特許第6974551号(P6974551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6974551
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20211118BHJP
【FI】
   G06Q30/02 320
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-125365(P2020-125365)
(22)【出願日】2020年7月22日
【審査請求日】2020年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】和田 圭
(72)【発明者】
【氏名】赤鹿 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高砂 明佳
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 麻紀
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−011116(JP,A)
【文献】 特開2019−133632(JP,A)
【文献】 特開2018−163475(JP,A)
【文献】 特開2003−108845(JP,A)
【文献】 特開2002−288572(JP,A)
【文献】 特開2002−073930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払処理システムから、支払者を特定可能な情報、支払先を特定可能な情報及び支払額を含む、完了した支払に係る支払データを取得する支払データ取得手段と、
前記支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された該支払データのうち、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する還元対象特定手段と、
前記支払者毎に、前記還元対象特定手段によって特定された1又は複数の前記対象支払データに含まれる前記支払額に基づいて、前記還元に用いられる還元バリューの量を算出する算出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記対象支払データに基づいて特定された、前記支払者に紐付けられた受取アカウントに、前記算出手段によって算出された該支払者に係る量の前記還元バリューを付与することで、前記還元を実行する還元実行手段を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記還元実行手段は、前記受取アカウントのユーザによる受取操作を介して該ユーザのアカウントの残高に加算される種類の還元バリューを、該受取アカウントに付与する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記還元実行手段は、前記受取アカウントのユーザによる受取操作を介して該ユーザによって指定されたアカウントの残高に加算される種類の還元バリューを、該受取アカウントに付与する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記還元実行手段による前記還元バリューの還元履歴を記録する履歴記録手段と、
前記受取アカウントのユーザによる前記受取操作が行われたことを確認可能なデータを取得することで、付与済の前記還元バリューが該ユーザのアカウントの残高に加算されたことを確認する受取確認手段とを更に備え、
前記履歴記録手段は、前記受取確認手段によって取得されたデータに基づいて、付与済の前記還元バリューの受取状況を更新する、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記支払者毎、又は該支払者が属するグループ毎に出力された、前記算出手段によって所定の対象期間について算出された前記還元バリューの量を含む明細データについて、管理者による承認を取得する承認取得手段を更に備え、
前記還元実行手段は、前記承認が取得された場合に、前記支払者又は前記グループについての前記還元を実行する、
請求項2から5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記対象支払データに含まれる前記支払額、及び前記支払者毎に予め設定された前記還元の上限に基づいて、前記還元バリューの量を算出する、
請求項2から6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記受取アカウントは、前記支払者と異なる代理ユーザのアカウントであり、
前記還元の上限として、前記代理ユーザによって決定された値を設定する上限設定手段を更に備える、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記上限設定手段は、前記還元の上限として、前記代理ユーザが前記支払者から預かった預かりバリューの量に応じて決定された値を設定する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記算出手段によって算出された前記還元バリューの量、及び前記支払者毎に予め設定された前記還元の上限を把握可能な通知データを、前記支払者の端末装置に対して送信する利用状況通知手段を更に備える、
請求項7から9の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
指定されたアカウントを、前記受取アカウントとして前記支払者に紐付けるアカウント設定手段を更に備える、
請求項2から10の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記支払データは、前記支払者の支払手段を識別可能な情報を更に含み、
前記支払手段は、プリペイド方式で支払用のバリューを残高に加算可能な支払アカウントであり、
