(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974545
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】受動的再始動Yサイト
(51)【国際特許分類】
A61M 39/22 20060101AFI20211118BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20211118BHJP
A61M 5/38 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
A61M39/22
A61M5/168 504
A61M5/168 506
A61M5/168 540
A61M5/38 500
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-115661(P2020-115661)
(22)【出願日】2020年7月3日
(62)【分割の表示】特願2016-575744(P2016-575744)の分割
【原出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2020-171746(P2020-171746A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2020年7月30日
(31)【優先権主張番号】14/319,948
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
【審査官】
磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−198225(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102743809(CN,A)
【文献】
米国特許第04256103(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/22
A61M 5/168
A61M 5/38 ー 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次フローポート(108)と、
出口フローポート(110)と、
前記一次フローポートと前記出口フローポートの間に流体結合されたチャンバ(104)と、
前記チャンバに流体結合された二次フローポート(106)と、
前記一次フローポート(108)と前記出口フローポート(110)の間で前記チャンバ(104)内に延在する下方部分(134)と、前記下方部分(134)から前記一次フローポート(108)に向かって延在する上方部分(132)とを有する弁ガイド(122)であって、前記上方部分(132)が、前記下方部分(134)から前記一次フローポート(108)に向かって延在する複数の指(136a、136b、136c)を備える、前記弁ガイド(122)と、
前記複数の指(136a、136b、136c)と前記弁ガイドの前記下方部分(134)との間で前記チャンバ(104)内に位置決めされた弁(114)と
を備え、
前記弁ガイドの前記下方部分(134)が前記出口フローポート(110)に向かう前記弁(114)の移動に抵抗するように構成される、流体送達Yサイト(100)デバイス。
【請求項2】
前記弁(114)と前記出口フローポート(110)の間で前記チャンバ(104)内に位置決めされ、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて前記弁(114)に対して係合するように移動するように構成される、フロート(112)をさらに備える、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項3】
前記フロート(112)が、前記チャンバ(104)内の流体レベルに基づいて、弁(114)と独立して移動可能である、請求項2に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項4】
前記二次フローポート(106)が、前記弁(114)と前記出口フローポート(110)との間に位置決めされる、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項5】
開口が、前記複数の指(136a、136b、136c)の隣接する指の間で、前記弁ガイドの前記上方部分(132)を通って延在する、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項6】
通路(142)が、前記弁ガイドの前記下方部分を通って延在する、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項7】
