特許第6974488号(P6974488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974488
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】外科的固定のシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20211118BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/04
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-549572(P2019-549572)
(86)(22)【出願日】2018年3月13日
(65)【公表番号】特表2020-509856(P2020-509856A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(86)【国際出願番号】US2018022190
(87)【国際公開番号】WO2018169961
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年10月3日
(31)【優先権主張番号】62/470,522
(32)【優先日】2017年3月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597117606
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】バッハマイアー、 サムエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィディクス、 コーエン
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0268273(US,A1)
【文献】 特表2015−507952(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0087280(US,A1)
【文献】 特表2001−510364(JP,A)
【文献】 特表2012−505049(JP,A)
【文献】 特表2014−519884(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0190041(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0290002(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0197580(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0196385(US,A1)
【文献】 米国特許第05769894(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的固定のシステム(10)であって、
固定デバイス(12)と、
前記固定デバイス(12)に接続されて第1調整可能アイスプライスループ(24A)を含む調整可能ループ(14)と
を含み、
前記第1調整可能アイスプライスループ(24A)は、前記固定デバイス(12)のブリッジ(33)の上に載置される相互接続部(70)において、第2調整可能アイスプライスループ(24B)を通過して前記第2調整可能アイスプライスループ(24B)と相互連結され、
前記第1調整可能アイスプライスループ(24A)は、前記固定デバイス(12)の複数のアパチャ(20)のうちの一つを通る前にループを形成しており、
前記固定デバイス(112A、112B)は、中心長手軸に沿って延びる本体(113)を含むとともに頂面(127)及び底面(129)を含み、
第1アパチャ(120A)、第2アパチャ(120B)及び縫合糸戻りアパチャ(120D)それぞれが前記本体(113)を通って延び、
前記ブリッジ(133)は前記第1アパチャ(120A)と前記第2アパチャ(120B)との間に延び、
前記調整可能ループ(114)は前記第1アパチャ(120A)及び前記第2アパチャ(120B)に接続され、
第1自由編みストランド(122A)が前記調整可能ループ(114)の第1組み継ぎセクション(172)から延び、
第2自由編みストランド(122A)が前記調整可能ループ(114)の第2組み継ぎセクション(174)から延び、
前記第1自由編みストランド(122A)及び前記第2自由編みストランド(122A)は、前記縫合糸戻りアパチャ(120D)を通り、その後、前記ブリッジ(133)の上に載置された前記調整可能ループ(114)のループセクション(180)の下を通ることにより、前記外科的固定のシステムのロック機構(199)を確立し、
前記ロック機構(199)のロック位置(L1)において、前記第1自由編みストランド(122A)及び前記第2自由編みストランド(122A)は、前記調整可能ループ(14)の前記ループセクションによって、前記ブリッジ(133)の外表面(137)に当接するように張力を受ける、システム。
【請求項2】
前記ブリッジ(133)の前記外表面(137)は、前記固定デバイス(112A、112B)の前記頂面(127)と面一である、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記ブリッジ(133)の前記外表面(137)を通って延びる長手軸は、前記中心長手軸に垂直である、請求項又はに記載のシステム。
【請求項4】
前記第1アパチャ(120A)と前記第2アパチャ(120B)とは、前記中心長手軸に沿って軸方向に整列及び配置され、
前記縫合糸戻りアパチャ(120D)は、前記中心長手軸から、前記本体(113)の側壁に向かう方向にずらされる、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記縫合糸戻りアパチャ(120D)と前記ブリッジ(133)との間に短手方向に配置された隆起(182)を含む、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロック機構(199)の前記ロック位置(L1)において、前記第1自由編みストランド(122A)及び前記第2自由編みストランド(122B)は、前記隆起(182)に当接するように張力を受ける、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記縫合糸戻りアパチャ(120D)に隣接する箇所において前記頂面(127)から外方に突出する隆起(182)を含み、
