(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係るコイル部品の実施形態について説明する。
【0011】
[1.実施形態]
[1−1.構成]
図1は、実施形態に係るコイル部品の斜視図であり、
図2は、実施形態に係るコイル部品の分解斜視図である。
【0012】
本明細書において、図面に示すz軸方向を「上」側、その逆方向を「下」側とする。「下」は「底」とも称する場合がある。「上」や「下」とは、コイル部品の各部材の位置関係をいうものであり、コイル部品が設置された際の位置関係や方向を指すものではない。また、z軸方向を高さ方向と称する場合もある。また、後述するように、コイル3の巻軸方向をz軸方向と直交するy軸方向とし、z軸及びy軸に直交する方向をx軸方向とする。
【0013】
本実施形態のコイル部品は、トランスである。本実施形態のコイル部品は、例えば、建物と車との間で充放電される充放電システムに用いられる。
【0014】
図1及び
図2に示すように、コイル部品100は、コア1、ボビン2、コイル3、リード線4、配線部5、及び収容体6を備えている。
【0015】
コア1は、環状形状を有する磁性体である。本実施形態のコア1は、一対のE字型コア11が当該E字型コア11の3本の各脚を突き合わせるようにして、概略θ形状の環状形状を成している。ここでは、E字型コア11は、E字型コア部材11a、11bが上下二段に積み重ねられて構成されている。コア1(E字型コア部材11a、11b)は、フェライト又は圧粉磁心で構成されている。また、コア1の側周には、固定テープ12が巻かれており、固定テープ12により、積み重ねられたE字型コア部材11a、11bを固定するとともに、コア1の環状形状を維持する。なお、ここでは、コア部材11a、11bを積み重ねたが、積み重ねなくても良い。
【0016】
ボビン2は、樹脂から成る部材である。ボビン2を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)、PET(Polyethylene Terephthalate)、ナイロン等が挙げられる。
【0017】
このボビン2は、コイル3が装着される筒状部21と、筒状部21の両端に設けられたフランジ部22を有する。
【0018】
筒状部21は、その内部にE字型コア11の中脚が挿入され、概略四角筒状を成す。また、筒状部21の外周には、コイル3が装着される。フランジ部22は、筒状部21の端部から筒状部21の軸方向と直交するように平面状に張り出した板状体である。
【0019】
コイル3は、ボビン2に装着され、少なくとも端部31がリッツ線で構成されている。本実施形態では、コイル3は、リッツ線が筒状部21の外周に巻回されて構成されている。リッツ線は、例えば径が0.2mm程度の細い複数のエナメル線が撚られて構成された導線である。コイル3は、帯状の銅箔が筒状部21の外周に巻回され、銅箔の両端部にリッツ線をハンダ付け等により電気的に接続して構成しても良い。コイル3の周囲には、巻回されたリッツ線を固定し、コイル3と周囲を絶縁する絶縁テープ32が巻かれている。
【0020】
コイル3は、ここではコイル部品100がトランスであるので、リッツ線から成る1次巻線と2次巻線とで構成される。
【0021】
1次巻線と2次巻線は、筒状部21の外周に1次巻線が巻回され、当該1次巻線の外周に2次巻線が巻回されていても良いし、1次巻線と2次巻線のリッツ線が交互に積層するように筒状部21に巻回されていても良い。また、筒状部21の軸方向に1次巻線、2次巻線を並べるように巻回されていても良い。
【0022】
図3は、コイル3が巻回されたボビン2の斜視図である。
図3に示すように、コイル3の端部31は、ボビン2の外側に引き出されている。すなわち、コイル3の端部31は、1次巻線の両端部と2次巻線の両端部とを合わせて、計4つである。筒状部21の一端部の上方に2つの端部31が引き出され、筒状部21の他端部の上方に残りの2つの端部31が引き出されている。
【0023】
リード線4は、絶縁被覆を有する電線であり、
図3に示すように、配線部5に配線されて、端部がコイル3の端部31と電気的に接続されている。リード線4は、コイル3の各端部31に対して設けられている。すなわち、リード線4の本数は、ここでは4本である。
【0024】
