(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図中において、「前後」は、車両前後方向、「左右」は、車幅方向(左右方向)、「上下」は、車両上下方向(鉛直上下方向)をそれぞれ示している。
【0012】
本発明の実施形態に係るフロア構造は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等からなる車両10に適用される。この車両10は、図示しない高圧のバッテリと、電動機(走行用モータ)と、バッテリからの電力を制御して電動機に供給するPDU(Power Drive Unit)等の電気機器等を備えている。
【0013】
先ず、車両10のパネル下の構造について説明した後、パネル上の構造について詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、車両10は、車幅方向外側にそれぞれ配置され、車両前後方向に沿って延びる左右一対のサイドシル12、12と、各サイドシル12の車幅方向内側に跨って配置されるフロアパネル14と、フロアパネル14のパネル下に配置され、室16内にバッテリが収納されたバッテリケース18と、車幅方向に沿って配置されるクロスメンバとを備えて構成されている。バッテリケース18の下方側には、
図4及び
図5に示されるように、該バッテリケース18の下面を覆って保護するアンダカバー19が配置されている。このアンダカバー19は、複数のボルトを介して、各サイドシル12及びバッテリケース18の下面にそれぞれ取り付けられている。
【0015】
クロスメンバは、パネル上に配置されるパネル上クロスメンバと、パネル下に配置されるパネル下クロスメンバとから構成されている。ここでは、パネル下クロスメンバについて詳細に説明し、パネル上クロスメンバは、後記する車両のパネル上の構造において詳細に説明する
【0016】
図1及び
図2に示されるように、車両のフロア下には、車両前方に向かって延びる左右一対のフロントサイドフレーム20、20と、各フロントサイドフレーム20の車両後方端部に連結され、車両前後方向に沿って延びる左右一対のパネル下サイドフレーム22、22と、各パネル下サイドフレーム22の車両後方端部に連結され、車両前後方向に沿って延びる左右一対のパネル下フロアフレーム24、24と、車幅方向に沿った各パネル下サイドフレーム22の間に配置され、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右一対のパネル下トンネルフレーム26、26を有する。各パネル下フロアフレーム24の車両後方端部は、ガセット28を介して後記するパネル下ミドルクロスメンバ34に連結されている。
【0017】
また、車両10のフロア下には、パネル下クロスメンバが配置されている。このパネル下クロスメンバは、
図2に示されるように、車幅方向に沿って延びるパネル下フロントクロスメンバ30と、車幅方向に沿って延びるパネル下センタクロスメンバ32と、車幅方向に沿って延びるパネル下ミドルクロスメンバ34とを有する。パネル下フロントクロスメンバ30及びパネル下センタクロスメンバ32は、それぞれ、軸直断面が略ハット状を呈している。
【0018】
パネル下センタクロスメンバ32は、車幅方向に沿って略一定断面で延在するように構成されている。また、パネル下センタクロスメンバ32は、左右両側の車幅方向外側端部32aが各サイドシル12の後記する内側下壁13cに接合されることで、左右一対のサイドシル12、12間を車幅方向に沿って繋いでいる(
図2、
図6参照)。また、パネル下センタクロスメンバ32は、車幅方向の外側において、下方に向かって立ち下がるように傾斜する傾斜部36が設けられている(後記する
図5、
図6参照)。
【0019】
この傾斜部36よりも外側において、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向外側端部32aは、パネル下センタクロスメンバ32の端部中心線C1が傾斜部36を経てサイドシル12の断面中心C2より下方となる位置でサイドシル12に結合されている(
図6参照)。
【0020】