前記第1自由編みストランド(122A)及び前記第2自由編みストランド(122B)は前記隆起(182)の上に前記隆起(182)を越えるように延びる、請求項からのいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、骨トンネル内に移植片又はフィラメントを固定する外科的固定のシステム及び方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2017年3月13日に出願された米国仮出願第62/470,522号の優先権を主張し、その全体が参照によりここに組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
前十字靭帯(ACL)再建及び後十字靭帯(PCL)再建のような組織再建手術は典型的に、骨にトンネルを通すドリリングをすることと、その骨トンネルの中に代用移植片を配置することと、その移植片を骨トンネル内に、ボタン、ねじ等の固定デバイスを使用して固定することとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2238944(A2)号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/157851(A1)号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/109194(A1)号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/196385(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/324676(A1)号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示は、外科的固定のシステム及び方法に関する。外科的固定のシステムは、固定デバイスと、当該固定デバイスに接続されたループとを含み得る。移植片は、ループによって担持することができる。外科的固定のシステムは、ACL再建及びPCL再建を含むがこれらに限られない様々な組織再建処置において使用することができる。
【0006】
本開示の典型的側面に係る外科的固定のシステムは、とりわけ、固定デバイスと、当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含み得る。調整可能ループは、第1調整可能アイスプライスループを含み、これは、第2調整可能アイスプライスループを通過し、固定デバイスのブリッジの上に載置される相互接続部において第2調整可能アイスプライスループと相互連結する。
【0007】
外科的固定のシステムの固定デバイスはボタンとしてよい。
【0008】
ブリッジは、固定デバイスの第1アパチャと第2アパチャとの間に配置することができる。
【0009】
システムはさらに、固定デバイスの、通過フィラメントを担持し得る第3アパチャを含む。
【0010】
第1調整可能アイスプライスループは、固定デバイスの第1アパチャを通して受容され得る。第2調整可能アイスプライスループは、固定デバイスの第2アパチャを通して受容され得る。
【0011】
調整可能ループは、第1調整可能アイスプライスループを調整するための第1自由編みストランドを含み得る。調整可能ループは、第2調整可能アイスプライスループを調整するための第2自由編みストランドを含み得る。
【0012】
第1自由編みストランドは第2調整可能アイスプライスループを通過し、第2自由編みストランドは第1調整可能アイスプライスループを通過してよい。第1自由編みストランドは、第2調整可能アイスプライスループを通過するべく固定デバイスの第1開口を通過することができる。第2自由編みストランドは、第1調整可能アイスプライスループを通過するべく固定デバイスの第2開口を通過することができる。
【0013】
第1自由編みストランド及び/又は第2自由編みストランドはそれぞれが、少なくとも2回、調整可能ループを通るように組み継ぎされる。
【0014】
固定デバイスは、頂面及び底面を含み得る。ブリッジには、頂面から皿穴を開けてよい。
【0015】
第1調整可能アイスプライスループ、第2調整可能アイスプライスループ、及び調整可能ループの自由編みストランドは、協働して、当該調整可能ループと固定デバイスとの接合部に結び目スタックを確立することができる。
【0016】
結び目スタックは、固定デバイスのブリッジの上に載置され得る。
【0017】
外科的固定のシステムは、固定デバイスと調整可能ループとの接合部に結び目スタックを含み得る。
【0018】
結び目スタックは、少なくとも2つの調整可能アイスプライスループと、当該少なくとも2つの調整可能アイスプライスループを形成するべく使用された可撓性ストランドの自由編みストランドとによって確立することができる。
【0019】
本開示の他の典型的側面に係る外科的方法は、とりわけ、固定デバイスと当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含む外科的固定のシステムを使用して骨トンネルの中に移植片を固定することを含む。調整可能ループは、固定デバイスと調整可能ループとの接合部に配置された相互接続部において相互連結された少なくとも2つの調整可能アイスプライスループを含む。
【0020】
本開示の他の典型的側面に係る外科的固定のシステムは、とりわけ、固定デバイスと、当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含み得る。固定デバイスは、中心長手軸に沿って延びる本体を含み、頂面及び底面を含んでよい。少なくとも一つのアパチャと、一の縫合糸戻りアパチャとがそれぞれ、本体を通って延び得る。例えば、第1アパチャ及び第2アパチャそれぞれが、本体を通って延び得る。ブリッジは、第1アパチャと第2アパチャとの間に延び得る。調整可能ループは、少なくとも一つのアパチャに接続され得る。例えば、調整可能ループを、第1アパチャ及び第2アパチャに接続することができる。第1自由編みストランドは、調整可能ループの第1組み継ぎセクションから延び、第2自由編みストランドは、当該調整可能ループの第2組み継ぎセクションから延び得る。第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、縫合糸戻りアパチャを通って延びた後、ブリッジの上に載置された調整可能ループのループセクションの下を延びる。そのループセクションは、ブリッジの上に載置され、外科的固定のシステムのロック機構を確立する。ロック機構のロック位置において、第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、調整可能ループのループセクションにより、ブリッジの外表面に当接するように張力を受け得る。
