最適化することができる。かくして、前記組成物及びその製品は、時が経つにつれて産業界の要望が変化した場合でも、広範な用途及び産業界の要望に適用可能であり、適合するというさらなる利点を有する。
【0057】
4.4 高い透明性、高い硬度及び迅速な硬化速度について最適化された光学用途用の硬化性組成物及び硬化生成物
本発明者らは、高い硬度(約75ショアーA超)、迅速な硬化速度、良好な透明性(他にもあるがこれらはすべて光学関連用途にとって非常に望ましい特徴である)を有する優れた硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び/又はその硬化生成物を報告する。光学関連用途の例には、LED、電荷結合素子、ライトガイド、光学カメラ、フォトカプラー及び導波路についての用途がある。
【0058】
有利には、ここに報告される組成物及び生成物は、これらの望ましい特徴を達成するためにフィラー及び/又は他の有機基を追加することを必要としない。実際、ここに報告される組成物及びその生成物は、このようなフィラーを全く又は実質的に(即ち1%未満しか)含有しない。従って、この優れた組成物及びその生成物は、他の組成物及びその生成物とは違って、良好な透明性を有する。本発明者らはさらに、ここに報告される組成物の硬化生成物が高い硬度、良好な接着性及び迅速な硬化速度を含めた有利な特徴を呈することを示す。さらに、ここに報告される優れた組成物及びその生成物は広範な用途を有し、その中には、生成物については所望の良好な透明性を要する材料又は方法、例えばLEDの封入及び関連光学用途が含まれる。
【0059】
4.4.1 A−オルガノポリシロキサン
一般的に、ここに報告される組成物は、最適量又は少なくとも十分有効量の第1の反応成分である重付加硬化反応におけるオルガノポリシロキサン(「A」)を含む。この第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A)は、線状、分岐状、環状又は網状構造を有する化合物を含むことができる。第1の反応成分(A)の例には、ジメチルビニルシリル末端基を含有するジメチルポリシロキサン、トリメチルシリル末端基を含有する(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシリル末端基を含有する(メチルビニル)(ジメチル)ポリシロキサンコポリマー、及び環状メチルビニルポリシロキサンがある。
【0060】
より詳細には、第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A)は、最適量又は少なくとも十分有効量の1種以上の本質的に線状のオルガノポリシロキサン(「A1」)、最適量又は少なくとも十分有効量の1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂(「A2」)及び最適量又は少なくとも十分有効量の1種以上の環状オルガノポリシロキサン(「A3」)を含む。この第1の反応成分は、次式のものを含むことができる:
(i)式R1abSiO(4-(a+b))/2 (「式4.4.1(i)」)のシロキシル単位; 及び
(ii)随意としての、式ZcSiO(4-c)/2(「式4.4.1(ii)」)のその他のシロキシル単位。
(ここで、
これらの式中に用いられる「R1」は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル又はアリル基を表し、
これらの式中に用いられる「Z」は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれ触媒の活性に対して望ましくない作用がない一価炭化水素ベース基を表し、(a)1〜8個の原子を有し且つ随意に1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基及び(b)アリール基から選択され、
これらの式中に用いられる「a」は整数1又は2を表し、合計「a+b」は1、2又は3であり;
これらの式中に用いられる「b」は整数0、1又は2を表し、合計「a+b」は1、2又は3であり;
これらの式中に用いられる「c」は整数0、1、2又は3を表し;
これらの式中に用いられる「Si」はケイ素を表し;
これらの式中に用いられる「O」は酸素を表す。
一般的に、「Z」はメチル、エチル及びフェニル基から選択することができ、基Zの少なくとも60モル%(又は数基準)がメチル基である。)
【0061】
式4.4.1(i)のシロキシル単位の例には、ビニルジメチルシロキシル、ビニルフェニルメチルシロキシル、ビニルメチルシロキシル及びビニルシロキシル単位がある。
【0062】
随意としての式4.4.1(ii)の追加のシロキシル単位の例には、SiO4/2、ジメチルシロキシル、メチルフェニルシロキシル、ジフェニルシロキシル、メチルシロキシル及びフェニルシロキシルがある。
【0063】
4.4.2 A1−本質的に線状のオルガノポリシロキサン