前記アカウント設定手段は、前記支払アカウントを、前記受取アカウントとして前記支払者に紐付け可能である、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記支払先を特定するための支払先データベースから、所定の条件を満たす1又は複数の推奨店舗を抽出して、抽出された該推奨店舗に係る情報を前記支払者の端末装置に対して送信する店舗情報通知手段を更に備える、
請求項1から12の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記店舗情報通知手段は、前記所定の条件に従って抽出された前記1又は複数の推奨店舗と、前記支払データ取得手段によって取得された該支払者に係る支払データによって特定された支払先とを比較することで、該支払者が支払を行っていない推奨店舗である未利用店舗を抽出し、抽出された1又は複数の未利用店舗に係る情報を前記支払者の端末装置に対して送信する、
請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記還元対象特定手段は、前記支払データに含まれる情報に基づいて特定される支払者が所定のグループに属すると判定され、且つ前記支払データに含まれる情報に基づいて特定される支払先が所定の支払先であると判定された場合に、該支払データを、前記対象支払データとして特定する、
請求項1から14の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記対象支払データを蓄積する蓄積手段を更に備え、
前記算出手段は、前記蓄積手段から読み出された所定期間内の前記対象支払データについて、前記還元バリューの量を算出する、
請求項1から15の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
コンピュータが、
支払処理システムから、支払者を特定可能な情報、支払先を特定可能な情報及び支払額を含む、完了した支払に係る支払データを取得する支払データ取得と、
前記支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された該支払データのうち、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する還元対象特定と、
前記支払者毎に、前記還元対象特定によって特定された1又は複数の前記対象支払データに含まれる前記支払額に基づいて、前記還元に用いられる還元バリューの量を算出する算出と、
を実行する方法。
【請求項18】
コンピュータを、
支払処理システムから、支払者を特定可能な情報、支払先を特定可能な情報及び支払額を含む、完了した支払に係る支払データを取得する支払データ取得手段と、
前記支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された該支払データのうち、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する還元対象特定手段と、
前記支払者毎に、前記還元対象特定手段によって特定された1又は複数の前記対象支払データに含まれる前記支払額に基づいて、前記還元に用いられる還元バリューの量を算出する算出手段と、
として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支払額に基づく還元を実行するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリペイドカードの記憶部内に、一定期間毎に、該当期間内で支給される補助金額を累積し、その累積補助金額を記憶するための補助金額累積領域を設け、新規販売又はカード更新時に金額が入力される毎に、該当金額以下でかつ該当金額に対応して予め設定された補助金額と補助金額累積領域に記憶された累積補助金額とを加算し、加算手段の加算結果が予め定められた基準補助金額以下のとき、補助金額をカード残高に加算し、かつ補助金額を補助金額累積領域に累積し、加算結果が基準補助金額を越えるとき、基準補助金額から累積補助金額を減算した金額をカード残高に加算し、かつ減算した金額を補助金額累積領域に累積する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−128602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、従業員等に対する食事補助等、所定の支払者に対して当該支払者による支払額の少なくとも一部を還元することが行われている。
【0005】
しかし、このような還元処理は、支払者及び還元側の双方にとって非常に煩雑であり、また、情報処理システムを導入して還元処理の一部を自動化する場合にも、既存のシステムに改修を加える必要がある等、導入のハードルが高かった。
【0006】
本開示は、上記した問題に鑑み、所定の支払者に対して当該支払者による支払額の少なくとも一部を還元するためのシステムにおいて、支払者及び/又は還元側の利便性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例は、支払処理システムから、支払者を特定可能な情報、支払先を特定可能な情報及び支払額を含む、完了した支払に係る支払データを取得する支払データ取得手段と、前記支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された該支払データのうち、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する還元対象特定手段と、前記支払者毎に、前記還元対象特定手段によって特定された1又は複数の前記対象支払データに含まれる前記支払額に基づいて、前記還元に用いられる還元バリューの量を算出する算出手段と、を備える情報処理装置である。
