(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第1貫通空間のうち平面視において最も外側に位置する部位は、前記第2貫通空間の端部よりも平面視において外側に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
前記複数の第1貫通空間と少なくとも1つの前記第2貫通空間は、順次連続してひとつながりになっていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の電子素子実装用基板。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<電子素子実装用基板および電子装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、電子素子実装用基板に電子素子が実装された構成を電子装置とする。また、電子素子実装用基板の上面側に位置するようにまたは電子装置を囲んで設けられた筐体または部材を有する構成を電子モジュールとする。電子素子実装用基板、電子装置および電子モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1〜
図9を参照して本発明の第1の実施形態における電子モジュール31、電子装置21、および電子素子実装用基板1について説明する。なお、本実施形態では
図1および
図2では電子装置21を示しており、
図3では電子モジュール31を示している。また、
図4〜
図7に電子素子実装用基板1の内層の図を示す。また、
図8および
図9において要部Aの図を示す。本実施形態における電子装置21は、電子素子実装用基板1と電子素子10とを備えている。
図4〜
図9では第2貫通空間を点線で示している。
【0010】
電子素子実装用基板1は、電子素子10が実装される基板2を有する。基板2は第1層2aと、第1層2aの下面に位置した第2層2bとを有する。第1層2aは、複数の第1貫通空間5aを有する。第2層2bは、平面視において複数の第1貫通空間5aと重なって位置した第2貫通空間5bを有する。複数の第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは連続している。
【0011】
電子素子実装用基板1は、電子素子10が実装される基板2を有している。また、基板2は第1層2aと、第1層2aの下面に位置した第2層2bを有する。
図2に示す例の様に、電子素子実装用基板1は第1層2aと第2層2bの他にその他の層2fを有していてもよい。なお、その他の層2fは複数層有していてもよい。ここで、上述した電子素子10が実装される位置は、第1層2aまたは第2層2bの上面もしくは下面であってもよいし、第1層2aの上面または第2層2bの下面に設けられたその他の層2fの上面または下面に実装されていてもよい。
【0012】
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2fを構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂等が含まれる。樹脂としては例えば、熱可塑性樹脂等が含まれる。
【0013】
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2fを形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が含まれる。第1層2a、第2層2bおよびその他の層2fを形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、熱可塑性の樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等である。フッ素系樹脂としては例えば、四フッ化エチレン樹脂等が含まれる。
【0014】
第1層2a、第2層2bおよびその他の層2fから成る基板2は、
図2に示すように7層の絶縁層から形成されていてもよいし、6層以下または8層以上の絶縁層から形成されていてもよい。絶縁層が6層以下の場合には、電子素子実装用基板1の薄型化を図ることができる。また、絶縁層が8層以上の場合には、電子素子実装用基板1の剛性を高めることができる。また、
図2〜
図3に示す例のように、各絶縁層に開口部を設け、設けた開口部の大きさを異ならせた上面に段差部を形成していてもよく、後述する電極パッド3が段差部に設けられていてもよい。なお、
図2〜
図3に示す例ように基板2は開口部を有していてもよいし、
図1に示す例のように開口部を有さない平板状であってもよい。また、平面視で矩形状であってもよいし円形状またはその他多角形状であってもよい。
【0015】
電子素子実装用基板1は例えば、最外周の1辺の大きさは0.3mm〜10cmであり、平面視において電子素子実装用基板1が四角形状あるとき、正方形であってもよいし長方形であってもよい。また例えば、電子素子実装用基板1の厚みは0.2mm以上である。
【0016】
電子素子実装用基板1の基板2は表面に例えば電子素子10と接続される電極パッド3を有していてもよい。さらに基板2の上面、側面または下面には、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、基板2と外部回路基板、あるいは電子装置21と外部回路基板とを電気的に接続していてもよい。
【0017】
さらに基板2の上面または下面には、電極パッド3または/および外部回路接続用電極以外に、絶縁層間に形成される内部配線導体および内部配線導体同士を上下に接続する貫通導体が設けられていてもよい。これら内部配線導体または貫通導体は、基板2の表面に露出していてもよい。この内部配線導体または貫通導体によって、電極パッド3または/および外部回路接続用電極はそれぞれ電気的に接続されていてもよい。
【0018】
電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、複数の絶縁層が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。また、銅からなっていてもよい。また、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体は、複数の層が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等が含まれる。
【0019】
電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体または/および貫通導体の露出表面に、めっき層を有していてもよい。この構成によれば、外部回路接続用の電極、導体層および貫通導体の露出表面を保護して酸化を低減することができる。また、この構成によれば、電極パッド3と電子素子10とをワイヤボンディング等の電子素子接続材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5μm〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5μm〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
【0020】
電子素子実装用基板1の第1層2aは、複数の第1貫通空間5aを有する。複数の第1貫通空間5aは少なくとも断面視において第1層2aを貫通するように設けられている。ここで、第1貫通空間5aは第1層2aの1層のみを貫通していてもよいし、第1層2aの上面に設けられたその他の層2fに第1貫通空間5aと同様のその他の貫通孔5fを含めて2層以上を貫通して設けられていてもよい。また、第1層2aに設けられた第1貫通空間5aとその他の層2fに設けられたその他の貫通孔5fの大きさはそれぞれ異なっていてもよい。また、平面視における形状は、例えば矩形状であってもよい。
