【実施例2】
【0059】
変位試験
【0060】
図1〜3の外科的固定のシステム10が、変位制御サイクル荷重手順を使用して試験された。多数の荷重サイクルにわたって変位が測定された。この試験の結果を
図17のプロットに示す(再緊張あり及びなし)。
【0061】
本開示の外科的固定のシステムは、骨トンネル内の移植片固定の強化及び増強を調整可能な固定のシステムを与える。外科的固定のシステムは、従前のデバイスに対して以下の利益を与える。
・独立したロック機構
・ほとんどの従前デバイスよりも高い破壊荷重(〜1400N)
・荷重解放/荷重付加遷移ゾーン(1kサイクル)、10〜250N(1kサイクル)、及び10〜400N(1kサイクル)の荷重ブロックでの3000サイクル後の、ほとんどの従前デバイスよりも少ないサイクル変位(〜0.9mm)
・移植片の下方の力が、結び目スタックを固定デバイスのチャネルの中へと圧縮することにより、短縮ストランドを固定すること
・結び目スタックを介した固定デバイス側への結び目なしロック機能
・単一緊張システム使用時の縫合糸破断を低減する単一ループの緊張(片手の引っ張り)機構、及び縫合糸管理の混乱低減
・様々な構成(例えばABS、BTB、PCL)で使用できる能力
・足首又はAC関節のような他の関節への適用可能性
・様々な付加的縫合糸構成を実装できる能力
【0062】
図18は、他の典型的な外科的固定のシステム110を示す。外科的固定のシステム110は、様々な組織再建処置を行うべく使用してよい。
【0063】
外科的固定のシステム110は、この例において、固定デバイス112と、固定デバイス112に接続されたループ114とを含む。一実施形態において、ループ114は、例えば、骨に対して移植片116を固定するべく、移植片116を担持する。
【0064】
固定デバイス112は、例えば、骨トンネル内の移植片116の位置決めが完了した後、移植片16(又はフィラメント)の皮質骨固定を与えることができる。一実施形態において、固定デバイス112はボタンである。しかしながら、他の同様の構成を有するデバイスも使用することができる。固定デバイス112は長円又は円としてよく、本開示の範囲内において金属材料又はポリマー材料のいずれから作ることもできる。2つの典型的な固定デバイス設計が、以下にさらに記載される(
図19〜22及び
図25〜28をそれぞれ参照)。
【0065】
他実施形態において、固定デバイス112は、ループ114を受容するべく、固定デバイス112の本体を通るように形成された複数のアパチャ120を含む。複数のアパチャ120のいくつかは、付加的に、縫合糸のような一つ以上のフィラメント115を担持することができる。一つ以上のフィラメント115は、固定デバイス112に骨トンネルを通過させるべく、及び/又は骨トンネルから延びた後に骨に対して固定デバイス112を反転させるべく、使用することができる。
【0066】
一実施形態において、ループ114は、可撓性材料から作られた調整可能ループであり、この例においては、調整可能な長さ及び/又は周縁を含み得る。ループ114の自由編みストランド122A、122Bは、短縮ストランドとも称するが、ループ114のサイズを低減させるべく引っ張ることができる。例えば、ループ114は、自由編みストランド122A、122Bによって引っ張られて第1方向に調整され得るが、適用された内部引っ張り力に起因して反対方向に緩むことが防止される。
【0067】
ループ114は、一つ以上の調整可能アイスプライスループ124A、124Bを含み得る。これらは、自身を通ってループ114を形成するべく使用され得る可撓性材料を組み継ぐことによって形成することができる。ループ114は、ループ114を完全に形成するのに先立って固定デバイス112に接続することができる。
【0068】
移植片116は、ループ114のクレードル118に接続される。一実施形態において、移植片116は、ループ114のクレードル118越しにループを形成してよい。この実施形態におけるクレードル118は、アイスプライスループ124A、124Bの相互接続部119によって確立される。移植片116は、組織、腱、靭帯、フィラメント(例えば縫合糸)、合成材料、生物学的材料、骨、又はかかる材料の任意の組み合わせを含み得る。
【0069】
一実施形態において、ループ114と固定デバイス112とは、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく協働することができる。ロック機構199は、固定デバイス112に対してループ114のサイズ及び位置をロックし、ひいては、ループ114/固定デバイス112接合部における強度を増大させる。ロック機構199は、ループ114及び固定デバイス112の特徴部の組み合わせの副産物としてよい。ロック機構199は、固定デバイス112の異なる設計を参照して以下に詳述される。