【0021】
ブリッジの外表面は、固定デバイスの頂面と面一としてよい。
【0022】
外科的固定のシステムはさらに、ブリッジの外表面を通って延びる長手軸を含んでよい。長手軸は、中心長手軸に垂直としてよい。
【0023】
固定デバイスの第1アパチャ及び第2アパチャは軸方向に整列され、中心長手軸に沿って配置され得る。縫合糸戻りアパチャは、中心長手軸から、本体の側壁に向かう方向にずらされる。
【0024】
外科的固定のシステムは隆起を含み、その隆起は、縫合糸戻りアパチャとブリッジとの間に短手方向に配置され得る。
【0025】
調整可能ループの第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、固定デバイスの隆起に当接するように張力を受け得る。
【0026】
ロック機構のロック位置にある場合、第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、隆起に当接するように張力を受け得る。
【0027】
外科的固定のシステムは、縫合糸戻りアパチャに隣接する箇所において頂面から外方に突出する隆起を含み得る。調整可能ループの第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、隆起の上に当該隆起を越えるように延び得る。
【0028】
本開示の他の典型的側面に係る外科的方法は、とりわけ、固定デバイスと当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含む外科的固定のシステムを使用して骨トンネルの中に移植片を固定することを含み得る。外科的方法は、上記典型的側面の外科的固定のシステムにより骨トンネル内に移植片を固定することを含み得る。
【0029】
本開示の他の典型的側面に係る外科的方法は、とりわけ、ここに説明されるように、固定デバイスと当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含み得る外科的固定のシステムを使用して骨トンネルの中に移植片を固定することを含み得る。固定デバイスは、中心長手軸に沿って延びる本体を含み、頂面及び底面を含んでよい。少なくとも一つのアパチャと、一の縫合糸戻りアパチャとがそれぞれ、本体を通って延び得る。第1アパチャ及び第2アパチャそれぞれが、本体を通って延び得る。ブリッジは、第1アパチャと第2アパチャとの間に延び得る。調整可能ループは、少なくとも一つのアパチャに接続され得る。例えば、調整可能ループを、第1アパチャ及び第2アパチャに接続することができる。第1自由編みストランドは、調整可能ループの第1組み継ぎセクションから延び、第2自由編みストランドは、当該調整可能ループの第2組み継ぎセクションから延び得る。第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、縫合糸戻りアパチャを通って延びた後、ブリッジの上に載置された調整可能ループのループセクションの下を延びる。そのループセクションは、ブリッジの上に載置され、外科的固定のシステムのロック機構を確立する。ロック機構のロック位置において、第1自由編みストランド及び第2自由編みストランドは、調整可能ループのループセクションにより、ブリッジの外表面に当接するように張力を受け得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の第1実施形態に係る組織再建処置を行う外科的固定のシステムを示す。
図2図1の外科的固定のシステムの斜視図である。
図3図1の外科的固定のシステムの上面図である。
図4】外科的固定のシステムの典型的な固定デバイスの上面図である。
図5図4の固定デバイスの底面図である。
図6図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図7図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図8図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図9図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図10図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図11図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図12図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図13図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図14図1の外科的固定のシステムの調整可能ループを形成する方法を模式的に示す。
図15図1の外科的固定のシステムの典型的な使用を、組織再建処置の一部として模式的に示す。
図16】サンプルの外科的固定のシステムの伸長挙動を示すグラフである。
図17】サンプルの外科的固定のシステムの変位挙動を示すグラフである。
図18】本開示の第2実施形態に係る組織再建処置を行う外科的固定のシステムを示す。
図19図1の外科的固定のシステムとともに使用することができる典型的な固定デバイスを示す。
図20図19の固定デバイスの上面図である。
図21図20のセクション21−21を通る断面図である。
図22図20のセクション22−22を通る断面図である。
図23図23A及び23Bは、外科的固定のシステムのロック機構のロック位置を示す。
図24図24A及び24Bは、外科的固定のシステムのロック機構のロック解除位置を示す。
図25図18の外科的固定のシステムとともに使用することができる他の典型的な固定デバイスを示す。
図26図25の固定デバイスの上面図である。
図27図26のセクション27−27を通る断面図である。
図28図26のセクション28−28を通る断面図である。
図29図29A及び29Bは、外科的固定のシステムのロック機構のロック位置を示す。