図2に示されるように、パネル下フロントクロスメンバ30は、パネル下センタクロスメンバ32よりも車両前方に位置し、各サイドシル12に連結される左右一対のアウトリガー38、38と、左右一対のパネル下トンネルフレーム26、26の車両後方端部を車幅方向に沿って連結する連結フレーム40とを有する。パネル下ミドルクロスメンバ34は、パネル下センタクロスメンバ32よりも車両後方に位置し、左右一対のサイドシル12、12を車幅方向に沿って繋いでいる。なお、各アウトリガー38と、連結フレーム40とは、それぞれ別体で構成され、車幅方向に沿って離間して配置されている。
【0021】
図6に示されるように、パネル下センタクロスメンバ32の下面には、側面視して車両上方向に向かって窪む窪み形状部42が設けられている。この窪み形状部42は、車両底面側から見て、パネル下センタクロスメンバ32の下面において車両前後方向に沿って延びている。
【0022】
さらに、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向中央部の近傍部位から車幅方向外側の傾斜部36の車幅方向外側端部36aの手前までスティフナ(補強部材)43によって被覆され(
図5参照)、パネル下センタクロスメンバ32の一部の補強している。このスティフナ43は、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向中央部を間にした左右両側にそれぞれ設けられている。
【0023】
これにより、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向中央部から車幅方向外側の傾斜部36までの剛性・強度は、傾斜部36の車幅方向外側端部36aの剛性・強度よりも高くなっている。さらにまた、パネル下センタクロスメンバ32には、バッテリケース18の室内に収容された、少なくともバッテリを含むフロア下搭載部品が固定されている。
【0024】
なお、本実施形態では、スティフナ43を用いて、パネル下センタクロスメンバ32の一部を補強しているが、これに限定されるものではない。例えば、スティフナ43で被覆されたパネル下センタクロスメンバ32の一部を、高強度鋼板で構成するようにしてもよい。
【0025】
図4及び
図5に示されるように、バッテリケース18は、上側ケース46と、下側ケース48とを備え、内部に密封された室16を有する。バッテリケース18の室16内には、電動機の駆動エネルギ源である複数のバッテリ等が収納されている。このバッテリケース18の車両前後方向に沿った中央部及び車幅方向に沿った外側両端部は、複数のボルトBを介して、パネル下センタクロスメンバ32及び左右一対のパネル下フロアフレーム24、24に対してそれぞれ締結固定されている(
図1参照)。
【0026】
すなわち、バッテリケース18の車両前後方向に沿った中央部には、バッテリケース18の上下方向に沿って貫通する貫通孔からなる一対のボルト挿通孔が形成されている。また、パネル下センタクロスメンバ32の車両前後方向に沿った中央部には、車幅方向に沿って一対の取付孔が設けられている。各ボルト挿通孔に対してボルトBを挿通し、このボルトBのねじ部を取付孔に対してそれぞれ締結することで、バッテリケース18の中央部がパネル下センタクロスメンバ32に締結固定される。
【0027】
また、バッテリケース18の車幅方向に沿った左右両端部には、車両前後方向に沿って離間する一対のボルト挿通孔が形成され、この各ボルト挿通孔に挿通される複数のボルトBを、各パネル下フロアフレーム24に形成された取付孔に対して締結することで、バッテリケース18の左右両端部が各パネル下フロアフレーム24に締結固定される。
【0028】
次に、パネル上の構造について詳細に説明する。
図3に示されるように、車両10のパネル上には、左右一対のパネル上サイドフレーム50、50と、左右一対のパネル上フロアフレーム52、52と、左右一対のパネル上トンネルフレーム54、54とがそれぞれ配置されている。左右一対のパネル上サイドフレーム50、50は、各フロントサイドフレーム20の車両後方端部に連結され、車両前後方向に沿って延びている。左右一対のパネル上フロアフレーム52は、車両前後方向に沿って延びる各パネル上サイドフレーム50の車両後方端部に連結され、車両前後方向に沿って延びている。左右一対のパネル上トンネルフレーム54は、車幅方向に沿った各パネル上サイドフレーム50の間に配置され、車両前後方向に沿って略平行に延びている。なお、各パネル上フロアフレーム52の車両後方端部は、車両後方に位置するパネル上ミドルクロスメンバ56の手前で止まっている。