前記弁(114)が、一次フローポート(108)に対して係合するように構成された上方の凸面と、前記弁ガイドの下方部分(134)に対して係合するように構成された下方の凹面とを備える、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項8】
前記弁(114)は、前記弁の上面が前記一次フローポート(108)に対して係合される閉塞構成と、前記弁の下面が前記弁ガイドの前記下方部分(134)に対して係合される開構成とを備える、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項9】
チャンバ(104)と、
一次フローポート(108)と、
二次フローポート(106)と、
前記チャンバに流体結合された出口フローポート(110)と、
前記一次フローポート(108)と前記出口フローポート(110)との間で前記チャンバ(104)内に位置決めされ、閉塞構成と開構成との間で移動するように構成された弁(114)と、
前記弁(114)と前記出口フローポート(110)との間で前記チャンバ(104)内に位置決めされ、下方部分(134)と上方部分(132)を有する弁ガイド(122)であって、前記上方部分(132)が、前記下方部分(134)から前記一次フローポート(108)に向かって延在する複数の指(136a、136b、136c)を備え、前記下方部分(134)が、開構成において前記出口フローポート(110)に向かう前記弁(114)の移動に抵抗するように前記チャンバ(104)内に延在し、前記弁(114)が、前記複数の指(136a、136b、136c)と前記弁ガイド(122)の前記下方部分(134)との間に位置決めされる、弁ガイド(122)と、
を備える流体送達Yサイト(100)デバイス。
【請求項10】
前記弁(114)と前記出口フローポート(110)との間で前記チャンバ(104)内に位置決めされ、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて前記閉塞構成に向かって前記弁を移動するように構成されたフロート(112)をさらに備える、請求項9に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項11】
前記フロート(112)は、前記チャンバ(104)内の前記流体レベルが充填閾値を下回るとき、前記弁(114)の前記開構成への移行を可能にするように構成される、請求項10に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項12】
前記閉塞構成において、前記フロート(112)が、前記一次フローポート(108)に向かって前記弁を進ませるように前記弁に対して係合する、請求項10に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項13】
前記フロート(112)が、前記チャンバ(104)内の流体レベルに基づいて、弁(114)と独立して移動するように構成される、請求項10に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項14】
前記開構成において、前記フロート(112)が前記弁(114)から離間される、請求項10に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項15】
前記上方部分(132)は、前記複数の指(136a、136b、136c)の隣接する指の間に開口を備え、該開口は、液体が前記弁(114)の半径方向の周辺部の周囲で移動することを可能にするように構成される、請求項9に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項16】
前記下方部分(134)は、液体が前記弁ガイド(122)の前記上方部分(132)と、前記弁ガイドと前記出口フローポート(110)との間の前記チャンバ(104)の一部との間で移動することを可能にするように構成される、請求項9に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項17】
前記複数の指(136a、136b、136c)の隣接する指が互いに特定の距離だけ離間している、請求項1に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項18】
前記複数の指(136a、136b、136c)の間に、前記上方部分(132)の周辺部を通る開口が形成されている、請求項17に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項19】
前記複数の指(136a、136b、136c)の隣接する指が互いに特定の距離だけ離間している、請求項9に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【請求項20】
