(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下の説明において、図面中のシステム部品に関して使用される「頂部」、「底部」、「右」、「左」、「裏」、「表」、「水平」、「垂直」、「前方」及び「後方」などの用語は、使用中の部品の特定の向きを意味するものと必ずしも理解すべきではない。
【0046】
図1を参照すると、金型100の一部分の断面立面図が示される。実施例金型100は、成形品を製造し、成形品は、この実施例においては
図2に示すプリフォーム101である。
図1に示す金型100の部分は単一のプリフォーム101を製造するのに使用される単一の金型スタック103の長手方向断面である。金型スタック103は、単一の射出成形サイクル中に多数のプリフォームを単一のバッチで総じて成形することができる金型100内で、多数の類似のスタック(図示せず)の1つであってよいと理解されるであろう。金型100は、簡潔にするために、
図1から省略されているが、他の部品を含んでもよい。
【0047】
図1の金型スタック103は、製造又は成形構成、即ち溶融物を成形キャビティ105内に受容し、かつ
図2に示すプリフォーム101を形成するのに適した構成にある。金型スタック103がまた、以下に説明する、通気口クリーニング構成(以下、「残留物クリーニング構成」又は単に「クリーニング構成」とも呼ぶ場合がある)を含む他の構成を有すると理解されるであろう。
【0048】
図1の実施例金型100は、金型の動作軸Aに沿って相対的に可動である一対の金型半部分を含む。第1金型半部分は、キャビティプレート組立体102を含む。第2金型半部分は、コアプレート組立体104及び動作軸Aに沿って第1金型半部分に対して可動であるストリッパープレート組立体125を含む。
【0049】
キャビティプレート組立体102はキャビティインサート106(キャビティピースの形態)、ゲートインサート107、キャビティフランジ109及びキャビティプレート108を含む。キャビティフランジ109は、キャビティプレート108におけるボア117内にキャビティインサート106及びゲートインサート107を保持する。キャビティインサート106は、成形されるプリフォーム101のボディ113(
図2)の外部形状を画定する。ゲートインサート107は、成形されるプリフォーム101の閉鎖端部115(
図2)の外部形状を画定し、かつ溶融した成形材料を成形キャビティ内に注入するときに通過するゲート(アパーチャ)を画定する。明確化のために、部品106及び107は、「インサート」と呼ばれる。これは、金型製作及び整備を容易にするためにボア117に挿入するためのモジュール部品として設計されるからである。代替的な実施形態において、キャビティピース106及びゲートインサート107は、プレート108の一部を形成することができ及び/又は単一の部品を備えてもよい。
【0050】
コアプレート組立体104は、成形されるプリフォーム101の内面を画定するコアインサート110(コアピースの形態)を含む。コアプレート組立体104はまた、プリフォーム101(
図2)の頂部シール面121の一部を画定するように構成されたロックリング111を含む。ロックリングはまた、コアインサート110をコアプレート112に保持するように構成されている。
【0051】
ストリッパープレート組立体125は、ストリッパープレート120と、ストリッパープレートに摺動可能に結合されたスライダーバー122、123と、プリフォーム101(
図2)のネックフィニッシュ119を画定するための分割金型インサート114とを備える。分割金型インサート114は、スライダーバー122、123にそれぞれ取り付けられた一対の相補的な分割金型インサート半部分116、118を備える。スライダーバー122、123は、例えば、成形品解放時に分割金型インサート半部分116、118を横方向(
図1の垂直方向)に分離するように動作可能である。
【0052】
図1に示すように、金型100は、動作軸Aを有する。動作軸Aは、キャビティプレート組立体102、コアプレート組立体104及びストリッパープレート組立体125のような金型100の主要部品がそれに沿って、射出成形サイクルを介して金型の動作中に移動される軸として見なされてよい。例えば、コアプレート組立体104及びストリッパープレート組立体125は、プリフォーム101をイジェクトするための金型を開ける又は引き続きの射出成形サイクルの準備で金型を閉じるためにキャビティプレート組立体102に対して動作軸Aに沿って移動することができる。同様に、ストリッパープレート組立体125は、キャビティプレート組立体102及びコアプレート組立体104の各々に対して動作軸Aに沿って可動である。分割金型インサート半部分116、118がプリフォーム101のネックフィニッシュ119を支持する状態で、コアプレート組立体104から離れるようにストリッパープレート組立体125を移動させることは、通常の成形動作中にコアインサート110からのプリフォーム101の引き剥がしを容易にすることができる。本実施形態では、
図2に示すように、キャビティプレート組立体102が固定されている。
【0053】
金型100の動作軸Aは、金型の動作軸とも呼ぶことができる。本明細書で使用される用語「金型」は、キャビティプレート組立体102、コアプレート組立体104及びストリッパープレート組立体125を指すが、一方で用語「成形システム」はこれらの部品に限らず、金型クランプや射出ユニット(
図1では図示せず)などの他の部品も指す。金型100の動作軸Aは、金型スタック103の長手方向動作軸(即ち、それに沿って金型スタックのキャビティピース及びコアピースが開閉される軸)と平行であり、従って、金型スタック103の動作軸と見なすこともできる。
【0054】
図1に示す金型スタック103は、キャビティロック式の金型スタックとも呼ぶことができる。用語「キャビティロック」は、型締め圧力が軸方向に金型スタック103に印加されると、金型スタック103のキャビティ部によって画定される座部内にぴったりと着座することにより、分割金型インサート半部分116、118が横方向(
図1中の垂直方向)に共に「係止」される設計を反映する。この関係は、
図3により詳細に示されている。
【0055】
図3を参照すると、金型スタック103の一部の拡大断面立面図が示されている。
図3は、実施例キャビティロック式金型スタック103が成形構成にあるときの、ロックリング111、分割金型インサート114、キャビティフランジ109及びキャビティインサート106間の相互作用を示す。なお、
図3では、明確にするためにコアインサート110を省略していることに留意すべきである。
【0056】
図示されているように、キャビティフランジ109及びキャビティインサート106は、概して円錐台形状を有するテーパ付き雌シート130を総じて画定する。隣接する分割金型インサート114は、分割金型インサート114とキャビティインサート106とが
図3の型合わせ成形構成にあるときにテーパ付き雄部132がテーパ付き雌シート130内にぴったりと受容されることを可能にする相補的な形状(即ち、略円錐台状)を備えたテーパ付き雄部132を有する。これらの特徴部の形状は、テーパ付き雌シート130の斜視図及びテーパ付き雄部132の斜視図をそれぞれ提供している、
図4及び
図5に最もよく示されている。
【0057】
図4を参照すると、金型スタック103の残りの部品から隔離して図示されている、キャビティインサート106及びキャビティフランジ109(後者は破線で示されている)は、本実施形態のテーパ付き雌シート130を総じて画定していることを見ることができる。キャビティフランジ109は、内向きにテーパを付けた壁部129によって画定された円形の中央開口128を有する。壁部129は、キャビティフランジ109とキャビティインサート106との間に形成されるパーティングライン131において終端する。キャビティインサート106は、テーパ付き雌シート130の最深部に環状溝135を画定する。本実施形態では、環状溝135は、中央環状リップ133と、キャビティフランジ109の壁部129のテーパに合致するテーパを有する囲壁137との間に形成される。
【0058】
図6と共に
図5を参照すると、分割金型インサート114は、他の金型スタック部品から分離して、それぞれ、斜視図及び立面図で示されている。
図5及び
図6の各々において、分割金型インサート114は、その半部分116、118が型合わせされた成形構成で示されている。インサート114のテーパ付き雄部132は、分割線143に沿って分割され、分割金型インサート半部分116の一部を形成する雄部132の第1半部分136と、分割金型インサート半部分118の一部を形成する雄部132の第2半部分138とを備える。
【0059】
分割金型インサート半部分116、118は、両者の間に通気口145を総じて画定する(即ち、通気口145は分割金型インサート半部分116によって部分的に画定され、かつ分割金型インサート半部分118によって部分的に画定される)。通気口145は、二次通気口147(
図6において垂直方向に向いている)と流体連通している一次通気口149(
図6において水平方向に向いている)を備えている。本実施形態の一次通気口及び二次通気口の各々は、分割金型インサート半部分116、118の間に間隙を含む。分割金型インサート114が、
図5及び
図6に示すような成形構成にあるとき、通気口145は、任意の実質的な量の溶融物が通気口を通過するのを防止しながら、成形キャビティ105から空気を抜くように構成されている。これは、一次通気口149と二次通気口147の各々から構成される間隙を適切に寸法付けることによって(例えば、使用される成形材料がPETである場合には30〜40μmの範囲)達成することができる。成形構成では、成形キャビティを通気するために通気口145の一次通気口149のみに依存していることに留意すべきである。