【0070】
図19〜22は、例えば
図18の外科的固定のシステム110のような外科的固定のシステムとともに使用される典型的な固定デバイス112Aを示す。固定デバイス112Aは、対向する端部分117の間に中心長手軸Aに沿って延びる本体113を含む。一実施形態において、固定デバイス112Aの本体113は、長円形状とされる。
【0071】
本体113は、対向する端部分117の間にそれぞれが延びる頂面127及び底面129を含む。側壁131が、頂面127と底面129との間に延びる。頂面127、底面129及び側壁131が一緒になって、固定デバイス112Aの本体113を確立する。
【0072】
一実施形態において、頂面127は、底面129から離れる方向に曲がる凸面である。他実施形態において、底面129は平坦面である。
【0073】
この例において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dが、固定デバイス112Aの本体113を通るように形成され、頂面127及び底面129双方を通るように延びる。一実施形態において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B及び第3アパチャ120Cは、軸方向に整列され、中心長手軸Aに沿って配置される。第4アパチャ120Dは、中心長手軸Aから、例えば側壁131に向かう方向にずらされ得る。一実施形態において、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは不規則な形状を含み、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dは楕円形状とされる。しかしながら、これらのアパチャのサイズ及び形状が本開示に限られることを意図しない。
【0074】
第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは、外科的固定のシステム110のループ114を受容するべく構成及び配列することができる。ブリッジ133は、第1アパチャ120Aと第2アパチャ120Bとを互いから分離させ、外科的固定のシステム10のループ14を担持する表面を与え得る。ブリッジ133は、固定デバイス112Aの頂面127と面一な外表面137と(すなわち、外表面137は、頂面127に対して皿穴とはなっていない)、例えばブリッジ133から側方に固定デバイス112Aの底面129に向かう方向に延びる一対の傾斜面139とを含み得る。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137は、例えば、本体113の中心長手軸Aに一般に垂直な長手軸A2に沿って延びる(
図19参照)。
【0075】
第3アパチャ120Cは、骨トンネルを通るように固定デバイス112Aを通過させ、及び/又は骨トンネルから出た後に骨に対して固定デバイス112Aを反転させる一つ以上のフィラメント115を担持するべく使用することができる。第3アパチャ120Cは、固定デバイス112Aの対向端部分117の一方に最も近いアパチャとしてよい。
【0076】
第4アパチャ120Dは、ループ114の自由編みストランド122A、122Bを受容する縫合糸戻りアパチャとして利用することができる。第4アパチャ120Dは、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bに隣接するように配置することができる。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137を通って延びる長手軸A2は、第4アパチャ120Dと交差する(
図19参照)。
【0077】
ここで
図18〜22を参照すると、固定デバイス112A及びループ114が、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく構成され得る。一実施形態において、第1自由編みストランド122Aが、ループ114の第1組み継ぎセクション172から延び、第2自由編みストランド122Bが、ループ114の第2組み継ぎセクション174から延びる。第1自由編みストランド122A及び第2自由編みストランド122Bは、この例においては、第4アパチャ120Dを通って上方(すなわち固定デバイス112Aの底面129から頂面127に向かって延びる方向)に向かい、その後、ループ114のループセクション180の下を通され、例えば、ブリッジ133の上に(すなわちループセクション180とブリッジ133との間に)載置され、ロック機構199が確立される。