【0029】
また、車両10のフロア上には、車幅方向に沿って延びるパネル上フロントクロスメンバ58と、車幅方向に沿って延びるパネル上センタクロスメンバ60と、車幅方向に沿って延びるパネル上ミドルクロスメンバ56とを有する。各パネル上フロントクロスメンバ58及び各パネル上センタクロスメンバ60は、それぞれフロアパネル14の中央部で分離し、車幅方向に沿って左右両側で離間している。パネル上センタクロスメンバ60と、パネル下センタクロスメンバ32とは、それぞれ車両上下方向において重畳する位置に配置されている。
【0030】
パネル上センタクロスメンバ60の上面は、車幅方向に沿った略平坦面61で構成されている(
図7(b)、
図7(d)参照)。この略平坦面61は、後記するシートマウントブラケット62の下方に位置し、車両前後方向に沿って延びる第1ビード形状部64を有している。
【0031】
すなわち、この第1ビード形状部64は、後記するシートマウントブラケット62の上壁62aの下方に位置し、パネル上センタクロスメンバ60の上面(略平坦面61)から車両下方に向かって窪む複数の直線状の溝部66によって構成されている(
図7(b)、
図7(d)参照)。この複数の溝部66は、車両前後方向(パネル上センタクロスメンバ60の軸直方向)に沿って略平行に延在している。
【0032】
図5に示されるように、パネル下センタクロスメンバ32は、トンネル部68の下面に沿って上方に向かって突出する凸部70を有している。パネル上センタクロスメンバ60は、内側に位置するシートマウントブラケット62を介してトンネル部68に接合されている。パネル上センタクロスメンバ60は、フロアパネル14の上面に沿って車幅方向に沿って延びる略一定断面を有している。パネル上センタクロスメンバ60は、接合フランジを介してサイドシル12(サイドシルインナ)の内側側壁13bに接合されている(
図6参照)。
【0033】
車幅方向に沿った左右両側で離間配置されたパネル上フロントクロスメンバ58、及び、パネル上センタクロスメンバ60には、左右のフロントシートの脚部を固定する複数のシートマウントブラケット62が固定されている(
図3参照)。左フロントシート及び右フロントシートからなる各シートの一対の前脚部及び一対の後脚部は、シートマウントブラケット62を介して、パネル上フロントクロスメンバ58及びパネル上センタクロスメンバ60にそれぞれ固定されている。
【0034】
すなわち、左フロントシートは、左サイドシル12側に配置された左前脚部と、左側のパネル上トンネルフレーム54側に配置された右前脚部とが、シートマウントブラケット62を介して、左側のパネル上フロントクロスメンバ58にそれぞれ固定されている。さらに、左フロントシートは、右サイドシル12側に配置された右前脚部と、右側のパネル上トンネルフレーム54側に配置された左前脚部とが、シートマウントブラケット62を介して、右側のパネル上フロントクロスメンバ58にそれぞれ固定されている。
【0035】
また、左フロントシートは、左サイドシル12側に配置された左後脚部と、左側のパネル上トンネルフレーム54側に配置された左後脚部とが、シートマウントブラケット62を介して、右側のパネル上センタクロスメンバ60にそれぞれ固定されている。さらに、右サイドシル12側に配置された右後脚部と、左側のパネル上トンネルフレーム54側に配置された左後脚部が、シートマウントブラケット62を介して、右側のパネル上センタクロスメンバ60にそれぞれ固定されている。
【0036】
左フロントシートと同様にして、右フロントシートは、複数のシートマウントブラケット62を介して、前脚部及び後脚部が右側のパネル上フロントクロスメンバ58及び右側のパネル上センタクロスメンバ60にそれぞれ固定されている。
【0037】
