特許第6974619号(P6974619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6974619
(24)【登録日】2021年11月8日
(45)【発行日】2021年12月1日
(54)【発明の名称】滅菌アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20211118BHJP
【FI】
   A61B1/12 510
【請求項の数】2
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2020-532144(P2020-532144)
(86)(22)【出願日】2019年2月26日
(86)【国際出願番号】JP2019007349
(87)【国際公開番号】WO2020021751
(87)【国際公開日】20200130
【審査請求日】2020年11月4日
(31)【優先権主張番号】特願2018-140530(P2018-140530)
(32)【優先日】2018年7月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 蛍
【審査官】 田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特公平4−67445(JP,B2)
【文献】 国際公開第2015/194218(WO,A1)
【文献】 特開2000−157483(JP,A)
【文献】 特開2004−89232(JP,A)
【文献】 特開2002−17657(JP,A)
【文献】 特開2000−225089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器に対して着脱自在な滅菌アダプタにおいて、
前記医療機器に取り付けた際の前記医療機器の外部から内部への気体の流通を阻止し、前記内部から前記外部へ前記気体を流通させるための逆止弁ユニットと、
孔部を有する本体部と、
前記孔部内に配置され前記本体部との間に形成された隙間によって前記内部と前記外部とを連通させるとともに前記隙間を遮断するための通気弁ユニットと、
を具備し、
前記逆止弁ユニットは、前記通気弁ユニットの内部に配置され、
前記逆止弁ユニットは、前記気体を流通させる流体通路を有し、
前記通気弁ユニットは、前記隙間と前記流体通路とを連通させる連通路を有し、
前記通気弁ユニットは、
内部に前記逆止弁ユニットが配置される通気弁と、
前記通気弁に連結されるとともに前記連通路が形成された通気弁保持部材と、
前記通気弁保持部材に連結されるとともに、前記本体部と前記通気弁との相対的な回転を防止する回転防止部材と、
前記本体部と前記回転防止部材との間を連結するように配置され、前記通気弁保持部材及び前記回転防止部材を介して、前記通気弁を所定の方向に付勢して前記隙間を遮断する弾性部材と、
を有し、
前記本体部は、前記医療機器に対して前記弾性部材の付勢力によって係合可能な係合部を有することを特徴とする滅菌アダプタ。
【請求項2】
医療機器に対して着脱自在な滅菌アダプタにおいて、
前記医療機器に取り付けた際の前記医療機器の外部から内部への気体の流通を阻止し、前記内部から前記外部へ前記気体を流通させるための逆止弁ユニットと、
孔部を有する本体部と、
前記孔部内に配置され前記本体部との間に形成された隙間によって前記内部と前記外部とを連通させるとともに前記隙間を遮断するための通気弁ユニットと、
を具備し、
前記逆止弁ユニットは、前記通気弁ユニットの内部に配置され、
前記逆止弁ユニットは、前記気体を流通させる流体通路を有し、
前記通気弁ユニットは、前記隙間と前記流体通路とを連通させる連通路を有し、
前記通気弁ユニットは、
内部に前記逆止弁ユニットが配置される通気弁と、
前記通気弁に連結されるとともに前記連通路が形成された通気弁保持部材と、
前記通気弁保持部材に連結されるとともに、前記本体部と前記通気弁との相対的な回転を防止する回転防止部材と、
前記本体部と前記回転防止部材との間を連結するように配置され、前記通気弁保持部材及び前記回転防止部材を介して、前記通気弁を所定の方向に付勢して前記隙間を遮断する弾性部材と、
を有し、
前記通気弁は、前記弾性部材の付勢力に抗する前記医療機器の押圧によって前記通気弁保持部材を介して前記通気弁が移動することにより、前記隙間の遮断が解除されることを特徴とす滅菌アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に対して着脱自在な滅菌アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器、例えば内視鏡は、使用後再使用するため、洗浄消毒装置を用いて洗浄消毒する必要がある。
【0003】
加えて、近年内視鏡を使用する際の感染症対策のため、洗浄消毒処理に加え、内視鏡を滅菌処理することが求められている。
【0004】
一般的に、ガス滅菌処理においては、先ず、コンディショニング工程において滅菌装置におけるチャンバ内の空気除去を行い、チャンバ内部の圧力を真空状態まで近付ける。
【0005】
その後、滅菌工程において、チャンバ内にガスを注入して内視鏡の滅菌処理を行い、滅菌終了後の脱離工程において、チャンバ内におけるガスと水蒸気の置き換えを行う。
【0006】
最後に、乾燥・エアレーション工程において、チャンバ内に空気を注入することによりチャンバ内部を大気圧に戻す。
【0007】
ここで、ガス滅菌処理においては、滅菌工程にて使用するガスが内視鏡内部の構成部品を腐食してしまうため、内視鏡内部へのガス進入を防止する必要がある。
【0008】
しかしながら、ガス滅菌処理において、内視鏡内部が気密に保たれた状態にしてしまうと、コンディショニング工程において、チャンバ内、即ち内視鏡外部の圧力を陰圧にした際に、内視鏡の湾曲ゴムが破裂してしまう。
【0009】
そこで、内視鏡に、該内視鏡内部から外部に気体を流通させる逆止弁ユニットを有する通気口金が設けられた構成が周知である。
【0010】
逆止弁ユニットは、内視鏡外部から内部への気体の流通は阻害するため、滅菌工程においては、内視鏡内部へのガスの進入を遮断する。
【0011】
さらに、逆止弁ユニットは、内視鏡内部が外部よりも高圧の際、例えば、コンディショニング工程において、チャンバ内が真空状態に近く内視鏡内部が大気圧状態の場合、圧力差によって逆止弁が開放されることによって、内視鏡内部から外部へと気体を流通させる。
【0012】
このため、コンディショニング工程においてチャンバ内を真空状態に近付けた際、内視鏡内部とチャンバ内とを同圧にすることができることから、湾曲ゴムの破裂を防止することができる。
【0013】
ところが、滅菌工程終了後にチャンバ内の圧力、即ち内視鏡外部の圧力が大気圧まで上がった際は、内視鏡内部は真空に近い状態であるにも関わらず、内視鏡外部は大気圧となる。
【0014】
このため、内視鏡内部が外部よりも低圧のため、逆止弁ユニットは開かず、複数の湾曲駒に湾曲ゴムが圧着されてしまい、ガス滅菌処理後、チャンバ内から内視鏡を取り出して使用する際、湾曲ゴムは複数の湾曲駒に圧着されたままの状態であることから、湾曲部を湾曲させると、湾曲ゴムが各湾曲駒に食い込んで損傷してしまう可能性があった。
【0015】
そこで、日本国特開2013−46701号公報には、滅菌処理において内視鏡の通気口金に装着する既知の滅菌アダプタを、通気口金に対して装脱する際、内視鏡内部と外部とを同圧にする通気弁ユニットが、逆止弁ユニットとともに通気口金に設けられた内視鏡の構成が開示されている。
【0016】
しかしながら、日本国特開2013−46701号公報に記載の内視鏡の構成においては、逆止弁ユニット及び通気弁ユニットが内視鏡の通気口金に設けられているため、通気口金が大型化してしまう。
【0017】
よって、内視鏡を洗浄消毒処理する際、大型の通気口金によって、内視鏡が洗浄消毒装置に入らなくなってしまうといった問題があった。
