特許第6974520号(P6974520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デピュイ・シンセス・プロダクツ・エルエルシーの特許一覧

特許6974520改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント
<>
  • 特許6974520-改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント 図000002
  • 特許6974520-改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント 図000003
  • 特許6974520-改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント 図000004
  • 特許6974520-改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974520
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】改善された放射線不透過性を有するマルチストランドインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20211118BHJP
【FI】
   A61F2/07
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-24204(P2020-24204)
(22)【出願日】2020年2月17日
(62)【分割の表示】特願2015-166574(P2015-166574)の分割
【原出願日】2015年8月26日
(65)【公開番号】特開2020-73179(P2020-73179A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】14/469,862
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラミン・テヘラーニー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
【審査官】 小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0208373(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0257674(US,A1)
【文献】 特開平11−057020(JP,A)
【文献】 特表2013−541358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントであって、放射線不透過性でない第1の材料から構成される複数のシングルストランドを含むように構成され、かつ前記複数のシングルストランドの間に組み込まれた放射線不透過性材料の少なくとも1つのマルチストランドを有する、本体を有する構造体を備え、前記マルチストランドが、実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有し、
前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々は、前記複数のシングルストランドの各々と同じ直径を有し、
前記放射線不透過性材料は、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、又はこれらの合金であり、
前記少なくとも2つの並列フィラメントは、前記医療用インプラントの外面に沿って並んでおり、
前記複数のシングルストランド、及び、前記マルチストランドは、第1の方向に配向され、前記第1の方向に対して横断する第2の方向に配向された複数の第2のシングルストランドを含み、
前記複数のシングルストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドのみによって画定される第1の開口部、及び、前記複数のシングルストランドの内の1つのシングルストランド、前記マルチストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドによって画定される第2の開口部を含み、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部よりも大きい、医療用インプラント。
【請求項2】
前記マルチストランドの前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
医療用インプラントであって、第1の間隔パターンを定める本体壁部を有する構造体を備え、前記本体壁部が、放射線不透過性材料の複数のマルチストランド、及び、前記複数のマルチストランドの間に位置し、放射線不透過性でない第1の材料から構成されるシングルストランドを含み、各マルチストランドが、実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有し、前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々は、前記シングルストランドと同じ直径を有し、
前記放射線不透過性材料は、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、又はこれらの合金であり、
前記少なくとも2つの並列フィラメントは、前記医療用インプラントの外面に沿って並んでおり、
複数のシングルストランドが備えられ、
