特許第6974479号(P6974479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6974479シリコーン系粘着剤組成物及び粘着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974479
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】シリコーン系粘着剤組成物及び粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/04 20060101AFI20211118BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20211118BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20211118BHJP
   C09J 7/25 20180101ALI20211118BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20211118BHJP
【FI】
   C09J183/04
   C09J11/06
   C09J7/38
   C09J7/25
   C09J7/24
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-540152(P2019-540152)
(86)(22)【出願日】2017年9月5日
(86)【国際出願番号】JP2017031924
(87)【国際公開番号】WO2019049200
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2020年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145079
【氏名又は名称】株式会社寺岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181607
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 史子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 靖史
(72)【発明者】
【氏名】石川 和樹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 太郎
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−193803(JP,A)
【文献】 特開2004−091750(JP,A)
【文献】 特開2006−028311(JP,A)
【文献】 特開2014−072301(JP,A)
【文献】 特開2008−156496(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028455(WO,A1)
【文献】 特開2003−313515(JP,A)
【文献】 特開2003−313516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
CAplus(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン成分が有機過酸化物によって硬化されたシリコーン構造を含み、硬化後の動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、
(1)300℃における貯蔵弾性率G’が12000Pa以上、
(2)300℃におけるtanδが0.04以上0.21以下、
(3)温度−60℃から150℃の範囲に存在するtanδのピーク温度が6℃以上60℃以下
あり、
シリコーン成分が、シリコーン生ゴム及びMQレジンを含む
シリコーン系粘着剤組成物。
【請求項2】
動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、
(1’)300℃における貯蔵弾性率G’が15000Pa以上
である請求項1記載のシリコーン系粘着剤組成物。
【請求項3】
動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、
(2’)300℃におけるtanδが0.06以上0.21以下
である請求項1記載のシリコーン系粘着剤組成物。
【請求項4】
動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、
(3’)温度−60℃から150℃の範囲に存在するtanδのピーク温度が9℃以上57℃以下
である請求項1記載のシリコーン系粘着剤組成物。
【請求項5】
有機過酸化物の量P(質量部)と下記式(1)で表される該有機過酸化物の理論活性酸素量A(%)の積PA(質量部)が、シリコーン成分100質量部に対し0.090質量部以上0.300質量部以下である請求項1記載のシリコーン系粘着剤組成物。
有機過酸化物の理論活性酸素量(%)=(過酸化結合の数×16/有機過酸化物の分子量)×100(%) (1)
【請求項6】
請求項1記載のシリコーン系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープ。
【請求項7】
基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する請求項記載の粘着テープ。
【請求項8】
基材が樹脂フィルムである請求項記載の粘着テープ。
【請求項9】
