(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974618
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】FGFR及びVEGFR阻害剤としての化合物の塩形態、結晶形およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20211118BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20211118BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20211118BHJP
【FI】
C07D405/14CSP
A61K31/444
A61P43/00 111
【請求項の数】6
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2020-531456(P2020-531456)
(86)(22)【出願日】2018年12月7日
(65)【公表番号】特表2021-505625(P2021-505625A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】CN2018119716
(87)【国際公開番号】WO2019109995
(87)【国際公開日】20190613
【審査請求日】2020年6月8日
(31)【優先権主張番号】201711286398.X
(32)【優先日】2017年12月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518045878
【氏名又は名称】ハルビン チェンバオ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヂァンシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ メイピー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ホンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン スチン
(72)【発明者】
【氏名】リ ウェンヂィ
(72)【発明者】
【氏名】リ ヂェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シューフイ
【審査官】
三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2017/024968(WO,A1)
【文献】
第十六改正 日本薬局方,2011年,pp.64-68,2070
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 405/14
A61K 31/444
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:7.39±0.2°、19.07±0.2°、20.04±0.2°
、21.05±0.2°、21.76±0.2°、25.64±0.2°、26.23±0.2°、27.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)化合物のG結晶形。
【化1】
【請求項2】
示差走査熱量曲線は278.70℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、285.46℃±3℃において放熱ピークの開始点を有することを特徴とする、請求項1に記載のG結晶形。
【請求項3】
熱重量分析曲線は120℃±3℃の際に重量が3.870%減少し、221.76℃±3℃の際に重量が1.170%減少することを特徴とする、請求項1又は2に記載のG結晶形。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(II)化合物のG結晶形の製造方法であって、式(I)の化合物をエタノールに添加することと、塩酸/酢酸エステルを反応瓶に滴下することと、加熱撹拌することと、室温に温度を下げることと、ろ過することとを含む、製造方法。
【化2】
【化3】
【請求項5】
前記加熱撹拌は85℃〜95℃の温度で行われる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
チロシンキナーゼ阻害剤関連疾患を治療する医薬の製造における
、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の
式(II)化合物のG結晶形の使用。
【化4】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の引用]
本出願は以下の優先権を要求する:
CN201711286398.X、出願日:2017年12月07日。
[技術分野]
本発明は、FGFR及びVEGFR阻害剤としての化合物の塩形態、結晶形およびその製造方法に関する。
【0002】
[背景技術]
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、発生過程の形態形成及び血管新生などの多くの生理学的プロセスの重要な媒介であると認識されている。線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリーは、細胞外免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、疎水性膜貫通領域、及びチロシンキナーゼ領域の細胞質部分からなる糖タンパク質の4つのメンバー(FGFR1〜FGFR4)で構成されている。FGFの結合はFGFRの二量体化を引き起こし、その後に受容体の自己リン酸化と下流のシグナル伝達経路の活性化を引き起こす。受容体の活性化は、細胞増殖、細胞代謝、細胞生存などの多様化プロセスが調節する特定の下流シグナル伝達パートナーを回復および活性化するのに十分である。したがって、腫瘍細胞の増殖、遊走、浸潤、及び血管新生に重要な多くの生物学的プロセスにおいて、FGF / FGFRシグナル伝達経路は複数の効果を有する。
【0003】
ビニールインドール類は、癌治療の分野で知られ、WO0210137及びWO2003101968を参照する。FGFR阻害剤も当技術分野で公知であり、WO2002022598を参照する。
【0004】
[発明の概要]
本発明は粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.26±0.2°、10.47±0.2°、20.98±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)化合物のA結晶形を提供する。
【0006】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.26±0.2°、7.65±0.2°、10.47±0.2°、19.74±0.2°、20.33±0.2°、20.98±0.2°、26.30±0.2°、26.91±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0007】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形のXRPDスペクトルは
図1で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形のXRPDスペクトル解析データは表1に示す通りである:
【0009】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形の示差走査熱量曲線は42.97℃±3℃、139.63℃±3℃及び203.56℃±3℃においてそれぞれ一つの吸熱ピークの開始点を有し、147.45℃±3℃において一つの放熱ピークの開始点を有する。
【0010】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形のDSCスペクトルは
図2で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形の熱重量分析曲線は120.00℃±3℃の際に重量が7.074%減少し、212.99℃±3℃の際にまた重量が0.4317%減少する。
【0011】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記A結晶形のTGAスペクトルは
図3で示される通りである。
本発明は粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:11.10±0.2°、18.00±0.2°、19.84±0.2°において特徴的回折ピークを有することを特徴とする、式(I)化合物のB結晶形を提供する。
【0012】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記B結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:9.31±0.2°、11.10±0.2°、11.73±0.2°、13.94±0.2°、14.77±0.2°、16.52±0.2°、18.00±0.2°、19.84±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0013】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記B結晶形のXRPDスペクトルが
図4で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記B結晶形のXRPDスペクトル解析データは表2に示す通りである:
【0015】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:10.19±0.2°、22.84±0.2°、24.39±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)化合物のC結晶形を提供する。
【0016】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記C結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:10.19±0.2°、11.32±0.2°、18.73±0.2°、19.71±0.2°、22.84±0.2°、24.39±0.2°、32.10±0.2°、34.02±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0017】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記C結晶形のXRPDスペクトルは
図5で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記C結晶形のXRPDスペクトル解析データは表3に示す通りである:
【0019】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.04±0.2°、11.55±0.2°、24.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)化合物のD結晶形を提供する。
【0020】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記D結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:8.04±0.2°、11.55±0.2°、14.92±0.2°、15.46±0.2°、18.04±0.2°、19.03±0.2°、22.52±0.2°、24.06±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0021】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記D結晶形のXRPDスペクトルが
図6で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記D結晶形のXRPDスペクトル解析データは表4に示す通りである:
【0023】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:5.30±0.2°、15.93±0.2°、18.79±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)化合物のE結晶形を提供する。
【0024】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記E結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:5.30±0.2°、10.62±0.2°、11.16±0.2°、14.47±0.2°、15.93±0.2°、17.33±0.2°、18.79±0.2°、32.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0025】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記E結晶形のXRPDスペクトルが
図7で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記E結晶形のXRPDスペクトル解析データは表5に示す通りである:
【0027】
本発明は式(II)で表される化合物を提供する、
【0029】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.98±0.2°、7.49±0.2°、19.18±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)化合物のF結晶形を提供する。
【0030】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.98±0.2°、7.49±0.2°、9.82±0.2°、12.15±0.2°、17.27±0.2°、19.18±0.2°、20.10±0.2°、21.79±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形のXRPDスペクトルが
図8で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形のXRPDスペクトル解析データは表6に示す通りである:
【0033】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形の示差走査熱量曲線は172.07℃±3℃、277.05℃±3℃においてそれぞれ一つの吸熱ピークの開始点を有し、284.37℃±3℃において一つの放熱ピークを有する。
【0034】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形のDSCスペクトルは
図9に示す通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形の熱重量分析曲線は153.13℃±3℃の際に重量が3.578%減少する。
【0035】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記F結晶形のTGAスペクトルは
図10に示す通りである。
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.39±0.2°、19.07±0.2°、20.04±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)化合物のG結晶形を提供する。
【0036】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:7.39±0.2°、19.07±0.2°、20.04±0.2°、21.05±0.2°、21.76±0.2°、25.64±0.2°、26.23±0.2°、27.16±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0037】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形のXRPDスペクトルが
図11で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形のXRPDスペクトル解析データは表7に示す通りである:
【0039】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形の示差走査熱量曲線は278.70℃±3℃において吸熱ピークの開始点を有し、285.46℃±3℃において放熱ピークの開始点を有する。
【0040】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形のDSCスペクトルは
図12に示す通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形の熱重量分析曲線は120℃±3℃の際に重量が3.870%減少し、221.76±3℃℃の際に重量が1.170%減少する。
【0041】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記G結晶形のTGAスペクトルは
図13に示す通りである。
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.95±0.2°、7.30±0.2°、19.01±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)化合物のH結晶形を提供する。
【0042】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.95±0.2°、7.30±0.2°、11.99±0.2°、14.36±0.2°、16.66±0.2°、18.26±0.2°、19.01±0.2°、21.49±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0043】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形のXRPDスペクトルが
図14で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形のXRPDスペクトル解析データは表8に示す通りである:
【0045】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形の示差走査熱量曲線は172.97℃±3℃、277.33℃±3℃においてそれぞれ一つの吸熱ピークの開始点を有し、283.38℃±3℃において放熱ピークの開始点を有する。
【0046】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形のDSCスペクトルは
図15に示す通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形の熱重量分析曲線は120℃±3℃の際に重量が0.8819%減少し、206.30℃±3℃の際にまた重量が2.892%減少する。
【0047】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記H結晶形のTGAスペクトルは