【0021】
なお、複数の第1貫通空間5aは少なくとも2つ以上あればよく、それぞれの大きさ又は形状等は同一であってもよいし異なるものであってもよい。また、複数の第1貫通空間5aの隣り合う第1貫通空間5a同士の距離は特に指定されない。
【0022】
電子素子実装用基板1の第2層2bは、平面視において複数の第1貫通空間5aと重なって位置した第2貫通空間5bを有する。第2貫通空間5bは少なくとも断面視において第2層2bを貫通するように設けられている。ここで、第2貫通空間5bは第2層2bの1層のみを貫通していてもよいし、第1層2aの下面に設けられたその他の層2fに第2貫通空間5bと同様のその他の貫通孔5fを含めて2層以上を貫通して設けられていてもよい。また、第2層2bに設けられた第2貫通空間5bとその他の層2fに設けられたその他の貫通孔5fの大きさはそれぞれ異なっていてもよい。
【0023】
なお、第2貫通空間5bは少なくとも1つあればよく、第2貫通空間5bは複数個位置していてもよい。第2貫通空間5bが複数個位置しているとき、それぞれの第2貫通空間5bの大きさ又は形状等は同一であってもよいし異なるものであってもよい。また、複数の第2貫通空間5bの隣り合う第2貫通空間5b同士の距離は特に指定されない。
【0024】
電子素子実装用基板1の複数の第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは連続している。つまり、隣り合う第1貫通空間5aの同士が第2貫通空間5bでつながり、3次元状の空間になっていてもよい。
【0025】
電子素子実装用基板に実装される電子素子は動作時に、センシング部分または演算部分等の一部分において他の部分と比較して発熱する場合がある。その解決策のために放熱性向上のための流路を設ける場合がある。しかしながら近年の電子素子実装用基板の小型化の要求により、電子素子実装用基板の面積が小さくなり、この流路を十分に設けることができない場合があった。そのため、電子素子のセンシング部分または演算部分などの発熱部で発生した熱を十分に放熱できず、電子素子の熱による破壊または誤作動が生じる場合があった。
【0026】
これに対して本実施形態では、第1層2aに設けられた第1貫通空間5aと第2層2bに設けられた第2貫通空間5bとが連続している。言い換えると、基板2内部で第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは3次元構造(立体構造)の流路を形成している。これにより、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、流路の体積を大きくすることが可能となるため、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となる。
【0027】
また、近年では電子素子は高機能化し、電子素子実装用基板に実装される電子素子は動作時に、センシング部分または演算部分等の発熱部において他の部分と比較して発熱する場合がある。そのため、放熱性を確保するために流路を電子素子実装用基板で広く設けると、本来は発熱しない場所(他の部分)に熱を広げてしまう場合がある。その結果、電子素子の動作および信号に悪影響を及ぼす場合があった。
【0028】
これに対して本実施形態では、第1層2aに設けられた第1貫通空間5aと第2層2bに設けられた第2貫通空間5bとが連続している。言い換えると、基板2内部で第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは3次元構造(立体構造)の流路を形成している。これにより、厚み方向に流路を広げることが可能となり、流路の体積を大きくすることが可能となる。さらに、第2貫通空間5bを本来は発熱しない場所(他の部分)との境に置くことで、発熱部分で発生した熱を本来は発熱しない場所(他の部分)に広げずに下層または流路に戻すことが可能となる。よって、放熱性を確保しつつ、本来は発熱しない場所(他の部分)へ熱が伝わることを低減させ電子素子10が誤作動することを低減させることが可能となる。
【0029】
第1貫通空間5a、第2貫通空間5bおよびその他の貫通孔5fはオイル等の液状の放熱物質が充填されていてもよいしその他の流体として気体が充填されていてもよい。また後述するが、第1貫通空間5a、第2貫通空間5bおよびその他の貫通孔5fと基板2の外側とをつなぐ通路6を有していてもよく、通路6から上述した液体または気体を循環させていてもよい。
【0030】
複数の第1貫通空間5aと第1貫通空間5aと連続している複数の第2貫通空間5bを有する1組の流路は基板2の2か所以上に設けられていてもよい。つまり、発熱部の大きさ、位置、個数によって適宜増やしてもよい。
【0031】
ここで、流路とは、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bの上面または下面に設けられた第3層2cまたは/およびその他の層2fで囲まれた領域を指す。言い換えると流路は第1層2a、第2層2b、第3層2cまたは/およびその他の層2fで囲まれた部分であり、基板2において第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとをくりぬかれた空間部分のことを指す。
【0032】
第1貫通空間5a、第2貫通空間5bまたは/およびその他の貫通孔5fは側壁に金属層を有していてもよい。金属層が基板2よりも熱伝導率が高い場合、より放熱性を向上させることが可能となる。なお、第1貫通空間5a、第2貫通空間5bまたは/およびその他の貫通孔5fの側面の金属層は基板2の電子素子10とつながる電位等と絶縁させていることで、熱による抵抗値の変動による電子素子10の誤作動および不都合が発生することを低減させることが可能となる。
【0033】
第1貫通空間5aと第2貫通空間5bは平面視において形状および位置は完全には一致していない。言い換えると、平面視において第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとはそれぞれ重なっていない部分を有している。このような構造によって、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが連続し、かつ放熱性の向上をすることが可能となる。
【0034】
図1〜
図3に示す例のように第2層2bは下面側に第3層2cまたはその他の層2fを有していてもよく、これにより、流路が形成されていてもよい。また、第3層2cまたはその他の層2fは第1層2aまたは/および第2層2bと同一の材料を含んでいてもよいし、異なる材料からなっていてもよい。また、第2層2bと第3層2cは焼結し一体化していてもよいし、接合材等を介して接合されていてもよい。
【0035】
図4に第1層2aと第2層2bのそれぞれの平面図を示す。また、
図5〜
図7に第1層2aと第2層2bとを重ねた状態の平面透視図を示す。なお、
図4〜
図7に示す例では、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bのみを記載しており、配線導体、貫通導体その他は省略しているが、実際の製品においてはこれらを含んでいてもよい。
【0036】
図4に示す例では第1層2aに位置する複数の第1貫通空間5aと、第2層2bに位置する複数の第2貫通空間5bを示している。これらを重ねた平面透視図が
