特許第6974517号(P6974517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974517
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】分離膜構造体
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/02 20060101AFI20211118BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20211118BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20211118BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20211118BHJP
   C04B 41/89 20060101ALI20211118BHJP
   C04B 41/85 20060101ALI20211118BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
   B01D71/02 500
   B01D53/22
   B01D69/02
   C01B39/48
   C04B41/89 Z
   C04B41/85 C
   C04B38/00 303Z
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-18604(P2020-18604)
(22)【出願日】2020年2月6日
(62)【分割の表示】特願2016-561525(P2016-561525)の分割
【原出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2020-73273(P2020-73273A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2020年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-237813(P2014-237813)
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】宮原 誠
(72)【発明者】
【氏名】野田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】市川 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 健史
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06037292(US,A)
【文献】 Derek E. Beving, Cory R. O’Neill, Yushan Yan,Hydrophilic and antimicrobial low-silica-zeolite LTA and high-silica-zeolite MFI hybrid coatings on,Microporous and Mesoporous Materials,Elsevier,2008年,Vol. 108,p. 77-85
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C01B 39/38
C01B 39/46
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックスによって構成される多孔質支持体と、
前記多孔質支持体上に形成される第1分離膜と、
前記第1分離膜上に形成される第2分離膜と、
を備え、
前記第1分離膜のSi/Al原子比は、200以上であり、
前記第2分離膜は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Pd及びPtから選ばれる少なくとも1種類以上の陽イオンを含有し、
前記第1分離膜及び前記第2分離膜は、BEA、DDR、CHA及びMELから選択される同じ骨格構造のゼオライトによって構成され、
前記第2分離膜のSi/Al原子比は、前記第1分離膜のSi/Al原子比よりも小さい、
分離膜構造体。
【請求項2】
前記第2分離膜のSi/Al原子比は、60以下である、
請求項に記載の分離膜構造体。
【請求項3】
前記第1分離膜の厚みは、0.1μm以上10μm以下である、
請求項1又は2に記載の分離膜構造体。
【請求項4】
前記第2分離膜の厚みは、0.1μm以上3.0μm以下である、
請求項1乃至のいずれかに記載の分離膜構造体。
【請求項5】
前記第1分離膜及び前記第2分離膜は、BEA、DDR及びCHAから選択される同じ骨格構造のゼオライトによって構成される、
請求項1乃至のいずれかに記載の分離膜構造体。
【請求項6】
前記第1分離膜及び前記第2分離膜は、BEA及びDDRから選択される同じ骨格構造のゼオライトによって構成される、
請求項1乃至のいずれかに記載の分離膜構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質支持体と多孔質支持体上に形成されたゼオライト膜とを備えるセラミックフィルタは、高分子膜と比較して機械的強度や耐久性に優れているため、分離対象である混合物流体(液体混合物や気体混合物)から所望成分を分離又は濃縮するのに好適である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/054794号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透過性能を向上させるためには、ゼオライト膜を薄膜化する必要があるが、多孔質支持体上にゼオライト膜を形成する場合、薄膜化によってゼオライト膜に欠陥が生じやすくなり分離性能が低下する。そのため、1種類のゼオライト膜のみを備えている上記セラミックフィルタでは、ゼオライト膜の透過性能と分離性能を個別に制御できず、透過性能と分離性能を両立させることは困難である。
【0005】
また、分離膜に所定の陽イオンを含有させて透過成分の吸着性を向上させることによって分離性能を向上できるが、分離膜が厚すぎると吸着が強くなりすぎるため、透過性能が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、透過性能と分離性能を両立可能な分離膜構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る分離膜構造体は、セラミックスによって構成される多孔質支持体と、多孔質支持体上に形成される第1分離膜と、第1分離膜上に形成される第2分離膜とを備える。第2分離膜は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Pd及びPtから選ばれる少なくとも1種類以上の陽イオンを含有する。第1分離膜及び第2分離膜は、BEA、DDR、CHA及びMELから選択される同じ骨格構造のゼオライトによって構成される。第2分離膜のSi/Al原子比は、第1分離膜のSi/Al原子比よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透過性能と分離性能を両立可能な分離膜構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】分離膜構造体の断面図
図2】サンプルNo.1に係るハイシリカMFI型ゼオライト膜表面のSEM像
図3】サンプルNo.1に係るローシリカMFI型ゼオライト膜表面のSEM像
図4】サンプルNo.1に係る分離膜断面をSTEMで観察した際のHAADF像
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
(分離膜構造体10の構成)
図1は、分離膜構造体10の断面図である。分離膜構造体10は、多孔質支持体20と第1分離膜30と第2分離膜40とを備える。
【0012】