図30図30A及び30Bは、外科的固定のシステムのロック機構のロック解除位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、外科的固定のシステム及び方法に関する。外科的固定のシステムは、固定デバイスと、当該固定デバイスに接続された調整可能ループとを含み得る。ループは移植片を担持することができる。外科的固定のシステムは、ACL再建及びPCL再建を含むがこれらに限られない様々な組織再建処置において使用することができる。
【0032】
図1、2及び3は、典型的な外科的固定のシステム10を示す。外科的固定のシステム10は、様々な組織再建処置を行うべく使用してよい。組織再建処置は、破裂した組織を修復するべく骨トンネル内に代用移植片又はフィラメントを位置決めするのに望ましい任意の処置を含み得る。ACL再建及びPCL再建は、本開示の外科的固定のシステム10の使用から利益を得ることができるほんの2つの再建処置例である。外科的固定のシステム10は、付加的に、足首(例えば靭帯結合処置)及び肩(例えば肩鎖関節(AC)接合処置)に関する処置において使用することができる。
【0033】
外科的固定のシステム10は、この例において、固定デバイス12と、当該固定デバイス12に接続されたループ14とを含む。一実施形態において、ループ14は、移植片16を、骨に対して移植片16を固定するべく担持する。他実施形態において、ループ14は、フィラメント(例えば縫合糸等のような任意の糸状材料)を、骨に対して当該フィラメントを固定するべく担持する。
【0034】
固定デバイス12は、例えば、骨トンネル内の移植片16の位置決めが完了した後、移植片16(又はフィラメント)の皮質骨固定を与えることができる。一実施形態において、固定デバイス12はボタンである。しかしながら、他の同様の構成を有するデバイスも使用することができる。固定デバイス12は長円又は円としてよく、本開示の範囲内において金属材料又はポリマー材料のいずれから作ることもできる。
【0035】
他実施形態において、固定デバイス12は、ループ14を受容するべく固定デバイス12の本体を通るように形成された一つ以上のアパチャを含む。図1の実施形態の固定デバイス12は、例えばループ14を固定デバイス12に接続するための、2つのアパチャ20を含み得る。図示しないにもかかわらず、固定デバイス12は、付加的なアパチャ又は開口を、2つを超えて含み得る(例えば図4及び5の固定デバイスを参照)。
【0036】
一実施形態において、ループ14は、可撓性材料から作られた調整可能ループであり、この例においては、調整可能な長さ及び/又は周縁を含み得る。ループ14の自由編みストランド22は、短縮ストランドとも称され、ループ14のサイズを低減するべく引っ張ることができる。例えば、ループ14は、自由編みストランド22によって引っ張られて第1方向に調整され得るが、適用された内部引っ張り力に起因して反対方向に緩むことが防止される。
【0037】
ループ14は、一つ以上の調整可能アイスプライスループ24を含み得る。これは、自身を通ってループ14を形成するべく使用される可撓性材料を組み継ぐことによって形成することができる。ループ14は、ループ14を完全に形成するのに先立って固定デバイス12に接続することができる。ループ14を形成して固定デバイス12に接続する典型的な方法を、図6〜14を参照して以下に詳述する。
【0038】
移植片16が、ループ14のクレードル18に接続される(図1参照)。一実施形態において、移植片16は、ループ14のクレードル18越しにループを形成してよい。クレードル18は、ループ14の一部分であり、その一部分は、この例において、ループ14の、固定デバイス12に接続された部分に対向するように配置される。移植片16は、組織、腱、靭帯、フィラメント(例えば縫合糸)、合成材料、生物学的材料、骨、又はかかる材料の任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
一実施形態において、調整可能アイスプライスループ24及び自由編みストランド22が協働して結び目スタック25を、ループ14/固定デバイス12接合部に確立する。結び目スタック25が固定デバイス12の上に(例えば固定デバイス12を通るように形成されたアパチャ20が形成される箇所の直上に)載置され、ループ14と固定デバイス12との接続強度が増大する。
【0040】
図4及び5は、例えば図1〜3の外科的固定のシステム10のような外科的固定のシステムとともに使用される典型的な固定デバイス12を示す。固定デバイス12は、頂面27(図4参照)及び底面29(図5参照)を含み得る。側壁31が、固定デバイス12の本体を確立するべく頂面27と底面29との間に延びる。一実施形態において、固定デバイス12の本体は長円形状とされる。
【0041】
アパチャ20A、20B及び20Cが、固定デバイス12の頂面27及び底面29双方を通過する。一実施形態において、固定デバイス12は3つのアパチャを含み得る。固定デバイス12の中間近くの2つのアパチャ20A、20Bは、ループ14を取り付けるべく使用することができる一方、周縁アパチャ20Cは、固定デバイス12を骨に対して通過させ及び/又は反転させるための通過縫合糸を担持するべく使用される。一実施形態において、アパチャ20A及び20Cは円形であり、アパチャ20Cはティアドロップ形状である。他の形状、及び形状の組み合わせもまた考慮される。
【0042】
ブリッジ33は、アパチャ20A、20Bを互いから分離し、外科的固定のシステム10のループ14を担持する表面を与える。ブリッジ33は、頂面27に溝35を確立するべく頂面27からの皿穴としてよい。ループ14の結び目スタック25は、少なくとも部分的にチャネル35内に受容される。
【0043】
ブリッジ33は、底面29(図5参照)においては皿穴としなくともよい。結び目スタック25を固定デバイス12の当該側に収容する必要がないからである。よって、固定デバイス12の底面29は一般に平坦としてよい。他の言い方をすれば、頂面27と底面29とは互いに非対称であってよい。
【0044】
図6〜14は、図1〜3の外科的固定のシステム10のループ14を形成する典型的な方法を模式的に示す。図6は、ループ14を構築して固定デバイス12に取り付ける開始材料を示す。開始材料は、例えば、縫合ストランドのような可撓性ストランド26、ニードルのような縫合糸通過デバイス28、及びボタンのような固定デバイス12を含む。
【0045】