前記複数のシングルストランド、及び、前記マルチストランドは、第1の方向に配向され、前記第1の方向に対して横断する第2の方向に配向された複数の第2のシングルストランドを含み、
前記複数のシングルストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドのみによって画定される第1の開口部、及び、前記複数のシングルストランドの内の1つのシングルストランド、前記マルチストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドによって画定される第2の開口部を含み、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部よりも大きい、医療用インプラント。
【請求項4】
前記マルチストランドの前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、請求項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである、請求項に記載のインプラント。
【請求項6】
医療用インプラントの製造方法であって、
複数の支持体を提供することであって、各支持体が放射線不透過性でない第1の材料から構成されるシングルストランドを有する、ことと、
放射線不透過性材料のマルチストランドを有する少なくとも1つの支持体を提供することであって、前記マルチストランドが実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する、ことと、
前記シングルストランド及び前記マルチストランドの両方を使用して前記医療用インプラント用に本体を形成することと、を含み、
前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々は、前記シングルストランドと同じ直径を有し、
前記放射線不透過性材料は、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、又はこれらの合金であり、
前記少なくとも2つの並列フィラメントは、前記医療用インプラントの外面に沿って並んでおり、
前記本体において、複数のシングルストランド、及び、前記マルチストランドは、第1の方向に配向され、
前記本体は、前記第1の方向に対して横断する第2の方向に配向された複数の第2のシングルストランドを含み、
前記本体は、前記複数のシングルストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドのみによって画定される第1の開口部、及び、前記複数のシングルストランドの内の1つのシングルストランド、前記マルチストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドによって画定される第2の開口部を含み、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部よりも大きい、方法。
【請求項7】
前記マルチストランドを有する前記支持体が、前記シングルストランド用の前記支持体と実質的に同一である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記マルチストランドの前記少なくとも2つの並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記本体を形成することが、第1の間隔パターンを定めることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記マルチストランドを有する前記支持体が、1ダースの前記シングルストランド用の前記支持体毎に使用される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
複数の支持体を有するインプラント形成機械を使用する方法であって、各支持体が放射線不透過性でない第1の材料から構成されるシングルストランドを支持するように設計され、
前記シングルストランドを支持するようにそれぞれが設計された前記複数の支持体のうちの少なくとも1つを選択して、前記選択された支持体に放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載することであって、前記マルチストランドが、実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の2つの並列フィラメントからなる、ことと、
前記シングルストランド及び前記マルチストランドの両方を使用してインプラント用に本体を形成することと、を含み、
前記2つの並列フィラメントの各々は、前記シングルストランドと同じ直径を有し、
前記放射線不透過性材料は、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、又はこれらの合金であり、
前記2つの並列フィラメントは、前記インプラントの外面に沿って並んでおり、
前記本体において、複数のシングルストランド、及び、前記マルチストランドは、第1の方向に配向され、
前記本体は、前記第1の方向に対して横断する第2の方向に配向された複数の第2のシングルストランドを含み、
前記本体は、前記複数のシングルストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドのみによって画定される第1の開口部、及び、前記複数のシングルストランドの内の1つのシングルストランド、前記マルチストランド、及び、前記複数の第2のシングルストランドによって画定される第2の開口部を含み、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部よりも大きい、方法。