リード線4とコイル3の端部との電気的な接続は、リード線4の線材と、コイル3の端部31であるリッツ線とが、ハンダ付け等により接合されている。このように、リッツ線の端部とリード線4の端部とが電気的に接続されることで接合部7を構成する。
【0025】
図4は、ボビン2と配線部5の分解斜視図である。配線部5は、リッツ線とリード線4と配線するための部材であり、
図3及び
図4に示すように、ボビン2に固定されている。ここでは、配線部5は、樹脂で構成されており、ボビン2と一体成形されている。すなわち、ボビン2と配線部5は、同じ樹脂で一続きに継ぎ目無く形成されており、ボビン2と配線部5とで1つの樹脂部材を構成する。
【0026】
ここでは、配線部5は、縦型に設けられている。すなわち、配線部5は、各フランジ部22の上方にそれぞれ立設して設けられており、リッツ線の端部31が上下方向に配線されるとともに、リード線4が接合部7からU字状に折り返されることにより上下方向に配線されている。
【0027】
具体的には、配線部5は、収容部51、挿通穴52、筒状部53、及びカバー54を有する。収容部51、挿通穴52、及び筒状部53は、1つの配線部5においてz軸対称に設けられている。
【0028】
収容部51は、接合部7を収容する。収容部51は、各接合部7に対してそれぞれ設けられている。ここでは、筒状部21の一端部側に2つの収容部51が隣り合ってz軸対称に配置され、筒状部21の他端部側に2つの収容部51が隣り合ってz軸対称に配置されている。
【0029】
具体的には、収容部51は、ベース板511、L字状板512、折り返し部513によりL字状の空間を形成している。ベース板511は、フランジ部22からxy平面と平行に上方に延設された板状体であり、コイル3側に位置する。
【0030】
L字状板512は、z軸対称に配置される収容部51を仕切る仕切板であり、ベース板511の中央部に設けられている。具体的には、このL字状板512は、ベース板511にL字状板512のL字を成す縁がベース板511外側の面に設けられている。すなわち、L字状板512は、L字を成す一辺がフランジ部22の上部においてxy平面と平行にx軸方向に延びて配置され、他辺がコイル3の巻軸寄りにyz平面と平行に上下方向に延びて配置されている。
【0031】
折り返し部513は、ベース板511の端に設けられ、L字状板512と少なくとも一面が対面するU字状の板状体である。折り返し部513は、そのU字を成す縁がベース板511の外側の面に設けられている。具体的には、折り返し部513は、略矩形状の内側板状体513a、連結板状体513b、及び外側板状体513cから構成される。
【0032】
内側板状体513aが仕切板となるL字状板512の一面に面し、連結板状体513bがL字状板512の他面に面し、外側板状体513cが内側板状体513aと面している。すなわち、内側板状体513a及び外側板状体513cはyz平面に平行にして内側板状体513aが内側、外側板状体513cが外側になるように並行かつ離間して配置され、連結板状体513bがxy平面と平行に配置され、板状体513a、513cの下辺となる端を繋ぐことにより、折り返し部513がU字状を成している。
【0033】
内側板状体513aの外側板状体513cと対面する面には、ベース板511側に近づくにつれて膨出する膨出部514が設けられており、この膨出部514が後述するカバー54の嵌合穴543aに嵌まることにより、カバー54が収容部51に固定される。
【0034】
挿通穴52は、ベース板511に設けられており、コイル3の端部31が筒状部21側からベース板511の外側に向かって引き出される。挿通穴52は、ここでは、略矩形状であり、コイル3の巻き始めとなる端部31の高さからコイル3の巻き終わりとなる端部31の高さを含んで設けられた穴である。
【0035】
筒状部53は、収容部51の隣に設けられた筒状体である。ここでは、筒状部53は、外側板状体513cの外面に筒の開口が上下に向くように、上下方向に延びて収容部51の脇に設けられており、その内部に収容部51から引き出されたリード線4が通されている。筒状部53の上下方向の長さは、収容部51の上下方向の長さよりも短く、上端が収容部51の上端より下方に位置している。リード線4を引き回し易くするためである。また、筒状部53の下端は、折り返し部513の下端より上方に位置している。リード線4を引き回し易くするため、及び、後述のツメ621bを曲げるための治具を挿入する空間を確保するためである。ここでは筒状部53は、四角筒状であるが、半円筒状、円筒状、三角筒状としても良い。
