特許第6974582号(P6974582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974582
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】車両のためのオープンルーフ構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/057 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   B60J7/057
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-505171(P2020-505171)
(86)(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公表番号】特表2020-532453(P2020-532453A)
(43)【公表日】2020年11月12日
(86)【国際出願番号】EP2017069674
(87)【国際公開番号】WO2019024996
(87)【国際公開日】20190207
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】503036818
【氏名又は名称】イナルファ・ルーフ・システムズ・グループ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アントン・マルタインスズォーン・アルベルス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・クリスティアーン・フェルフォールト
(72)【発明者】
【氏名】ペートルス・アントーニウス・ヴェッセリング
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公開第03532111(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0336448(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0082489(US,A1)
【文献】 特開2014−040163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ルーフに少なくとも1つの開口部を有する車両のためのオープンルーフ構造であって、
前記オープンルーフ構造が、前記ルーフ開口部のそばで少なくとも2つのガイドレールを支える、前記固定ルーフに取り付けるための静止部と、前方側及び後方側を有し、かつ前記ガイドレールによってガイドされる操作機構によって支持された少なくとも1つの閉鎖部であって、前記閉鎖部が、前記閉鎖部が前記ルーフ開口部を閉鎖する閉鎖位置と、前記閉鎖部が少なくとも部分的に前記ルーフ開口部から外に移動させられる開放位置と、の間で調節可能である、閉鎖部と、を備え、前記操作機構が、各ガイドレール上に、前記閉鎖部の前方側の近くで前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも1つの調節可能な第1支持部材と、前記前方側の後ろへ離間して前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも1つの調節可能な第2支持部材と、を備えるオープンルーフ構造において、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも1つが、水平方向及び鉛直方向において独立して前記第1支持部材及び前記第2支持部材の前記少なくとも1つを調節できるように、2つの個別の駆動源を備えていることを特徴とするオープンルーフ構造。
【請求項2】
各支持部材が、各支持部材自身の2つの駆動源を備えていることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも2つが、前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも2つを水平方向で調節するために、共通の駆動源を備えていることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項4】
全ての第1支持部材及び第2支持部材が、前記第1支持部材及び前記第2支持部材を水平方向で調節するために、1つの共通の駆動源を備えていることを特徴とする請求項3に記載のオープンルーフ構造。