図5(a)となる。このような形状とすることで、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは連続して流路を形成している。このような構造であることで、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、流路の体積を大きくすることが可能となるため、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となる。
【0037】
図4、
図5に示す例のように複数の第1貫通空間5aは、互いに並行して位置していてもよい。複数の第1貫通空間5aが互いに平行に位置することで隣り合う第1貫通空間5aをつなぐ第2貫通空間5bの配置が容易になる。また、放熱性が必要な箇所における第1貫通空間5aの密度を上げることが可能となり、放熱性をより向上させることが可能となる。また、第1貫通空間5aが互いに並行して位置していることで、例えば基板2の外部から通路6を通して液体または流体を循環させる場合、角部等でそれらの流れを阻害することを低減させることが可能となる。よって、放熱性を確保することが可能となる。
【0038】
また、
図5(a)に示す例では、平面視において、複数の第1貫通空間5aおよび第2貫通空間5bは矩形状であり、第1貫通空間5aの長辺のそれぞれは、第2貫通空間5bの長辺よりも長い。このことで、第1貫通空間5aの体積が第2貫通空間5bの体積よりも大きくすることが可能となる。このとき、例えば第1貫通空間5aが第2貫通空間5bよりも電子素子10が実装される面に近い場合、より電子素子10と近い位置で放熱性を向上させることが可能となる。よって、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、流路の体積を大きくすることが可能となるため、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となる。
【0039】
また、
図5(a)に示す例では、複数の第1貫通空間5aと第2貫通空間5bは、順次連続してひとつながりになっている。言い換えると、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bは一筆書きにつながっている。このことで、例えば基板2の外部から後述する通路6を通して液体または気体を循環させる場合、通路6の入り口から出口まで1巡の流れを作ることが可能となる。よって、液体または気体が滞留し、放熱の流れを阻害することを低減させることが可能となる。よって、放熱性を確保することが可能となる。また、このような構造により、基板2の外部から液体または気体を循環させない場合においても、熱の動きが一方向となるため、熱が滞留し放熱のムラが生じることを低減させることが可能となる。
【0040】
図5(b)に示す例では、複数の第1貫通空間5aは、3つ以上であって、第2貫通空間5bは、全ての第1貫通空間5aの端部同士をつないでいる。なお、端部とは、端を含んだ周辺の部分のことをいう。このような構造によって、第1貫通空間5aを3つ以上設けた場合においても、第2貫通空間5bの体積をより大きくすることが可能となる。よって、放熱性をより向上させることが可能となる。また、第2貫通空間5bが3つ以上の第1貫通空間5aの端部同士をつないでいることで、Z軸方向につながる体積を大きくすることが可能となる。よって、例えば電子素子10が第1貫通空間5a側に位置している時、電子素子10からの熱を第2貫通空間5bおよび第2貫通空間5bと接しているその他の層2f側へ逃しやすくなる。よって、放熱性をより向上させることが可能となる。
【0041】
図6(a)および
図6(b)に示す例では、第2貫通空間5bは、隣り合う第1貫通空間5aのそれぞれの端部と重なって位置している。言い換えると、第2貫通空間5bは第1貫通空間5aの端部と隣り合う第1貫通空間5aの反対側の端部との両方に重なって位置していると言える。この構造により、第2貫通空間5bの体積を大きくすることが可能となるとともに、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは順次連続して一つながりとすることが可能となる。よって、流路(第1貫通空間5aと第2貫通空間5b)の面積を大きくし、放熱性を向上させることが可能となる。さらに、例えば基板2の外部から通路6を通して液体または気体を循環させる場合、通路6の入り口から出口まで1巡の流れを作ることが可能となる。よって、液体または気体が滞留し、放熱の流れを阻害することを低減させることが可能となり、放熱性を確保することが可能となる。これにより、これらの効果により放熱性を向上させることが可能となる。
【0042】
また、第2貫通空間5bの体積が大きくなることで、第2貫通空間5bから第3層2cまたはその他の層2fへ熱を伝えやすくすることが可能となる。これにより、熱を外部回路基板等へより伝達することが可能となり電子素子実装用基板1の放熱性を向上させることが可能となる。
【0043】
図6(b)に示す例では、第1貫通空間5aは、
図6(a)と比較して基板2の外辺に対して斜めに位置している。第1貫通空間5aが基板2の外辺に足して斜めかつに位置していることで第1貫通空間5aの体積を大きくすることが可能となる。また、第2貫通空間5bの体積を大きくすることが可能となるとともに、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは順次連続して一つながりとすることが可能となる。よって、これらの効果により放熱性を向上させることが可能となる。
【0044】
図7(a)(b)に示す例では、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとの連続は、平面視で渦を描いている。このような構造であることで、平面視において基板2のX−Y平面を第1層2aと第2層2bを用いて全体的に放熱させることが可能となる。よって、基板2を全体的に放熱させることが可能となる。
【0045】
また、
図7(a)に示す例のように第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとはループ形状になっていてもよい。このような場合においても、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、体積を大きくすることが可能となるため、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となる。また、基板2の外部から通路6を通じて液体または気体を循環させることも可能となる。
【0046】
また、
図7(b)に示す例のように第1貫通空間5aと第2貫通空間5bの連続は順次広がる渦(放射状の広がる渦)を描いていてもよい。一般的に、熱は放射状に広がっていく場合が多い。そのため、
図7(b)に示す例のように放射状にひろがる渦を描くことで、熱の広がりに合わせて放熱させることが可能となるため、放熱性を確保することが可能となる。よって、本発明の基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、体積を大きくすることが可能となる効果と合わせてより放熱性を確保する効果を向上させることが可能となる。
【0047】
また、平面視で渦形状の流路(第1貫通空間5aと第2貫通空間5b)の中央部近傍に電子素子10の発熱部を位置することで、渦形状の流路内で熱を下面側へ伝達することができる。よって、電子素子10の発熱部からの熱がその他の部分へ伝わることを低減させることが可能となる。
