(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運転制御部は、前記歩行者認識部により認識された歩行者が複数いる場合に、前記歩行者を制御対象として特定する範囲を狭くして、前記車両を停止させるタイミングを遅らせる、
請求項1から3のうち何れか1項に記載の車両制御装置。
前記歩行者認識部により認識された複数の歩行者の位置から、前記車両が走行する道路上において、前記車両と前記乗員とが接触する可能性のある隙間の位置を認識する隙間認識部を更に備え、
前記運転制御部は、前記隙間認識部により認識された前記隙間の領域に基づいて、前記車両が走行する将来の目標軌道を生成し、生成した目標軌道を徐行しながら前記歩行者に接近するように前記車両を走行させる、
請求項1から5のうち何れか1項に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、以下の説明では、自動運転車両を用いて説明する。自動運転とは、乗員の操作に依らずに、車両の操舵または速度のうち一方または双方を制御して車両を走行させることである。また、自動運転車両は、乗員による手動運転が行われてもよい。手動運転では、後述する運転操作子の操作量に応じて、後述する車両の走行駆動力出力装置、ブレーキ装置、およびステアリング装置が制御される。
【0019】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機を備える場合、電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0020】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、投影部70と、運転操作子80と、自動運転制御装置(車両制御装置の一例)100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0021】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0022】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ装置12は、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0023】
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
【0024】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。また、物体認識装置16は、必要に応じて、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。
【0025】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0026】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ(例えば、ハザードスイッチ)、キー等を含む。
【0027】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0028】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。経路決定部53により決定された地図上経路は、MPU60に出力される。また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された地図上経路を取得してもよい。
【0029】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、経路において分岐箇所や合流箇所等が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0030】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
【0031】
投影部70は、例えば、プロジェクタである。投影部70は、投影制御部180により指示されたタイミングで自車両Mの走行路上に像を投影する。投影部70により投影される像の詳細については、後述する。
【0032】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力される。
【0033】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、投影制御部180とを備える。第1制御部120と第2制御部160と投影制御部180とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0034】