【0018】
尚、このような問題に鑑み、滅菌アダプタに通気弁ユニット及び逆止弁ユニットが設けられた構成が周知であるが、この場合、滅菌アダプタが大型化してしまうといった問題があった。
【0019】
尚、以上の問題は、内視鏡に限らず、滅菌処理が行われる他の医療機器においても同様である。
【0020】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、滅菌処理において医療機器内部へのガスの進入を防ぐとともに、医療機器への装脱に伴い、医療機器内部と外部とを同圧にできる小型な滅菌アダプタを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一態様による滅菌アダプタは、医療機器に対して着脱自在な滅菌アダプタにおいて、前記医療機器に取り付けた際の前記医療機器の外部から内部への気体の流通を阻止し、前記内部から前記外部へ前記気体を流通させるための逆止弁ユニットと、孔部を有する本体部と、前記孔部内に配置され前記本体部との間に形成された隙間によって前記内部と前記外部とを連通させるとともに前記隙間を遮断するための通気弁ユニットと、を具備し、前記逆止弁ユニットは、前記通気弁ユニットの内部に配置され、前記逆止弁ユニットは、前記気体を流通させる流体通路を有し、前記通気弁ユニットは、前記隙間と前記流体通路とを連通させる連通路を有し、前記通気弁ユニットは、内部に前記逆止弁ユニットが配置される通気弁と、前記通気弁に連結されるとともに前記連通路が形成された通気弁保持部材と、前記通気弁保持部材に連結されるとともに、前記本体部と前記通気弁との相対的な回転を防止する回転防止部材と、前記本体部と前記回転防止部材との間を連結するように配置され、前記通気弁保持部材及び前記回転防止部材を介して、前記通気弁を所定の方向に付勢して前記隙間を遮断する弾性部材と、を有し、前記本体部は、前記医療機器に対して前記弾性部材の付勢力によって係合可能な係合部を有する。
また、本発明の他態様による滅菌アダプタは、医療機器に対して着脱自在な滅菌アダプタにおいて、前記医療機器に取り付けた際の前記医療機器の外部から内部への気体の流通を阻止し、前記内部から前記外部へ前記気体を流通させるための逆止弁ユニットと、孔部を有する本体部と、前記孔部内に配置され前記本体部との間に形成された隙間によって前記内部と前記外部とを連通させるとともに前記隙間を遮断するための通気弁ユニットと、を具備し、前記逆止弁ユニットは、前記通気弁ユニットの内部に配置され、前記逆止弁ユニットは、前記気体を流通させる流体通路を有し、前記通気弁ユニットは、前記隙間と前記流体通路とを連通させる連通路を有し、前記通気弁ユニットは、内部に前記逆止弁ユニットが配置される通気弁と、前記通気弁に連結されるとともに前記連通路が形成された通気弁保持部材と、前記通気弁保持部材に連結されるとともに、前記本体部と前記通気弁との相対的な回転を防止する回転防止部材と、前記本体部と前記回転防止部材との間を連結するように配置され、前記通気弁保持部材及び前記回転防止部材を介して、前記通気弁を所定の方向に付勢して前記隙間を遮断する弾性部材と、を有し、前記通気弁は、前記弾性部材の付勢力に抗する前記医療機器の押圧によって前記通気弁保持部材を介して前記通気弁が移動することにより、前記隙間の遮断が解除される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施の形態の滅菌アダプタが着脱自在な内視鏡を具備する内視鏡装置の斜視図
図2図1の内視鏡コネクタに設けられた通気口金を閉じられた状態にて示す断面図
図3図2の通気口金を通気口金が開かれた状態にて示す断面図
図4図2の通気口金に着脱自在な滅菌アダプタの斜視図
図5図4中のV-V線に沿う滅菌アダプタの断面図
図6図2の通気口金に図4の滅菌アダプタを装着して、図2のガイドピンが、図4の滅菌アダプタに形成されたガイド溝の第1の位置に嵌入されている状態を示す断面図
図7図2のガイドピンが、ガイド溝の第2の位置まで移動された状態を示す図2の通気口金の断面とは90°異なる方向の通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図8図2のガイドピンが、ガイド溝の第3の位置まで移動され逆止弁ユニットが閉じている状態を示す図2の通気口金の断面とは90°異なる方向の通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図9図8の逆止弁ユニットが開いている状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図10図5中のX-X線に沿う滅菌アダプタの断面図
図11】第2実施の形態の通気口金に着脱自在な滅菌アダプタの斜視図
図12図11の滅菌アダプタが通気口金に装着され、ガイドピンが滅菌アダプタに形成されたガイド溝の第1の位置に嵌入されている状態を示す断面図
図13図12のガイドピンが、ガイド溝の第2の位置まで移動された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図14図13のガイドピンが、ガイド溝の第3の位置まで移動された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図15図12中のXV-XV線に沿う滅菌アダプタの断面図
図16図12の通気口金の斜視図
図17】第3実施の形態の滅菌アダプタを、通気口金に装着された状態を示す断面図
図18図17の滅菌アダプタの本体部材に形成されたガイド溝を、通気口金に設けられたガイドピンとともに概略的に示す図
図19図17の滅菌アダプタの本体部材に形成された図18とは異なるカム溝を、把持部に設けられたカムピンとともに概略的に示す図
図20図17の通気弁体が開放された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図
図21図20から通気口金が閉じられた状態における通気口金及び滅菌アダプタの断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明に用いる各図において、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。すなわち、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0024】
尚、以下、医療機器は、内視鏡を例に挙げて説明する。
【0025】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の滅菌アダプタが着脱自在な内視鏡を具備する内視鏡装置の斜視図である。
【0026】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、カメラコントロールユニット3とを有して主要部が構成されている。
【0027】
内視鏡2は、挿入部4と、操作部5と、ユニバーサルケーブル6と、内視鏡コネクタ16とを有して主要部が構成されている。
【0028】
挿入部4は、観察対象部位へ挿入される細長な長尺部材である。挿入部4は、先端部7と、湾曲部8と、可撓管部9とが連設されることによって構成されている。
【0029】
操作部5は、把持部5aを備え、把持部5aは、挿入部4の基端に連設されている。操作部5に、湾曲操作部11、各種スイッチ12、送気送水ボタン13、吸引ボタン14等が設けられている。
【0030】
湾曲操作部11は、湾曲部8の湾曲操作を行うための、例えば上下湾曲用操作ノブ11a及び左右湾曲用操作ノブ11bを有している。
【0031】
スイッチ12としては、例えば、レリーズスイッチ、フリーズスイッチ、及び、通常観察と蛍光観察との切替を行うための観察モード切替スイッチ等が挙げられる。
【0032】
また、操作部5に、挿入部4内に設けられた図示しない処置具挿通用管路に対して処置具を挿抜するための処置具挿通口15が設けられている。