樹脂フィルムが、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリアミドイミド(PAI)フィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)フィルム及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムからなる群より選ばれるフィルムである請求項記載の粘着テープ。
【請求項10】
290℃を超える高温環境下で使用される耐熱性粘着テープである請求項記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子部品や半導体部品の製造工程で使用される粘着テープにおいて、高温環境下で使用する際は部材への接着性が高く、かつ高温環境下で使用した後は糊残りなく剥離できるシリコーン系粘着剤組成物及び粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン系粘着剤組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、電気絶縁性及び耐薬品性に優れている。さらにシリコーン系粘着剤層を有する粘着テープは、特に高温環境下で使用しても剥離時に糊残りしにくい。したがって、そのような粘着テープは、例えば電子部品や半導体部品の製造工程において、部材や部品の保護、マスキング、仮固定、搬送時固定、スプライス等の用途に広く利用されている。
【0003】
近年では、これら電子部品や半導体部品の製造工程において、テープが従来よりも高い温度で使用される場合がある。例えば、電子部品実装におけるリフロー工程において鉛フリーはんだを使用するような場合では、リフロー温度が従来よりも高温(例えば280〜300℃)となることもある。このような高温環境下で使用した後も糊残りなく剥離できるように、シリコーン系粘着剤の耐熱性をさらに向上させる必要が生じている。
【0004】
また、電子部品や半導体部品の製造工程においては、高温環境下での使用中に部材を強く固定できる接着性もシリコーン系粘着剤に要求される。例えば電子部品の製造工程において、折り曲げた状態のFPCを固定するような場合には、FPC(Flexible Printed Circuits)の反発を抑えて部材を固定し続けることが可能な強い接着性が必要となる。
【0005】
従来、糊残りしにくいシリコーン系粘着剤や粘着テープは数多く提案されている。例えば特許文献1には、250〜290℃での糊残り性試験において糊残りがないシリコーン系粘着剤組成物が開示されている。特許文献2には、250℃での糊残り性試験において糊残りがないシリコーン系粘着剤組成物が開示されている。特許文献3には、半導体部品の製造工程において260℃リフローした際の粘着力上昇が小さく、部品への転写異物(糊残り)も少ない表面保護用粘着テープが開示されている。
【0006】
特許文献1〜3は電子部品や半導体部品の製造工程において使用される粘着テープに関するものであり、その使用環境の温度は250〜290℃、250℃、260℃が想定されている。しかし、近年の電子部品や半導体部品の製造工程やその他プロセスにおいては290℃を超える温度(例えば300℃)で粘着テープが使用されることもある。そして従来の一般的な粘着テープをそのような高い温度環境で使用すると剥離時に糊残りが発生し易い。また、糊残りしにくいタイプの従来の粘着テープ(特許文献1〜3)などであっても、想定以上の高い温度環境で使用すると剥離時に糊残りが発生する恐れがある。
【0007】
また、高温環境下では一般に粘着剤の凝集力は著しく低下する。そのため、高温環境下において部材の反発を抑えて粘着テープで部材を固定する場合には、粘着テープの接着性が低下し、部材の反発を抑えきれず粘着剤と被着体界面で剥がれてしまうことがある。例えば、図2(A)に示すように、粘着テープ11で電子部品素材12を搬送体13に固定し、図2(B)に示すように、粘着テープ14でFPC15を搬送体13に固定する。この場合、部品の積層やリフロー等の高温工程において、図2(C)に示すように、粘着テープ14がFPC15の反発を抑えることができず、搬送体13から剥がれてしまうことがある。また、粘着剤と被着体界面の接着力よりも粘着剤内部の凝集力が弱くなってしまい、粘着剤内部での凝集破壊を起こしながら剥がれが発生してしまう恐れもある。一方、特許文献1及び2では、高温環境下での接着性に関して言及されていない。特許文献3は高温環境で使用後の粘着力の上昇を抑制し、軽く剥離できることを目的としているので、高温環境下で強い反発を抑えて部材を接着するような用途には適さないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−193803号公報
【特許文献2】特開2008−156497号公報
【特許文献3】特開2013−147540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、高温環境下で使用したときの従来の粘着テープの上述の課題を解決する為の開発を行った。すなわち本発明の目的は、高温環境下で使用する際は部材への接着性が高く、かつ高温環境下で使用した後は糊残りなく剥離できるシリコーン系粘着剤組成物及び粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、有機過酸化物による硬化後のシリコーン系粘着剤組成物の動的粘弾性測定における特定の物性が、高温環境(例えば280〜300℃)下で使用する際の接着性や使用した後の糊残り防止性等の諸性能と関係していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、シリコーン成分が有機過酸化物によって硬化されたシリコーン構造を含み、硬化後の動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、
(1)300℃における貯蔵弾性率G’が12000Pa以上、
(2)300℃におけるtanδが0.04以上0.21以下、