【請求項5】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のそれぞれが、レバー機構、ねじジャッキ及びピン−スロット機構のうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項6】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のそれぞれを水平方向に移動させるための前記駆動源が、前記第1支持部材及び前記第2支持部材のそれぞれとともに移動することを特徴とする請求項2に記載のオープンルーフ構造。
【請求項7】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材のそれぞれを水平方向に移動させるための前記駆動源が、前記静止部に取り付けられ、1つ以上の接続要素を通じてそれぞれの前記支持部材に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のオープンルーフ構造。
【請求項8】
前記接続要素が、ベルト、プッシュプルケーブル並びにラック及びピニオンのうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項7に記載のオープンルーフ構造。
【請求項9】
全ての第1支持部材及び第2支持部材が、前記第1支持部材及び前記第2支持部材を水平方向で調節するために、1つの共通の駆動源を備えており、前記接続要素が、前記駆動源を全ての第1支持部材及び第2支持部材に接続していることを特徴とする請求項7に記載のオープンルーフ構造。
【請求項10】
前記駆動源が、プログラム可能な制御装置によって制御されることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項11】
前記第2支持部材を鉛直方向で調節するための前記駆動源が、前記第1支持部材の鉛直方向位置から完全に独立して前記閉鎖部を調節することを可能にすることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項12】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の前記少なくとも1つを鉛直方向で調節するための前記駆動源が、水平方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のオープンルーフ構造。
【請求項13】
固定ルーフに少なくとも1つの開口部を有する車両のためのオープンルーフ構造であって、
前記オープンルーフ構造が、前記ルーフ開口部のそばで少なくとも2つのガイドレールを支える、前記固定ルーフに取り付けるための静止部と、前方側及び後方側を有し、かつ前記ガイドレール上でガイドされる操作機構によって支持された少なくとも1つの閉鎖部であって、前記閉鎖部が、前記閉鎖部が前記ルーフ開口部を閉鎖する閉鎖位置と、前記閉鎖部が少なくとも部分的に前記ルーフ開口部から外に移動させられる開放位置と、の間で調節可能である、閉鎖部と、を備え、前記操作機構が、前記閉鎖部の前方側の近くで前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも1つの第1支持部材と、前記前方側の後ろへ離間して前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも調節可能な第2支持部材と、を備えるオープンルーフ構造において、
各支持部材が、水平方向及び鉛直方向において独立して各支持部材を調節できるように、それぞれの前記支持部材に接続された2つの個別の駆動源を備えていることを特徴とするオープンルーフ構造。
【請求項14】
固定ルーフに少なくとも1つの開口部を有する車両のためのオープンルーフ構造で使用するための操作機構であって、
前記オープンルーフ構造が、前記ルーフ開口部のそばで少なくとも2つのガイドレールを支える、前記固定ルーフに取り付けるための静止部と、前方側及び後方側を有し、かつ前記ガイドレール上でガイドされる操作機構によって支持された少なくとも1つの閉鎖部であって、前記閉鎖部が、前記閉鎖部が前記ルーフ開口部を閉鎖する閉鎖位置と、前記閉鎖部が少なくとも部分的に前記ルーフ開口部から外に移動させられる開放位置と、の間で調節可能である、閉鎖部と、を備え、前記操作機構が、前記閉鎖部の前方側の近くで前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも1つの調節可能な第1支持部材と、前記前方側の後ろへ離間して前記閉鎖部を調節可能に支持する少なくとも調節可能な第2支持部材と、を備える操作機構において、
