【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、独立請求項1に係る一体型電気取付部品を有する積層ペインによって、本発明にしたがって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項から明らかである。
【0012】
少なくとも1つの一体型電気取付部品を有する本発明に係る積層ペインは、熱可塑性中間層を介して共に積層された少なくとも1つの内部ペインと少なくとも1つの外部ペインとを含む。積層ペインは、3次元曲げ加工を伴う乗物の積層ペインである。内部ペイン及び外部ペインは、それぞれ、実質的に互いに平行に延在する内部側と外部側を有している。熱可塑性中間層は、内部ペインの内部側と、外部ペインの内部側とを固着する。内部ペイン及び/又は外部ペインは、少なくとも1つの凹部を有し、この凹部の中に電気取付部品が組み込まれる。電気取付部品は、完全に積層ペインの内部に位置し、いずれの次元においても積層ペインを超えて突出しない。換言すると、電気取付部品は、完全に内部ペインの外部側と、外部ペインの外部側との間に位置する。凹部は、レーザ加工によって、内部ペイン及び/又は外部ペインの中に導入される。
【0013】
したがって、電気取付部品は、スペースを節約し、かつ視覚的に目立たない様式で積層ペイン内に一体化されている。積層ペインの表面上での取付部品の封入は不要である。例えば、自動車部門においては、自動車のグレージングの視覚部分内に位置するさまざまな電気取付部品についての視覚的に魅力ある一体化が望ましい。人目を引く視覚的設計という観点から、最新の自動車積層ペインは、屈曲が増々強化される傾向がみられながら、3次元的に曲げ加工されている。本発明に係る積層ペインは、レーザで生成された凹部を伴う乗物の積層ペインである。このような凹部は、相応して高い精度と製造許容誤差を有し、このため、3次元曲げ加工されたペインにおいてさえ、優れたフィット感で固定サイズの取付部品を収容するのに好適である。レーザ加工によって生成される凹部は、その表面構造及び精度の観点から見て機械的処理によって生成された開口部とは区別できるものである。
【0014】
本発明に係る積層ペインの特に好ましい実施形態において、凹部は、少なくとも部分的に、角のある輪郭を有する。この文脈での「凹部の輪郭」とは、ペインの表面のうちの1つの平面図での凹部の外周の形状を意味する。本発明の意味するところにおいて、この用語は「非円形」として理解される。丸味のある隅を有する多角形輪郭も同様に、角のある輪郭とみなされる。角のある輪郭、又は部分的に角のある形状を有する輪郭が、取付部品の確実な固定の観点から見て有利である。円形凹部では、取付部品の望ましくない回転が起こり得る。角のある凹部はこれを防止する。特に好ましいのは、凹部の輪郭が、角のある、丸味のある、又は楕円形の部分と組み合わせて、丸味のある部分を有しているハイブリッド形状である。円形凹部は、一部の事例においては、例えば、車内ライト又はリーディングランプといった光源の場合に、より視覚的に魅力あるものであり得る。しかしながら、この場合でも、ペインの外部側の表面との接触時の取付部品の望ましくない回転を回避しなければならない。この目的で、円形凹部は、それに直接連結する1つ又は複数の側方切込みによって拡張される。全体として、これにより、凹部の角のある輪郭が生み出される。言及した側面に加えて、非円形凹部の他の利点もまた想定することができる。例えば、この凹部は、その輪郭に関して、取付部品の形状に最適な形で適応させることができる。さらに、同様に凹部の角のある輪郭を生み出しながら、主要な開口部に隣接する凹部を電気的接続要素の取付け又は収容のために使用することもできる。
【0015】
このような複雑な凹部は、レーザ法によって得ることができ、一方機械的ドリル加工などの機械的方法ではこれは不可能である。
【0016】
好ましい実施形態において、凹部は、少なくとも1つのサブ領域内で貫通開口部として、かつ少なくとも1つの他のサブ領域内では非貫通部分凹部として実施される。貫通開口部の領域内では、凹部の深さは、凹部を内部に導入する内部ペイン又は外部ペインのペイン厚さに対応する。非貫通部分凹部の領域において、凹部の深さは、凹部が内部に導入されたペインの厚さよりも小さい。このようにして、取付部品のある1つのサブ領域を、ペイン表面のうちの1つに露出した状態で提供することができ、一方で別のサブ領域をペインによって包囲することになるので、このことは有利である。こうして、非貫通部分凹部として実施される凹部のサブ領域は、例えば、ケーブル、接続要素、又は締結要素などの取付部品を超えて突出する要素を収容する役割を果たす。好ましくは、部分凹部の領域内に、取付部品用の締結要素又は取付部品自体の締結要素を設けることができる。好ましい実施形態においては、貫通開口部の領域内に挿入される取付部品を可逆的に固定する締結要素を、部分的非貫通凹部の領域に設ける。こうして、取付部品を貫通開口部の露出した表面で交換することができる。締結要素は、例えば、クリップのプロファイルである。締結要素は、取付部品自体と一体として、取付部品のカバー上に、又は別個の要素としても、取り付けることができる。
【0017】
好ましい実施形態において、凹部の内縁部は傾斜しており、換言すると、この内縁部は、凹部を内部に導入したペインのペイン表面と90°以外の角度を成す。このことは、例えば、傾斜した領域内に挿入され、かつ取付部品の交換のために取り外される可撓性ゴムリングを介して、取付部品の可逆的交換を可能にするために有利である。傾斜した領域は、取付部品とペインとの間の間隙を拡大するために使用することもでき、これは、取付部品を固着するための接着剤を収容し、かつ確実な固着を保証する役割を果たす。凹部の内縁部と、隣接するペイン表面のうちの1つとの間の角度αは、好ましくは20°〜80°、特に好ましくは30°〜70°、特に40°〜60°である。こうして、優れた結果を達成することが可能であった。