図2は、第1制御部120、第2制御部160、および投影制御部180の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。認識部130は、例えば、歩行者認識部132と、通過可否判定部134と、隙間認識部136とを備える。行動計画生成部140は、例えば、減速運転制御部142と、歩行者通過運転制御部144とを備える。通過可否判定部134と、減速運転制御部142と、歩行者通過運転制御部144と、第2制御部160とを合わせたものが「運転制御部」の一例である。
【0035】
第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等を利用した画像認識手法による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示等がある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現される。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0036】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力される情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体には、対向車両や静止した障害物が含まれる。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。また、認識部130は、カメラ10の撮像画像に基づいて、自車両Mがこれから通過するカーブの形状を認識する。認識部130は、カーブの形状をカメラ10の撮像画像から実平面に変換し、例えば、二次元の点列情報、或いはこれと同等なモデルを用いて表現した情報を、カーブの形状を示す情報として行動計画生成部140に出力する。
【0037】
また、認識部130は、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレール等を含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、道路標識、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0038】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。また、これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0039】
また、認識部130は、上記の認識処理において、認識精度を導出し、認識精度情報として行動計画生成部140に出力してもよい。例えば、認識部130は、一定期間において、道路区画線を認識できた頻度に基づいて、認識精度情報を生成する。認識部130の歩行者認識部132、通過可否判定部134、および隙間認識部136の機能については、後述する。
【0040】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応した自動運転が実行されるように、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。行動計画生成部140の減速運転制御部142および歩行者通過運転制御部144の機能については、後述する。
【0041】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0042】
図2に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0043】
投影制御部180は、行動計画生成部140、減速運転制御部142、または歩行者通過運転制御部144で生成された自車両Mの将来走行する目標軌道を示す画像を、投影部70により自車両Mの走行路面に投影させる。投影制御部180の機能の詳細については、後述する。
【0044】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0045】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0046】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0047】
[歩行者認識部の機能]
歩行者認識部132は、自車両Mの周辺に存在する歩行者を認識する。本実施形態においては、特に道幅が狭い道路、または道路上を歩行者が歩行する可能性が高い道路にて検出された歩行者を対象とした制御が行わせる。
【0048】