多孔質支持体20は、第1分離膜30及び第2分離膜40を支持する。多孔質支持体20は、表面に第1分離膜30及び第2分離膜40を膜状に形成(結晶化または析出)させられるような化学的安定性を有する。
【0013】
多孔質支持体20を構成する材料としては、例えば、セラミックス焼結体、金属、有機高分子、ガラス、及びカーボンなどを用いることができる。セラミックス焼結体としては、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、チタニア、イットリア、窒化ケイ素、炭化ケイ素などが挙げられる。金属としては、アルミニウム、鉄、ブロンズ、銀、ステンレスなどが挙げられる。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリイミドなどが挙げられる。
【0014】
多孔質支持体20は、分離対象である混合物流体(液体混合物又は気体混合物)を第1分離膜30及び第2分離膜40に供給できるような形状であればよい。多孔質支持体20の形状としては、例えば、ハニカム状、モノリス状、平板状、管状、円筒状、円柱状、及び角柱状などが挙げられるが、特に制限されない。
【0015】
多孔質支持体20は、複数の開気孔を有する多孔質状に形成される。多孔質支持体20の平均気孔径は、分離対象のうち第1分離膜30及び第2分離膜40を透過する透過成分が通過できるような大きさであればよい。開気孔径を大きくすると、透過成分の透過量が増加する傾向があり、開気孔径を小さくすると、多孔質支持体自体の強度が増大するとともに、多孔質支持体の表面が平坦になるため緻密な第1分離膜30を形成しやすくなる。
【0016】
多孔質支持体は、一様な開気孔径を有する単層構造であってもよいし、異なる開気孔径を有する複層構造であってもよい。多孔質支持体20を複数構造とする場合、各層は上述の材料のうち異なる材料によって構成されていてもよいし、同一の材料によって構成されていてもよい。
【0017】
第1分離膜30は、多孔質支持体20の表面20S上に形成される。多孔質支持体20がハニカム状やモノリス状に形成されている場合、第1分離膜30は、多孔質支持体20が有する複数の貫通孔それぞれの内側に形成される。
【0018】
第1分離膜30は、Si/Al原子比が200以上のゼオライト(ハイシリカゼオライト)を主成分として含有する。このようなハイシリカゼオライトは、実質的にアルミニウムをほとんど若しくは全く含んでいない。ハイシリカゼオライトは、耐食性が高く、膜欠陥が少ないという特性を有する。そのため、第1分離膜30は、化学的な安定性と均一な平均細孔径とを備えており、第2分離膜40の下地層として機能する。第1分離膜30におけるハイシリカゼオライトのSi/Al原子比は、後述するように水熱合成時の原料溶液の配合を制御することによって調整できる。第1分離膜30におけるハイシリカゼオライトのSi/Al原子比は、SEM−EDX(走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)によって測定することができる。
【0019】
本実施形態において、組成物Xが物質Yを「主成分として含む」とは、組成物X全体のうち、物質Yが60重量%以上を占め、好ましくは70重量%以上を占め、より好ましくは90重量%以上を占めることを意味する。
【0020】
第1分離膜30が含有するハイシリカゼオライトの骨格構造(型)は特に制限されるものではなく、例えば、MFI、LTA、CHA、DDR、MOR、DOH、FAU、OFF/ERI、LTL、FER、BEA、BEC、CON、MSE、MEL、MTW、MEI、MWW、RHO、BOG、SZR、EMT、SOD、AEI、AEL、AEN、AET、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFI、AFX、ANA、CAN、GIS、GME、HEU、JBW、KFI、LAU、LEV、MAZ、MER、MFS、MTT、PHI、SFG、TUN、TON、UFI、VET、VFI、VNI、及びVSVなどが挙げられる。特に、欠陥の少ないハイシリカ構造の膜を作製しやすいMFI、DDR、MEL、BEA、CHAなどが好ましい。
【0021】
第1分離膜30は、上述のハイシリカゼオライトのほか、シリカやアルミナなどの無機バインダやポリマーなどの有機バインダ、あるいはシリル化剤などを含有していてもよい。
【0022】
第1分離膜30は、膜状に形成される。第1分離膜30の厚みは特に制限されるものではないが、例えば0.1μm〜10μmとすることができる。第1分離膜30を薄くすると透過量が増大する傾向があり、第1分離膜30を厚くすると選択性や膜強度が向上する傾向がある。ただし、第1分離膜30を厚くしすぎると膜にクラックが発生して選択性が低下する場合がある。
【0023】
第1分離膜30は、細孔を有する。第1分離膜30の平均細孔径は特に制限されるものではなく、分離対象に応じて調整することができる。
【0024】
ゼオライト膜の場合、細孔径は骨格構造と組成に由来した値となる。ゼオライト膜の場合、平均細孔径は、骨格構造中に存在する酸素8員環以上の細孔構造の内で、最も大きい細孔の長径と短径の相加平均とする。平均細孔径は、例えば0.2nm〜2.0nmとすることができる。
【0025】
また、シリカ膜や炭素膜の場合、原料粒径や加熱温度などによって平均細孔径を調整できる。平均細孔径は、ナノパームポロメータによって測定することができる。平均細孔径は、たとえば0.2nm〜5.0nmとすることができる。
【0026】
第2分離膜40は、第1分離膜30の表面30S上に形成される。第2分離膜40は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Au、Ag、Cu、Ni、Co、Pd及びPtから選ばれる少なくとも1種類以上の陽イオンを含有する。陽イオンの種類は、第2分離膜40に付与したい機能に応じて選択すればよい。
【0027】
例えば、エチレンやプロピレンを透過させる場合には、第2分離膜40(ローシリカMFI型ゼオライトやローシリカBEA型ゼオライトなど)にAgの陽イオンを含有させることによって透過成分の吸着性を向上させることができる。また、二酸化炭素を透過させる場合には、第2分離膜40(ローシリカDDR型ゼオライトなど)にLiやCsの陽イオンを含有させることが好ましい。また、酸素を透過させる場合には、第2分離膜40(ローシリカMFI型ゼオライトなど)にCo錯体の陽イオンを含有させることが好ましい。また、水素を透過させる場合には、第2分離膜40(ローシリカDDR型ゼオライトなど)にPdやNiやCuの陽イオンを含有させることが好ましい。これによって、分離膜構造体10の分離性能を向上させることができる。
【0028】
陽イオンは、後述するように成膜後にイオン交換によって第2分離膜40に導入することができる。また、陽イオンは、第2分離膜40の成膜と同時に導入してもよい。
【0029】
第2分離膜40は、上述の陽イオンを含有していればよく、ゼオライト、炭素、シリカ、有機シリカなどの無機材料を主成分とすることができる。第2分離膜40は、第1分離膜30が含有するハイシリカゼオライトよりもSi/Al原子比が小さいゼオライト(ローシリカゼオライト)を主成分としていることが好ましく、Si/Al原子比が60以下のローシリカゼオライトを用いることが特に好ましい。ゼオライトは均一な細孔径を有するため、分離膜構造体10の分離性能を向上させることができる。
【0030】
また、Si/Al原子比を60以下とすることによって、第2分離膜40中の陽イオンの量を十分多くすることができるため、分離膜構造体10の分離性能を向上させることができる。ローシリカゼオライトのSi/Al原子比の下限値は特に制限されないが、成膜性の観点から、5以上であることが好ましい。第2分離膜40におけるローシリカゼオライトのSi/Al原子比は、後述するように水熱合成時の原料溶液の配合を制御することによって調整できる。第2分離膜40におけるローシリカゼオライトのSi/Al原子比は、SEM−EDXによって測定することができる。
【0031】