各支持部材が、水平方向及び鉛直方向において独立して各支持部材を調節できるように、それぞれの前記支持部材に接続された2つの個別の駆動源を備えていることを特徴とする操作機構。
【請求項15】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の少なくとも2つが、水平方向で調節するための共通の駆動源を有することを特徴とする請求項14に記載の操作機構。
【請求項16】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材を鉛直方向で調節するための前記駆動源が、水平方向に移動可能であることを特徴とする請求項14又は15に記載の操作機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書き部に記載の車両のためのオープンルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなオープンルーフ構造は、例えば特許文献1で説明されている。このようなオープンルーフ構造では、操作機構が、車両のタイプごとについて、具体的に設計されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2554415号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、非常に汎用的な操作機構を備えるオープンルーフ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水平方向及び鉛直方向に移動するための個別の駆動源を有する第1支持部材及び第2支持部材の少なくとも1つを設けることによって、異なるタイプの車両又は異なるタイプのルーフのために同じ操作機構を使用することが可能になる。特定のタイプの車両又は特定のタイプのオープンルーフ構造について支持部材が必要とされる水平方向及び鉛直方向の移動をすることを可能にするために、駆動源のための制御装置のみが異なるべきであるか、又は制御装置のソフトウェアのみが変更されるべきである。これは、操作機構の機械的パーツが、異なるタイプのルーフについて同じであり、これが、設計及び製造の複雑性を小さくすることを意味する。
【0006】
第1支持部材は、ピボットだけであってもよいが、第1支持部材を水平方向に調節するために少なくとも駆動源を有する第1支持部材を設けることが好ましく、ただし、閉鎖部の前方側の全ての種類の移動が可能であるように鉛直方向に調節するために駆動源も有する第1支持部材が最も好ましい。
【0007】
支持部材が鉛直方向で調節可能である場合、支持部材は、鉛直方向で調節するために支持部材自身の駆動源を常に有する。第2支持部材の鉛直方向での調節は、好ましくは、第1支持部材の鉛直方向位置から完全に独立している。しかしながら、2つ以上の支持部材が、同じ水平方向の移動をするように、水平方向で調節するために共通の駆動源を有してもよい。しかしながら、支持部材と、水平方向で調節するための駆動源と、の間の連結部を含み、一方の支持部材を他方の支持部材に対して水平方向に移動させることを可能にすることも可能である。2つのガイドレール内の第1支持部材及び/又は第2支持部材は、1つ又は2つの接続要素を通じて共通の駆動源に連結されてもよい。
【0008】
支持部材の鉛直方向の調節は、レバー機構、ねじジャッキ及び/又はピン−スロット機構のような比較的シンプルな機械的機構によって達成され得る。水平方向で調節するための接続要素は、ベルト、プッシュプルケーブル、ラック及びピニオン並びに同様のもののうちの1つを備えている。
【0009】
それぞれの支持部材を水平方向で調節するための駆動源は、静止して取付けられて、前記接続要素によって支持部材に接続されてもよく、又は支持部材を駆動するために支持部材とともに移動して静止部と係合してもよい。駆動源は、例えば静止ラックと係合するピニオンを支えてもよい。
【0010】
本発明は、上述したオープンルーフ構造で使用するための操作機構も含む。
【0011】
本発明は、本発明によるオープンルーフ構造の実施形態を示す図面を参照して以下で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】所定位置にあるオープンルーフ構造の第1実施形態を非常に概略的な平面図で示す。
図1b】所定位置にあるオープンルーフ構造の第1実施形態を非常に概略的な平面図で示す。
図1c】駆動源及び接続要素をより詳細に示す、図1aの図に対応する図である。