【請求項13】
前記マルチストランドの前記2つの並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記本体を形成することが、第1の間隔パターンを定めることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マルチストランドを搭載する前記支持体が、1ダースの前記シングルストランドを支持する前記支持体毎に使用される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記インプラント形成機械が少なくとも42個の支持体を有し、前記支持体の少なくとも6つが前記放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体血管内インプラントに関し、より詳細には、フローダイバータ、ステント、及び材料のストランドから形成され、かつ放射線不透過特性を有するその他のインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤及びその他の動静脈奇形といった血管障害は、決定組織付近又は形成異常部への迅速な接近が不可能な場所に位置している場合、特に治療が困難である。どちらの困難要因も、頭蓋動脈瘤の場合に特に当てはまる。頭蓋血管を包囲する傷つきやすい脳組織、及び接近が制限されることのために、頭蓋脈管構造障害の手術治療は非常に困難であり、多くの場合危険を伴う。
【0003】
金属製ワイヤ、編組繊維、及び/又は織布繊維の螺旋巻線又はコイルからなる数多くの血管閉鎖装置が形成されてきた。非金属繊維又は放射線濃度の低いその他の材料から形成されるインプラントは、血管系への挿入、選択部位での配置、及び見込まれるそれに続く回復の間のトラッキングが困難である。Engelsonらによる米国特許第5,423,849号に記載されるものなどの、放射線不透過性の繊維がインプラントに追加されている。しかしながら放射線不透過性繊維の直径は、通常は0.01〜0.1ミリメートル(0.0005〜0.005インチ)と非常に小さいことが多く、これら繊維のシングルストランドは、蛍光透視法又は他の目視技術によるイメージング中には目視が困難である。放射線不透過性材料としては、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、及びこれらの合金が挙げられる。
【0004】
所望の放射線不透過性レベルに応じて、いくつかの技術がイメージング中のインプラントの可視性を向上させることが分かっている。放射線不透過性材料の更なるストランドがインプラントに追加され、コイルを形成することなどによって個々のストランドの直径が増大する、及び/又は放射線不透過性材料の容積が増大する。しかしながら、特にニッケルチタンなどの形状記憶合金で作製されたストランドを使用したインプラントの場合、更なる放射線不透過性材料のストランドを加えることでインプラントの機械的性能が変化する場合がある。インプラント用の個々の放射線不透過性ストランドの直径を増大させることは、インプラントの機械的性能に影響を与えるだけでなく、インプラントの壁厚を増大させる場合もある。同様に、放射線不透過性フィラメントをコイル巻きにしてインプラントに追加することで放射線不透過性材料の容積を増大させることは、インプラントの機械的性能とインプラントの壁厚との両方に影響を与える。
【0005】
繊維プロテーゼを補強するための複合糸が、Dongによる米国特許公報第2005/0288775号で開示されている。編組部分を含み得る血液フローダイバータが、Gobranらによる米国特許公報第2007/0060994号に記載されている。フィルターとして機能する放射線不透過性メッシュを有するステントが、Zaverらによる米国特許第8,394,119号で示されている。管腔内装置のための複合糸を有する織布が、Rasmussenらによる米国第2012/0168022号に記載されている。
【0006】
血管閉鎖装置の別の種類が、巻かれて動脈瘤又はろう孔などの血管腔内に配置された後で弛緩するとき、概して球形又は卵形の血管閉鎖構造を形成する可撓性材料からなる1つ又は複数のストランドを有するとして、Hortonによる米国特許第5,645,558号に示されている。同様に、Guglielmiによる米国特許第5,916,235号が着脱可能なコイルを記載した先行特許を引用し、続いて動脈瘤内でケージが拡張した後に1つ又は複数の塞栓コイルを受容及び保持できる血管閉鎖構造体としての拡張可能ケージを開示している。自己拡張可能な動脈瘤充填装置が、Veznedarogluらによる米国特許公報第2010/0069948号に開示されている。
【0007】
通常は、最初に送達カテーテルを用いて、ステント様の血管再建装置を治療される動脈瘤の真下に誘導する。市販の再建製品の1つは、例えばCodman & Shurtleff,Inc.(325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts)によるNavigate Tough Anatomyパンフレット(2009年版権)にて説明される通りの、CODMAN ENTERPRISE(登録商標)Vascular Reconstruction Device及びSystemである。CODMAN ENTERPRISE(登録商標)ステント装置は中央送達ワイヤによって搬送され、最初は鞘型導入器によって折り畳まれた状態で送達ワイヤ上に保持される。通常は、これもCodman & Shurtleffから市販され、また例えばGoreらによる米国特許第5,662,622号にて開示されるPROWLER(登録商標)SELECT(登録商標)Plusマイクロカテーテルなどの送達カテーテルは、最初に、その遠位先端を動脈瘤頸部からわずかに超えて血管内に配置される。導入器のテーパ状遠位先端が送達カテーテルの近位ハブと結合すると、送達ワイヤが送達カテーテル内を貫いて前進する。