【0018】
本発明の一実施形態は、内部ペイン内に貫通孔を有する積層ペインを含み、ここで、この貫通孔の内縁部は、少なくともサブ領域において傾斜している。この内縁部は、内部ペインの外部側との関係において、この領域内で一定の角度を成す。この実施形態は、クリッププロファイルなどの締結要素を収容するために有利であり、この締結要素によって取付部品を可逆的に取り外すことができる。
【0019】
考えられる1つの実施形態において、少なくとも1つの電気取付部品は、完全に内部ペイン又は外部ペインの凹部の内部に位置している。このことは、1つの取付部品につき1つの凹部しか作成する必要がないため、有利である。多数の凹部が存在し、凹部の各々が、少なくとも1つの取付部品を有することができる。
【0020】
電気取付部品は、任意には部分的に熱可塑性中間層内に突出することもできる。これは、取付部品が、内部ペイン又は外部ペインの内部側に導入され、かつ取付部品の深さが凹部の深さよりも幾分大きい場合に、有利である。
【0021】
積層ペインの別の好ましい実施形態において、内部ペインと外部ペインの中に合同な凹部を設け、これら2つの合同な凹部の中に電気取付部品を挿入し、この電気取付部品が両方の凹部の中に突出する。この場合も同様に、取付部品は積層ペインの内部に完全に一体化され、かつ積層ペインを超えて突出しない。この実施形態は、一体化すべき取付部品の寸法が内部ペイン又は外部ペインのペイン厚さと比べてかなり大きい場合に、極めて有利である。この場合、2つの合同な凹部は、より大きい取付部品さえも収容できるように作られる。取付部品は、この場合、熱可塑性中間層を通って突出する。
【0022】
本発明に係る積層ガラス(又は積層ペイン)の内部ペインの内部側は、熱可塑性中間層の方向を向いた内部ペインの表面であり、一方、内部ペインの外部側は、設置位置において乗物の内部の方を向いている。外部ペインの内部側は、同様に熱可塑性中間層の方を向いており、一方、対照的に、外部ペインの外部側は、外部環境の方を向いている。内部ペイン及び外部ペインは、ガラス、及び/又は透明プラスチック、例えばポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートを含有する。好ましくは、少なくとも凹部を中に導入するペインは、ガラス製である。他の任意のペインを外部ペイン又は内部ペインの外部側に配置することができ、これらを、熱可塑性フィルムを介在させた積層によって、又は絶縁(断熱)グレージングの場合にはスペーサを介しても、接合させることができる。
【0023】
本発明に係る積層ペインは同様に、内部ペイン及び/又は外部ペインの凹部の内部に導入する多数の電気取付部品を有することもできる。
【0024】
積層ペインの複数のペインのうちの1つの凹部は、ペインの貫通開口部として、又は非貫通凹部として実施することができる。ここで「貫通開口部」は、ペインの内部側から同じペインの外部側まで延在し、したがって、ペインを完全に突き抜ける孔を意味する。「非貫通凹部」は、完全にペインを突き抜けず、ペイン表面(内部側又は外部側)から出発して、同じペインの反対側の表面までは延在しない開口部にすぎない。好ましくは、凹部はドリル孔である。これは、任意の輪郭、好ましくは円形、楕円形、矩形、又は台形の輪郭を有することができる。積層ペインの外部ペインが気候効果に対する必要な保護を提供することから、この場合、貫通開口部は、主として内部ペインで使用される。しかしながら、特に積層ペインが、多数のペインを含むペイン配置内へ一体化され、かつ環境の影響に対する必要な保護が、このペイン配置の別のペインによって保証されている場合には、外部ペイン内の貫通開口部として凹部を実施することも同様に想定することができる。
【0025】
第1の好ましい実施形態において、凹部は内部ペイン内の貫通開口部である。貫通開口部は、内部ペインの外部側から内部ペインの内部側まで延在している。このような設計は、例えば、内部ペインの内部側から積層ペイン複合体の外へと、凹部内で給電線を引回すことが意図されており、かつこの凹部が、内部ペインの外部側から可逆的にアクセス可能であることが意図されている場合に有利である。
【0026】
積層ペインの第2の好ましい実施形態においては、凹部の深さは、凹部が内部に導入された内部ペインまた外部ペインの厚さよりも小さい。したがって、それは、ペインの材料の全深さにわたり凹部が突き抜けていない部分凹部にすぎない。したがって、凹部は、第1のペイン表面(内部面又は外部面)からペインの内部へと延在しながら、ペイン材料が、凹部の底部表面と、この凹部とは反対側の第2のペインの表面との間に残留したままになっている。
【0027】
この第2の好ましい実施形態は、環境に対してペイン表面の凹部を封止するために極めて有利である。この場合、例えば、凹部の底面と、相対するペイン表面との間に残留するペイン材料が、環境に向かって、又は熱可塑性中間層に向かって凹部をカバーするようにして、凹部を配置する。対照的に、貫通開口部の形態をした凹部は、ペインの外部側をペインの内部側に連結する。このことは、貫通開口部を通って、ペインの外部側から積層ペインの積層体の内部に水分が進入するリスクを孕んでいる。特に、ペインの内部側に腐食感受性コーティングを有する場合に、点さび跡の形での腐食損傷は、直ちに目障りと感じる程度に目に入る。このような腐食損傷は、本発明に係る第2の実施形態を使用することによって完全に回避可能である。
【0028】
製造プロセスにおいて、積層ペインの凹部を、内部ペイン又は外部ペインの内部側に第2の実施形態によって配置する場合、電気取付部品を、積層ペインの積層に先立って凹部内に挿入する。したがって、積層ペインの後続する加工はもはや必要ではない。ペインの2つの外部側は完全に無欠な状態のままであり、このことは視覚的に魅力的であるばかりでなく、水分及び環境の影響に対して、取付部品及び積層体の可能なかぎり最大の保護も提供する。