前記複数の指(136a、136b、136c)の間に、前記上方部分(132)の周辺部を通る開口が形成されている、請求項19に記載の流体送達Yサイトデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療用の流体コネクタの分野に関し、詳細には、医療用の輸液治療において使用するためのYサイトコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の輸液治療には、針又はカテーテルを介する薬物の投与が伴う。薬物は、静脈内、筋肉内又は硬膜外の技術を利用して投与され得る。典型的には輸液治療は、管類を介して患者の静脈内の針又はカテーテルに結合された流体源を含む。流体源は、薬物、希釈剤又は任意の他の流体を含む場合があり、これらは通常、流体源から管類を通って患者の体内へと滴り落ちる。患者の体内に追加の流体を取り込み易くするために、流体源と患者の間のフローの経路内にYサイトデバイス又はコネクタ(「Yサイト(Y−site)」)が設置される場合がある。
【0003】
Yサイトは、二次流体源を一次流体源と患者の間に確立された流体経路に結合させることができるポートを提供する。一次及び二次流体源からの流体のフローを制御するために、各々の流体源は特定の高さでつり下げられる。例えば薬物を中に含む二次流体源を希釈剤を中に含む一次流体源を有するフローの経路に連結させることで、薬物が一次流体源から患者への流体フローにおいて患者へと送達され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、一次フローポートと出口フローポートの間に流体結合されたチャンバと、チャンバに流体結合され、流体をチャンバに伝えるように構成された1つ又は複数の二次フローポートと、一次フローポートに隣接して位置決めされ、チャンバ内の流体レベルに基づいて閉塞構成と開構成の間を移動するように構成され、その結果、一次フローポートを通ってチャンバへと流れ込む流体フローを制御する弁とを備える流体送達Yサイトデバイスを提供する。
【0005】
本開示の特定の実装形態によると、Yサイトデバイスを介して流体を制御する方法は、一次フローポートと出口フローポートの間に流体結合されたチャンバを用意するステップと、チャンバに流体結合され、チャンバに流体を伝えるように構成された二次フローポートを用意するステップと、一次フローポートに隣接して位置決めされる弁を用意するステップと、チャンバ内の流体レベルに基づいて閉塞構成と開構成の間で弁を移動させ、その結果、弁が一次フローポートを通ってチャンバへと流れ込む流体フローを制御するステップとを含む。
【0006】
主題の技術の追加の特徴及び利点は、以下の記載において説明されており、その一部は、この記載から明らかになると思われ、又は主題に技術の実施によって理解される場合もある。主題の技術の利点は、その書面による記載及びそのクレーム並びに添付される図面において詳細に指摘される構造によって実現され達成されるであろう。
【0007】
上述の包括的な記載及び以下の詳細な記載は共に、例示であり説明するものであり、主張される主題の技術のさらなる説明を提供することが意図されていることを理解されたい。
【0008】
添付の図面は、主題の技術のさらなる理解を実現するために含まれており、この記載の一部に組み込まれこれを構成しており、主題の技術の態様を例示しており、明細書と併せて主題の技術の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】医療用輸液治療において使用されるYサイトを示す図である。
【
図2A】本開示の態様による開構成における受動的再始動Yサイトの一実施例の前方図である。
【
図2B】
図2Aの受動的再始動Yサイトの一部の断面図である。
【
図3】本開示の態様による第1の構成における受動的再始動Yサイトの一実施例の前方図である。
【
図4】本開示の態様による第2の構成における受動的再始動Yサイトの一実施例の断面図である。
【
図5】本開示の態様による第3の構成における受動的再始動Yサイトの一実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な記載において、主題の技術の理解を与えるために特定の詳細が記載されている。しかしながら主題の技術は、このような特定の詳細の一部がなくても実施され得ることは当業者に明らかであろう。他の例では、よく知られた構造及び技法は、主題の技術を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0011】