図16に示す通りである。
本発明は式(III)で表される化合物を提供する、
【0049】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.73±0.2°、11.66±0.2°、19.51±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(III)化合物のI結晶形を提供する。
【0050】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:6.73±0.2°、11.66±0.2°、14.28±0.2°、14.99±0.2°、16.39±0.2°、19.51±0.2°、23.34±0.2°、25.61±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0051】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形のXRPDスペクトルが
図17で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形のXRPDスペクトル解析データは表9に示す通りである:
【0053】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形の示差走査熱量曲線は32.94℃±3℃、204.62℃±3℃においてそれぞれ一つの吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形のDSCスペクトルは
図18に示す通りである。
【0054】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形の熱重量分析曲線は85.39℃±3℃の際に重量が0.8601%減少し、184.93℃±3℃の際にまた重量が2.264%減少する。
【0055】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形のTGAスペクトルは
図19に示す通りである。
本発明は式(IV)で表される化合物を提供する、
【0057】
本発明は粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:4.99±0.2°、11.32±0.2°、19.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(IV)化合物のJ結晶形を提供する。
【0058】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記I結晶形の粉末X線回折スペクトルは以下の2θ角:4.99±0.2°、6.90±0.2°、9.9±0.2°、10.73±0.2°、11.32±0.2°、14.41±0.2°、16.73±0.2°、19.95±0.2°において特徴的な回折ピークを有する。
【0059】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形のXRPDスペクトルが
図21で示される通りである。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形のXRPDスペクトル解析データは表10に示す通りである:
【0061】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形の示差走査熱量曲線は33.34℃±3℃、194.84℃±3℃においてそれぞれ一つの吸熱ピークの開始点を有する。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形のDSCスペクトルは
図22に示す通りである。
【0062】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形の熱重量分析曲線は120℃±3℃の際に重量が1.357%減少し、177.11℃±3℃の際にまた重量が0.8330%減少する。
【0063】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記J結晶形のTGAスペクトルは
図23に示す通りである。
本発明は式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物をそれぞれ独立的に溶剤に添加して加熱撹拌し、又は再結晶する工程を含む、式(I)、(II)、(III)又は(IV)の化合物の製造方法を提供する。
【0064】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記溶剤がメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸エチル−エタノール、イソプロピルアルコール又はエタノール−水から選ばれる。
【0065】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記撹拌温度は35℃〜45℃である。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記パルピング時間は12時間〜36時間である。
【0066】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物と溶剤の重量比が1:10〜1:15である。
本発明は更に式(I)化合物をエタノールに添加し、塩酸/酢酸エステルを反応瓶に滴下して加熱撹拌し、室温に温度を下げ、ろ過して得る工程を含む、式(II)化合物のG結晶形製造方法を提供する。
【0067】
本発明の幾つかの実施の態様において、前記式(II)化合物のG結晶形の加熱撹拌温度は85℃〜95℃である。
本発明の幾つかの実施の態様において、前記化合物及び結晶形チロシンキナーゼ阻害剤関連疾患を治療する薬物における、前記化合物及び結晶形の使用である。
【0068】
[定義及び説明]
特に断りのない限り、本明細書に用いられる以下の用語と句は下記の意味を含む。一つの特定の句又は用語は、特に定義されていない場合、不確定か不明であると考えられるものではなく、一般的な意味で理解すべきである。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品又はその活性成分を表すことが意図される。
【0069】
本発明の中間体化合物は、以下に挙げられる具体的な実施の態様、他の化学合成法と組み合わせた実施の態様、及び当業者に周知である等価の置き換え方式を含む、当業者に周知である複数の合成方法により調製することができる。好ましい実施の態様は、本発明の実施例が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明の具体的な実施の態様の化学反応は適当な溶剤において完成されるものであり、前記溶剤は本発明の化学変化及びその必要な試薬及び材料に適しなければならない。本発明の化合物を得るために、当業者は従来の実施の態様に基づき合成ステップ又は反応フローを変形又は選択する必要があることがある。
【0071】
以下に実施の形態により本発明を詳しく説明するが、これらの実施の形態は本発明を何らか制限するものではない。
本発明に用いられる全ての溶剤は市販されるものであり、さらに精製することなく使用できる。
【0072】
本発明は下記の略語を用いる。r.t.は室温、THFはテトラヒドロフラン、NMPはN−メチルピロリドン、MeSO
3Hはメタンスルホン酸、DMEはエチレングリコールジメチルエーテル、DCMはジクロロメタン、Xphosは2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’、4’、6’−トリイソプロピルビフェニル、EtOAcは酢酸エチル、MeOHはメタノール、acetoneはアセトン、2−Me−THFは2−メチルテトラヒドロフラン、IPAはイソプロピルアルコール、m−CPBAは3−クロロ過安息香酸、Pd(dppf)Cl2は[1、1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、DIEAはN、N−ジイソプロピルエチルアミン、DMSOはジメチルスルホキシド、HEPESは4−ヒドロキシエチルピペラジニルエタンスルホン酸、EGTAはエチレングリコールビス(2−アミノエチルエーテル))−N、N、N’、N’−四酢酸、THPはテトラヒドロピラニルである。
【0073】
化合物は手動で名付けられ、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアで名付けられ、市販化合物はベンダー名を用いる。
本発明に係る粉末X線回折(X−ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器の型番:ブルカーD8 advance X線回折計
測定方法:約10〜20mgのサンプルをXRPDの検出に用いる。
【0074】
詳細なXRPDパラメーターは下記の通りである。
X線管:Cu、kα、(λ=1.54056Å).
管電圧:40kV、管電流:40mA
発散スリット:0.60mm
センサスリット:10.50mm
散乱防止スリット:7.10mm
走査範囲:4〜40deg
ステップ角:0.02deg
ステップ幅:0.12秒
サンプルパン回転数:15rpm
本発明に係る示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器の型番:TA Q2000示差走査熱量計
測定方法:サンプル(約1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に量り取り測定を行い、50mL/min N2条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを30℃(室温)から300℃(又は350℃)まで加熱する。