次に図7を参照すると、可撓性ストランド26が、2つの実質的に等しい長さをもたらし、この例において、平行な編みストランドをもたらすように、半分に折り曲げられる。可撓性ストランド26は、2つの実質的に等しい長さをもたらし、この例において、平行な編みストランドをもたらすように、中点M近くで折り曲げられてもよい。所望サイズを有するループ14をもたらす可撓性ストランド26の所望量を選択するべく、定規のような測定デバイス30を使用してよい。
【0046】
図8及び9は、ループ14の第1調整可能アイスプライスループ24A形成の一例を示す。第1調整可能アイスプライスループ24Aは、最初に、縫合糸通過デバイス28を、可撓性ストランド26を通るように通過させることによってもたらされ得る(図8参照)。縫合糸通過デバイス28は、中点M近くにおいて可撓性ストランド26に通される。ここで、可撓性ストランド26は、可撓性ストランド26が究極的に自身を通って組み継がれる箇所の印を付けるように、事前に折り曲げられている。次に、可撓性ストランド26の第1自由端32が、縫合糸通過デバイス28のアイレット34を通るように挿入される(図9参照)。縫合糸通過デバイス28がその後、矢印36の方向に動かされ(例えば引っ張られ)、縫合糸通過デバイス28が事前に可撓性ストランド26を通されている箇所において、第1自由端32が、可撓性ストランド26を後方に通って組み継がれる。これにより、第1組み継ぎセクション38が可撓性ストランド26にもたらされる。
【0047】
ここで図10を参照すると、第1調整可能アイスプライスループ24Aは、固定デバイス12の複数のアパチャ20のうちの一つを通過し、可撓性ストランド26と固定デバイス12との接続が開始される。固定デバイス12は、この例においては第1組み継ぎセクション38の直上に載置されるまで摺動され得る。
【0048】
図11は、ループ14の第2調整可能アイスプライスループ24Bの形成を示す。可撓性ストランド26の第2自由端40を、第1調整可能アイスプライスループ24Aを通してループにした後、縫合糸通過デバイス28のアイレット34に挿入することができる。その後、縫合糸通過デバイス28が、可撓性ストランド26を通して引っ張られる。これにより、第2自由端40が可撓性ストランド26を後方に通り、第2組み継ぎセクション56がもたらされる。このようにして、第1調整可能アイスプライスループ24Aと第2調整可能アイスプライスループ24Bとが、この例では究極的に固定デバイス12のブリッジ33の上に載置される相互接続部70において、相互連結されるようになる。これによりさらに、ループ14が固定デバイス12に固定的に接続され得る。
【0049】
ここで図12及び13を参照すると、第1調整可能アイスプライスループ24Aは第1自由編みストランド22Aを含み、第2調整可能アイスプライスループ24Bは第2自由編みストランド22Bを含む。第1自由編みストランド22A及び第2自由編みストランド22Bは、固定デバイス12の、結び目スタック25から反対側に、位置決めすることができる。第1自由編みストランド22Aは、例えば、(図12及び13に示されるように構築物を見下ろした場合に)構築物の右側において第3組み継ぎセクション72をもたらすべく、可撓性ストランド26のクレードル18を通るように引っ張り戻すことができる。第2自由編みストランド22Bは、例えば、構築物の左側において第4組み継ぎセクション74をもたらすべく、可撓性ストランド26のクレードル18を通るように引っ張り戻すことができる。
【0050】
図14は、完成したループ14を示す。これは、この実施形態において、相互接続部70において互いに相互連結した2つの調整可能アイスプライスループ24A、24Bを含む。固定デバイス12は、第1調整可能アイスプライスループ24Aと第2調整可能アイスプライスループ24Bとの間に中心を有して組み付け手順を完成させ得る。組み継ぎセクション72、74から延びる自由編みストランド22A、22Bは、固定デバイス12のアパチャ20を戻るように通過し得る。次に、第1自由編みストランド22Aが第1調整可能アイスプライスループ24Aを通過し、第2自由編みストランド22Bが第2調整可能アイスプライスループ24Bを通過し、それゆえ、結び目スタック25の形成が完成する。
【0051】
自由編みストランド22A、22Bは、第1調整可能アイスプライスループ24A及び第2調整可能アイスプライスループ24Bそれぞれのサイズを収縮させるべく引っ張ることができる。それにより、ループ14の全体的なサイズを変更することができる。結び目スタック25は、ループ14/固定デバイス12接合部において第1ロック機構として作用し得る。組み継ぎセクション72、74は、この例においては遠位移植片16/ループ14接合部において、付加的ロック機構として作用し得る。
【0052】
図15は、ACL再建処置のような組織再建処置中の、図1〜3の外科的固定のシステム10の典型的な外科的使用を示す。しかしながら、本開示がACL再建処置に限られることはなく、外科的固定のシステム10が、本開示の範囲内で様々な再建処置において使用し得ることを理解すべきである。
【0053】
外科的固定のシステム10は、破裂組織(例えば破裂ACL)を修復するべく関節45(例えば膝関節)にインプラントされてよい。外科的固定のシステム10を関節45内に位置決めするのに先立って、第1骨トンネル42(例えばソケット)が第1骨44(例えば大腿骨)に形成され、第2骨トンネル46(例えば通路)が第2骨48(例えば脛骨)に形成される。外科的固定のシステム10を収容する第1骨44及び第2骨48の中に空隙を確立するべく、第1骨トンネル42及び第2骨トンネル46を、周知のドリル技法を使用して形成することができる。
【0054】
典型的な実施形態において、外科的固定のシステム10は、固定デバイス12に第1骨トンネル42及び第2骨トンネル46を通過させることによってインプラントされる。固定デバイス12は、通過縫合糸(図示せず)を使用して、第1骨トンネル42及び第1骨トンネル46を通るように引っ張ることができ、ひとたび通過縫合糸の張力が解放されると第1骨44の皮質へと自己反転する。
【0055】
固定デバイス12が通過及び反転した後、ループ14が第1骨トンネル42の中に位置決めされる。自由編みストランド22を、ループ14のサイズを調整するべく、及びループ14の第1骨トンネル42内の位置決めの補助をするべく、引っ張ることができる。ループ14は、移植片16を、第1骨トンネル42及び第2骨トンネル46の位置内に懸架する。
【0056】