【0029】
凹部の深さに関しては、貫通孔として実施されているサブ領域及び非貫通部分凹部として実施されているサブ領域を有する凹部も同様に可能である。これらのハイブリッド形態の場合には、凹部の深さは、少なくとも部分的に、凹部が導入された外部ペイン又は内部ペインの厚さよりも小さい。より浅い深さを有する領域を、階段の形で、又は傾斜した領域として設けることができる。
【0030】
貫通開口部を有する内部ペイン又は外部ペインと、単に部分的な非貫通凹部を有する内部ペイン又は外部ペインとの組合せも同様に可能である。これを適用する一例としては、貫通開口部を有する内部ペインと、内部側に非貫通凹部を有する外部ペインとを含む積層ペインが考えられ、ここで、外部ペインの凹部は、内部ペインの貫通開口部と合同にぴったりあわせて位置している。このような積層ペインにおいては、必要なスペースが増大した電気取付け部品の一体化も同様に可能である。
【0031】
特に自動車部門では、近年、ガラス厚みを増々小さくして、乗物の重量の観点から見た節約を可能にする傾向がみられている。自動車グレージング、特に、ウィンドシールドのペイン厚さは、内部ペインについて、通常、0.3mm〜2.5mmの範囲内であり、外部ペインについては、0.8mm〜2.5mmの範囲内である。外部ペインの厚さが内部ペインの厚さよりも大きい非対称な厚さの組合せは、特に低い合計厚みの場合に、積層ペインの安定性の改善の観点から見て有利である。
【0032】
好ましい実施形態において、積層ペインはウィンドシールドであり、ここで外部ペインの厚さは、1.4mm〜2.1mmであり、かつ内部ペインの厚さは、0.8mm〜1.8mmである。
【0033】
凹部を内部に導入するペインの厚さは、言及する全ての実施形態について、1.0mm〜50.0mm、好ましくは1.5mm〜30.0mm、特に好ましくは2.0mm〜25.0mmである。
【0034】
凹部を貫通孔として実施する場合、凹部の深さは、凹部を内部に導入するペインの厚さに相当する。
【0035】
凹部が非貫通凹部である場合、凹部の深さは、凹部が出発するペイン表面と、このペイン表面からの凹部の底部表面の最も遠い点との間の距離として定義される。凹部の深さは、好ましくは、0.8mm〜15.0mm、特に好ましくは1.0mm〜8.0mmである。
【0036】
部分凹部を有する内部ペイン又は外部ペインの凹部の領域内に残留する材料厚さは、好ましくは少なくとも0.3mm、特に好ましくは少なくとも0.4mmである。凹部の領域内に残留する材料の厚さは、意図される用途又は積層ペイン上の機械的負荷によっても左右される。
【0037】
積層ペインの好ましい実施形態において、少なくとも1つの電気取付部品は、内部ペインの外部側の凹部の中に完全に組み込まれている。電気取付部品は、自動車の内部の方向を向いており、積層ペインの外部ペインによって、道路上の噴霧及び気候の影響から保護されている。凹部は、貫通孔の形で貫通することができ、又は非貫通でもあってもよい。電気取付部品は、この取付部品が内部に組み込まれている凹部と、末端が同一平面になっていることができ、それによって、取付部品と凹部の周囲の縁部との間に、間隙が全く発生しないようになっている。これは、視覚的に魅力的な設計を目的としているだけではなく、汚れ及び道路上の噴霧に対する取付部品の保護をも改善する。代替的には、凹部を、例えばプラスチック製のカバーで閉鎖することもできる。カバーの設計は、特定の用途に応じて決定される。例えば、電気的構成要素を隠すためには不透明のカバーが好適であり、一方で、内部の方向に放射する光源として使用する場合には、透明なカバーが好ましい。用途に応じて、カバーは、防水性であり、かつ不可逆的に封止されているか、又は取り外し可能でさえあり得る。自動車の内部に向かう凹部の可逆的に封止された開口部も、電気取付部品に対する保守作業に関して有利であり得る。
【0038】
特に好ましくは、取付部品のカバー又は取付部品自体は、凹部の内縁部の少なくとも1つのサブ領域が傾斜しつつ、可逆的締結要素、例えばクリッププロファイルを有している。締結要素は、凹部の傾斜した領域内部に設けられ、かつこの凹部内部に取付部品を固定する。クリッププロファイル又は他の締結要素の好適な設計は、当業者には公知である。
【0039】
積層ペインの別の好ましい実施形態において、電気取付部品は、内部ペインの内部側及び/又は外部ペインの内部側の凹部内に組み込まれる。すでに言及したように、2つの合同な凹部を、2つのペイン内部の側面に備え付けることができる。2つの合同な開口部を作り出すことに比べて製造プロセスが実質的により単純になることから、可能なかぎりにおいて、ペイン内部側面のうちの1つに凹部を1つだけ設ける。
【0040】
電気取付部品は、好ましくは、少なくとも1つの給電線を有する。これは、構成要素に対し電力を供給するか、又は必要な場合には、電気取付部品と外部制御ユニットとの間でデータ及び信号を伝送するのに役立つ。給電線は、好ましくは、内部ペインの内部側と外部ペインの内部側の間で、凹部まで引回され、かつ熱可塑性中間層を介して中に積層される。一方の側では、供給線は、凹部内部の取付部品と導電的に接触し;一方、供給線の反対側の端部では、電圧源及び/又は制御ユニットに接触する。熱可塑性中間層内でケーブルの引回しを行うことによって、供給線が視覚的に人目につきにくく、かつ例えばペインの清浄中に、機械的損傷から保護されるという利点が提供される。代替的には、電気取付部品の電力供給は、凹部内に一体化された電圧源(例えばバッテリ)によって提供することができ、かつ電気取付部品と、場合によって必要となる制御ユニットとの間のデータ伝送は、無線伝送プラットフォーム(例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線、無線通信)を介して行うことができる。