「一態様」などのフレーズは、そのような態様が主題の技術にとって必須であること、又はそのような態様が主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆してはいない。一態様に関連する開示は、全ての構成或いは1つ又は複数の構成に適用される可能性がある。一態様は、この開示の1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「一態様」などのフレーズは、1つ又は複数の態様を指す場合があり、且つその逆もまた同様である。「一実施例」などのフレーズは、そのような実施例が主題の技術にとって必須であること、又はそのような実施例が、主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆していない。一実施例に関連する開示は、全ての実施例或いは1つ又は複数の実施例に適用される可能性がある。一実施例は、この開示の1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「一実施例」などのフレーズは1つ又は複数の実施例を指す場合があり、その逆もまた同様である。「一構成」などのフレーズは、そのような構成が主題の技術にとって必須であること、又はそのような構成が主題の技術の全ての構成に適用されることは示唆していない。一構成に関連する開示は、全ての構成或いは1つ又は複数の構成に適用される可能性がある。一構成は、この開示の1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「一構成」などのフレーズは、1つ又は複数の構成を指す場合があり、且つその逆もまた同様である。
【0012】
本開示は、医療用の輸液治療において使用するための受動的再始動Yサイトに関する。
図1は、一次流体源402と、二次流体源404に流体結合された受動的再始動Yサイト100を示す。受動的再始動Yサイト100は、一次流体源402及び二次流体源404を受け取り、患者(図示せず)に対するこれらの送達を制御するように構成される。一部の例において、流体は、患者に向けられる前に輸液ポンプ(これも示されない)を通るように誘導される。
【0013】
図2Aから
図3を参照すると、受動的再始動Yサイト100は、チャンバ104と、流体がチャンバ104に進入することができる2つ以上のフローポートと、流体がチャンバ104を出て行くことができるポートとを形成する本体102を備える。いくつかの実施例において、本体102は、一次流体402が本体102に進入することができるポートと、二次流体404が本体102に進入することができるポートと、いずれかの流体が本体102から出て行くためのポートとを備える。好ましい一実施例において、本体102は、頂部ポート108と、底部ポート110とを備え、その間にチャンバ104を有する。頂部ポート108と底部ポート110の間で側部ポート106がチャンバ104に流体式に接続される。一次流体402は、頂部ポート108からチャンバ104に進入することができ、二次流体404は、側部ポート106からチャンバ104に進入することができる。いずれかのポートからチャンバ104に進入する流体は、底部ポート110からチャンバを出て行くことができる。ルアー式継ぎ手などの流体継ぎ手を使用して、頂部ポート108又は側部ポート106に流体源が結合されてよい。好ましい一実施例において、側部ポート106は、ニードルレスアクセス弁116を備える。
【0014】
患者に対する2つ以上の流体のフローが、本体102内で受動的に制御される。より具体的には、チャンバ104内の流体が充填閾値を超えたとき、頂部ポート108からチャンバ104へと流れ込む一次流体402のフローを低下させる又は停止させる。一次流体402が頂部ポート108からチャンバ104に進入する又は二次流体404が側部ポート106からチャンバ104に進入した結果として、充填閾値を超える場合がある。チャンバ104内の流体が充填閾値を超えたとき、弁114及びフロート112の移動によって頂部ポート108からチャンバ104内への一次流体402のフローを低下させる又は停止させる。チャンバ104内の流体レベルが、出口又は底部ポート110から流出する際、チャンバ104内の流体レベルは低下することになる。流体レベルが充填閾値を下回ったとき、例えば側部ポート106からチャンバ104内への二次流体フロー404を低下させる又はこのフローが止まったとき、弁114及びフロート112はこの流体レベルに追随し、移動することで一次流体402が再びチャンバ104に流れ込むことを可能にする。
【0015】
Yサイトは、患者への流体の連通に優先順位を付けるように作用する。いくつかの実施例において、Yサイトは、第1の流体の貯水層全体と連通する前に、チャンバを通る第2の流体と連通するように設計される。それは、二次流体がチャンバを介して伝達されるまで一次流体のフローを停止することによって、チャンバを介して伝達されるものに優先順位を付ける。二次流体404を取り込む際に一次流体402のフローを停止することによって、一次流体402のフローが再開される前に二次流体404の患者に対する完全な送達を保証することができる。一次流体402のフローの一部が停止される際、二次流体404と一次流体402の組み合わせを特定の比率で患者に送達することができる。
