(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る保護カバーおよび電気設備について、図を参照して説明する。ここでは、ケーブルを構成する電線が接続されている接続部を有する設備を電気設備という。例えば、電気設備には、分電盤、配電盤等がある。例えば、接続部には、電線と端子台との接続部、電線と導電板との接続部、電線や導電板と機器の端子との接続部等がある。本実施形態では、3相3線式のケーブルが端子台に接続されている分電盤を例にして説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る分電盤100の斜視図である。分電盤100は、家庭やビルのフロアなどのコンセントや照明、機械などに電気を分配するための電気設備である。
図1に示されるように、分電盤100には、3相3線式のケーブル50が接続されている。ケーブル50は、電線51,52,53で構成されている。分電盤100は、扉100aを有している。
【0013】
図2は、分電盤100の扉100aを開けた状態の正面図である。分電盤100は、保護カバー10を有している。分電盤100には、ブレーカや端子台、保護カバーなどが収容される。
【0014】
図3は、保護カバー10が取り外された分電盤100の正面図である。
図3に示されるように、分電盤100は、3個の端子台31R,31S,31T、一次ブレーカ35、二次ブレーカ38、固定部41を有している。電線51,52,53の−Z側の先端には、圧着端子が接続されている。
【0015】
端子台31R,31S,31Tは、分電盤から絶縁された金属プレート32aと、金属プレート32aに螺合するネジ32bを有している。金属プレート32aは、銅やアルミニューム等の金属からなる。金属プレート32aの両端部には、2個のネジ32bが嵌合されている。電線51,52,53の先端に接続された圧着端子は、端子台31R,31S,31Tの+Z側のネジ32bが挿入されて、ネジ32bと金属プレート32aとの間に固定される。圧着端子がネジ32bで金属プレート32aに固定されることで、電線51,52,53が金属プレート32aに電気的に接続される。
【0016】
一次ブレーカ35は、過負荷や短絡などの要因で二次側の回路に異常な過電流が流れたときに、一次側の電気回路と二次側の電気回路とを遮断する。一次ブレーカ35の一次側は、端子台31R,31S,31Tに導電板33R,33S,33Tを介して接続されている。導電板33R,33S,33Tは、銅やアルミニューム等の金属からなる。導電板33R,33S,33Tは、端子台31R,31S,31Tの−Z側のネジ32bで固定されている。また、導電板33R,33S,33Tは、一次ブレーカ35の端子にボルトで固定されている。
【0017】
二次ブレーカ38は、端子部38bと複数の分岐ブレーカ38cを有する。二次ブレーカ38は、一次ブレーカ35に導電板36R,36S,36Tを介して接続されている。導電板36R,36S,36Tは、銅やアルミニューム等の金属からなる。導電板36R,36S,36Tは、端子部38bにボルトで固定されている。一次ブレーカ35から供給された電力は、複数の分岐ブレーカ38cに分岐される。分岐ブレーカ38cは、過負荷や短絡などの要因で二次側の回路に異常な過電流が流れたときに、一次側の電気回路と二次側の電気回路とを遮断する。
【0018】
固定部41は、保護カバー10が固定される部材である。固定部41は、端子台31R,31S,31T、一次ブレーカ35、二次ブレーカ38の端子部38bのX軸方向の両側(+X側と−X側)に設けられている。固定部41の長手方向の両側(+Z側と−Z側)には、ネジ穴41bが設けられている。
【0019】
図4は、保護カバー10の平面図である。保護カバー10は、可視光線を透過する絶縁性且つ難燃性の素材で形成されている。保護カバー10は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、塩化ビニル、ポリ塩化ビニル、硬質塩化ビニル等で形成されている。保護カバー10には、表面から裏面に貫通する複数の開口11が形成されている。複数の開口11は、マトリクス状に配置されている。また、保護カバー10の四隅には、ネジ穴12が形成されている。なお、
図4は模式的に記載された図であり、保護カバー10の寸法と開口11の寸法を規定するものではない。
【0020】
保護カバー10のX軸方向の長さおよびZ軸方向の長さは、保護対象となる分電盤100の充電部(露出充電部)の大きさによって規定される。露出充電部とは、電線の外装などによって被覆されておらず、作業者が直接触れるおそれがある部分をいう。具体的には、