第2骨48への移植片16の固定は、様々な態様で達成することができる。例えば、移植片16は、干渉ねじ、縫合糸アンカー、又は、第2固定装置及び第2ループを含む付加的な外科的固定のシステムを使用して、第2骨トンネル46内に固定することができる。
【実施例1】
【0057】
伸長試験
【0058】
図1〜3の外科的固定のシステム10が、先行技術の外科的固定のシステムに対し、力制御サイクル荷重手順を使用して試験された。各システムに対して多数の荷重サイクルにわたって伸長が測定された。この試験の結果を図16のプロットに示す。
【実施例2】
【0059】
変位試験
【0060】
図1〜3の外科的固定のシステム10が、変位制御サイクル荷重手順を使用して試験された。多数の荷重サイクルにわたって変位が測定された。この試験の結果を図17のプロットに示す(再緊張あり及びなし)。
【0061】
本開示の外科的固定のシステムは、骨トンネル内の移植片固定の強化及び増強を調整可能な固定のシステムを与える。外科的固定のシステムは、従前のデバイスに対して以下の利益を与える。
・独立したロック機構
・ほとんどの従前デバイスよりも高い破壊荷重(〜1400N)
・荷重解放/荷重付加遷移ゾーン(1kサイクル)、10〜250N(1kサイクル)、及び10〜400N(1kサイクル)の荷重ブロックでの3000サイクル後の、ほとんどの従前デバイスよりも少ないサイクル変位(〜0.9mm)
・移植片の下方の力が、結び目スタックを固定デバイスのチャネルの中へと圧縮することにより、短縮ストランドを固定すること
・結び目スタックを介した固定デバイス側への結び目なしロック機能
・単一緊張システム使用時の縫合糸破断を低減する単一ループの緊張(片手の引っ張り)機構、及び縫合糸管理の混乱低減
・様々な構成(例えばABS、BTB、PCL)で使用できる能力
・足首又はAC関節のような他の関節への適用可能性
・様々な付加的縫合糸構成を実装できる能力
【0062】
図18は、他の典型的な外科的固定のシステム110を示す。外科的固定のシステム110は、様々な組織再建処置を行うべく使用してよい。
【0063】
外科的固定のシステム110は、この例において、固定デバイス112と、固定デバイス112に接続されたループ114とを含む。一実施形態において、ループ114は、例えば、骨に対して移植片116を固定するべく、移植片116を担持する。
【0064】
固定デバイス112は、例えば、骨トンネル内の移植片116の位置決めが完了した後、移植片16(又はフィラメント)の皮質骨固定を与えることができる。一実施形態において、固定デバイス112はボタンである。しかしながら、他の同様の構成を有するデバイスも使用することができる。固定デバイス112は長円又は円としてよく、本開示の範囲内において金属材料又はポリマー材料のいずれから作ることもできる。2つの典型的な固定デバイス設計が、以下にさらに記載される(図19〜22及び図25〜28をそれぞれ参照)。
【0065】
他実施形態において、固定デバイス112は、ループ114を受容するべく、固定デバイス112の本体を通るように形成された複数のアパチャ120を含む。複数のアパチャ120のいくつかは、付加的に、縫合糸のような一つ以上のフィラメント115を担持することができる。一つ以上のフィラメント115は、固定デバイス112に骨トンネルを通過させるべく、及び/又は骨トンネルから延びた後に骨に対して固定デバイス112を反転させるべく、使用することができる。
【0066】
一実施形態において、ループ114は、可撓性材料から作られた調整可能ループであり、この例においては、調整可能な長さ及び/又は周縁を含み得る。ループ114の自由編みストランド122A、122Bは、短縮ストランドとも称するが、ループ114のサイズを低減させるべく引っ張ることができる。例えば、ループ114は、自由編みストランド122A、122Bによって引っ張られて第1方向に調整され得るが、適用された内部引っ張り力に起因して反対方向に緩むことが防止される。
【0067】
ループ114は、一つ以上の調整可能アイスプライスループ124A、124Bを含み得る。これらは、自身を通ってループ114を形成するべく使用され得る可撓性材料を組み継ぐことによって形成することができる。ループ114は、ループ114を完全に形成するのに先立って固定デバイス112に接続することができる。
【0068】
移植片116は、ループ114のクレードル118に接続される。一実施形態において、移植片116は、ループ114のクレードル118越しにループを形成してよい。この実施形態におけるクレードル118は、アイスプライスループ124A、124Bの相互接続部119によって確立される。移植片116は、組織、腱、靭帯、フィラメント(例えば縫合糸)、合成材料、生物学的材料、骨、又はかかる材料の任意の組み合わせを含み得る。
【0069】
一実施形態において、ループ114と固定デバイス112とは、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく協働することができる。ロック機構199は、固定デバイス112に対してループ114のサイズ及び位置をロックし、ひいては、ループ114/固定デバイス112接合部における強度を増大させる。ロック機構199は、ループ114及び固定デバイス112の特徴部の組み合わせの副産物としてよい。ロック機構199は、固定デバイス112の異なる設計を参照して以下に詳述される。
【0070】
図19〜22は、例えば図18の外科的固定のシステム110のような外科的固定のシステムとともに使用される典型的な固定デバイス112Aを示す。固定デバイス112Aは、対向する端部分117の間に中心長手軸Aに沿って延びる本体113を含む。一実施形態において、固定デバイス112Aの本体113は、長円形状とされる。
【0071】
本体113は、対向する端部分117の間にそれぞれが延びる頂面127及び底面129を含む。側壁131が、頂面127と底面129との間に延びる。頂面127、底面129及び側壁131が一緒になって、固定デバイス112Aの本体113を確立する。
【0072】
一実施形態において、頂面127は、底面129から離れる方向に曲がる凸面である。他実施形態において、底面129は平坦面である。
【0073】