【0075】
本発明に係る熱重量分析(Thermalgravimetric Analyzer、TGA)方法
計器の型番:TA Q5000IR熱重量分析計
測定方法:サンプル(2〜5mg)をTGA白金坩堝に量り取り測定を行い、25mL/min、N
2条件で、10℃/minの昇温速度で、サンプルを室温から300℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0076】
本発明に係る動的水蒸気吸着測定(Dynamic Vapor Sorption、DVS)方法
計器の型番:SMS DVS Advantage動的水蒸気吸着測定装置
測定条件:サンプル(10〜15 mg)をDVSサンプルパンに取って測定する。
DVSパラメーターの詳細は以下の通りである。
温度:25℃
平衡化:dm/dt=0.01 %/min(最短:10 min、最長:180 min)
乾燥:0% RHで120 min乾燥する
RH(%)勾配の測定:10%
RH(%)勾配の測定範囲:0%−90%−0%
吸湿性評価の分類は以下の通りである:
【0078】
高速液体クロマトグラフ(High Performance Liquid Chromatograph、HPLC)
化合物の含有量解析方法のクロマトグラフは表11の通りである。
【0080】
[発明の効果]
本発明の化合物の優れたFGFR1キナーゼ阻害活性及びSNU−16細胞阻害活性は、小分子のチロシンキナーゼ阻害剤として使用することができ;細胞増殖と血管新生を阻害する効果を有し、優れた抗腫瘍活性を有し、様々な哺乳類(ヒトを含む)の治療に優れた効果を有する。
【0081】
本発明のいくつかの塩溶解度データは、水相では塩酸塩の溶解度が最大であり、模擬腸液及び模擬胃液では、3つの塩の溶解度が近い;遊離アルカリは、3つのバイオメディアでの溶解度は良好であるが、水での溶解は非常に困難であることを示した。G結晶形、I結晶形及びJ結晶形は、熱安定性と加速条件下での安定性が優れ、光の条件下ではわずかな不純物が生成され、遮光条件下では安定性は良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】式(I)化合物のA結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図2】式(I)化合物のA結晶形のDSCスペクトルである。
【
図3】式(I)化合物のA結晶形のTGAスペクトルである。
【
図4】式(I)化合物のB結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図5】式(I)化合物のC結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図6】式(I)化合物のD結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図7】式(I)化合物のE結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図8】式(II)化合物のF結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図9】式(II)化合物のF結晶形のDSCスペクトルである。
【
図10】式(II)化合物のF結晶形のTGAスペクトルである。
【
図11】式(II)化合物のG結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図12】式(II)化合物のG結晶形のDSCスペクトルである。
【
図13】式(II)化合物のG結晶形のTGAスペクトルである。
【
図14】式(II)化合物のH結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図15】式(II)化合物のH結晶形のDSCスペクトルである。
【
図16】式(II)化合物のH結晶形のTGAスペクトルである。
【
図17】式(III)化合物のI結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図18】式(III)化合物のI結晶形のDSCスペクトルである。
【
図19】式(III)化合物のI結晶形のTGAスペクトルである。
【
図20】式(III)化合物のI結晶形のDVS等温線である。
【
図21】式(IV)化合物のJ結晶形のCu−Kα線のXRPDスペクトルである。
【
図22】式(IV)化合物のJ結晶形のDSCスペクトルである。
【
図23】式(IV)化合物のJ結晶形のTGAスペクトルである。
【
図24】式(IV)化合物のJ結晶形のDVS等温線である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施の態様は本発明の内容を制限するものではない。
【0086】
0℃の条件下で、6−ギ酸メチル−1−メチルピリジン(20 g、0.13 mol)のN,N−ジメチルスルホキシド(200 ml)溶液にヨウ素単体(33.5 g、0.13 mmol)及びトリフルオロ酢酸(35.3 ml、0.4 mmol)を添加し、1時間攪拌し、次に温度を140℃に上げて2.5時間撹拌した。0℃に冷却し、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(30 ml)でクエンチし、30分間攪拌し、水層を酢酸エチル(150 mmol ×3)で抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水(50 mmol ×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し精製して実施例1Aを得た。
1H NMR (400MHz、CHLOROFORM−d) ppm :10.14 (s、1H)、9.36 (s、1H)、8.47 (dd、J=1.3、8.0 Hz、1H)、8.03 (d、J=8.0 Hz、1H)、4.05 − 3.94 (s,3H).
【0088】
0℃の条件下で、実施例1A(20 g、120 mmol)のオルトギ酸トリメチル(400 ml)の溶液にギ酸(40 ml)をゆっくりと滴下し、該温度下で30分間攪拌し、次に濃硫酸(1.2 ml)を滴下し、滴下完了後、温度を50℃に上げて30分間攪拌し、その後、温度を25℃に下げて3時間攪拌した。室温に冷却し、水(100 ml)に入れ、水層を酢酸エチル(200 mmol ×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(100 ml × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空濃縮して実施例1Bを得、直接次の工程に使用した。
【0090】
0℃窒素ガスの保護下で、実施例1B(8 g、38 mmol)のテトラヒドロフラン(120 ml)溶液に、バッチに水素化アルミニウムリチウム(4.4 g、114 mmol)を添加し、添加完了後、当該温度下で1時間攪拌した。水(4.4 ml)、15%水酸化ナトリウム(4.4 ml)次にまた水(13.2 ml)を入れてクエンチし、30分間攪拌した後ろ過し、真空濃縮して実施例1Cを得、直接次の工程に使用した直接次の工程に使用した。
【0092】
実施例1C(5 g、27 mmol)のジクロロメタン(120 ml)溶液に二酸化マンガン(19 g、216 mmol)を添加し、次に温度を40℃に上げて16時間撹拌した。室温に冷却し、ろ過し、真空濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して実施例1Dを得た。
1H NMR (400 MHz、CHLOROFORM−d) ppm 10.1 (s、1H)、9.04−9.13 (m、1H)、8.22 (dd、J=2.01、8.03 Hz、1H)、7.75 (d、J=8.03 Hz、1H)、5.44 (s、1H)、3.43 (s、6H).
【0094】
5℃窒素ガスの保護下で、実施例1D(2.7 g、5 mmol)のテトラヒドロフラン(80 ml)溶液にバッチに水素ナトリウム(600 mg、60%、14.5 mmol)を添加し、完了後、該温度下で30分間攪拌し、実施例1J(2 g、10.6 mmol)を入れ、温度を70℃に上げて16時間撹拌した。室温に冷却し、氷水(50 ml)に入れ、水層を酢酸エチル(40 ml ×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20 ml ×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、真空濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して実施例1 Eを得た。
この混合物をキラルHPLCで分離して、シス−トランス異性体を得、キラルカラム: Chiralcel OD−3 150×4.6mm I.D.、3μm、移動相:エタノール(0.05% DEA) −CO
2、5%から40%、流速:2.5mL/min、 波長:220nmであった。
【0096】
室温下で、実施例1E (900 mg、1.53 mmol)のアセトン(4 ml)、水(4 ml)混合液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(291 mg、1.53 mmol)を添加し、反応液を50℃まで加熱して10時間攪拌した。反応終了後、水(4 ml)を入れ、ジクロロメタン(30 ml x 3)を入れて抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで干燥し、ろ過し、蒸発して実施例1Fを得、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 541 [M+1]
+.