【0033】
ユニバーサルケーブル6は、操作部5の側部より延出されている。ユニバーサルケーブル6の延出端に、内視鏡コネクタ16が設けられている。
【0034】
内視鏡コネクタ16から信号伝達ケーブル17が延出されており、信号伝達ケーブル17の端部に、カメラコントロールユニット3に着脱自在な電気コネクタ18が設けられている。
【0035】
また、内視鏡コネクタ16に、通気口金20が設けられている。尚、通気口金20は、操作部5に設けられていても構わない。
【0036】
次に、通気口金20の構成の一例について、図2図3を用いて説明する。図2は、図1の内視鏡コネクタに設けられた通気口金を閉じられた状態にて示す断面図、図3は、図2の通気口金を通気口金が開かれた状態にて示す断面図である。
【0037】
図2に示すように、通気口金20は、内視鏡コネクタ16に取り付けられる口金本体22と、該口金本体22内にそれぞれ設けられる回転リング23と、摺動部材24と、弁体25とを具備して主要部が構成されている。
【0038】
口金本体22は、該口金本体22の長手軸方向Hに沿って細長な段付パイプから構成されており、内視鏡2の内部と外部とを連通させる段付貫通孔22bが内部に形成されている。また、口金本体22の外周面22cからガイドピン26が突出している。
【0039】
尚、口金本体22の長手軸方向Hの一端側H1の部位に形成されたネジ22nが、内視鏡コネクタ16内部において設けられた図示しない固定部材に螺合されることにより、口金本体22は、内視鏡コネクタ16に取り付けられる。
【0040】
回転リング23は、環状部材から構成されており、口金本体22の長手軸方向Hの他端側H2の部位に形成された凹部22aに回動自在に配置されている。
【0041】
回転リング23の外周面に、長手軸方向Hに沿って長穴23aが形成されている。
【0042】
摺動部材24は、長手軸方向Hに沿って細長なパイプ形状に形成されており、回転リング23の貫通孔23c内及び口金本体22の段付貫通孔22b内に配置され、摺動部材24の長手軸方向Hの一端側H1の部位が、段付貫通孔22bに対してネジ固定されている。さらに、摺動部材24の外周部にはカム形状を有する周溝24dが形成されている。
【0043】
即ち、摺動部材24は、口金本体22に対して一体的に形成されている。また、摺動部材24の長手軸方向Hの他端側H2の部位にフランジ部24cが形成されている。
【0044】
摺動部材24は、内部に、長手軸方向Hの一部にテーパ面24kを有する長手軸方向Hに沿った貫通孔24wを有している。
【0045】
貫通孔24w内に、弁体25が回動自在に設けられている。弁体25の長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に、周溝25aが形成されており、該周溝25aに、Oリング等のシール部材27が嵌入されている。
【0046】
シール部材27は、図2に示すようにテーパ面24kに密着して、摺動部材24と弁体25との水密を保持するものである。
【0047】
また、弁体25の長手軸方向Hの他端側H2の部位の外周面にネジ穴が設けられており、該ネジ穴に、カム受けピン28が螺合されて取り付けられている。
【0048】
カム受けピン28は、通気口金20の径方向Kの外側に、摺動部材24に形成された周溝24dを介して突出され、上述した長穴23aに頭部が嵌入している。
【0049】
尚、長穴23aにカム受けピン28の頭部が嵌入していることにより、摺動部材24に対して、弁体25は長手軸方向Hに位置決めされる。
【0050】
このように構成された通気口金20は、該通気口金20に後述する滅菌アダプタ29(図4参照)が装着され、回転リング23の周溝23bに、後述するカムピン44(図4参照)が嵌入され、滅菌アダプタ29が回動されると、カム形状を有する周溝24d内に係入されたカム受けピン28がカム形状に沿って回動する。
【0051】
その結果、弁体25が長手軸方向Hに沿って、図3に示す位置に移動する。
【0052】
尚、図3に示す位置に弁体25が移動した際、シール部材27は、テーパ面24kから離間する。
【0053】
このことから、弁体25と摺動部材24との間の水密が解除され、通気口金20は開かれた状態となり、貫通孔24wにより内視鏡2の内外は連通状態となる。
【0054】
尚、上述した通気口金20の構成は、あくまでも一例であり、以上の構成に限定されない。
【0055】
例えば、図示しないが、弁体25内に、既知の逆止弁ユニットが設けられていても構わない。
【0056】
また、通気口金20は、弁体25を有さず、洗浄・消毒の際にキャップなどで封止できるような、滅菌中は開放された構造であっても構わない。
【0057】
次に、通気口金20に着脱自在な滅菌アダプタの構成について、図4図10を用いて説明する。
【0058】
図4は、図2の通気口金に着脱自在な滅菌アダプタの斜視図、図5は、図4中のV-V線に沿う滅菌アダプタの断面図である。
【0059】
また、図6は、図2の通気口金に図4の滅菌アダプタを装着して、図2のガイドピンが、図4の滅菌アダプタに形成されたガイド溝の第1の位置に嵌入されている状態を示す断面図である。
【0060】
さらに、図7は、図2のガイドピンが、ガイド溝の第2の位置まで移動された状態を示す図2の通気口金の断面とは90°異なる方向の通気口金及び滅菌アダプタの断面図、図8は、図2のガイドピンが、ガイド溝の第3の位置まで移動され逆止弁ユニットが閉じている状態を示す図2の通気口金の断面とは90°異なる方向の通気口金及び滅菌アダプタの断面図である。
【0061】
また、図9は、図8の逆止弁ユニットが開いている状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図、図10は、図5中のX-X線に沿う滅菌アダプタの断面図である。
【0062】
図5に示すように、滅菌アダプタ29は、長手軸方向に沿って孔部30aを有する本体部30と、該本体部30の孔部30a内に配置された通気弁ユニット32と、該通気弁ユニット32内に配置された逆止弁ユニット33とから主要部が構成されており、図2図3図6図9に示すように、通気口金20に着脱自在となっている。
【0063】
本体部30は、本体部材34と、バネ押さえ部材35と、係合ピン36と、第1シール部材37と、第2シール部材38と、止め輪39とから主要部が構成されている。
【0064】
本体部材34は、長手軸方向Hに沿って形成された内部の貫通孔が段付に形成された円筒部材から構成されている。
【0065】
また、本体部材34は、図4図5に示すように、長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に、係合部であるガイド溝34dが形成されている。
【0066】
ガイド溝34dは、通気口金20に滅菌アダプタ29が装着された際、通気口金20のガイドピン26が挿入されるとともに、後述するバネ部材45によって係合可能である。
【0067】
さらに、本体部材34は、長手軸方向Hの一端側H1の部位における貫通孔によって形成された内周面に、溝34cが形成されている。また、溝34cに、例えばOリングから構成された第1シール部材37が配置されている。
【0068】
通気口金20に滅菌アダプタ29が装着された際、図6図9に示すように、第1シール部材37は、口金本体22の外周面22cに当接される。このことにより、通気口金20と本体部30との間の水密が保持される。
【0069】
バネ押さえ部材35は、長手軸方向Hの一端側H1の部位の内部にテーパ面35aが形成されたリング状部材から構成されている。
【0070】
また、バネ押さえ部材35は、本体部材34の貫通孔において長手軸方向Hの他端側H2の部位に形成された凹部の底面34b上に配置されている。
【0071】