この例において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dが、固定デバイス112Aの本体113を通るように形成され、頂面127及び底面129双方を通るように延びる。一実施形態において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B及び第3アパチャ120Cは、軸方向に整列され、中心長手軸Aに沿って配置される。第4アパチャ120Dは、中心長手軸Aから、例えば側壁131に向かう方向にずらされ得る。一実施形態において、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは不規則な形状を含み、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dは楕円形状とされる。しかしながら、これらのアパチャのサイズ及び形状が本開示に限られることを意図しない。
【0074】
第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは、外科的固定のシステム110のループ114を受容するべく構成及び配列することができる。ブリッジ133は、第1アパチャ120Aと第2アパチャ120Bとを互いから分離させ、外科的固定のシステム10のループ14を担持する表面を与え得る。ブリッジ133は、固定デバイス112Aの頂面127と面一な外表面137と(すなわち、外表面137は、頂面127に対して皿穴とはなっていない)、例えばブリッジ133から側方に固定デバイス112Aの底面129に向かう方向に延びる一対の傾斜面139とを含み得る。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137は、例えば、本体113の中心長手軸Aに一般に垂直な長手軸A2に沿って延びる(図19参照)。
【0075】
第3アパチャ120Cは、骨トンネルを通るように固定デバイス112Aを通過させ、及び/又は骨トンネルから出た後に骨に対して固定デバイス112Aを反転させる一つ以上のフィラメント115を担持するべく使用することができる。第3アパチャ120Cは、固定デバイス112Aの対向端部分117の一方に最も近いアパチャとしてよい。
【0076】
第4アパチャ120Dは、ループ114の自由編みストランド122A、122Bを受容する縫合糸戻りアパチャとして利用することができる。第4アパチャ120Dは、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bに隣接するように配置することができる。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137を通って延びる長手軸A2は、第4アパチャ120Dと交差する(図19参照)。
【0077】
ここで図18〜22を参照すると、固定デバイス112A及びループ114が、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく構成され得る。一実施形態において、第1自由編みストランド122Aが、ループ114の第1組み継ぎセクション172から延び、第2自由編みストランド122Bが、ループ114の第2組み継ぎセクション174から延びる。第1自由編みストランド122A及び第2自由編みストランド122Bは、この例においては、第4アパチャ120Dを通って上方(すなわち固定デバイス112Aの底面129から頂面127に向かって延びる方向)に向かい、その後、ループ114のループセクション180の下を通され、例えば、ブリッジ133の上に(すなわちループセクション180とブリッジ133との間に)載置され、ロック機構199が確立される。
【0078】
図23A及び23Bは、ループ114及び固定デバイス112Aにより確立されたロック機構199のロック位置L1を示す。ロック位置L1において、自由編みストランド122A及び122Bは、ループ114のループセクション180により、ブリッジ133の外表面137に直接当接するように緊張して保持される。この張力は、例えば、ループ114の対向セクション(すなわち、例えば移植片116を担持するクレードル118)を緊張させることによってもたらされる。したがって、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1調整可能アイスプライスループ124A及び第2調整可能スプライスループ124Bのサイズを収縮させるのに必要なタイプの動きに抵抗するように保持される。
【0079】
図24A及び24Bは、ループ114及び固定デバイス112Aにより確立されたロック機構199のロック解除位置L2を示す。ロック解除位置L2において、自由編みストランド122A及び122Bに対してループセクション180を保持する張力が、例えば、移植片116への張力を解放することによって、解放される。これにより、自由編みストランド122A、122Bが、ブリッジ133及びループセクション180に対して動くことが許容される。ループセクション180により適用される張力がひとたび除去されると、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1及び/又は第2調整可能アイスプライスループ124A、124Bのサイズを収縮させるべく、例えば、方向D1に緊張することができる。
【0080】
図25〜28は、例えば図18の外科的固定のシステム110のような外科的固定のシステムとともに使用される典型的な固定デバイス112Bを示す。固定デバイス112Bは、対向する端部分117の間に中心長手軸Aに沿って延びる本体113を含む。一実施形態において、固定デバイス112Bの本体113は、長円形状とされる。
【0081】
本体113は、対向する端部分117の間にそれぞれが延びる頂面127及び底面129を含む。側壁131が、頂面127と底面129との間に延びる。頂面127、底面129及び側壁131が一緒になって、固定デバイス112Bの本体113を確立する。
【0082】
一実施形態において、頂面127は、底面129から離れる方向に曲がる凸面である。他実施形態において、底面129は平坦面である。
【0083】
例えば、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dを、固定デバイス112Bの本体113を通るように形成することができ、頂面127及び底面129双方を通るように延ばすことができる。一実施形態において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B及び第3アパチャ120Cは、軸方向に整列され、例えば中心長手軸Aに沿って配置され得る。第4アパチャ120Dは、中心長手軸Aから、例えば側壁131に向かう方向にずらされ得る。一実施形態において、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは不規則な形状を含み、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dは楕円形状とされる。しかしながら、これらのアパチャのサイズ及び形状が本開示に限られることを意図しない。