本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)は、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を少なくとも2個有し且つ各アルケニル基がケイ素原子に結合した少なくとも1種の本質的に線状のオルガノポリシロキサンを含有すべきである。この本質的に線状のオルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、環状若しくは網状構造又はそれらの組合せを含有していてもよく、好ましくは本質的に線状の構造を有する。本質的に線状のオルガノポリシロキサンは、約10mPa・s〜約200000mPa・sの範囲の動的粘度を有しているべきである。好ましい実施形態において、本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)中のアルケニル基は、ビニル基である。1つの実施形態において、本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)は、6個までの炭素原子を有する構造基、例えばヘキセニル、ビニル、アリル又はペンテニル基を有することができ、好ましくはビニル基を有することができる。アルケニルはまた、シクロヘキセニル基のような環状アルケニルであってもよい。
【0064】
例示的な実施形態において、本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)は、本質的に線状のオルガノポリシロキサンを1種類のみ含むことができる。別の例示的な実施形態において、本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)は、異なる種類の本質的に線状のオルガノポリシロキサンの混合物を含むことができる。例えば、本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)の例示的な実施形態は、4.1の項で規定したα1及びα2を含むことができる。
【0065】
4.4.3 A2−オルガノポリシロキサン樹脂
オルガノポリシロキサン樹脂(A2)は、ビニル基を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサン樹脂を少なくとも1種含有すべきである。好ましいオルガノポリシロキサン樹脂(A2)は、4.1の項で規定したMMViQである。
【0066】
有利には、前記組成物は、所望の特徴さえ維持していれば、他のオルガノポリシロキサン樹脂の存在を許容することができる。例えば、オルガノポリシロキサン(A)は、MMViQに加えて、追加のタイプのオルガノポリシロキサン樹脂(A2)を含むことができる。許容される追加のタイプのオルガノポリシロキサン樹脂(A2)には、式R3SiO1/2のMシロキサン単位、式R2SiO2/2のDシロキサン単位、式RSiO3/2のTシロキサン単位及び式SiO4/2のQシロキサン単位(これらの式中に用いられるRは、1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表す)のものから選択される少なくとも2種の異なるシロキサン単位を含む化合物であって、(i)これらのシロキサン単位の内の少なくとも1種はT又はQシロキサン単位であり、(ii)M、D及びTシロキサン単位の内の少なくとも1種は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を含むことを条件とする、前記化合物が含まれる。かかる許容される追加のオルガノポリシロキサン樹脂(A2)の例には、他にもあるが、DDViQ、MDViQ、MTViQ、MViQ及びMViViQがある。
【0067】
MMViQの量は、いつでも(特に追加のオルガノポリシロキサン樹脂をMMViQとブレンドする場合)、最適量又は十分有効量であるように気をつけることが大切である。何故ならば、A1中のMMViQの量が減ると最適硬化速度に影響が及ぶことがあるからである。従って、追加のオルガノポリシロキサン樹脂(即ちMMViQではないオルガノポリシロキサン樹脂)の例示的な量は、全オルガノポリシロキサン樹脂(A2)の約40重量%を超えないようにすべきである。
【0068】
4.4.4 オルガノポリシロキサン(A)−例示的配合物
オルガノポリシロキサン(A)の例示的な実施形態は、α1:α2:MMViQ=40:20:40の配合物(「配合物I」)(本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)が約40重量%のオルガノポリシロキサンα1及び約20重量%のα2を含み;オルガノポリシロキサン樹脂(A2)が約40重量%MMViQを含むもの)である。例えば表1のF0、F1、F3、F6〜F8及びF14〜F16の欄を参照されたい。有利なことに、この配合物は、他にもあるが特に、高い硬度、高い透明性及び迅速な硬化速度を達成することができる。
【0069】