【0041】
特に魅力的な設計を保証するために、電力供給を、ペイン表面のうちの1つの上の導電層を介して行なうこともできる。ワイヤの形での視覚的に目障りな給電線を省略することができる。自動車のウィンドウペインにおいて、導電層はすでに、加熱可能層、又は自動車内部が強く加熱されることを防止するいわゆる「低E層」(低放射率層)の形で頻繁に使用されている。導電層のさらなる意図された用途に応じて、外部ペインの内部側、内部ペインの内部側、又は内部ペインの外部側に導電層を適用することが可能である。高い電気伝導性及び赤外線反射作用の両方を有する層構造の例は、当業者にとっては、国際公開第2013/104439号及び国際公開第2013/104438号から公知である。しかしながら、取付部品の電気接触のためには、任意の導電層も同様に好適である。2つの電圧極を本発明に係る電気取付部品に接続させる電流路を、導電層に導入する。導電層をパターニングする方法は、当業者にとっては周知である。これらには例えば、エッチング、又はレーザ法が含まれる。特に好ましくは、電流路を、導電層にレーザ分離ラインによって作り出す。
【0042】
導電層上での電気取付部品の接触は、例えば、導電層上に適用される接続要素を用いて行うことができる。導電層が内部ペインの内部側又は外部ペインの内部側に位置する場合、凹部の領域内の積層した層に箔様の接続要素を挿入することができる。この接続要素は、導電層に面する表面上に、導電層の対応する電流路上に設置された2つの電気接点を有する。電気接点を取り囲む箔様接続要素の表面は、例えば、接続要素を層に固定する接着剤を具備することができる。電気取付部品をその上に設置する予定の箔様接続要素のサブ領域も同様に、接点を具備する。好ましくは、箔様接続要素は、この目的で、金属表面を有する。取付部品と箔様接続要素との接触は、好ましくは非粘着性であり、すなわち、取り外し可能な接続の形で生じる。好ましくは、取付部品を、凹部内に摩擦係止的に挿入し、これによって、箔様接続要素の金属表面と取付部品の電気的接点を作り出す。こうして、接続要素を交換するためには、摩擦係止された接続(例えばクリッププロファイル)のみを解除するだけでよい。
【0043】
少なくとも1つの電気取付部品は、自動車グレージングの分野で使用され、かつ慣習的に積層ペインの外部表面上に備え付けられる任意の電気的に制御可能な構成要素を含むことができる。電気取付部品は、好ましくは、センサ、検出器、カメラ、アンテナ、ディスプレイ、又は光源である。乗物の部門における最重要の電気取付部品としては、カメラ、アンテナ、レインセンサ、光センサ、及びLEDライトの形態の光源が含まれる。本発明に係る解決法は同様に、例えばウィンドシールドの内部ペインの貫通孔の中への、ディスプレイの一体化に関連して、視覚的に非常に魅力的であるという結果を提供することもできる。
【0044】
少なくとも1つの電気取付部品は、2.0mm〜100.0mm、好ましくは5.0mm〜50.0mmの幅及び/又は高さを有する。取付部品の幅及び高さは、凹部内への取付部品の設置後に、積層ペインのペイン表面に対して平行に延在する寸法として定義される。
【0045】
電気取付部品は、その深さ(厚さ)が凹部の深さに適合するように選択される。深さ(奥行き)は、凹部内への取付部品の挿入後に、ペイン表面に直交した方向に向かう取付部品の寸法として定義される。利用可能な凹部深さに応じて、比較的小さく寸法決定された取付部品を選択することができる。通常、取付部品の深さ(奥行き)は、0.5mm〜15mm、好ましくは1.0mm〜10mm、特に好ましくは1.5mm〜5mmである。
【0046】
多数の構成要素向けにより大きな凹部を作り出すための時間、ひいてはコストは、多数のより小さい開口部を作り出すために必要とされるものよりも少ないので、多数の取付部品を1つの凹部に挿入することさえも可能である。
【0047】
少なくとも1つの電気取付部品を、好ましくは、接着促進層を介して積層ペインに挿入する。1つの考えられる実施形態において、電気取付部品を、熱可塑性中間層内に挿入し、かつ積層ペインに積層する。別の選択肢は、接着剤を介して凹部内に電気取付部品を接着することからなる。好適な接着剤は、当業者にとって周知であり、例えばポリウレタン接着剤の群からの接着剤である。凹部の設計に応じて、取付部品の固着は、積層作業の前又は後に行うことができる。取付部品を積層作業の前に接着する場合、取付け具の固着も熱可塑性中間層を介して行う。導電性接着剤を使用しながら、接着促進層をさらに、取付部品の電気接続のために使用することができる。
【0048】
特に好ましくは、電気取付部品は貫通開口部又は部分貫通凹部内に可逆的に固定され、その結果として、構成要素の交換は簡略化される。可逆的組立ては、例えば、クリッププロファイルなどの締結要素、又はゴムリングなどのエラストマー材料を用いて可能である。
【0049】
積層ペイン内に挿入する光源は、さまざまな想定可能な方向に合わせて向けることができ、例えば、積層ペインを使用する乗物の内部へ、並びに環境の方向へと光を放射することができる。別の可能性は、凹部の縁を介して積層ペイン内で光をカップリングすることである。凹部の切り口は、さらなる処理が無い場合、通常は光沢がない。したがって、ペイン内への標的を定めた光のカップリングのためには、これらの縁を、予め研磨しなければならない。そうでなければ、光沢のない縁で光が散乱するので、凹部のこれらの縁自体が明るく見える。これは、任意には、装飾的用途のために使用され得るが、通常は望ましいことではない。
【0050】