【0084】
第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは、外科的固定のシステム110のループ114を受容するべく配列することができる。ブリッジ133は、第1アパチャ120Aと第2アパチャ120Bとを互いから分離させ、外科的固定のシステム10のループ14を担持する表面を与える。ブリッジ133は、固定デバイス112Bの頂面127と面一な外表面137と(すなわち、外表面137は、頂面127に対して皿穴とはなっていない)、例えばブリッジ133から側方に固定デバイス112Bの底面129に向かう方向に延びる一対の傾斜面139とを含み得る。一実施形態において、ブリッジ33の外表面137は、本体113の中心長手軸Aに一般に垂直な長手軸A2に沿って延びる(図25参照)。
【0085】
第3アパチャ120Cは、骨トンネルを通るように固定デバイス112Bを通過させ、及び/又は骨トンネルから出た後に骨に対して固定デバイス112を反転させる一つ以上のフィラメント115を担持するべく使用することができる。第3アパチャ120Cは、例えば、固定デバイス112Bの対向端部分117の一方に最も近いアパチャとしてよい。
【0086】
第4アパチャ120Dは、ループ114の自由編みストランド122A、122Bを受容する縫合糸戻りアパチャとして利用することができる。第4アパチャ120Dは、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bに隣接するように配置することができる。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137を通って延びる長手軸A2は、第4アパチャ120Dと交差する(図25参照)。
【0087】
隆起182を、固定デバイス112Bのブリッジ133と第4アパチャ120Dとの間に短手方向に位置決めすることができる。隆起182は、固定デバイス112Bの頂面127及びブリッジ133の外表面137から外方に突出してよい。この例におけるブリッジ133の外表面137とは異なり、したがって、隆起182は、頂面127に対して面一ではない。
【0088】
図18及び25〜28を参照すると、固定デバイス112B及びループ114は、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく構成することができる。一実施形態において、第1自由編みストランド122Aが、ループ114の第1組み継ぎセクション172から延び、第2自由編みストランド122Bが、ループ114の第2組み継ぎセクション174から延びる。第1自由編みストランド122A及び第2自由編みストランド122Bは、この例においては、第4アパチャ120Dを通って上方(すなわち、例えば固定デバイス112Aの底面129から頂面127に向かって延びる方向)に向かい、その後、蛇行経路を上へと通過して隆起182を超え、その後、ループ114のループセクション180の下を通され、例えば、ブリッジ133の上に載置され、ロック機構199が確立される。
【0089】
図29A及び29Bは、ループ114及び固定デバイス112Bにより確立されたロック機構199のロック位置L1を示す。ロック位置L1において、自由編みストランド122A及び122Bは、ループ114のループセクション180により、ブリッジ133の外表面137に直接当接するように緊張して保持される。この張力は、例えば、ループ114の対向セクション(すなわち、例えば移植片116を担持するセクション)を緊張させることによってもたらされる。固定デバイス112Bの隆起182により、ロック位置L1において自由編みストランド122A、122Bに対して及ぼされ得る張力の量が増大し得る。したがって、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1調整可能アイスプライスループ124A及び第2調整可能スプライスループ124Bのサイズを収縮させるのに必要なタイプの動きに抵抗するように保持される。
【0090】
図30A及び30Bは、ループ114及び固定デバイス112Bにより確立されたロック機構199のロック解除位置L2を示す。ロック解除位置L2において、自由編みストランド122A及び122Bに対してループセクション180を保持する張力が、例えば、移植片116への張力を解放することによって、解放される。これにより、自由編みストランド122A、122Bが、ブリッジ133、ループセクション182及び隆起182に対して動くことが許容される。ループセクション180により適用される張力がひとたび除去されると、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1及び/又は第2調整可能アイスプライスループ124A、124Bのサイズを収縮させるべく、方向D1に緊張することができる。
【0091】
異なる非制限的な複数の実施形態が特定のコンポーネント又はステップを有するように示されるにもかかわらず、本開示の複数の実施形態はそれらの特定の組み合わせに限られない。非制限的な複数の実施形態のいずれかからのコンポーネント又は特徴物のいくつかを、他の非制限的な複数の実施形態のいずれかからの特徴物又はコンポーネントと組み合わせて使用することが可能である。
【0092】
理解すべきことだが、同じ参照番号は、いくつかの図面にわたり、対応する又は同様の要素を特定する。さらに理解すべきことだが、これらの典型的な実施形態において特定のコンポーネント配列が開示かつ図示されるにもかかわらず、他の配列も本開示の教示から利益を受け得る。
【0093】
上記説明は、例示として解釈され、いずれの制限的な意味としても解釈されない。当業者であれば理解することだが、所定の修正例が本開示の範囲内に入り得る。これらの理由により、本開示の真の範囲及び内容を決定するには、以下の特許請求の範囲を精査するべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29A
図29B
図30A
図30B