【0060】
図6に示すように、一次通気口149を形成するための間隙は、2つの半部分116、118の横方向の離間の軸線Lに略直交しているのに対して、二次通気口147を形成するための間隙は、2つの半部分116、118の横方向の離間の軸線Lに平行である。従って、一次通気口149及び二次通気口147は、分割金型インサート半部分116、118間の分割線143にオフセットを画定すると考えることができる。理解されるように、これらの相対的な間隙の向きは、通気口145が、後述するような残留物クリーニング構成に配置されたときに、分割金型インサート半部分116、118が互いに僅かに分離されていても、通気口(即ち、溶融物の通過を防止しながら空気を抜くために)として機能し続けることを可能にする。
【0061】
図7を参照すると、分割金型インサート114は、分割金型インサート半部分116、118がそれぞれの突き合わせ面190、192が見えるような向きになっている状態での斜視図で示されている。
図7は、単に図解のためのものであり、かつ分割金型インサート半部分116、118がこの向きでは実際には使用されないことを理解されたい。
【0062】
図示されるように、本実施形態の実施例通気口145は、分割金型インサート半部分118の突き合わせ面192内に画定される一連の溝141を備える。これらの溝は、通気ガスを送り込んで大気に逃がすためのものである。このような溝は、他の実施形態では必ずしも存在しない。
【0063】
以上の説明から明らかなように、分割金型インサート114のテーパ付き雄部132の型合わせ半部分136、138が、テーパ付き雌シート130内に完全に着座して(例えば、
図3に示すように)かつ軸方向の締め付け力が金型スタック103に印加されると、分割金型インサート半部分116、118は、成形キャビティ105のネックフィニッシュ領域内での加圧溶融物の外向きの反力の作用にもかかわらず、成形構成において共に保持される。
【0064】
図3、
図5及び
図6を参照すると、分割金型インサート114のテーパ付き雄部132は、遠位環状タング140を有し、遠位環状タング140は、テーパ付き雌シート130のキャビティインサート106内に画定された環状溝135(
図4)内に受容されるように構成されている(例えば、形状および寸法が決められている)ことを見ることができる。これら2つの特徴部は、分割金型インサート114とキャビティインサート106の間の接合部144における雄雌インターフェースを画定する。キャビティインサート106と分割金型インサート114とが
図3の成形構成にあるときに、接合部144は、キャビティインサート106と分割金型インサート114との間のパーティングラインとして機能するか又は画定する。本明細書中で使用される用語「パーティングライン」は、2つの金型スタック部品間の接合部を意味し、溶融物が接合部を通過するのを防止し、かつ通気口とは異なり、接合部を通じてガスを逃がすことを意図していない、あるいは依存していない。
【0065】
この例示的実施形態では、パーティングラインは、突き合わせ面間に形成されており、突き合わせ面は、本実施形態においてキャビティインサート106の環状リップ133及び分割金型インサート114の内側に突出する肩部142(例えば
図3を参照)を構成する。以下に説明するように、接合部144は、突き合わせ面が互いに接触し成形キャビティ105のパーティングラインを画定する(金型スタックが成形構成にある)成形構成と、 突き合わせ面が引き離されてその間に空間を規定して、該空間が成形キャビティ105の延長部として機能する、即ち成形キャビティ105の成形面の一部となる(金型スタック103が残留クリーニング構成にあるときの)クリーニング構成との間で調節可能であるように設計されている。
【0066】
金型スタック103が成形構成にあるとき、分割金型インサート114及びロックリング111は、成形キャビティ105から空気を抜くための通気口150を総じて画定する(
図3参照)。通気口150は、成形キャビティ105内の溶融物のための流路の一端部に又はその付近に位置している。溶融物は、ゲートインサート107(
図1及び
図3の右側から)を介して成形キャビティ105内へ注入され、ネックフィニッシュ119に向かって(
図1及び
図3の左方へ)流れるため、注入された溶融物によって到達される成形キャビティ105の最後の領域の間にある。前進する溶融物は、空気を前方に押し出すことができるので、通気口150は、射出成形サイクルの完了付近で残りの空気を成形キャビティ105内から抜くように機能することができ、かつ成形品の品質を向上させることができる。
【0067】
図8は、通気口150がより詳細に示されている
図3の金型スタック断面の一部の拡大図を提供する。
図8を参照すると、通気口150が二次通気口154と流体連通している一次通気口152を備えていることを見ることができる。
図8では、一次通気口152は、分割金型インサート114とロックリング111との間に垂直な間隙として現れていて、かつ二次通気口154は、同一の2つの部品間に水平方向の間隙として現れている。本実施形態では、通気口150は、分割金型インサート114によって部分的に画定され、かつロックリング111によって部分的に画定される。
【0068】
分割金型インサート114及びロックリング111は、
図8に示すような成形構成にあるとき、通気口150は、溶融物の通過を防止しながら空気を抜くように構成されている、即ち成形キャビティ105からのいかなる実質的な量の溶融物が通気口を通過することを許容しないで成形キャビティ105からの空気が通過できるようにするように構成されている。これは、一次通気口152と二次通気口154の各々の間隙を適切に(即ち、使用される成形材料がPETである場合に30〜40μmの範囲で)寸法付けすることによって達成することができる。成形構成では、成形キャビティを通気するには通気口150の一次通気口152のみに依存することに留意すべきである。
【0069】
金型100を複数の成形サイクルにわたって動作させると、残留物は通気口150の一次通気口152内に、また同様に分割金型インサート半部分116、118の間に画定された通気口145(
図6)の一次通気口149内に蓄積し得る。残留物は、例えば成形材料ダスト、汚染物質又は他の粒子から構成されてもよい。伝統的な成形システムでは、排気残留物の除去は成形システムの動作を中止させて、金型スタックを開けて、影響を受けた通気口の表面を手動で掻き取り及び/又はクリーニングすることによって行うことができる。このようなアプローチの考えられる欠点は、それに対応する生産能力損失、それに伴う手作業、金型を損傷させる重大なリスクである。
【0070】
このような伝統的なクリーニングの必要性を回避するために、実施例金型スタック103が、上述した、標準的な成形構成と通気口クリーニング構成との間で構成可能である。通気口クリーニング構成において、通常は協働してそれらの間に通気口を形成する複数の金型スタック部品は、互いから僅かに引き離されている。それは、成形キャビティから溶融物を受容するための一次通気口を十分に広げ、なおかつ溶融物を成形キャビティ内に収容するように二次通気口を維持するためである。別の方法では、クリーニングされる一次通気口が再構成されて、成形キャビティの延長部となる。金型スタックを通気口クリーニング構成にして成形サイクルを実施するときには、成形キャビティからの溶融物が「意図的なバリ発生」として拡張された通気口に入る。任意の実質的な量の溶融物が通気口を通過するのを防止しながら、拡張された通気口からガスを抜くように設計されたバックアップ又は二次通気口を使用することにより、バリ発生の程度が制御される。クリーニングされる通気口(即ち一次通気口)内の残留物は、バリ発生に組み込まれるようになり、従って成形品が一体的なバリが付いた状態で成形キャビティからイジェクトされるときに残留物が除去され得る。このようなクリーニングサイクルが行われるように、必要に応じて、例えば所定の時間間隔で所定回数の成形サイクルの後、又は要求に応じて、スケジュール化してもよい。
【0071】
本実施形態は、通常は通気口として機能しない領域に追加的にバリを発生させることにより、上述の通気口クリーニングアプローチを向上させる。通常は接合部で協働して金型スタック部品間にパーティングラインを規定するある特定の金型スタック部品を引き離すことにより、接合部が再構成されて成形キャビティの延長部として機能する。成形キャビティ延長部は、延長部内にバリ発生を含むように設計されている補助的な溶融物バリア(補助通気口であってもよい)を有する。従って、本実施形態の残留物クリーニング構成では、クリーニングして残留物を除く通気口においてのみならず、通常はパーティングラインとして機能する少なくとも1つの接合部内でも制御されたバリが発生する。上記の有用性は、パーティングラインをクリーニングして通気口内のいかなる過剰な残留物を除く必要性にあまり関連していない。これは排除されないが、むしろ通気口145、150の再配置を行うためにパーティングラインを開く必要がある。そのようにすることに際して、パーティングラインの通常の接触面間に画定される成形空間内に溶融物を含むように制御する何らかの手段が必要となり、これによって金型スタックの制御されないバリを排除する。
【0072】
図9乃至
図14は、クリーニング構成における実施例金型100の様々な態様を示す。
図9は、
図1に示すように金型100の同じ部分を示す横断立面図であるが、明瞭にするためにコアインサート110を省略している。