また、バネ押さえ部材35の外周面に、溝35bが形成されており、溝35b内に、例えばOリングから構成された第2シール部材38が本体部材34の内周面に当接された状態で配置されている。このことにより、本体部材34とバネ押さえ部材35との間の水密が保持される。
【0072】
本体部材34の貫通孔の凹部において、バネ押さえ部材35の長手軸方向Hの他端側H2の部位に、外周面に図示しない雄ねじ部が形成されたリング状部材の止め輪39が、本体部材34の内周面に形成された雌ネジ部に螺合されて固定されている。このことにより、止め輪39は、バネ押さえ部材35の長手軸方向Hの移動を規制している。
【0073】
本体部30内において、バネ押さえ部材35及び止め輪39の内周面に、上述した孔部30aが形成されている。
【0074】
孔部30a内に、後述する通気弁31が設けられており、孔部30aにおいて、バネ押さえ部材35及び止め輪39の内周面と、通気弁31の後述する通気弁体40との間に、滅菌アダプタ29内外を連通させる隙間32aが形成されている。
【0075】
通気弁ユニット32は、通気弁31と、回転防止部材43と、弾性部材であるバネ部材45と、通気弁保持部材である弁体保持部材42とを具備して主要部が構成されている。また、通気弁31は、通気弁体40と、シール部材41とから構成されている。
【0076】
通気弁体40は、長手軸方向Hに沿って、内部に気体を流通させる流体流路である段付貫通孔40aを有する円筒部材から構成されている。
【0077】
また、通気弁体40は、長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に形成された周溝40bに、例えばOリングから構成されたシール部材41が配置されている。
【0078】
また、通気弁体40の長手軸方向Hの一端側H1の部位の内周面に、ねじ穴40cが形成されている。
【0079】
弁体保持部材42は、段付の円筒部材から構成されており、長手軸方向Hの他端側H2の部位の外周面に、雄ねじが形成された突起部42aが形成され、長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に、フランジ部42bが形成されている。
【0080】
弁体保持部材42は、突起部42aが通気弁体40内のねじ穴40cに螺合されることにより、通気弁体40に固定されている。
【0081】
また、弁体保持部材42に、空間42dと上述した隙間32aとを連通させる連通路である複数の貫通孔42cが形成されている。尚、貫通孔42cは、貫通孔40aとも連通している。
【0082】
回転防止部材43は、段付の円筒部材から構成されており、長手軸方向Hの他端側H2の部位に形成された内向フランジの長手軸方向Hの一端側H1の部位の面に、弁体保持部材42のフランジ部42bが当接されて接着固定されている。このことにより、回転防止部材43は、本体部30と通気弁31との相対的な回転を防止されている。
【0083】
また、回転防止部材43の長手軸方向Hの他端側H2の部位の外周面に、段差43aが形成されている。
【0084】
さらに、バネ押さえ部材35の長手軸方向Hの一端側H1の部位の面に形成された溝35cと段差43aとの間に、バネ部材45が縮まった状態において長手軸方向Hに沿って配置されている。
【0085】
さらに、回転防止部材43において、径方向Kに沿って形成された貫通孔に、回転防止部材43内に先端が突出するよう、カムピン44が配置されている。
【0086】
また、図10に示すように、回転防止部材43の外周面に、本体部30から径方向Kの内側に突出する係合ピン36の先端部が嵌入される溝43bが、長手軸方向Hに沿って形成されている。
【0087】
尚、溝43bは、回転防止部材43の周方向に沿って複数、例えば3つ形成されている。即ち、溝43bに嵌入される係合ピン36も3つ設けられている。
【0088】
このことにより、回転防止部材43は、長手軸方向Hにおいて、本体部材34と別々に動き、回転方向においては本体部材34と同じ方向に移動する。
【0089】
尚、回転防止部材43に形成された溝43bと係合ピン36とは、それぞれ3つに限定されるものではなく、1つであっても良いし、2つまたは4つ以上であっても良い。
【0090】
本体部30や、弁体保持部材42に圧力が加わらない状態においては、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力により、回転防止部材43が長手軸方向Hの一端側H1に付勢される。
【0091】
その結果、回転防止部材43に固定された弁体保持部材42及び通気弁体40も長手軸方向Hの一端側H1に付勢されるため、シール部材41がバネ押さえ部材35の内周面に形成されたテーパ面35aに押圧される。
【0092】
よって、隙間32aが遮断されることにより、バネ押さえ部材35と通気弁体40と間の水密が保持される。
【0093】
逆止弁ユニット33は、通気弁体40の貫通孔40a内に設けられている。
【0094】
また、逆止弁ユニット33は、貫通孔40aを介した内視鏡2の外部から内部への気体の流通を阻止するとともに、内視鏡2の内部の圧力が外部の圧力よりも高くなった際に、内部から外部への気体を流通させるものである。
【0095】
また、逆止弁ユニット33は、軸体46と、バネ部材47と、シール部材49と、バネオサエ48とから主要部が構成されている。
【0096】
軸体46は、貫通孔40a内において長手軸方向Hに沿って摺動自在に設けられている。
【0097】
軸体46の長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に、雄ねじ部46aが形成されており、雄ねじ部46aに、バネオサエ48が螺合されている。
【0098】
バネ部材47は、通気弁体40において長手軸方向Hの一端側H1の部位に形成された凹部と、バネオサエ48との間において、縮められた状態にて長手軸方向Hに沿って配置されている。
【0099】
また、軸体46の長手軸方向Hの他端側H2の部位の外周面に形成された周状の溝46bに、例えばOリングから構成されたシール部材49が配置されている。
【0100】
シール部材49は、バネ部材47の長手軸方向Hにおける一端側H1への付勢力によって、バネオサエ48及び軸体46が長手軸方向の一端側H1へ付勢されることにより通気弁体40内部の貫通孔40aに形成されたテーパ面40tに当接して押圧される。
【0101】
このことにより、気体の流路となる貫通孔40aを遮断し、通気弁体40と軸体46との間は気密が保たれる。
【0102】
次に、本実施の形態の作用について、図4図6図9を用いて説明する。
【0103】
操作者は、滅菌アダプタ29を、通気口金20に取り付ける際は、滅菌アダプタ29の本体部材34を把持する。
【0104】
次いで、通気口金20のガイドピン26が、図4図6に示すように、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢に抗して、本体部材34に形成されたガイド溝34dの第1の位置34fにおいてガイド溝34dに突き当たるまで長手軸方向Hに沿ってカムピン26をガイド溝34dに挿入させる。このとき、カムピン44は、回転リング23の周溝23bに嵌入される。
【0105】
この際、図6に示すように、摺動部材24のフランジ部24cは、長手軸方向Hの他端側H2に、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢に抗して弁体保持部材42を押し上げる。
【0106】
その結果、通気弁体40も長手軸方向Hの一端側H1へ移動するため、シール部材41は、テーパ面35aから離間する。
【0107】
よって、隙間32aと貫通孔42cとが連通する。即ち、通気弁体40が開放される。この際、通気口金20は閉じたままであることから、内視鏡2の内部と外部とが連通していない。
【0108】
その後、操作者は、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢に抗した状態のままで、ガイドピン26が、ガイド溝34dの図4に示す第2の位置34gに案内されるまで本体部材34を周方向に回転させる。