図3に示される端子台31R,31S,31T、導電板33R,33S,33T、導電板36R,36S,36T、二次ブレーカ38の端子部38bの触る恐れのある部分をいう。保護カバー10の厚さは、分電盤100の露出充電部の大きさや、保護カバー10の素材で決められる。保護カバー10の厚さは、保護カバー10が押された際のY軸方向のたわみが所定の範囲内になるように決められる。例えば、保護カバー10は平板状であり、厚さは3mm以上である。
【0021】
開口11は、楕円形状である。楕円の短径L1は、IP(International Protection)保護等級2Xを満たす長さとする。IP保護等級とは、機器の保護性能を表すための国際標準で定められた保護の度合いである。IP保護等級2Xは、直径12.5mm以上の固形物が入らないことを定めている。IP保護等級2Xは、指程度のものが入らないことを想定している。短径L1は、開口11の最小幅である。ここでは、短径L1を12mm以下とする。
【0022】
楕円の長径L2は、保護カバー10の強度に応じて適宜決める。ここでは、長径L2を65mmとする。
【0023】
隣接する開口11と開口11との距離L3は、5mm程度である。アクリル樹脂、ポリカーボネイト、塩化ビニル等で形成されている保護カバー10は、赤外線に対する透過率が低い。したがって、距離L3が短いほど解析精度を高くすることができる。しかし、距離L3を短くすると、保護カバー10の強度が低下する。一方、温度分布の解析精度は高いほどよいが、その解析精度は端子台31R,31S,31Tおよび電線51,52,53の温度を測定できる程度でよい。つまり、所望の解析精度を得るためには、距離L3を端子台31R,31S,31Tおよび電線51,52,53の幅より短くすればよい。望ましくは、距離L3を端子台31R,31S,31Tおよび電線51,52,53の幅の半分以下の長さにするとよい。なお、距離L3は、保護カバー10の厚さを厚くすることにより短くすることができる。例えば、距離L3を3mm以上、10mm以下とする。望ましくは、距離L3を4mm以上、6mm以下とする。
【0024】
分電盤100内の温度分布を測定するためには、保護カバー10における開口11の占める面積比率が高い方が望ましい。しかし、保護カバー10が大きい場合、開口11の専有面積比率を大きくし過ぎると、保護カバー10の強度が低下する。専有面積比率とは、保護カバー10のXZ平面の面積に対する開口11の面積の総和の比率である。保護カバー10の強度を高くする必要がある場合、隣接する開口11の間にマージンとしての補強部16を設ける。赤外線サーモグラフィを用いた温度測定を考慮して、補強部16は、端子台31R,31S,31Tおよび電線51,52,53と重ならない位置に設ける。
【0025】
図2に示されるように、端子台31R,31S,31Tおよび一次ブレーカ35の上(−Y側)には、保護カバー10が設けられている。保護カバー10を介してネジ15が固定部41のネジ穴41bに螺合することによって、保護カバー10が、固定部41に固定されている。
【0026】
次に、上述した保護カバー10で覆われた分電盤100内の電線の接続不良を発見するための検査方法について説明する。ここでは、電線51,52,53と端子台31R,31S,31Tとの接続不良の有無を検査する場合について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。この検査は、ケーブル50を構成する電線51,52,53を分電盤100内の端子台31R,31S,31Tに固定する工事が完了し、二次ブレーカ38に接続された負荷回路が通電された状態で行われる。この検査は、作業者の安全を確保するために、保護カバー10で露出充電部が覆われた状態で行われる。
【0027】
最初に、電線51,52,53および端子台31R,31S,31Tの温度を測定できるように、赤外線サーモグラフィを所定の位置にセットする(ステップS11)。所定の位置とは、例えば、分電盤100から1m離れた位置である。赤外線サーモグラフィを端子台31R,31S,31Tの高さにセットする。測定条件をマニュアル化することにより、測定ミスを低減することができる。また、同じ条件で測定することにより、以前に測定したデータと比較することができる。
【0028】
次に、赤外線サーモグラフィで端子台31R,31S,31Tの温度を測定する(ステップS12)。保護カバー10にはマトリクス状に配列された複数の開口11が設けられているので、赤外線は保護カバー10の開口11を透過する。したがって、保護カバー10で露出充電部を覆った状態でも端子台31R,31S,31Tの温度を赤外線サーモグラフィで測定できる。また、開口11は、IP保護等級2Xの基準を満たしているので、作業者が分電盤100の露出充電部に触れる心配はない。