図10は、実施例キャビティ式金型スタック103がクリーニング構成にあるときに、ロックリング111、分割金型インサート114、キャビティフランジ109及びキャビティインサート106の間の相互作用を示す
図9の一部の拡大断面立面図を提供する。以下に、
図11乃至
図14を説明する。
【0073】
図9は、
図9の金型100のシャットハイトS’が
図1の金型100のシャットハイトSと比較して増加した点において
図1とは異なる。射出成型業界において、用語「シャットハイト」は、典型的には金型半部分の端面(図面では省略されている、ホットランナーなどの溶融物分配装置を含む場合と含まない場合がある)−即ち、コアプレート112の前面113とキャビティプレート108の後面155との間の距離を指すのに用いられている。
図9では、金型スタック103がクリーニング構成に置かれるようにシャットハイトがS’まで増加された。シャットハイトの増加は、各種のシャットハイト調整機構により達成されることができ、そのいずれもが
図1乃至
図14に明示的に図示されていない。実施例シャットハイト調整機構が後述される。
【0074】
図9及び
図10を参照すると、シャットハイトのSからS’までの増加が、分割金型インサート114の対向する間隙G1及びG2の導入に寄与していることがわかる。第1の間隙G1が分割金型インサート114とロックリング111との間にあり、第2の間隙G2が分割金型インサート114とキャビティインサート106との間にある。標準的な成形サイクル中にバリが通常発生しない金型スタック103の3つの領域において、間隙G1及びG2の導入により、クリーニング成形サイクル中に制御されたバリ発生を行うことが今や可能であると理解されるであろう。
【0075】
間隙G1の導入により、制御されたバリ発生を今や行うことができる第1領域は、ロックリング111と分割金型インサート114の間の通気口150内にあり、具体的には同通気口の一次通気口152内にある。
図11を参照すると、クリーニング構成において、一次通気口152のサイズ(幅)が、いかなる実質的な量の溶融物の通過を防止する、その成形構成サイズ(
図8のような)から、残留物160の組み込み及び除去のために溶融物が一次通気口152に入ることを許容する、増加サイズ(
図11のような)まで増加したことを見ることができる。顕著には、
図11のクリーニング構成における二次通気口154の寸法は、成形構成(
図8参照)におけるものと同じ又は実質的に同じままである。このようにして、溶融物の通過を実質的に防止しながら二次通気口154がガス(空気)を排出するのに適した寸法が設定されたままである。実際、二次通気口154がこの構成における一次通気口152の機能を受け継ぎ、これによって制御されないバリ発生を防止する。
【0076】
間隙G2が導入されることにより、制御されたバリ発生が今や可能となる第2領域は、分割金型インサート114とキャビティインサート106との間の接合部144内にある。その接合部の拡大断面図を提供する、
図12を参照すると、金型スタック103のクリーニング構成において、タング140が溝135から僅かに引き抜かれていることを見ることができる。更に、キャビティインサート106の環状リップ133(突き合わせ面)が分割金型インサート114の内側に突出する肩部142(突き合わせ面)から僅かに引き離されて空間146をそれらの間に画定する。この空間146は、その中に溶融物を受容することが可能な成形キャビティ105のキャビティ延長部146として機能する。
【0077】
溶融物が一次通気口152及びキャビティ延長部146に流入することを可能にするための適切なサイズの間隙G1とG2は、それぞれ、使用されている成形材料の種類に依存するが、例えば、PETの場合には約500ミクロン(0.5mm)としてもよい。
【0078】
接合部144が通常、通気口としてよりはむしろパーティングラインとして機能するので、キャビティ延長部146にバリを発生させることは、残留物のクリーニング目的には機能しないことに留意されたい。従って、この接合部への制御されたバリ発生(又は実際には任意の種類のバリ発生)を行うことは、反直感的であると考えられ得る。
【0079】
クリーニング構成では、接合部144はまた、補助溶融物バリア151を画定して溶融物の制御されないバリ発生を防止する、即ち溶融物をキャビティ延長部146内に収容する。溶融物をキャビティ延長部内に収容する理由は、バリが通常の成形動作中に金型100の円滑な動作を妨げる可能性がある、金型スタック103の隣接する部品にバリが不注意に到達するリスクを低減するか又は排除することにある。本実施形態では、補助溶融物バリア151は、いかなる実質的な量の溶融物の通過を防止しながら(
図11の二次通気口154と同様に)ガスを排出するために適切に寸法付けされた補助通気口である。
【0080】
本実施形態では、補助通気口151(
図12)は、金型スタック103に対して略長手方向(軸方向)に方向付けされている(即ち、補助通気口は金型スタック103の長手方向又は動作軸と略平行であり、従って金型100の動作軸Aに平行である)。対照的に、キャビティ延長部146は、金型スタック103に対して略横方向に(半径方向に)方向付けされている(即ち、キャビティ延長部146は金型スタック103の長手方向又は動作軸と略直交している)。従って、
図12の補助通気口151及びキャビティ延長部146は、互いに略直交している。
【0081】
代替的な実施形態では、補助溶融物バリア151は、通気口として機能するように意図されていない、かつ別の方法で依存されていない、パーティングラインとして構成されてもよい。
【0082】
間隙G2の導入によっても、制御されたバリ発生を今や行うことができる第3領域は、分割金型インサート半部分116、118間の通気口145の一次通気口149内にある。
図10、
図13及び
図14を参照すると、間隙G2(
図10)が分割金型インサート114とキャビティインサート106との間に導入されたことを考慮して(即ち、テーパ付き雌シート130からテーパ付き雄部132の部分的な引き抜きを考慮して)、分割金型インサート半部分116、118は、一次通気口149(
図14)内でバリが発生するのに適した寸法まで横方向に自由に分離することを見ることができる。別の方法では、軸L(
図14)に沿った分割金型インサート半部分116、118の横方向の分離は、溶融物が侵入するのを許容するように一次通気口149の幅を十分に増加させた。対照的に、その成形構成サイズから変化していない、二次通気口147のサイズは、いかなる実質的な量の溶融物も二次通気口を通過することを許容することなく空気を抜くための適切な寸法に維持されたままである、即ち略一定のままである。このように、二次通気口147は分割金型インサート半部分116、118が
図10、
図13及び
図14に示すクリーニング構成にある場合には、それらの間の制御されないバリ発生を防止する。
【0083】
テーパ付き雌シート130は、テーパ付き雄部132の連動半部分136、138の分離の程度を制限することによって分割金型インサート半部分116、118の分離の程度を制限する(
図10参照)。従って、例えば(後述する実施例機構などの)シャットハイト調整機構を手段として、分割金型インサート半部分116、118の分離の程度は、間隙G2を適切に設定することによって制御することができる。
【0084】
金型スタック103が
図9乃至
図14に示すようなクリーニング構成にある状態で射出成形サイクルが実行されるとき、その結果は
図14Aに示すようにプリフォーム401とすることができる。この図を参照すると、3つの付加的なバリ発生領域403、405、407がプリフォーム401と一体的に形成された状態で、プリフォーム401が標準プリフォーム101(
図2のような)の外観を有していることを見ることができる。第1の付加的なバリ発生領域403が、分割金型インサート半部分116、118(
図14参照)の間に拡張された一次通気口149の形状を有する。第2の付加的なバリ発生領域405は、分割金型インサート114とロックリング111(
図11参照)との間に拡張された一次通気口152の形状を有する。第3の付加的なバリ発生領域407は、接合部144の突き合わせ面間に、即ち分割金型インサート114の内向きに突出する肩部142とキャビティインサート106のリップ133間に(
図12参照)形成されたキャビティ延長部146の形状を有する。
【0085】
幾つかの実施形態では、シャットハイト調整器(図示せず)を使用することにより、又は本発明の譲受人に譲渡された国際公開第WO2014/117246号に記載されているように、印加された型締め力のトン数の制御を介して分割金型インサート半部分116、118を分離してクリーニング構成にすることが達成できる。
【0086】
上述したように、
図1乃至
図14に示す実施例金型スタック103は、キャビティロック式の金型スタックである。金型スタックの他の方式がクリーニング構成に対応するように同様に構成され得ることが理解されるであろう。
【0087】
例えば、
図15を参照すると、その金型スタックがコアロック式である別の金型300の実施形態が示されている。
図15は、成形品、即ち
図2に示した成形品と同様の成形品を製造可能である金型300の断面図である。
図15に示す金型300の部分は、単一のプリフォーム301を製造するのに用いられる単一金型スタック303の縦断面図である。
図15では、製造又は成形構成にある金型スタック303が示されている。
【0088】
図15の実施例金型300は、動作軸Aに沿って相対的に可動である一対の金型半部分を含む。第1金型半部分は、キャビティプレート組立体302を含む。第2金型半部分は、コアプレート組立体304及び動作軸Aに沿ってコアプレート組立体304に対して可動であるストリッパープレート組立体325を含む。