【0048】
図8および
図9に第1層2aと第2層2bとを重ねた状態の平面透視図の要部Aの拡大図を示す。
図8(b)に示す例では、第2貫通空間5bの端部は最も外側に位置する第1貫通空間5aの外辺よりも平面視において内側または重なる位置に位置している。このような端部の構造であることで、第2貫通空間5bが第1貫通空間5a内に収まり、複数の第1貫通空間5a同士の間隔をより狭く設けることが可能となる。よって、第1貫通空間5aの密度を上げることが可能となる。よって、第2貫通空間5bを有することで本発明の効果を奏するとともに、より放熱性の向上が可能となる。
【0049】
また、第1貫通空間5aの端部は最も外側に位置する第2貫通空間5bの外辺よりも平面視において内側または重なる位置に位置している。このような端部の構造であることで、第1貫通空間5aの端部が第2貫通空間5b内に収まる。これにより、平面視で第2貫通空間5bをより基板2の外辺側に設けることが可能となる。このことで、結果的に第1貫通空間5aの端部の位置もより基板2の外辺側に近づけることが可能となる。よって、第1貫通空間5aの体積をより大きくすることが可能となる。これにより、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能としつつ、さらに平面方向においても第1貫通空間5aの体積を大きくすることが可能となるため、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を向上させることが可能となる。
【0050】
図9(a)に示す例では、第2貫通空間5bの端部は最も外側に位置する第1貫通空間5aの外辺よりも平面視において外側に位置している。例えば放熱の為液体または気体等を循環させる場合において、第2貫通空間5bの端部の外側の第2層2bの一部は、第1貫通空間5aの内側に張り出ていることで、循環を妨げる場合がある。これに対し、
図9(a)に示す構造であると、冷却用の液体または気体の循環を妨げる場合を低減させることが可能となる。よって、本発明の効果を奏するとともに放熱性を確保することが可能となる。
【0051】
また、第2貫通空間5bの端部は最も外側に位置する第1貫通空間5aの外辺よりも平面視において内側に位置している場合、第2貫通空間5bの端部の外側の第2層2bの一部は、第1貫通空間5a内の張り出ていることになる。この時、例えば急激に電子素子10が発熱をし、第1貫通空間5a内に熱がこもった場合、この張り出ている第2層2bとそのほかの第2層2bは熱膨張を行おうとするが、第2層2bには上下層の支えが少ないためその変位量に差が生じる場合がある。これにより、第2層2bにクラックまたは割れが発生する場合がある。これに対し、
図9(a)に示す構造であると、第2層2bに生じる熱膨張の変位量の差を小さくすることが可能となる。よって本発明の効果を奏するとともに、第2層2bにクラックまたは割れが生じる場合を低減させることをより可能とすることができる。
【0052】
図9(a)に示す例では、第1貫通空間5aの端部は最も外側に位置する第2貫通空間5bの外辺よりも平面視において外側に位置している。例えば放熱の為液体または気体等を循環させる場合において、第1貫通空間5aの端部の外側の第1層2aの一部は、第2貫通空間5bの内側に張り出ていることで、循環を妨げる場合がある。これに対し、
図9(a)に示す構造であると、液体または気体の循環を妨げる場合を低減させることが可能となる。よって、本発明の効果を奏するとともに放熱性を確保することが可能となる。
【0053】
また、第1貫通空間5aの端部は最も外側に位置する第2貫通空間5bの外辺よりも平面視において内側に位置している場合、第1貫通空間5aの端部の外側の第1層2aの一部は、第2貫通空間5b内の張り出ていることになる。この時、例えば急激に電子素子10が発熱をし、第1貫通空間5a内に熱がこもった場合、この張り出ている第1層2aとそのほかの第1層2aは熱膨張を行おうとするが、第1層2aには上下層の支えが少ないためその変位量に差が生じる場合がある。これにより、第1層2aにクラックまたは割れが発生する場合がある。これに対し、
図9(a)に示す構造であると、第1層2aに生じる熱膨張の変位量の差を小さくすることが可能となる。よって本発明の効果を奏するとともに、第1層2aにクラックまたは割れが生じる場合を低減させることが可能となる。
【0054】
また、上記いずれの構造の場合においても、基板2を製造する場合の工程ズレ等により第1層2aと第2層2bがずれた場合においても、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。よって、より確実に第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを連続させることが可能となり、放熱性を確保することが可能となる。また、第1層2aと第2層2bとが電気絶縁性セラミックスからなる場合、このような構造であることで積層して加圧する工程においてより応力がかかり、デラミ等の発生を低減させることが可能となる。なお、
図9(a)に示す例では、第1貫通空間5aの端部と第2貫通空間5bの端部はともに第2貫通空間5bおよび第1貫通空間5aの外側に位置しているが、どちらか一方のみ
図9(a)に示す例の条件を満たしていてもよい。
【0055】
図9(b)に示す例では、第1貫通空間5aの端部は平面視において曲線状となっている。このような構造であることで、基板2を製造する場合の工程ズレ等により第1層2aと第2層2bがずれた場合においても、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。さらに、端部が曲線状であることでどの方向にずれた場合においても第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。よって、より確実に第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを連続させることが可能となり、本発明の効果を奏することが可能となり、放熱性を向上させることが可能となる。
【0056】
また、第2貫通空間5bの端部は平面視において曲線状となっていてもよい。これにより、第1貫通空間5aの時と同様に、第2貫通空間5bの端部が曲線状であることでどの方向にずれた場合においても第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。よって、より確実に第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを連続させることが可能となり、本発明の効果を奏することが可能とのなり、放熱性を確保することが可能となる。
【0057】
また、第1貫通空間5aまたは第2貫通空間5bの端部が曲線状となっていることで、例えば放熱の為に第1貫通空間5aおよび第2貫通空間5b内に液体または気体等を循環させる場合において、その流れを曲線状で受け止め、スムーズに下層または上層に送ることが可能となる。よって、液体または気体の循環を妨げる場合を低減させることが可能となる。よって、本発明の効果を奏するとともに放熱性を確保することが可能となる。
【0058】
また、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bの両方の端部が曲線状になっていてもよい。このような場合においても上述した効果を奏することは可能となる。また、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bの両方の端部が曲線状になっていることで、放熱の為に第1貫通空間5aおよび第2貫通空間5b内に液体または気体等を循環させる場合において、その流れを妨げにくくなる。よって、液体または気体の循環を妨げる場合を低減させることが可能となる。よって、本発明の効果を奏するとともに放熱性を確保することが可能となる。