第2分離膜40が含有するローシリカゼオライトのコンポジットビルディングユニットは、第1分離膜30が含有するハイシリカゼオライトのコンポジットビルディングユニットと1つ以上共通していることが好ましい。ゼオライトのコンポジットビルディングユニットは、ゼオライトの骨格構造を構成する一単位の構造である。コンポジットビルディングユニットを1つ以上共通させることによって、第1分離膜30と第2分離膜40の密着性、第2分離膜40の成膜性、および第1分離膜30と第2分離膜4の分離性能を向上させることができる。また、第2分離膜40が含有するローシリカゼオライトの骨格構造と第1分離膜30が含有するハイシリカゼオライトの骨格構造とが同じである場合には、コンポジットビルディングユニットが全て共通となるためより好ましい。ゼオライトのコンポジットビルディングユニットの詳細については、The International Zeolite Association (IZA) “Database of Zeolite Structures” [online]、[平成26年11月24日検索]、インターネット<URL:http://www.iza-structure.org/databases/>に開示されている。
【0032】
第2分離膜40は、膜状に形成される。第2分離膜40を膜状に形成することによって、例えば第1分離膜30の表面30S上にゼオライト粒子を固着する場合に比べて、分離膜構造体10の分離性能をより向上させることができる。
【0033】
第2分離膜40が膜状であることは、膜断面をSTEM(走査透過電子顕微鏡)で観察を行うことによって、第2分離膜40が面方向に沿って帯状に分布していることから確認できる。本実施形態において、第2分離膜40が膜状であるとは、第1分離膜30の表面30Sの80%以上を被覆していることを意味する。第2分離膜40は、第1分離膜30の表面30Sの90%以上を被覆していることが特に好ましい。第2分離膜40による被覆率を高くすることによって、分離膜構造体10の分離性能をより向上させることができる。
【0034】
第2分離膜40の厚みは特に制限されるものではないが、例えば0.1μm〜3.0μmとすることができる。第2分離膜40を薄くすると透過量が増大する傾向があり、第2分離膜40を厚くすると選択性や膜強度が向上する傾向がある。第2分離膜40の厚みが0.1μm未満になると、選択性が低下する場合があり、3.0μm以上になると、第2分離膜にクラックが発生し選択性が低下する場合がある。
【0035】
第2分離膜40は、細孔を有する。第2分離膜40の平均細孔径は特に制限されるものではなく、分離対象に応じて調整することができる。
【0036】
ゼオライト膜の場合、細孔径は骨格構造と組成に由来した値となる。ゼオライト膜の場合、平均細孔径は、骨格構造中に存在する酸素8員環以上の細孔構造の内で、最も大きい細孔の長径と短径の相加平均とする。平均細孔径は、例えば0.2nm〜2.0nmとすることができる。
【0037】
また、シリカ膜や炭素膜の場合、原料粒径や加熱温度などによって平均細孔径を調整できる。平均細孔径は、ナノパームポロメータによって測定することができる。平均細孔径は、たとえば0.2nm〜5.0nmとすることができる。
【0038】
(分離膜構造体の製造方法)
分離膜構造体10の製造方法について説明する。
【0039】
まず、押出成形法、プレス成形法あるいは鋳込み成形法などを用いて、多孔質支持体20の原料を所望の形状に成形する。
【0040】
次に、多孔質支持体20の成形体を焼成(例えば、900℃〜1450℃)し、両端部をガラスでシールして、多孔質支持体20を形成する。
【0041】
次に、多孔質支持体20の表面20S上にハイシリカゼオライトを主成分とする第1分離膜30を形成する。第1分離膜30の形成手法は、ゼオライト膜の骨格構造に応じて、水熱合成法などの周知の手法を用いることができる。第1分離膜30の形成時には、ゼオライト種結晶を使用してもよいし、使用しなくてもよい。第1分離膜30が含有するハイシリカゼオライトのSi/Al原子比は、水熱合成に用いる原料溶液(Si元素源、Al元素源、有機テンプレート、水を含む)の配合によって200以上に調整することができる。ハイシリカゼオライト中の有機テンプレートについては、第1分離膜30の形成後に燃焼除去してもよいし、第2分離膜40の形成後に燃焼除去してもよい。ハイシリカゼオライトの有機テンプレート除去で欠陥が発生しても第2分離膜40で被覆できるため、第1分離膜30の形成後にハイシリカゼオライトの有機テンプレートを燃焼除除去することがより好ましい。
【0042】
次に、第1分離膜30の表面30S上に第2分離膜40を膜状に形成する。第2分離膜40の形成手法は、第2分離膜40の膜種に適した周知の手法を用いることができる。例えば、第2分離膜40として、ローシリカゼオライトを膜状に形成する場合には、ゼオライト膜の骨格構造に応じて、水熱合成法などの周知の手法を用いることができる。この場合、ゼオライト種結晶を使用してもよいし、使用しなくてもよい。ローシリカゼオライト中に有機テンプレートが含まれる場合には、有機テンプレートを燃焼除去した後に、所望の陽イオンを含む溶液をローシリカゼオライトに接触させてイオン交換することができる。これによって、所望の陽イオンが導入されたローシリカゼオライトを得ることができる。イオン交換の時間や回数、陽イオンを含む溶液の濃度や温度は、適宜設定することができる。なお、ローシリカゼオライトはイオン交換サイトを有するため、陽イオンは第2分離膜に選択的に導入される。第2分離膜40が含有するローシリカゼオライトのSi/Al原子比は、水熱合成に用いる反応混合物の組成比によって60以下に調整することができる。
【0043】
なお、ローシリカゼオライト中に有機テンプレートが含まれる場合には、有機テンプレートの燃焼除去前におけるローシリカゼオライトの窒素ガス透過速度が0.75nmol/(m・s・Pa)以下であることが好ましい。また、ローシリカゼオライトの形成に有機テンプレートを使用しない場合(ローシリカゼオライト中に有機テンプレートが含まれない場合)には、ローシリカゼオライトを飽和水蒸気中に充分暴露した後のローシリカゼオライトの窒素ガス透過速度が0.75nmol/(m・s・Pa)以下であることが好ましい。窒素ガス透過速度が0.75nmol/(m・s・Pa)以下であることは、ローシリカゼオライトが膜状に形成されていることを意味する。
【実施例】
【0044】
以下において本発明に係る分離膜構造体の実施例について説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0045】
(サンプルNo.1の作製)
以下のようにして、サンプルNo.1に係る分離膜構造体を作製した。
【0046】
まず、平均粒径30μmのアルミナ粒子100質量部に対して無機結合材20質量部を添加し、さらに、水、分散剤及び増粘剤を加えて混練することによって多孔質材料を調製した。
【0047】
次に、調製した多孔質材料を押出成形することによって、モノリス型のアルミナ基材の成形体を形成した。続いて、アルミナ基材の成形体を焼成(1250℃、1時間)してアルミナ基材を形成した。次に、アルミナにPVA(有機バインダ)を添加してスラリーを調製し、スラリーを用いた濾過法によって、アルミナ基材のセル内表面に表面層の成形体を形成した。続いて、表面層の成形体を焼成(1250℃、1時間)した後、アルミナ基材の両端部をガラスでシールしてモノリス型のアルミナ支持体を作製した。