【0089】
キャビティプレート組立体302は、キャビティフランジ309により保持されるキャビティインサート306及びゲートインサート307を含む。代替的な実施形態では、キャビティピース306及びゲートインサート307は、プレート308の一部を形成することができる、及び/又は単一の部品を備えてもよい。
【0090】
コアプレート組立体304は、コアインサート310と、コアインサート310を支持し、かつ分割金型インサート(後述)を位置合わせさせかつ閉鎖保持するのに資するように構成されたロックリング311と、成形されるプリフォームの頂部封止面の一部及び分割金型インサート314と共に、分割金型インサートのポケット内のコア・リング−分割インサート・パーティングラインを画定するように構成されたコア・リング339と、コアインサート310及びリング311が両方とも取り付けられるコアプレート312とを含む。
【0091】
ストリッパープレート組立体325は、ストリッパープレート320、ストリッパープレート320に摺動可能に結合されたスライダーバー322、323、及び成形されるプリフォームのネックフィニッシュ部を画定するための分割金型インサート314を備える。分割金型インサート314は、スライダーバー322、323にそれぞれ取り付けられる一対の相補型分割金型インサート半部分316、318を備える。
図15に示すように、金型300は、金型スタック303の長手方向軸に平行な動作軸Aを有する。軸Aは、金型スタック303の動作軸として考えることもできる。
【0092】
図1に示されている金型スタック303は、「コアロック」式の金型スタックと呼ばれている。この用語は、分割金型インサート半部分316、318が横方向に(
図1の垂直方向に)共に「ロックされる」ようにした設計を反映している。これは、型締め圧力が軸方向に金型スタック303に印加されるにつれて、金型スタック303のロックリング311とコア・リング339の間に画定されたシート内にテーパ付き雄部がぴったりと着座していることに少なくとも部分的に起因している。この関係が
図16に詳細に示されている。
【0093】
図16を参照すると、
図15の金型スタック303の一部分の拡大断面立面図が示されている。
図16は、実施例キャビティ型金型スタック303が成形構成にあるときのロックリング311、コア・リング339、分割金型インサート314、キャビティフランジ309、及びキャビティインサート306の間の相互作用を示している。
図16では、明瞭化のために
図15のコアインサート310が省略されている。
【0094】
図示されるように、キャビティフランジ309及びキャビティインサート306は、概して円錐台形の形状を有するテーパ付き雌シート330を総じて画定する。隣接する分割金型インサート314は、分割金型インサート314とキャビティインサート306が型合わせされた成形構成にあるとき、テーパ付き雄部332がテーパ付き雌シート330内にぴったりと受容されることを可能にする相補的形状(即ち、概して円錐台形)を備えたテーパ付き雄部332を有する。これらの特徴部の形状は、
図17と共に
図16におそらく最も良く見ることができ、
図17がテーパ付き雄部332の斜視図を提供する。
【0095】
図16を参照すると、キャビティフランジ309が、キャビティフランジ309とキャビティインサート306との間に形成されたパーティングライン331において終端する内向きテーパ付き壁329を有することを見ることができる。キャビティインサート306は、テーパ付き雌シート330の最深部において環状溝335を画定する。本実施形態では、環状溝335は、キャビティインサート306の端部における中央環状リップ333とキャビティインサート306の周囲壁337との間に形成される。キャビティインサート306のテーパは、キャビティフランジ309の壁329のテーパと一致する。これらの特徴部の構成は、先に説明した実施形態のキャビティインサート106及びキャビティフランジ109の対応する特徴部に類似してもよい(
図4参照)。
【0096】
更に
図16を参照すると、ロックリング311は、上述した第一のテーパ付き雌シート330と対向する別のテーパ付き雌シート370を画定することを更に見ることができる。テーパ付き雌シート370は、キャビティプレート308から離れて延在する分割金型インサート314の第2テーパ付き雄部380に対して相補的な形状を有する。ロックリング311及びコア・リング339は、分割金型インサート314のテーパ付き雄部がぴったりと受容されることができる環状ポケット395を総じて画定すると考えてよい。
【0097】
図18と共に
図17を参照すると、分割金型インサート314は、他の金型スタック部品から分離して、それぞれ、斜視図及び立面図で示されている。
図17及び
図18の各々において、分割金型インサート314は、その半部分316、318が型合わせされている成形構成で示されている。インサート314の可視のテーパ付き雄部332は、分割線343により分割され、雄部332の第1半部分336が分割金型インサート半部分316の一部を形成し、かつ雄部332の第2半部分338が分割金型インサート半部分318の一部を形成する。他のテーパ付き雄部380は、
図17及び18では見えないが、同じように分割されている。
【0098】
図示されるように、分割金型インサート半部分316、318がそれらの間に通気口345を総じて画定し、それは先の実施形態の通気口145と同様であってよい。通気口345は、二次通気口347(
図18では垂直方向に方向付けされた)と流体連通している一次通気口349(
図18では水平方向に方向付けされた)を備える。本実施形態の一次及び二次通気口の各々は、分割金型インサート半部分316、318間に間隙を含む。分割金型インサート314が
図17及び
図18に示すように成形構成にあるとき、通気口345は、いかなる実質的な量の溶融物が通気口345を通過するのを防止しながら、成形キャビティ305から空気を抜くように構成されている。これは、一次通気口349及び二次通気口347の各々から構成される間隙を適切に寸法付けすることにより達成することができる。
【0099】
図18を参照すると、一次通気口349を形成する間隙は、2つの半部分316、318の横方向分離の軸Lに直交しているのに対して、二次通気口347を形成する間隙は、軸Lに平行である。これらの相対的な間隙の方向付けは、分割金型インサート半部分316、318が僅かに互いから分離されているときでも、通気口345が通気口(即ち溶融物の通過を防止しながら空気を抜く)として機能し続けることを可能にする。成形構成において、通気口345の一次通気口349のみに依存して成形キャビティを通気していることに留意するべきである。
【0100】
図18(A)を参照すると、分割金型インサート314は、分割金型インサート半部分316、318がそれらの各突き合わせ面390、392が見えるように方向付けされた状態で、斜視図で示されている。
図18(A)は、例示だけを目的とし、かつ分割金型インサート半部分316、318はこの方向付けでは実際には使われないことが理解されるであろう。図示のように、本実施形態の実施例通気口345は、突き合わせ面392における一連の溝341を備えかつ画定する。これらの溝は、排気されたガスを送り込み、かつガスを大気に逃がすためのものである。このような溝は、必ずしも他の実施形態にも存在しているわけではない。
【0101】
図18(A)は、
図17又は
図18では見えない第2テーパ付き雄部380を示している。図示されるように、テーパ付き雄部380はまた、分割線343により分割され、雄部332の第1半部分386が分割金型インサート半部分316の一部を形成し、雄部332の第2半部分388が分割金型インサート半部分318の一部を形成する。
【0102】
分割金型インサート314のテーパ付き雄部332の型合わせ半部分336、338がテーパ付き雌シート330内に着座し、かつ分割金型インサート314のテーパ付き雄部380の型合わせ半部分386、388がテーパ付き雌シート370(例えば、
図16に示すような)内に着座し、かつ軸方向締め付け力が金型スタック303に印加されるとき、分割金型インサート半部分316、318は、対向する外向きの力の作用が成形キャビティ305のネックフィニッシュ領域内の溶融物を加圧したにもかかわらず、成形構成において共に保持されることが理解されるであろう。
【0103】
図17及び
図18を参照すると、分割金型インサート314のテーパ付き雄部332は、キャビティインサート306内に画定された環状溝335(
図16)内に受容されるように構成される(例えば形状及び寸法付けされる)遠位環状タング340を有することを見ることができる。これらの2つの特徴部は、分割金型インサート314とキャビティインサート306との間の接合部における雄雌インターフェースを総じて画定する。キャビティインサート306及び分割金型インサート314が
図16の成形構成にあるとき、接合部344は、キャビティインサート306と分割金型インサート314との間のパーティングラインとして機能するか又は画定する。この例示的実施形態では、パーティングラインは、キャビティインサート306の環状のリップ333(突き合わせ面)と分割金型インサート314の内方に突出する肩部342(突き合わせ面)との間に形成されている。接合部344は、突き合わせ面が互いに接触して成形キャビティ305のパーティングラインを画定している(金型スタックが成形構成にある)成形構成と、突き合わせ面が引き離されてそれらの間に空間を画定し、該空間が成形キャビティ305の延長部として機能する、即ち、成形キャビティ305の成形面の一部となるクリーニング構成(金型スタック303が通気口クリーニング構成にあるとき)との間で調整可能に設計されている。