歩行者認識部132は、例えば、自車両Mの進行方向(以下、前方とする)に存在する歩行者を認識する。また、歩行者認識部132は、自車両Mの前方であって、且つ、走行路上に存在する歩行者を認識する。走行路とは、自車両Mが走行し得る領域をいう。段差やガードレール等で車道と区画された歩道等は、走行路に含まれないものとしてよい。また、歩行者認識部132は、歩行者のそれぞれの位置、移動速度、および移動方向を認識する。
【0049】
また、歩行者認識部132は、自車両Mの走行する走行路に存在する歩行者の人数が第1の所定値(例えば、5[人])以上である場合には、歩行者を認識する範囲(センシング範囲)はそのままとするが、減速運転制御等の制御対象とする範囲を狭めて、制御対象となる歩行者の数を減らしてもよい。その場合の制御対象とする範囲は、例えば、カメラ10の画角を限界として設定される。
【0050】
図3は、制御対象とする範囲を狭くすることについて説明するための図である。
図3の例において、角度θ1は、制御対象とする範囲を狭くする前の制御対象の範囲を示す。この場合の制御対象の範囲は、センシング範囲と同じ範囲である。この範囲で歩行者を認識した場合、歩行者認識部132は、歩行者P1〜P5を認識する。そして、歩行者認識部132は、認識された歩行者が第1の所定値以上であるため、制御対象とする範囲を角度θ1よりも狭くする。
【0051】
角度θ2は、センシング範囲は、そのままとして制御対象とする範囲を狭くしたときの範囲を示す。歩行者認識部132は、角度θ2の範囲に含まれる歩行者P1、P2、およびP4を制御対象の歩行者とする。なお、範囲を狭めたときの制御対象の歩行者の数が、第1の所定値以上である場合、歩行者認識部132は、更に制御対象とする範囲を狭めて歩行者を認識してもよい。
【0052】
また、歩行者認識部132は、認識された歩行者が第1の所定値以上である場合に、制御対象とする範囲を狭くするのに代えて、自車両Mからの距離が近い順に、第2の所定値(例えば、2[人])までの歩行者に限定して、歩行者の位置、移動速度、および移動方向を認識してもよい。また、歩行者認識部132は、認識された歩行者が第1の所定値以上である場合に、制御対象とする範囲を狭くすると共に、自車両Mからの距離が近い順に歩行者を限定して、歩行者の位置、移動速度、および移動方向を認識してもよい。
【0053】
これらのように、制御対象とする範囲を狭くして、制御対象の歩行者の数を限定することで、例えば、団体で行動している観光客や学校に通学している学生等のように、多数の歩行者が道路上に存在する場合に、運転制御を行う対象の歩行者を限定することができるため、自動運転制御装置100は、認識処理や運転制御の負担を軽減することができる。また、自動運転制御装置100は、制御対象の範囲に含まれる歩行者に対して接触を回避する制御等を行うことで、自車用Mと接触する可能性が低い他の歩行者の影響を受けて自車両Mを停止させることなく、徐行状態での走行を継続させることができる。したがって、自車両Mの減速による停止のタイミングを遅らせることができる。
【0054】
[通過可否判定部の機能]
通過可否判定部134は、歩行者認識部132により認識された歩行者の位置と、自車両Mおよび走行路の形状や大きさ等に基づいて、自車両Mが歩行者の横を通過できるか否かを判定する。
【0055】
図4は、通過可否判定部134の処理について説明するための図である。
図4の例では、自車両Mが走行する走行路R1に歩行者P1〜P3が存在する。自車両Mは、進行方向に速度VMで走行し、歩行者P1〜P3は、それぞれ速度Vp1〜Vp3で矢印で示される方向に移動しているものとする。
【0056】
通過可否判定部134は、走行路R1の横幅方向に関して、歩行者P1〜P3のそれぞれの位置から走行路R1の左側端部R1Lまでの幅、および右側端部RIRまでの幅を算出し、算出した幅のうち大きい方の幅Wp1〜Wp3を取得する。そして、通過可否判定部134は、それぞれの幅Wp1〜Wp3と、自車両Mの車幅WMとを比較し、幅Wp1〜Wp3のうち少なくとも一つが車幅WM以下である場合に、自車両Mが歩行者の横を通過できないと判定する。
【0057】
図4の例において、通過可否判定部134は、歩行者P2については、右側端部RIRからの距離Wp2が車幅WMより短いため、その右側を通過できないと判定する。ここで、歩行者P2は、自車両Mから最も近い位置に存在するため、自車両Mが歩行者P2の横を通過できない場合は、その先方にいる歩行者P1およびP3の横も通過できないことになる。したがって、通過可否判定部134は、歩行者認識部132により認識された複数の歩行者のうち、自車両Mから最も近い歩行者P2の横を通過できないと判定された場合に、その先に存在する歩行者P1,P3も含めて、歩行者P1〜P3の横を通過できないと判定してもよい。