【0008】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法又はコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所定の支払者に対して当該支払者による支払額の少なくとも一部を還元するためのシステムにおいて、支払者及び/又は還元側の利便性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の概略を示す図である。
図3】実施形態に係る還元処理サーバの機能構成の概略を示す図である。
図4】実施形態に係る支払データに含まれる情報の例を示す図である。
図5】実施形態に係る、支払データ処理の概要を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る、還元実行処理の概要を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る、受取確認処理の概要を示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る、利用状況照会処理の概要を示すフローチャートである。
図9】実施形態においてユーザ端末に表示される利用状況通知画面の例を示す図である。
図10】実施形態に係る、店舗情報通知処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0012】
本実施形態では、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを、企業の従業員等である支払者が対象店舗で食事代の支払を行った場合に当該支払の少なくとも一部を当該企業等が補助する福利厚生を提供するための補助還元システムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムは、食事代に限定されない補助や経費精算等の、支払額に基づく還元を実行するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0013】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、ネットワークに接続されることで互いに通信可能な還元処理サーバ1と、支払処理システム3と、アカウント管理システム5と、1又は複数のユーザ端末9とを備える。
【0014】
図2は、本実施形態に係るシステムのハードウェア構成の概略を示す図である。還元処理サーバ1は、ユーザに対してポイントサービスを提供するためのサーバである。還元処理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット15、等を備えるコンピュータである。但し、還元処理サーバ1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、還元処理サーバ1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。還元処理サーバ1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0015】
支払処理システム3は、ユーザに対して電子マネーやポイント、クレジット等を用いた支払(決済)を提供するためのシステムである。支払処理システム3は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット等(図示は省略する)を備える支払処理サーバと、POS端末とを含むシステムである。但し、支払処理システム3の具体的な構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、支払処理システム3は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0016】
アカウント管理システム5は、ユーザのアカウントを管理するためのシステムである。ここで管理されるアカウントは、ユーザが所有する電子マネーやポイント、クレジット等のバリューを管理するためのアカウントである。なお、本実施形態において用いられる電子マネーの種類は限定されない。例えば、残高がサーバに蓄積される所謂サーバ型電子マネーであってもよいし、残高がICに記録される所謂IC型電子マネーであってもよい。アカウント管理システム5は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット等(図示は省略する)を備えるシステムである。但し、アカウント管理システム5の具体的な構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、アカウント管理システム5は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0017】
ユーザ端末9は、ユーザによって使用される端末装置である。ユーザ端末9は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信ユニット、入力装置、出力装置等(図示は省略する)を備えるコンピュータである。また、ユーザ端末9は、単一の筐体からなる装置に限定されない。ユーザ端末9は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。ユーザは、これらのユーザ端末9を介して還元処理サーバ1及び支払処理システム3によって提供される各種サービスを利用する。
【0018】
図3は、本実施形態に係る還元処理サーバ1の機能構成の概略を示す図である。還元処理サーバ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、還元処理サーバ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、支払者データベース21、支払先データベース22、アカウント設定部23、上限設定部24、支払データ取得部25、還元対象特定部26、蓄積部27、算出部28、承認取得部29、還元実行部30、履歴記録部31、受取確認部32、利用状況通知部33及び店舗情報通知部34を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、還元処理サーバ1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、 1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0019】