【0059】
<電子装置の構成>
図2に電子装置21の例を示す。電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1の上面または下面に実装された電子素子10を備えている。
【0060】
電子装置21は、電子素子実装用基板1と、電子素子実装用基板1に実装された電子素子10を有している。電子素子10の一例としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、圧力、気圧、加速度、ジャイロ等のセンサー機能を有する素子、または集積回路等である。なお、電子素子10は、接着材を介して、基板2の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
【0061】
電子素子10と電子素子実装用基板1とは例えばワイヤーボンディング、半田ボール、金バンプ等を含む電子素子接続材13で電気的に接続されていてもよい。
【0062】
電子装置21は、電子素子10を覆うとともに、電子素子実装用基板1の上面に接合された蓋体12を有していてもよい。ここで、電子素子実装用基板1は基板2の枠状部分の上面に蓋体12を接続してもよいし、蓋体12を支え、基板2の上面であって電子素子10を取り囲むように設けられた枠状体を設けてもよい。また、枠状体と基板2とは同じ材料から構成されていてもよいし、別の材料で構成されていてもよい。
【0063】
枠状体と基板2と、が同じ材料から成る場合、基板2は枠状体とは開口部を設けるなどして最上層の絶縁層と一体化するように作られていてもよい。また、別に設ける、ろう材等でそれぞれ接合してもよい。
【0064】
また、基板2と枠状体とが別の材料から成る例として枠状体が蓋体12と基板2とを接合する蓋体接合材14と同じ材料から成る場合がある。このとき、蓋体接合材14を厚く設けることで、接着の効果と枠状体(蓋体12を支える部材)としての効果を併せ持つことが可能となる。このときの蓋体接合材14は例えば熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等が挙げられる。また、枠状体と蓋体12とが同じ材料から成る場合もあり、このときは枠状体と蓋体12は同一個体として構成されていてもよい。
【0065】
蓋体12は、例えば電子素子10がCMOS、CCD等の撮像素子、またはLEDなどの発光素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。また蓋体12は例えば、電子素子10が集積回路等であるとき、金属製材料、セラミック材料または有機材料が用いられていてもよい。
【0066】
蓋体12は、蓋体接合材14を介して電子素子実装用基板1と接合している。蓋体接合材14を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等がある。
【0067】
電子装置21が
図2に示すような電子素子実装用基板1を有することで、電子素子10からの発熱の放熱性を確保することが可能となる。このため、電子素子が動作した場合に熱により誤作動が発生する恐れを低減させることが可能となる。
【0068】
電子装置21の電子素子10が発熱部を有するとき、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは平面視で発熱部と重なって位置していてもよい。このような構造であることで、電子素子10の発熱部の近くでその発熱を第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとで放熱することが可能となるため、本効果を向上させることが可能となる。
【0069】
<電子モジュールの構成>
図3に電子素子実装用基板1を用いた電子モジュール31の一例を示す。電子モジュール31は、電子装置21と電子装置21の上面または電子装置21を覆うように設けられた筐体32とを有している。なお、以下に示す例では説明のため撮像モジュールを例に説明する。
【0070】
電子モジュール31は筐体32(レンズホルダー)を有していてもよい。筐体32を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接電子装置21に加えられることを低減することが可能となる。筐体32は、例えば樹脂または金属材料等から成る。また、筐体32がレンズホルダーであるとき筐体32は、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、筐体32は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、電子素子実装用基板1の表面に位置するパッド等と半田などの接合材を介して電気的に接続されていてもよい。
【0071】
なお、筐体32は平面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、筐体32の開口部から外部回路基板が挿入され電子素子実装用基板1と電気的に接続していてもよい。また筐体32の開口部は、外部回路基板が電子素子実装用基板1と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて電子モジュール31の内部が気密されていてもよい。
【0072】
電子モジュール31が
図3に示すような電子装置21および電子素子実装用基板1を有することで、電子素子10からの発熱の放熱性を確保することが可能となるため、電子素子が動作した場合に熱により誤作動が発生する恐れを低減させることが可能となる。
【0073】
<電子素子実装用基板および電子装置の製造方法>
次に、本実施形態の電子素子実装用基板1および電子装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、多数個取り配線基板を用いた基板2の製造方法である。
【0074】
(1)まず、基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)質焼結体である基板2を得る場合には、Al
2O
3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO
2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
【0075】
なお、基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって基板2を形成することができる。また、基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって基板2を形成できる。
【0076】
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
【0077】
また、基板2が樹脂から成る場合には、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体は、スパッタ法、蒸着法等によって作製することができる。また、表面に金属膜を設けた後に、めっき法を用いて作製してもよい。
【0078】