【0058】
[減速運転制御部の機能]
減速運転制御部142は、通過可否判定部134により自車両Mが、認識された歩行者Pの横を通過できないと判定された場合に、自車両Mと歩行者との接近に応じて、自車両Mの乗員の操作に依らずに、少なくとも自車両Mを減速させる。この減速制御は、減速運転制御部142によって生成された目標軌道に基づいて、第2制御部160が運転制御を実行することにより実現される。但し、減速運転制御部142は、通過可否判定部134により自車両Mが、認識された歩行者Pの横を通過できないと判定された場合において、歩行者認識部132により認識された歩行者が自車両Mの走行路上に複数存在する場合に、自車両Mを停止させるタイミングを遅らせる(すなわち、自車両Mの停止を抑制する)。
【0059】
図4の例において、歩行者認識部132は、三人の歩行者P1〜P3を認識している。したがって、減速運転制御部142は、自車両Mを停止させるタイミングを、歩行者が一人の場合に自車両Mを停止させるタイミングに比して遅らせる。
【0060】
図5は、減速運転制御部142による減速運転の開始処理の一例を示すフローチャートである。
図5の例において、減速運転制御部142は、歩行者認識部132により複数の歩行者が認識されたか否かを判定する(ステップS100)。複数の歩行者が認識されていないと判定された場合(一人の歩行者が認識された場合)、減速運転制御部142は、自車両Mと歩行者との相対距離が第1の閾値D1以下となるタイミングで自車両Mの停止制御を開始する(ステップS102)。また、S100の処理において、複数の歩行者が認識されたと判定された場合、減速運転制御部142は、自車両Mと歩行者との相対距離が第1の閾値D1より小さい第2の閾値D2以下となるタイミングで自車両Mの停止制御を開始する(ステップS104)。これにより、歩行者に近い位置になるまで、自車両Mの走行を継続させることができる。また、歩行者が多数存在する場合、余り遠い距離で停止するように制御すると、次々に対象の歩行者が現れるため、長時間の停止を強いられることになる。このため、徐行して接近するようにすることで、歩行者に自車両Mに存在を察知させて、走行路R1の路側に避けさせることができる。
【0061】
また、減速運転制御部142は、通過可否判定部134により歩行者の横を通過できないと判定された場合に、歩行者認識部132により認識された複数の歩行者のうち、自車両Mの進行方向と同方向に進行し、且つ、自車両Mに最も近い歩行者に追従するように目標軌道を生成させてよい。
【0062】
図4の例において、歩行者認識部132は、認識された複数の歩行者P1〜P3のうち、自車両Mの進行方向と同方向に移動する歩行者P1,P2を認識する。また、歩行者認識部132は、自車両Mと、歩行者P1、P2との距離Dp1、Dp2を認識する。減速運転制御部142は、歩行者認識部132により認識された距離Dp1、Dp2のうち、自車両Mとの距離が最も短い距離Dp2に存在する歩行者P2の速度Vp2に合わせて、自車両Mの速度VMを変更する。例えば、減速運転制御部142は、自車両の走行速度VMを、歩行者P2の速度Vp2以下であって、且つ、速度差が所定速度(例えば、3[km/h]程度)以内になるように変更する。これにより、減速運転制御部142は、歩行者P2に追いつくことなく、歩行者P2との相対距離を維持したまま、自車両Mの走行を継続させることができる。また、減速運転制御部142は、歩行者P2の速度Vp2に基づいて、歩行者P2と接触しない範囲で徐々に近づくように、走行速度VMを変更してもよい。また、自車両Mが、同方向に移動している歩行者に追従している場合に、それを見た対向歩行者は、自車両Mを避けることが予測される。この結果、自車両Mは、継続して走行することができる。
【0063】
また、減速運転制御部142は、歩行者との相対距離が閾値以下になった場合に、自車両Mを停止させるための目標軌道を生成してもよい。例えば、走行路R1上に多数の歩行者が存在すると仮定した場合、それぞれの歩行者は、他の歩行者の歩行の流れに沿って所定の速度範囲で歩行することが予測される。そのため、走行路R1上に多数の歩行者が存在する場合に、上述した閾値を小さくしても歩行者と接触する可能性は高くならないと予測される。そこで、減速運転制御部142は、歩行者認識部132により認識される歩行者の数に応じて、上述した閾値を低くする。
【0064】
図6は、歩行者人数と車両停止閾値との関係を示す図である。
図6の縦軸は車両停止閾値[m]を示し、横軸は歩行者人数[人]を示している。車両停止閾値とは、自車両Mと歩行者との相対距離に基づいて、車両を自動停止させるが否かを判定するための閾値である。
【0065】