図2a】オープンルーフ構造の第2実施形態を示す、図1aの図に対応する図である。
図2b】オープンルーフ構造の第2実施形態を示す、図1bの図に対応する図である。
図2c】オープンルーフ構造の第2実施形態を示す、図1cの図に対応する図である。
図3a】オープンルーフ構造の第3実施形態を示す、図1aの図に対応する図である。
図3b】オープンルーフ構造の第3実施形態を示す、図1bの図に対応する図である。
図3c】オープンルーフ構造の第3実施形態を示す、図1cの図に対応する図である。
図4a】オープンルーフ構造の第4実施形態を示す、図1aの図に対応する図である。
図4b】オープンルーフ構造の第4実施形態を示す、図1bの図に対応する図である。
図4c】オープンルーフ構造の第4実施形態を示す、図1cの図に対応する図である。
図5a】第5実施形態による頂部スライダルーフの非常に概略的な平面図である。
図5b】第5実施形態による頂部スライダルーフの非常に概略的な平面図である。
図6a】所定位置にあるオープンルーフ構造の第6実施形態の非常に概略的な側面図である。
図6b】所定位置にあるオープンルーフ構造の第6実施形態の非常に概略的な側面図である。
図6c】所定位置にあるオープンルーフ構造の第6実施形態の非常に概略的な側面図である。
図7a】所定位置にあるオープンルーフ構造の第2実施形態の非常に概略的な側面図である。
図7b】所定位置にあるオープンルーフ構造の第2実施形態の非常に概略的な側面図である。
図7c】所定位置にあるオープンルーフ構造の第2実施形態の非常に概略的な側面図である。
図8a】所定位置にある支持部材の実施形態の拡大側面図である。
図8b】所定位置にある支持部材の実施形態の拡大側面図である。
図9a】所定位置にある支持部材の実施形態の拡大側面図である。
図9b】所定位置にある支持部材の実施形態の拡大側面図である。
図10a図7aにおける拡大細部Xaである。
図10b図7bにおける拡大細部Xbである。
図11図7bにおける拡大細部XIである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面、第1の例では図1a〜図1cは、車両、特に乗用車のような自動車のためのオープンルーフ構造を示す。図1に示されるように、この車両には、その固定ルーフ2に開口部1が設けられ、前記固定ルーフ2は、車両の一部又はオープンルーフ構造自体の一部を形成してもよく、このケースでは、車両のルーフ全体を形成することに留意されたい。固定ルーフ2は、車両の一体部分又は1つ以上の(金属又は透明)パネルからなってもよく、これらパネルは、固定されているか、取り外し可能であるか、又は個別の調節可能なルーフ要素を形成してもよい。
【0014】
オープンルーフ構造は、フレーム3のような静止部と、例えばガラス又はプラスチック材料から作られた、このケースでは剛性を有しかつ好ましくは透明なパネル4の形態にある閉鎖要素と、を備え、このパネル4は、フレーム3によって移動可能に支持されている。この実施形態では、パネル4は、閉鎖位置と開放位置との間で移動可能であり、閉鎖位置では、ルーフ開口部1が閉鎖され、かつパネル4が少なくとも実質的に固定ルーフ2と同一平面上にあり、開放位置では、パネル4が、固定ルーフ2(又は図示しない第2剛性パネル)の少なくとも部分的に上にある後方位置を占め、開口部1の少なくとも一部が開かれている。示される実施形態では、パネル4は、閉鎖位置(図1a及び図6a)から換気位置であって、パネル4の後縁部が上方に移動させられる、換気位置(図6b)へまず傾斜させられ、その後、固定ルーフ2の上の位置(図1b及び図6c)へ後方に移動させられる。
【0015】
操作機構が、パネル4の移動を生じさせるために、パネル4の各長手方向側部に設けられている。このケースでは、操作機構は、車両の長手方向に略平行に延在しかつルーフ開口部1のそばに取り付けられたガイドレール5によって支持されている。操作機構は、各ガイドレール5上に、パネル4の前方側の近くでパネル4を支持する第1又は前方支持部材6と、前方支持部材6の後ろへ離間してパネル4を支持する第2又は後方支持部材7と、を備えている。他のコンセプト、例えば1つ又は2つの前方支持部材6を支える(開口部2を2つの半開口部に分ける)シングル又はダブル中央ガイドレールと、2つの後方支持部材7を支える2つの側方ガイドレールと、を含むコンセプトが、同様に考えられる。さらに他の変形例が可能である。
【0016】