【0109】
その結果、長穴23a内に係入されたカム受けピン28が摺動部材24に形成されたカム形状に沿って回動することから、弁体25が長手軸方向Hに沿って、図2に示す位置から、図3に示す位置に移動する。
【0110】
よって、シール部材27が、摺動部材24のテーパ面24kから離間することにより、通気口金20が開放される。
【0111】
このことから、内視鏡2の内部と、弁体保持部材42の空間42dとが連通され、貫通孔42cと隙間32aを介して内視鏡2外部が連通する。
【0112】
尚、このとき、摺動部材24のフランジ部24cによって、カムピン44の長手軸方向Hの移動が規制された状態となっている。
【0113】
その後、操作者は、本体部材34の把持をやめると、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力により、図4図8図9に示すように、ガイドピン26がガイド溝34dの第3の位置34hにおいて、ガイド溝34dに突き当たるまで本体部30が長手軸方向Hの他端側H2に移動する。
【0114】
この際、上述したように、シール部材41は、バネ部材45によって、バネオサエ部材35のテーパ面35aに押圧された状態となることから、隙間32aが遮断されるため、内視鏡2の内部は外部と遮断された状態になる。即ち、通気弁体40は閉じられる。
【0115】
その結果、滅菌アダプタ29は、通気口金20に装着される。この状態にて、内視鏡2は、ガス滅菌装置に投入される。
【0116】
尚、通気口金20に滅菌アダプタ29が装着される過程においては、図6図8に示すように、逆止弁ユニット33は閉じたままである。即ち、貫通孔40aは遮断されたままである。
【0117】
また、図8図9に示す通気口金20に滅菌アダプタ29が装着された状態において、カムピン26が十分ひっかかる深さに形成されたガイド溝34dに係合している。このことにより、滅菌中に滅菌アダプタ29が回転して外れてしまうことが防がれている。
【0118】
その後、ガス滅菌装置内において、内視鏡2の滅菌処理を行う場合は、先ず、上述したコンディショング工程において、滅菌装置内の圧力が、真空に近い状態まで減圧される。
【0119】
この際、上述した図8に示すように、通気口金20は開放されていても、逆止弁ユニット33及び通気弁体40は閉じられたままの状態であることから、内視鏡2の内部と滅菌装置内とは連通していない。このため、内視鏡2の内部の圧力が、滅菌装置内の圧力よりも高くなる。
【0120】
その結果、図9に示すように、軸体46及びバネオサエ48は、圧力差によりバネ部材47の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して長手軸方向Hの他端側H2へと自動的に押し上げられ、シール部材49がテーパ面40tから離間する。即ち、逆止弁ユニット33は開放される。
【0121】
よって、滅菌アダプタ29の内部と外部とを連通させる流体通路40dが、通気弁体40と軸体46との間に形成される。
【0122】
その後、内視鏡2の内部から摺動部材24と弁体25の隙間、滅菌アダプタ29内部の空間42d、流体通路40dを介して内視鏡2の内部と滅菌装置内とが連通される。
【0123】
これによって、内視鏡2の内部の圧力がコンディショニング工程において、滅菌装置内の圧力より高くならないため、即ち同じとなるため、上述したように、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが破裂するのを防ぐことができる。
【0124】
その後、内視鏡2の内部から滅菌装置内に気体を排出し続け、内視鏡2の内部と滅菌装置内の圧力差が規定された圧力差よりも低くなると、図8に示すように、流体通路40dが圧力差により自動的に塞がれ、内視鏡2の内部と滅菌装置内とが遮断された状態になる。
【0125】
よって、滅菌工程の際は、内視鏡2の内部と滅菌装置内とは遮断された状態になっているため、滅菌ガスが内視鏡2の内部に入らないことから、ガスによる内視鏡の内部部材の劣化等を防ぐことができる。
【0126】
滅菌工程終了後、図8に示すような滅菌アダプタ29が通気口金20に装着された状態の内視鏡2を滅菌装置から取り出すと、内視鏡2の内部は外部と遮断された状態になっているため、内視鏡2内の圧力が大気圧より低くなり、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが複数の湾曲駒に圧着されてしまう。
【0127】
その後、操作者は、滅菌アダプタ29を通気口金20から取り外すが、先ず、本体部30を把持し、図8に示す状態から図7に示す状態となるよう、本体部30をバネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して押し下げる。
【0128】
その結果、弁体保持部材42に、摺動部材24のフランジ部24cが当たり、図7に示すように、ガイドピン26がガイド溝34dの第2の位置24gに案内されるまで本体部30が押し下げられると、上述したように、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して、シール部材41がテーパ面35aから離間する。
【0129】
この際、連通路32bは、弁体保持部材42の周囲の貫通孔42cにより形成され、隙間32aは、本体部30内の空間42dと連通しているため、隙間32aと空間42dとが連通される。即ち、通気弁体40が開放される。
【0130】
このとき、隙間32a、連通路32b、空間42d、摺動部材24と弁体25との隙間を通って、内視鏡2の内部に空気が侵入し、内視鏡2の内部と大気圧との圧力差が低くなる。
【0131】
よって、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが複数の湾曲駒に圧着した状態で使用して、湾曲ゴムが各湾曲駒に食い込んで損傷してしまうことが防がれる。
【0132】
その後は、操作者は、本体部材34を把持し、装着時とは逆方向に回転させて、ガイドピン26を、図7に示す第2の位置34gから図6に示す第1の位置34fまで移動させる。
【0133】
その結果、上述とは反対に回転リング23が回転することにより、図3に示す状態から図2に示す状態に弁体25は移動し、シール部材27がテーパ面24kに当接することにより、通気口金20は閉じられる。
【0134】
その後、本体部材34を長手軸方向Hの他端側H2に引き抜くことにより、ガイド溝34dからカムピン26は外れる。その結果、通気口金20から滅菌アダプタ29が脱却される。
【0135】
このように、本実施の形態の滅菌アダプタ29の構成においては、滅菌処理後、通気口金20から滅菌アダプタ29を脱却した際、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが複数の湾曲駒に圧着されてしまうことが防がれている。
【0136】
また、連通路32bによって、隙間32aと流体通路40dとを連通させることにより、通気弁ユニット32から内視鏡2の内部に繋がる流路と、逆止弁ユニット33から内視鏡2の内部に繋がる流路との2本を別々に作らなくて良いため、滅菌アダプタ29の小型化が実現されている。
【0137】
さらに、通気口金20の摺動部材24が長手軸方向Hの一端側H1に移動し、シール部材27がテーパ面24kに押し当たるまで、つまり通気口金が開いている間は、常にシール部材41がテーパ面35aから離間している状態であり、内視鏡2内部と外部との空気の入れ替えを効率的に行うことができる。
【0138】
また、滅菌アダプタ29を取り外す際は、通気口金20が確実に閉じるので、洗浄・消毒の際に薬液が内視鏡2の内部に入ることを防ぐことができる。
【0139】
さらに、滅菌アダプタ29の装着脱の際には、上述したように本体部材34と弁体保持部材42が共に回転する。