【0029】
次に、赤外線サーモグラフィの表示画面に表示された端子台31R,31S,31Tの温度差が予め設定されている温度差T1の範囲内であるか否かを判断する(ステップS13)。温度差T1は、例えば20℃である。ステップS12とステップS13は、第1判断工程である。
【0030】
端子台31R,31S,31Tの温度差がT1未満である場合(ステップS13:Yes)、作業者は電線の接続が正常であると判断し(ステップS18)、検査を終了する。
【0031】
一方、端子台31R,31S,31Tの温度差がT1以上ある場合(ステップS13:No)、作業者は電線51,52,53に流れる電流を測定する(ステップS14)。作業者は、電線51,52,53それぞれに流れる電流をクランプメータ等で測定し、電流の値を記録する。
【0032】
次に、作業者は、電線51,52,53に流れる電流の差が予め設定されている電流の差Idの範囲内であるか否かを判断する(ステップS15)。電流の差Idは、例えば、ケーブル50を流れる電流の30%に対応する値である。ステップS14とステップS15は、第2判断工程である。
【0033】
電線51,52,53に流れる電流の差がId未満である場合(ステップS15:Yes)、作業者は是正措置を行う(ステップS19)。電線51,52,53に流れる電流の差がId未満であるにもかかわらず、端子台31R,31S,31Tの温度差がT1以上あるということは、温度が高い端子台と電線との接続抵抗が高いことを示しているからである。是正措置では、ケーブル50に流れる電流を止め、温度が高い端子台と電線との接続をやり直す。是正措置を終えると、作業者は、ケーブル50に電流を流し、ステップS12の作業に戻る。
【0034】
一方、電線51,52,53に流れる電流の差がId以上である場合(ステップS15:No)、作業者は、赤外線サーモグラフィで端子台31R,31S,31Tと電線51,52,53を含めた範囲の温度を測定する(ステップS16)。電線51,52,53の測定範囲は、端子台31R,31S,31Tから例えば+Z側に約30cmまでの範囲とする。
【0035】
次に、作業者は、局所的な加熱があるか否かを判断する(ステップS17)。局所的な加熱とは、電線51,52,53の温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっていることをいう。作業者は、電線51,52,53のいずれかの温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっているか否かを判断する。
【0036】
具体的には、電線51,52,53の端子台31R,31S,31T近くの温度と、電線51,52,53の端子台31R,31S,31Tから例えば+Z側に30cm離れた位置の温度と、の温度差が予め設定された温度差T2未満であるか否かを判断する。温度差T2は、電線51,52,53を流れる電流の大きさに応じて設定する。温度差T2は、例えば、1℃程度である。赤外線サーモグラフィは、測定した同一画面内における相対的な温度の差を精度良く測定できる。したがって、作業者は、電線51,52,53の温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっているか否かを判断することができる。端子台31R,31S,31Tに近いほど電線51,52,53の温度が高いということは、電線51,52,53と端子台31R,31S,31Tとの接続抵抗が適正な接続抵抗よりも高いことを示している。ステップS16とステップS17は、第3判断工程である。
【0037】
例えば、3相3線式のケーブルの場合、二次ブレーカ38の二次側に接続される負荷回路の接続状態によって、各相の電流の値が異なることがある。各層の電流の値が異なると、電線と端子台との接続が適切であっても、端子台の温度が異なる場合がある。第3判断工程は、各層を流れる電流の値が異なっており端子台の温度が異なる場合に、電線と端子台との接続不良の有無を判断する工程である。
【0038】
電線51,52,53のいずれかの温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっている場合(ステップS17:Yes)、電線51,52,53と端子台31R,31S,31Tとの接続不良があると判断し、作業者は是正措置を行う(ステップS19)。
【0039】
一方、電線51,52,53の全ての温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっていない場合(ステップS17:No)、作業者は電線51,52,53と端子台31R,31S,31Tとの接続が正常であると判断し(ステップS18)、検査を終了する。