【0104】
金型スタック303が
図16の成形構成にあるとき、分割金型インサート314及びコア・リング339はそれらの間に通気口350を総じて画定する。通気口350は、いかなる実質的な量の溶融物も通過させずに成形キャビティ305から空気を抜くためのものである。これは、
図18(B)により詳細に示されている。
【0105】
図18(B)に示されているように、本実施形態の通気口350は、コア・リング339と分割金型インサート314の凹面358(凹部はテーパ付き雄部380の遠位端との位置関係にある)との間の分割線に形成されている。通気口350は、コア・リング339の端部を受容するための分割金型インサート314内に形成されたポケット353の内部に位置している。ポケット353は、テーパ付き雄部380と同軸である。通気口350は、二次通気口354に流体連通している一次通気口352を備える。
図18(B)では、一次通気口352は、分割金型インサート314とコア・リング339との間の垂直方向間隙として現われ、二次通気口354は、同一の2つの部品間の水平方向間隙として現れる。
【0106】
分割金型インサート314及びコア・リング339は、
図18(B)に示すように成形構成にあるとき、通気口350は、溶融物の通過を防止しながら空気を抜くように、即ち、いかなる実質的な量の溶融物が成形キャビティ305から通気口を通過することを許容しないで成形キャビティ305から通気口を通して空気を抜くことができるように構成されている。これは、一次通気口152及び二次通気口154の各々の間隙の適切な寸法づけによって達成することができる(例えば、使用される成形材料がPETである場合には30〜40ミクロンの範囲である)。成形構成において成形キャビティを排気するには通気口350の一次通気口352のみに依存されることに留意すべきである。
【0107】
一次通気口352は、金型スタック303の動作軸に直交して方向付けされ、かつ二次通気口354が金型スタック303の動作軸に平行であるため、金型スタック303及び/又は金型300がクリーニング構成に設置されているとき、二次通気口354の幅が略一定のままでありながら一次通気口352は拡張されてもよい。従って、金型スタック303がクリーニング構成にあるとき、二次通気口354は、いかなる実質的な量の溶融物に通気口を通過させることなく空気の通気口として機能し続けることができる。
【0108】
図19乃至
図23は、クリーニング構成における実施例金型300及び金型スタック303の様々な態様を示している。
図19は、
図15に示すものと同一の金型300の部分を示す断面立面図であるが、明瞭化のためにコアインサート310は省略されている。
図20は、
図19の一部の拡大断面立面図であり、コアロック式実施例金型スタック303がクリーニング構成にあるときのロックリング311、コア・リング339、分割金型インサート314、キャビティフランジ309及びキャビティインサート306間の相互作用を示している。
図21乃至
図23のそれぞれについては、以下に説明する。
【0109】
図19において、
図15のシステム300のシャットハイトが分割金型インサート314の両側に間隙G1及びG2を導入することによりS’まで増加された。第1の間隙G1は、分割金型インサート314とロックリング311/コア・リング339との間にあり、第2の間隙G2が分割金型インサート314とキャビティインサート306との間にある。間隙G1及びG2の導入により、標準的な成形サイクル中にバリ発生が通常起きない金型スタック303の3つの領域において、クリーニング成形サイクル中に制御されたバリ発生を行うことが今や可能である。
【0110】
間隙G1の導入により、制御されたバリ発生が今や実行できる第1領域は、上述した
図11の通気口150と同様に、コア・リング339と分割金型インサート314の間の通気口350内にある。
【0111】
間隙G2の導入により、制御されたバリ発生が今や実行できる第2領域は、分割金型インサート314とキャビティインサート306との間の接合部344内にある。
図23を参照すると、金型スタック303のクリーニング構成において、タング340が溝335から僅かに後退されたことを見ることができる。更に、キャビティインサート306の環状リップ333(突き合わせ面)が分割金型インサート314の内側に突出する肩部342(突き合わせ面)から僅かに分離された。これは、接合部344を再構成して突き合わせ面333及び342間に空間346を画定する。該空間は、溶融物を受容することができる成形キャビティ305の延長部として機能する。なお、接合部344が通気口としてよりはむしろ、通常パーティングラインとして機能するために、キャビティ延長領域346にバリを発生させることは、残留物のクリーニング目的のためには役に立たないことに留意すべきである。
【0112】
クリーニング構成において、接合部344はまた、補助溶融物バリア351を画定して溶融物の制御されないバリ発生を防止する、即ち、溶融物をキャビティ延長部346内に含む。本実施形態において、補助溶融物バリア351は、溶融物がその通気口を通過するのを防止しながらガスを排気するために適切に寸法付けされた補助通気口である。補助通気口351(
図23)は、金型スタック303に対して略長手方向に(軸方向に)方向付けされている(即ち、補助通気口は金型スタック303の長手方向又は動作軸に及び金型300の動作軸Aに略平行である)。これは、キャビティ延長部346と対照的であり、キャビティ延長部346は、金型スタック303に対して略横断方向(半径方向)に方向付けされている(即ち、キャビティ延長部346は、金型スタック303の長手方向又は動作軸に略直交している)。従って、補助通気口351及びキャビティ延長部346は、互いに略直交している。
【0113】
間隙G1及びG2の導入により、制御されたバリ発生を今や実行できる第3領域は、分割金型インサート半部分316、318間の通気口345の一次通気349部分内にある。
図20、
図21及び
図22を参照すると、間隙G1(
図20)が分割金型インサート314とコア・リング339との間に導入されたことに鑑みて(即ち、テーパ付き雄部380をテーパ付き雌シート370から部分的に引き出すことを鑑みて)、及び間隙G2(
図20)が分割金型インサート314とキャビティインサート306との間に導入されたことを更に鑑みて(即ち、テーパ付き雄部332をテーパ付き雌シート330から部分的に引き出すことを鑑みて)、分割金型インサート半部分316、318は、一次通気口349内でバリ発生が起こるのに適した寸法まで横方向に自由に分離することを見ることができる。言い換えると、分割金型インサート半部分316、318の軸線L(
図22)に沿った横方向の分離は、溶融物が入ってこられるように十分に一次通気口349の幅を増加させた。対照的に、二次通気口347の寸法は、いかなる実質的な量の溶融物が二次通気口を通過するのを防止しながら空気を抜くのに適切な寸法であり、概して一定のままであった。このように、分割金型インサート半部分316、318が
図20、
図21及び
図22に示されるクリーニング構成にあるとき、二次通気口347が分割金型インサート半部分316、318間の制御されないバリ発生を防止する。
【0114】
図20に示されているように、テーパ付き雌シート370は、テーパ付き雄部380の連動半部分の分離の程度を制限することによって、分割金型インサート半部分316、318の分離の程度を制限する、及びテーパ付き雌シート330は、テーパ付き雄部332の連動半部分336、338の分離の程度を制限することによって分割金型インサート半部分316、318の分離の程度を制限する。従って、分割金型インサート半部分316、318の分離の程度は、例えばシャットハイト調整機構(図示せず)を介して、若しくは本発明の譲受人に譲渡された国際公開第WO2014/117246号に記載されるような印加された型締めトン数の制御を通じて、間隙G1及びG2を適切に設定することによって制御することができる。
【0115】
図9及び
図20に関して上述したように、シャットハイト調整機構は、金型スタックをクリーニング構成に設置することができるように、金型のシャットハイトを調整するのに使用されてよい。この目的又は他の目的に使用できるシャットハイト調整機構を備える金型500が、
図24乃至
図45に示されている。
【0116】
図24を参照すると、実施例金型500は、側面立面図で示されている。この特定の金型500は、1回の成形サイクルにおいて144個のプリフォームのバッチで、プリフォームを成形するように設計されている(即ち、金型は計144の金型スタックを含んでいる)。成形品の種類及び個数は、他の実施形態において変えることができる。
【0117】
実施例金型500は、キャビティプレート組立体502、ストリッパープレート組立体525、及びコアプレート組立体504を含み、それぞれが互いに対して可動である。
図24はまた、コアプレート組立体504に固定されたスペーサ組立体590を示している。
【0118】
図示のように、金型の左側及び右側は、金型500のそれぞれ前側及び後側(裏側)と呼ぶ。この慣例は、便宜上使用されるものであり、使用中における金型500のいずれかの特定の向きを必ずしも暗示しているわけではない。一貫性のために、同じ慣例が金型500及びその部品の説明全体にわたって即ち、
図24乃至
図45の全体にわたって使用されている。
【0119】
図25及び