【0098】
窒素ガスの保護下で、室温で実施例1F(850 mg、 1.57mmol)のメタノール(8ml)溶液にバッチに水素化ホウ素ナトリウム(119 mg、 3.14 mmol)を添加し、1時間攪拌した。水(30 ml)を入れてクエンチし、酢酸エチル(40 ml x 3)を入れて抽出し、有機相を合わせて飽和食塩水(20 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで干燥し、ろ過し、蒸発して実施例1Gを得、黄色の液体であった。LCMS (ESI) m/z: 543 [M+1]
+.
【0100】
室温の窒素ガスの保護下で、実施例1G(900 mg、粗製品)のメタノール(2 ml)溶液に、新しく調製した塩化アセチル(2 ml)、メタノール(6 ml)溶液を添加した。反応液を40℃で3時間攪拌した。真空で溶液を除去したのは実施例1Hであって、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 459 [M+1]
+.
【0102】
室温の窒素ガスの保護下で、実施例1H(748 mg、1.63 mmol)のジクロロメタン(12 ml)溶液に、トリエチルアミン(495 mg、4.89 mmol)、二炭酸ジ−tert−ブチル(356 mg、1.63 mmol)、DMAP(20 mg、0.16 mmol)を添加し、反応液を室温で30分間攪拌した。反応が終わり、1M塩酸でpHを7左右に調整し、ジクロロメタン(20 ml x 3)を入れて抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで干燥し、ろ過し、蒸発し、残留物をフラッシュクロマトグラフィーによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して実施例1Iを得、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 559 [M+1]
+.
【0104】
室温下で、実施例1I(280 mg、0.5 mmol)のジクロロメタン(6 ml)溶液に、バッチにデスマーチン試薬(318. mg、0.75 mmol)を添加し、反応液を室温で2時間攪拌し、反応完了後、反応液を氷浴で冷却し、白色の固体が析出し、ろ過し、ろ過液を蒸し干して実施例1Jを得、黄色の固体であった。LCMS (ESI) m/z: 557 [M+1]
+.
【0106】
室温下で、実施例1J(50 mg、90 μmol)、テトラヒドロ−2ヒドロ−ピラン−4アミン(18 mg、 180μmol)の1,2−ジクロロエタン(2.5 ml)溶液に、酢酸(約0.1 ml)を添加してpHを5左右に調整し、2時間攪拌した。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(12 mg、180μmol)を室温下で反応液に添加し、続いて1時間攪拌し、水(5 ml)を入れ、ジクロロメタン(20ml x 3)を添加して抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で(20 ml)洗浄し、硫酸ナトリウムで干燥し、ろ過し、蒸発し、残留物をフラッシュクロマトグラフィーによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して実施例1Kを得た。固体サンプルをキラルカラム分離に使用して、実施例1K−R配置(8 mg)、実施例1K−S配置(8 mg)を得た。
LCMS (ESI) m/z: 642 [M+1]
+。
キラルカラム方法:キラルカラム、Chiralcel OJ−H 250×4.6mm I.D.、5μm;移動相、メタノール(0.05% DEAジエチルアミン))−CO
2は5% から 40%;流速、2.35mL/min;波長、280nm。
【0108】
室温の窒素ガスの保護下で、実施例1K−S配置(15mg、23μmol)(実施例1Kの調製方法に従って、200mgの規模に反応を拡大して、15mgの1K−S配置生成物を得た)のメタノール(1 ml)溶液に、新しく調製した塩化アセチル(1 ml)、メタノール(3 ml)溶液を添加した。反応液を40℃で3時間攪拌した。溶液を真空中で除去したのは実施例1Lであった。LCMS (ESI) m/z: 542 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz、METHANOL−d
4) ppm 9.04 (s、1H)、8.50 (br. s.、2H)、8.23 (d、J=7.03 Hz、1H)、7.64 (d、J=8.03 Hz、1H)、7.49 (d、J=8.53 Hz、1H)、7.18−7.26 (m、2H)、7.04 (s、2H)、6.12 (q、J=6.53 Hz、1H)、4.53 (s、2H)、4.08 (dd、J=4.02、11.54 Hz、2H)、3.56−3.66 (m、7H)、2.15 (d、J=11.04 Hz、2H)、1.83 (d、J=6.53 Hz、4H)、1.18 (t、J=7.03 Hz、9H).
【0110】
実施例1Lに記載の方法と同様に、室温の窒素ガスの保護下で、実施例1K−R配置(15 mg、23μmol)(反応を200 mgの規模に拡大して、1K−R配置生成物15 mgを得た)のメタノール(1 ml)溶液に、新しく調製した塩化アセチル(1 ml)、メタノール(3 ml)溶液を添加した。反応溶液を40℃で3時間撹拌した。溶液を真空中で除去したのは実施例1であった。LCMS (ESI) m/z: 542[M+1]
+.
1H NMR (400 MHz、METHANOL−d
4) ppm 8.95−9.12 (m、1H)、8.44−8.59 (m、1H)、8.25 (br. s.、1H)、7.68 (br. s.、1H)、7.51 (d、J=8.78 Hz、1H)、7.25 (d、J=15.06 Hz、2H)、6.91−7.10 (m、1H)、6.13 (d、J=5.77 Hz、1H)、4.54 (br. s.、2H)、4.07 (d、J=10.54 Hz、2H)、3.42−3.57 (m、3H)、2.15 (d、J=10.79 Hz、2H)、1.83 (m、5H).