【0016】
本体102は、球体、正方形又は矩形の断面を有する円筒形又は細長い形状を含めた任意の形状であってよい。好ましい一実施例において、本体は円筒形に成形される。本体102は、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)又はポリスチレンなどのいずれの剛性材料で構成されてもよい。本体102及びチャンバ104は、所望される流量及び容積を達成するサイズであってよい。例えばチャンバ104の容積は、特定の流量を達成する、或いは特定のフロート112又は弁114のサイズを維持するように選択されてよい。本体102はさらに、ブリードオフ弁又は疎水性フィルタなどのフィルタ(図示せず)を備え、その結果、チャンバ104内から空気が逃げることを可能にする場合もある。いくつかの実施例において、本体102は、レンズ、或いはフローの移動又は本体102内のフロート位置の他の視覚的なインジケータ(図示せず)を備える。
【0017】
好ましい一実施例において、本体102は、頂部ポート108と、頂部ポート108の反対側の底部ポート110と、頂部ポート108と底部ポート110の間に配設された側部ポート106とを有する。しかしながらこれらのポートは、本体102上のいずれの場所に配向されてもよい。例えば頂部ポート108及び側部ポート106が本体102の頂部に配設される場合もあり、各々のポートは、本体102を通りチャンバ104内に進入するそれぞれの流路を有する。いくつかの実施例において、ポートのいずれかは、本体102に結合されたキャップ118として形成される場合もある。好ましい一実施例において、キャップ118は、本体に取り外し可能に結合され、これによりチャンバ104へのアクセスを提供する。いくつかの実施例において、キャップ118は、チャンバ104の容積を縮小する又は拡大する、チャンバ104を通る流体フローを変える、或いはフロート112の浮力を変化させるために調節可能である。
【0018】
図2Bを参照すると、弁ガイド122が、頂部ポート108に近接してチャンバ104内に配設されてよい。弁ガイド122は、上方部分132と、下方部分134とを備える。上方部分132の周辺部は、下方部分134から延出する複数の指(例えば136a、136b、136c)を備える。隣接する指、例えば136a及び136bは、特定の距離だけ離間された対向する縁部138a及び138bを有する。下方部分134の頂部縁部によって、対向する縁部138aと138bの間に下方縁部140が形成される。対向する縁部138a及び138b、並びに下方縁部140は、上方部分132の周辺部を通る周辺開口を形成する。
図4に示される実施例を参照すると、下方部分134は、弁ガイド122の断面を貫通するように配設された1つ又は複数の長手方向に配向された孔142を備える。いくつかの実施例において、孔142は、弁ガイド122の中心軸からずらされている。
【0019】
弁114が、上方部分132の指136a、136b、136cの間に位置決めされるように、弁114は、頂部ポート108に近接してチャンバ104内に配設されてよい。弁114は、凸面と、凹面を備えるように円筒形に成形されてよく、この場合凹面の円周方向の縁部は、弁ガイド122の下方部分134と係合される、又はそれと係合するように構成される。開構成において、頂部ポート108からの流体フローは、キャップ118を通って孔144からチャンバ104に進入することができる。流体はその後、凸面の上を通過し、弁114の円周方向の縁部を囲むように進むことができる。上方部分132の周辺部を通る周辺開口が、流体が弁114の凹面の下を流れ、且つ下方部分134の孔142を通って流れることを可能にする。
【0020】
チャンバ104内の流体が充填閾値を超えたとき、弁114は、頂部ポート108の孔144を塞ぐように構成されている。いくつかの実施例において、充填閾値を超えたとき、弁114が頂部ポート108の一部のみを塞ぐことで、頂部ポート108及び側部ポート106の両方からのチャンバ104内へのフローを可能にする。好ましくは、弁114の形状は、幅広の表面を有する大きなディスクであり、この場合弁114は、幅広の表面に対する二次流体404フローからの流体圧力によって作動される。いくつかの実施例において、弁114は、円錐形、球形、又は頂部ポート108を塞ぐように流体によって作動され得る任意の他の形状である。いくつかの実施例において、弁114は、チャンバ104内の流体圧力の存在によって作動される際、弾性変形される。
【0021】