オルガノポリシロキサン(A)の別の例示的な実施形態は、α1:α2:MMViQ:MDViQ=35.2:24.8:35.2:4.8の配合物(「配合物II」)(本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)が約35.2重量%のオルガノポリシロキサンα1及び約24.8重量%のα2を含み;オルガノポリシロキサン樹脂(A2)が約35.2重量%のMMViQ及び約4.8重量%MDViQを含むもの)である。例えば表1のF9の欄を参照されたい。オルガノポリシロキサン(A)の別の例示的な実施形態は、α1:α2:MMViQ:MDViQ=27.95:32.05:27.94:12.06の配合物 (「配合物III」)(本質的に線状のオルガノポリシロキサン(A1)が約27.95重量%のオルガノポリシロキサンα1及び約32.05重量%のα2を含み;オルガノポリシロキサン樹脂(A2)が約27.94重量%のMMViQ及び約12.06重量%のMDViQを含むもの)である。例えば表1のF10の欄を参照されたい。有利なことに、これらの配合物は両方とも、他にもあるが特に、高い硬度、高い透明性及び迅速な硬化速度を達成することができる。
【0070】
4.4.5 A3−環状オルガノポリシロキサン
最適量又は少なくとも十分有効量の環状オルガノポリシロキサン(A3)を加えることによって最終生成物の硬度を改善することができるので、これは硬度強化剤としての働きをすることができる。
【0071】
ここに、環状オルガノポリシロキサン(A3)は、環状構造中で有機化されたR’RSiO単位を複数含む。この式中に用いられるR’は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル基であり、この式中に用いられるRは1〜6個の直鎖状又は分岐鎖状炭素原子を有するアルキル基である。R’RSiO単位は、環状構造を形成する繰返し単位であることができる。環状オルガノポリシロキサン(A3)の例示的な実施形態において、R’RSiO単位中の各ケイ素原子はビニル基に結合する。環状オルガノポリシロキサン(A3)の1つの例示的な実施形態は、メチルビニルポリシロキサンである。
【0072】
一般的には、環状オルガノポリシロキサン(A3)は良好な硬化遅延剤と考えられる。しかしながら、本発明者らはここに、複数個の分岐R’基を有する環状オルガノポリシロキサン(A3)は反応の際に架橋度を大幅に高め、最終生成物の硬度を大幅に強化することができることを見出した。
【0073】
本発明者らは、環状オルガノポリシロキサン(A3)の好ましい実施形態が、少なくとも約3個のR’RSiO単位を含み、少なくとも約3個のビニル基を有すること、さらに好ましくは約3〜約8個のR’RSiO単位を含み、約3〜約8個のビニル基を有すること、さらに好ましくは約4個のSiO単位及び約4個のビニル基を含むことを見出した。環状オルガノポリシロキサン(A3)の例示的な実施形態は、α3のテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンである。
【0074】
例示的な実施形態においては、環状オルガノポリシロキサン(A3)の量がいつでも最適量又は少なくとも十分有効量であるように気をつけることが大切である。α3のような環状オルガノポリシロキサン(A3)の量が多すぎると、硬化生成物が過白及び/又は濁度の増加につながり、それによって硬化製品の透明性が低下する可能性がある。従って、高い透明性についての例示的な実施形態においては、A3の量を最適量又は少なくとも十分有効量にする。例えば、環状オルガノポリシロキサンA3対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)の質量比を約0.5×10-2 〜約8×10-2;好ましくは約1.5×10-2〜約7×10-2;さらに好ましくは約2×10-2〜約6×10-2で最適化することによって、高い透明性、好ましくは約450nmにおいて約88%超の透過度を達成することができる。
【0075】
4.4.6 B−SiHクロスリンカー
前記組成物はまた、重付加硬化反応において最適量又は少なくとも十分有効量の第2の反応成分のSiHクロスリンカー(「B」)を含むこともできる。このSiHクロスリンカー(B)は、少なくとも2個のSiH基を含む線状、分岐状、環状又は網状オルガノポリシロキサンであることができる。このSiHクロスリンカー(B)はオルガノポリシロキサンであり、例えば2個のSiH基、3個のSiH基、4個のSiH基又はそれ以上を有することができる。SiH基は、オルガノポリシロキサン鎖中及び/又はオルガノポリシロキサン鎖の末端に位置していてよい。SiHクロスリンカー(B)は、少なくとも約10mPa・s、好ましくは約20mPa・s〜約1000mPa・sの動的粘度を有することができる。
【0076】
例示的な実施形態においては、1分子当たり2個のアルケニル基を含有する第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A) が、3個以上のSiH基を含むBを含んでいるべきである。別の例示的な実施形態においては、1分子当たり3個以上のアルケニル基を含有する第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A) が、少なくとも2個のSiH基を含むBを含んでいるべきである。