【0036】
カバー54は、z軸対称に設けた一対の収容部51を覆う。カバー54は、収容部51に収容された接合部7を保護するとともに、接合部7とコア1との絶縁距離を確保する。
【0037】
本実施形態では、カバー54は、収容部51を外側から覆う大面部541と、上方を覆う上面部542と、収容部51に取り付ける側面部543とを有する。大面部541は、xz平面と平行に配置され、一対の収容部51を外側から全面的に覆い、接合部7が外側(y軸方向正側又は負側)に倒れる又は外側に移動するのを規制する。上面部542は、大面部541の上辺と直交して設けられ、xy平面と平行であり、接合部7を上面から保護する。側面部543は、大面部541の左右の辺と上面部542の左右の辺と繋がり、yz平面に平行に設けられ、折り返し部513の板状体513a、513c間に差し込まれる。側面部543は、板状体513a、513cと同程度の長さであり、L字状板512までには至らない。収容部51からリード線4を外側に引き出すためである。
【0038】
この側面部543には、矩形状の嵌合穴543aが設けられており、膨出部514が嵌まることでカバー54が一対の収容部51に固定される。
【0039】
また、カバー54(ここでは大面部541)には、収容部51内に迫り出す突起541aが設けられている。突起541は、大面部541の下側にx軸方向と平行にして、各収容部51に対して設けられており、接合部7から折り曲げられたリード線4と対面するか接触する。
【0040】
図1に示すように、収容体6は、コア1とコイル4を有するコイル部品本体を収容する。収容体6は、コイル部品本体の上面以外の周囲を覆う。ここでは、この収容体6は、
図2に示すように、板金が折り返されることにより構成されており、底面部61と底面部61から立設する側面部62とを有する。底面部61は、コイル部品本体(より具体的にはコア1)を支持する矩形状の枠である。枠の内側の開口には、コイル3の底部が嵌まり、枠の内縁には、矩形状の切欠き61aが3箇所設けられている。この切欠き61aにフランジ部22に設けられた凸部22aが嵌まることでコイル部品本体の位置決めが成される。
【0041】
図5は、実施形態に係るコイル部品の側面図である。但し、
図5中、固定テープ8は省略している。
図2及び
図5に示すように、底面部61のx軸方向と平行な一辺からは下方に板金が折り曲げられるとともに、その先で更に内側に折り曲げられた固定部63が設けられている。固定部63の高さは、底面部61の開口から出たコイル3底部の高さと同程度である。固定部63の両端部には、ネジ孔63aが設けられており(
図1参照)、コイル部品100が設置対象にネジ締結により固定される。
【0042】
側面部62は、コイル3の巻軸方向と平行な底面部61の辺からyz平面と平行に立設されている。側面部62は、矩形から中央上部と下部の両端が切り欠かれて概略Y字形状を成す。
【0043】
側面部62の側部には、板金が側面部62と直角に折り曲げられた側面部64が設けられており、側面部64は、コイル3の巻軸と直交するコア1の側面と対面する。
【0044】
側面部62には、コア1の上面より上方に延設された延設部621が設けられている。延設部621は、各側面部62につき2箇所に設けられている。収容体6が側面部62を2つ有するので、延設部621は合計4箇所に設けられている。
【0045】
この延設部621には、コイル3の巻軸と平行に延びるスリット621aと、スリット621aより上方に設けられたツメ621bが設けられている。このスリット621aは、コア1の上面と同程度の高さにおいて、側面部62の中央上部の切欠き62aを成す一対の辺からコイル3の巻軸と平行に延びている。コア1の上面と同程度の高さとは、例えば、コア1の上面の高さと同じかそれ以上の高さであって、コイル3が収容体6に収容された際のコイル3の上面の高さ以下である。より具体的には、ツメ621bの上側のエッジがコイル3の上面の高さ以下、かつ、ツメ621bの下側のエッジがコア1の上面以上の高さにツメ621bが配置されていることが望ましい。コイル部品100の大型化を防止するためである。本実施形態では、ツメ621bの下側のエッジとコア1の上面とのz軸方向の距離は、0.5mm〜2.0mmである。