図7に示されるように、シートマウントブラケット62は、断面ボックス状を呈し、各シートを固定する上壁62aと、内側壁62bと、前壁62cと、後壁62dとによって構成され、これらによって閉断面が形成されている。
【0038】
上壁62aは、略水平方向に沿った平坦面からなる平坦部63aと、この平坦部63aの車幅方向外側端部からサイドシル12(サイドシルインナ)の内側上壁13aに向かって立ち下がる傾斜面からなる傾斜部63bとを有する(
図7(d)参照)。内側壁62bは、サイドシル12(サイドシルインナ)の内側側壁13bと対向する車幅方向内側に配置され、その中央には、車両上下方向に沿って直線状に延びる第2ビード形状部72が設けられている(
図7b)参照)。この第2ビード形状部72は、車幅方向外側のサイドシル12(サイドシルインナ)側に向かって窪む直線状の凹部で構成されている。
【0039】
また、内側壁62bの下端には、第2ビード形状部72の下端に連続すると共に、車幅方向内側に向かって突出する締結フランジ74が設けられている(
図7(a)、
図7(c)参照)。この締結フランジ74には、上下方向に沿って貫通する取付孔が設けられている。締結フランジ74は、後記する内側固定部として機能するものであり、取付孔に挿通されたボルトBを介して、締結フランジ74がパネル上センタクロスメンバ60の上面に対して締結固定される。
【0040】
前壁62cは、シートマウントブラケット62の車両前方に位置し、後壁62dは、シートマウントブラケット62の車両後方に位置している(
図7(a)参照)。前壁62c及び後壁62dの車幅方向外側端部には、サイドシル12(サイドシルインナ12b)の内側側壁13bに接合される接合フランジ76がそれぞれ設けられている(
図7(a)参照)。なお、本実施形態では、外側固定部80として機能する接合フランジ76を、上壁62a、前壁62c、及び、後壁62dにそれぞれ設けているが、これに限定されるものではなく、少なくとも、上壁62aに設けるとよい。
【0041】
シートマウントブラケット62は、車幅方向内側に配置された内側固定部78と、車幅方向外側に配置された外側固定部80とを有し、この内側固定部78及び外側固定部80を介して車体側部材に対して固定されている。
【0042】
内側固定部78は、第2ビード形状部72の下端に設けられた締結フランジ74を有し、締結フランジ74をボルトBによってパネル上センタクロスメンバ60の上面に締結固定している。外側固定部80は、上壁62aの車幅方向外方端部から外側に向かって突出した一対の接合フランジ76、76を有し、この一対の接合フランジ76、76は、サイドシル12(サイドシルインナ12b)の内側上壁13aに接合されている。
【0043】
各サイドシル12は、車幅方向に沿った左右両側にそれぞれ配置され、車両前後方向に沿って延びている。
図6に示されるように、各サイドシル12は、車幅方向外側に配置されたサイドシルアウタ12aと、車幅方向内側に配置されたサイドシルインナ12bと、サイドシルアウタ12aとサイドシルインナ12bとの間に介装されたサイドシルスティフナ12cとを有する。サイドシルアウタ12aには、車両上下方向に沿って延びるセンタピラ82の下端部82aが固定されている。
【0044】
サイドシルインナ12bは、断面ハット状を呈し、上側に位置する内側上壁13aと、内側上壁13aの下端に連続しシートマウントブラケット62と対向する内側側壁13bと、内側上壁13aと対向配置され、内側側壁13bの下端に連続する内側下壁13cとを有する。
【0045】
サイドシルアウタ12aは、断面ハット状を呈し、上側に位置する外側上壁15aと、外側上壁15aの下端に連続する外側側壁15bと、外側上壁15aと対向配置され、外側側壁15bの下端に連続する外側下壁15cとを有する。外側上壁15aの上面には、センタピラ82の下端部82aが接合されている。
【0046】
本実施形態に係るフロア構造が適用された車両10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0047】