【0077】
1つの実施形態において、SiHクロスリンカー(B)は、次式のものを含むことができる:
(i)式:HdeSiO(4-(d+e))/2(「式4.4.6(i)」)のシロキシル単位;及び
(ii)随意としてのその他のシロキシル単位[これらのその他のシロキシル単位の平均式は、LgSiO(4-g)/2 (「式4.4.6(ii)」)である]。
[ここで、
これらの式中に用いられる「L」は、1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、この炭化水素基は、重付加触媒(4,4,7の項で定義したC)の活性に対して望ましくない影響を持たない(又は実質的に持たない)ものであって、好ましくは1〜8個の炭素原子を有し且つ随意に1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(さらに好ましくはメチル、エチル、プロピル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基)、アリール基及びアルカリール基(例えばキシリル、トリル及びフェニル基)から選択され;
これらの式中に用いられる「H」は水素を表し;
これらの式中に用いられる「Si」はケイ素を表し;
これらの式中に用いられる「O」は酸素を表し;
これらの式中に用いられる「d」は整数1又は2を表し、合計「d+e」は1、2又は3であり;
これらの式中に用いられる「e」は整数0、1又は2を表し、合計「d+e」は1、2又は3であり;
これらの式中に用いられる「g」は整数0、1、2又は3を表す。]
【0078】
式4.4.6(i)のシロキシル単位の例には、H(CH3)2SiO1/2、HCH3SiO2/2及びH(C65)SiO2/2がある。式4.4.6(ii)の随意としての追加のシロキシル単位の例には、SiO4/2シロキシル、ジメチルシロキシル、トリメチルシロキシル、メチルフェニルシロキシル、ジフェニルシロキシル、メチルシロキシル及びフェニルシロキシル単位がある。線状及び環状SiHクロスリンカー(B)の例には、ハイドロジェンジメチルシリル末端基を含有するジメチルポリシロキサン、(ジメチル)(ヒドロゲノメチル)ポリシロキサン単位を含有しトリメチルシリル末端基を含有するコポリマー、(ジメチル)(ヒドロゲノメチル)ポリシロキサン単位を含有しヒドロゲノジメチルシリル末端基を含有するコポリマー、トリメチルシリル末端基を含有するヒドロゲノメチルポリシロキサン、及び環状ヒドロゲノメチルポリシロキサンがある。SiHクロスリンカー(B)は随意に、ヒドロゲノジメチルシリル末端基を含有するジメチルポリシロキサンとヒドロゲノシロキシル基を少なくとも3個含むオルガノポリシロキサンとの混合物であることができる。
【0079】
例示的な実施形態において、SiHクロスリンカー(B)中のケイ素原子に結合した水素原子の数対第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A)中のアルケニル不飽和の基の総数のモル比は、約0.4〜約10、好ましくは約0.6〜約5、さらに好ましくは約1〜約5、さらに好ましくは約1.5〜約4、さらに好ましくは約1.5〜約3、さらに好ましくは約1.5〜約2.7とする。
【0080】
1つの例示的な実施形態において、SiHクロスリンカー(B)はオルガノポリシロキサン樹脂M’Q(4.1の項を参照されたい)である。別の例示的な実施形態において、SiHクロスリンカー(B)はオルガノポリシロキサン樹脂MD’Q(4.1の項を参照されたい)である。別の例示的な実施形態において、SiHクロスリンカー(B)はβ1(4.1の項を参照されたい)である。
【0081】
4.4.7 C−重付加触媒
前記組成物はまた、重付加硬化反応において最適量又は少なくとも十分有効量の重付加触媒(「C」)を含むこともできる。Cを加えることにより、架橋及び/又はヒドロシリル化反応の速度を向上させることができる。好適な重付加触媒(C)には、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びインジウム等の第VIII属金属の錯体又は化合物が包含される。ある実施形態において、重付加触媒(C)には、白金化合物又は錯体、例えばクロロ白金酸及び白金アセチルアセトナート;ハロゲン化第一白金とエチレン、プロピレン、オルガノビニルシロキサン及びスチレン等の不飽和化合物との錯体;ヘキサメチル二白金;PtCl2・PtCl3;及びPt(CN)3が包含される。ある実施形態において、重付加触媒(C)には、RhCl3(Bu2S)3等のロジウム錯体が包含される。
【0082】