【0046】
図6は、実施形態に係るコイル部品の上面図である。ツメ621bは、板金の小片であり、
図6に示すように、四角形の頂点の位置に設けられている。ツメ621bは、スリット621aが延びる方向と直交する方向に折り目を成して、コイル3側に折り曲げられており、ツメ621bのエッジがコア1の上面と対向する。つまり、ツメ621bは、その平面がxy平面と直交し、下辺がコア1の上面と対向する。また、ツメ621bの根元には、切欠き621cが設けられている。この切欠き621cは、ここでは円形である。
【0047】
ツメ621bは、コイル3の巻軸と平行な線から30°以上の角度で折り曲げられている。このツメ621bの折り曲げ角度は、30°以上90°以下であることが好ましい。ツメ621bの長さは、コア1と側面部62との最大クリアランスよりも長く、コア1のE字型コア11の外脚の幅よりも短い。
【0048】
図1に示すように、コイル部品本体が収容された収容部6の周りには、固定テープ8が巻かれている。具体的には、固定テープ8は、コイル部品本体の上部、一方の側面部62の外側、底面部61の底部及びコイル3の底部及び、他方の側面部62の外側を回って少なくとも一周巻回されている。この固定テープ8は、収容部6からコイル部品本体の脱落を防止する。
【0049】
[1−2.製造方法]
本実施形態のコイル部品100の製造方法について説明する。コイル部品100の製造方法は、コイル形成工程、環状コア形成工程、配線工程、収容工程、ツメ折り曲げ工程を有する。
【0050】
コイル形成工程は、筒状部21の外周にリッツ線を巻回し、コイル3を形成する工程である。コイル3を形成した後、絶縁テープ32を巻いてリッツ線がほどけないようにするとともに、コイル3の周囲を絶縁する。
【0051】
環状コア形成工程は、2段に積んだE字型コア部材11a、11bを、その中脚を筒状部21の内部に挿入し、各脚を突き合わせて、概略θ形状のコア1を構成する。コア1の側面を固定テープ12で留める。
【0052】
配線工程は、コイル3の端部31とリード線4を配線部5に配線する工程である。まず、コイル3の端部31をベース板511に設けられた挿通穴52から外側に引き出す。そして、リード線4の一端を隣のリード線4の一端と揃えた状態で、他端を筒状部53に通してから収容部51に収容する。これにより、筒状部53から先の他部品と接続されるリード線4の長さが決められる。
【0053】
次に、コイル3の端部31とリード線4の他端とを揃え、xy平面と平行になるように外側に倒した状態でハンダ付けし、接合部7を形成する。そして、接合部7を収容部51に収容する。このとき、接合部7は、L字状板512と内側板状体513aとの間に配置され、接合部7と筒状部53との間のリード線4の部分は、連結板状体513bとL字状板512との間に収容される。これにより、リード線4はU字状に折り返されて外部に引き出される。
【0054】
更に、カバー54の側面部543を内側板状体513a、513cの間の隙間に差し込み、嵌合穴543aに膨出部514を嵌め込むことで、カバー54を収容部51に取り付ける。これにより、接合部7がコイル部品100の外側に倒れるのを防止する。また、接合部7を保護するとともに、接合部7とのコア1との絶縁距離を確保する。このとき、カバー54の内側に設けられた突起541aが収容部51内部に迫り出しているので、突起541aがリード線4に接するか対面し、リード線4の動きを規制することができる。
【0055】
収容工程は、上記のように構成したコイル部品本体を収容体6に収容する工程である。このとき、ツメ621bは、未だ折られておらず側面部62と同一平面上に位置している。そのため、収容体6の上面の開口はコイル部品本体を収容できる大きさである。この開口からコイル部品本体を内部に収容する。このとき、底面部61に接着剤を塗布しておき、収容体6とコイル部品本体とを固定する。また、収容した後、収容体6とコイル部品本体を外側から固定テープ8を巻いて固定する。
【0056】
ツメ折り曲げ工程は、ツメ621bを折り曲げる工程である。ツメ621bの根元から先端をコイル3側に折り曲げる。これにより、ツメ621bの下辺とコア1の上面とが対面する。
【0057】