弁114は、可鍛性のゴム、シリコン、プラスチック又は熱可塑性エラストマーから作製されてよい。弁114の寸法は、特定の流体圧力において弁114の作動又は移動を実現するように選択されてよい。例えば弁114の厚さは、指定された流体レベル又は流体圧力に応答して頂部ポート108を部分的に又は完全に塞ぐように選択されてよい。いくつかの実施例において、弁114は第1の流体圧力において頂部ポート108を部分的に塞ぎ、その後第2の流体圧力において頂部ポート108を完全に塞ぐ。弁114を保持するように構成された弁座120が、頂部ポート108に近接して本体102内に配設されてよい。弁座120の第1の側は、チャンバ104内の円周方向の隆起として形成されてよく、第2の側は頂部ポート108によって形成されてよい。いくつかの実施例において、弁座の第2の側は、アーチ形の表面であってよい。弁ガイド122もまた、頂部ポート108に近接してチャンバ104内に配設されてよい。いくつかの実施例において、弁座102は、弁ガイド122及び弁114を保持するように構成される。弁ガイド122は、チャンバ104内で弁114を保持し誘導するためのバスケットとして成形されてよい。弁ガイド122は、その断面を貫通する1つ又は複数の孔を有し、その結果、流体フローが弁ガイド122を通り抜けることを可能にすることができる。好ましくは弁ガイド122は、弁114の意図しない変形から保護するために剛性材料で構成される。
【0022】
フロート112が弁114と底部ポート110の間でチャンバ104内に配設されてよい。フロート112は、特定の浮力を備え、流体フローに応答して頂部ポート108と底部ポート110の間でチャンバ104内を移動するように構成されている。フロート112は、弁114に向かって一部分に延在する突起124を含んでよい。フロート112が上昇する際、突起124が弁114と係合することで、確実に弁114を作動後の位置に維持することができる。いくつかの実施例において、突起124と弁114が結合されることで、突起124と、弁114はチャンバ104内を一緒に移動する。弁ガイド122を貫通する孔によって突起124が、妨げられない弁ガイド122を通過することが可能になる。いくつかの実施例において、フロート112は、外側面に半径方向の突起又は溝を備え、その結果、フロートが特定のポートと接触する際、流体フローがフロート112を越えることを可能にする。例えばフロートが、下に下げられた位置、他の点では底部ポート110を塞ぐことになる位置にあるとき、流体は継続してチャンバ104を出て行くことができる。いくつかの実施例において、フロート112又はチャンバ104は、フロート112が最も下の位置にあるとき底部ポート110が塞がれるような環状リング126又はシートを備え、これにより空気がチャンバ104を通り抜けて患者へと進むことを阻止する。
【0023】
チャンバ内の特定の流体レベルがフロート112をチャンバ内で上昇させたり下降させたりするように、フロート112は特定の浮力を備えてよい。フロートは、中実又は中空であってよく、空気又は発泡体を含む場合がある。好ましくはフロート112を作製するのに使用される材料は、特定の環境において分解しない。いくつかの実施例において、フロート112の全て又は一部は、非分解材料によって被覆される。フロート112の浮力特性は、ダイアル又は選択スイッチの回転によって変えることができる。例えばフロート112は、併せて結合された2つの部分として構成される場合がある。フロート112のこの2つの部分を回転させることでフロート112内の容積を増大させる又は縮小させることができる。いくつかの実施例において、フロート112の内部容積を変えることによってフロート112の浮力を変化させる。例えばフロート112は、フロート112の表面における弁を介して充填可能な内部の浮き袋を有するように構成されてよい。
【0024】
頂部ポート108からの流体フローにおいて、弁114は開位置又は作動されない位置に留まり、フロート112は弁114と底部ポート110の間に留まることにより、頂部ポート108からの流体フローがチャンバ104に進入し、底部ポート110から出て行くことを可能にする。例えば側部ポート106又は頂部ポート108からの流体フローを取り込むことによってチャンバ104内の流体が充填閾値を超えたとき、この流体が弁114を作動させ、頂部ポート108を塞ぐようにさせる。加えて、フロート112が上昇し弁114と係合することで、確実に弁114を作動されたままにすることができる。この閉塞された構成において、チャンバ104内に留まる流体及び側部ポート106からの流体フローがチャンバ104内に進入し、底部ポート110から出て行くことになる。ひとたび流体が底部ポート110から流出すると、フロート112は、チャンバ104内の流体レベルに併せて下降し、頂部ポート108を再度開き、これにより再びフローが頂部ポート108を通りチャンバ104に進入することが可能になる。これは、チャンバ内の流体レベルに基づいてYサイトがどのように受動的に停止し再始動するかの1つの実例である。