本実施形態では、左右一対のサイドシル12、12間を車幅方向に沿って繋ぐクロスメンバを備え、このクロスメンバは、フロアパネル14上に配置されるパネル上センタクロスメンバ60と、フロアパネル14下に配置されるパネル下センタクロスメンバ32とを有している。パネル下センタクロスメンバ32は、車幅方向外側の下方に向けて立ち下がるように傾斜する傾斜部36を有している。パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向外側端部32aは、該パネル下センタクロスメンバ32の端部中心線C1が傾斜部36を経てサイドシル12の断面中心C2より下方となる位置でサイドシル12に接合されている(
図6参照)。シートマウントブラケット62において、内側固定部78は、締結フランジ74を介して、傾斜部36の車幅方向外側に位置するパネル上センタクロスメンバ60の上面に締結固定されている。外側固定部80は、接合フランジ76を介して、サイドシル12の内側上壁13aに接合されている。
【0048】
本実施形態では、パネル下センタクロスメンバ32の下方側において、傾斜部36よりも車幅方向内側の部位に、例えば、駆動用のバッテリ等の側面衝突荷重に弱い大型の車載部品が収納されたバッテリケース18を配置することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、サイドシル12側から側突荷重Fが入力された際、パネル下センタクロスメンバ32の端部中心線C1がサイドシル12の断面中心C2よりも下方位置で接合されているため(
図6参照)、車両前方から見て、サイドシル12の左側からに対して反時計回り方向の回転力(
図8(a)の矢印A1参照)が発生する。このサイドシル12に発生した反時計回り方向の回転力は、サイドシルインナ12bを介して、断面ボックス状のシートマウントブラケット62に伝達される。これにより、断面ボックス状のシートマウントブラケット62は、反時計回り方向に回転する(
図8(b)の矢印A2参照)。この結果、本実施形態では、パネル下センタクロスメンバ32を、傾斜部36の車幅方向外側端部36aを起点として折り曲げ変形させることで、サイドシル12側に入力された側突荷重Fを好適に吸収することができる。よって、本実施形態では、側突荷重Fが入力された場合であっても、パネル下センタクロスメンバ32を含むクロスメンバの車幅方向に沿った剛性・強度をバランスさせることが可能な車両のフロア構造を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態において、パネル下センタクロスメンバ32の下面は、側面視して車両上方向に向かって窪む窪み形状部42を有している(
図6参照)。パネル下センタクロスメンバ32の下面に窪み形状部42を設けることで、サイドシル12の反時計回り方向の回転力、及び、断面ボックス状のシートマウントブラケット62の反時計回り方向の回転力をそれぞれより一層増大させることができる。この結果、本実施形態では、フロアパネル14の剛性・強度を高めるべく、パネル下センタクロスメンバ32のサイドシル結合端部の剛性・強度を増大させた場合であっても、側突荷重Fの入力時に傾斜部36の車幅方向外側端部36aを容易に折り曲げ変形させることで側突荷重Fを容易に吸収することができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向中央部の近傍部位から車幅方向外側の傾斜部36の車幅方向外側端部36aの手前までスティフナ(補強部材)43によって被覆され、パネル下センタクロスメンバ32の一部の補強している。これにより、本実施形態において、パネル下センタクロスメンバ32の車幅方向中央部側から車幅方向外側の傾斜部36までの剛性・強度は、傾斜部36の車幅方向外側端部36aの剛性・強度よりも高くなっている。この結果、本実施形態では、傾斜部36の車幅方向外側端部36aの剛性・強度がスティフナ43で被覆された部位よりも剛性・強度が低くなっているため、シートマウントブラケット62の回転力によってパネル下センタクロスメンバ32を容易に折り曲げ変形させることができる。なお、本実施形態では、補強部材からなるスティフナ43を用いて剛性差・強度差を設けているが、例えば、高強度鋼板等を用いて剛性差・強度差を発生させるようにしてもよい。
【0052】