【0008】
CODMAN ENTERPRISE(登録商標)ステント装置は、装置の各フレア端部においてマーカーとして機能する多数の放射線不透過性ワイヤ製コイルを備え、上記で引用したJonesらの公開特許出願で示されるステントと類似した、高可撓性の自己拡張型クローズドセル設計を有する。ステントが小型であることと、ステントのクローズドセル内では特に困難な、放射線不透過性ワイヤをステント上のストラットの周囲に複数回巻きつける必要と、のために、かかるマーカーの製造は比較的時間がかかり、かつ高価である。
【0009】
そのため、費用効率が高い方法で、インプラントの性能に対する影響を最小限に抑えながら、インプラントの放射線不透過性を改善することが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、インプラントの製造プロセス上の変更を最小限に抑えながら、複数のストランドを有するインプラントの放射線不透過性を改善することである。
【0011】
本発明の別の目的は、インプラントの性能に悪影響を及ぼすことなく放射線不透過性を向上させることである。
【0012】
本発明の更なる目的は、インプラントの機械的特性に対する影響を最小限に抑え、かつ同様の壁厚を維持しながら、放射線不透過性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、2つ以上の放射線不透過性材料のストランドは、インプラント製造中にシングルストランドと同じ方法で取り扱い得るマルチストランドとして、単一の支持体上に並列配置できるとの発見によってもたらされた。
【0014】
本発明の特徴は、本体を有する構造を含み、本体が少なくとも第1の材料から構成される複数のシングルストランドを含むように構成された、医療用インプラントである。本体はシングルストランドの間に組み込まれた放射線不透過性材料のからなるマルチストランドを更に含み、マルチストランドは、実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、マルチストランドの並列フィラメントの各々は、放射線不透過性材料のモノフィラメントである。各並列フィラメントの直径は、シングルストランドの直径と実質的に同じであることが好ましい。
【0016】
本発明の更なる特徴は、実質的な管状形状における開放編組パターン(open braid pattern)又は開放製織パターン(open weave pattern)などの、第1の間隔パターン及び第1の壁厚を定める複数の第1の材料から構成されるシングルストランドで形成された本体壁部を有するインプラントである。本体壁部は、シングルストランドが散在された放射線不透過性材料の複数のマルチストランドを更に含み、各マルチストランドは、実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有し、また各マルチストランドは第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく、かつ第1の壁厚を実質的に変更することなく、第1の間隔パターンに加わる。
【0017】
本発明の更なる特徴は、複数の支持体を提供することであって、各支持体が第1の材料から構成されるシングルストランドを有する、ことと、放射線不透過性材料のマルチストランドを有する少なくとも1つの支持体を提供することであって、マルチストランドが実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する、ことと、を含む、医療用インプラントの製造方法である。方法は、シングルストランド及びマルチストランドの両方を使用して、実質的に一定の壁厚を有することが好ましい、インプラント用本体を形成することを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、マルチストランドを有する支持体はシングルストランド用の支持体と実質的に同一である。マルチストランドの並列フィラメントの各々は、放射線不透過性材料のモノフィラメントである。各並列フィラメントの直径は、シングルストランドの直径と実質的に同じであることが好ましい。多くの実施形態では、本体を形成することは第1の間隔パターンを定めることを含み、各マルチストランドは第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく第1の間隔パターンに加わる。特定の実施形態では、第1の間隔パターンは開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである。いくつかの実施形態では、少なくとも42個の支持体を有する機械など、少なくとも1つのマルチストランド支持体が1ダースのシングルストランド支持体毎に使用され、また、支持体のうちの少なくとも6つは、放射線不透過性材料のマルチストランドが搭載されている。
【0019】