図26は、金型500のキャビティプレート組立体502の裏面斜視図と表面斜視図をそれぞれ示している。図示されるように、キャビティプレート組立体502は、縦8列の18ユニット(即ち、合計144ユニット)において複数のキャビティインサート506を有するキャビティプレート508を含む。各キャビティインサート506は、キャビティプレート508の前面に取り付けられる各キャビティフランジ509(
図26)によって定位置に保持される。複数のトンブロック513は、キャビティプレート508の前側に取り付けられている。当該技術分野において知られているように、トンブロックは、金型内の金型スタックに過剰な力が印加される、及び恐らくは損傷を与えるのを回避するために、金型に印加される型締め力の一部を支えるために使用されてもよい。標準的な成形構成において、トンブロック513は、キャビティプレート508とストリッパープレート520との間の力を伝達するのに使用されてもよい。トンブロックの高さは、その構成においてキャビティプレート508とストリッパープレート520との間の適切な又は所望される距離を設けるように選択されてもよい。理解されるように、通気口クリーニング構成において、トンブロック513は、停止部材560(後述)を介してキャビティプレート508とスペーサフレーム594との間の力を伝達する代わりに、ストリッパープレート520及びコアプレート512の両方を迂回させる。
図26に示す実施形態では、トンブロック513は、キャビティプレート508上のキャビティインサート506の8列間に合うように、7列に配置されている。
【0120】
図27及び
図28は、金型500のストリッパープレート組立体525の裏面斜視図及び表面斜視図をそれぞれ示す。図示されるように、ストリッパープレート組立体525は、ストリッパープレート520を含み、8対のスライダーバー522、523がストリッパープレートに摺動可能に結合されている。スライダーバーは、
図27において略垂直方向に方向付けされている。スライダーバーの各対には、18個の分割金型インサート514が取り付けられており、分割金型インサート半部分516、518の各々は、一対のスライダーバー522、523のそれぞれ1つに取り付けられている。各対のスライダーバー522、523は、例えば成形されたプリフォームのネックフィニッシュ部を解放するために、互いに対して略水平方向に往復可能である。3つの略水平方向の対の連結バー577、578は、全てのスライダーバー対に結合され、かつ連係された往復運動を駆動するために使用されてもよい。
【0121】
ストリッパープレート組立体525は、ストリッパープレート520におけるそれぞれの穴の中に摺動可能に受容される複数の停止部材560(
図28)を更に含む。停止部材560は、例えばクリーニング構成において金型スタックを配置するために、金型500のシャットハイトを選択的に増加させるのに使用されるシャットハイト調整機構の一部である。
図28に示すように、本実施形態は、プレート520の領域全体にわたって分布している合計28個の停止部材560を含む。複数の停止部材560の使用により、金型型締め力がそれらの間に配分されることが可能となり、かつ単一の停止部材への損傷又はプレート520の曲げの虞を低減させることができる。実施例停止部材560が
図29に示されている。明確化のために、参照符号560は、本明細書において停止部材560を総じて参照するために使用されるだけでなく、一般的にも参照するために使用される。
【0122】
図29を参照すると、実施例停止部材560が斜視図で示されている。停止部材は、例えば金型500の通常の成形動作時に金型500が標準シャットハイトSを生じさせるときに、格納されることが意図され、かつ例えば金型500のクリーニング動作時に、金型500に増加シャットハイトS’を生じさせるために配備されることが意図される。特に、停止部材は、この例示的実施形態ではストリッパープレート520のことである、金型部品の両側(前側及び後側)に間隙を与えることにより金型のシャットハイトを増加させるように設計されている。その目的のために、停止部材560は、2つの停止部、即ち、停止部材が配備されるときに停止部として機能する又は停止部を画定する特徴部を有する。理解されるように、第1停止部は、ストリッパープレートの前側に第1の間隙(G1)を与えるように設計され、第2停止部は、ストリッパープレートの後側に第2の間隙G2を与えるように設計されている。
【0123】
本実施形態の実施例停止部材560は、円柱状ピンの形態を取っている。代替実施形態における停止部材は、異なる形状を有してもよい。ピンは、2つの端部570、572を有しており、それらは停止部材560の頭端部570と尾端部572とそれぞれ呼んでもよい、またそれぞれは、本実施形態において略平坦である。停止部材560は、前方部分566と後方部分564とを有する。前方部分566は、停止部材560の第1停止部を画定し、後方部分564は、停止部材560の第2停止部を画定する。
【0124】
停止部材560の前方部分566は、停止部材の頭端部570からラジアルフランジ568を通過し終わるまで延在し、後者は停止部材560において突起の形態にある。ラジアルフランジ568は、第1停止部として機能するか又は画定する本実施形態の停止部材の特徴部である。停止部材560の前方部分566は、隣接するコア・プレート(後述)を通って穴内に摺動可能に受容されるように寸法付けされる。前方部分566は、長さL2(ラジアルフランジ568の後面565から停止部材560の頭端部570まで測定される)を有し、その長さはコアプレートの厚さT2より僅かに大きい。
【0125】
停止部材560の後方部分564は、停止部材の尾端部572と第1停止部との間を延在し、かつストリッパープレート520を通って対応する穴562内に摺動可能に受容されるように構成される(寸法付け及び形状が設定される)。後方部分564は、長さL1を有し、これはラジアルフランジ568の後面565から停止部材560の尾端部572まで測定される。長さL1は、ストリッパープレート520の厚さT1よりも僅かに大きい。これにより、停止部材560が穴562内へ挿入されるとき、及び第1停止部(ここでは、ラジアルフランジ568の後面565)がストリッパープレート520の表側567に係合するとき(フランジ568が穴562より幅広である事実を鑑みて)、停止部材560の尾端部572は、ストリッパープレート520の後側569から僅かに突き出て位置する、即ち僅かに突出している。理解されるように、突出尾端部572は、ストリッパープレート520の後面側569に間隙G2(
図45)を与える第2停止部として機能する。
【0126】
本実施形態では、前方部分566の直径は、後方部分564の直径よりも大きい。この相対的な寸法付けは、金型500の隣接する部品の幾何的形状によって決定されてもよく、若しくは金型500の隣接する部品によって決定されるサイズ制限によって決定されてもよい。代替的な実施形態の前方部分及び後方部分の直径は、同一でも異なっていてもよい。
【0127】
図29の実施例停止部材560の後方部分564は、複数の外周溝555、557、559をその内部に有する。外周溝555(後方部分564の単一の段差直径と考えられ得る)は、軸方向の圧縮荷重下で溝557から離れて、停止部材内の応力をリダイレクトすることができる。これによって停止部材560を降伏させる可能性がある、過度な応力を回避することができる。溝555と557とを多少の距離だけ分離することは、後述する停止部材傾斜回避効果を損なうことを犠牲にしてこれを促進することができる。
【0128】
外周溝557、559はそれぞれ、Oリングを収納してもよい。Oリングは、封止することを意図しているよりはむしろ、格納時に停止部材560の軸方向の動きを減衰又は制限させるのに役立てばよい。Oリングは、ストリッパープレート520における停止部材560と穴562との間の篏合を向上させるように設計され得る。これは、金型500が標準的な成形の目的で使用されるとき、穴562内での停止部材560のガタつきを有利に低減する又は解消することができる。これによって、ラジアルフランジ568上の衝撃荷重を低減又は解消することができ、これは結果的に、ラジアルフランジ565への損傷のリスクを低減することができる。O-リングは、どちらかを選んで又は合同で、停止部材560の落下/穴562内での傾きを制限してもよい。これによって停止部材560に軸方向に負荷がかけられたとき、ゆがみ矯正前に停止部材560の縁部に過大な負荷がかからないようにすることができる。後者は、高い程度の荷重がスペーサフレーム594及びトンブロック513に潜在的にかかる可能性がある。溝/Oリングはまた、スペーサ598との停止部材560の位置合わせを促進するために停止部材560を穴562内の中心に置くことに役立つことができる。幾つかの実施形態では、外周溝は、同様の利益を提供する目的で、ストリッパープレート520における穴562にその代わりに追設される可能性がある。後者は、前者よりも製造することがより困難になり得、またOリングの取付けを複雑化し得る。
【0129】
図29を参照すると、停止部材560は、保持機構の形態の連動保持ピン580を有することを見ることができる。保持ピン580の役割は、使用中にストリッパープレート520で停止部材560を保持すること、即ち停止部材560が金型500の動作中に穴562から落下するのを防止することである。本実施形態の実施例保持ピン580は、ネジ付き端部584付き締結具582及びラジアルリップ586を備える。ネジ付き端部584は、ストリッパープレート520における対応するネジ付き穴588に螺合する。
【0130】