【0048】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、MFI型ゼオライト種結晶(Si/Al比≧200)をエタノールで希釈し、濃度0.1質量%になるように調製した種付け用スラリー液をアルミナ支持体のセル内に流し込んだ。次に、セル内を所定条件(室温、風速5m/s、10分)で通風乾燥させた。次に、40質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド溶液(SACHEM製)0.86gとテトラプロピルアンモニウムブロミド(和光純薬工業製)0.45gとを混合した後、蒸留水192.0gと約30質量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)6.75gとを加えてマグネチックスターラーで撹拌(室温、30分)することによって膜形成用ゾルを調製した。得られた膜形成用ゾルをステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)に入れた後、MFI型ゼオライト種結晶を付着させたアルミナ支持体を浸漬して、160℃の熱風乾燥機中で20時間反応させることによってハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で500℃まで昇温して4時間保持することによって、ハイシリカMFI型ゼオライト膜からテトラプロピルアンモニウムを除去した。サンプルNo.1のハイシリカMFI型ゼオライト膜表面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を図2に示す。
【0049】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、40質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド溶液(SACHEM製)6.28gとテトラプロピルアンモニウムブロミド(和光純薬工業製)4.97gと水酸化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)26.3gと硫酸アルミニウム(和光純薬製)0.54gを混合した後、蒸留水147.1gと約30質量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)14.8gとを加えてマグネチックスターラーで撹拌(室温、30分)することによって膜形成用ゾルを調製した。得られた膜形成用ゾルをステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)に入れた後、ハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成したアルミナ支持体を浸漬して、160℃の熱風乾燥機中で10時間反応させることによってローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥した。次に、アルミナ支持体を電気炉で500℃まで昇温して4時間保持することによって、ローシリカMFI型ゼオライト膜からテトラプロピルアンモニウムを除去した。サンプルNo.1のローシリカMFI型ゼオライト膜表面のSEM像を図3に示す。
【0050】
次に、硝酸銀(関東化学製)を水に添加して0.1mol/Lになるように調製したイオン交換用液をローシリカMFI型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持することによって、ローシリカMFI型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。その後、ローシリカMFI型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。
【0051】
(サンプルNo.2〜8の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0052】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同様のハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.3では、反応時間を調整して、サンプルNo.1よりも膜厚を厚くした。
【0053】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.1と同様のローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。ただし、サンプルNo.3〜8では、膜形成用ゾルの組成比を調整して、Si/Al原子比を変更した。また、サンプルNo.2〜8では、膜形成用ゾルの濃度や反応時間を調整して、サンプルNo.1よりも膜厚を厚く、もしくは薄くした。
【0054】
次に、サンプルNo.1と同様に、ローシリカMFI型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0055】
(サンプルNo.9の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0056】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0057】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.3と同じローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0058】
次に、塩化リチウム(関東化学製)を水に添加して0.1mol/Lになるように調製したLiイオン交換用液をハイシリカMFI型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持することによって、ハイシリカMFI型ゼオライト膜に陽イオンとしてLiを導入した。その後、ハイシリカMFI型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。
(サンプルNo.10の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0059】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同様のハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.10では、膜形成用ゾルの濃度や反応時間を調整して、サンプルNo.1よりも膜厚を薄くした。
【0060】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてローシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、35質量%テトラエチルアンモニウム水酸化物(シグマアルドリッチ製)24.3gとアルミン酸ナトリウム1.6gと蒸留水143.1gと約30質量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)31.0gとを加えてマグネチックスターラーで撹拌(室温、90分)することによって膜形成用ゾルを調製した。得られた膜形成用ゾルをステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)に入れた後、ハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成したアルミナ支持体を浸漬して、140℃の熱風乾燥機中で10時間反応させることによってローシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で500℃まで昇温して4時間保持することによってローシリカBEA型ゼオライト膜からテトラエチルアンモニウムを除去した。
【0061】
次に、サンプルNo.1と同様に、ローシリカBEA型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0062】
(サンプルNo.11の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0063】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0064】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.10と同様のローシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.11では、膜形成用ゾルの組成比を調整して、サンプルNo.10よりもSi/Al原子比を大きくした。また、サンプルNo.11では、膜形成用ゾルの濃度や反応時間を調整して、サンプルNo.10よりも膜厚を厚くした。