【0025】
いくつかの実施例において、弁114及びフロート112は、頂部ポート108を部分的に塞ぐように構成されており、頂部ポート108及び側部ポート106からの組み合わされた流体フローがチャンバ104に進入し、底部ポート110から出て行くことを可能にする。チャンバ104内の流体が充填閾値を下回るまで低下したとき、又は側部ポート106からの流体フローが低下又は完了したとき開位置が達成される。開位置において、フロート112は下に下がり、弁114は係合解除する又は開くことになり、これにより頂部ポート108からの流体フローがチャンバ104に進入し、底部ポート110から出て行くことを可能にする。
【0026】
いくつかの実施例において、フロート112は、弁114に係合するように構成された2つ以上の突起124を備える。いくつかの実施例において、本体102が2つ以上のチャンバ104及びフロート112を備え、その結果、
図5に示されるように2つ以上の一次流体402又は二次流体404を受動的再始動Yサイト100に結合することを可能にする。複数の一次流体402又は二次流体404が受動的再始動Yサイト100に結合されるいくつかの実施例において、選択スイッチを利用して、チャンバ104内に流れる一次又は二次フローの順序を決定することができる。
【0027】
上述の記載は、当業者が本明細書に記載される種々の構成を実施することを可能にするために提供されている。様々な図面及び構成を参照して主題の技術を詳細に記載してきたが、これらは単に例示の目的であり、主題の技術の範囲を限定するものと受け取るべきではないことを理解されたい。
【0028】
主題の技術を実装するのに多くの他の方法があり得る。本明細書に記載される種々の機能及び要素は、主題の技術の範囲から逸脱することなく示されるものとは異なるように区分される場合もある。これらの構成に対する種々の修正形態は当業者に容易に明らかであり、本明細書で定義される包括的な原理が他の構成に適用される場合もある。よって、当分野における通常の技量を有するものによって、主題の技術の範囲から逸脱することなく主題の技術に対して多くの変更及び修正を行うことができる。
【0029】
本明細書で使用される際、一連の要素に先行するフレーズ「少なくとも1つの」は、要素のいずれかを区別するために用語「及び」又は「又は」を有し、リストの各々の部材(すなわち各々の要素)ではなく、全体としてリストを修飾する。フレーズ「少なくとも1つの」は、リストされる各々の要素の少なくとも1つの選択を必要とせず、むしろこのフレーズは、要素のいずれか1つのうちの少なくとも1つ及び/又は要素のいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つ及び/又は要素の各々のうちの少なくとも1つを含む意味合いを可能にする。一実例として、フレーズ「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」は各々、Aのみ、Bのみ又はCのみ、A、B及びCのいずれかの組み合わせ、並びに/或いはA、B及びCの各々のうちの少なくとも1つを指す。
【0030】
さらに、用語「含む(include)」、「有する(have)」などが記載又はクレーム中で使用される範囲において、このような用語は、「備える(comprise)」がクレーム中のつなぎ詞(transitional word)として利用される場合に「備える(comprise)」が解釈されるのと同様のやり方で包括的であることが意図されている。語句「例示的(exemplary)」は、本明細書では「1つの実例、例又は例示として機能する」ことを意味するように使用されている。「例示的(exemplary)」として本明細書に記載されるいずれかの実施例は必ずしも他の実施例に対して好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0031】
単数での1つの要素に対する言及は、特別に述べられていなければ「1つ及び1つのみ」を意味することは意図されず、むしろ「1つ以上」を意味する。用語「いくつかの(some)」は、1つ以上を指している。当業者に知られている又は当業者にその後知られるようになるべき、本開示を通して記載される種々の構成の要素に対する全ての構造上及び機能的な等価物は、参照により本明細書に明白に組み込まれており、主題の技術によって包含されることが意図されている。さらに本明細書に開示されるいずれも、そのような開示が上記の記載において明示的に列記されているかどうかに関わらず、公共に提供されることが意図されている。
【0032】