本発明に基づく、積層ペインの凹部内への光源の一体化の別の利点は、これらの光源の位置決めの柔軟性が高いという点にある。先行技術によれば、ペイン内で光をカップリングするための光源は、ペインの外周縁に備え付けられている。入射角及び位置決めは、ペイン縁の進行方向に拘束される。本発明によれば、内部ペイン及び/又は外部ペインの凹部は、ペインの輪郭内で自由に選択可能であるので、このことは同様に、その内部に配置する光源の位置決めにもあてはまる。本発明によれば、こうして、さまざまな方向に放射する多数の光源を、非常に小さいスペースの中に一体化することができる。
【0051】
積層ペインから外に光をカップリングするために、光の散乱がより大きい特定の領域をペインに作り出す。これらの領域は、例えば、彫刻、エッチング、サンドブラスト、又はレーザアブレーションなどのレーザ法によって、ペイン平面上に、好ましくは内部ペイン又は外部ペインの内部側に、又はレーザ法の場合には、内部ペイン又は外部ペインの内部に作り出すことができる。このような方法は、当業者にとって周知である。
【0052】
凹部は、少なくとも1つの縁で、100mm未満、好ましくは50mm未満、特に好ましくは20mm未満、特に15mm未満の縁部長さを有するか、又は凹部が円形形状に近い場合にはこうした直径を有する。3つ又は4つの隅を有する多角形の場合には、凹部の縁部長さは2つの隣接する隅の間の距離として定義される。少なくとも5つの隅を有する多角形の場合には、それらが円形形状に近づいていることから、関連パラメータとして直径を用いる。
【0053】
本発明の利用分野に応じて、凹部は、細長い形状を有することもできる。これは例えば、LEDストリップが積層ペインの凹部内に組み込まれている場合に該当する。
【0054】
凹部の面積は、好ましくは25cm
2未満、特に好ましくは10cm
2未満、特に3cm
2未満である。このような小さい凹部は、視覚的に極めて目立たない電気取付部品の一体化を可能にする。
【0055】
ペインの内部側及び/又は外部側に見える凹部の輪郭は、好ましくは5mm未満、特に好ましくは2mm以下の曲率半径を有する。こうして凹部の輪郭を取付部品の寸法に適応させ、その結果として、取付部品の視覚的に目立たない一体化を保証することができるので、このことは極めて有利である。
【0056】
本発明の特に好ましい実施形態においては、乗物の積層ペインの内部ペインに凹部を導入し、この凹部の中に、例えばSMD LEDなどの光源を挿入する。凹部は、同時に光を散乱させるためのレンズとしての役割を果たすカバーを有する。好適なレンズは、例えば、フレネルレンズ、又はTIRレンズ(TIR=全反射)である。このようなレンズは、市販されている。ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びシリコーンが、材料として極めて好適であることが証明されている。レンズは、例えば内縁部の傾斜した領域内で凹部内に挿入することができる可逆的な締結要素を任意に含む。このようにして、レンズは、光源の交換のために取り外すことができる。可能なかぎり最も容易な交換を保証するために、レンズは、光源に面するその表面上に、光源を中に挿入するホルダーを含むことができる。こうしてレンズが取り外されたとき、光源も同時に取り外され、ユーザーは光源を交換することができる。光源の電気的接触は、すでに他の場所で説明したとおり、箔様の接続要素を介して生じる。これにより光源の交換はさらに容易になる。
【0057】
熱可塑性中間層は、少なくとも1つの熱可塑性フィルムを含み、かつ有利な実施形態においては単一の熱可塑性フィルムによって形成されている。これは、積層ガラスの単純な構造及び小さい全体厚さの観点から有利である。熱可塑性中間層又は熱可塑性フィルムは、それ自体積層ガラスに適していることが分かっている、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、又はそれらの混合物若しくはコポリマー若しくは誘導体を少なくとも含む。
【0058】
熱可塑性中間層の厚さは、好ましくは0.2mm〜1.0mmである。例えば、0.76mmの標準厚さの熱可塑性フィルムを使用することができる。
【0059】
外部ペイン、内部ペイン、及び熱可塑性中間層は無色透明であり得るが、薄く着色したもの又は着色したものであってもよい。積層ガラスを通じた全透過率は、好ましい実施形態において、特に積層ガラスがウィンドシールドである場合、70%超である。「全透過率」なる用語は、ECE−R43、附則3、§9.1で規定されている自動車のウィンドウの光透過性試験プロセスに基づくものである。
【0060】
積層ガラスは、好ましくは、自動車のウィンドウペインにとって慣行であるように、およそ10cm〜およそ40mの範囲内の典型的な曲率半径を有しながら、1つの又は複数の空間方向で曲げ加工されている。
【0061】
内部ペイン及び/又は外部ペインは、熱的又は化学的に強化されているか、部分的に強化されているか又は強化されていないものとすることができる。
【0062】
自動車のウィンドシールドとしての積層ペインの有利な実施形態において、外部ペインは強化されていないペインである。外部ペインは、石の衝撃などの応力に曝露され得る。石、特に小さく尖った石がガラスペインにぶつかった場合、それは表面を通過する可能性がある。強化されたペインの場合、石はペインの内部の引張応力ゾーン内に貫入して、ペインを粉砕する結果となり得る。強化されていない外部ペインは、広い圧縮応力ゾーン及び内部により低い引張応力を有し、したがって、尖った物体の衝撃に対する脆弱性は比較的小さい。その結果として、強化されていない外部ペインは、全体的として乗物の乗員の安全性の観点から非常に有利である。
【0063】
本発明の好ましい実施形態において、外部ペインは、ソーダ石灰ガラス又はホウケイ酸ガラスを含み、特にソーダ石灰ガラスを含む。ソーダ石灰ガラスは、経済的に利用可能であり、自動車部門における用途のためのその価値が立証されている。