【0065】
次に、サンプルNo.10と同様に、ローシリカBEA型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0066】
(サンプルNo.12の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0067】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてハイシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。具体的には、35質量%のテトラエチルアンモニウム溶液85.1gと蒸留水33.9g及び約30質量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)81.0gとを加えてマグネチックスターラーで攪拌(室温、90分)することによって膜形成用ゾルを調製した。得られた膜形成用ゾルをステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)に入れた後、アルミナ支持体を浸漬して、140℃の熱風乾燥機中で24時間反応させることによってハイシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で500℃まで昇温して4時間保持することによって、ハイシリカBEA型ゼオライト膜からテトラエチルアンモニウムを除去した。
【0068】
次に、ハイシリカBEA型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.10と同じローシリカBEA型ゼオライト膜を形成した。
【0069】
次に、サンプルNo.10と同様に、ローシリカBEA型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
(サンプルNo.13の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0070】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0071】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてローシリカMFI含有シリカ膜を形成した。具体的には、MFI型ゼオライト粉末(Si/Al比=20)を、テトラエトキシシランをエタノール中で加水分解して作製したシリカゾル液に分散させ、固形分1%のコーティング液とした。コーティング液をハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に塗布乾燥した後、400℃で1時間大気焼成した。第2分離膜の膜厚が1μmとなるまでコーティング液の塗布と焼成を繰り返した。
【0072】
次に、サンプルNo.1と同様に、ゼオライト含有シリカ膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0073】
(サンプルNo.14の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0074】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.13と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0075】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.13と同様のローシリカMFI含有シリカ膜を形成した。サンプルNo.14では、サンプルNo.13よりもSi/Al原子比が大きいMFI型ゼオライト粉末(Si/Al比=60)を使用した。また、サンプルNo.14では、コーティング液の塗布と焼成の回数を調整して、サンプルNo.13よりも膜厚を薄くした。
【0076】
次に、サンプルNo.13と同様に、ローシリカMFI含有シリカ膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0077】
(サンプルNo.15の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0078】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0079】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜として有機シリカ膜を形成した。具体的には、カルボキシエチルシラントリオールナトリウム塩25%水溶液24.0gと蒸留水72.9gと60%硝酸3.0gとを加えてマグネチックスターラーで攪拌(60℃、6時間)することによってコーティング液とした。コーティング液をハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に塗布乾燥した後、150℃で2時間大気焼成した。
【0080】
次に、サンプルNo.1と同様に、有機シリカ膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0081】
(サンプルNo.16の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0082】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、DDR型ゼオライト種結晶(Si/Al比≧200)をエタノールで希釈し、濃度0.1質量%になるように調製した種付け用スラリー液をアルミナ支持体のセル内に流し込んだ。次に、セル内を所定条件(室温、風速5m/s、10分)で通風乾燥させた。次に、フッ素樹脂製の広口瓶にエチレンジアミン(和光純薬工業製)7.35gを入れた後、1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)1.16gを加えて1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。続いて、別の容器に30重量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)98.0gと蒸留水116.5gを入れて軽く攪拌した後、これを広口瓶に加えて強く振り混ぜて膜形成用ゾルを調製した。次に、ステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)内にDDR型ゼオライト種結晶を付着させたアルミナ支持体を配置した後、膜形成用ゾルを入れて加熱処理(水熱合成:130℃、10時間)することによってハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で450℃まで昇温して50時間保持することによって、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の1−アダマンタンアミンを燃焼除去した。
【0083】
次に、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、フッ素樹脂製の広口瓶に蒸留水152.4gを入れた後、1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)1.32gと水酸化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)0.35gと30重量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)52.6gとアルミン酸ナトリウム(和光純薬製)0.36gを加えて攪拌することによって膜形成用ゾルを調製した。次に、ステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)内にハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成したアルミナ支持体を配置した後、調合した原料溶液を入れて加熱処理(水熱合成:160℃、10時間)することによってローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で450℃まで昇温して50時間保持することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜の1−アダマンタンアミンを燃焼除去した。