(3)温度−60℃から150℃の範囲に存在するtanδのピーク温度が6℃以上60℃以下
あり、
シリコーン成分が、シリコーン生ゴム及びMQレジンを含む
シリコーン系粘着剤組成物である。
【0012】
さらに本発明は、上記シリコーン系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高温環境下で使用する際は部材への接着性が高く、かつ高温環境下で使用した後は糊残りなく剥離できるシリコーン系粘着剤組成物及び粘着テープが提供される。特に、本発明の粘着テープは上記特定の粘着剤層を有するので、高温環境下で処理が必要となる工程、例えば、電子部品や半導体部品の製造工程において、被着体の保護、マスキング、仮固定、搬送時固定、スプライス等の用途に非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例における耐反発性試験の評価方法を説明する為の模式的断面図である。
図2】従来の粘着テープの高温工程中の剥がれを説明する為の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、シリコーン成分が有機過酸化物によって硬化されたシリコーン構造を含むシリコーン系粘着剤を主成分とする粘着剤組成物である。硬化後のシリコーン系粘着剤組成物の動的粘弾性測定(温度範囲−60℃〜300℃、昇温速度10℃/分、周波数10Hz)において、(1)300℃における貯蔵弾性率G’が12000Pa以上、好ましくは15000Pa以上、より好ましくは18000Pa以上であり、(2)300℃でのtanδが0.04以上0.21以下、好ましくは0.06以上0.21以下、より好ましくは0.08以上0.21以下であり、かつ、(3)温度−60℃から150℃の範囲に現れるtanδのピーク温度が6℃以上60℃以下、好ましくは9℃以上57℃以下、より好ましくは12℃以上54℃以下である。貯蔵弾性率G’、tanδ及びtanδのピーク温度の具体的な測定方法は、後述する実施例の欄に記載する。
【0016】
300℃における貯蔵弾性率G’、tanδ及び温度−60℃から150℃の範囲に現れるtanδのピーク温度が本発明の特定の範囲内であれば、高温環境(例えば300℃)下で使用しても、使用中は部品への接着性が強く、かつ使用後は糊残りなく剥離できる。300℃における貯蔵弾性率G’が12000Pa未満であると、高温環境下で使用中に粘着剤の熱劣化が激しくなるので、高温加熱後に剥離した際、糊残りしやすくなる。さらに貯蔵弾性率G’が著しく低い場合は、高温加熱中で粘着剤の凝集力も著しく弱くなり、工程中で粘着剤の凝集破壊により部材から剥がれることがある。
【0017】
300℃における貯蔵弾性率G’が12000Pa以上であっても、300℃におけるtanδが0.04未満である場合、つまり弾性項に比べて粘性項が著しく低い場合は、粘着剤が被着体へ濡れ広がりにくいと考えられる。そのため接着性不足による粘着剤と被着体界面における剥がれが発生しやすくなる。一方、300℃におけるtanδが0.21を超えてしまう場合、つまり弾性項に比べて粘性項が著しく高い場合は、熱劣化が激しく高温加熱後に剥離した際、糊が残りやすくなる。
【0018】
300℃における貯蔵弾性率G’とtanδが適切な範囲であっても、温度−60℃から150℃の範囲に存在するtanδのピーク温度が60℃を超える、あるいは6℃未満であると、高温乾燥した後に剥離すると僅かながら端部に糊残りしやすくなる傾向がある。
【0019】
本発明に用いるシリコーン系粘着剤のシリコーン成分は、シリコーン生ゴム及びMQレジンを含むことが好ましい。その具体例としては、主にシリコーン生ゴム(D単位[(CH3)2SiO]からなる構造を有するポリジメチルシロキサンの長鎖の重合体)とMQレジン(M単位[(CH3)3SiO1/2]とQ単位[SiO4/2]からなる構造を有する3次元構造のシリコーンレジンの重合体)を含有する粘着剤が挙げられる。このようなシリコーン生ゴムとMQレジンを含有する粘着剤は、シリコーン生ゴム単体に比べて粘着性に優れる。また、粘着剤中のシリコーン生ゴムとMQレジンの比率を変えることで粘着力・保持力・タック等の基本的な粘着物性をコントロールすることができる。シリコーン系粘着剤は、その硬化機構により、付加硬化型、過酸化物硬化型に大別されるが、本発明に用いるのは過酸化物硬化型のシリコーン系粘着剤である。
【0020】
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤は、例えば、アルケニル基を含有しないシリコーン生ゴムからなる主剤と、MQレジンとを含む。そして、硬化剤として過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物を添加し、溶媒を除去した後、高温で加熱することで硬化する。
【0021】
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤に含まれるシリコーン生ゴムとしては、D単位[(CH3)2SiO]にメチル基の代わりにフェニル基を導入したもの(つまり、[(CH3)(C6H5)SiO][(C6H5)2SiO]を用いてもよい。
【0022】
硬化剤として使用する有機過酸化物は、分解して遊離酸素ラジカルを発生するものであれば特に制限されない。特に、ジベンゾイルパーオキサイド及びその誘導体が好ましい。具体例としては、ジベンゾイルパーオキサイド、4,4’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、3,3’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’−ジメチルジベンゾイルパーオキサイド、2,2’,4,4’−テトラクロロジベンゾイルパーオキサイド及びクミルパーオキサイドが挙げられる。