【0140】
このことから、別々に回転することによってシール部材41に繰り返し回転方向の摩擦力がかかってしまい、シール部材41が磨耗してしまうことを防ぐことができる。
【0141】
また、本体部材34と弁体保持部材42が別々に回転すると装着脱の際にバネ部材45に回転方向の力がかかることになる。しかし、本実施例のように本体部材34と弁体保持部材42を共に回転させればバネ部材にかかる力を減らすことができる。そのため、装着脱をくりかえしてもバネ部材45やシール部材41が劣化しにくくなり、滅菌アダプタ29の故障を防ぐことができる。
【0142】
さらに、内視鏡2に、通気弁を新たに設けなくていいため内視鏡2自体の大型化を防ぐことができる。
【0143】
したがって、従来と同じように問題なく滅菌アダプタ29を通気口金20から外して洗浄・消毒装置に内視鏡2を投入して洗浄・消毒することができる。
【0144】
加えて、通気弁ユニット32内部に逆止弁ユニット33を配置することにより、通気弁ユニット32よりも長手軸方向Hの他端側H2に、逆止弁ユニット33を配置する構成と比較して、滅菌アダプタ29の長手軸方向Hの大きさを小さくすることができる。
【0145】
即ち、逆止弁ユニット33及び通気弁ユニット32が設けられていたとしても滅菌アダプタ29を小型化することができる。
【0146】
そのため、滅菌の際に滅菌アダプタ29を通気口金20に装着した状態において、滅菌バックに入らなくなることを防ぐことができる。
【0147】
また、上述した本実施の形態のような通気弁ユニット32と逆止弁ユニット33とを有する滅菌アダプタ29であれば、通気口金20を有するさまざまな内視鏡に適用可能となるため、様々な種類の内視鏡がガス滅菌できるようになる。
【0148】
尚、本実施の形態の構成は、通気口金20の横に通気弁がついているものであっても適応可能である。
【0149】
以上から、滅菌処理において内視鏡2の内部へのガスの進入を防ぐとともに、内視鏡2への装脱に伴い、内視鏡2の内部と外部とを同圧にできる小型な滅菌アダプタ29を提供することができる。
【0150】
(第2実施の形態)
図11は、本実施の形態の通気口金に着脱自在な滅菌アダプタの斜視図、図12は、図11の滅菌アダプタが通気口金に装着され、ガイドピンが滅菌アダプタに形成されたガイド溝の第1の位置に嵌入されている状態を示す断面図である。
【0151】
また、図13は、図12のガイドピンが、ガイド溝の第2の位置まで移動された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図、図14は、図13のガイドピンが、ガイド溝の第3の位置まで移動された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図である。
【0152】
さらに、図15は、図12中のXV-XV線に沿う滅菌アダプタの断面図、図16は、図12の通気口金の斜視図である。
【0153】
この第2実施の形態の滅菌アダプタの構成は、上述した図1図11に示した第1実施の形態の滅菌アダプタと比して、通気弁ユニットの構成が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0154】
図12に示すように、本実施の形態においても、滅菌アダプタ29は、上述した第1の実施形態と同様に通気弁ユニット32と、逆止弁ユニット33と、本体部30とにより主要部が構成されている。
【0155】
本体部30は、本体部材34と、バネ押さえ部材35と、カムピン44と、第1シール部材37とから主要部が構成されている。
【0156】
本体部材34は、内周面において段付部が形成されたパイプ状部材から構成されている。
【0157】
また、本体部材34は、長手軸方向Hの一端側H1の部位の外周面に、図11に示すように、第1実施の形態と同様に、滅菌アダプタ29が通気口金20に装着された際、該通気口金20のガイドピン26が嵌入されるガイド溝34dが形成されている。
【0158】
カムピン44は、先端が本体部材34内に突出するように径方向Kに沿って本体部材34に設けられている。
【0159】
また、第1シール部材37は、本体部材34の長手軸方向Hの一端側H1の部位の内周面に形成された周状の溝内に配置されている。
バネ押さえ部材35は、内周面が段付に形成されたパイプ状部材から構成されており、外周面に形成された雄ねじが、本体部材34の長手軸方向Hの他端側H2の部位の内周面に形成された雌ネジ34oに螺合されて固定されている。
【0160】
また、バネ押さえ部材35の内周面に、バネ押さえ部材35の長手軸方向Hの一端側H1の端部から長手軸方向Hの他端側H2の部位に設けられた段差底面35dまで続く溝35cが、図15に示すように、バネ押さえ部材35の周方向において所定の間隔を有して、4本形成されている。
【0161】
また、本体部30内に、径方向Kに沿った底面34rを有するとともに、長手軸方向Hに沿った孔部30aが形成されており、該孔部30a内に、バネ部材45と通気弁31とから主要部が構成された通気弁ユニット32が配置されている。
【0162】
通気弁31は、シール部材41と、通気弁体40とから主要部が構成されている。
【0163】
通気弁体40の長手軸方向Hの一端側H1の部位に、フランジ部40fが形成されており、該フランジ部40fとバネ押さえ部材35との間に、図15に示すように、隙間32aが形成されている。
【0164】
フランジ部40fは、バネ押さえ部材35の溝35cに嵌入されている。このことから、通気弁体40は、バネ押さえ部材35に対して長手軸方向に移動自在となっており、周方向に一体的に回動自在となるよう構成されている。
【0165】
尚、フランジ部40fとバネ押さえ部材35との間に隙間32aを形成するため、フランジ部40fの一部がDカット形状に形成されていても構わない。また、フランジ部40fと溝35cの数は4つではなく複数あっても構わない。
【0166】
バネ部材45は、長手軸方向Hに沿って、フランジ部40fと、バネ押さえ部材35の段差底面35dとの間において縮められた状態にて配置されている。
【0167】
本体部材34は、第1シール部材37により通気口金20の外周面に固定されている。
【0168】
この状態において、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力によって通気弁体40が長手軸方向Hの一端側H1に移動する。
【0169】
加えて、シール部材41が本体部材34の底面34rに形成されたテーパ面34kに押圧されることにより、本体部材34と通気弁体40と間の気密が保たれる。即ち、通気弁体40は閉じられている。
【0170】
通気弁ユニット32内に、逆止弁ユニット33が配置されている。逆止弁ユニット33は、軸体46と、バネ部材47と、バネオサエ48と、シール部材49と、弁体52と、シール部材153とから主要部が構成されている。
【0171】
尚、逆止弁ユニット33の構成は、第1実施形態と同じであり、シール部材153によって、通気弁体40と弁体52との間の気密が保たれている。
【0172】
また、逆止弁ユニット33の流体通路40dと、本体部30と通気弁31との間の孔部30aとを連通するため、通気弁体40の長手軸方向Hの一端側H1の部位に形成された突起部に、連通路32bが形成されている。
【0173】
尚、図16に示すように、通気口金20における摺動部材24のフランジ部24cの外周面において、周方向においてカムピン26と同じ位置と、該位置から周方向に90°ずれた位置との2箇所に、カムピン44が嵌合される溝24aが形成されている。
【0174】
尚、その他の滅菌アダプタ29の構成は、上述した第1実施形態と同じである。
【0175】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0176】