保持ピン580及びストリッパープレート520は、停止部材560のラジアルフランジ568の動き(軸線方向の遊び)の範囲を総じて規定する。この範囲の前方限界は、ラジアルフランジ568の前面とラジアルリップ586の後面との間の接触によって規定される。この範囲の後方限界は、ラジアルフランジ568の後面とストリッパープレート520の前面との間の接触によって規定される。そこで、保持ピン580及びストリッパープレート520は、金型500の動作軸線に沿ってストリッパープレート520に対する停止部材560の軸方向の遊びの範囲を総じて規定する。
【0131】
図30及び
図31は、金型500のコアプレート組立体504をそれぞれ、後面斜視図及び前面斜視図で示す。これらの図面を参照すると、コアプレート組立体104が複数のコアインサート部510及びそこから突出する各ロックリング511を備えたコアプレート512を含むことを見ることができる。コアインサート510及び各ロックリング511は、18個のユニットの8個の略鉛直方向の列に配置されており、ストリッパープレート520上の分割金型インサート514及びキャビティプレート508上のキャビティインサート506の配置に対応している。
【0132】
コアプレート512は、複数の穴530を更に含み、各々は対応する停止部材560の前方部分566(
図29)を摺動可能に受容するように構成されている。コアプレート512を通る穴530の数は、本実施形態における停止部材560の数、即ち、28個に対応する。この数は、実施形態によって変わり得る。
【0133】
コアプレート512(
図30)の後面上において、鍵穴形状の窪み部532が各穴530を取り囲んでいる。窪み部532は、停止部材560のラジアルフランジ568及び停止部材560に連動している保持ピン580の双方を収容する。
【0134】
穴530に加えて他の穴が、コアプレート512を貫通して形成されてもよいし、また他の目的に使用されてもよい(例えば、成形品の取り外し時に使用されるイジェクトピンを収納する)。これらは、本明細書の中心をなすものではない。
【0135】
図32及び
図33は、金型500の部品のスペーサ組立体590を、それぞれ後面斜視図及び前面斜視図で示している。スペーサ組立体590は、スペーサバッキングプレート592及びスペーサバッキングプレート592の後面の相補的な形状の凹部596内に着座しているスペーサフレーム594を含む。スペーサフレーム594は、複数の(ここでは、28個の)スペーサ598を一体的平面ユニットへ相互接続する。各スペーサ598は、それぞれの停止部材560と連動している。スペーサフレーム594は、アウトボード位置とインボード位置との間でアクチュエータ599(例えば、空圧式又は油圧式のアクチュエータであってよい)の制御下で凹部596内において往復可能である。
図32に示される、アウトボード位置では、スペーサ598は、それらの対応する停止部材560との位置合わせから外れ、金型が標準的な成形構成において使用されているとき、凹部596内で停止部材560の頭端部570のスペースを確保する。
図41に示される、インボード位置では、スペーサ598は、それらの対応する停止部材560と位置合わせされている。後述するように、各停止部材560の環状フランジ568と尾端部572がそれぞれの停止部を画定するそれらの配備位置へ停止部材560を配備するためである。
【0136】
図34は、金型500の一部分の分解図であり、単一の実施例停止部材560と様々な近傍の金型部品との間の関係を示している。
図34は、本実施形態のシャットハイト調整機構501(又はその一部)を構成するように考えられている。図示するように、停止部材560の後方部分564は、ストリッパープレート520における穴562内に摺動可能に受容されるように構成される。保持ピン580のネジ付き端部584は、ストリッパープレート520で停止部材560を保持するためのネジ付き穴588に挿通するために構成される。停止部材560の尾端部572は平坦である。この形状が、キャビティプレート508の前側から延在するトンブロックに当接するのに適している。
【0137】
停止部材560の前方部分566は、コアプレート512における穴530内に摺動可能に受容されるように構成されている。コアプレート512の後面における鍵穴形状の窪み部532は、コアプレート512とストリッパープレート520とが当接しているとき(窪み部532の主円形領域がラジアルフランジ568を収容し、かつネック領域533が保持ピン580を収納しているとき)停止部材560のラジアルフランジ568並びに保持ピン580の双方を収容するように十分に深い。停止部材560は、スペーサプレート592における凹部596と位置合わせされている。凹部596内のスペーサ598がアウトボード位置(
図34に示すように)若しくはインボード位置にあるかに応じて、停止部材560の端部570はそれぞれ、凹部596内に自由に受容されるか、若しくはスペーサ598に当接しているかのいずれかである。
【0138】
金型500のシャットハイトを増加させるための動作4600は、
図46にフローチャートの形式で示されている。推定される金型は、例えば
図24に示されるように、最初は標準的な成形構成にある。
図35を参照すると、金型500がシャットハイトSを有して標準的な成形構成にあるときの実施例停止部材560及び周辺部品の断面が示されている。
【0139】
金型500が標準的な成形構成にあるとき、
図35に示されるように、停止部材560は、格納(非配備)位置にある。格納位置では、停止部材560は、ストリッパープレート520を貫通した穴562、コアプレート512を貫通した穴530、及びコアプレート512の裏の凹部596によって形成された集合的空間内に完全に収容される。より具体的には、停止部材560の前方部分566(後方部分564から離された状態で破線で
図35に示されている)は、大部分が穴530内に、且つ部分的には凹部596内に収容され、停止部材560の後方部分564は、大部分が穴562内に、且つ部分的には穴530内に収容されている。
図35から理解できるように、停止部材560が格納位置にあるとき、停止部材560は、ストリッパープレート520がコアプレート512又はトンブロック513のいずれかに当接するのを妨げない。トンブロック513は、キャビティプレート508(後者は
図35に図示しないが)に取り付けられている。格納位置では、アクシャルフランジ部568も尾端部572も停止部として機能しない。
【0140】
図35に更に示されるように、停止部材560が格納位置にあるとき、停止部材560の尾端部572は、トンブロック513に当接するか、若しくは極めて接近している。その理由は、成形サイクルの準備に際して、トンブロック513がストリッパープレート520に当接させられるとき、停止部材560が格納位置まで前方に押しやられるからである。停止部材560の頭端部570は、凹部596内の自由空間内にある。この状況が起きるのは、停止部材560の後方部分564の長さL1及び停止部材560の前方部分566の長さL2の合計がコアプレート512及びストリッパープレート520の合計の厚みを超えるからである。
図35では、スペーサ598は、停止部材560との位置合わせから外れている、アウトボード位置にある。
【0141】
動作4602(
図46)では、金型500は、開放されている。この実施形態では、金型を開放することは、キャビティプレート組立体502から離れて、金型500の動作軸に沿って、プラテン506、コアプレート組立体504、及びストリッパープレート組立体525を前方に総じて移動させることを伴う。従って、ストリッパープレート520は、トンブロック513(
図37)から離れて前方に移動する。
【0142】
動作4604(
図46)では、停止部材560がスペーサ598をクリアするまで、金型500の動作軸に沿って、停止部材560とスペーサ598との間に相対移動が提供される。本実施形態では、これは、ストリッパープレート組立体525をコアプレート組立体504(
図38)から後方に離れる方向に移動させることにより達成される。ストリッパープレート520が後方へ移動すると、停止部材560は、それらのそれぞれの保持ピン580(
図39)によってストリッパープレート520によって保持される。ストリッパープレート組立体525の後方への移動は、停止部材560の頭端部570がスペーサ598をクリアするために十分である。
【0143】
動作4606(
図46)では、スペーサ組立体590のアクチュエータ599は、スペーサフレーム594をアウトボード位置からインボード位置まで(
図40及び
図41)スペーサバッキングプレート592の凹部596内に並進させるために起動される。スペーサ598は、それに応じて停止部材560との位置合わせから外れているアウトボード位置から停止部材560(
図42)と位置合わせされるインボード位置まで移動される。
【0144】
動作4608(
図46)では、スペーサ598が停止部材をブロックして、それによって停止部材を配備位置へ配備するまで、金型の動作軸に沿って停止部材560とスペーサ598との間で相対移動が提供される。本実施形態では、これは、ストリッパープレート組立体525をコアプレート組立体504(
図43)に向かって前方へ移動させることにより達成される。これは、停止部材560の頭端部570がスペーサ598(
図44)と接触、係合又は当接するまで行われる。スペーサ598によってブロックすることは、停止部材560の前方への移動を阻止する。
【0145】
停止部材560の前方部分566の長さL2に関して、スペーサ598が停止部材560をブロックするとき、前方部分566の一部分(ここでは、ラジアルフランジ568の一部分)は、コアプレート512の裏面から突き出て着座している。
【0146】
動作4610(