支払者データベース21は、本実施形態に係る補助還元システムが還元の対象とする支払者(本実施形態では、食事代補助を行う企業の従業員)を管理するためのデータベースであり、支払者(ユーザ)毎に、支払者ID、所属グループID(企業ID)、支払アカウント(電子マネーアカウント番号等)、受取アカウント(電子マネーアカウント番号等)、還元上限、利用状況データ(還元額)、還元履歴、利用済店舗リスト、キャンペーン達成状況、及びその他の情報を蓄積する。但し、支払者に関する情報の管理態様は、本実施形態における例示に限定されない。例えば、利用状況データ(還元額)、還元履歴、利用済店舗リスト及びキャンペーン達成状況は、支払者IDに紐づく形で、支払者データベース21とは異なるデータベースで管理されてもよい。
【0020】
支払先データベース22は、本実施形態に係る補助還元システムが、還元の対象とする支払先(本実施形態では、食事代補助を行う企業から指定された店舗)を管理するためのデータベースであり、店舗毎に、支払先ID(店舗ID)、店舗名称、地理情報、キャンペーン参加情報、指定元企業情報(当該支払先を還元対象として指定した企業の企業ID等)、及びその他の情報を蓄積する。
【0021】
アカウント設定部23は、還元対象となる支払に使用される支払手段として指定されたアカウントを支払アカウントとして支払者に紐付け、還元バリューの受取に使用される受取手段として指定されたアカウントを受取アカウントとして支払者に紐付けて、支払者データベース21に登録する。支払アカウント及び受取アカウントには、同一の支払者(ユーザ)について異なるアカウントが指定されてよい。
【0022】
ここで、受取アカウントは、後述する還元バリューを受取可能なアカウントであればよく、受取アカウントとして紐付け可能なアカウントの種類は限定されない。電子マネーアカウント、ポイントアカウント、銀行アカウント等、様々な種類のアカウントが受取アカウントとして紐付け可能であってよい。なお、アカウント設定部23は、支払者が支払に用いるものとして登録した支払アカウントと同一のアカウントを、受取アカウントとして支払者に紐付けてもよい。このようにすることで、支払者が支払に用いたアカウントに還元を行うことが可能となり、利便性を高めることが出来る。
【0023】
また、受取アカウントには、支払者のアカウントが紐付けられてもよいし、その他の者のアカウントが紐付けられてもよい。即ち、受取アカウントは、支払者本人と異なる代理ユーザのアカウントであってもよい。ここで、代理ユーザとは、例えば、支払者を雇用する企業や福利厚生アウトソーサー等である。より具体的には、受取アカウントには、以下のようなアカウントが指定されてよい。
【0024】
(1)支払者本人のアカウント
受取アカウントとして、支払者本人のアカウント(例えば、プリペイド方式で支払用のバリューを残高に加算可能な電子マネーアカウント)を設定することで、還元額を、支払者が直接受け取ることが出来る。更に、受取アカウントを、還元対象の支払を行うための支払アカウントと同じアカウントとすることで、支払者が支払に用いるアカウントに還元額が還元されるようにし、利便性を高めることが出来る。なお、本実施形態では、支払者の受取アカウントとして電子マネーアカウントを例示しているが、受取アカウントは、還元バリューを受取可能なアカウントであればよく、電子マネーアカウントに限定されない。受取アカウントは、例えばポイントアカウントや銀行アカウント等であってもよい。
【0025】
(2)支払者が属するグループのアカウント
受取アカウントとして、支払者が属するグループ(例えば、支払者が勤務する企業等)のアカウントを設定することとしてもよい。例えば、支払者が属するグループが、支払者に対して還元額を付与するような態様が採用される場合には、還元額は当該グループに対して還元される。なお、グループから支払者のアカウントへの付与は、対象期間の開始時点における支払アカウントへのチャージであってもよいし、対象期間の経過後における受取アカウントへの付与であってもよい。また、付与の手段はどのようなものであってもよい。
【0026】
(3)その他のグループのアカウント
受取アカウントとして、その他のグループのアカウントを設定することとしてもよい。このようなグループとしては、例えば、支払者が勤務する企業の福利厚生業務を代行する事業者(以下、「福利厚生アウトソーサー」と称する)等が挙げられる。支払者が勤務する企業の福利厚生業務が福利厚生アウトソーサーにアウトソースされており、支払者の福利厚生が福利厚生ポイント(所謂カフェテリアポイント)によって管理されている場合、支払者は、予め福利厚生ポイントの利用先として本実施形態に係る補助還元システムによる還元を指定し、還元に充当する福利厚生ポイントを指定することで、対象期間についての還元上限を指定することが出来る。福利厚生ポイント数の指定を受けた福利厚生アウトソーサーは、指定された福利厚生ポイントを、本実施形態に係る補助還元システムによる還元に用いるポイント(預かりバリュー)として確保する。対象期間の経過後、還元額は福利厚生アウトソーサーのアカウントに付与される。なお、還元額が還元上限に達しないことで、確保された福利厚生ポイント(預かりバリュー)に未消化分が生じた場合、福利厚生アウトソーサーは、未消化分の福利厚生ポイントを、支払者の福利厚生ポイントアカウントに戻してよい。
【0027】
上限設定部24は、支払額に応じて算出される還元バリューの量(還元額)の上限を、支払者データベース21に設定する。なお、本実施形態において、還元上限には、支払者の他、上述した代理ユーザによって決定された値が設定されてもよい。また、例えば、還元上限には、代理ユーザが支払者から預かった預かりバリュー(上述した例では、確保された福利厚生ポイント)の量に応じて決定された値が設定されてもよい。上述の通り、預かりバリューの量に応じて還元上限が決定されたが、還元実行部30によって受取アカウントに付与された還元バリューの量が上限に満たない場合、差分に相当する預かりバリューは支払者に戻されてよい。