滅菌アダプタ29を、通気口金20に装着する際は、操作者は、第1実施の形態と同様に、本体部材34を長手軸方向Hの一端側H1に押し込んで、通気口金20のガイドピン26を、図12に示すガイド溝34dの第1の位置34fに嵌入させる。
【0177】
その後、操作者は、本体部材34を回転させることにより、図13に示すガイド溝34dの第2の位置34gに移動させ、さらに本体部材34から手を離すことにより、図14に示すように、ガイド溝34dの第3の位置34hに移動させる。
【0178】
尚、第1の位置34fから第2の位置34gに本体部材34を回転させる際、カムピン44が溝24aに嵌合した状態で本体部材34が回転される。
【0179】
このことから、回転リング23が回転し、摺動部材24に形成されたカム溝に沿って弁体25が長手軸方向HのH2方向に移動するため、シール部材27がテーパ面24kから離間することにより通気口金20が開放される。
【0180】
図2に示す、ガイドピン26が、第3の位置34hに嵌入されている際は、ガイドピン26は、滅菌処理中に滅菌アダプタ29が回転して外れてしまうことが防がれている。
【0181】
滅菌処理中に、内視鏡2の内部の圧力が滅菌装置内の圧力より高くなった際は、上述した第1実施の形態と同様に、軸体46及びバネオサエ48は、圧力差によりバネ部材47の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して長手軸方向Hの他端側H2へと自動的に押し上げられ、シール部材49がテーパ面40tから離間する。即ち、逆止弁ユニット33は開放される。
【0182】
よって、通気口金20の摺動部材24と弁体25との隙間、本体部30内の空間42d、連通路32b、流体通路40dを通って内視鏡2内部から滅菌装置内に気体を排出する。
【0183】
これによって、内視鏡2の内部の圧力がコンディショニング工程において、滅菌装置内の圧力より高くならないため、即ち同じとなるため、上述したように、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが破裂してしまうことが防がれる。
【0184】
その後、内視鏡2の内部から滅菌装置内に気体を排出し続け、内視鏡2の内部と滅菌装置内の圧力差が規定された圧力差よりも低くなると、圧力差により逆止弁ユニット33は自動的に閉塞し、内視鏡2の内部と滅菌装置内とが遮断された状態になる。
【0185】
よって、滅菌工程の際は、内視鏡2の内部と滅菌装置内とは遮断された状態になっているため、滅菌ガスが内視鏡2の内部に入らないことから、ガスによる内視鏡の内部部材の劣化等を防ぐことができる。
【0186】
滅菌工程終了後に、滅菌アダプタ29を通気口金20から取り外す際、操作者は、本体部材34を、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して押し下げると、図13に示すように、ガイドピン26は、第2の位置34gに案内される。
【0187】
このとき、突起部42aが通気口金20の弁体25に当たり、シール部材41が、バネ部材45の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して、テーパ面34kから離間し、本体部材34と通気弁体40との間に隙間32aが形成され、内視鏡2の内部と外部が連通される。即ち、通気弁体40が開放される。
【0188】
このとき、隙間32a、空間42d、摺動部材24と弁体25との隙間を通って、内視鏡2の内部に空気が侵入し、内視鏡2の内部と大気圧との圧力差が低くなる。
【0189】
よって、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが複数の湾曲駒に圧着されてしまうことが防がれる。
【0190】
その後は、操作者は、本体部材34を把持し、装着時とは逆方向に回転させて、ガイドピン26を、図13に示す第2の位置34gから図12に示す第1の位置34fまで移動させる。
【0191】
その結果、上述とは反対に回転リング23が回転することにより、シール部材27がテーパ面24kに当接することによって、通気口金20は閉じられる。
【0192】
その後、本体部材34を長手軸方向Hの他端側H2に引き抜くことにより、ガイド溝34dからカムピン26は外れる。その結果、通気口金20から滅菌アダプタ29が脱却される。
【0193】
このような構成によっても、上述した第1実施の形態と同様の効果を得ることができるとともに、本実施の形態においては、通気口金20から上述したように滅菌アダプタ29を回転させて取り外す際、突起部42aが弁体25に1点で接している。
【0194】
このため、第1実施の形態と比較して回転の際の通気口金20と突起部42aとの摩擦力が少なくなることから、操作者は、軽い力で滅菌アダプタ29を取り外すことができる。
【0195】
さらに、上述した第1実施の形態と同様に、滅菌アダプタ29を装着脱する際は、本体部30と通気弁体40とが共に回転する。
【0196】
このことにより、別々に回転する場合のようにシール部材41に繰り返し回転方向の摩擦力がかかり磨耗してしまうことを防ぐことができる。
【0197】
また、本体部材34と弁体保持部材42が別々に回転すると装着脱の際にバネ部材45に回転方向の力がかかることになる。
【0198】
しかし、本実施例のように本体部材34と弁体保持部材42を共に回転させればバネ部材にかかる力を減らすことができる。
【0199】
そのため、装着脱をくりかえしてもバネ部材45やシール部材41が劣化しにくくなり、滅菌アダプタ29の故障を防ぐことができる。
【0200】
さらに、バネ押さえ部材35と通気弁体40とが螺合されている構成は、上述した第1実施の形態において示した係合ピン36及び回転防止部材43と同じ機能を果たす。
【0201】
このため、第1実施形態から部品数を減らしても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0202】
(第3実施の形態)
図17は、本実施の形態の滅菌アダプタを、通気口金に装着された状態を示す断面図、図18は、図17の滅菌アダプタの本体部材に形成されたガイド溝を、通気口金に設けられたガイドピンとともに概略的に示す図、図19は、図17の滅菌アダプタの本体部材に形成された図18とは異なるカム溝を、把持部に設けられたカムピンとともに概略的に示す図である。
【0203】
また、図20は、図17の通気弁体が開放された状態を示す通気口金及び滅菌アダプタの断面図、図21は、図20から通気口金が閉じられた状態における通気口金及び滅菌アダプタの断面図である。
【0204】
この第3実施の形態の滅菌アダプタの構成は、上述した図1図11に示した第1実施の形態の滅菌アダプタ、図12図16に示した第2実施の形態の滅菌アダプタと比して、通気弁ユニットの構成が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1、第2実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0205】
図17に示すように、本実施の形態においては、滅菌アダプタ29は、通気弁ユニット32と、逆止弁ユニット33と、本体部30と、把持部51とにより主要部が構成されている。
【0206】
また、図20図21に示すように、本体部30は、本体部材34と、第1シール部材37と、カムピン44とによって主要部が構成されている。
【0207】
本体部材34は、長手軸方向Hに沿って内周面に段付貫通孔である孔部30aが形成されたパイプ状の部材から構成されており、内周面にテーパ面35aが形成されている。
【0208】
また、本体部材34の長手軸方向Hの一端側H1の部位の内周面に、溝が形成されており、該溝に、Oリング等の第1シール部材37が配置されている。
【0209】
さらに、本体部材34において、長手軸方向Hにおいて第1シール部材37が配置された溝よりも一端側H1の部位に、図18に示すガイド溝34dが形成されており、長手軸方向Hの他端側H2の部位に、図19に示すカム溝53が形成されている。