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態のコイル部品100は、ボビン2と、ボビン2に装着され、少なくとも端部31がリッツ線で構成されたコイル3と、リッツ線と電気的に接続されるリード線4と、ボビン2に固定され、リッツ線とリード線4とを配線するための配線部5と、を備え、配線部5は、リッツ線とリード線4の端部とが電気的に接続された接合部7を収容する収容部51と、収容部51に設けられ、リッツ線を収容部51の内部に挿通させる挿通穴52と、収容部51の隣に設けられ、収容部51から引き出されたリード線4が通される筒状部53と、を有し、リード線4は、収容部51から折り返されて、筒状部53を通って外部に引き出すようにした。
【0058】
これにより、リード線が引き回されることにより発生する引っ張り応力がコイル3の端部31にかかるのを抑制し、リッツ線の断線を防止することができる。具体的には、リード線4がU字状に折り返されて筒状部53を通って外部に引き出されているので、リード線4が引き回されても筒状部53により接合部7側の動き、特にU字状に折り返された先の接合部の動きが規制され、接合部7のリッツ線に引っ張り応力が加わるのが抑制される。その結果、リッツ線の断線を防止することができる。例えば、リード線4が前後左右に引き回されても筒状部53の上部に当接し、当該部分に引っ張り応力が負担されることになり、接合部7側への影響を小さくすることができる。
【0059】
また、収容部51は、ベース板511と、ベース板511の中央部に設けられた仕切板と、ベース板511の端に設けられ、仕切板と少なくとも一面が対面するU字状の折り返し部513と、を有し、折り返し部513は、仕切板と対面する内側板状体513aと、内側板状体513aと平行かつ離間して設けられた外側板状体513cと、内側板状体513aの端と外側板状体513cの端とを繋ぐ連結板状体513bと、を有し、筒状部53は、その軸が連結板状体513bの拡がる平面と直交するように、外側板状体513cに設けられ、仕切板と内側板状体513aとの間に接合部7が収容され、リード線4は、連結板状体513bの周囲で折り返すようにした。
【0060】
これにより、リード線4が上(筒状部53の軸方向)に引っ張られたとしても、リード線4が折り返し部513(特に連結板状体513b)に当接するので、接合部7のリッツ線に引っ張り応力が加わるのを抑制される。その結果、リッツ線の断線を防止することができる。
【0061】
(2)配線部5には、収容部51内の接合部7を覆うカバー54を設けるようにした。これにより、接合部7の動きが規制されるので、リッツ線への引っ張り応力がかかるのを抑制することができる。また、接合部7を保護することができるとともに、接合部7の動きの規制により、接合部7とコア1との絶縁距離を確保することができる。
【0062】
(3)カバー54には、収容部51内に迫り出す突起541aを設けるようにした。これにより、収容部51内のスペースが狭くなるので収容部51内のリード線4の動きを規制することができる。その結果、リッツ線への引っ張り応力がかかるのを抑制し、リッツ線の断線を防止することができる。また、リード線4が引き回されてもリード線4が突起541aに当接するので接合部7の動きが規制され、接合部7とコア1との絶縁距離を確保することができる。
【0063】
(4)配線部5には、一対の収容部51及び筒状部53が線対称に設けられることで、2つの筒状部53間に2つの収容部51が並べて配置され、カバー54は、2つの収容部51を覆う大面部541と、大面部541の両側に大面部541と直交して設けられ、折り返し部513の隙間に差し込まれる側面部543と、を有し、側面部543には、嵌合穴543aが設けられ、折り返し部513には、嵌合穴543aに嵌められる膨出部514を設けるようにした。
【0064】
これにより、カバー54が筒状部53間に収まるので、リード線4の引き回しによる力の影響を受けずに収容部51にカバー54を取り付けることができる。例えば筒状部53を筒状とせず、xy平面と平行な断面がU字状の囲いにし、一対の収容部51とその外側に位置する囲いを含めてカバーしようとすると、リート線4が引き回わされた際に、囲いではなくカバーの方に引き回された力が働いた場合、カバーが外れてしまう虞がある。本実施形態では、筒状部53によりリード線4の一部の全周を囲うとともに、嵌合穴543a及び膨出部514を設けて、カバー54を、筒状部53を除いた筒状部53間を覆って取り付けるようにしたので、リード線4の引き回しによる力の影響を受けず、カバー54を収容部51に強固に固定することができる。