さらにまた、本実施形態では、パネル上センタクロスメンバ60の上面を車幅方向に沿った平坦面で61構成し、この平坦面61に、シートマウントブラケット62の下方に位置し車両前後方向に沿って延びる第1ビード形状部64を設けている(
図6参照)。本実施形態では、側突荷重Fの入力時に第1ビード形状部64が車幅方向に沿って潰れることで、シートマウントブラケット62の反時計回り方向の回転力を阻害しないと共に、側突荷重Fの吸収に寄与することができる。
【0053】
さらにまた、本実施形態では、シートマウントブラケット62が、各シートを固定する上壁62aと、内側壁62bと、前壁62cと、後壁62dとによって構成されている(
図7参照)。この内側壁62bは、車両上下方向に延びる第2ビード形状部72を有し、内側固定部78は、この第2ビード形状部72の下端に設けられている。本実施形態では、シートマウントブラケット62を、上壁62a、内側壁62b、前壁62c、及び、後壁62dで構成することで、断面ボックス形状として剛性・強度を高めることができる。さらに、本実施形態では、第2ビード形状部72を設けることで、シートマウントブラケット62の上下方向の剛性を高め、側突荷重Fの入力時において傾斜部36の車幅方向外側端部36aを、より一層容易に折り曲げ変形させることができる。
【0054】
さらにまた、本実施形態において、シートマウントブラケット62の外側固定部80は、上壁62aの車幅方向端部から外側に向かって突出した接合フランジ76で構成されている。これにより、本実施形態では、上壁62a、内側壁62b、前壁62c、及び、後壁62dで構成されるボックス状断面と、サイドシル12の内側側壁13b及びパネル上センタクロスメンバ60の上面とによって閉断面を形成してシート支持強度を向上させることができる。なお、本実施形態では、前壁62c及び後壁62dにもサイドシル12側に延設する接合フランジ76、76をそれぞれ設け、この接合フランジ76、76をサイドシル12の内側側壁13bにそれぞれ接合することで、シート支持強度をより一層向上させることができる。
【0055】
さらにまた、本実施形態において、パネル上センタクロスメンバ60と、パネル下センタクロスメンバ32とは、それぞれ車両上下方向において重畳して配置されている。これにより、本実施形態では、パネル上センタクロスメンバ60の断面厚さ寸法分だけパネル下センタクロスメンバ32の断面厚さ寸法を小さくすることができる。この結果、本実施形態では、バッテリケース18の下方側に配置されるアンダカバー19と地面との間の最低地上高を確保しながら、バッテリケース18内に収容されるバッテリ等のフロア搭載部品を大型化することができる。
【0056】
さらにまた、本実施形態において、パネル下センタクロスメンバ32には、少なくともバッテリを含むフロア下搭載部品が、バッテリケース18を介して固定されている。これにより、本実施形態では、車両走行時において、バッテリケース18内に収容された、バッテリ等のフロア下搭載部品に対する振動を抑制することができる。
【0057】
さらにまた、本実施形態において、パネル下センタクロスメンバ32は、トンネル部68の下面に沿って上方に向かって突出する凸部70を有し、パネル上センタクロスメンバ60は、内側のシートマウントブラケット62を介してトンネル部68に接合されている(
図5参照)。本実施形態では、フロアパネル14にトンネル部68を設けた場合であっても、サイドシル12から入力される側突荷重Fをフロアパネル14の上下に配置されたパネル下センタクロスメンバ32及びパネル上センタクロスメンバ60の両方で吸収することで、パネル下に配置されたバッテリを確実に保護することができる。
【0058】
さらにまた、本実施形態において、パネル下センタクロスメンバ32は、フロアパネル14の下面に沿って車幅方向に沿って延びる略一定断面を有し、パネル下センタクロスメンバ32は、傾斜部36を介してサイドシル12(サイドシルインナ12b)の内側下壁13cに固定されている。これにより、本実施形態では、パネル下センタクロスメンバ32に傾斜部36を設けた場合であっても、側突荷重Fをパネル下センタクロスメンバ32で吸収することで、パネル下に配置されたバッテリをより一層確実に保護することができる。