本発明の更なる特徴は、複数の支持体を有するインプラント形成機械を改造する方法であり、各支持体は、第1の材料及び放射線不透過性材料のうちの少なくとも1つから構成されるシングルストランドを支持するように設計される。方法は、複数の支持体のうちの少なくとも1つを選択することと、選択された支持体に放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載することと、を含む。マルチストランドは、実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する。方法は、シングルストランド及び1つ又は複数の放射線不透過性材料のマルチストランドの両方を使用して、インプラント用本体を形成することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態についてより詳細に説明する。
図1】本発明による、シングルストランド及び1つ又は複数の放射線不透過性マルチストランドから形成されるインプラント本体の一部分の拡大概略図である。
図2】本発明による、交互するシングル及びマルチストランドを有する管状編組インプラントの概略側面図である。
図3】本発明による、シングル及びマルチストランドのより複雑なパターンを有する管状編組インプラントの概略側面図である。
図4】本発明による、インプラント製造中に放射線不透過性マルチストランドを提供する従来型の支持体を含む、インプラント形成機械の一部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、少なくとも部分的に第1の材料からなる複数のシングルストランドで構成された本体を有する構造を含む、医療用インプラント及びその製造方法によって達成可能である。本体はシングルストランドの間に組み込まれた放射線不透過性材料の少なくとも1つのマルチストランドを有する、本体を有する構造体を更に備え、マルチストランドは相互に並列する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する。即ち、フィラメントは実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する。好適なインプラントとしては、フローダイバータ、ステント、フィルター、外科用メッシュ、及び材料のストランドから形成され、向上された放射線不透過特性から利益を得るその他のインプラント又はその一部が挙げられる。
【0022】
用語「ストランド」は、最も広範囲な意味において、ワイヤ、繊維、フィラメント、又はその他の単一の細長い部材を含むことを意図している。用語「放射線不透過性」は、放射線不透過性であることの通常の意味、即ち、電磁放射線の通過を阻害する1つ又は複数の材料から形成されてイメージング中の可視性を向上させること、に対して用いられる。本発明による使用に好適な放射線不透過性材料としては、プラチナ、クロム、コバルト、タンタル、タングステン、金、銀、及びこれらの合金が挙げられる。
【0023】
図1は、少なくとも第1の材料及び1つ又は複数の放射線不透過性マルチストランド14からなるシングルストランド12から形成される、本発明によるインプラント本体10の一部分の拡大概略図である。本構造では、本体10は、少なくとも第2のマルチストランド16を含むように織られる。破線で示される別の構造では、本体10は、各々が、それぞれモノフィラメント26及び28と合わせて敷かれたモノフィラメント22及び24から形成されるマルチストランド18及び20を更に含む。
【0024】
一部の構造では織られ、またその他の構造では編組される本体10のパターンは、例えば、第1の方向に配向されたシングルストランド12並びに第1の方向に対して横断する第2の方向に配向されたシングルストランド24及び25によって画定される開口部30を含む。本体10は、マルチストランド14と同じ方向に配向されたシングルストランド13及び15、並びに横断方向に配向されたシングルストランド24、25及び27によってマルチストランド14の両側に画定された開口部32及び34を更に含む。一部の構造では、開口部32及び34はシングルストランドによってのみ画定される開口部30よりもわずかに大きく、その他の構造では、開口部30、32及び34のすべてが実質的に同じである。これらの構造のすべてが、あたかも本体10が材料のシングルストランドのみによって形成されたかのように、実質的に同じパターンを有するものと見なされる。
【0025】
マルチストランドは、あたかも放射線不透過性材料のシングルストランドが使用されたかのように編組される、織られる、又はその他の方法で同様に互いに並列して敷かれるため、特にマルチストランドの各フィラメントがシングルストランドと同じ直径を有するとき、可撓性、拡張性、及びけん縮性などのインプラント性能に対する機械的影響はほとんど又は全く存在しない。
【0026】
図2、管状編組インプラント40は、本発明の一構造による交互するシングルストランド42及びマルチストランド44から形成される本体41を有するステント又はフローダイバータといった実質的に円筒形、中空、及び多孔性構造である。本体41は中央ルーメン46を画定する。シングルストランド50、52、54及び56は、第1の方向に配向されてマルチストランド60、62、64、66及び68と交互するため可視である。シングルストランド70、72、74及び76は、第2の方向に配向されてマルチストランド80、82及び84と交互するため可視である。一部の構造では、編組及び織分野の当業者には容易に明らかとなるように、2つ以上の個別に番号が付与されたシングルストランドは、実際に異なる単一の連続したシングルストランド部分である。同様に、2つ以上の個別に番号が付与されたマルチストランドは、実際に異なる単一の連続したマルチストランド部分である。
【0027】