述べたように、パネル4は、4つの支持部材6,7によって支持されており、各支持部材は、パネル4がその閉鎖位置にあるときに、パネル4のコーナーでパネル4を支持する。このスポイラータイプのルーフでは、後方支持部材7が、水平方向において固定され、鉛直方向のみにおいて調節可能である。前方支持部材6は、水平方向及び鉛直方向において調節可能である。前方支持部材6及び後方支持部材7を鉛直方向で調節するために、前方支持部材6及び後方支持部材7は、図面において符号Vによって示された、前方支持部材6及び後方支持部材7自身の鉛直方向駆動源8をそれぞれ備えている。前方支持部材6は、図1cの実施形態では電気モータの形態にある共通の水平方向駆動源9により水平方向において調節可能であり、電気モータは、中央制御装置によって制御され、接続要素10を通じて両方の前方支持部材6に接続され、接続要素10は、本実施形態では、電気モータの出力ギアと係合するプッシュプルケーブルのような長い可撓性接続部材である。示されるように、パネル4の鉛直方向の調節を引き起こす前方支持部材6のパーツは、前方支持部材6が水平方向駆動源によって駆動されるときに、少なくとも部分的にパネル4とともに移動する。支持部材6,7は、パネル4とガイドレール5又は静止部3との間にパーツを備えている。
【0017】
前方支持部材6が、後方支持部材7がパネル4の後方側を上方に持ち上げた(図6b)後に水平方向に移動するときに、パネル4が、ルーフ開口部1の相当な部分が開放される位置(図6c)まで後方支持部材7に沿ってスライドするように、後方支持部材7は、レール(図示せず)を通じてパネル4に接続されている。これらの移動をさせるために、前方支持部材6及び後方支持部材7は、互いに独立してかつ水平方向の調節から独立して鉛直方向で調節され、このため、パネル4は、望ましい移動を全てすることを可能にされ得る。例えば、後方位置においてパネル4が固定ルーフ2にできるだけ近く位置決めされるように、パネル4が後側に移動させられるときに後方支持部材7を鉛直方向において調節することが容易である。
【0018】
オープンルーフ構造が、異なるルーフ形状を有する別の車両に取り付けられる場合、鉛直方向の移動は、オープンルーフ構造の機械的パーツを変更する必要なくオープンルーフ構造を車両タイプに適合させるために変更され得る。水平方向駆動源8及び鉛直方向駆動源9のための制御装置内のソフトウェアのみが、変更されるべきである。
【0019】
オープンルーフ構造、特にオープンルーフ構造の操作機構の第2実施形態が、図2及び図7に示されている。ここでも、同じタイプのルーフが示される。主な差異は、本実施形態では2つの水平方向駆動源9であって、1つの駆動源が各ガイドレール5のためのものであり、特に1つの駆動源が各前方支持部材6のためのものである、2つの水平方向駆動源9があることである。水平方向駆動源9の各静止電気モータは、電気モータホイール11及びリターンホイール12の周りで延びる閉ループケーブルの形態にある接続要素10を通じてそれぞれの前方支持部材6に接続され、1つのループ部は、前方支持部材6に固定されている。
【0020】
図3の実施形態では、各水平方向駆動源9の電気モータは、ここではそれぞれの前方支持部材6とともに移動する。このために、各電気モータには、それぞれのガイドレール5に固定された静止歯付きラック14と係合するピニオン13が設けられている。
【0021】
図4の実施形態は、図3の実施形態と同様であるが、図4の実施形態では、後方支持部材7も、前方支持部材6の移動から独立して水平方向に移動可能である。このために、各支持部材6,7は、支持部材自身の水平方向駆動源及び鉛直方向駆動源(従って、合計で8個)を有し、各水平方向駆動源は、それぞれの支持部材6,7とともに移動する。
【0022】
図5は、閉鎖位置にあるときに(多くの場合、固定された)第2パネル4aがパネル4の後ろに取り付けられる頂部スライダの形態にあるオープンルーフ構造の実施形態を示している。ガイドレール5は、後側に延在させられ、このため、それらガイドレール5は後方パネル4aの側部でも延在し、少なくとも後方支持部材7が後方パネル4aのそばでより後方に移動してもよい。この実施形態では、各ガイドレール5上の第1支持部材6及び第2支持部材7は、共通の水平方向駆動源9を有し、従ってユニットとして一緒にスライドする。前方支持部材6及び後方支持部材7は、前方支持部材6及び後方支持部材7自身の鉛直方向駆動源をそれぞれ有し、従って、パネル4の前方側及び後方側の鉛直方向の調節は、水平方向の変位から独立しており、このケースでは、互いからも独立しており、このため、パネル4の鉛直方向位置は、パネル4の水平方向位置に完全に調節され得る。
【0023】