【0065】
(5)コイル3とコイル3が装着されるコア1とを有するコイル部品本体の上面以外の周囲を囲い、コイル部品本体を収容する収容体6と、を備え、収容体6のコイル3の巻軸と平行な側面部62には、コアの上面より上方に延設された延設部621が設けられ、延設部621には、コイル3の巻軸と平行に延びて設けられたスリット621aと、スリット621aより上方に設けられたツメ621bとが設けられ、ツメ621bは、スリット621aが延びる方向と直交する方向に折り目を成して、コイル3側に折り曲げられており、ツメ621bのエッジがコア1の上面と対向するようにした。
【0066】
これにより、ツメ631bによりコア1の位置が規制されるので、収容体6からコイル部品本体が外れるのを防止することができる。本実施形態のコイル部品100が壁に設置される場合、長年の使用等によりコイル部品本体が収容体6から外れ、脱落する可能性があるが、コイル部品本体が収容体6から抜けようとしても、ツメ621bがコア1の上面と当接するので、脱落が防止される。
【0067】
このような構成は、脱落防止の効果の他、コア1の割れや欠け等の破損を防止する効果もある。すなわち、従来の構成では、収容体の側面に上方に延びるツメは、エッジではなくツメの面がコア1の上面と面するように折り曲げられていた。このツメは収容体の側面に繋がっているので、ツメが折り曲げられる力は当該側面に伝播する。そのため、一対の側面でツメが折り曲げられる際に、当該側面間のコア1が締め付けられ、コア1に応力が加わってコア1が破損する場合があった。
【0068】
これに対し、本実施形態では、収容体6の側面部62には、コア1の上面より上方に延設部621を設け、この延設部621にスリット621aと、スリット621aより上方にツメ621bを設けるようにした。
【0069】
これにより、ツメ621bをコイル3側に折り曲げる際の力は、ツメ621bがスリット621aによって側面部62と分離されているので側面部62を介してコア1の側面に加わるのが防止される。そのため、コア1の破損を防止することができる。
【0070】
このような効果は、特に、コア1がフェライトコア又は圧粉磁心であるとより効果を発揮する。フェライトコア又は圧粉磁心は、硬くても力が加わると脆く、割れや欠けが発生しやすいからである。
【0071】
(6)ツメ621bの根元には、切欠き621cを設けるようにした。これにより、ツメ621bを折り目を付けて曲げる際に曲げやすくなる構造にしているので、コア1の破損を防止する効果をより高めることができる。
【0072】
[2.変形例]
上記実施形態の変形例について説明する。本変形例は、上記実施形態と基本構成は同じである。よって、上記実施形態と異なる点のみ説明し、上記実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図7は、本変形例に係るコイル部品100の斜視図である。
図8は、本変形例に係るボビン2と配線部5の分解斜視図である。但し、カバー54は、ボビン2から取り外して開いた状態で示している。
【0074】
図7及び
図8に示すように、本変形例は、配線部5が配置される向きが異なっており、伏せ型に設けられており、上記実施形態の配線部5よりも90°倒されて横に寝た状態となっている。
【0075】
具体的には、収容部51は、ベース板511、仕切板515、折り返し部513、フランジ部22を有している。ベース板511、仕切板515、折り返し部513、及びフランジ部22により、L字状の収容空間を形成している。ベース板511は、筒状部21の上面の高さにおいて、フランジ部22から外側に突出し、xy平面と平行に拡がる平板である。その中央には左右の収容部51を画成する二枚の仕切板515がyz平面と平行に立設し、U字状の折り返し部513が仕切板515の外側に設けられている。すなわち、仕切板515は、折り返し部513の内側板状体513aと対面しており、仕切板515及び内側板状体513aとで接合部7の収容空間を形成する。
【0076】
フランジ部22には、ベース板511より上方の高さに挿通穴52が設けられている。ここでは挿通穴52は、フランジ部22の上部から設けられた切欠きであり、コイル3の端部31が挿通穴52から接合部7の収容空間に通される。
【0077】