【0064】
内部ペインは、原則として、当業者にとっては公知の任意の化学組成を有することができる。内部ペインは、例えば、ソーダ石灰ガラス又はホウケイ酸ガラスを含み、あるいはこれらのガラスでできていてよい。
【0065】
本発明の有利な実施形態において、内部ペインは化学的に強化されたペインである。強化を通じて、内部ペインは、特殊な破壊安定性及び引っ掻き耐性を具備する。非常に薄いガラスペインについては、化学強化が熱強化よりも好適である。熱強化は、表面ゾーンとコアゾーンとの間の温度差に基づいているので、熱強化はガラスペインの最小厚さを必要とする。典型的には、およそ25mmから出発するガラス厚さで、市販の熱強化設備を用いて適切な応力に到達することができる。より小さいガラス厚さでは、強化のために一般に必要とされる値に到達することは通常できない(例えばECE規則43を参照)。化学強化の場合、表面の領域内のガラスの化学組成は、イオン交換によって変化させられ、ここで拡散によるイオン交換は表面ゾーンに限定される。その結果として、化学強化は、薄いペインに極めて好適である。化学強化は、一般に化学的プレストレス付加、化学的硬化、又は化学的強靭化とも呼ばれる。
【0066】
化学的に強化されたガラスペインに凹部を具備する場合、ペインが、まず所望の凹部を具備してから、次に強化を行う。これには、強化プロセスにより発生する応力分布が、後続する機械加工作業によって不利な影響を受けないという点で有利である。
【0067】
自動車部門では、積層ガラスの安定性及び破壊強度の両方、並びにグレージングの可能なかぎり小さい重量が、非常に重要である。この点において、外部ペインと内部ペインの厚さに関する非対称性が、積層ペインの安定性に対し有利な効果をもたらすことが見出されている。外部ペインの厚さは通常、内部ペインの厚さよりも実質的に大きい。このような厚さの非対称性は、それに付随する利点と共に、一体型電気取付部品を有する本発明に係る積層ペインにおいても望ましいものであり得る。この場合、凹部は、好ましくは外部ペインの内部側に設けられ、かつ電気取付部品は、完全にこの凹部内に組み込まれる。より薄い内部ペインは、この場合無欠状態のままであり、単に凹部を覆うのに役立つだけである。
【0068】
特に自動車部門においては、積層ペインの内部での接触のための供給線として、慣習的に箔導体が使用されている。箔導体の例は、独国特許第42 35 063 A1号、独国実用新案第20 2004 019 286 U1号、及び独国実用新案第93 13 394 U1号に記載されている。
【0069】
時として「フラット導体」又は「フラットバンド導体」とも呼ばれる可撓性の箔導体は、好ましくは、厚さ0.03mm〜0.1mm、及び幅2mm〜16mmの錫メッキ銅片で作られている。銅は、優れた電気伝導性並びに優れた箔加工性を有することから、このような導体トラックで成功するものであることが分かっている。同時に、材料コストも低い。箔に加工可能な他の電気伝導性ある材料も同様に使用可能である。これの例としては、アルミニウム、金、銀、又は錫、及びその合金がある。
【0070】
積層ガラスは、追加の機能を具備することもでき、ここで、熱可塑性中間層が機能的封入体を有しており、例えば、赤外線吸収、紫外線吸収、着色、又は音響の特性を有する封入体を有することができる。こうした封入体は、例えば、有機又は無機イオン、化合物、凝集体、分子、結晶、顔料、又は染料である。
【0071】
特に、例えばウィンドシールドとしての乗物における本発明に係る積層ペインの使用には、強い太陽放射又は氷生成などの気候の影響の負の効果を減少させるために、さらなる機能を実装することが有利である。このために、内部ペイン又は外部ペインの内部側に対して、いわゆる低Eコーティング及び/又は加熱可能なコーティングを適用することができる。低Eコーティングとしても機能する電気加熱可能なコーティングの好適な材料組成は、例えば、国際公開第2013/104439号及び国際公開第2013/104438号に見出すことができる。
【0072】
本発明はさらに、本発明に係る積層ガラスを製造する方法によって達成され、この方法は、
(a)内部ペイン又は外部ペインを提供すること、
(b)レーザ加工によって内部ペイン及び/又は外部ペインに少なくとも1つの凹部を生成すること、
(c)凹部に電気取付部品を挿入すること、
(d)工程(a)による内部ペインを、熱可塑性中間層を介在させながら外部ペインと共に積層するか、又は工程(a)による外部ペインを、熱可塑性中間層を介在させながら内部ペインと積層すること、
を含み、
ここで、取付部品を、積層ペインに完全に組み込み、かつ工程(c)を工程(d)の前又は後に行う。
【0073】
凹部が、貫通開口部、又はペインの外部側のうちの1つに隣接する部分的非貫通凹部である場合、電気取付部品を、好ましくは、積層ペインの積層の後に挿入する。この場合に、貫通開口部は積層後でも容易にアクセス可能である。
【0074】
凹部が非貫通凹部であり、かつペインの内部側のうちの1つに配置されている場合、電気取付部品を、積層ペインの積層に先立って凹部中に組み込む。
【0075】
電気取付部品は、接着剤を用いて凹部内に接着するか、かつ/又は、熱可塑性中間層を用いて中に積層する。積層に先立って接着剤を使用して取付部品を固定することも想定可能であり、その結果として、取付部品がペインのさらなる積層中に滑り落ちる可能性は無くなる。後続する積層工程において、熱可塑性中間層が、取付部品と凹部の壁の間の間隙を埋める。
【0076】
凹部は、当業者にとっては公知のさまざまなドリル加工又は切断方法によって作り出すことができる。
【0077】