【0040】
赤外線サーモグラフィによる温度測定では、赤外線サーモグラフィの被写体に対する設置角度や距離等によって測定した温度の絶対値が大きく異なることがある。しかし、赤外線サーモグラフィは、測定した同一画面内における相対的な温度を精度良く測定できる。上記の実施形態においては、端子台31R,31S,31Tの温度差を精度良く測定できる。また、電線51,52,53の温度が端子台31R,31S,31Tに近づくにしたがって高くなっているか否かを精度良く測定できる。
図5に示したフローチャートは、赤外線サーモグラフィで測定した絶対温度を使用しないで、相対温度のみを使用して電線の接続不良の有無を判断している。この検査方法によれば、保護カバー10を取り付けた状態で赤外線サーモグラフィを用いて、電線と端子台との接続不良の有無を判断することができる。
【0041】
上述したように、実施形態に係る保護カバー10は、可視光線を透過する絶縁性且つ難燃性の素材で形成されており、表面から裏面に貫通する複数の開口11を有している。保護カバー10は、可視光線を透過する素材で形成されているので、電線の接続状態等を視認することができる。また、保護カバー10は、絶縁性且つ難燃性の素材で形成されているので、異常時に電気災害を助長する恐れがない。また、保護カバー10は、表面から裏面に貫通する複数の開口11を有しているので、赤外線は開口11を介して保護カバーを透過することができる。したがって、保護カバー10で充電部を覆った状態で分電盤100内の温度を赤外線サーモグラフィで測定できる。
【0042】
保護カバー10は、絶縁性の素材で形成されているので、作業者が保護カバー10に接触して充電部に接近しても感電することはない。また、開口11の最小幅は12.5mm以下であるので、作業者の指が露出充電部に触れて作業者が感電することが無く、作業者は安全に作業をすることができる。
【0043】
また、保護カバー10は、アクリル樹脂、ポリカーボネイト、塩化ビニル、ポリ塩化ビニル、硬質塩化ビニル等の絶縁性且つ難燃性の素材で形成されているので、充電部の視認性を確保するとともに、異常時に電気災害を助長する恐れがない。
【0044】
なお、上記の説明では、保護カバーを分電盤に適用する場合について説明したが、保護カバーを適用する対象を分電盤に限定する必要はない。保護カバーが必要であり赤外線サーモグラフィによる温度測定が必要な電気設備であれば適用できる。例えば、配電盤や分岐盤等に適用してもよい。また、上記の説明では、端子台を接続部の例として説明した。しかし、接続部を端子台に限定する必要はない。例えば、接続部は、電線と導電板等との接続部であってもよい。また、接続部は、導電板と端子台との接続部であってもよい。上記の実施形態では、導電板33R,33S,33Tと一次ブレーカ35との接続部、一次ブレーカ35と導電板36R,36S,36Tなどを検査対象としてもよい。
【0045】
また、上記の説明では、3相3線式のケーブル1本を接続する分電盤を例にして説明したが、ケーブルは、1相3線式、3相4線式等であってもよい。また、分電盤に収容されるケーブルの本数は1本に限定する必要はなく、複数本であってもよい。複数本のケーブルを収容する大型の分電盤の場合、分電盤全体を赤外線サーモグラフィで測定すると、画像が小さくなって検査精度が低下する場合がある。このような場合、ケーブルごとに検査を行ってもよい。
【0046】
また、上記の説明では、
図5のステップS13における温度差T1を20℃として説明したが、この温度差T1は、電線に流れる電流の正常時における変動幅を考慮して決められる。検査時における電線51,52,53に流す電流を所定の値に限定できる場合、温度差T1を小さくできる場合もある。
【0047】
(変形例1)
図4を用いた上記の説明では、開口11の長径L2がX軸方向に長い場合について説明したが、開口11をこれに限定する必要はない。例えば、
図6に示すように、開口11の長径L2がZ軸方向に長くてもよい。また、開口の形状を楕円に限定する必要はない。例えば、開口の形状は、
図7に示すように円形でもよいし、矩形や六角形等でもよい。
【0048】
(変形例2)
上記の説明では、
図5に示されるフローチャートに基づいて分電盤100内の電線の接続不良の有無を検査する場合について説明した。しかし、検査手順のフローチャートをこれに限定する必要はない。変形例2では、
図8に示されるフローチャートに基づいて検査する場合について説明する。
図8に示されるフローチャートは、
図5に示されるフローチャートのステップS15をステップS35に替えている。他の処理は、