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。ここで基板2が開口部またはノッチ等を有する場合、基板2となるグリーンシートの所定の箇所に、開口部またはノッチ等を形成してもよい。また、この時、第1層2aおよび第2層2bの所定の位置に、金型、パンチング、またはレーザー等を用いて第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを設けてもよい。
【0079】
(4)次に、第1層2a、第2層2b等の各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧する。このことにより各絶縁層となるグリーンシートを積層し、基板2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシート積層体を作製してもよい。また、この時、複数層を積層したセラミックグリーンシートを第1層2aまたは第2層2bとしてその所定の位置に、金型、パンチング、またはレーザー等を用いて第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを設けてもよい。もしくは、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとなる位置に貫通孔を有する複数のセラミックグリーンシートを準備し、それぞれを積層して複数の層からなる第1層2aまたは第2層2bとしてもよい。また、その他の層5fがその他の貫通孔5fを有するときは同様に作製することができる。
【0080】
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500℃〜1800℃の温度で焼成して、基板2(電子素子実装用基板1)が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、基板2(電子素子実装用基板1)となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、電極パッド3、外部回路接続用電極、内部配線導体および貫通導体となる。
【0081】
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の基板2(電子素子実装用基板1)に分断する。この分断においては、基板2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により基板2(電子素子実装用基板1)の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。なお、上述した多数個取り配線基板を複数の基板2(電子素子実装用基板1)に分割する前もしくは分割した後に、それぞれ電解または無電解めっき法を用いて、電極パッド3、外部接続用パッドおよび露出した配線導体にめっきを被着させてもよい。
【0082】
(7)次に、電子素子実装用基板1の上面または下面に電子素子10を実装する。電子素子10はワイヤボンディング等の電子素子接続材13で電子素子実装用基板1と電気的に接合させる。またこのとき、電子素子10または電子素子実装用基板1に接着材等を設け、電子素子実装用基板1に固定しても構わない。また、電子素子10を電子素子実装用基板1に実装した後、蓋体12を蓋体接合材14で接合してもよい。
【0083】
以上(1)〜(7)の工程のようにして電子素子実装用基板1を作製し、電子素子10を実装することで、電子装置21を作製することができる。なお、上記(1)〜(7)の工程順番は指定されない。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による電子素子実装用基板1について、
図10〜
図11を参照しつつ説明する。なお、
図10は本実施形態における電子素子実装用基板1、電子装置21の形状を示している。
図11に電子素子実装用基板1の内層の図を示す。なお、
図11に示す例では、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cのみを記載しており、内部配線導体、貫通導体その他は省略しているが、実際の製品においてはこれらを含んでいてもよい。
【0085】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、第3層2cに位置する第3貫通孔5cを有する点である。
【0086】
図10に示す例では、電子素子実装用基板1の基板2は、第2層2bの下面に位置した、第3層2cをさらに備えており、第3層2cには第3貫通孔5cが位置し、上面に設けられた第2貫通空間5bと連続している。このような構造によって、基板2内部で第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとを有するは3次元構造(立体構造)の流路の体積を増加させることが可能となる。言い換えると、これにより、基板2の厚み方向に流路を広げ、さらに第3層2cに位置する第3貫通孔5cで平面方向に流路の体積を大きくすることが可能となる。よって、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保し、さらに向上させることが可能となる。
【0087】
ここで、流路とは、第1貫通空間5a、第2貫通空間5bと第3貫通孔5cの上面または下面に設けられた第4層2dまたは/およびその他の層2fで囲まれた領域を指す。言い換えると流路は第1層2a、第2層2b、第3層2c、第4層2dまたは/およびその他の層2fで囲まれた部分であり、基板2において第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとをくりぬいた部分のことを指す。
【0088】
図11に電子素子実装用基板1の内層(2a、2b、2c)の図を示す。
【0089】
図11に示す例は
図10に示す電子素子実装用基板1の内層図である。
図11に示す例のように第3貫通孔5cは平面視で第1貫通空間5aと重なっていてもよいし、ピッチがすれて位置していてもよい。また、第3貫通孔5cは平面視で第1貫通空間5aと形状若しくは大きさ等が異なっていてもよいし、個数が異なっていてもよい。
【0090】
また、複数の第3貫通孔5cは、互いに並行して位置していてもよい。複数の第3貫通孔5cが互いに平行に位置することで放熱性が必要な箇所における第3貫通孔5cの密度を上げることが可能となり、放熱性をより向上させることが可能となる。また、第3貫通孔5cが互いに並行して位置していることで、例えば基板2の外部から通路6を通して液体または流体を循環させる場合、角部等でそれらの流れを阻害することを低減させることが可能となる。よって、放熱性を確保することが可能となる。また、第1貫通空間5aと同様に第3貫通孔5cは基板2の外辺に対して斜めに位置していてもよい。
【0091】
第2貫通空間5bは第1貫通空間5aと第3貫通孔5cとをつなぐように設けられている。この時、第1貫通空間5aと第3貫通孔5cの端部同士をつないでいてもよいし、その他の部分をつないでいてもよい。
【0092】
第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとは順次連続してひとつながりになっていてもよい。言い換えると、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとは一筆書きにつながっている。このことで、例えば基板2の外部から通路6を通して液体または気体を循環させる場合、通路6の入り口から出口まで1巡の流れを作ることが可能となる。よって、液体または気体が滞留し、放熱の流れを阻害することを低減させることが可能となる。よって、放熱性を確保することが可能となる。また、このような構造により、基板2の外部から液体または気体を循環させない場合においても、熱の動きが一方向となるため、熱が滞留し放熱のムラが生じることを低減させることが可能となる。