好ましくは、積層ペインの内部ペイン及び外部ペインはガラスを含む。凹部を、レーザ加工によってペイン内に導入する。レーザ加工は、機械的な加工工程(例えば機械的圧力による破壊など)無しで実行できるので、このことは極めて有利である。ガラス層は、穏やかに切断し、それによって、破壊的な損傷無く平滑な切り口を形成するようになっている。これらの方法は、自動化された加工にも適している。その上、切断したガラス層の非常に小さい曲率半径を実現することができる。2mm未満の曲率半径を問題無く製造できることが実証されており、これは機械加工によっては高い信頼性をもってできることではない。したがって、凹部の輪郭は完全に自由に選択可能である。わずかな相互離隔距離しかない切断ラインも実現可能である。
【0078】
特に、積層ペインの内部ペイン又は外部ペインとして薄いガラスペイン(1.4mm又はそれ未満の厚さ)を使用する場合には、レーザ加工は都合が良い。薄いガラスペインは、その技術的加工特性において、より厚みのあるガラスペインとは異なっており、そのため、従来の機械的ガラス切断方法は多くの場合不向きである。ガラスペインの厚さによっては、切断は、微小クラック及び他の損傷を伴う粗い切り口を結果としてもたらす。より厚いガラスペインで慣行となっているような後続する縁部加工は、ペインの厚さが増大するにつれ増々困難になる。この点において、レーザ切断法は、より優れた結果を生み出し、かつペインの厚さの如何に関わらず使用することもできる。
【0079】
貫通開口部の形をした凹部は、好ましくはレーザドリル加工によって生成される。ワークピースのレーザドリル加工のためには、パルスレーザが主として使用され、ここでワークピース及びレーザを互いに対して移動させ、それによって、多数の連続するパルスがワークピース上の同じ点にぶつかり、ワークピースの材料が融解しかつ蒸発するようになっている。レーザドリル加工によって生成した貫通開口部は、高い幾何学的精度を有する。円錐形開口部も同様に、レーザドリル加工によって簡単な様式で生成可能である。
【0080】
外部ペイン及び/又は内部ペインの貫通開口部は好ましくは、円錐形開口部として実施される。これには、好適な円錐度を選択した場合に、除去すべきペインの部分が重力の効果によって貫通開口部から脱落するという利点がある。これにより、例えば、接着剤又は締結要素を収容するために使用可能である凹部の内縁部の有利な傾斜が生み出される。ヘリカルドリル加工法は、特に、円錐形のドリル開口部を生成するために好適である。ここでは、レーザビームを、第1のペイン表面を通って、相対する第2のペイン表面の1点上に集束させ、かつそこから第1のペイン表面の方向に貫通開口部の輪郭に沿って移動させる。貫通開口部は、好ましくは、その形状において円錐台又は角錐台に対応し、この円錐台又は角錐台の基部表面は第2のペイン表面に位置し、かつその頂部表面は第1のペイン表面に位置する。
【0081】
本発明に係る方法の好ましい実施形態において、少なくとも1つの貫通開口部を、パルスレーザを用いたレーザドリル加工によって生成する。すでに説明したとおり、レーザドリル加工中、レーザビームは加工すべきペインに進入する。したがって、ガラス層が実質的に透明であるレーザ放射線の波長が選択される。ガラス層は、好ましくは、使用されるレーザ波長において、少なくとも80%の透過率、特に好ましくは少なくとも90%の透過率を有する。慣習的なガラス層については、例えば300nm〜2500nm、好ましくは300nm〜1100nm、特に好ましくは300nm〜800nmの範囲内の可視光、近紫外線、又は赤外線の範囲内のレーザを使用することができる。極めて有利な実施形態において、レーザビームは、400nm〜600nm、好ましくは500nm〜550nm、例えば532nmの波長を有する。これは、一方では、慣習的なガラス層の透明性の観点から有利であり、かつ他方では、適切な経済的レーザシステムの市場での入手可能性の観点から有利である。レーザビームは、好ましくは、固体Q−スイッチレーザによって生成される。
【0082】
ヘリカルドリル加工中のレーザビームの繰り返し率(パルス周波数)は、好ましくは10kHz〜1MHz、特に好ましくは20kHz〜500kHz、例えば25kHz又は100kHzである。これにより、優れた結果が生み出される。しかしながら、原理的には、例えば、最高100MHzといった著しく高いパルス周波数を使用することができる。
【0083】
ヘリカルドリル加工中にレーザビームを生成するためのレーザの出力は、好ましくは5W〜200W、特に好ましくは20W〜100Wである。パルスエネルギは、好ましくは4μJ〜500μJ、例えば300μJである。
【0084】
切断ライン(貫通開口部の輪郭)に沿ったレーザビームの移動速度は、好ましくは50mm/s〜5000mm/s、例えば4000mm/sである。
【0085】
レーザビームを、好ましくは、光学素子又は光学系を用いてガラス表面に集束させる。ビーム方向に直交する焦点範囲は、50μm又はそれ未満、好ましくは30μm又はそれ未満であり、例えば10μm、さらには10μm未満でさえあり得る。
【0086】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態においては、凹部を、パルスレーザを用いたレーザアブレーションによって生成する。レーザアブレーションについては、材料の面毎の除去が求められ、このことはレーザドリル加工に比べて労力の増大をもたらす。したがって、アブレーション法を、非貫通凹部を生成するために主として使用するが、これはこの場合レーザドリル加工を使用することができないからである。
【0087】