【0078】
図23A及び23Bは、ループ114及び固定デバイス112Aにより確立されたロック機構199のロック位置L1を示す。ロック位置L1において、自由編みストランド122A及び122Bは、ループ114のループセクション180により、ブリッジ133の外表面137に直接当接するように緊張して保持される。この張力は、例えば、ループ114の対向セクション(すなわち、例えば移植片116を担持するクレードル118)を緊張させることによってもたらされる。したがって、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1調整可能アイスプライスループ124A及び第2調整可能スプライスループ124Bのサイズを収縮させるのに必要なタイプの動きに抵抗するように保持される。
【0079】
図24A及び24Bは、ループ114及び固定デバイス112Aにより確立されたロック機構199のロック解除位置L2を示す。ロック解除位置L2において、自由編みストランド122A及び122Bに対してループセクション180を保持する張力が、例えば、移植片116への張力を解放することによって、解放される。これにより、自由編みストランド122A、122Bが、ブリッジ133及びループセクション180に対して動くことが許容される。ループセクション180により適用される張力がひとたび除去されると、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1及び/又は第2調整可能アイスプライスループ124A、124Bのサイズを収縮させるべく、例えば、方向D1に緊張することができる。
【0080】
図25〜28は、例えば
図18の外科的固定のシステム110のような外科的固定のシステムとともに使用される典型的な固定デバイス112Bを示す。固定デバイス112Bは、対向する端部分117の間に中心長手軸Aに沿って延びる本体113を含む。一実施形態において、固定デバイス112Bの本体113は、長円形状とされる。
【0081】
本体113は、対向する端部分117の間にそれぞれが延びる頂面127及び底面129を含む。側壁131が、頂面127と底面129との間に延びる。頂面127、底面129及び側壁131が一緒になって、固定デバイス112Bの本体113を確立する。
【0082】
一実施形態において、頂面127は、底面129から離れる方向に曲がる凸面である。他実施形態において、底面129は平坦面である。
【0083】
例えば、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dを、固定デバイス112Bの本体113を通るように形成することができ、頂面127及び底面129双方を通るように延ばすことができる。一実施形態において、第1アパチャ120A、第2アパチャ120B及び第3アパチャ120Cは、軸方向に整列され、例えば中心長手軸Aに沿って配置され得る。第4アパチャ120Dは、中心長手軸Aから、例えば側壁131に向かう方向にずらされ得る。一実施形態において、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは不規則な形状を含み、第3アパチャ120C及び第4アパチャ120Dは楕円形状とされる。しかしながら、これらのアパチャのサイズ及び形状が本開示に限られることを意図しない。
【0084】
第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bは、外科的固定のシステム110のループ114を受容するべく配列することができる。ブリッジ133は、第1アパチャ120Aと第2アパチャ120Bとを互いから分離させ、外科的固定のシステム10のループ14を担持する表面を与える。ブリッジ133は、固定デバイス112Bの頂面127と面一な外表面137と(すなわち、外表面137は、頂面127に対して皿穴とはなっていない)、例えばブリッジ133から側方に固定デバイス112Bの底面129に向かう方向に延びる一対の傾斜面139とを含み得る。一実施形態において、ブリッジ33の外表面137は、本体113の中心長手軸Aに一般に垂直な長手軸A2に沿って延びる(
図25参照)。
【0085】
第3アパチャ120Cは、骨トンネルを通るように固定デバイス112Bを通過させ、及び/又は骨トンネルから出た後に骨に対して固定デバイス112を反転させる一つ以上のフィラメント115を担持するべく使用することができる。第3アパチャ120Cは、例えば、固定デバイス112Bの対向端部分117の一方に最も近いアパチャとしてよい。