【0028】
なお、還元上限は、対象期間毎に異なる値が設定されてもよい。還元上限を対象期間毎に変更可能とすることで、従業員である支払者自身の希望や、勤続年数による差、対象期間中の異動による変更、雇用体系による差、等に柔軟に対応することが可能となる。また、還元対象者(支払者)の夫々について、対象期間毎に(例えば、毎月)還元上限に対する消化率(還元額/還元上限)を自動計算し、算出された消化率に応じて次の対象期間に設定される還元上限を自動的に変更する(例えば、消化率が所定の基準を超える場合には還元上限を上げ、消化率が所定の基準に満たない場合には還元上限を下げる)という運用が行われてもよい。
【0029】
支払データ取得部25は、支払処理システム3から、完了した支払についての、支払者を特定可能な情報(例えば、支払者の電子マネーアカウント番号)、支払先を特定可能な情報(例えば、店舗ID)及び支払額を含む、支払データを取得する。
【0030】
図4は、本実施形態に係る支払データに含まれる情報の例を示す図である。本実施形態に係る支払データは、支払アカウント(電子マネーアカウント番号等)、支払先ID(店舗ID等)、支払額及び支払日時を含み、本実施形態において、対象期間内の支払データであるか否かは、支払データ中の支払日時に基づいて判定される。支払データによれば、例えば支払アカウント(電子マネーアカウント番号等)を参照することで、支払者の支払手段を識別することが可能である。
【0031】
還元対象特定部26は、支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された支払データのうち、所定の還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する。本実施形態では、還元対象特定部26は、支払データに含まれる支払アカウント(電子マネーアカウント番号等)に基づいて支払者データベース21を検索し、特定された支払者が所定のグループ(企業等の組織)に属すると判定され、且つ、支払データに含まれる支払先ID(店舗ID等)に基づいて支払先データベース22を検索し、当該支払先が補助還元対象の支払先であると判定された場合に、当該支払データを、対象支払データとして特定する。なお、支払先データベース22に指定元企業情報(当該支払先を還元対象として指定した企業の企業ID等)が設定されている場合には、還元対象特定部26は、支払者の所属グループIDによって特定された企業が支払先に設定されている指定元企業情報に含まれているか否かについても判定することで、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する。
【0032】
蓄積部27は、少なくとも還元対象特定部26によって対象支払データとして特定されたデータを蓄積する。このようにして対象支払データが蓄積されることで、還元実行のためのバッチ処理が可能となる。なお、本実施形態では、蓄積部27による蓄積前に、支払データ取得部25によって支払データが取得される毎に還元対象特定部26による対象支払データの特定が行われる例について説明するが、還元対象特定部26による対象支払データ特定のタイミングは、本実施形態において説明する例に限定されない。例えば、還元対象特定部26は、一旦蓄積された支払データを読み出してバッチ処理(日次、週次、月次等)し、まとめて対象支払データを特定することとしてもよい。
【0033】
算出部28は、支払者毎に、還元対象特定部26によって特定された1又は複数の対象支払データに含まれる支払額に基づいて、所定の還元に用いられる還元バリューの量を算出する。本実施形態において、算出部28は、蓄積部27から読み出された所定期間内の対象支払データについて、対象支払データに含まれる支払額、予め設定された還元率、及び支払者毎に予め設定された還元上限に基づいて、還元バリューの量を算出する。
【0034】
具体的には、本実施形態において、算出部28は、対象期間内の対象支払データに含まれる支払額の累計に、還元率(例えば、50%)を乗じ、算出された額が還元上限(例えば、3,500円/月)を超えていない場合、算出された額を還元額(還元バリューの量)とする。なお、算出された額が還元上限を超えている場合、算出部28は、還元上限を還元額とする。但し、本実施形態において開示された還元バリューの量の算出方法は一例であり、還元バリューの量は、その他の計算方法や基準に従って算出されてもよい。
【0035】
承認取得部29は、支払者毎、又は当該支払者が属するグループ毎に、算出部28によって所定の対象期間について算出された還元バリューの量を含む明細データを出力し、管理者による承認を求める。そして、承認取得部29は、管理者による承認の入力を受け付ける。承認取得部29によって承認が取得されると、還元実行部30が、支払者又はグループについての所定の還元を実行する。
【0036】
還元実行部30は、対象支払データに基づいて特定された、支払者に紐付けられた受取アカウントに、算出部28によって算出された当該支払者に係る量の還元バリューを付与することで、所定の還元を実行する。なお、付与される還元バリューの種類は限定されない。還元バリューは、電子マネーであってもよいし、ポイントであってもよい。また、還元バリューは、受取アカウントの残高に受取アカウントのユーザによる操作を経ずに直接加算されてもよいが、還元バリューは、受取アカウントの残高に直接加算されるものに限定されない。本実施形態では、受取アカウントのユーザによる受取操作を介して当該ユーザのアカウントの残高に加算される種類の還元バリュー(以下、「電子ギフト」と称する)が、還元実行部30によって受取アカウントに付与される例について説明する。また、ユーザは、電子ギフトに指定されたバリューを残高に加算するアカウントを指定可能であってもよいし、電子ギフトをユーザ所望の種類のバリュー(電子マネー、ポイント、その他)に変換可能であってもよい。また、実行された還元が、支払者が属するグループ(企業)によって支払者に提供される補助である場合、還元実行された還元バリュー(還元額)は、還元実行サーバ1によるサービスを提供する企業から、当該グループ(企業)や代理ユーザ(福利厚生アウトソーサー)等に請求される。