主題の技術の特定の態様及び実施例を記載してきたが、これらは単なる一実例として提示されており、主題の技術の範囲を限定することは意図されていない。当然のことながら、本明細書に記載される新規の方法及びシステムは、その精神から逸脱することなく様々な他の形態において具現化されてよい。添付のクレーム及びその等価物は、主題の技術の精神及び範囲の範囲内にあるようなそのような形態又は修正形態を包含することが意図されている。
【0033】
本明細書に記載されるものは少なくとも以下の概念である。
概念1 一次フローポートと出口フローポートの間に流体結合されたチャンバと、
前記チャンバに流体結合され、前記チャンバに流体を伝えるように構成された二次フローポートと、
前記一次フローポートに隣接して位置決めされ、前記チャンバ内の流体レベルに基づいて閉塞構成と開構成の間を移動するように構成され、その結果、前記一次フローポートを通って前記チャンバへと流れ込む流体フローを制御する弁と
を備える流体送達Yサイトデバイス。
概念2 前記弁と前記出口フローポートの間で前記チャンバ内に配設されたフロートをさらに備え、前記フロートが、(i)前記チャンバ内を移動し、且つ(ii)前記チャンバ内の前記流体レベルが充填閾値を超えたとき、前記弁を前記閉塞構成に移動させるように構成される、概念1のデバイス。
概念3 前記フロートが、前記チャンバ内の前記流体レベルが前記充填閾値を下回るとき、前記弁の前記開構成への移行を可能にするように構成される、概念2のデバイス。
概念4 前記フロートが、前記チャンバ内の前記流体レベルが流出閾値を下回るとき、前記出口フローポートを塞ぐように構成される、概念2のデバイス。
概念5 前記出口フローポートに近接して配設された環状リングをさらに備え、前記フロートが、前記環状リングに係合するように構成され、その結果、前記フロートと前記リングとの係合により空気が前記出口フローポートを介して前記チャンバを出て行くことが制限される、概念4のデバイス。
概念6 前記一次フローポートに近接して前記チャンバ内に形成された弁座をさらに備える、概念1のデバイス。
概念7 前記一次フローポートに近接して前記チャンバ内に配設された弁ガイドをさらに備え、前記弁の少なくとも一部分が前記弁ガイド内に配設され、前記弁ガイドが、前記閉塞構成と前記開構成の間で前記弁を誘導するように構成される、概念1のデバイス。
概念8 前記弁が、前記一次フローポートに面するように構成された凸面と、前記一次フローポートから離れるように向くように構成された凹面とを有するディスクであり、前記ディスクが、前記チャンバ内の前記流体レベルに基づいて弾性変形されるように構成される、概念1のデバイス。
概念9 前記二次フローポートがニードルレスアクセス弁を備える、概念1のデバイス。
概念10 前記二次フローポートが、前記チャンバの長手方向軸から約20度から約60度の間の相対的な角度で前記チャンバに接続される、概念1のデバイス。
概念11 前記フロートが、前記フロートから前記弁に向かって延出する突起を備え、その結果、前記フロートが前記弁を前記閉塞構成に移動させる際、前記突起が前記弁に係合する、概念2のデバイス。
概念12 前記突起が前記弁ガイドの中を通って延出し、前記チャンバ内に前記流体レベルが前記充填閾値を超える際、前記弁に係合する、概念11のデバイス。
概念13 前記フロートが可変の内部容積を有し、その結果、前記フロートの浮力を調節することができる、概念2のデバイス。
概念14 前記フロートが前記弁を前記閉塞構成に移動させたことを視覚的に示すインジケータをさらに備える、概念2のデバイス。
概念15 前記インジケータが、前記チャンバの壁の中にありレンズを形成する透明な窓を備える、概念14のデバイス。
概念16 前記チャンバが、前記チャンバ内から空気を放出するように構成された空気弁を備える、概念1のデバイス。
概念17 Yサイトデバイスを介して流体を制御する方法であって、
一次フローポートと出口フローポートの間に流体結合されたチャンバを用意するステップと、
前記チャンバに流体結合され、前記チャンバに流体を伝えるように構成された二次フローポートを用意するステップと、
前記一次フローポートに隣接して位置決めされる弁を用意するステップと、
前記チャンバ内の流体レベルに基づいて閉塞構成と開構成の間で前記弁を移動させ、その結果、前記弁が前記一次フローポートを通って前記チャンバへと流れ込む流体フローを制御するステップとを含む方法。
概念18 前記弁が、前記弁と前記出口フローポートの間で前記チャンバ内に配設されたフロートによって移動され、前記チャンバ内の前記流体フローが充填閾値を超える際、前記フロートが前記弁を前記閉塞構成に移動させる、概念17の方法。
概念19 前記弁を前記閉塞構成に移動させる際、前記弁を前記フロートと係合させるステップと、前記流体レベルが前記充填閾値を下回るとき、前記フロートと前記弁を係合解除するステップとをさらに含む、概念18の方法。
概念20 前記チャンバ内の前記流体レベルが流出閾値を下回るとき、前記出口フローポートを塞ぐステップをさらに含む、概念18の方法。