図6は、図4の実施形態の変形例を側面図で示している。本実施形態では、前方支持部材6及び後方支持部材7は、共通の水平方向駆動源9を有し、ただし、この駆動源は、必要とされるときのみ前方支持部材6及び後方支持部材7を駆動するために、前方支持部材6及び後方支持部材7それぞれに連結されるか、又はそれぞれから連結解除される。
【0024】
図8及び図9は、鉛直方向で調節可能な支持部材6,7の2つのタイプを示している。前方支持部材6及び後方支持部材7は、1つのルーフ内で同じであってもよいが、必要とされる鉛直方向の調節と、支持部材6,7のために利用可能な鉛直方向の空間と、に応じて異なって形成されてもよい。図8の支持部材6,7は、レバー15,16のセットを備え、これらレバーは、一端において、ピボット17を通じて互いに接続され、それらの他端において、鉛直方向駆動源8の電気モータによって回転可能に駆動されるスピンドルシャフト19上で係合されるスピンドルブッシング18に回動可能に接続されている。鉛直方向支持体20は、ピボット17に固定されている。スピンドルシャフト19は、それが回転するときに、両方のブッシング18を水平方向において両方向に移動させるために、対向するねじ山を有する。レバー15,16は、その後、広げられる(図8b)か又は折り畳まれ(図8a)、それにより、鉛直方向のみにおいてピボット17及び鉛直方向支持体20を移動させる。支持体20の水平方向の変位が必要とされるか又は望まれる場合、これは、スピンドルシャフト19のねじ山及びブッシング18を適合させることによって達成され得る。
【0025】
図10a及び図10は、図8のこのような鉛直方向の調節を備える後方支持部材7を示す。図10a及び図10では、鉛直方向支持体20が、その鉛直方向の配向を維持せずにパネル4の傾斜運動により傾斜させられるようにパネル4に固定されることを示されている。図11は、このような鉛直方向の調節を有する支持部材6を示している。
【0026】
図9は、鉛直方向で調節可能な支持部材6,7の異なるタイプを示す。鉛直方向支持体20は、この実施形態では、ピン−スロット構成により回動させられるシングルレバー21の自由端に回動可能に接続され、ピン−スロット構成は、レバー21内の長手方向スロット22(このケースでは、一直線であるが、曲がっていてもよい)と、ねじ山をつけられたスピンドルシャフト19と係合するスライド24上のピン23と、を備えている。スロット22の配向と、レバー21の回動可能性と、レバー21の回動ポイントに対するピン23の変位と、に起因して、レバー21は、ピン23がスロット22を通って移動する場合に、傾斜させられる。レバー21の自由端は、その後、上下に鉛直方向支持体20を移動させる。支持部材6,7を鉛直方向(及び水平方向)に移動させるための全ての種類の他の構成が、当然ながら考えられる。
【0027】
上記から、本発明は、制御装置のソフトウェアを再プログラミングすることだけによって、閉鎖部の移動を最適化することと、異なるタイプのルーフのために同じ操作機構を使用することと、を可能にする、車両のためのオープンルーフ構造及びオープンルーフ構造において使用するための操作機構を提供することが明らかである。独立した水平方向及び鉛直方向の移動により、閉鎖部が、別の方法では考えられない運動をできることが可能となる。
【0028】
本発明は、図面に示されかつ上記で説明された実施形態に限定されず、これら実施形態は、添付した特許請求の範囲の範囲内で、異なるように修正されてもよい。
【0029】
例えば、いわゆるインスライダタイプのルーフのために同じ前方支持部材及び後方支持部材を使用することが可能であり、このインスライダタイプのルーフでは、閉鎖パネルが、固定ルーフの下で後方に移動させられるために、その閉鎖位置から下方に移動させられ得る。他のルーフタイプと、スラット又はマルチパネルのような他の閉鎖要素と、が、同様に考えられる。本明細書で使用される鉛直方向及び水平方向との用語は、広い意味で考えられるべきである。それは、どのように支持部材が移動するかのガイドレール5の配向に依存する。鉛直方向は、ガイドレールの局所的な配向に対して略垂直を意味し、水平方向は、ガイドレールに対して略平行を意味する。ガイドレールは、支持部材がそれら支持部材のガイドレールに沿って動くときに支持部材の配向が変わるように、若干曲がっていてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 開口部、2 固定ルーフ、3 静止部、4 閉鎖部、5 ガイドレール、6 第1支持部材、7 第2支持部材、8,9 駆動源、10 接続要素
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図11