実施例1をメタノールに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で解離し、ジクロロメタンで抽出した後、有機相をスピン乾燥して、式(I)の化合物を得た。
【0111】
実施例2:式(I)化合物のA結晶形の製造
実施例1をメタノールに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で解離し、ジクロロメタンで抽出し、有機相をスピン乾燥し、次に少量のメタノールを加えてスラリー化精製し、ろ過して固体を得た。XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(I)化合物の結晶形Aを得た。
【0112】
実施例3:式(I)化合物のB結晶形の製造
式(I)化合物30 mgをガラス瓶に量り取り、400μLのメタノールを添加して懸濁液にした。上記の懸濁液サンプルをマグネチックスターラー(40℃)に入れ、遮光攪拌試験を行った。懸濁液サンプルを40℃で2日間攪拌した後、遠心分離し、残りのサンプルを真空オーブン(40℃)に入れ、一晩乾燥し、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(I)化合物の結晶形Bを得た。
【0113】
実施例4:式(I)化合物のC結晶形の製造
式(I)化合物30 mgをガラス瓶に量り取り、400μLの酢酸エチル−エタノール(3:2)を添加して懸濁液にした。上記の懸濁液サンプルをマグネチックスターラー(40℃)に入れ、遮光攪拌試験を行った。懸濁液のサンプルを40℃で2日間撹拌した後、遠心分離し、残りのサンプルを真空オーブン(40℃)に入れ、一晩乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(I)化合物の結晶形Cを得た。
【0114】
実施例5:式(I)化合物のD結晶形の製造
式(I)化合物30 mgをガラス瓶に量り取り、400μLのアセトンを加えて懸濁液にした。上記の懸濁液サンプルをマグネチックスターラー(40℃)に入れ、遮光攪拌試験を行った。懸濁液サンプルを40℃で2日間攪拌した後、遠心分離し、残りのサンプルを真空オーブン(40℃)に入れ、一晩乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(I)化合物の結晶形Dを得た。
【0115】
実施例6:式(I)化合物のE結晶形の製造
式(I)化合物30 mgをガラス瓶に量り取り、イソプロパノール400μLを添加して懸濁液にした。上記の懸濁液サンプルをマグネチックスターラー(40℃)に入れ、遮光攪拌試験を行った。懸濁液サンプルを40℃で2日間攪拌した後、遠心分離し、残留サンプルを真空オーブン(40℃)に入れ、一晩乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(I)化合物の結晶形Eを得た。
【0116】
実施例7:式(II)化合物のF結晶形の製造
式(I)化合物60 mgをガラス瓶に量り入れ、磁子を添加し、マグネチックスターラーに入れ、酢酸エチル1.8 mLを加え、50℃に加熱して全部溶解し、塩酸のエタノール(1.2 mL)溶液(式(I)化合物と酸のモル比は1:2)をゆっくりと添加した;現象を観察し、塩酸を加えた後、50℃で2時間攪拌した後、室温で一晩攪拌し、沈殿が生じ、遠心分離した。次に、残りのサンプルを真空乾燥箱(40℃)に入れて乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(II)化合物の結晶形Fを得た。
【0117】
実施例8:式(II)化合物のG結晶形の製造
式(I)化合物の塩酸塩(実施例1)30 mgをガラス瓶に量り入れ、400μLのメタノールを添加した。溶解したサンプルをすばやく遠心し、上澄みを遠心管に取り、アルミホイルで管口を縛り、刺して小さな穴を開け、ドラフト内に入れて揮発させた;懸濁液のサンプルをマグネチックスターラー(40℃)に置き、攪拌(遮光)した。2日後、それを素早く遠心分離し、上澄みをドラフト内に置いて揮発乾固させた。前記遠心分離によって得られた残りのサンプル及び揮発によって得られた固体を収集し、30℃の真空オーブンで一晩乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(II)化合物の結晶形Gを得た。
【0118】
実施例9:式(II)化合物のG結晶形の製造
エタノール(1.25 L)を式(I)化合物(41.7 g)が入っている三口フラスコ(3 L)に添加した;反応溶液を90℃に加熱し、塩酸/酢酸エチル(38.4 mL)を反応フラスコに滴下した;90℃で2時間攪拌した後、反応液を室温に下げて20時間攪拌した;反応液をろ過し、得られた固体を0.1Lのエタノールで洗浄した;最終的に得られた固体はロータリーエバポレーター(50℃、6時間)で含有する少量のエタノール溶液を蒸発させた;最終的に式(II)化合物の結晶形Gを得た。
【0119】
実施例10:式(II)化合物のH結晶形の製造
式(I)化合物の塩酸塩(実施例1)30 mgをガラス瓶に量り取り、400μLのエタノールを添加した。溶解したサンプルをすばやく遠心し、上澄みを遠心分離チューブに取り、アルミホイルでチューブ口を縛り、刺して小さな穴を開け、ドラフト内に入れて揮発させた;懸濁液のサンプルをマグネチックスターラー(40℃)に置き、攪拌(遮光)した。2日後、それを素早く遠心分離し、上澄みをドラフト内に置いて揮発乾固させた。遠心分離により得られた残りのサンプル及び揮発により得られた固体を回収し、30℃の真空乾燥箱で一晩乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(II)化合物の結晶形Hを得た。