【0086】
第4アパチャ120Dは、ループ114の自由編みストランド122A、122Bを受容する縫合糸戻りアパチャとして利用することができる。第4アパチャ120Dは、第1アパチャ120A及び第2アパチャ120Bに隣接するように配置することができる。一実施形態において、ブリッジ133の外表面137を通って延びる長手軸A2は、第4アパチャ120Dと交差する(
図25参照)。
【0087】
隆起182を、固定デバイス112Bのブリッジ133と第4アパチャ120Dとの間に短手方向に位置決めすることができる。隆起182は、固定デバイス112Bの頂面127及びブリッジ133の外表面137から外方に突出してよい。この例におけるブリッジ133の外表面137とは異なり、したがって、隆起182は、頂面127に対して面一ではない。
【0088】
図18及び25〜28を参照すると、固定デバイス112B及びループ114は、外科的固定のシステム110のロック機構199を確立するべく構成することができる。一実施形態において、第1自由編みストランド122Aが、ループ114の第1組み継ぎセクション172から延び、第2自由編みストランド122Bが、ループ114の第2組み継ぎセクション174から延びる。第1自由編みストランド122A及び第2自由編みストランド122Bは、この例においては、第4アパチャ120Dを通って上方(すなわち、例えば固定デバイス112Aの底面129から頂面127に向かって延びる方向)に向かい、その後、蛇行経路を上へと通過して隆起182を超え、その後、ループ114のループセクション180の下を通され、例えば、ブリッジ133の上に載置され、ロック機構199が確立される。
【0089】
図29A及び29Bは、ループ114及び固定デバイス112Bにより確立されたロック機構199のロック位置L1を示す。ロック位置L1において、自由編みストランド122A及び122Bは、ループ114のループセクション180により、ブリッジ133の外表面137に直接当接するように緊張して保持される。この張力は、例えば、ループ114の対向セクション(すなわち、例えば移植片116を担持するセクション)を緊張させることによってもたらされる。固定デバイス112Bの隆起182により、ロック位置L1において自由編みストランド122A、122Bに対して及ぼされ得る張力の量が増大し得る。したがって、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1調整可能アイスプライスループ124A及び第2調整可能スプライスループ124Bのサイズを収縮させるのに必要なタイプの動きに抵抗するように保持される。
【0090】
図30A及び30Bは、ループ114及び固定デバイス112Bにより確立されたロック機構199のロック解除位置L2を示す。ロック解除位置L2において、自由編みストランド122A及び122Bに対してループセクション180を保持する張力が、例えば、移植片116への張力を解放することによって、解放される。これにより、自由編みストランド122A、122Bが、ブリッジ133、ループセクション182及び隆起182に対して動くことが許容される。ループセクション180により適用される張力がひとたび除去されると、自由編みストランド122A、122Bは、ループ114の第1及び/又は第2調整可能アイスプライスループ124A、124Bのサイズを収縮させるべく、方向D1に緊張することができる。
【0091】
異なる非制限的な複数の実施形態が特定のコンポーネント又はステップを有するように示されるにもかかわらず、本開示の複数の実施形態はそれらの特定の組み合わせに限られない。非制限的な複数の実施形態のいずれかからのコンポーネント又は特徴物のいくつかを、他の非制限的な複数の実施形態のいずれかからの特徴物又はコンポーネントと組み合わせて使用することが可能である。
【0092】
理解すべきことだが、同じ参照番号は、いくつかの図面にわたり、対応する又は同様の要素を特定する。さらに理解すべきことだが、これらの典型的な実施形態において特定のコンポーネント配列が開示かつ図示されるにもかかわらず、他の配列も本開示の教示から利益を受け得る。
【0093】
上記説明は、例示として解釈され、いずれの制限的な意味としても解釈されない。当業者であれば理解することだが、所定の修正例が本開示の範囲内に入り得る。これらの理由により、本開示の真の範囲及び内容を決定するには、以下の特許請求の範囲を精査するべきである。