【0084】
次に、サンプルNo.9と同様に、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてLiを導入した。
(サンプルNo.17の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0085】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.16と同じハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0086】
次に、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.16と同じローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0087】
次に、塩化セシウム(和光純薬工業製)を水に添加して0.1mol/Lになるように調製したイオン交換用液をローシリカDDR型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてCsを導入した。その後、ローシリカDDR型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。
(サンプルNo.18の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0088】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.16と同じハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0089】
次に、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.16と同じローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0090】
次に、塩化カルシウム(和光純薬工業製)を水に添加して0.1mol/Lになるように調製したイオン交換用液をローシリカDDR型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてCaを導入した。その後、ローシリカDDR型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。
(サンプルNo.19の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0091】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.16と同じハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0092】
次に、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.16と同じローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0093】
次に、塩化パラジウム(東京化成工業製)を塩酸(和光純薬工業製)を加えた水に添加して0.1mol/Lになるように調製したイオン交換用液をローシリカDDR型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてPdを導入した。その後、ローシリカDDR型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。
(サンプルNo.20の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0094】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.16と同様のハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.20では、膜形成用ゾルの濃度や反応時間を調整して、サンプルNo.16よりも膜厚を厚くした。
【0095】
次に、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.16と同様のローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.20では、膜形成用ゾルの組成比を調整して、サンプルNo.16よりもSi/Al原子比を大きくした。
【0096】
次に、サンプルNo.1と同様に、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0097】
(サンプルNo.21の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0098】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.10と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0099】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.16と同様のローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。サンプルNo.21では、膜形成用ゾルの濃度や反応時間を調整して、サンプルNo.16よりも膜厚を厚くした。
次に、サンプルNo.16と同様に、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてLiを導入した。
【0100】
(サンプルNo.22の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0101】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.21と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0102】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.20と同じローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0103】
次に、サンプルNo.20と同様に、ローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0104】