【0023】
有機過酸化物からなる硬化剤の形態は特に限定されない。有機過酸化物をそのまま使用してもよく、また、有機溶剤に希釈した形態、水に分散させた形態又はシリコーンオイルに分散させてペースト状にした形態で使用してもよい。また、有機過酸化物は1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0024】
硬化反応に寄与する遊離酸素ラジカルは、有機過酸化物の分解によって発生する。その理論量(つまり有機過酸化物の理論活性酸素量)は、下記式(1)により算出される。
有機過酸化物の理論活性酸素量(%)=(過酸化結合の数×16/有機過酸化物の分子量)×100(%) (1)
【0025】
有機過酸化物の添加量を増やすと架橋密度が高くなるので、それに伴い貯蔵弾性率G’は高くなり、tanδは低くなる傾向にある。有機過酸化物は、硬化後の粘着剤組成物の300℃における貯蔵弾性率G’とtanδが本発明の範囲となるような量Pで添加すれば良い。有機過酸化物の好適な量P(質量部)は、硬化温度、有機過酸化物の分解温度、シリコーン生ゴムとMQレジンの比率、シリコーン成分の分子量等の条件により異なるので、その条件に応じて適宜決定すれば良い。ただし、有機過酸化物の量P(質量部)は、シリコーン成分100質量部に対し、有機過酸化物の量P(質量部)と上記式(1)で表される有機過酸化物の理論活性酸素量A(%)の積PA(質量部)が好ましくは0.090〜0.300質量部、より好ましくは0.120〜0.280質量部、特に好ましくは0.150〜0.260質量部となるように添加すると良い。PAが多すぎる場合は、未反応の有機過酸化物の残渣が原因と考えられる着色や糊残りが発生する可能性がある。
【0026】
本発明の粘着剤組成物は、各種特性の向上を目的として付加硬化型シリコーン系粘着剤をブレンドしても良い。ただし付加硬化型シリコーン系粘着剤の種類や量は、発明の効果が損なわれないよう適宜選定する必要がある。
【0027】
付加硬化型シリコーン系粘着剤は、例えば、アルケニル基を含有するシリコーン生ゴムからなる主剤と、MQレジンと、SiH基を含有するポリオルガノシロキサンからなる架橋剤とを含む。そして、白金触媒下で加熱して架橋反応させることにより硬化する。アルケニル基を含有するシリコーン生ゴムは、代表的には、ケイ素原子に結合したアルケニル基(例えばビニル基)を1分子中に少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンである。SiH基を含有するポリオルガノシロキサンは、代表的には、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するポリオルガノシロキサンである。
【0028】
本発明の粘着剤組成物には、各種特性の向上を目的として添加剤を添加しても良い。添加剤の具体例としては、カーボンブラック、シリカ、白金系化合物等の無機添加物;シリコーンレジン、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルフェニルシロキサン等のポリオルガノシロキサン;フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の酸化防止剤;シランカップリング剤;陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の帯電防止剤が挙げられる。ただし添加剤の種類や量は、発明の効果が損なわれないよう適宜選定する必要がある。
【0029】
<粘着テープ>
本発明の粘着テープは、基材の少なくとも片面に以上説明した本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープ、代表的には、基材フィルムの片面又は両面にその粘着剤層を有する粘着テープ、あるいは、基材が無いベースレスタイプの粘着テープである。中でも、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープが好ましい。粘着剤層の厚さは特に限定されないが、好ましくは5〜125μm、より好ましくは10〜100μm、特に好ましくは15〜75μmである。
【0030】
塗布の際の粘着剤組成物の粘度を下げる為に、溶剤を添加しても良い。溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ヘキサン、オクタン、イソパラフィン等の脂肪族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤が挙げられる。
【0031】
塗工方法は特に限定されず、公知方法を用いれば良い。その具体例としては、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ダイコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、キスコーター又はグラビアコーターを用いた塗工;スクリーン塗工;浸漬塗工;キャスト塗工が挙げられる。
【0032】
基材は特に限定されないが、フィルム状の基材が好ましい。特に、高温下で処理可能な耐熱性の高い樹脂フィルムが好ましい。その具体例としては例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂フィルムが挙げられる。これらのフィルムを単層、又は2層以上の積層フィルムとして使用することができる。中でもポリイミドフィルムが好ましい。基材の厚さは特に制限されないが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜150μm、特に好ましくは5〜125μmである。
【0033】