【0037】
履歴記録部31は、還元実行部30による還元バリューの還元履歴を記録する。更に、本実施形態において、履歴記録部31は、受取確認部32によって取得されたデータに基づいて還元履歴を更新することで、付与済の還元バリューの受取状況を更新する。
【0038】
受取確認部32は、受取アカウントのユーザによる受取操作が行われたことを確認可能なデータを取得することで、付与済の還元バリューが当該ユーザのアカウントの残高に加算されたことを確認する。
【0039】
利用状況通知部33は、算出部28によって算出された還元バリューの量、及び支払者毎に予め設定された還元上限を把握可能な通知データを、支払者のユーザ端末9に対して送信する。
【0040】
店舗情報通知部34は、支払先を特定するための支払先データベース22から、所定の条件を満たす1又は複数の推奨店舗を抽出して、抽出された当該推奨店舗に係る情報(店舗名称、地理情報、キャンペーン参加情報、等)を支払者のユーザ端末9に対して送信する。ここで、所定の条件とは、例えば、地理情報が示す店舗位置がユーザの勤務地から所定の範囲内にある、店舗がスタンプラリー等の所定のキャンペーンに参加している、等の条件である。また、店舗情報通知部34は、所定の条件に従って抽出された1又は複数の推奨店舗と、支払者に係る支払データによって特定された支払先とを比較することで、当該支払者が支払を行っていない(利用していない)推奨店舗である未利用店舗を抽出し、抽出された1又は複数の未利用店舗に係る情報を支払者のユーザ端末9に対して送信する。
【0041】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係る情報処理システムによって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0042】
図5は、本実施形態に係る、支払データ処理の概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、支払処理システム3から、完了した支払についての支払データが受信されたことを契機として実行される。但し、本フローチャートに示された処理が実行されるタイミングは、ここで説明される例に限定されない。例えば、支払データ処理は、予め設定されたタイミングで定期的に実行されてもよい。
【0043】
ステップS101からステップS104では、受信された支払データが還元の対象となる対象支払データであるか否かが判定される。支払データ取得部25は、例えば、所定の種類の電子マネーによる支払を処理可能な支払処理システムから、完了した支払についての支払データを取得する(ステップS101)。ここで、支払データには、上述の通り、支払者を特定可能な情報、支払先を特定可能な情報及び支払額が含まれる。
【0044】
支払データが取得されると、還元対象特定部26は、支払データに含まれる、支払者を特定可能な情報(本実施形態では、電子マネーアカウント番号)及び支払先を特定可能な情報(本実施形態では、支払先ID)と、予め支払者データベース21に登録されている還元対象の電子マネーアカウント番号及び支払先データベース22に登録されている還元対象の支払先IDとを比較し、マッチする支払者及び支払先が登録されているか否かを判定することで(ステップS102)、当該支払データが、還元対象の支払データ(対象支払データ)であるか否かを判定する(ステップS103)。ステップS101で取得された支払データが対象支払データでないと判定された場合(ステップS103のNO)、ステップS104からステップS108に示された処理はスキップされ、本フローチャートに示された処理は終了する。一方、ステップS101で取得された支払データが対象支払データであると判定された場合(ステップS103のYES)、蓄積部27は、特定された対象支払データを記憶装置14に蓄積する(ステップS104)。その後、処理はステップS105へ進む。
【0045】
ステップS105及びステップS106では、現時点における還元額が算出される。算出部28は、現在の対象期間(例えば、対象月)においてこれまでに蓄積された対象支払データに含まれる支払額の累計を算出し(ステップS105)、算出された累計支払額、予め設定された還元率、及び支払者毎に予め設定された還元上限とに従って、対象期間の支払について還元される還元バリューの量(但し、算出時点における量)を算出する(ステップS106)。具体的な計算方法については、算出部28の説明において上記説明した通りであるため、説明を省略する。なお、本実施形態では、還元が電子マネーと交換可能な電子ギフトで還元される例について説明するため、以下、還元バリューの量を、「還元額」として説明する。但し、還元されるバリューの種類は、本実施形態において例示される電子ギフトに限定されない。還元バリューには、電子マネー、ポイント等、様々な種類のバリューが用いられてもよい。
【0046】
ステップS107及びステップS108では、還元対象サービスの利用状況が更新される。還元額が算出されると、支払者データベース21は、算出された還元額を現時点における対象期間の還元額として記録することで、当該支払者の利用状況データを更新する(ステップS107)。更に、支払者データベース21は、還元額の算出に用いられた対象支払データに基づいて、支払者データベース21の対象支払者に係る利用済店舗リスト及びキャンペーン達成状況を更新する(ステップS108)。具体的には、支払者データベース21は、対象支払データに示されている支払先IDに基づいて特定された店舗を、対象支払者の利用済店舗リストに追加する。更に、当該店舗がスタンプラリー等のキャンペーンの対象であった場合、支払者データベース21は、当該店舗を、対象支払者のキャンペーン達成状況に追加する。この時点で、対象支払者がその後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0047】