ある別の実施形態において、重付加触媒(C)は、当業者によく知られた金属白金を含む錯体又は化合物であることができる。かかる錯体又は化合物の例には、例えば米国特許第3159601号、米国特許第3159602号、米国特許第32209723号、欧州特許公開第0057579号、欧州特許公開第0188978号及び欧州特許公開第0190530号に記載された錯体;並びに米国特許第3419593号、米国特許第3715334号、米国特許第3377432号及び米国特許第3814730号に記載された白金及びビニルオルガノシロキサン錯体が包含される。一般的に、白金含有重付加触媒(C)の量は、第1の反応成分のオルガノポリシロキサン(A)及びSiHクロスリンカー(B)の合計重量を基準とした白金金属の重量として、約2ppm〜約400ppm;好ましくは約2ppm〜約100ppm;さらに好ましくは約2ppm〜約30ppm;さらに好ましくは約2ppm〜約10ppm;さらに好ましくは約3ppm〜約9ppmとする。1つの例示的な重付加触媒(C)は、γ1である。
【0083】
4.4.8 例示的配合物
本発明者らは、高い硬度、好ましくは約75以上のショアーA硬度、高い透明性、好ましくは約450nmの波長において約85%以上の透過度、及び迅速な硬化速度を達成することができる硬化性組成物及び/又はその硬化生成物を見出した。重要なことに、この硬化性組成物は、添加剤やフィラーなしで作ることができる。1つの例示的な実施形態において、この組成物は、α1:α2:MMViQ:α3:β1:γ1=40:20:40:3.78:16.13:0.004(重量による)の配合から成る(「配合物IV」)。例えば表1のF0の欄を参照されたい。有利なことに、追加の添加剤やフィラーなしの場合にさえ、この組成物は、他にもあるが特に、高い硬度、良好な硬化速度及び高い透明性を達成することができる。
【0084】
本発明者らは、高い硬度、高い透明性及び迅速な硬化速度を達成しつつ、追加の成分の存在を許容することができる硬化性組成物を見出した。1つの例示的な実施形態において、この組成物は、α1:α2:MMViQ:α3:β1:γ1:δ1:δ3=40:20:40:3.78:16.13:0.004:0.54:0.05(重量による)の配合から成る(「配合物V」)。例えば表1のF1の欄を参照されたい。別の例示的な実施形態において、この組成物は、α1:α2:MMViQ:MDViQ:α3:β1:γ1:δ1:δ3=35.2:24.8:35.2:4.8:3.77:15.77:0.004:0.54:0.05(重量による)の配合から成る(「配合物VI」)。例えば表1のF9の欄を参照されたい。有利なことに、この組成物は、他にもあるが特に、高い硬度、高い透明性及び迅速な硬化速度という望ましい品質を損なうことなく、これらの追加の成分の存在を許容することができる。
【0085】
4.5 高い透明性、高い硬度、迅速な硬化速度及び改善された接着性について最適化された光学用途用の硬化性組成物
4.5.1 D−接着促進剤
前記組成物はまた、接着性を改善するために最適量又は少なくとも十分有効量の接着促進剤(「D」)をさらに含むこともできる。最適量又は少なくとも十分有効量のDを加えることにより、得られる硬化生成物は所定の基材表面に迅速に接着して良好な接着を形成することができる。従って、これらの組成物及びその生成物は、光学用途にとって非常に望ましいさらに別の特性、即ち良好且つ改善された接着性をも有する。
【0086】
ある実施形態においては、最適量又は少なくとも十分有効量の接着促進剤(D)を加えることにより、高い透明性、高い硬度及び迅速な硬化速度といった所望の特性を損なうことなく、現在の産業の要求に適合することができる速度を含めて、良好且つ迅速な接着を達成することができる。さらに、最適の又は少なくとも十分有効な接着促進剤(D)を用いて、ガラス及び/又はアルミニウムを含めた広範な材料上に、良好且つ迅速な接着を達成することもできる。
【0087】
好ましい実施形態において、接着促進剤(D)は、最適量又は少なくとも十分有効量の重縮合触媒(「D2」)の存在下又は不在下で、最適量又は少なくとも十分有効量の接着化合物(「D1」)を含む。この分野において通常用いられる任意の接着化合物(接着促進剤とも称される)D1を用いることが可能である。例えば、以下のものを用いることができる:
・ビニルベースのシラン又はオルガノシロキサン単独又は部分加水分解物及びその反応生成物の1種;
・エポキシ官能基で官能化されたシラン又はオルガノシロキサン単独又は部分加水分解物及びその反応生成物の1種;
・アミノ官能性シラン又はオルガノシロキサン単独又は部分加水分解物及びその反応生成物の1種;並びに/或は
・酸無水物基で官能化されたシラン又はオルガノシロキサン単独又は部分加水分解物及びその反応生成物の1種。
接着化合物(D1)の例示的な実施形態は、δ1である。接着化合物(D1)の別の例示的な実施形態は、δ1とδ2との組合せである。重縮合触媒(D2)の例示的な実施形態は、有機金属触媒である。かかる有機金属触媒の一例は、δ3である。
【0088】
好ましい実施形態において、接着促進剤D1対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)の質量比は、約0.01×10-2〜約10×10-2、好ましくは約0.1×10-2〜約5×10-2、さらに好ましくは約0.3×10-2〜4×10-2である。