(サンプルNo.23の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0105】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、ローシリカMFIゼオライト種結晶(Si/Al比=20)をエタノールで希釈し、濃度0.1質量%になるように調製した種付け用スラリー液をアルミナ支持体のセル内に流し込んだ。次に、セル内を所定条件(室温、風速5m/s、10分)で通風乾燥させた。次に、40質量%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド溶液(SACHEM製)6.28gとテトラプロピルアンモニウムブロミド(和光純薬工業製)4.97gと水酸化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)26.3gと硫酸アルミニウム(和光純薬製)0.54gを混合した後、蒸留水147.1gと約30質量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)14.8gとを加えてマグネチックスターラーで撹拌(室温、30分)することによって膜形成用ゾルを調製した。得られた膜形成用ゾルをステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)に入れた後、ゼオライト種結晶を付着させたアルミナ支持体を浸漬して、160℃の熱風乾燥機中で32時間反応させることによって、ローシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で500℃まで昇温して4時間保持することによって、ローシリカMFI型ゼオライト膜からテトラプロピルアンモニウムを除去した。
【0106】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.1と同様にローシリカMFI型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0107】
(サンプルNo.24の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0108】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、ローシリカDDR型ゼオライト種結晶(Si/Al比=40)をエタノールで希釈し、濃度0.1質量%になるように調製した種付け用スラリー液をアルミナ支持体のセル内に流し込んだ。次に、セル内を所定条件(室温、風速5m/s、10分)で通風乾燥させた。次に、フッ素樹脂製の広口瓶に蒸留水152.4gを入れた後、1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)1.32gと水酸化ナトリウム(シグマアルドリッチ製)0.35gと30重量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)52.6gとアルミン酸ナトリウム(和光純薬製)0.36gを加えた。次に、広口瓶をホモジナイザーにセットして1時間攪拌した。次に、ステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)内にDDR型ゼオライト種結晶を付着させたアルミナ支持体を配置した後、調合した原料溶液を入れて加熱処理(水熱合成:160℃、48時間)することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で450℃まで昇温して50時間保持することによって、ローシリカDDR型ゼオライト膜の1−アダマンタンアミンを燃焼除去した。
【0109】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.16と同様にローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてLiを導入した。
【0110】
(サンプルNo.25の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0111】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.24と同じローシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0112】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.20と同様にローシリカDDR型ゼオライト膜に陽イオンとしてAgを導入した。
【0113】
(サンプルNo.26の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0114】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.10と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0115】
次に、特開2005−289735号公報に記載の手法に従って、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面にローシリカLTA型ゼオライトを固着させた。具体的には、まず、蒸留水80gに水酸化ナトリウム(和光純薬製)0.72gを完全に溶解してA液を得た。次に、A液の半分量にアルミン酸ナトリウム(ナカライタスク製)8.26gを加え完全に溶解してB液を得た。次に、A液の残りの半分量にケイ酸ナトリウム(和光純薬製)を加え完全に溶解してC液を得た。B液にC液を加えて白濁した溶液を原料溶液として得た。次に、原料溶液をディップコートして、水蒸気オーブン(デンソク(株)製、BL−400)に移して水蒸気処理(90℃、20分)することによって、ローシリカLTA型ゼオライトを形成した。ただし、ローシリカLTA型ゼオライトは、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面を80%以上被覆しておらず膜状には形成されていなかった。
【0116】
次に、サンプルNo.1と同様にして、ローシリカLTA型ゼオライトに陽イオンとしてAgを導入した。
【0117】
(サンプルNo.27の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0118】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0119】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面にサンプルNo.26と同じローシリカLTA型ゼオライトを固着させた。
【0120】
次に、サンプルNo.26と同様にして、ローシリカLTA型ゼオライトに陽イオンとしてAgを導入した。
【0121】
(サンプルNo.28の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0122】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.10と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0123】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.1と同様に調製したAgイオン交換用液をハイシリカMFI型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持した。その後、ハイシリカMFI型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。ただし、ハイシリカMFI型ゼオライトはイオン交換サイトを有していないため、Agは第1分離膜に導入されなかった。
【0124】
(サンプルNo.29の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0125】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0126】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.1と同様に調製したAgイオン交換用液をハイシリカMFI型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持した。その後、ハイシリカMFI型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。ただし、ハイシリカMFI型ゼオライトはイオン交換サイトを有していないため、Agは第1分離膜に導入されなかった。