図3は、本発明の別の構造による、3つのマルチストランド94と交互する3つのシングルストランド92のより複雑なパターンを有する、別の管状編組インプラント90の概略側面図である。蛍光透視法又は他のイメージング技術を使用して、患者において観察したとき、インプラント40及び90はそれぞれ異なるイメージを生成し、これは外科医又は他の使用者がこれと他のインプラント及び解剖学的特徴とを区別することを助ける。一部の構造では、インプラント40及び/又は90は直径2.0mm〜約5.0mmの範囲で内部ルーメンを画定する。
【0028】
本発明は、複数の支持体を提供することであって、各支持体が第1の材料からなるシングルストランドを有する、ことと、放射線不透過性材料のマルチストランドを有する少なくとも1つの支持体を提供することであって、マルチストランドが実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する、ことと、を含む、医療用インプラントの製造方法によっても達成され得る。方法は、シングルストランド及びマルチストランドの両方を使用して、実質的に一定の壁厚を有することが好ましい、インプラント用本体を形成することを更に含む。
【0029】
図4は本発明による、縮尺通りでない、インプラント110製造中に示された、従来型のシングルストランド支持体102及び104を含むインプラント形成機械100の一部分の概略図である。支持体102はシングルストランド103を搭載し、一方で支持体104は放射線不透過性マルチストランド105を搭載する。関連分野の当業者が理解するように、破線で示された構成要素120及び122は、シングルストランド103及びマルチストランド105をそれぞれ方向付けてインプラント110を形成する従来型の機構を表す。
【0030】
図示を容易にするため、図1〜4で示されるストランドのパターンは1オーバー1編組タイプのパターンである。これも当業者が本開示を検討すれば理解するように、1オーバー2、2オーバー2、及び他の既知のパターンなど、本発明による他の編組、編み、又は織りパターンを使用してもよい。インプラント形成中の各ストランド上に配された張力は従来の技術により調整される。
【0031】
本発明によるもう1つの技術は、支持体102及び104などの複数の支持体を有するインプラント形成機械の改造であり、各支持体は、第1の材料及び放射線不透過性材料のうちの少なくとも1つから構成されるシングルストランドを支持するように設計される。技術は、複数の支持体のうちの少なくとも1つ、例えば支持体104を選択することと、選択された支持体に放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載することと、を含む。マルチストランドは、実質的にマルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する。本体は、シングルストランド及びマルチストランドの両方を使用してインプラント用に形成される。
【0032】
好適な技巧では、マルチストランドの並列フィラメントの各々は、放射線不透過性材料のモノフィラメントである。一構造では、マルチストランドを有する支持体はシングルストランド用の支持体と実質的に同一である。マルチストランドの並列フィラメントの各々は、放射線不透過性材料のモノフィラメントである。各並列フィラメントの直径は、シングルストランドの直径と実質的に同じであることが好ましい。本体を形成することは、開放編組パターン又は開放製織パターンといった第1の間隔パターン及び第1の壁厚を定めることを含み、各マルチストランドは第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく、かつ第1の壁厚を実質的に変更することなく、第1の間隔パターンに加わる。
【0033】
特定の技術では、少なくとも1つのマルチストランド支持体が1ダースのシングルストランド支持体毎に使用される。一部の機械は少なくとも42個の支持体、例えば48個の支持体などを有し、また少なくとも支持体のうちの6つ、例えば8個の支持体が、放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載する。8個の支持体が放射線不透過性材料のシングルストランドを搭載するとき、これは、48個の支持体の編組をなおもたらすが、編組は2倍の数の放射線不透過性ストランドを有する。
【0034】
したがって、本発明の基礎となる新規な特徴を、本発明の好ましい実施形態に適用されるように図示し、説明し、指摘したが、当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、例示された装置の形と詳細並びにその操作の様々な省略、代用及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、本発明の範囲内と同様の結果を得るために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を行う要素及び/又は工程のすべての組み合わせが明確に意図される。また、説明されたひとつの実施形態から別の実施形態に要素を代用することも完全に意図され熟考されている。また、図面は必ずしも縮尺通りではないが、実際には単に概念的なものである。したがって、添付の特許請求の範囲に示されたようにのみ、限定されることを意図する。
【0035】