図5に示されるフローチャートと同じである。なお、ステップS12は温度測定工程に該当し、ステップS14は電流測定工程に該当する。
【0049】
ステップS35の処理において、作業者は、ステップS12において測定した端子台31R,31S,31Tの温度の高さの順位と、ステップS14で測定した電線51,52,53それぞれを流れる電流の大きさの順位と、の相関性に基づいて電線51,52,53と端子台31R,31S,31Tとの接続不良の有無を判断する(ステップS35)。ステップS35は、判断工程である。
【0050】
具体例について
図9を用いて説明する。
図9の電流の欄には、ステップS14で測定した電線51,52,53それぞれに流れる電流の値を記載している。また、温度順位の欄には、ステップS12で測定した端子台31R,31S,31Tの温度が高い順の順位を記載している。
【0051】
例1の場合、端子台31R,31S,31Tを流れる電流は、電線51,52,53の順に小さくなっている。端子台31R,31S,31Tの温度は、端子台31R,31S,31Tの順に低くなっている。したがって、端子台31R,31S,31Tの温度順位と、電線51,52,53それぞれを流れる電流の大きさの順位と、は相関している。作業者は、各電線を流れる電流と各端子台の温度とが相関していると判断する(ステップS35:Yes)。この場合、作業者は、ステップS16に移行する。
【0052】
例2の場合、端子台31R,31S,31Tを流れる電流は、電線51,52,53の順に小さくなっている。端子台31R,31S,31Tの温度は、端子台31S,31R,31Tの順に低くなっている。電線51に流れる電流が一番大きいにもかかわらず、電線52が接続されている端子台31Sの温度が一番高い。したがって、端子台31R,31S,31Tの温度順位と、電線51,52,53それぞれを流れる電流の大きさの順位と、は相関していない。作業者は、各電線を流れる電流と各端子台の温度とが相関していないと判断する(ステップS35:No)。この場合、作業者は、是正措置を行う(ステップS19)。
【0053】
例3の場合、電線51,52,53を流れる電流は、同じである。端子台31R,31S,31Tの温度は、端子台31S,31R,31Tの順に低くなっている。つまり、電線51,52,53に流れる電流の値が同じであるにもかかわらず、各端子の温度が異なっている。したがって、端子台31R,31S,31Tの温度順位と、電線51,52,53それぞれを流れる電流の大きさの順位と、は相関していない。作業者は、各電線を流れる電流と各端子台の温度とが相関していないと判断する(ステップS35:No)。この場合、作業者は、是正措置を行う(ステップS19)。
【0054】
なお、
図8に示される作業手順では、ステップS16とステップS17は、検査精度を高めるための工程であり、省略することもできる。
【0055】
図8に示されるフローチャートに基づく電線の接続不良の検査方法では、保護カバーを取り付けた状態で測定した端子台それぞれの温度と電線それぞれを流れる電流との相関性に基づいて、電線と端子台との接続不良の有無を判断している。
図8に示されるフローチャートでは、赤外線サーモグラフィで測定した端子台31R,31S,31Tの絶対温度を使用せず、端子台31R,31S,31Tの相対温度に基づいて電線と端子台との接続不良の有無を判断している。この検査方法によれば、保護カバー10を取り付けた状態で赤外線サーモグラフィを用いて、電線と端子台との接続不良の有無を判断することができる。
【0056】
なお、上記の説明では、作業者が是正措置が必要であるか否かを判断する場合について説明したが、この判断をソフトウエアが行ってもよい。例えば、
図5に示されるフローチャートの処理をソフトウエアで行う場合、閾値となる温度差T1と電流の差Idを初期値として設定する。次に、赤外線サーモグラフィを用いて各端子の温度と電線51,52,53の温度とを測定し、測定した温度をコンピュータに入力する。電線51,52,53の温度測定では、
図5のステップS17の判断に必要な温度分布のデータを取得する。次に、電線51,52,53に流れる電流を測定し、各電流値をコンピュータに入力する。ソフトウエアは、入力された各端子台の温度と電線51,52,53を流れる電流の値と電線51,52,53の温度分布とに基づいて、
図5のステップS13,S15,S17の判断をする。ソフトウエアは、
図5のステップS19に該当する場合、表示画面に是正措置が必要であることを表示する。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施しうるものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。