【0093】
第3貫通孔5cの端部は平面視において曲線を有していてもよい。このような構造であることで、基板2を製造する場合の工程ズレ等により第2層2bと第3層2cとがずれた場合においても、第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。さらに、端部が曲線を有していることでどの方向にずれた場合においても第2貫通空間5bと第3貫通孔5cとが平面視で重ならない部分が発生することを低減させることが可能となる。よって、より確実に第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとを連続させることが可能となり、本効果を奏することが可能となり、放熱性を確保することが可能となる。
【0094】
第2貫通空間5bまたは/および第3貫通孔5cの端部は最も外側に位置する第3貫通孔5cまたは/および第2貫通空間5bの外辺よりも平面視において外側に位置していてもよい。または、第2貫通空間5bまたは/および第3貫通孔5cの端部は最も外側に位置する第3貫通孔5cまたは/および第2貫通空間5bの外辺よりも平面視において内側または重なる位置に位置していてもよい。これにより、第1実施形態に記載の第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとの関係と同様の効果を奏することが可能となる。
【0095】
第3貫通孔5cを作製する方法としては、基本的には第1実施形態の第1貫通空間5a等と同様である。例えば第3層2cが電気絶縁性セラミックからなるとき第1貫通空間5aまたは第2貫通空間5bと同様に金型、パンチングまたはレーザー等で第3層となるセラミックグリーンシートに貫通孔を開けることで設けることが可能となる。
【0096】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による電子素子実装用基板1について、
図12を参照しつつ説明する。
【0097】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、第2層2bまたは第3層2cの下面に無機基板4が位置している点である。
【0098】
図12(a)に示す例では、第2層2bの下面に位置した、無機基板4をさらに備えている。言い換えると、第2貫通空間5bは無機基板4と接するように位置している(を底面に形成されている)。例えば、無機基板4が金属材料等を含む場合、基板2よりも熱伝導率が良い場合がある。そのため、流路の構成の一つである第2貫通空間5bが無機基板4と接していることで、本発明の効果を奏するとともに、さらに放熱性を向上させることが可能となる。
【0099】
また、
図12(b)に示す例では、第3層2cの下面に位置した、無機基板4をさらに備えている。言い換えると、第3貫通孔5cは無機基板4と接するように位置している(を底面に形成されている)。そのため、
図12(a)に記載の第2貫通空間5bと無機基板4とが接している(を底面に形成されている)場合と比較して、無機基板4との接触面積(底面の面積)を大きくすることが可能となる。よって、本発明の効果を奏するとともに、無機基板4による放熱を加えて電子素子実装用基板1の放熱性をさらに向上させることが可能となる。
【0100】
ここで、流路とは、第1貫通空間5aと第2貫通空間5b(と第3貫通孔5c)の上面または下面に設けられた無機基板4または/およびその他の層2fで囲まれた領域を指す。言い換えると流路は第1層2a、第2層2b、第3層2c、無機基板4または/およびその他の層2fで囲まれた部分であり、基板2において第1貫通空間5aと第2貫通空間5b(と第3貫通孔5c)とをくりぬいた部分のことを指す。
【0101】
なお、
図12(a)および
図12(b)のどちらの場合においても、第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5cから形成される流路に基板2の外部から通路6を通して放熱の為の液体または気体を循環させてもよい。これらを循環させることで、放熱の為の液体または気体が無機基板4と接し、さらに放熱性を向上させることが可能となる。
【0102】
無機基板4を構成する材料は例えば、高い熱伝導率を有する材料を使用していてもよい。高い熱伝導率を有する材料を使用することによって、電子素子10を使用する際に発生する熱または基板2と無機基板4とを接合材によって接合させる際に加わる熱を、無機基板4全体に広がりやすくすることができる。このことによって、接合材を硬化する工程においてむらなく硬化することが可能となる。また、電子装置21で発生した熱を基板2に設けられた流路(第1貫通空間5aと第2貫通空間5bと第3貫通孔5c)を介して外部に放熱しやすくすることが可能となる。無機基板4を形成する材料として例えば、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはシリコン(Si)等である。なお、無機基板4を形成する材料として、例えば窒化アルミニウム質焼結体または窒化ケイ素室焼結体等である場合、無機基板4は複数の絶縁層から成る積層体であってもよい。また、無機基板4は複数の絶縁層からなる積層体の表面に導電層を被着させてもよい。
【0103】
また、無機基板4の材料としては金属材料を使用していてもよい。金属材料として例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)または銅合金等が挙げられる。例えば、基板2が約5×10−6/℃〜10×10−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、無機基板4は約10〜17×10−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410またはSUS304等)を用いることができる。この場合には、基板2と無機基板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、無機基板4の変形を低減することができる。また、金属材料である場合、熱伝導率が高くなるため、より放熱性を確保し工場させることが可能となる。
【0104】
無機基板4は例えば、1辺の大きさは0.3mm〜10cm程度であり、基板2の大きさに追従する。また例えば、無機基板4の厚みは0.05mm以上である。
【0105】
また、無機基板4が金属材料からなるときまたは表面に電極パッド等を有するときそれぞれの表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、無機基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
【0106】
基板2と無機基板4とは接合材を介して接合されていてもよい。
【0107】
接合材を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。接合材を形成する材料として使用される熱硬化性樹脂としては例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が含まれる。また、接合材を形成する材料として使用されるろう材としては例えば、ハンダ、鉛またはガラス等が含まれる。また、接合材は熱伝導率が良いものを選んでもよい。
【0108】