基材の粘着剤層を設ける面には、必要に応じて易接着処理を施しても良い。易接着処理としては、例えば、プライマー処理、コロナ処理、エッチング処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理などが挙げられる。
【0034】
基材の粘着剤層と反対の面には、帯電防止等の表面処理をしてもよい。帯電防止処理としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の帯電防止剤による処理が例として挙げられる。
【0035】
本発明の粘着テープには剥離ライナーを設けても良い。剥離ライナーとは、粘着テープの粘着剤層を保護する為のものであり、貼り付け直前に剥離し、粘着剤を露出させて被着体に粘着テープを貼り付ける。剥離ライナーの種類は特に限定されず、公知の剥離ライナーを使用できる。その具体例としては、上質紙、グラシン紙、合成樹脂フィルム等の基材の表面に離型剤処理を施したものが挙げられる。離型剤処理には、例えばフッ素置換アルキル変性シリコーン樹脂等の離型剤を用いれば良い。特に、シリコーン系粘着剤層に積層する剥離ライナーとしては、ポリエチレンタレフタレートフィルムの表面をフッ素置換アルキル変性シリコーン樹脂で離型処理したものが好ましい。また、剥離が重くなる場合もあるが、離型処理の施されていない樹脂フィルムを剥離ライナーとして使用しても良い。その具体例としては、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルムが挙げられる。
【0036】
本発明の粘着テープは、上述のとおり耐熱性に優れるので、特に高温環境(好ましくは280℃を超え、より好ましくは290℃以上、特に好ましくは300℃以上)で使用される用途に有用である。その具体例としては、電子部品や半導体部品の製造工程において、部材や部品の保護、マスキング、仮固定、搬送時固定、スプライス等の用途が挙げられる。
【0037】
ただし、本発明の粘着テープの用途は、上記のような高温環境下で使用する用途に限定されるものではない。例えば、近年では各種電子部品の製造工程においてプラズマ処理がなされる場合がある。プラズマ処理の際の温度自体は常温〜120℃程度であるが、その際には粘着テープの端部側面がプラズマに直接曝されることがあり、その影響で端部に糊残りが生じやすくなる。一方、本発明の粘着テープは糊残りしにくいという特性を有するので、プラズマ処理を含む工程に使用した場合であってもその問題を低減できる。すなわち本発明の粘着テープは、温度以外の要因で糊残りの問題が生じるような用途においても非常に有用なのである。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の記載において「部」は「質量部」を意味する。
【0039】
<実施例1>
まず、過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液の複数の試作品(I〜VIII)を用意した。これら複数の試作品は、シリコーン生ゴムに対するMQレジンの配合比率を適宜変更することによって、後述する方法で測定される硬化後の貯蔵弾性率G’、tanδ及びtanδのピーク温度が様々な値を示すように調整した粘着剤の試作品である。なお、これらの試作品はいずれも同じ種類のシリコーン生ゴムとMQレジンを用いている。
【0040】
実施例1においては、これら複数の試作品のうち、tanδピーク温度、300℃における貯蔵弾性率、300℃におけるtanδが、後述する特定の値になる過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)を選択した。
【0041】
そして、この固形分濃度50質量%の過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)100部、希釈溶剤としてトルエン67部、有機過酸化物として日油株式会社製の有機過酸化物型硬化剤(ナイパー(登録商標)BMT−K40、有機過酸化物の濃度:40%、有機過酸化物中の理論活性酸素量:6.05%)5.0部を均一に混合し、粘着剤液(1)を得た。この粘着剤液(1)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.242部である。
【0042】
この粘着剤液(1)に対して、後述する動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は28℃、300℃における貯蔵弾性率G’は51358Pa、300℃におけるtanδは0.07であった。
【0043】
次に、プライマー処理した厚さ25μmのポリイミド(PI)フィルムの片面に、粘着剤液(1)を乾燥後の粘着剤層の厚さが38μmになるように塗布し、乾燥炉内にて60℃で1分間乾燥して溶剤を除去し、200℃で2分間加熱硬化して粘着剤層を形成した。そして剥離ライナーとしてフッ素置換アルキル変性シリコーン樹脂で離型処理した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを粘着剤層に貼り合わせ、粘着テープを得た。
【0044】
[粘着剤組成物の動的粘弾性測定]
粘着剤液(1)を剥離ライナー上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布する。続いて乾燥炉内にて60℃で1分間乾燥して溶剤を除去する。そして、200℃で2分間加熱することによりシリコーン成分を硬化して、硬化後のシリコーン系粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成する。この操作を複数繰り返すことにより積層して厚さ2mmの粘着剤層の積層体を形成し、これを測定用サンプルとする。
【0045】