【0089】
好ましい実施形態において、D2の量対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)は、約0.001×10-2〜約2×10-2;好ましくは約0.01×10-2〜約1×10-2;さらに好ましくは約0.03×10-2〜約0.5×10-2である。
【0090】
ある実施形態においては、所望の透明性、硬度、接着性及び迅速な硬化速度といった特性を低下させることなく、1種以上の抑制剤、硬化遅延剤、フィラー、熱安定剤、難燃剤又はそれらの組合せ等の追加の成分を加えることができる。
【0091】
4.5.2 例示的な配合物
本発明者らは、高い硬度、好ましくは約75以上のショアーA硬度、高い透明性、好ましくは約450nmの波長において約85%以上の透過度、迅速な硬化速度、様々な異なる表面に対する良好且つ迅速な接着を達成することができる硬化性組成物及び/又はその硬化生成物を見出した。1つの例示的な実施形態において、この組成物は、α1:α2:MMViQ:α3:β1:γ1:δ1:δ3=40:20:40:5.36:19.57:0.004:0.56:0.06(重量による)の配合から成る(「配合物VII」)。例えば表1のF3の欄を参照されたい。別の例示的な実施形態において、この組成物は、α1:α2:MMViQ:α3:β1:γ1:δ1:δ2=40:20:40:3.93:16.45:0.004:0.56:4.37(重量による)の配合から成る(「配合物VIII」)。例えば表1のF16の欄を参照されたい。有利なことに、組成物及び/又はその硬化生成物は共に、高い硬度、高い透明性, 良好な接着性及び良好且つ迅速な接着を達成することができる。さらに、配合物VIIは重縮合触媒(D2)の存在下でこれらの所望の特性を達成することができ、一方配合物VIIIは重縮合触媒(D2)の不在下でさえこれらの所望の特性を達成することができる。このことは、他にもあるが特に、組成物及びその硬化生成物の汎用性を示している。
【0092】
4.5.3 追加の例示的な配合物
本発明者らは、以下のものを含む硬化性オルガノポリシロキサン組成物Xを見出した:
(a1)ケイ素原子に結合した2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を少なくとも2個含有する1種以上の本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1;及び
(b1)次の単位:
(i)式4.1(x)R’R2SiO1/2及びその化学構造を有する1個以上の一価シロキサン単位MVi
(ii)式4.1(ix)R3SiO1/2及びその化学構造を有する1個以上の一価シロキサン単位M;
(iii)式4.1(xii) SiO4/2及びその化学構造を有する1個以上の四価シロキサン単位Q:
から本質的に成る式MMViQの少なくとも1種の樹脂を含む1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂A2
(これらの式中に用いられた時のRは1〜6個の炭素原子を有する一価炭化水素基を表し、R’はビニル基を表す);
(a3)R’RSiO単位から成り且つ環状構造中で有機化された1種以上の環状オルガノポリシロキサンA3(この式中に用いられた時のR’は2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル基を表し、この式中に用いられた時のRは1〜6個の直鎖状又は分岐鎖状炭素原子を有するアルキル基を表す);
(b)少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のSiH基を含む1種以上のオルガノポリシロキサンクロスリンカーB(ここで、SiHはシロキシル又はシリル基又は単位を意味し、少なくとも1個の水素がケイ素原子に共有結合する);並びに
(c)有効量の1種以上の重付加触媒C、好ましくは白金含有錯体及び/又は化合物。
【0093】
組成物Xの好ましい実施形態において、環状オルガノポリシロキサンA3は、メチルビニルポリシロキサン、好ましくはテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンである。
【0094】
組成物Xの好ましい実施形態において、オルガノポリシロキサンクロスリンカーBは、分岐状又は網状オルガノポリシロキサン、好ましくは式4.1(ii)Si(O(CH3)2SiH)4を有するM’Q樹脂である。
【0095】
組成物Xの好ましい実施形態において、式MMViQの1種以上のオルガノポリシロキサン樹脂A2。
【0096】
組成物Xの好ましい実施形態において、MMViQ樹脂の量は、オルガノポリシロキサン樹脂A2の総量の少なくとも60重量%とする。
【0097】
組成物Xの例示的な配合物は、この項において説明した好ましい実施形態の特徴の内の1つ又は2つ以上の組合せを含み、本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1は、約10mPa・s〜約200000mPa・sの範囲、好ましくは200mPa・s〜約100000mPa・sの範囲;さらに好ましくは3000mPa・s〜約70000mPa・sの範囲の動的粘度を有する。好ましい実施形態はさらに、以下より成る群から選択される少なくとも1つの成分比を含む:
・オルガノポリシロキサン樹脂A2対本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1の質量比は、約0.4〜約1;好ましくは約0.6〜約0.8;さらに好ましくは約0.6〜約0.7である;
・環状オルガノポリシロキサンA3対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)の質量比は、約0.5×10-2〜約8×10-2;好ましくは約1.5×10-2〜約7×10-2;さらに好ましくは約2×10-2〜約6×10-2である;
・ケイ素原子に結合した水素原子の数対組成物中のアルケニル不飽和の総数のモル比は、約0.4〜約10、好ましくは約0.6〜約5、さらに好ましくは約1〜約5、さらに好ましくは約1.5〜約4、さらに好ましくは約1.5〜約3、好ましくは約1.5〜約2.7である;
・重付加触媒C対組成物Xの質量比は、約0.2×10-6〜約10000×10-6;好ましくは約0.5×10-6〜約300×10-6;さらに好ましくは約1×10-6〜約100×10-6である;
・接着促進剤D1対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)の質量比は、約0.01×10-2〜約10×10-2;好ましくは約0.1×10-2〜約5×10-2、さらに好ましくは約0.3×10-2〜4×10-2である;
・重縮合触媒D2対(本質的に線状のオルガノポリシロキサンA1とオルガノポリシロキサン樹脂A2との合計)の質量比は、約0.001×10-2〜約2×10-2;好ましくは約0.01×10-2〜約1×10-2;さらに好ましくは約0.03×10-2〜約0.5×10-2である;
・それらの組合せ。
【0098】
4.6 硬化生成物を製造するための組成物の硬化
一般的に、前記組成物は、硬化生成物を製造するために、当業者に周知の任意の方法を用いて硬化させることができる。例えば、硬化は射出成形、トランスファー成形、キャスティング、押出、オーバーモールディング、圧縮成形及びキャビティ成形によって行うことができる。また、硬化生成物を製造するために、硬化条件を最適化したり、少なくとも十分有効なものにすることができる。例えば、組成物を約80℃〜約200℃において約1分〜約120分;約100℃〜約180℃において約1分〜約60分;約110℃〜約170℃において約2分〜約50分;約120℃〜約170℃において約3分〜約40分;約150℃〜約170℃において約5分〜約20分;又は約160℃において約10分硬化させることによって、硬化生成物を製造することができる。
【0099】
4.7 化合物の選択された用途
追加的に、本発明者らは、ここに報告される組成物の射出成形、トランスファー成形、キャスティング、押出、オーバーモールディング、圧縮成形及びキャビティ成形から選択される方法における使用を報告する。例えば、本発明者らは液状シリコーンオーバーモールディング等の、オーバーモールディングに用いるのに好適な組成物を報告する。オーバーモールディングは、ツーショットモールディングとも称され、未硬化シリコーンゴムをベース材料又は基材に適用し、基材と直接接触させたままで造形する方法として一般的に知られている。
【0100】
追加的に、本発明者らは、硬化した時に一般に集積回路パッケージの一種として知られるチップスケールパッケージに使用するための望ましい物理的特性を同時に有する組成物を報告する。IPC標準J−STD−012「フリップチップおよびチップスケールテクノロジーの実装(Implementation of Flip Chip and Chip Scale Technology)」によると、チップスケールとして認定するには、パッケージの面積がダイの面積の1.2倍以下でなければならず、シングルダイで直接表面装着可能なパッケージでなければならない。これらのパッケージをCSPとして認定するためにしばしば適用される別の基準は、それらのボールピッチが1mm以下であることである。さらに、ダイは、フリップチップボールグリッドアレイ(BGA)パッケージのように、パッド又はボールが形成されるインターポーザー上に取り付けられるか、又はパッドがシリコーンウエハーに直接エッチングまたは印刷され、シリコーンダイのサイズに非常に近いパッケージになる:このようなパッケージは、ウエハーレベルパッケージ(WLP)又はウエハーレベルチップスケールパッケージ(WL−CSP)と称される。前記組成物は硬化した時にチップスケールパッケージによく適した一連の物理的特性を同時に有するため、当業者は、ここに提供される開示をチップスケールパッケージにおける用途のために容易に利用できる。
【0101】
以下の実施例は、本願発明の範囲を限定することなく例示的な実施形態を示すものである。
【実施例】
【0102】
例1.