減速運転制御部142は、例えば、歩行者認識部132により認識された歩行者が一人である場合に、車両停止閾値を閾値St1に設定する。また、減速運転制御部142は、歩行者認識部132により認識された歩行者の数が増加するごとに車両停止閾値を低くする。これにより、歩行者の数が多い場合に、自車両Mの走行を継続することができる。
【0066】
なお、減速運転制御部142は、歩行者人数が所定人数Nth1以上の場合には、車両停止閾値Sth2を一定にしてもよい。これにより、減速運転制御部142は、歩行者との相対距離が近づきすぎずに自車両Mを停止させることができる。
【0067】
[歩行者通過運転制御部の機能]
歩行者通過運転制御部144は、通過可否判定部134により歩行者を通過できないと判定された場合に、歩行者の横を通過するための目標軌道を生成する。例えば、歩行者通過運転制御部144は、隙間認識部136により認識された走行路R1の隙間に関する情報に基づいて目標軌道を生成する。
【0068】
[隙間認識部の機能]
隙間認識部136は、歩行者認識部132により認識された複数の歩行者の位置、移動速度、および移動方向に基づいて、自車両Mが走行する道路上の隙間の領域を認識する。
図7は、隙間認識部136により認識される隙間の領域について説明するための図である。
図7の例では、走行路R1上に歩行者P1〜P5が存在するものとする。歩行者認識部132は、歩行者P1〜P5のそれぞれの位置、移動速度、および移動方向を認識する。
【0069】
隙間認識部136は、歩行者認識部132により認識された歩行者P1〜P5の位置、移動速度、および移動方向に基づいて、それぞれの物標ポテンシャル領域Pa1〜Pa5を設定する。物標ポテンシャルとは、例えば、物体(例えば、歩行者)と接触する可能性の高さを示す指標である。また、物標ポテンシャル領域は、物体から遠くなるほど低くなるように設定される。
【0070】
隙間認識部136は、歩行者認識部132により認識される歩行者P1〜P5の位置、移動速度、および移動方向に基づいて、所定時間後の歩行者P1〜P5の位置を予測し、予測した位置に基づいて歩行者の物標ポテンシャル領域Pa1〜Pa5を設定する。そして、隙間認識部136は、物標ポテンシャル領域Pa1〜Pa5に接触しない領域を隙間領域として認識する。
【0071】
歩行者通過運転制御部144は、隙間認識部136により認識された隙間領域に基づいて、歩行者P1〜P5の横を通過するための目標軌道K1を生成する。
【0072】
なお、隙間認識部136は、設定した物標ポテンシャル領域Pa1〜Pa5のうち一部の領域には接触するが、重なり量が少ない領域を隙間領域に含めてもよい。これにより、歩行者通過運転制御部144が隙間領域に基づいて生成した目標軌道に沿って自車両Mを徐行させることで、歩行者P1〜P5が自車両Mに気付いて避けてくれることができる。この結果、自車両Mは、歩行者P1〜P5の横を通過することができる。
【0073】
[投影制御部の機能]
投影制御部180は、減速運転制御部142または歩行者通過運転制御部144により目標軌道が生成された場合に、自車両Mの将来の軌道を示す像を自車両Mの走行路上に投影する。
【0074】
図8は、投影制御部180により走行路上に投影される像について説明するための図である。
図8の例において、投影制御部180は、歩行者通過運転制御部144により生成された目標軌道K1を示す画像IM1を、投影部70により走行路R1上に投影させる。また、投影制御部180は、目標軌道そのものを示す画像IM1を走行路R1上に投影させることに代えて(または、加えて)、自車両Mが走行する領域の一部を示す画像IM2を投影させてもよい。また、投影制御部180は、天候等の走行状況や時間帯に基づいて、投影する画像の色や模様を変更してもよい。
【0075】
また、投影制御部180は、自車両Mの走行速度に基づいて、画像の投影位置や範囲を変更してもよい。例えば、
図8の例では、自車両Mの走行速度(VM1)が所定速度(例えば、5[km/h]程度)以上である場合の画像IM1およびIM2を示している。このように、自車両Mの速度が所定速度以上である場合に、広い範囲で画像を投影させることで、前方にいる多くの歩行者に自車両Mが将来走行する軌道を確認させることができる。そのため、多くの歩行者を走行路R1の路側に避けさせることができる。
【0076】
図9は、走行速度が所定速度未満である場合に投影される画像について説明するための図である。
図9の例では、自車両Mの走行速度が、速度VM1よりも低速である速度VM2で走行している場合に、走行路R1の路面に投影される画像を示している。速度VM2は、所定速度未満である。
【0077】
図9の例において、投影制御部180は、目標軌道K1のうちの一部の軌道を示す画像IM3を投影部70により走行路R1上に投影させる。また、投影制御部180は、画像IM3に代えて(または、加えて)、自車両Mが走行する領域の一部を示す画像IM4を投影部70により走行路R1上に表示させてもよい。