フランジ部22と連結板状体513bとの間には、接合部7から続くリード線4部分が配置される。
【0078】
リード線4は、フランジ部22と連結板状体513bとの間を通されて収容部51からU字状に折り返されるように引き出され、筒状部53を通って側方(y軸方向と平行)に引き出されている。
【0079】
カバー54は、大面部541がxy平面と平行に配置され、大面部541の両端から側面部543が大面部541と直交して下方に延びて設けられている。本変形例のカバー54には上面部542は設けられていない。
【0080】
収容体6の側面部62に設けられた延設部621には、ツメ621dが設けられている。このツメ621dは、延設部621の上縁から90°折り曲げられ、ツメ621bの面がコア1の上面と対面している。ツメ621dとコア1の上面との間は、ツメ621dを折り曲げるための治具が入るスペースが設けられている。スリット621aは設けられていない。
【0081】
上記のような構成を有する変形例に係るコイル部品であっても、収容部51及び筒状部53を有する配線部5が設けられていることで、リード線が引き回されることにより発生する引っ張り応力がコイル3の端部31にかかるのを抑制し、リッツ線の断線を防止することができる。
【0082】
また、収容部51がU字状の折り返し部513を有し、折り返し部513が仕切板515と対面する内側板状体513aと、内側板状体513aと平行かつ離間して設けられた外側板状体513cと、内側板状体513aの端と外側板状体513cの端とを繋ぐ連結板状体513bと、を有し、筒状部53は、その軸が連結板状体513bの拡がる平面と直交するように、外側板状体513cに設けられ、仕切板515と内側板状体513aとの間に接合部7が収容され、リード線4は、連結板状体513bの周囲で折り返すようにした。
【0083】
これにより、リード線4がy軸方向(筒状部53の軸方向)に引っ張られたとしても、リード線4が折り返し部513(特に連結板状体513b)に当接するので、接合部7のリッツ線に引っ張り応力が加わるのを抑制される。その結果、リッツ線の断線を防止することができる。
【0084】
[3.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態又は上記変形例に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、上記実施形態、上記変形例及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0085】
(1)例えば、上記実施形態及び上記変形例では、配線部5をボビン2と樹脂により一体成形するようにしたが、配線部5をボビン2とは別に作製しておき、配線部5をネジ止め、接着剤等によりボビン2に固定するようにしても良い。
【0086】
(2)
図9に示すように、スリット621aは、L字状としても良い。この場合、スリット621aのうち、コイル3の巻軸(y軸方向)と平行に延びる部分の高さは、コア1の上面と同程度の高さとし、当該部分より上の小片をツメ621bとすることができる。
【0087】
(3)ツメ621bの根元に設けた切欠き621cの形状は特に限定されず、矩形状であっても良い。
【0088】
(4)上記実施形態及び変形例では、コイル部品100をトランスを例に説明したが、コイル部品100はリアクトルとしても良い。
【0089】
(5)上記変形例の伏せ型の配線部5と、上記実施形態のツメ621bを有する収容体6とを有するコイル部品100も本発明に含まれる。
【0090】
(6)収容部51と筒状部53の配置は隣り合っていれば良く、上記実施形態及び上記変形例の配置態様に限定されない。例えば、
図10に示すように、一対の収容部51を端に配置し、その間に筒状部53を設けるようにしても良い。また、
図11に示すように、筒状部53は、コイル部品100の外側に出っ張るように収容部51の隣に設けても良い。この場合、例えば筒状部53は、カバー54の大面
図541の外面に設けても良い。また、
図12に示すように、筒状部53は、コイル部品100の内側になるように収容部51の隣に設けても良い。これにより、筒状部53が平面視してコイル部品100の投影面積内に収まるので、コイル部品100を小型化することができる。また、この場合、例えば筒状部53は、ベース板511のコイル3側の面に設けても良い。