測定用サンプルを平行円盤(φ8mm)の間に挟み、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製、装置名RDAIII)を用いて、周波数10Hzのせん断ひずみを加えながら、昇温速度10℃/分で、−60℃〜300℃の範囲において貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を測定する。また、貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)より、以下の計算式により損失正接tanδを算出する。
tanδ=損失弾性率(G’’)/貯蔵弾性率(G’)
【0046】
さらに、算出した損失正接(tanδ)を温度に対してプロットすることによって損失正接曲線を作成し、−60℃〜150℃の範囲で損失正接(tanδ)がピークとなるときの温度を記録する。
【0047】
<実施例2>
有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(2)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(2)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(2)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は29℃、300℃における貯蔵弾性率G’は41968Pa、300℃におけるtanδは0.11であった。
【0048】
<実施例3>
有機過酸化物の量を3部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(3)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(3)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.157部である。粘着剤液(3)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのーク温度は24℃、300℃における貯蔵弾性率G’は32229Pa、300℃におけるtanδは0.16であった。
【0049】
<実施例4>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(II)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(4)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(4)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(4)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδピーク温度は9℃、300℃における貯蔵弾性率G’は31491Pa、300℃におけるtanδは0.06であった。
【0050】
<実施例5>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(III)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(5)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(5)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(5)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は57℃、300℃における貯蔵弾性率G’は33843Pa、300℃におけるtanδは0.14であった。
【0051】
<実施例6>
固形分濃度50質量%の過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)100部、希釈溶剤としてトルエン67部、有機過酸化物として日油株式会社製の有機過酸化物型硬化剤(ナイパー(登録商標)BMT−K40、有機過酸化物の濃度:40%、有機過酸化物中の理論活性酸素量:6.05%)5.0部、白金化合物としてCAT−PL−50T(信越化学工業株式会社製)0.5部を均一に混合し、粘着剤液(6)を得た。この粘着剤液(6)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを作製した。粘着剤液(6)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.242部である。粘着剤液(6)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は30℃、300℃における貯蔵弾性率G’は71797Pa、300℃におけるtanδは0.07であった。
【0052】
<比較例1>
有機過酸化物の量を7.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C1)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C1)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.363部である。粘着剤液(C1)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は28℃、300℃における貯蔵弾性率G’は65375Pa、300℃におけるtanδは0.03であった。
【0053】
<比較例2>