接合材は例えば導電性を有していてもよい。導電性を有する接合材として例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)または異方性導電樹脂(ACP:Anisotropic conductive paste)等が含まれる。接合材が導電性を有することで、基板2と無機基板4とを電気的に接合することが可能となる。例えば基板2と無機基板4とを接地電極と同電位で電気的に接合させることで、電子素子10を外部からのノイズから守るシールドの役割を無機基板4に持たせることが可能となる。
【0109】
図12に示す電子素子実装用基板1を作製する方法として、例えば第1実施形態または第2実施形態に記載の方法で作製した基板2に無機基板4を接合することで形成することが可能である。
【0110】
例えば、無機基板4が金属材料からなる場合は、金属材料から成る板材に、従来周知のスタンピング金型を用いた打ち抜き加工またはエッチング加工等によって作製される。また、他の材料から成る場合も同様にそれぞれの材質にあった打ち抜き加工等によって作製することが可能となる。また、無機基板4が電気絶縁性セラミック等からなる場合は、第1実施形態の(1)〜(6)に記載の方法などで無機基板4を作製することができる。なお焼成の温度、印刷方法等は無機基板4に使用される電気絶線性セラミックスの種類によって適宜変更する。次に、接合材を介して、基板2と無機基板4とを接合する。接合材は、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で、基板2または無機基板4のいずれか一方または両方の接合面に塗布する。
【0111】
そして、熱硬化性樹脂を乾燥させた後、基板2と無機基板4とを重ねた状態で、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ、加圧し加熱することで接合材を熱硬化させ、基板2と無機基板4とを強固に接着させることで電子素子実装用基板1を作製することができる。
【0112】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による電子素子実装用基板1について、
図13および
図14を参照しつつ説明する。
【0113】
本実施形態における電子素子実装用基板1において、第1の実施形態の電子素子実装用基板1と異なる点は、第1貫通空間5aの端部が基板2の端部と重なっている点、通路6を有する点である。
【0114】
図13(a)および
図14(b)に示す例では第1貫通空間5aと第2貫通空間5(と第3貫通孔5c)で形成される流路に対して基板2の下面側から流路に到達するように位置する通路6を有している。また、第3貫通孔5cを備えている場合には、第1貫通空間5aと第2貫通空間5と第3貫通孔5cで形成される流路に対して基板2の下面側から流路に到達するように位置する通路6を有している。言い換えると、
図13(a)では第3層2cに第2貫通空間5bと連続する通路6が位置しており、
図14(b)では第4層2dに第3貫通孔5cと連続する通路6が位置している。これにより、基板2の外部から放熱の為の液体または気体等を充填し、巡回させることができるようになる。よって、放熱性を向上させることが可能となる。また、基板2の外部から放熱の為に熱伝導率が高い液体または気体等を充填し、通路6を塞ぐことでも放熱性を向上させることが可能となる。このような場合においても、基板2の第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとが連続していることで、基板2内部で第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは3次元構造(立体構造)となっている。これにより、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、体積を大きくすることが可能となる。よって、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となり、また放熱性を向上させることが可能となる。
【0115】
図14(a)に示す例では、第1貫通空間5aの端部は基板2の端部と重なって位置している。さらに、
図14(a)に示す例では第3貫通孔5cの端部は基板2の端部と重なって位置していてもよい。これにより、基板2の端部と重なっている第1貫通空間5aまたは/および第3貫通孔5cの端部の一部が通路6と同様の役割を果たすことが可能となる。よって、基板2の外部から放熱の為の液体または気体等を充填し、巡回させることができるようになり、放熱性を向上させることが可能となる。また、基板2の外部から放熱の為に熱伝導率が高い液体または気体等を充填し、第1貫通空間5aまたは/および第3貫通孔5cの端部を塞ぐことでも放熱性を向上させることが可能となる。このような場合においても、基板2の第1貫通空間5aと第2貫通空間5b(と第3貫通孔5c)とが連続していることで、基板2内部で第1貫通空間5aと第2貫通空間5bとは3次元構造(立体構造)となっている。これにより、基板2の厚み方向に流路を広げることが可能となり、体積を大きくすることが可能となる。よって、電子素子実装用基板1が小型化した場合においても、放熱性を確保することが可能となり、また放熱性を向上させることが可能となる。
【0116】
12(b)に示す例では、第2貫通空間5bの端部は基板2の端部と重なって位置している。これにより、
図14(a)に示す例と同様に基板2の端部と重なっている第2貫通空間5bの端部の一部が通路6と同様の役割を果たすことが可能となる。よって、
図14(a)と同様の効果を奏することが可能となる。
【0117】
ここで、流路とは、第1貫通空間5aと第2貫通空間5b(と第3貫通孔5c)の上面または下面に設けられた第3層2c、第4層2dまたは/およびその他の層2fで囲まれた領域を指す。言い換えると流路は第1層2a、第2層2b、第3層2c、第4層2dまたは/およびその他の層2fで囲まれた部分であり、基板2において第1貫通空間5aと第2貫通空間5b(と第3貫通孔5c)とをくりぬいた部分のことを指す。
【0118】
図13(a)および
図14(b)に示す例のような通路6を作製する方法としては、基本的には第1実施形態の第1貫通空間5a等と同様である。例えば第3層2cまたは第4層2dが電気絶縁性セラミックからなるとき第1貫通空間5aまたは第2貫通空間5bと同様に金型、パンチングまたはレーザー等で第3層2cまたは第4層2dとなるセラミックグリーンシートに貫通孔を開けることで通路6を形成できる。
【0119】
図13(b)および
図14(a)に示す例のように第1貫通空間5aまたは/および第3貫通孔5cを作製する方法としては、基本的には第1実施形態と同様であり、金型、パンチングまたはレーザー等で貫通孔を形成する際大きさを変更することで作製することができる。
【0120】
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、本発明に係る各実施形態は、その内容に矛盾をきたさない限り、すべてにおいて組合せ可能であり、数値などの種々の変形も可能である。また、例えば、
図1〜
図14に示す例では、第1貫通空間5a〜第3貫通孔5cは平面視において矩形状であるが、円形状、楕円状等であっても構わない。また、複数の第1貫通空間5a〜第3貫通孔5cのそれぞれの大きさが異なっていても同じでも構わない。また、例えば、
図1〜
図14に示す例では、電極パッド3の形状は平面視において四角形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における電極パッド3の配置、数、形状および電子素子の実装方法などは指定されない。