【0120】
実施例11:式(III)化合物のI結晶形の製造
式(I)化合物60 mgをガラス瓶に量り取り、磁子を添加し、マグネチックスターラーに入れ、1.8 mLの酢酸エチルを加え、50℃に加熱して溶解させ、適切な量のクエン酸のエタノール(1.2 mL)溶液(式(I)の化合物と酸のモル比は1:2)をゆっくりと加えた;現象を観察し、塩酸を加えた後、50℃で2時間攪拌し、室温で一晩攪拌して、沈殿が生じ、遠心分離させた。その後、残りのサンプルを真空乾燥箱(40℃)に入れて乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(III)化合物の結晶形Iを得た。
【0121】
実施例12:式(IV)化合物的J結晶形の製造
式(I)化合物60 mgをガラス瓶に量り取り、磁子を添加し、マグネチックスターラーに入れ、1.8 mLの酢酸エチルを加え、50℃に加熱して全部溶解させ、適切な量のL−リンゴ酸のエタノール(1.2 mL)溶液(式(I)化合物と酸のモル比は1:2)をゆっくりと加えた;現象を観察し、塩酸を加えた後、50℃で2時間攪拌し、室温で一晩攪拌して、沈殿が生じ、遠心分離させた。次に、残りのサンプルを真空オーブン(40℃)に入れて乾燥させ、XRPDにより結晶形の状態を検出し、式(IV)化合物の結晶形Jを得た。
【0122】
実験例1:式(I)、(II)、(III)又は(IV)化合物の溶解度試験
対照品溶液の調製(式(I)の化合物を対照サンプルとする)
式(I)化合物を約5 mgを量り取り、正確に計量し、サンプルボトルに入れ、10 mLのアセトニトリルを添加し、5分間超音波処理し、室温になるまで放置した後よく混ぜた。同様に二つを準備し、STD−1およびSTD−2とマークした。
【0123】
線形溶液の準備
対照品溶液STD−1を1、5、10、100、および1000倍に段階的に希釈し、線形溶液L1、L2、L3、L4およびL5としてマークした。
【0124】
式(I)化合物、及びその塩の溶解度試験
式(I)化合物、及びその塩が4つの異なるpHの媒介での溶解度をテストした。式(I)〜(IV)の化合物をそれぞれ約10 mg量り取り、5.0 mLの異なる媒介(水、SGF、FaSSIF、FeSSIF)に添加し、懸濁液に混合した。上記懸濁液に磁子を添加し、マグネチックスターラーに入れて攪拌した。2時間、4時間、24時間攪拌した後、サンプリングして遠心分離を行い、下層の残りのサンプルに対してXRPDを測定し、上層のサンプルはHPLCによりその濃度とpHを測定した。溶解度の結果は表12及び13に示した。
【0125】
【表13】
・FaSSIF: 1. 水酸化ナトリウム0.042 g、リン酸二水素ナトリウム0.3438 g、及び塩化ナトリウム0.6186 gを量り取り、90 mLの純水に添加してよく混ぜた後、1 N塩酸または1 N水酸化ナトリウムでpHを6.5に調整し、純水で100 mLに定容し、2. 50 mLの上記緩衝液を取り、0.224 gのFaSSIF / FeSSIF / FaSSGF市販の粉末(Biorelevant.com)を添加し、溶解するまで攪拌し、純水で100 mLに定容した。調製した緩衝液を室温になるまで置き、2時間静置した後、緩衝液が薄い乳白色になると、使用可能であった。
・FeSSIF:1. 0.404 gの水酸化ナトリウム、0.865 gの氷酢酸、1.1874 gの塩化ナトリウムを量り取り、90 mLの純水に添加してよく混ぜ、1 N塩酸または1 N水酸化ナトリウムでpHを5.0に調整し、純水で100 mLに定容した;2. 50 mLの上記緩衝液を取り、1.12 gのFaSSIF / FeSSIF / FaSSGF市販の粉末(Biorelevant.com)を添加し、溶解するまで攪拌し、純水で100 mLに定容した。調製した緩衝液を室温になるまで置き、2時間静置した後、緩衝液が透明な液になると、使用可能であった。
・FaSSGF(SGF): 1. 0.2 gの塩化ナトリウムを量り取り、90 mLの純水に入れてよく混ぜてから、1 N塩酸でpHを1.8に調整し、純水で100 mLに定容し、室温になるまでに静置した。
【0127】
結論:生物媒介におけるいくつかの塩の溶解度データは、水相では塩酸塩の溶解度が最大で、模擬腸液と模擬胃液では、3つの塩の溶解度は近い;遊離アルカリは、3つの生物媒介での溶解度は良好であったが、水では溶解することが非常に困難だったことを示した。
実験例2:G結晶形、I結晶形及びJ結晶形の固体安定性試験
40mlガラスサンプル瓶の底にそれぞれ約10 mgのG結晶形、I結晶形、またはJ結晶形を正確に計量し、薄層に広げ、開口のサンプルはアルミホイルで管口を縛り、刺して小さな穴を開けてサンプルが周囲の空気と十分に接触できるようにし、閉じたサンプルをボトルキャップで締め、シーリングフィルムで包んだ。各条件の時点で2つのサンプルを並行して計量し、適量のサンプル(計量なし)を取ってXRPD検出により、準備したサンプルを各条件下に置き、各条件の時点でサンプリングして分析した。0日目のサンプルを5つ並行して計量し、分析するまで−20℃の冷蔵庫に保管した。同じ方法で光照サンプルを準備して40mlのガラスサンプル瓶の底に置き、ガラス瓶の開口をライトボックスに垂直するように置いた。また、適量の2つのサンプルを取って遮光サンプルとし、開口を垂直するように置き、ガラス瓶をアルミホイルで包んだ。総照度は1.2x106 Lux.hr、近紫外線は200w.hr/m2で完全に照らした後、サンプルは分析のために−20℃の冷蔵庫に保管した。
【0128】