図6は、本実施形態に係る、還元実行処理の概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、対象期間(例えば、対象月)の終了後、対象グループ毎に実行される。但し、本フローチャートに示された処理が実行されるタイミングや対象は、ここで説明される例に限定されない。例えば、還元実行処理は、対象支払者毎に実行されてもよい。
【0048】
ステップS201からステップS203では、対象期間における還元額が算出される。算出部28は、処理対象のグループについて、終了した対象期間(例えば、対象月)に蓄積された全ての対象支払データを読み出し(ステップS201)、読み出された1又は複数の対象支払データに含まれる支払額の、支払者毎の累計を算出する(ステップS202)。そして、算出部28は、算出された支払者毎の累計支払額、予め設定された還元率、及び支払者毎に予め設定された還元上限とに従って、対象期間の支払について還元される還元バリューの量(還元額)を算出する(ステップS203)。ここで、算出部28は、対象グループに属する全ての支払者の夫々について、累計の算出及び還元額の算出を行う。また、還元バリューの量を算出するための具体的な計算方法については、算出部28の説明において上記説明した通りであるため、説明を省略する。その後、処理はステップS204へ進む。
【0049】
ステップS204からステップS209では、還元が実行される。還元実行部30は、ステップ203で還元額が算出された、対象グループに属する支払者に紐付けられた還元実行先の受取アカウントを、支払者データベース21を参照することで取得する(ステップS204)。上述の通り、受取アカウントは、支払者自身のアカウントであってもよいし、その他の者のアカウントであってもよい。受取アカウントが取得されると、還元実行部30は、ステップ203で算出された、支払者毎の還元額と、支払者の受取アカウントとを含む還元実行用ファイルを生成する(ステップS205)。
【0050】
また、承認取得部29は、対象グループに属し還元の対象となる支払者と、当該支払者の受取アカウントと、支払者毎の還元額とを含む明細データを生成し、所定の管理者宛に送信する(ステップS206)。ここで、管理者は、例えば、処理対象グループの担当者(福利厚生担当者や経理担当者)等である。このため、明細データには、各支払額の使途を確認できるように、対象支払データに基づいて取得された、支払毎の支払先、支払額、支払日時を把握可能な情報が更に含まれていてもよい。管理者は、受信した明細データの内容を確認し、問題なければ、還元処理サーバ1に対して、明細データを承認する旨の入力を行う。承認取得部29は、管理者によって入力された承認を取得する(ステップS207)。
【0051】
管理者による承認が取得されると、還元実行部30は、ステップS205で生成された還元実行用ファイルを参照し、対象グループに属する支払者について、還元を実行する(ステップS208)。具体的には、還元実行部30は、支払者に対応する受取アカウントに、当該支払者に係る還元額を付与することで、還元を実行する。また、還元が実行された旨の通知が、支払者や管理者に通知される。
【0052】
上述の通り、本実施形態では、受取アカウントが支払者の電子マネーアカウントである場合、電子ギフトが受取アカウントに付与される。電子ギフトの付与によって還元が実行された場合、履歴記録部31は、付与された電子ギフトと当該電子ギフトが付与された受取アカウントとを特定可能な情報(例えば、電子ギフトID及び電子マネーアカウント番号)を含む還元履歴を、支払者データベース21に記録する(ステップS209)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0053】
還元額相当の電子ギフトの付与を受けたユーザは、電子マネー管理アプリケーションを実行するスマートフォン等のユーザ端末9やKIOSK端末等において、電子ギフトの受取操作を行うことで、当該電子ギフトに係るバリューを、電子マネーとして当該ユーザの電子マネーアカウントの残高に加算する。アカウント管理システム5は、受取操作に係る電子ギフトに示されたバリューの量に相当する電子マネーを、指定されたアカウントの残高に加算し、電子ギフトを受取済に設定することで、電子ギフトの受取処理を行う。また、アカウント管理システム5は、電子ギフトの受取操作が行われ、電子ギフトに係るバリューがユーザの電子マネーアカウントに加算されたことを、還元処理サーバ1へ通知する(電子ギフトの受取通知)。ここで、電子ギフトの受取通知には、例えば、受け取られた電子ギフトの識別子(電子ギフトID)、及び残高が加算された電子マネーアカウントの識別子(電子マネーアカウント番号)が含まれる。
【0054】
図7は、本実施形態に係る、受取確認処理の概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、アカウント管理システム5から、電子ギフトの受取通知が受信されたことを契機として実行される。
【0055】
電子ギフトの受取通知が受信されると(ステップS301)、受取確認部32は、受取通知に含まれる電子ギフトID及び/又は電子マネーアカウント番号に従って、支払者データベース21に記録されている還元履歴を特定し(ステップS302)、履歴記録部31は、特定された(受取が行われた)還元履歴に受取済を設定する(ステップS303)。受取済の設定は、例えば、フラグを用いて行うことが出来る。但し、電子ギフトの受取状況を記録する方法は、本実施形態における例示に限定されない。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0056】
本フローチャートに示された処理によれば、企業等の補助の実行者側が、補助が実際に支払者によって受け取られたか否かの状況を把握し、補助制度や還元率の検討に用いることが可能となる。