実験結果
ここに報告される組成物の様々な配合物を作り、これらの配合物の生成物を製造し、それらの物理的特性を測定した。表1に、これらの結果の例示的セットを示す。表1において、各配合物を「F0」〜「F16」で示し、それらの組成物の物理的特性(粘度、硬度、接着性及び透明性を含む)を測定した。
【0103】
粘度については、各組成物の動的粘度を、Brookfield粘度計(DV2TRVTJ0型)により23℃において10rpmの速度でスピンドル6を用いて測定した。
【0104】
硬度については、各組成物の厚さ6mmのサンプルを160℃において10分間硬化させ、生成物の硬度をASTM法D2240によりA型デュロメーターにより23℃において測定した。
【0105】
透明性については、各組成物の厚さ1mmのサンプルを120℃において30分間硬化させ、次いで160℃において10分間硬化させた。次いで紫外線可視分光光度計(島津製作所、UV2600型)を用いて23℃において450nm光透過量を測定した。別法として、サンプルを160℃において10分間硬化させ、次いで透過特性を測定することもできる。
【0106】
接着性については、各組成物からのサンプルを1〜2mmの厚さで、(a)試験表面(例えばガラス又はアルミニウム)(予めアルコールで洗浄し、残留アルコールを窒素ガス吹き付け乾燥によって除去したもの)上に注ぎ、(b)試験表面を160℃において10分間硬化させ、(c)剥離試験を実施した。剥離試験については、試験表面から硬化生成物を剥離する試みを23℃において45°の角度で行い、完全に剥離できる硬化生成物の量を定量化した。例えば:
・被覆面積の0〜10%が完全に剥離された場合、配合物は「OK」とし、
・被覆面積の10〜50%が完全に剥離された場合、配合物は「OK〜poor」とし、
・被覆面積の50%超が完全に剥離された場合、配合物は「poor」とし、
・被覆面積の100%の完全に剥離された場合(即ち接着なし)、配合物は「No」とする。
表1.組成物及びその特性。各配合物の少なくとも1つの例を、以下のように提供する:
配合物I(例えば:F0、F1、F3、F6−F8及びF14−F16);
配合物II(例えば:F9);
配合物III(例えば:F10);
配合物IV(例えば:F0);
配合物V(例えば:F1);
配合物VI(例えば:F9);
配合物VII(例えば:F3);並びに
配合物VIII(例えば:F16)。
F0には接着促進剤Dがなく、従って接着性が低い。F2には環状オルガノポリシロキサンA3がなく、従って硬度が低い。F4ではA3が多すぎ、従って透過性が低い。F5ではSiH/SiViのモル比が低すぎ、従って硬度が低い。F11/F12/F13では樹脂の総量に対してMMviQが60%未満であり、従って硬度が低い。F15は接着促進剤D1が多く、従って透過度が低い。
【表1】
【0107】
5.参考文献
以下の刊行物、文献、特許及び特許出願は、言及することによってここにすべて組み込まれるものとする。
【0108】
Bahadur, M., Nelson, R., Strong, M., (2010) Silicone Composition for Producing Transparent Silicone Materials and Optical Devices. WO 2010/138221 A1.
a. WO 2010/138221 A1 (2010)
【0109】
Takanashi, M., Kobayashi, H., (2013) Curable Organopolysiloxane Composition. US 8,389,650 B2.
a. US 8,389,650 B2
【0110】
Jia, L., Man, Z., (2016) Curable Polysiloxane Composition. WO 2016/107533 A1.
a. WO 2016/107533 A1
【0111】
Jia, L., Man, Z., (2016) Curable Polysiloxane Composition. CN 105802238A.
a. CN 105802238 A
【0112】
Cray, S., Habimana, J., Rich, D., Thibaut, M., (2010) Silicone Release Coating Compositions. US 2010/0255205 A1.
a. US 2010/0255205 A1