図46)では、配備停止部材の第1停止部がストリッパープレート520と係合するまで、ストリッパープレート520と配備停止部材560との間に相対移動が提供される。本実施形態では、これは、第1停止部(ラジアルフランジ568)がストリッパープレート520に係合するまで、穴562が阻止停止部材560の後方部分564の回りに摺動する状態で、ストリッパープレート520を更に短い距離だけ前方に移動し続けることによって達成される。この係合がストリッパープレート520の前方への移動を阻止することが理解されるであろう。
【0147】
第1停止部がストリッパープレート520に係合したとき、ストリッパープレート520の前側に第1の間隙G1が設けられる。本実施形態では、これは、ラジアルフランジ568がコアプレート512の裏面を突き出て着座するという事実による。これによって、間隙G1がコアプレート512とストリッパープレート520との間に画定される。
【0148】
更に、配備済み停止部材5600の第2停止部は、今や位置付けられて、ストリッパープレート520の裏側において第2の間隙G2を設ける。特に、停止部材560の後方部分564の長さL1は、本実施形態におけるストリッパープレート520の厚さT1を僅かに超えているため、停止部材560の尾端部572は、ストリッパープレート520の裏面を突き出て着座する。
【0149】
最後に、動作4612(
図46)では、金型500は閉じられ、即ちプラテン506、コアプレート組立体504、及びストリッパープレート組立体525は、キャビティプレート組立体502に向けて、金型500の動作軸に沿ってすべて総じて後方に移動される。停止部材560の尾端部572がトンブロック513に接触するとき、この後方移動は阻止される。上述のように、尾端部572がストリッパープレート520の裏面から突き出て着座するため、間隙G2は、トンブロック513とストリッパープレート520との間でストリッパープレート520の裏側に生成される。この結果、金型のシャットハイトは、今やS’まで増加して、これは、元々のシャットハイトに2つの間隙G1及びG2の合計を加算したものに等しい。
【0150】
金型500がこの構成にあるとき、金型500に印加される、いかなる金型型締め力は、停止部材560、スペーサ598、スペーサプレート592を通ってプラテン506まで伝達され、ストリッパープレート520及びコアプレート512をバイパスする。所望であれば、金型500内の金型スタックは、クリーニング構成に置くことができる。これは、金型500が
図46に示す構成にあるとき、
図10及び
図20に関連して上述したことと同様である。
【0151】
理解されるように、上述したシャットハイト調整機構は、金型部品、この場合ではストリッパープレートの両側に間隙を画定するための停止部材(又はそれの複数の事例)を使用している。このような機構によって、2つの間隙のそれぞれを画定するための2つの別個の機構の必要性が解消されてもよい。これによって、金型の複雑さ及び/又はコストが低減され得る。更に、シャットハイト調整機構は、各停止部材を、より長い又は短い後方部分、より長い又は短い前方部分、又はその双方を有する新たな停止部材に単に交換することによって、間隙G1、G2、又は双方の異なるサイズを規定するために容易に再構成可能である。
【0152】
金型のシャットハイトをS’からSまで低減するために、方法4600(
図46)の動作が本質的に繰り返されるが、3つの例外がある。
【0153】
第1に、動作4606では、スペーサ598をインボード位置からアウトボード位置へ移動させる。即ち反対向きではない。
【0154】
第2に、動作4608及び4610では、停止部材560の頭端部570がスペーサプレート590内の凹部596に入るまで、金型の動作軸に沿って停止部材560とスペーサ598との間に相対移動が提供される。特に、ストリッパープレート組立体525を前方に移動させてストリッパープレート520を停止部材560の第1停止部568に係合させるとき、ストリッパープレート組立体525の後方への移動は、必ずしも阻止されない。これは、スペーサ598のアウトボード位置を想定したときの、停止部材560の前方の凹部596内の自由空間を鑑みてである。むしろ、ストリッパープレート520は、コアプレート512の裏面と面一になるように、停止部材560の第1停止部(ラジアルフランジ568)を押して、コアプレート512に当接する。そこで、停止部材560の第1停止部は、ストリッパープレート520に係合しない。
【0155】
第3に、動作4612での金型を閉めるときに、トンブロック513が停止部材560の尾端部572に係合すると、キャビティプレート508の後方への移動は、必ずしも阻止されない。むしろ、停止部材560の前方の凹部596内の自由空間を鑑みて、キャビティプレート508の前面がストリッパープレート520の裏面に当接するまで、キャビティプレート508は、ストリッパープレート520及びコアプレート512に対して停止部材560を押すことになる。換言すると、停止部材560(尾端部572)の第2停止部は、第2の間隙G2を設けるように機能しない。これは、停止部材560が配備位置にいない(即ち、スペーサ598及びそのすぐ隣のバッキングプレート590によって移動からブロックされない)ためである。その結果、停止部材560は、本来、
図35に示されるその格納位置を再び達成し、かつシャットハイトは、元々のシャットハイトSに逆戻りする。
【0156】
種々の代替的な実施形態が可能である。
【0157】
上述した分割金型インサート114において、分割金型インサート半部分116、118間に画定された通気口145は、第1分割金型インサート半部分116の合わせ面192に形成された凹部(例えば、溝)を備える。同様に、金型スタック303の分割金型インサート半部分316、318間に画定された通気口345は、合わせ面392のみに形成された凹部を備える。代替的な実施形態では。このような凹部及び/又は溝が、他方の分割金型インサート半部分118又は318の対向する合わせ面190又は390に、それぞれ、代替的に又は追加的に現れることが可能であることが理解されるだろう。
【0158】
上述したシャットハイト調整機構において、停止部材560の尾端部572は、金型500が増加シャットハイト構成にあるとき、キャビティプレート508に取り付けられたトンブロック513に係合する。代替的な実施形態では、例えば金型がトンブロック513を欠いているならば、停止部材の尾端部がキャビティプレート508に直接係合できることが理解されるであろう。
【0159】
上述したシャットハイト調整機構は、上述した残留物クリーニング特徴部無しで使用してもよい、その逆も同様である。即ち、本明細書に開示されたシャットハイト調整機構のいずれもが、本明細書に開示されるような残留物クリーニング特徴部を有する任意の金型スタックとは無関係に、使用されてもよい。逆に、本明細書に開示されるようなクリーニング特徴部を有する任意の金型スタックが、本明細書に開示されるシャットハイト調整機構に関係なく使用されてもよい。
【0160】
幾つかの実施形態において、テーパ付き雌シートは、キャビティインサート106及びキャビティフランジ109によって総じて画定されるよりはむしろ一体型部品で形成されてもよい。
【0161】
停止部材560がラジアルフランジ付き円筒状ピンであることは必要ではない。他の実施形態において、停止部材は、代わりに例えば矩形バーなどの別の形態を取ってもよい。第1停止部がラジアルフランジである必要はなく、例えば、隆起部、肩部、階段部、リップ又は突起等の、突出部の代替的な形態であってもよいことが理解されるであろう。同様に、第2停止部が必ずしも停止部材の尾端部である必要はなく、その代わりに、例えば停止部材の肩部、階段部、リップ又は隆起部等の他の特徴部であってもよい。
【0162】
停止部材をその連動金型部品(ここでは、ストリッパープレート)で保持するための保持ピンを使用することは必要ではない。
【0163】
停止部材は、全ての実施形態において、必ずしもストリッパープレート金型部品で保持される必要はないことが理解されるであろう。幾つかの実施形態では、停止部材は代わりに隣接する金型部品、例えばコアプレートで保持されてもよい。そのような実施形態では、停止部材は、停止部材の頭端部がスペーサをクリアする後方限界までコアプレートに対して後方に偏らせてもよい。これを行なうのは、金型が開放されて、かつストリッパー組立体がコアプレート組立体から分離されるとき、(即ち、第1停止部(ラジアルフランジ)がストリッパープレートと係合しなくなるとき)、停止部材が後方偏移により、その頭端部がスペーサのアウトボード位置からインボード位置までの移動に干渉しない位置を達成することを確実に行うためであってよい。
【0164】
停止部材の後方部分の長さL1は、典型的には、ストリッパープレートの厚さよりも大きい。それにもかかわらず、幾つかの実施形態では、長さL1を、必要な間隙G2を設けるためにキャビティプレートの裏面上に対応するこぶ(nub)を付けて配備されるとき、停止部材の尾端部がストリッパープレートの前面と面一又は下方になるようにすることが可能である。
【0165】
シャットハイト調整機構501の上記実施形態において、停止部材560の第1停止部568と金型部品(ストリッパープレート)520との間の係合は、金型の増加シャットハイトS’がもたらされた場合、停止部568の後面565とストリッパープレート520の前面567と間の直接係合である。幾つかの実施形態では、この係合が間接的であり、例えば、第1停止部と金型部品との間で直接的ではなくむしろ、1つ以上の中間部品を通して発生し得ることが理解されるであろう。他の変更が、以下の特許請求の範囲内で行われ得る。