【0057】
図8は、本実施形態に係る、利用状況照会処理の概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、本実施形態に係る補助還元を利用するためのアプリケーションを実行するユーザ端末9(スマートフォン等)によって送信された、対象支払者を識別可能な情報(例えば、支払者ID)及び照会対象期間を示す情報を含む利用状況照会要求が受信されたことを契機として実行される。
【0058】
ユーザ端末9から利用状況照会要求が受信されると(ステップS401)、利用状況通知部33は、リクエストに係る支払者を特定し、支払者データベース21から、特定された対象支払者の利用状況データを取得する(ステップS402。利用状況データの更新については、ステップS107を参照)。ここで、利用状況通知部33は、利用状況照会要求において指定された照会対象期間に応じて、照会対象期間(現在の対象期間であってもよいし、過去の対象期間であってもよい)に係る利用状況データを取得する。利用状況通知部33は、取得された利用状況データ、又は取得された利用状況データに基づいて生成された表示用データを、リクエストの送信元端末に送信する(ステップS403)。利用状況データ又は表示用データを受信したユーザ端末9は、受信したデータに基づいて利用状況通知画面を表示する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0059】
図9は、本実施形態においてユーザ端末9に表示される利用状況通知画面の例を示す図である。利用状況通知画面には、照会対象期間に係る利用状況を把握可能な情報が含まれる。図9に示した例では、「未使用」として「還元上限−還元額」が示され、「使用済」として「還元額」が示されている(「今月の利用状況」であるため、還元額は現時点のもの)。リクエストに応じてこのような画面が表示されることで、ユーザは、現時点(リクエスト受付時点)及び/又は過去の対象期間に係る利用状況を把握することが出来る。なお、通知及び表示される情報は、還元額及び還元上限をユーザが把握可能なものであればよく、図9に示された「還元上限−還元額」と「還元額」との組み合わせに限定されない。例えば、「還元額」と「還元上限」との組み合わせや、「還元上限」と「還元上限−還元額」との組み合わせでも、ユーザは還元額及び還元上限を把握可能である。
【0060】
図10は、本実施形態に係る、店舗情報通知処理の概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、本実施形態に係る補助還元を利用するためのアプリケーションを実行するユーザ端末9(スマートフォン等)によって送信された、対象支払者を識別可能な情報(例えば、支払者ID)を含む店舗情報要求が受信されたことを契機として実行される。
【0061】
ユーザ端末9から店舗情報要求が受信されると(ステップS501)、店舗情報通知部34は、支払先データベース22から、所定の条件を満たす1又は複数の推奨店舗を抽出する(ステップS502)。ここで、店舗情報通知部34は、例えば、地理情報が示す店舗位置がユーザの勤務地から所定の範囲内にある、店舗がスタンプラリー等の所定のキャンペーンに参加している、等の条件を満たす店舗を、推奨店舗として支払先データベース22から抽出する。更に、店舗情報通知部34は、スタンプラリー等のキャンペーンに参加している店舗として抽出された推奨店舗(キャンペーン参加店舗)と、支払者データベース21に保存されている対象支払者の利用済店舗リストとを比較することで、当該支払者が利用していない推奨店舗である未利用店舗を抽出する(ステップS503。利用済店舗リストの更新については、ステップS108を参照)。
【0062】
そして、店舗情報通知部34は、抽出された推奨店舗及び未利用店舗に係る情報(店舗名称、地理情報、キャンペーン参加情報、等)を、リクエストの送信元ユーザ端末9に対して送信する(ステップS504)。抽出された推奨店舗及び未利用店舗に係る情報を受信したユーザ端末9は、受信した情報を表示することで、支払者に、お勧め店舗やキャンペーン達成状況等を把握させることが出来る(キャンペーン達成状況の更新については、ステップS108を参照)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0063】
<バリエーション>
なお、上記説明した実施形態では、本開示に係る技術を実施する上で採用可能な様々な機能を説明したが、上記説明した処理の一部は、実施の形態に応じて適宜取捨選択されてもよい。例えば、対象期間途中における還元額の算出(ステップS105及びステップS106)、利用状況データ、利用済店舗リスト及びキャンペーン達成状況の更新(ステップS107及びステップS108)、明細データを用いた承認の取得(ステップS206及びステップS207)、還元履歴の記録(ステップS209)、受取確認処理(図7)、利用状況照会処理(図8)、店舗情報通知処理(図10)、及びこれらの処理を実行するための各機能部は、実施の形態に応じて適宜取捨選択されてよい。
【符号の説明】
【0064】
1 還元処理サーバ
3 支払処理システム
5 アカウント管理システム
9 ユーザ端末

【要約】
【課題】所定の支払者に対して当該支払者による支払額の少なくとも一部を還元するためのシステムにおいて、支払者及び/又は還元側の利便性を向上させることを課題とする。
【解決手段】情報処理装置に、支払処理システムから、完了した支払に係る支払データを取得する支払データ取得部と、支払データに含まれる支払者を特定可能な情報及び支払先を特定可能な情報に基づいて、取得された該支払データのうち、還元の対象となる支払に係る対象支払データを特定する還元対象特定部と、支払者毎に、還元対象特定部によって特定された1又は複数の対象支払データに含まれる支払額に基づいて、還元に用いられる還元バリューの量を算出する算出部と、を備えた。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10