有機過酸化物の量を2.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C2)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C2)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.121部である。粘着剤液(C2)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は32℃、300℃における貯蔵弾性率G’は23081Pa、300℃におけるtanδは0.22であった。
【0054】
<比較例3>
有機過酸化物の量を1.25部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C3)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C3)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.061部である。粘着剤液(C3)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は32℃、300℃における貯蔵弾性率G’は6910Pa、300℃におけるtanδは0.54であった。
【0055】
<比較例4>
有機過酸化物の量を0.625部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C4)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C4)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.030部である。粘着剤液(C4)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は32℃、300℃における貯蔵弾性率G’は616Pa、300℃におけるtanδは1.39であった。
【0056】
<比較例5>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(IV)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C5)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C5)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(C5)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は−17℃、300℃における貯蔵弾性率G’は82461Pa、300℃におけるtanδは0.05であった。
【0057】
<比較例6>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(V)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C6)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C6)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(C6)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は87℃、300℃における貯蔵弾性率G’は15214Pa、300℃におけるtanδは0.18であった。
【0058】
<比較例7>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(VI)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C7)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C7)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(C7)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は32℃、300℃における貯蔵弾性率G’は10545Pa、300℃におけるtanδは0.24であった。
【0059】
<比較例8>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(VII)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C8)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C8)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(C8)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は51℃、300℃における貯蔵弾性率G’は6294Pa、300℃におけるtanδが0.28であった。
【0060】
<比較例9>
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(I)の代わりに過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤原液(VIII)(固形分濃度50質量%)を使用し、有機過酸化物の量を3.75部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着剤液(C8)を調製し、粘着テープを作製した。粘着剤液(C8)において、有機過酸化物の量Pと有機過酸化物の理論活性酸素量Aの積PAは0.182部である。粘着剤液(C8)に対して動的粘弾性測定を行ったところ、tanδのピーク温度は51℃、300℃における貯蔵弾性率G’は9806Pa、300℃におけるtanδは0.20であった。
【0061】