本明細書に引用されるすべての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又は任意の他の参照文献はそれぞれ、その全文が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 医療用インプラントであって、少なくとも第1の材料から構成される複数のシングルストランドを含むように構成され、かつ前記シングルストランドの間に組み込まれた放射線不透過性材料の少なくとも1つのマルチストランドを有する、本体を有する構造体を備え、前記マルチストランドが、実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する、医療用インプラント。
(2) 前記マルチストランドの前記並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、実施態様1に記載のインプラント。
(3) 医療用インプラントであって、第1の間隔パターン及び第1の壁厚を定める、少なくとも第1の材料から構成される複数のストランドから形成された本体壁部を有する構造体を備え、前記本体壁部が、シングルストランドが散在された放射線不透過性材料の複数のマルチストランドを含み、各マルチストランドが、実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有し、各マルチストランドが前記第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく、かつ前記第1の壁厚を実質的に変更することなく、前記第1の間隔パターンに加わる、医療用インプラント。
(4) 前記マルチストランドの前記並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、実施態様3に記載のインプラント。
(5) 前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターン(open weave pattern)のうちの1つである、実施態様3に記載のインプラント。
【0037】
(6) 医療用インプラントの製造方法であって、
複数の支持体(carriers)を提供することであって、各支持体が少なくとも第1の材料から構成されるシングルストランドを有する、ことと、
放射線不透過性材料のマルチストランドを有する少なくとも1つの支持体を提供することであって、前記マルチストランドが実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の少なくとも2つの並列フィラメントを有する、ことと、
前記シングルストランド及び前記マルチストランドの両方を使用してインプラント用に本体を形成することと、を含む、方法。
(7) 前記マルチストランドを有する前記支持体が、前記シングルストランド用の前記支持体と実質的に同一である、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記マルチストランドの前記並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記本体を形成することが、第1の間隔パターン及び第1の壁厚を定めることを含み、各マルチストランドが、前記第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく、かつ前記第1の壁厚を実質的に変更することなく、前記第1の間隔パターンに加わる、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである、実施態様9に記載の方法。
【0038】
(11) 少なくとも1つのマルチストランド支持体が、1ダースのシングルストランド支持体毎に使用される、実施態様9に記載の方法。
(12) 複数の支持体を有するインプラント形成機械を改造する方法であって、各支持体が第1の材料及び放射線不透過性材料のうちの少なくとも1つから構成されるシングルストランドを支持するように設計される、方法であって、
シングルストランドを支持するようにそれぞれが設計された前記複数の支持体のうちの少なくとも1つを選択して、前記選択された支持体に放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載することであって、前記マルチストランドが、実質的に前記マルチストランドの全長にわたって実質的に相互隣接して位置する放射線不透過性材料の2つの並列フィラメントからなる、ことと、
前記シングルストランド及び前記マルチストランドの両方を使用してインプラント用に本体を形成することと、を含む、方法。
(13) 前記マルチストランドの前記並列フィラメントの各々が、放射線不透過性材料のモノフィラメントである、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記本体を形成することが、第1の間隔パターン及び第1の壁厚を定めることを含み、各マルチストランドが、前記第1の間隔パターンから実質的に逸脱することなく、かつ前記第1の壁厚を実質的に変更することなく、前記第1の間隔パターンに加わる、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記第1の間隔パターンが、開放編組パターン及び開放製織パターンのうちの1つである、実施態様14に記載の方法。
【0039】
(16) 少なくとも1つのマルチストランド支持体が、1ダースのシングルストランド支持体毎に使用される、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記機械が少なくとも42個の支持体を有し、前記支持体の少なくとも6つが前記放射線不透過性材料のマルチストランドを搭載する、実施態様15に記載の方法。
図1
図2
図3
図4