考察用化合物を以下の条件下に置き、異なる時点でサンプリングして物理的性質を検出、HPLCにより含有量と総不純物を分析した。研究条件及び検出項目は表14〜16の通りであった。
【0132】
結論:影響要素と加速実験いずれも、G結晶形、I結晶形、およびJ結晶形の熱安定性及び加速条件下での安定性は優れ、光照条件下でわずかな不純物が生成し、避光条件下では安定性は優れたことを示した。
【0133】
実験例3.式(III)化合物のI結晶形の吸湿性試験
実験材料:
SMS DVS Advantage 動的水蒸気吸着測定
実験方法:
式(III)化合物のI結晶形を10〜15 mg取り、DVSサンプル皿に入れてテストした。
実験結果:
式(III)化合物のI結晶形のDVSスペクトルは
図20に示す通りで、△W=2.134%であった。
実験結論:
式(III)化合物のI結晶形は25±1℃および80±2%RHにおいて吸湿性重量増加は2.134%で、吸湿性を有した。
【0134】
実験例4.式(IV)化合物的J結晶形の吸湿性試験
実験材料:
SMS DVS Advantage 動的水蒸気吸着測定装置
実験方法:
式(IV)化合物のJ結晶形を10〜15 mg取り、DVSサンプル皿に入れてテストした。
実験結果:
式(IV)化合物のJ結晶形のDVSスペクトルは
図24に示す通りで、△W=5.227%であった。
実験結論:
式(IV)化合物のJ結晶形は25±1℃および80±2%RHにおいて吸湿性重量増加は5.227%で、吸湿性を有した。
【0135】
実験例5:本発明の化合物の体外酵素活性試験
実験目的:
Z´−LYTE(登録商標) Detection Kinase Assayにより酵素活性を検出し、化合物のIC
50値を指標として、FGFR1に対する化合物の阻害効果を評価する。
実験材料:
FGFR1 (Invitrogen# PV4105)
Tyr4 (Invitrogen−PR5053U)
ATP (Sigma−A7699)
DMSO (Sigma cat # 34869−100ML)
反応緩衝液: 50mM Hepes (pH 7.5)、10mM MgCl
2、1mM EGTA、0.01% Brij−35、1mM DTT、2mM MnCl
2
384反応プレート (Corning Costar 3573)
384化合物プレート (Greiner # 781280)
・Development reagent B (Invitrogen# PR5193D)
・Development Buffer (Invitrogen# PR4876B)
遠心分離機 (Eppendorf #5810R)
電子ピストンストロークピペット(Eppendorf)
Multidrop液体ワークステーション(ThermoScientific)
Bravo自動液体ワークステーション (Agilent)
Envision (Perkin Elmer)
【0136】
実験手順及び方法:
A.酵素/基質混合物の準備
0.6 nM FGFR1、2 μm Tyr4 peptide及び10 μm ATPを反応緩衝液(50 mM Hepes 、pH7.5、 10 mM MgCl
2、 0.01% BRIJ−35、1 mM EGTA、4 mM MnCl
2、2 mM DTT )に添加した。
B.化合物のサンプルローディング:
a.化合物をDMSOで10 mM、3倍希釈、11個勾配、およびダブルウェルに希釈した
b.Bravo自動液体ワークステーションで化合物を1:25に希釈し、中間プレートに移した。次に、更に、2.5ulを反応プレートに移して、DMSOの最終濃度を1%に保障した
c.5μlのトランスフェラーゼ/基質の緩衝液を各ウェルに移した
d.Multidrop液体ワークステーションを利用してATP溶液を順次に各ウェルに添加した
e.1000rpmで1分間遠心分離した
f.反応プレートを23℃の恒温箱に置き、60分間反応させた。
【0137】
C.発色反応実験:
a.1:128の比で発色試薬B(Development regent B)と発色緩衝液(Development Buffer)の混合液を調製した。
b.各ウェルに5ulを入れ、1000rpmで1分間遠心分離した。
c.遠心分離した後、反応プレートを恒温箱(23℃)に90分間置き、取り出してEnvision(Perkin Elmer)プレートリーダーでデータを読み取った。
D.分析データ:XLFIT(IDBS)によりてデータを分析し、化合物のIC
50値を計算した。
実験結果は表17の通りであった:
【0138】
【表18】
結論:本発明の化合物がFGFR1に対する阻害効果は有意であった。
【0139】
実験例6:本発明の化合物の腫瘍増殖抑制(TGI)分析
腫瘍の進化的成長は、腫瘍体積と時間の関係によって評価された。皮下腫瘍の長軸(L)と短軸(W)をノギスで週に2回測定し、腫瘍体積(TV)を式((LxW2)/2)で計算した。TGIは、溶剤群のマウス腫瘍体積の中央値と薬投与群のマウス腫瘍体積の中央値の差で計算し、溶媒対照群の腫瘍体積の中央値でパーセンテージを計算して表し、
以下の公式を通じて計算した:
%TGI=((中間腫瘍体積(対照)−中間腫瘍体積(薬投与群)/中間腫瘍体積(対照群))x100
ローデータ統計分析は、分散分析を繰り返し行うことによって行われた。次に、Scheffe psot h℃実験方法によって複数の比較をした。単独溶剤0.5%(メチルセルロース+0.2%ツィーン水溶液)は陰性対照であった。
実験結果は表18の通りである:
【0141】
本発明の化合物の優れた体外FGFR1キナーゼ阻害活性は、小分子のチロシンキナーゼ阻害剤として利用でき;細胞増殖及び血管生成の阻害効果を有し、良好な抗腫瘍活性を有し、様々な哺乳動物(ヒトを含む)を治療するのに良い効果がある。