【0078】
図9に示すように、自車両Mの速度が低速である場合に、自車両Mの近くを歩行する歩行者P1,P2がいる地点付近に自車両Mの将来の軌道を投影することで、歩行者P1,P2は、後方の自車両Mの存在に気が付いて、走行路R1の路側に移動することができる。
【0079】
[変形例]
ここで、本実施形態の変更例について説明する。例えば、歩行者認識部132は、認識した歩行者のうち、複数の歩行者を先導する特定歩行者を認識した場合、減速運転制御部142は、特定歩行者の挙動に基づいて、複数の歩行者の将来の挙動を予測し、予測した挙動に基づいて、自車両Mを停止させる目標軌道を生成してもよい。特定歩行者は、例えば、ツアーコンダクターやバスガイド、教師である。特定歩行者がツアーコンダクターやバスガイドである場合、先導対象歩行者は、ツアー参加者である。また、特定歩行者が教師である場合、先導対象歩行者は、生徒である。
【0080】
図10は、特定歩行者が認識された場合の自車両Mの運転制御について説明するための図である。歩行者認識部132は、例えば、自車両Mに前方であって、且つ、自車両Mが走行する走行路R1上に存在する歩行者を認識する。また、歩行者認識部132は、認識された歩行者のうち、特定歩行者を認識する。
【0081】
例えば、歩行者認識部132は、カメラ10の撮像画像により、認識された歩行者が所持する所持物体や歩行者の服装等を解析し、所定の所持物体を所持する歩行者、または所定の服装を着用している歩行者を特定歩行者として認識する。所持物体としては、例えば、手旗、プレート等の先導者が所持するものと想定される予め決められた物体である。また、所定の服装とは、例えば、ツアーコンダクターやバスガイド等の先導者が着用する予め決められた服装である。服装には、例えば、服の形状、色等の要素が含まれる。
【0082】
図10の例において、歩行者認識部132は、歩行者P10〜P18を認識する。また、歩行者認識部132は、認識された歩行者P10〜P18の所持物体または服装を認識し、手旗FRを所持する歩行者P10を特定歩行者として認識する。
【0083】
また、歩行者認識部132は、特定歩行者P10を除く歩行者P11〜P18のうち、特定歩行者P10の後方を歩行し、歩行者の進行方向と特定歩行者P10の進行方向との差が所定角度(例えば、90[度]程度)以下であり、且つ、特定歩行者P10との距離が所定距離(例えば、15[m])以内である歩行者を、先導対象歩行者として認識する。
【0084】
図10の例では、歩行者認識部132は、歩行者P11〜P17を先導対象歩行者として認識する。また、歩行者認識部132は、特定歩行者P10の挙動を認識し、認識した挙動に基づいて、先導対象歩行者P11〜P17の将来の挙動を予測する。
【0085】
減速運転制御部142は、歩行者認識部132により認識される特定歩行者P10の挙動、および先導対象歩行者P11〜P17の将来の挙動の予測結果に基づいて、自車両Mの減速運転を実行する目標軌道を生成する。
【0086】
図10の例において、歩行者認識部132は、特定歩行者P10が走行路R1の左路側R1L付近から右路側R1R側へ移動していることを認識すると、先導対象歩行者P11〜P17も右路側R1R側に移動すると予測する。減速運転制御部142は、歩行者認識部132による認識結果に基づいて、先導対象歩行者P11〜P17の全員が右路側R1R側に移動するまで、自車両Mを停止させる目標軌道を生成する。このように、特定歩行者P10の挙動に基づいて、先導対象歩行者P11〜P17の挙動を予測することで、自車両Mの停止制御の判定がしやすくなる。また、先導対象歩行者P11〜P17は、走行路R1を横断する前に、自車両Mが停車するため横断しやすくなる。この結果、自車両Mは、速やかに歩行者の横を通過することができる。
【0087】
[処理フロー]
図11は、実施形態の自動運転制御装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、自車両Mの自動運転が実行中に所定の周期或いは所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0088】
まず、歩行者認識部132は、自車両Mの前方であり、且つ、自車両Mが走行する走行路R1に存在する歩行者を認識する(ステップS200)。次に、歩行者認識部132は、歩行者が認識されたか否かを判定する(ステップS202)。歩行者が認識されなかった場合、行動計画生成部140は、目的地までの経路情報等に基づいて、自車両Mの目標軌道を生成する(ステップS204)。
【0089】