慣習的なガラス層の面毎の除去のためには、例えば300nm〜2500nm、好ましくは300nm〜1100nm、特に好ましくは300nm〜800nmの範囲内の可視光、近紫外線、又は赤外線の範囲内のレーザを使用することができる。極めて有利な実施形態において、レーザビームは、400nm〜600nm、好ましくは500nm〜550nm、例えば532nmの波長を有する。これは、一方では、慣習的なガラス層の透明性の観点から見て、かつ他方では、適切な経済的レーザシステムの市場での入手可能性の観点から見て、有利である。レーザビームは、好ましくは、Q−スイッチ固体レーザによって生成される。
【0088】
レーザアブレーションのための繰り返し率(パルス周波数)、レーザビーム速度及びレーザビーム出力は、レーザドリル加工法について言及した範囲内である。
【0089】
レーザドリル加工及びレーザアブレーションの両方について、パルス長は好ましくは10ns未満、特に好ましくは1ns未満、例えば1psである。
【0090】
凹部の切り口又は底部表面の表面粗さは、レーザパラメータの修正によって明らかに影響され得る。一般に、表面の透明性は、レーザ出力の減少に伴って増大すると指摘することができる。
【0091】
レーザビームを、好ましくは、光学素子又は光学系を用いてガラス表面上に集束させる。ビーム方向に直交する焦点範囲は、50μm又はそれ未満、好ましくは30μm又はそれ未満、例えば10μm、さらには10μm未満でさえあり得る。
【0092】
任意に、凹部の縁部及び/又は底部表面を研磨することができる。特にガラスの厚さが小さい場合、ここでは、ガラス表面との直接的接触及びその結果としての損傷を回避することを理由として、レーザ法の使用が有利である。凹部の縁部を研磨するためのレーザ放射線は、例えば800nm〜20μm、好ましくは1μm〜2μm、特に好ましくは5μm〜15μmの波長を有する。典型的には9.4μm又は10.6μmの連続CO
2レーザが、極めて好適である。
【0093】
本発明に係る方法の別の実施形態において、凹部を、2段階レーザ法を用いて生成する。第1段階において、材料改質、いわゆるフィラメントを、パルス長100ps未満、波長300nm〜800nmの第1のレーザを用いてペインに生成する。第2段階では、1μm〜20μmの波長での連続波動作で、第2のレーザを用いて加熱を行う。第3段階では、ペインを冷却し、その結果として、ガラスペインは材料改質のラインに沿って破断し、所望の凹部を生み出す。好適な方法が、例えば国際公開第2017/025550 A1号中に記載されている。
【0094】
ここで説明されている全てのレーザプロセスにおいて、切断ラインに沿ったレーザビームの移動は、原理的には、ペインの移動及び/又はレーザ放射線の移動によって行われる。ペイン(特に静止ペイン)上のレーザビームの移動のためには、それ自体公知のレーザ走査デバイス、最も単純な事例では1つ以上の可傾式ミラーが好適である。レーザ放射線は同様に、光導波路、例えばグラスファイバをガラス表面上で移動させることによっても移動可能である。しかしながら、レーザビームを静止状態にしておきペインのみを移動させるのが、より簡単であり、ひいては好ましいことであり得る。
【0095】
少なくとも積層ガラスの外部ペインは、積層に先立ち曲げ加工プロセスに付される。好ましい実施形態においては、内部ペインも同様に曲げ加工プロセスに付される。このことは、多数の空間的方向への強い屈曲(いわゆる三次元屈曲)の場合に特に有利である。
【0096】
代替的には、内部ペインは予め曲げ加工されない。これは、非常に厚さの小さい内部ペインの場合に極めて有利であるが、それはこれらの内部ペインがフィルム様の可撓性を有し、したがってそれら自体を予め曲げ加工する必要なく、予め曲げ加工した外部ペインに適合させることができるからである。
【0097】
外部ペイン及び内部ペインは、個別に曲げ加工することができる。好ましくは、外部ペイン及び内部ペインを、一緒にぴったり合わせて(すなわち同時にかつ同じ工具によって)曲げ加工するが、これは、その結果ペインの形状が、後続する積層のために互いに最適な形で整合させられるからである。
【0098】
ペインの曲げ加工を、好ましくは、レーザ加工に先立って行う。導電層をペインに適用しなければならない場合、この導電層を、曲げ加工に先立って所望のペイン表面上に堆積する。例えば、内部ペイン及び/又は外部ペインは、例えばマグネトロンスパッタリングによって、導電層を最初に具備する。次の工程では、内部ペイン及び外部ペインを、一緒にあわせて曲げ加工し、工程(a)により準備する。その後に初めて、工程(b)によりレーザ加工を行う。ペインはすでにその最終的な屈曲に達していることから、3Dレーザ加工を使用する。これは、凹部をその最終的寸法で生成することができ、かつ凹部に対する曲げ加工プロセスの影響を考慮に入れる必要がないという利点を有する。このようにして、製造許容誤差を、著しくより精確に維持することが可能である。電流路を生成するための導電層のレーザパターニングも同様に、ペインの曲げ加工の後に、ひいては同じく3Dレーザプロセスの形で行う。これは、レーザパターニングの領域内で導電層を除去し、したがって、この領域内で異なる熱分布が存在するので、有利である。こうして、光学的に可視的な損傷を起こすことが可能である。
【0099】
熱可塑性中間層は、好ましくはフィルムとして提供される。積層による積層ガラスの製造は、当業者にとってそれ自体公知の従来の方法、例えばオートクレーブ法、真空バッグ法、真空リング法、カレンダ法、真空ラミネータ、又はそれらの組合せを用いて行なわれる。外部ペイン及び内部ペインの固着は、慣習的には、熱、真空、及び/又は圧力の作用下で行なわれる。
【0100】
本発明はさらに、乗物のグレージング、詳細にはウィンドシールド、ルーフパネル、サイドウィンドウ、又はリアウィンドウとしての、凹部内に電気取付部品が一体化された本発明に係る積層ペインの使用を含んでいる。
【0101】
本発明を、図面及び例示的実施形態を参照して詳細に説明する。図面は概略的表現であり、原寸に比例していない。図面はいかなる形であれ本発明を限定するものではない。