以上の実施例及び比較例の粘着テープに対し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0062】
[常温(23℃)の対SUS粘着力・糊残り性]
20mm幅に裁断した粘着テープを研磨したSUS板に貼り付け、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーで1往復させて圧着し、23℃環境で20〜40分放置した。その後、引張試験機を用いて300mm/分の速度で180°の角度でテープを剥離するのに要する力を測定した。また、剥離後のSUS板への糊残りの有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:糊残り無し。
△:貼り付け端部にのみ、僅かに糊残り有り。
×:糊残り有り。
【0063】
[280℃乾燥加熱後の対SUS粘着力・糊残り性]
20mm幅に裁断した粘着テープを耐熱研磨したSUS板に貼り付け、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーで1往復させて圧着し、室温(23℃)で20分放置、及び280℃の乾燥機中で1時間加熱した。これを取り出して室温(23℃)で放冷した。その後、引張試験機を用いて300mm/分の速度で180°の角度でテープを剥離するのに要する力(粘着力)を測定した。また、剥離後のSUS板への糊残りの有無を目視で確認し、上記の基準で評価した。
【0064】
[300℃リフロー後の対SUS粘着力・糊残り性]
20mm幅に裁断した粘着テープを耐熱研磨したSUS板に貼り付け、重さ2kgのゴム層で被覆されたローラーで1往復させて圧着し、300℃のリフロー炉で10分加熱した。その後、引張試験機を用いて300mm/分の速度で180°の角度でテープを剥離するのに要する力(粘着力)を測定した。また、剥離後のSUS板への糊残りの有無を目視で確認し、上記の基準で評価した。
【0065】
[耐反発性試験]
図1(A)に示すように、研磨したSUS板1の下面に両面テープ2(株式会社寺岡製作所製、No.760H#25)を貼り付けた。さらに、その両面テープ2の下面に、幅25mm、長さ90mm、厚さ0.125mmのポリイミドフィルム3(カプトン500H)を、長さ40mmの端部がはみ出すようにして貼り付けた。次いで図1(B)に示すように、ポリイミドフィルム3のはみ出し部分をSUS板1の端から10mmの位置に折り曲げ、これを20mm幅の粘着テープ4で固定して、これをサンプルとした。そして室温(23℃)、280℃の乾燥機で1時間、又は300℃のリフロー炉で10分間各サンプルを放置した。各サンプルを取り出し、図1(C)に示す粘着テープ4が剥がれた距離aを計測し、以下の基準で評価した
○:剥がれた距離aが5mm以内
△:剥がれた距離aが5mm超10mm以内
×:剥がれた距離aが10mm超
【0066】
[総合評価]
以上の各測定の結果について、以下の基準で総合評価した。
○:全ての測定で○だったもの
△:×はなかったが△があったもの
×:×が一つでもあったもの
【0067】
【表1】
【0068】
<評価結果>
表1に示すように、実施例1〜6の粘着テープは、280〜300℃で加熱した後に剥離しても糊残りせず、また加熱中は部材の反発に耐え、剥がれを抑制できる接着性を示した。
【0069】
比較例1では300℃における貯蔵弾性率G’は十分に高く、tanδのピーク温度も適切な範囲内に収まっている。しかし、300℃におけるtanδが低過ぎるので、部材に対する接着性が低く、また高温環境下での耐反発性試験において著しい剥がれが発生した。また、PA部が適切な範囲よりも多過ぎるので、高温加熱後に剥離した際に貼り付け端部に僅かな糊残りが発生した。
【0070】
比較例2では300℃における貯蔵弾性率G’は十分に高く、tanδのピーク温度も適切な範囲内に収まっている。しかし、300℃におけるtanδが高過ぎるので、300℃加熱後に剥離した際に糊残りが発生した。
【0071】
比較例3及び4ではtanδのピーク温度は適切な範囲内に収まっている。しかし、300℃における貯蔵弾性率G’が低過ぎ、さらに300℃におけるtanδが高過ぎるので、高温環境下での耐反発性試験において凝集破壊による剥がれが発生した。また、高温加熱後の剥離においても糊残りが発生した。
【0072】
比較例5及び6では貯蔵弾性率G’は十分に高く、300℃におけるtanδも適切な範囲に収まっている。しかし、比較例5ではtanδのピーク温度が低過ぎ、比較例6ではtanδのピーク温度が高過ぎるので、貼り付け端部に僅かな糊残りが発生した。
【0073】
比較例7及び8ではtanδのピーク温度は適切な範囲内に収まっている。しかし、300℃における貯蔵弾性率G’が低過ぎ、さらにtanδが高過ぎるので高温加熱後に糊残りが発生した。
【0074】
比較例9ではtanδのピーク温度も適切な範囲内に収まっており、300℃におけるtanδも適切な範囲に収まっている。しかし、300℃における貯蔵弾性率G’が低過ぎるので、高温加熱後に糊残りが発生した。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の粘着剤組成物は、例えば粘着テープの粘着剤層を形成する為の材料として特に有用である。本発明の粘着テープは高温環境下で処理が必要となる工程、例えば、電子部品や半導体部品の製造工程において、被着体の保護、マスキング、仮固定、搬送時固定、スプライス等の用途に非常に有用である。さらに、プラズマ処理を含む工程など、温度以外の要因で糊残りの問題が生じるような用途においても非常に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1 SUS板
2 両面テープ
3 ポリイミドフィルム
4 粘着テープ
11 粘着テープ
12 電子部品素材
13 搬送体
14 粘着テープ
15 FPC
図1
図2