また、歩行者が認識された場合、歩行者認識部132は、複数の歩行者が認識されたか否かを判定する(ステップS206)。複数の歩行者が認識されていないと判定された場合、減速運転制御部142は、歩行者と接触せずに走行する目標軌道を生成する(ステップS208)。また、複数の歩行者が認識されたと判定された場合、減速運転制御部142は、ステップS204の処理による運転制御またはステップS208の処理による運転制御よりも、自車両Mの停止を抑制して走行を継続する目標軌道を生成する(ステップS210)。
【0090】
次に、自車両Mが歩行者の横を通過可能な領域が存在するか否かを判定する(ステップS212)。自車両Mが歩行者の横を通過可能な領域が存在すると判定された場合、歩行者通過運転制御部144は、歩行者の横を通過するための目標軌道を生成する(ステップS214)。
【0091】
また、自車両Mが歩行者の横を通過可能な領域が存在しなかったと判定された場合、歩行者通過運転制御部144は、自車両Mと同方向に移動する歩行者が存在するか否かを判定する(ステップS216)。自車両Mと同方向に移動する歩行者が存在すると判定された場合、減速運転制御部142は、自車両Mに最も近い歩行者に追従する目標軌道を生成する(ステップS218)。また、自車両Mと同方向に移動する歩行者が存在しないと判定された場合、歩行者通過運転制御部144は、自車両Mが隙間を通る目標軌道を生成する(ステップS220)。
【0092】
次に、投影制御部180は、例えば、ステップS208、S210、S214、S218、またはS220の処理により生成された目標軌道に基づいて、自車両Mの将来の軌道を示す画像を自車両Mが走行する路面上に投影する(ステップS222)。次に、第2制御部160は、生成された目標軌道に基づいて、自車両Mの少なくとも減速を制御して、自車両Mを走行させる運転制御を実行する(ステップS224)。これにより、本フローチャートの処理を終了する。
【0093】
上述した実施形態によれば、自車両Mの周辺に存在する歩行者を認識し、自車両Mと歩行者との接近に応じて、自車両Mの乗員の操作に依らずに、少なくとも自車両Mを減速させる運転制御を行う場合であって、認識された歩行者が自車両の走行路上に複数存在する場合に、自車両Mを停止させるタイミングを遅らせる運転制御を行うことで、走行路上に存在する歩行者の状態に基づいて車両の走行を継続させる運転制御を行うことができる。
【0094】
例えば、走行路上に多数の歩行者が存在する場合には、自車両Mを停止させても状況はすぐに改善されず、また歩行者が通り過ぎるのを待つのは時間がかかるため、本実施形態では、歩行者に合わせて自車両Mを徐行させて走行を継続させることで、走行路を速やかに通り抜けることができる。
【0095】
[ハードウェア構成]
上述した実施形態の自動運転制御装置100は、例えば
図12に示すようなハードウェアの構成により実現される。
図12は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0096】
自動運転制御装置100は、通信コントローラ100−1、CPU100−2、RAM100−3、ROM100−4、フラッシュメモリやHDD等の二次記憶装置100−5、およびドライブ装置100−6が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100−6には、光ディスク等の可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100−5に格納されたプログラム100−5aがDMAコントローラ(不図示)等によってRAM100−3に展開され、CPU100−2によって実行されることで、第1制御部120、および第2制御部160が実現される。また、CPU100−2が参照するプログラムは、ドライブ装置100−6に装着された可搬型記憶媒体に格納されていてもよいし、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
【0097】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に格納されたプログラムを実行するハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両の周辺に存在する歩行者を認識する歩行者認識処理と、
前記車両と歩行者との接近に応じて、前記車両の乗員の操作に依らずに前記車両を減速させる運転制御処理であって、前記歩行者認識処理により認識された歩行者が前記車両の走行路上に複数存在する場合に、前記車両を停止させるタイミングを遅らせる運転制御処理と、
を実行するように構成されている、
車両制御装置。
【0098】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。