【0127】
(サンプルNo.30の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0128】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.10と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0129】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。具体的には、まず、DDR型ゼオライト種結晶(Si/Al比≧200)をエタノールで希釈し、濃度0.1質量%になるように調製した種付け用スラリー液をアルミナ支持体のセル内に流し込んだ。次に、セル内を所定条件(室温、風速5m/s、10分)で通風乾燥させた。次に、フッ素樹脂製の広口瓶にエチレンジアミン(和光純薬工業製)7.35gを入れた後、1−アダマンタンアミン(アルドリッチ製)1.16gを加えて1−アダマンタンアミンの沈殿が残らないように溶解した。続いて、別の容器に30重量%シリカゾル(商品名:スノーテックスS、日産化学製)98.0gと蒸留水116.5gを入れて軽く攪拌した後、これを広口瓶に加えて強く振り混ぜて原料溶液を調製した。次に、ステンレス製耐圧容器のフッ素樹脂製内筒(内容積300ml)内にハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成したアルミナ支持体を配置した後、調合した原料溶液を入れて加熱処理(水熱合成:160℃、20時間)することによってハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。次に、アルミナ支持体を洗浄して80℃で12時間以上乾燥させた。次に、アルミナ支持体を電気炉で450℃まで昇温して50時間保持することによって、ハイシリカDDR型ゼオライト膜の1−アダマンタンアミンを燃焼除去した。
次に、サンプルNo.1と同様に調製したAgイオン交換用液をハイシリカDDR型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持した。その後、ハイシリカDDR型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。ただし、ハイシリカDDR型ゼオライトはイオン交換サイトを有していないため、Agは第2分離膜に導入されなかった。
【0130】
(サンプルNo.31の作製)
まず、サンプルNo.1と同じアルミナ支持体を作製した。
【0131】
次に、アルミナ支持体のセル内表面に第1分離膜としてサンプルNo.1と同じハイシリカMFI型ゼオライト膜を形成した。
【0132】
次に、ハイシリカMFI型ゼオライト膜の表面に第2分離膜としてサンプルNo.30と同じハイシリカDDR型ゼオライト膜を形成した。
【0133】
次に、第2分離膜を成膜せずに、サンプルNo.1と同様に調製したAgイオン交換用液をハイシリカDDR型ゼオライト膜に接触させた状態で24時間保持した。その後、ハイシリカDDR型ゼオライト膜を水ですすいで乾燥(70℃、12時間)させた。ただし、ハイシリカDDR型ゼオライトはイオン交換サイトを有していないため、Agは第2分離膜に導入されなかった。
【0134】
(第2分離膜の確認)
サンプルNo.1〜22,30,31の第1分離膜と第2分離膜の断面を機械研磨した後に、Arイオンミリング(GATAN製 Dual Mill 600型)による研磨を実施し、STEM(JEOL製 JEM2100F 加速電圧:200kV STEMビーム径:約0.7nmφ)にて観察を行った。その結果、これらのサンプルでは、膜状に形成された第2分離膜が確認できた。サンプルNo.1の分離膜の断面をSTEMで観察した際のHAADF(高角散乱環状暗視野)像を図4に示す。
【0135】
一方で、サンプルNo.26,27を顕微鏡で観察したところ、LTA型ゼオライトは膜状ではなく粉が散りばめられたように形成されていることが確認された。
【0136】
(分離性能と透過量)
サンプルNo.1〜15,20,22,23,25〜29,31について、エチレン/エタンの分離係数αとエチレンの透過性能を以下のように測定した。まず、エチレン(C)とエタン(C)の25℃の混合ガス(各ガスの体積比=50:50)を0.4MPaでセル内に導入し、第1分離膜と第2分離膜を透過したガスの流量をマスフローメーターにて測定した。また、ガスクロマトグラフを用いて回収したガスの成分分析を行い、エチレン/エタンの透過速度比から分離係数αを算出した。なお、透過速度とは、単位圧力差・単位膜面積・単位時間あたりに第1分離膜と第2分離膜を透過したガスの流量であり、[mol/(m・s・Pa)]という単位で表される。
【0137】
また、サンプルNo.16〜18,21,24,26,28,30について、二酸化炭素/メタンの分離係数αと二酸化炭素の透過性能を以下のように測定した。まず、二酸化炭素とメタンの25℃の混合ガス(各ガスの体積比=50:50)を0.3MPaでセル内に導入し、第1分離膜と第2分離膜を透過したガスの流量をマスフローメーターにて測定した。また、ガスクロマトグラフを用いて回収したガスの成分分析を行い、二酸化炭素/メタンの透過速度比から分離係数αを算出した。
【0138】
また、サンプルNo.19,30について、水素/酸素の分離係数αと水素の透過性能を以下のように測定した。まず水素と酸素の25℃の混合ガス(各ガスの体積比=50:50)を0.3MPaでセル内に導入し、第1分離膜と第2分離膜を透過したガスの流量をマスフローメーターにて測定した。また、ガスクロマトグラフを用いて回収したガスの成分分析を行い、水素/酸素の透過速度比から分離係数αを算出した。
【0139】
【表1】
【0140】
表1に示すように、ハイシリカゼオライトを含有する第1分離膜上に陽イオンを含有する第2分離膜を形成したサンプルNo.1〜22では、十分な分離性能と透過量が得られた。これは、第1分離膜と第2分離膜が共に分離膜として機能し、かつ、第2分離膜の陽イオンによって透過成分を吸着できたためである。
【0141】
また、サンプルNo.13とサンプルNo.15を比べると分かるように、第2分離膜がローシリカゼオライトを含有するサンプルNo.13の方が分離性能を向上できた。これは、ゼオライトの均一な細孔径が分離性能向上に有効なためと考えられる。
【0142】
また、サンプルNo.1とサンプルNo.13を比べると分かるように、第2分離膜がローシリカゼオライトを含有する場合には、第2分離膜がローシリカゼオライトによって構成されるサンプルNo.1の方が分離性能を向上できた。これは、第2分離膜全体がゼオライトからなるために、より効果的にゼオライトの均一な細孔径で分離できるためと考えられる。
【0143】
また、サンプルNo.1,5,8を比べると分かるように、第1分離膜と第2分離膜が共にゼオライト膜である場合には、前記第2分離膜のSi/Al原子比が60以下であるNo.1,5の方が分離性能を向上できた。これは、第2分離膜中の陽イオンの量を十分多くすることができたためと考えられる。
【0144】
また、サンプルNo.16とサンプルNo.21を比べると分かるように、第1分離膜と第2分離膜が共にゼオライト膜である場合には、共通したコンポジットビルディングユニットが存在するサンプルNo.16の方が分離性能を向上できた。
【0145】
また、サンプルNo.5とサンプルNo.11を比べると分かるように、第1分離膜と第2分離膜が骨格構造の同じゼオライトによって構成されるサンプルNo.5の方が分離性能を向上できた。
【0146】
また、例示しないが、別途、第1分離膜の膜厚を変化させたサンプルを作製して、第1分離膜を薄膜化することによって透過性能を向上させられることを実験的に確認した。同様に、第2分離膜を薄膜化することによって透過性能を向上させられることも実験的に確認した。
【符号の説明】
【0147】
10 分離膜構造体
20 多孔質支持体
30 第1分離膜
40 第2分離膜
図1
図2
図3
図4