【0210】
また、本体部材34に、上述した第2実施の形態において示した位置と同じ位置において、カムピン44が、孔部30aに先端が突出するように径方向Kに沿って設けられている。
【0211】
把持部51は、長手軸方向Hの他端側H2の部位に内向フランジを有するパイプ状に構成されており、長手軸方向Hの一端側H1の部位において径方向Kに沿って貫通された孔に、ピン54が把持部51内に突出するよう配置されている。
【0212】
ピン54は、図19に示すように、ガイド溝53に係合自在であり、位置53a〜位置53cまでガイド溝53に沿って摺動自在となっている。
【0213】
通気弁ユニット32は、通気弁体40と、シール部材41とから主要部が構成されている。
【0214】
通気弁体40は、パイプ状部材から構成されており、外周面に形成された溝に、Oリング等のシール部材41が配置されている。
【0215】
また、通気弁体40は、把持部51に設けられた内向フランジ部の孔内部の孔51aに接着固定されており、このことにより、把持部51と一体的に移動及び回動自在となっている。
【0216】
長手軸方向Hにおける本体部材34の長手軸方向Hの他端側H2の端面に形成された凹部34iと、把持部51の内向フランジ部との間に、バネ部材50が縮められた状態で配置されている。
【0217】
バネ部材50は、把持部51から操作者が手を離した際、ピン54を、図19に示す位置53a、53cに嵌入させるものである。
【0218】
また、図20図21に示すように、操作者により把持部51を軸方向に回転させると通気弁体40が長手軸方向Hの一端側H2に押し上げられ、ピン54が、図19に示す位置53dに移動し、シール部材41がテーパ面35aから離れた際は、本体部材34と通気弁体40との間、本体部材34と把持部51との間に隙間32aが形成される。即ち、通気弁体40が開放される。
【0219】
この隙間32aにより、通気口金20が開放されている状態においては、内視鏡2内部と外部が連通した状態となる。
【0220】
尚、逆止弁ユニット33は、上述した第2実施の形態と同じ構造を有しており、通気弁ユニット32における通気弁体40の内部に配置されている。
【0221】
また、本実施形態においては、通気弁ユニット32の流体通路40dと、孔部30aとは、本体部材34内部の空間42dにより連通されている。
【0222】
尚、その他の構成は、上述した第1、第2実施の形態と同じである。
【0223】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0224】
滅菌アダプタ29を通気口金20に装着する際、操作者は、先ず、滅菌アダプタ29を通気口金20に対し、カムピン26が図18に示すガイド溝34dにおける位置34qに案内されるまで、長手軸方向Hの一端側H1に押圧する。
【0225】
その結果、把持部51も長手軸方向Hの一端側H1に移動することにより、ピン54が、図19に示すガイド溝53における位置53cから位置53dに移動する。このとき、図20に示すように、通気弁ユニット32は開放されている。
【0226】
その後、操作者は、位置53dにピン54が位置した状態において、把持部51を回転させると、把持部51、通気弁ユニット32、逆止弁ユニット33は、一体的に長手軸方向Hの一端側H1に移動する。
【0227】
その結果、シール部材41がテーパ面に押し当てられ、通気弁ユニットは閉じられる。
【0228】
その後回転を続けると、ピン54がガイド溝53の一端部53eに引っかかり、ピン54は、位置53bまで移動する。
【0229】
この際、本体部材34が把持部51と一体になって回転することから、カムピン26が図18に示すガイド溝34dの位置34pに案内されて通気口金20が開く。
【0230】
その後、操作者は、滅菌アダプタ29から手を離すと、ピン54がガイド溝34dにおける位置53aに移動する。この状態にて滅菌処理が行われる。
【0231】
つまり、本実施形態において、把持部51が回転した後に、本体部材34が回転するといった2段階によって滅菌アダプタ29を装着する手法となる。
【0232】
滅菌処理中は、上述した第2実施の形態と同様に逆止弁ユニット33により内視鏡2の内部の圧力が滅菌装置内の圧力よりも大きくなった際に、内視鏡2の内部から滅菌装置内に気体を排出する。このことにより、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが破裂してしまうことが防がれる。
【0233】
また、滅菌アダプタ29は、バネ部材50の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力により、ピン54が十分に引っかかる深さにおいてガイド溝53に係合することによって、把持部51が滅菌中に回転して外れることはない。
【0234】
このことから、滅菌処理中に通気弁体40が開放され、内視鏡2内部にガスが進入して構成部品を劣化させてしまうことを防ぐことができる。
【0235】
滅菌処理後、滅菌アダプタ29を通気口金20から取り外す際は、操作者は、先ず、把持部51をバネ部材50の長手軸方向Hの一端側H1への付勢力に抗して長手軸方向Hの一端側H1に押し込む。
【0236】
その際、ピン54が、ガイド溝53における位置53aから位置53bまで移動される。その後、ガイド溝53に沿って把持部51を装着の際とは反対方向に回転させると、ピン54が位置53dまで移動する。
【0237】
ここで、ピン54が、ガイド溝53の位置53aから位置53b、53dと移動されると、通気弁体40が長手軸方向Hの他端側H2へと移動し、図20に示すように、シール部材41がテーパ面35aから離れて本体部材34と通気弁体40との間に隙間ができる。
【0238】
このとき、内視鏡2の内部は陰圧になっているため、隙間32a、空間42d、通気口金20の弁体25と摺動部材24との隙間を通って内視鏡2の内部に空気が流入する。
【0239】
よって、本実施の形態においては、滅菌アダプタ29を取り外す際に通気口金20が閉じ始める前に、確実に通気弁体40を開くため内視鏡2内の陰圧状態を確実に解除できる。
【0240】
したがって、湾曲部8を構成する湾曲ゴムが複数の湾曲駒に圧着された状態で内視鏡を使用し、湾曲ゴムが各湾曲駒に食い込んで損傷してしまうことが防がれる。
【0241】
また、操作者は、バネ部材50の付勢力により把持部51を押し込んだときにクリック感が得られるため、通気弁体40が開いているかどうかを確実に確認することができる。
【0242】
ピン54の位置53dからさらに本体部30を回転させると、ピン54がガイド溝53における他端部53fに引っかかる。このことにより、把持部51に追従して本体部材34が回転する。
【0243】
このとき、カムピン26は、図18に示すように、ガイド溝34dにおける位置34qに移動される。
【0244】
その結果、図21に示すように、カムピン44により通気口金20の弁体25が長手軸方向Hの一端側H1に移動することから、シール部材27がテーパ面24kに当接され通気口金20は閉じられる。
【0245】
このような構成によっても、上述した第1、第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0246】
尚、上述した第1〜第3実施の形態においては、医療機器は、内視鏡を例に挙げて示したが、これに限らず、内視鏡以外の他の通気口金を有する医療機器にも適用可能である。
【0247】
本出願は、2018年7月26日に日本国に出願された特願2018−140530号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものである。
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